本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。本発明はまた、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔第1の実施形態〕
(板状部材収容容器10)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る板状部材収容容器10の概略構成を示す斜視図である。図1に示されるように、板状部材収容容器10は、矩形状の板状部材8を複数収容するための容器であり、本体1A(容器本体)と、開口部2を閉塞する蓋体1Bと、を備えている。
板状部材収容容器10では、本体1A内に、複数の板状部材8が互いに平行になるように収容されている。また、複数の板状部材8は、本体1A内で開口部2から露出するように収容されている。蓋体1Bは、複数の板状部材8における開口部2から露出した部分を覆うように、本体1Aと係合している。
(本体1A)
図2は、図1に示す板状部材収容容器10の本体1Aの構成を示し、図2の(a)は斜視図であり、図2の(b)は、図2の(a)のA−A線矢視断面図であり、図2の(c)は図2の(a)のB−B線矢視断面の一部分を示す図である。
図2の(a)に示すように、本体1Aは、開口部2が設けられた矩形の容器であり、一体成形物である。開口部2を形成する4つの内側面3(第1の内側面)のうち、互いに対向する一組の内側面3には、複数の案内溝4が設けられている。また、本体1Aの内底面5には、複数の支持溝4aが案内溝4それぞれと対応するように設けられている。
ここで、外底面12に対して垂直な方向をX方向とする。外底面は水平な面である。X方向は、換言すれば、重力方向に対して180°反転した方向であるともいえる。また、X方向に垂直であり、かつ、収容される板状部材8の表面または裏面に垂直な方向をY方向とし、X方向及びY方向の両方に垂直な方向をZ方向としている。図2の(a)を参照すれば、Y方向はB−B線方向であり、Z方向はA−A線方向であるともいえる。また、図2の(b)を参照すれば、Y方向は、X方向に対し垂直であり、かつ紙面において手前へ向かう方向であり、Z方向は、X方向に対し垂直であり、かつ紙面において左から右へ向かう方向である。また、X方向は、外底面12の法線Lの方向であるともいえる。また、本体1Aにおける内底面5側および外底面12側を下側とし、開口部2側を上側とする。
案内溝4は、本体1Aに収容される板状部材8を内底面5へ案内するための溝であり、開口部2から内底面5へ向かってX方向に延びている。また、支持溝4aは、本体1Aに収容される板状部材8における内底面5と対向する端部と支持するための溝であり、Z方向に延びている。
板状部材8は、開口部2から内底面5に向かって、案内溝4に沿って、挿入される。板状部材8は、内側面3、案内溝4、および支持溝4aによって支持され、収容される。ここで、本体1A内では、複数の板状部材8は、Y方向に重なるように収容される。換言すると、複数の板状部材8は、厚さ方向がY方向に一致するように収容される。
なお、本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器では、対向する二組の内側面3全てに板状部材8を内底面5へ案内する案内溝4が複数設けられている構成であってもよい。そのような構成であっても、案内溝4を有する対向する二組の内側面3のうち、いずれか一組の内側面3が有する案内溝4に沿って、板状部材8を開口部2から内底面5に向かって挿入し、板状部材8を収容することが可能である。
ここで、本実施形態に係る板状部材収容容器は、案内溝4が形成された内側面3の構成に特徴がある。図2の(b)及び(c)に示されるように、案内溝4が設けられている、対向する一組の内側面3はそれぞれ、凹凸形状を有している。この内側面3の凹凸形状は、案内溝4を形成する底面、及び1組の内側面7(第2の内側面)、並びに内側面3における案内溝4が形成されていない面により構成されている。案内溝4の上記底面は、収容される板状部材8の側面が接触する面であり、最も内底面5側に位置する底面側内側面3a(第1の底面側内側面)、傾斜面3b(第1の傾斜面)、及び最も開口部2側に位置する開口部側内側面3c(第1の開口部側内側面)を有する。また、案内溝4の内側面7は、収容される板状部材8の表面または裏面が接触する面である。また、内側面3における案内溝4が形成されていない面は、収容される板状部材8が接触しない面であり、傾斜面3d(第4の傾斜面)を有する。
傾斜面3bは、当該一組の内側面3同士の間隔が内底面5から開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜している。より具体的には、一組の内側面3に形成された2つの傾斜面3bは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度θaでテーパー状に傾斜している。なお、傾斜面3bは、テーパー状に限定されない。
底面側内側面3aは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°である。また、開口部側内側面3cは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、底面側内側面3a及び開口部側内側面3cは、法線Lと平行になるように形成されている。さらに換言すれば、底面側内側面3a及び開口部側内側面3cは、外底面12に対して垂直な平面である。ここでいう「法線Lに対する傾斜角度が0°である」は、一体成形の設計範囲内、または傾斜角度の測定範囲内で法線Lに対する傾斜角度が0°であることを意味する。より具体的には、底面側内側面3a及び開口部側内側面3cの法線Lに対する傾斜角度は、0±0.5°であり、好ましくは0°±0.3°であり、より好ましくは0°±0.1°である。なお、当該傾斜角度の絶対値は、後述する傾斜角度θaよりは小さい値となるものである。
開口部側内側面3cが外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°であることにより、板状部材8を開口部2から内底面5に向かって、案内溝4に沿って挿入するときに、内側面3と対向する板状部材8の側面側を開口部側内側面3cに当ててから挿入することにより、挿入開始時のZ方向の位置決めを容易に行うことができる。
また、本実施形態に係る板状部材収容容器において、案内溝4を形成する一組の内側面7(第2の内側面)は、線対称になるように形成されている。また、図2の(c)に示されるように、一組の内側面7はそれぞれ、最も内底面5側に位置する底面側内側面7a(第2の底面側内側面)、傾斜面7b(第2の傾斜面)、及び最も開口部2側に位置する開口部側内側面7c(第2の開口部側内側面)を有する。この内側面7は、板状部材8が案内溝4に挿入されて本体1Aに収容されるときに、板状部材8の表面または裏面と対向する面である。
