JP6930825B2 - 内面螺旋溝付管の製造方法および製造装置と内面螺旋溝付管 - Google Patents

内面螺旋溝付管の製造方法および製造装置と内面螺旋溝付管 Download PDF

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本発明は、熱交換器の伝熱管などに用いられる内面螺旋溝付管の製造方法および製造装置と内面螺旋溝付管に関する。
エアコンや給湯器用などのフィンチューブタイプの熱交換器には、冷媒を通すための伝熱管がアルミニウムフィン材に接するように設けられている。この伝熱管において、冷媒との熱交換効率を高めるために内面に螺旋溝を連続的に設けた内面螺旋溝付管が主流となっている。
従来、この種の伝熱管には主に銅合金が使用されてきた。しかしながら、軽量化、低コスト化およびリサイクル性改善への要求からアルミニウム合金からなる伝熱管の開発要求が高まっている。
また、アルミニウムの伝熱係数は銅に比べて低いうえに、アルミニウム合金からなる伝熱管は耐圧強度の面から底肉厚を銅伝熱管の倍以上に設定する必要があり、その伝熱特性は銅伝熱管に比べて若干劣る傾向にある。このため、アルミニウム合金製の伝熱管では内面溝の形状を工夫することで伝熱特性の改善を行い、特性向上を図りたいところであるが、ハイスリムフィンタイプのような従来の溝形状による特性向上では、伝熱管の拡管性のことも考えると限界がある。
エアコンや給湯器に用いられる熱交換器用伝熱管の内面溝形状は、冷媒側の熱移動を向上させるために、平滑管から管内面に微細溝を有した螺旋溝付管へと移行し、その後も三角溝から台形溝、さらにハイスリムフィンタイプが開発され、熱伝達率は開発当初の3倍にまで向上している。その一方で伝熱管の圧力損失の上昇は50%程度に止められている。
銅合金からなる内面螺旋溝付管(伝熱管)の製造方法として、管の内面に捻り溝を転造する溝転造法が広く一般に知られている。しかしながら、アルミニウム合金からなる伝熱管では、耐圧性を高めるため底肉厚を厚く設計する必要があり、外径6mm以下程度の細径のアルミニウム合金製伝熱管を溝転造法で製造することは困難であった。また、溝転造法では溝プラグと管内面の摩擦によりアルミ滓が発生し、その除去に苦慮するといった問題もあった。このため、アルミニウム合金からなる内面螺旋溝付管を製造するには、溝転造法に代わる新たな製造方法が求められていた。
以上の背景において、特許文献1には、巻き取りドラムと巻き戻しドラムのうち何れか一方をクレードルで支持し、ドラム間で搬送される管材に一方のドラムの周りを回転するフライヤによって捻りを付与するアルミニウム合金製の内面螺旋溝付管の製造装置が開示されている。
特開昭62−240108号公報
特許文献1に記載の内面螺旋溝付管の製造装置では、フライヤの回転に伴い管材に捻り応力のみを付与するために、管材に座屈が生じやすい問題がある。このため、特許文献1に記載の内面螺旋溝付管の製造装置では、10°以下の小さな捻りしか付与できないという問題があった。また、アルミニウム合金製の細管の加工を行うと座屈を生じ易い問題があった。
本願発明は、前述の背景に鑑みなされたもので、アルミニウム合金からなる熱伝導性に優れる内面螺旋溝付管を従来の溝転造法とは全く異なる手法で製造できる方法と装置および内面螺旋溝付管の提供を目的とする。
本発明は、第1の方向を引抜き方向とする第1の引抜きダイスと、前記第1の方向と反対の第2の方向を引抜き方向とする第2の引抜きダイスと、前記第1の引抜きダイスと前記第2の引抜きダイスの間において管材の移動経路を前記第1の方向から前記第2の方向に反転させるとともに前記第1の引抜きダイスおよび前記第2の引抜きダイスのうち何れか一方の周りを回転する公転フライヤと、を用いて、内面に長さ方向に沿う複数の溝が形成された溝付管を前記第1の引抜きダイスに通過させ更に前記公転フライヤに巻き掛け公転回転させることで縮径加工と捻り加工を付与し中間捻り管を形成する第1の捻り引抜き工程と、前記公転フライヤとともに回転する前記中間捻り管を前記第2の引抜きダイスに通過させて縮径加工と捻り加工を付与し内面螺旋溝付管を形成する第2の捻り引抜き工程とを有し、前記第1の捻り引抜き工程と前記第2の捻り引抜き工程の少なくとも一方において引抜き加工中の引抜きダイスを前記管材の移動方向に沿って往復前後移動することを特徴とする内面螺旋溝付管の製造方法に関する。