傾斜面7bは、当該一組の内側面7同士の間隔が内底面5から開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜している。より具体的には、一組の内側面7に形成された2つの傾斜面7bは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度θbでテーパー状に傾斜している。なお、傾斜面7bは、テーパー状に限定されない。
底面側内側面7aは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°である。また、開口部側内側面7cは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、底面側内側面7a及び開口部側内側面7cは、法線Lと平行になるように形成されている。さらに換言すれば、底面側内側面7a及び開口部側内側面7cは、外底面12に対して垂直な平面である。ここでいう「法線Lに対する傾斜角度が0°である」は、一体成形の設計範囲内、または傾斜角度の測定範囲内で法線Lに対する傾斜角度が0°であることを意味する。より具体的には、底面側内側面7a及び開口部側内側面7cの法線Lに対する傾斜角度は、0±0.5°であり、好ましくは0°±0.3°であり、より好ましくは0°±0.1°である。なお、当該傾斜角度の絶対値は、後述する傾斜角度θbよりは小さい値となるものである。
内側面3における案内溝4が形成されていない面について、説明する。この面は、図2の(c)に示される方向からみたとき、隣り合う案内溝4より挟まれた面であり、傾斜面3d(第4の傾斜面)を少なくとも1つ有する。図2の(b)に示されるように、互いに対向する1組の内側面3において、傾斜面3dは、互いの傾斜面3d同士の間隔が内底面5から開口部2へ向かうに従い広くなるように、外底面12の法線Lに対する傾斜角度θcで傾斜している。より具体的には、図2の(b)に示されるように、対向する一組の傾斜面3dは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度θc1およびθc2で開口部2から内底面5までテーパー状に傾斜している。なお、傾斜面3dは、テーパー状に傾斜された構成に限定されない。
開口部側内側面7cが外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°であることにより、板状部材8を開口部2から内底面5に向かって、案内溝4に沿って挿入するときに、板状部材8の表面または裏面側を開口部側内側面7cに当ててから挿入することにより、挿入開始時のY方向の位置決めを容易に行うことができる。
また、本体1Aの外側面6は、図2の(b)に示されるように、対向する位置に配置された外側面6同士の間隔が内底面5から開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜している。より具体的には、外側面6は、内底面5から開口部2へ向かうに従い外側に広がったテーパー状に傾斜して形成されている。
また、本体1Aの材質は、特に限定されないが、例えば、本体1Aは、熱可塑性樹脂の発泡粒子から型内発泡成形された発泡成形体であってもよい。本体1Aの内側面3、内底面5、および支持溝4aは、一体成形されてもよく、別々に成形された後、組み合わされてもよい。より好ましくは、本体1Aは、一体成形物である。
前記熱可塑性樹脂の発泡粒子の種類、および当該発泡粒子の製造方法に特に制限は無く、従来公知の発泡粒子および製造方法を挙げることができる。前記製造方法の一例としては、前記熱可塑性樹脂の発泡粒子が、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子である場合には、国際公開特許公報WO2009/075208および特開2006−117842号公報等に開示されている製造方法が挙げられ、ポリスチレン系樹脂発泡粒子である場合には、特開2003−201360号公報および特開2014−118474号公報等に開示されている製造方法が挙げられ(該特許文献中には、前記熱可塑性樹脂の発泡粒子は「予備発泡粒子」として記載されている)、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂発泡粒子である場合には、特開2008−239794号公報等に開示されている製造方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上述した製造方法によって得られる発泡粒子においては、適宜、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を従来公知の方法により含有あるいは被覆させることができる。また、前記発泡粒子の粒径としては、特に限定されず、例えば、1mm〜10mmであることが好ましいが、金型充填性の観点からは、1mm〜5mmであることがより好ましく、1mm〜3mmであることがさらに好ましい。
前記発泡粒子の発泡倍率としては、特に限定されず、例えば、3倍〜90倍であることが好ましいが、機械的強度や成形性の観点からは、5倍〜60倍であることがより好ましく、5倍〜30倍であることがさらに好ましい。
このような発泡粒子は、例えば、(株)カネカ製エペラン−PP、およびエペラン−XL等として市販されており、容易に入手可能である。
上述した熱可塑性樹脂の発泡粒子を使用して、発泡成形体として本体1Aを製造する方法としては、型内発泡成形方法を採用することができ、特開2001−79870号公報等に記載された従来公知の成形方法を採用することができる。例えば、(1)先ず、凹型と凸型からなる一対の型を型閉して成形空間を形成し、(2)発泡粒子を原料タンクから充填器を通じて成形空間内に送入して充填し、(3)次に成形空間内の発泡粒子を水蒸気で加熱することにより、発泡粒子どうしを融着させて一体化させた後に、冷却し、(4)一対の型を型開して型内発泡成形体を取り出す方法が挙げられる。
(本実施形態に係る板状部材収容容器の作用効果について)
図3は、本実施形態に係る板状部材収容容器の作用効果を説明するための図であり、図3の(a)は、従来の板状部材収容容器における本体1A’の内側面3’の構成を示す断面図であり、図3の(b)は、本実施形態に係る板状部材収容容器における本体1Aの内側面3の構成を示す断面図である。ただし、図3の(a)および(b)に示す本体1A’および本体1Aでは、第2の内側面7は省略しており、図示していない。図3の(c)は、内側面3’に形成された案内溝4’の構成を示す図であり、図3の(d)は、内側面3に形成された案内溝4の構成を示す図である。
本実施形態に係る板状部材収容容器では、上述した通り、案内溝4が形成された一組の内側面3における底面側内側面3aは、法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、底面側内側面3aは、法線Lと平行になるように形成されている。これにより、板状部材8は、本体1Aに収容されたとき、Z方向の移動(換言すれば、ぐらつき)が抑制される。このため、本体1A内で板状部材8を安定に保持できる。その結果、板状部材8を複数枚収容して板状部材収容容器を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる。
なお、本発明の一実施形態にかかる板状部材収容容器では、案内溝4が形成された一組の内側面3のうち、一方の内側面3が、法線Lに対する傾斜角度が0°である底面側内側面3aを有している構成であってもよい。そのような構成であっても、板状部材8を、本体1Aに収容したとき、Z方向の移動(換言すれば、ぐらつき)を抑制できるため、本体1A内で板状部材8を安定に保持できる利点を有する。
図3の(a)に示されるように、従来の板状部材収容容器では、本体1A’における案内溝4’が形成された内側面3’は、法線Lに対する傾斜角度θaで開口部から内底面まで一律に傾斜したテーパー形状となっている。このような構成では、本体1A’に収容される板状部材8と内側面3’との間隔が内底面から開口部へ向かうに従って増加する。このため、板状部材8が本体1A’に収容されたとき、板状部材8がZ方向に移動可能な空間が形成されてしまう。それゆえ、従来の構成では、本体1A’内で板状部材8を安定に保持できるとはいえない。
一方、図3の(b)に示されるように、本実施形態に係る板状部材収容容器では、案内溝4が形成された一組の内側面3における底面側内側面3aは、法線Lに対する傾斜角度が0°であるので、板状部材8は、本体1A内を移動したとしても、内側面3の底面側内側面3aに当接され、底面側内側面3aよりも外側に移動することはない。すなわち、内側面3の底面側内側面3aは、本体1A内での板状部材8のZ方向の移動を係止する係止面として機能する。なお、一組の内側面3における底面側内側面3a同士の間隔は、板状部材収容容器10の搬送時の環境(振動の度合等)に応じて適宜設定可能であるが、板状部材8のZ方向の寸法に近い値であるほど好ましい。底面側内側面3a同士の間隔が板状部材8のZ方向の寸法と同じである場合、板状部材8がより強固に保持されるので、好ましい。
ここで、板状部材収容容器の本体は、一体成形物である。通常、本体1Aまたは1A’等の容器形状物を、例えば発泡成形体等のように、金型で成形して製造する場合、金型からの離型を容易にするために、金型に抜き勾配と称される傾斜を形成する。金型に抜き勾配が形成されない場合、金型からの離型は困難である。図3の(a)または(b)に示された内側面3’または傾斜面3bは、この抜き勾配により成形された面である。
従来の板状部材収容容器の本体1A’のように、成形時の金型の抜き勾配により、一律に内側面3’を傾斜した場合、成形時の金型からの離型が容易になる。その反面、上述したように、板状部材8を十分に保持できない。すなわち、従来の構成では、通常、成形時の金型の抜き勾配により内側面3’を傾斜した構成となるため、板状部材8の安定した保持および収容と良好な成形性と、を両立することは困難であった。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討した結果、本体1Aの内側面3に(1)板状部材8の安定した保持をもたらす底面側内側面3aと、(2)金型からの容易な離型をもたらす傾斜面3bとを形成することにより、前記課題を解決できる板状部材収容容器10を提供するに至った。すなわち、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる板状部材収容容器10を提供するに至った。
すなわち、板状部材収容容器10の本体1Aは、金型の抜き勾配による傾斜面3bとともに、通常金型からの離型が困難であると考えられる底面側内側面3aを板状部材8の安定した保持のために形成することにより、板状部材8の安定した保持および収容と良好な成形性と、を両立している。このような両立のための、底面側内側面3a及び開口部側内側面3c等の法線Lに対する傾斜角度が0°である面及び傾斜面3bのX方向の寸法は、本体1Aに収容される板状部材8の大きさによって、適宜選択され得る。より具体的には、以下に記載する。
板状部材8の大きさが、幅(Z方向の寸法)100mm〜750mm、高さ(X方向の寸法)100m〜500mm、厚さ(Y方向の寸法)0.5mm〜0.7mmの場合には、本体1Aの大きさ(外寸)は、以下の範囲であることが好ましい。本体1Aの幅(Z方向の寸法、外寸)は、好ましくは(板状部材8の幅)+30mm以上、かつ(板状部材8の幅)+90mm以下であり、より好ましくは、(板状部材8の幅)+40mm以上、かつ(板状部材8の幅)+80mm以下であり、特に好ましくは、(板状部材8の幅)+50mm以上、かつ(板状部材8の幅)+70mm以下である。本体1Aの高さ(X方向の寸法、外寸)は、好ましくは(板状部材8の高さ)÷2+10mm以上、かつ(板状部材8の高さ)÷2+50mm以下であり、より好ましくは(板状部材8の高さ)÷2+20mm以上、かつ(板状部材8の高さ)÷2+40mm以下であり、特に好ましくは(板状部材8の高さ)÷2+25mm以上、かつ(板状部材8の高さ)÷2+35mm以下である。本体1Aの厚さ(Y方向の寸法、外寸)は、板材部材の入れ数に依存し、適宜設定される。また本体1Aの底の厚みは、10mm以上、50mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは20mm以上、40mm以下であり、特に好ましくは25mm以上、35mm以下である。
内側面3の高さ(内側面3を含むXY面に正投影した際のX方向の寸法であり、以下「ボトム高さ」とも言う)に特に制限は無いが、板状部材8の高さに対して30〜70%が好ましく、40〜65%がより好ましく、50〜61%が最も好ましい。このような場合、板状部材8を挿入し輸送する際の安定性が良好となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器において内側面3が底面側内側面3aと傾斜面3bとから構成される場合、底面側内側面3aのX方向の寸法および傾斜面3bのX方向の寸法(傾斜面3bをXY面に正投影した際のX方向の寸法)に特に制限は無い。しかし、底面側内側面3aのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して、16〜33%が好ましく、19〜30%がより好ましく、21〜27%が最も好ましい。また、傾斜面3bのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して、67〜84%が好ましく、70〜81%がより好ましく、73〜79%が最も好ましい。このような場合には、板状部材8を安定して保持しやすくなり、また、板状部材収容容器を型内発泡成形するときの金型からの離型性も良好となりやすい。