本発明において、前記管材の移動方向に沿って前記引抜きダイスを往復前後移動することにより、前記管材に形成する内面螺旋溝の捻り角を前記管材の長手方向に連続的かつ周期的に変化させることができる。
本発明において、前記管材がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、前記引抜きダイスによる縮径率を2%〜40%とすることができる。
本発明において、前記引き抜きダイスを備えたダイスブロックを作動軸により前記管材の移動経路に沿って往復前後移動自在に支持し、前記作動軸の他端に設けられたカムフォロアを案内して前記作動軸をその軸方向に往復移動する移動機構により前記引き抜きダイスを往復前後移動することが好ましい。
本発明の製造装置は、一方が巻き出しボビンであり他方が巻き取りボビンであり一方から他方に管材を搬送する第1のボビンおよび第2のボビンと、前記第1のボビンの軸を支持する浮き枠と、前記浮き枠を軸受を介して支持し前記浮き枠内のボビンの軸と直交する方向に回転する回転シャフトと、前記第1のボビンと前記第2のボビンの間で前記管材の管路を反転させとともに前記回転シャフトに支持されて前記浮き枠の周りを回転する公転フライヤと、前記管材の移動経路において前記公転フライヤの前段および後段にそれぞれ配置され、互いに引抜き方向が反対である第1の引抜きダイスおよび第2の引抜きダイスと、前記第1の引抜きダイスと前記第2の引抜きダイスの少なくとも一方を前記管材の移動経路に沿って往復前後移動させる移動機構を備え、前記巻き出しボビンから巻き出される前記管材が内面に長さ方向に沿う溝が形成された溝付管であり、前記引き抜きダイスにより前記管材を螺旋溝付管に加工する機能を有することを特徴とする。
本発明において、前記引抜きダイスにおいて前記管材に縮径加工と捻り加工を付与して内面螺旋溝付管に加工するとともに、前記引き抜きダイスの往復前後移動により前記螺旋溝の捻り角を前記管材の長さ方向に連続的に変化させる機能を有することが好ましい。
本発明において、前記引き抜きダイスを備えたダイスブロックを作動軸により前記管材の移動経路に沿って往復前後移動自在に支持し、前記作動軸の他端に設けられたカムフォロアを案内して前記作動軸をその軸方向に往復移動する移動機構により前記引き抜きダイスを往復前後移動することが好ましい。
本発明において、前記管材がアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製であり、前記引抜きダイスによる縮径率が2%〜40%に設定されたことが好ましい。
本発明において、前記公転フライヤの前段および後段に前記回転シャフトに支持されて前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを備えたことが好ましい。
本発明において、前記第1の引抜きダイスの前段に前記浮き枠に支持され前記管材が巻き掛けられる第1のガイドキャプスタンを備え、前記第2の引抜きダイスの後段に前記管材が巻き掛けられる第2のガイドキャプスタンを備えたことが好ましい。
本発明において、前記第1の引抜きダイスおよび前記第2の引抜きダイスの後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを備え、前記キャプスタンが前記管材に前方張力を付与することが好ましい。
本発明の製造方法によれば、内面に長さ方向に沿う複数の溝を形成した溝付管に対し捻りを付与すると同時に引抜きダイスにより縮径を行う複合加工により内面螺旋溝付管を製造することができる。
管材には、捻りによるせん断応力と引抜による引張応力を同時に付与することができ、降伏条件一定のもと、これら複合応力下においては、単純に捻り加工のみを行う場合と比較して小さいせん断応力で捻りが可能になるため、管材の座屈応力に達する前に、管材に大きな捻りを付与できる。このため、従来より大きな捻り角の内面螺旋溝を備えたアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の内面螺旋溝付管を製造できる。