なお、本発明の一実施形態において、板状部材8の安定性および、板状部材収容容器を型内発泡成形するときの金型からの離型性、が更に良好となる観点からは、内側面3は、底面側内側面3aおよび傾斜面3bに加えて、開口部側内側面3cを含むように構成されることがより好ましい。この場合には、底面側内側面3aのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して16〜33%が好ましく、19〜30%がより好ましく、21〜27%が最も好ましい。傾斜面3bのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して34〜68%が好ましく、40〜62%がより好ましく、46〜58%が最も好ましい。また、開口部側内側面3cのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して16〜33%が好ましく、19〜30%が寄り好ましく、21〜27%が最も好ましい。
底面側内側面3aのX方向の寸法は、開口部側内側面3cのX方向の寸法と等しいことが好ましい。この理由としては、本体1Aを型内発泡成形する場合に、パーティングライン(型内発泡成形に用いられる金型を構成する雄型と雌型とが分割されるライン)に対して、底面側内側面3aおよび開口部側内側面3cの箇所が同時に金型から抜けることにより、離型時の抵抗がより軽減されると推定される為である。金型からの離型時の抵抗が少ないため、成形体の変形を抑止しやすくなる。
図3の(c)は、内側面3’に形成された案内溝4’の構成を示す図であり、図3の(d)は、内側面3に形成された案内溝4の構成を示す図である。
図3の(c)に示されるように、従来の板状部材収容容器では、本体1A’における案内溝4’を形成する一組の内側面7’は、法線Lと平行である。このような構成では、発泡成形体として製造する場合には、通常の成型方法では、金型からの離型性が著しく悪く、成形性が不良である。
一方、図3の(d)に示されるように、本実施形態に係る板状部材収容容器では、上述した通り、案内溝4を形成する一組の内側面7は、最も内底面5側に位置する底面側内側面7aと、法線Lに対する傾斜角度θbでテーパー状に傾斜した傾斜面7bと、最も開口部2側に位置する開口部側内側面7cと、を有する。そして、底面側内側面7aは、法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、底面側内側面7aは、法線Lと平行になるように形成されている。また、傾斜面7bは、成形時の金型の抜き勾配により形成された面である。これにより、板状部材8は、本体1Aに収容されたとき、本体1A内を移動したとしても、内側面7の底面側内側面7aに当接されるため、Y方向の移動が抑制される。すなわち、底面側内側面7aは、本体1A内での板状部材8のY方向の移動を係止する係止面として機能する。このため、本体1A内で板状部材8を安定に保持できる。その結果、板状部材8を複数枚収容して板状部材収容容器を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる。さらに、金型の抜き勾配による傾斜面7bが形成されているので、成形時の金型からの離型性が良好である。
なお、本発明の一実施形態にかかる板状部材収容容器では、案内溝4を形成する一組の内側面7のうち、一方の内側面7が、法線Lに対する傾斜角度が0°である底面側内側面7aを有している構成であってもよい。そのような構成であっても、板状部材8を、本体1Aに収容したとき、Y方向の移動(換言すれば、ぐらつき)を抑制できるため、本体1A内で板状部材8を安定に保持できる利点を有する。
なお、一組の内側面7における底面側内側面7a同士の間隔は、板状部材収容容器の搬送時の環境(振動の度合等)に応じて適宜設定可能であるが、板状部材8のY方向の寸法(厚さ)に近い値であるほど好ましい。底面側内側面7a同士の間隔が板状部材8のY方向の寸法と同じである場合、板状部材8がより強固に保持されるので、好ましい。
本実施形態では、案内溝4を形成する内側面7に対しても、板状部材8の安定した保持および収容と良好な成形性と、を両立している。このような両立のための、底面側内側面7a及び開口部側内側面7c等の法線Lに対する傾斜角度が0°である面及び傾斜面7bのX方向の寸法は、本体1Aに収容される板状部材8の大きさによって、適宜選択され得る。より具体的には、以下に記載する。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器において内側面7が底面側内側面7aと傾斜面7bとから構成される場合、底面側内側面7aのX方向の寸法および傾斜面7bのX方向の寸法(傾斜面7bをXZ面に正投影した際のX方向の寸法)に特に制限は無い。しかし、底面側内側面7aのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して、16〜33%が好ましく、19〜30%がより好ましく、21〜27%が最も好ましい。また、傾斜面7bのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して、67〜84%が好ましく、70〜81%がより好ましく、73〜79%が最も好ましい。このような場合には、板状部材8を安定して保持しやすくなり、また、板状部材収容容器を型内発泡成形するときの金型からの離型性も良好となりやすい。
なお、本発明において、板状部材8の安定性および、板状部材収容容器を型内発泡成形するときの金型からの離型性、が更に良好となる観点からは、内側面7は、底面側内側面7aおよび傾斜面7bに加えて、開口部側内側面7cを含むように構成されることがより好ましい。この場合には、底面側内側面7aのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して16〜33%が好ましく、19〜30%がより好ましく、21〜27%が最も好ましい。傾斜面7bのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して34〜68%が好ましく、40〜62%がより好ましく、46〜58%が最も好ましい。また、開口部側内側面7cのX方向の寸法は、前記ボトム高さに対して16〜33%が好ましく、19〜30%がより好ましく、21〜27%が最も好ましい。
具体例として、板状部材8の大きさが、幅(Z方向の寸法)550mm、高さ(X方向の寸法)322mm、および厚さ(Y方向の寸法)0.5〜0.7mmであり、このような板状部材8を40枚収容する場合について、本実施形態に係る板状部材収容容器の各部材の寸法等を以下に例示する。
本体1Aの大きさは、幅(Z方向の寸法)610mm、高さ(X方向の寸法)220mm、および厚さ(Y方向の寸法)608mmであることが好ましい。
また、この場合、対向する一組の底面側内側面3a同士の距離(換言すれば、Z方向の本体1Aの内寸ともいえる)は、553mmであることが好ましく、本体1Aの底の厚みは25mmであることが好ましい。
また、前記ボトム高さは195mmであることが好ましく、これは板状部材8の高さの約60.6%である。
また、内側面3は、底面側内側面3a、傾斜面3b、および開口部側内側面3cを含むことが好ましく、各寸法は、以下の通りである。底面側内側面3aのX方向の寸法は、50mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約25.6%となる。傾斜面3bのX方向の寸法は、95mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約48.7%となる。開口部側内側面3cのX方向の寸法は、50mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約25.6%となる。
また、内側面7は、底面側内側面7a、傾斜面7b、および開口部側内側面7cを含むことが好ましく、各寸法は、以下の通りである。底面側内側面7aのX方向の寸法は、50mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約25.6%となる。傾斜面7bのX方向の寸法は、95mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約48.7%となる。開口部側内側面7cのX方向の寸法は50mmであることが好ましく、これは前記ボトム高さの約25.6%である。
また、対向する一組の底面側内側面7a同士の距離(換言すれば、Y方向の案内溝4の内寸ともいえる)は2mmであることが好ましい。
また、底面側内側面7aの幅(Z方向の寸法)は約11mmであることが好ましく、傾斜面7bの幅(Z方向の寸法)は約9mmであることが好ましく、また、開口部側内側面7cの幅(Z方向の寸法)は約7mmであることが好ましい。ただし、これらの幅は傾斜面3dの傾斜角度θcによって変化するものであって、一定でなくとも構わない。
また、外底面12の法線Lに対する、傾斜面3bの傾斜角度θaは1°であることが好ましい。
また、外底面12の法線Lに対する、傾斜面7b傾斜角度θbは1°であることが好ましい。
また、法線Lに対する、外側面6の傾斜角度は1°であることが好ましい。
また、本体1Aが開口部側外側面6aを有する場合には、開口部側外側面6aは50mmであることが好ましい。
底面側内側面7aのX方向の寸法は、開口部側内側面7cのX方向の寸法と等しいことが好ましい。この理由としては、本体1Aを型内発泡成形する際、パーティングライン(型内発泡成形に用いられる金型を構成する雄型と雌型が分割されるライン)に対して、同時に金型から抜けることにより、離型時の抵抗がより軽減されると推定される為である。金型からの離型時の抵抗が少ないと、成形体の変形を抑止しやすくなる。
また、内側面3における傾斜面3bの傾斜角度θa、及び内側面7における傾斜面7bの傾斜角度θbは、成形時の金型の抜き勾配に関連する角度である。金型からの離型などを考慮すると、傾斜角度θa及び傾斜角度θbは、0°より大きく10°以下であることが好ましく、0.5°〜5°であることがより好ましく、0.6°〜3°であることがさらに好ましく、0.6°〜1°であることが特に好ましい。
また、内側面3における傾斜面3dの傾斜角度θcは、成形時の金型の抜き勾配に関連する角度である。傾斜角度θcに特に制限はないが、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる観点からは、0.6°〜5.0°であることが好ましい。傾斜面3dは、複数の傾斜角度θcを有していてもよい。例えば図2の(b)に示すように、傾斜面3dが2つの傾斜角度θc(θc1およびθc2)を有する場合には、θc1=2.2°、θc2=1.1°とすることができる。なお、図2の(b)では、θc1はθc2よりも大きいが、これに限定されない。すなわち、傾斜面3dが複数の傾斜角度θcを有する場合、複数の傾斜角度θcの大小関係に特に制限はない。
また、図2の(b)に示す外側面6の法線Lに対する傾斜角度は、0°より大きく10°以下であることが好ましく、0.5°〜5°であることがより好ましく、0.6°〜3°であることがさらに好ましく、0.6°〜1°であることが特に好ましい。
(蓋体1B)
図4は、蓋体1Bの構成の一例を示すC−C線矢視断面図である。なお、図4に示す蓋体1Bにおいて、「C−C線矢視断面図」の切断基準となるC−C線は図1に示すC−C線と同様である。図4に示されるように、蓋体1Bの外側面11は、開口部側外側面11aと、少なくとも1つの傾斜面11b(第3の傾斜面)と、を有する。開口部側外側面11aは、図2の(b)に示す法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、法線Lに平行に形成されている。
蓋体1Bが本体1Aの開口部2を閉塞したとき、傾斜面11bは、外側面11同士の間隔が開口部2へ向かうに従い傾斜するように形成されている。この傾斜面11bは、成形時の金型の抜き勾配により形成された面である。
また、開口部側外側面11aは、図2の(b)に示す法線Lに対する傾斜角度が0°であるので、2つ以上の板状部材収容容器10を隣接させて配置する場合に、隣接する板状部材収容容器10の開口部側外側面11a同士を接触させて配置することにより板状部材収容容器10同士の位置決めが容易になる。その結果、安定して板状部材収容容器10を配置することが可能となる。
蓋体1Bの形状は、本体1Aおよび板状部材8の形状によって適宜選択され得るが、蓋体1Bは、本体1Aの開口部2に嵌合し、本体1Aを閉塞可能な形状を有していることが好ましい。蓋体1Bは、本体1Aを開口部2に対して180度回転させたような形状を有していてもよい。換言すれば、蓋体1Bには、本体1Aに設けられた内側面3、内底面5、及び外側面6と同様の構造の面が設けられていてもよい。
また、蓋体1Bの材質は、特に限定されないが、例えば、蓋体1Bは、本体1Aと同様に、熱可塑性樹脂の発泡粒子から型内発泡成形された発泡成形体であってもよい。蓋体1Bが、本体1Aに設けられた内側面3、内底面5、及び外側面6と同様の構造の面が設けられる場合には、これらは一体成形されてもよく、別々に成形された後、組み合わされてもよい。より好ましくは、蓋体1Bは、一体成形物である。蓋体1Bは、本体1Aと同じ材質であってもよく、異なっていてもよい。
蓋体1Bの製造に用いられる熱可塑性樹脂の発泡粒子の種類、および当該発泡粒子の製造方法としては、上述した(本体1A)の項において記載したような従来公知の発泡粒子および製造方法を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の発泡粒子を使用して、発泡成形体として蓋体1Bを製造する方法としては、上述した(本体1A)の項において記載したような従来公知の成形方法を挙げることができる。