また、管材の引抜きと縮径を行っている際に引抜きダイスを管材の移動経路に沿って前後方向に往復移動させることで管材の内面に形成する螺旋溝の捻り角を管材の長さ方向に変化させることができ、管材の長さ方向に沿って所定の波長で周期的に螺旋溝の捻り角を変化させた内面螺旋溝付管を得ることができる。この内面螺旋溝付管であるならば、内部を流れる冷媒との熱交換効率を向上できる。このため、本発明に係る内面螺旋溝付管を用いることで熱交換効率の高い熱交換器を提供できる。
本発明の製造方法においては、引抜き方向が互いに異なる第1の引抜きダイスと第2の引抜きダイスとの間で管材を公転キャプスタンにより公転回転させる。これにより、第1の引抜きダイスにおける第1の捻り引抜き工程と、第2の引抜きダイスにおける第2の捻り引抜き工程との、捻り方向を一致させて、連続して2回の捻りを付与し、内面螺旋溝に大きな捻り角を付与することができる。また、管材の管路の始端および終端を公転回転させる必要がないため、管材の移動経路の始端において管材を供給する巻き出しボビンと、管材の移動経路の終端において管材を回収する巻き取りボビンと、を設けた場合において、ボビンを公転回転する必要がない。したがって、回転速度を高めることが容易であり、ラインの高速化が可能となる。また、ボビンを公転回転させないので大型のボビンを用いることができ、生産性向上に寄与する。
すなわち、本発明の製造方法によれば、大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を大量生産できる。また、本発明の製造装置によれば、大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を大量生産できる。
本発明に係る内面螺旋溝付管は、管体の長さ方向に周期的に連続的に捻り角を変更した内面螺旋溝を有するので、内部に冷媒を流した場合に冷媒との熱交換効率の良好な内面螺旋溝付管を提供できる。このため、本発明に係る内面螺旋溝付管を用いることで熱交換効率の高い熱交換器を提供できる。
本発明に係る内面螺旋溝付管を製造する装置の第1実施形態を示す側面略図である。 同内面螺旋溝付管を製造する装置の第1実施形態を示す平面略図である。 図1における矢印II方向から見た浮き枠の平面図である。 同第1実施形態の製造装置においてダイスの移動機構を示す構成図。 図4に示す移動機構の平面図。 内面に直線溝が形成された直線溝付管を示し、図6(a)が正面図であり、図6(b)が縦断面図である。 第1実施形態の製造装置において予備試験の結果を示すグラフ。 周期的に捻り角を変更した螺旋溝を内面に形成した内面螺旋溝付管を示す縦断面図である。 実施例において得られた螺旋溝付管の一部を切り開いた展開状態を示す写真。 同螺旋溝付管の一部を切り開き螺旋溝に沿ってマーキングした状態を示す写真。 内面螺旋溝付管を備えた熱交換器の一例を示し、図11(a)は側面図であり、図11(b)は斜視図である。
以下、本発明に係る第1実施形態の内面螺旋溝付管の製造装置とそれを用いた内面螺旋溝付管の製造方法の一例ならびに内面螺旋溝付管の一例について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
本明細書において、捻りを付与する前の管材を「溝付管(直線溝付管)」と呼称し、捻りを付与した後の管材を「内面螺旋溝付管」と呼称する。また、直線溝付管から内面螺旋溝付管に至る過程において、内面螺旋溝付管と比較して半分程度の捻りが付与された中間形成品を中間捻り管と呼称する。更に、本明細書の「管材」とは、直線溝付管、中間捻り管および内面螺旋溝付管の上位概念であり、製造工程の段階を問わず、加工対象となる管を意味する。
本明細書において、「前段」および「後段」とは、管材の加工順序に沿った前後関係(すなわち、上流側および下流側)を意味し、装置内の各部位の配置を意味するものではない。管材は内面螺旋溝付管の製造装置において、前段(上流)側から後段(下流)側に搬送される。前段に配置される部位は、必ずしも前方に配置されるとは限らず、後段に配置される部位は、必ずしも後方に配置されるとは限らない。