また、内底面5は、外底面12の法線Lに対して、本体1Aの内側(Y方向の内側および/またはZ方向の内側)へ向かうようにテーパー状に形成されていてもよい。テーパー状に形成された部分(換言すれば傾斜面)が有する傾斜角度は一つであってもよく複数で合ってもよい。すなわち、内底面5の傾斜面は一律一定の角度で傾斜していてもよく、複数の傾斜角度をもって、段階的に傾斜していてもよい。前記構成を有することにより、様々な高さを有する板状部材8を一つの本体1Aに収容することが可能となる。
〔第2の実施形態〕
図5の(a)は、本発明の第2の実施形態に係る板状部材収容容器の本体1Cの概略構成を示すA−A線矢視断面図であり、図5の(b)は、本体1Dの概略構成を示すA−A線矢視断面図であり、図5の(c)は、本体1Eの概略構成を示すA−A線矢視断面図である。ただし、図5の(a)〜(c)に示す本体1C〜1Eでは、第2の内側面7は省略し、図示していない。なお、図5の(a)〜(c)に示す本体1C〜1Eにおいて、「A−A線矢視断面図」の切断基準となるA−A線は図2の(a)に示すA−A線と同様である。図5の(a)〜(c)に示す、本実施形態に係る本体1C〜1Eそれぞれは、案内溝4が設けられた内側面3の構成、内底面5の構成、または外側面6の構成が、上記第1の実施形態と異なる。
まず、図5の(a)に示された本体1Cでは、内側面3は、底面側内側面3a及び傾斜面3bを有している。上記第1の実施形態のように、開口部側内側面3cを有した構成ではない。このような構成であっても、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる。
また、図5の(b)に示された本体1Dでは、内側面3は、2つの傾斜面3bを有している。このような構成であっても、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる。なお、傾斜面3bの数は、少なくとも1つであればよく、2つに限定されない。
また、図3の(c)に示された本体1Eを構成する、対向する一組の外側面6は、開口部2に最も近い開口部側外側面6aの、法線Lに対する傾斜角度が0°である。すなわち、開口部側外側面6aは、法線Lに平行に形成されている。
対向する一組の外側面6に開口部側外側面6aが形成されていることによって、2つ以上の板状部材収容容器を隣接させて配置する場合に、隣接する板状部材収容容器の本体1Eの開口部側外側面6a同士を接触させて配置することにより板状部材収容容器の本体1E同士の位置決めが容易になる。その結果、安定して板状部材収容容器を配置することが可能となる利点を有する。
また、板状部材収容容器の本体1Eでは、内底面5と案内溝4が設けられている内側面3との接触部に、板状部材8の底部と接触しない、非接触溝9が設けられていてもよい。
前記構成を有することにより、収容される板状部材8の角が、内底面5と接触することを防ぐことが可能となる。したがい、運搬または移動時の衝撃による、板状部材8の破損を防ぐことが可能となる利点を有する。
〔第3の実施形態〕
図6の(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る板状部材収容容器の本体に備えられた案内溝4の概略構成を示す、B−B線矢視断面図の一部分を示す図である。なお、図6の(a)〜(c)に示す構成において、「B−B線矢視断面図」の切断基準となるB−B線は図2の(a)に示すB−B線と同様である。本実施形態に係る板状部材収容容器では、案内溝4を構成する内側面7の構成が、上記第1の実施形態と異なる。
図6の(a)に示された構成において、案内溝4を構成する内側面7は、底面側内側面7a及び傾斜面7bを有している。上記第1の実施形態のように、開口部側内側面7cを有した構成ではない。このような構成であっても、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる。
また、図6の(b)に示された構成では、案内溝4を構成する内側面7は、2つの傾斜面7bを有している。このような構成であっても、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる。なお、傾斜面7bの数は、少なくとも1つであればよく、2つに限定されない。
また、図6の(c)に示された構成では、案内溝4を構成する対向する2つの内側面7は共に、少なくとも底面側内側面7a及び傾斜面7bを有し、これら2つの内側面7のうち一方の内側面7はさらに開口部側内側面7cを有する。すなわち、これら2つの内側面は、互いに線対称な形状ではない。このような構成であっても、板状部材8を安定に保持することが可能となり、かつ、金型から容易に離型可能となる。
〔収容容器〕
本発明のさらに他の一実施形態に係る収容容器は、開口部が設けられた容器本体を備え、前記容器本体における対向する一組の第1の内側面は、当該第1の内側面同士の間隔が前記内底面から前記開口部へ向かうに従い広くなるように傾斜した第1の傾斜面を少なくとも1つ有し、前記一組の第1の内側面における最も前記内底面側に位置する第1の底面側内側面は、外底面の法線に対する傾斜角度が0°であることを特徴としている。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)対向する一組の底面側内側面によって、収容された収容物を挟み込むことにより、収容物の容器本体内の移動可能距離(換言すれば、ぐらつき)を小さくできる。これにより、容器本体内で収容物を安定に保持できるため、収容物を収容して収容容器を運搬した場合等に、収容物の破損を防ぐことが可能となる;(2)さらに、傾斜内側面を有することにより、容器本体を金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる。
(まとめ)
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10は、開口部2が設けられ、板状部材8を収容するための容器本体(本体1A)を備え、前記本体1Aにおける対向する少なくとも一組の第1の内側面3には、前記板状部材8を内底面5へ案内する案内溝4が複数設けられており、前記一組の第1の内側面3は、当該第1の内側面3同士の間隔が前記内底面5から前記開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜した第1の傾斜面3bを少なくとも1つ有し、前記一組の第1の内側面3のうち、少なくとも一方の第1の内側面3における最も前記内底面5側に位置する第1の底面側内側面3aは、外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°であることを特徴とする。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)対向する一組の第1の内側面3のうち、少なくとも一方の第1の内側面3が底面側内側面3aを有することによって、収容された板状部材8の本体1A内の移動可能距離(換言すれば、ぐらつき)を小さくできる。これにより、本体1A内で板状部材8を安定に保持できるため、板状部材8を複数枚収容して板状部材収容容器10を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる;(2)さらに、対向する一組の第1の内側面3が傾斜面3bを有することにより、本体1Aを金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第1の内側面3のうち、少なくとも一方の第1の内側面3における、最も前記開口部2側に位置する第1の開口部側内側面3cは、前記外底面12の法線Lに対して0°であることが好ましい。
板状部材収容容器10が前記構成を有する場合には、次のような利点を有する:(1)板状部材8を開口部2から内底面5に向かって、案内溝4に沿って挿入するときに、板状部材8の側面を開口部側内側面3cに当ててから挿入することにより、挿入開始時の位置決めを容易に行うことができる;(2)さらに、上記(1)の位置決めのとき、板状部材8の側面と開口部側内側面3cとは、面と面とで接触するため、板状部材8の角と内側面3とが接触する場合(例えば、開口部側が傾斜面3bである場合)と比較して、板状部材8の接触面にかかる衝撃は小さいものとなる。したがい、板状部材8の損傷を抑えることが可能である。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第1の内側面3のうち、少なくとも一方の第1の内側面3は、前記第1の底面側内側面3aおよび前記第1の開口部側内側面3cの両方を有することが好ましい。
板状部材8を開口部2から内底面5に向かって挿入する場合、板状部材8の側面を挿入開始時の位置決めのため開口部側内側面3cに当てた後、板状部材8を案内溝4に加えて、同一の内側面3上にある開口部側内側面3c、傾斜面3b、および底面側内側面3aに沿って挿入する。このとき板状部材8の面(側面)と開口部側内側面3cおよび底面側内側面3aとが接触し、板状部材8の角と傾斜面3bとが接触する。上述のように、板状部材8の角と傾斜面3bとの接触は、板状部材8の面(側面)と底面側内側面3aおよび開口部側内側面3cとの接触と比較して板状部材8の損傷の可能性が大きくなる。対向する一組の内側面3のうち少なくとも一方の内側面3が底面側内側面3aおよび開口部側内側面3cの両方を有する場合には、対向する一組の内側面3が底面側内側面3aまたは開口部側内側面3cの何れか一方のみをそれぞれ有する場合と比較して、内側面3が有する傾斜面3bのX方向の寸法は短くなる。従って、一組の内側面3のうち少なくとも一方の内側面3が底面側内側面3aおよび開口部側内側面3cの両方を有する場合には、板状部材8の角と傾斜面3bとの接触に起因する板状部材8の挿入時における板状部材8の損傷を、抑えることが可能となる利点を有する。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第1の内側面3は、前記第1の底面側内側面3aおよび前記第1の開口部側内側面3cの両方を有することが好ましい。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)対向する一組の底面側内側面3aによって、収容された板状部材8を側面側から挟み込むことにより、板状部材8の本体1A内の移動可能距離(換言すれば、ぐらつき)を小さくできる。これにより、本体1A内で板状部材8を安定に保持できるため、板状部材8を複数枚収容して板状部材収容容器10を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる;(2)対向する一組の第1の内側面3が傾斜面3bを有することにより、本体1Aを金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる;(3)対向する一組の内側面3は底面側内側面3aおよび開口部側内側面3cの両方を有するため、傾斜面3bのX方向の寸法は短くなる。従って、板状部材8の角と傾斜面3bとの接触に起因する板状部材8の挿入時における板状部材8の損傷を抑えることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10は、前記案内溝4を形成する一組の第2の内側面7は、互いに対向する第2の内側面7同士の間隔が前記内底面5から前記開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜した第2の傾斜面7bを少なくとも1つ有し、前記一組の第2の内側面7のうち、少なくとも一方の第2の内側面7における最も前記内底面5側に位置する第2の底面側内側面7aは、前記外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°であることが好ましい。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)開口部2側の案内溝4のY方向の間隔が広がり、板状部材8を挿入しやすくなる;(2)対向する一組の第2の内側面7のうち、少なくとも一方の第2の内側面7が底面側内側面7aを有することによって、板状部材8の本体1A内の移動可能距離を小さくできる。これにより、本体1A内で板状部材8を安定に保持できるため、板状部材8を複数枚収容して板状部材収容容器10を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる;(3)さらに、対向する一組の第2の内側面7が第2の傾斜面7bを有することにより、本体1Aを金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第2の内側面7のうち、少なくとも一方の第2の内側面7における、最も前記開口部2側に位置する第2の開口部側内側面7cは、前記外底面12の法線Lに対して0°であることが好ましい。
板状部材収容容器10が前記構成を有する場合には、次のような利点を有する:(1)板状部材8を開口部2から内底面5に向かって、案内溝4に沿って挿入するときに、板状部材8の表面側もしくは裏面側を開口部側内側面7cに当ててから挿入することにより、挿入開始時の位置決めを容易に行うことができる;(2)さらに、上記(1)の位置決めのとき、板状部材8の面側と開口部側内側面7cとは、面と面とで接触するため、板状部材8の角と接触面とが接触する場合(例えば、開口部側が傾斜面7bである場合)と比較して、板状部材8の接触面にかかる衝撃は小さいものとなる。したがい、板状部材8の損傷を抑えることが可能である。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第2の内側面7のうち、少なくとも一方の第2の内側面7は、前記第2の底面側内側面7aおよび前記第2の開口部側内側面7cの両方を有することが好ましい。
板状部材8を開口部2から内底面5に向かって挿入する場合、板状部材8の表面側もしくは裏面側を挿入開始時の位置決めのため開口部側内側面7cに当てた後、板状部材8を案内溝4に加えて、同一の内側面7上にある開口部側内側面7c、傾斜面7b、および底面側内側面7aに沿って挿入する。このとき板状部材8の面(表面側もしくは裏面側)と開口部側内側面7cおよび底面側内側面7aとが接触し、板状部材8の角と傾斜面7bとが接触する。上述のように、板状部材8の角と傾斜面7bとの接触は、板状部材8の面(表面側もしくは裏面側)と底面側内側面7aおよび開口部側内側面7cとの接触と比較して板状部材8の損傷の可能性が大きくなる。対向する一組の内側面7のうち少なくとも一方の内側面7が底面側内側面7aおよび開口部側内側面7cの両方を有する場合には、対向する一組の内側面7が底面側内側面7aまたは開口部側内側面7cの何れか一方のみをそれぞれ有する場合と比較して、内側面7が有する傾斜面7bのX方向の寸法は短くなる。従って、一組の内側面7のうち少なくとも一方の内側面7が底面側内側面7aおよび開口部側内側面7cの両方を有する場合には、板状部材8の角と傾斜面7bとの接触に起因する板状部材8の挿入時における板状部材8の損傷を、抑えることが可能となる利点を有する。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記一組の第2の内側面7は、前記第2の底面側内側面7aおよび前記第2の開口部側内側面7cの両方を有することが好ましい。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)対向する一組の底面側内側面7aによって、収容された板状部材8を表面側または裏面側から挟み込むことにより、板状部材8の本体1A内の移動可能距離を小さくできる。これにより、本体1A内で板状部材8を安定に保持できるため、板状部材8を収容して板状部材収容容器10を運搬した場合等に、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる;(2)対向する一組の第2の内側面7が第2の傾斜面7bを有することにより、本体1Aを金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる;(3)対向する一組の内側面7は底面側内側面7aおよび開口部側内側面7cの両方を有するため、傾斜面7bのX方向の寸法は短くなる。従って、板状部材8の角と傾斜面7bとの接触に起因する板状部材8の挿入時における板状部材8の損傷を抑えることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10は、前記内底面5に、前記板状部材8における前記内底面5と対向する端部を支持する支持溝4aが、前記案内溝4と対応するように設けられていることを特徴とすることが好ましい。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:支持溝4aによって、収容された板状部材8の底部を本体1Aの内底面で保持できるため、板状部材8を安定して保持することが可能となる。したがい、板状部材8同士の接触および破損を防ぐことが可能となる;(2)内側面3に設けられた案内溝4に加えて、さらに、支持溝4aで保持されることによって、板状部材8の大きさが大きい場合でも、対応する案内溝4に隣接した案内溝4に誤って入れるなど、板状部材8を斜めに挿入することを防ぐことが可能である。即ち、板状部材8を案内溝4に挿入するとき、板状部材8の幅方向が大きければ大きいほど、一方の案内溝4と、これと対向する他方の案内溝4とにおいて、本来挿入するべき案内溝4から一つ隣にずれた他方の案内溝4に誤って挿入(誤入)しやすくなる。しかし、支持溝4aを設けることによって、誤入した場合であっても板状部材8の底部が支持溝4aにうまく収容されないことから、誤入したことが容易に判別できる。従って、別の板状部材8を挿入する前に、および/または、本体1Aを移動させる前に、誤入した板状部材8を正しく挿入しなおすことが可能である。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記開口部2を閉塞する蓋体1Bをさらに備え、前記蓋体1Bにおける対向する一組の外側面11は、当該外側面11同士の間隔が前記開口部2へ向かうに従い広くなるように傾斜した第3の傾斜面11bを少なくとも1つ有していることを特徴とすることが好ましい。
蓋体を有することによって、次のような利点を有する:(1)板状部材を温度および湿度などの保管環境、ならびに塵、および埃などの付着から保護することが可能となる;(2)板状部材を上下方向から保持することが可能となるため、移動および運搬などを行う場合、振動などの衝撃から板状部材を保護することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る板状部材収容容器10では、前記容器本体および/または前記蓋体1Bを構成する少なくとも一組の対向する外側面6・11における、最も前記開口部2側に位置する開口部側外側面6a・11aは、前記外底面12の法線Lに対する傾斜角度が0°であることが好ましい。
上記開口部側外側面11aを有することによって、2つ以上の板状部材収容容器10を隣接させて配置する場合に、隣接する板状部材収容容器10の開口部側外側面6a・11a同士を接触させて配置することにより、安定して板状部材収容容器10を配置することが可能となる利点を有する。
本発明の他の一実施形態に係る収容容器は、開口部が設けられた容器本体を備え、前記容器本体における対向する少なくとも一組の第1の内側面は、当該第1の内側面同士の間隔が前記内底面から前記開口部へ向かうに従い広くなるように傾斜した第1の傾斜面を少なくとも1つ有し、前記一組の第1の内側面のうち、少なくとも一方の第1の内側面における最も前記内底面側に位置する第1の底面側内側面は、外底面の法線に対する傾斜角度が0°であることを特徴とする。
前記構成を有することにより、以下の利点を有する:(1)対向する一組の第1の内側面のうち、少なくとも一方の第1の内側面が底面側内側面を有することによって、収容物の本体内の移動可能距離を小さくできる。これにより、本体内で収容物を安定に保持できるため、収容物を収容して収容容器を運搬した場合等に、収容物の破損を防ぐことが可能となる;(2)さらに、第1の傾斜面を有することにより、本体を金型などで成形する場合に、金型からの離型が容易となり、成形性が良好となる。