<<製造装置>>
図1は第1実施形態に係る内面螺旋溝付管の製造装置Aを示す側面図である。
第1実施形態の内面螺旋溝付管の製造装置Aは、図6(a)、(b)に示す溝付管(直線溝付管)5Bに2回の縮径加工と捻り加工を付与し、図8に示す内面螺旋溝付管5Rを製造する装置である。図6に示すように直線溝付管5Bには、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝5aが形成されている。また、直線溝付管5Bに捻りを付与した図8に示す内面螺旋溝付管5Rには、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる管体5Aの内周面に直線溝5aに由来する螺旋溝5dが形成されている。この螺旋溝5dは、管の長さ方向に沿ってその捻り角が連続的かつ周期的に変化されている。一例として図9、図10に示すように内面螺旋溝付管5Rの周壁を切り開いて周壁を平面状に展開した場合、螺旋溝5dの捻り角(リード角)が内面螺旋溝付管5Rの長さ方向に沿って周期的に交互に連続的に増減する形態の螺旋溝が形成されている。この螺旋溝の詳細形状および製造過程については後に詳述する。
直線溝付管5B、内面螺旋溝付管5Rは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。また、直線溝付管5Bは、押出成形により製造された押出管であり、後述する巻き出しボビン11にコイル状に巻き付けられる。
製造装置Aは、公転機構30と、浮き枠34と、巻き出しボビン(第1のボビン)11と、第1のガイドキャプスタン18と、第1の引抜きダイス1と、第1の公転キャプスタン21と、公転フライヤ23と、第2の公転キャプスタン22と、第2の引抜きダイス2と、第2のガイドキャプスタン61と、巻き取りボビン(第2のボビン)71と、引抜きダイスの移動機構90を備える。
以下、各部の詳細について詳細に説明する。
<公転機構>
公転機構30は、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bを含む回転シャフト35と、駆動部39と、前方スタンド37Aと、後方スタンド37Bを有している。
公転機構30は、回転シャフト35並びに、回転シャフト35に固定された第1の公転キャプスタン21、第2の公転キャプスタン22および公転フライヤ23を公転させる。
また、公転機構30は、回転シャフト35と同軸上に位置し回転シャフト35に支持された浮き枠34の静止状態を維持する。これにより、浮き枠34に支持された巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1の静止状態を維持する。
前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、ともに内部を中空とした円筒型に形成されている。前方シャフト35Aと後方シャフト35Bは、ともに公転回転中心軸C(第1引抜ダイスのパスライン)を中心軸とする同軸上に配置されている。前方シャフト35Aは、前方スタンド37Aに軸受36を介し回転自在に支持され、前方スタンド37Aから後方(後方スタンド37B側)に向かって延在されている。同様に、後方シャフト35Bは、後方スタンド37Bに軸受を介し回転自在に支持され、後方スタンド37Bから前方(前方スタンド37A側)に向かって延在されている。前方シャフト35Aと後方シャフト35Bとの間には、直方体状の浮き枠34が架け渡されている。
駆動部39は、駆動モータ39cと直動シャフト39fとベルト39a、39d、プーリ39b、39eとを有している。駆動部39は、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bを回転させる。
駆動モータ39cは、直動シャフト39fを回転させる。直動シャフト39fは、前方スタンド37Aおよび後方スタンド37Bの下部において前後方向に延在されている。
前方シャフト35Aの前方の端部35Abは、前方スタンド37Aを貫通した先端にプーリ39bが取り付けられている。プーリ39bは、ベルト39aを介し直動シャフト39fと連動する。同様に、後方シャフト35Bの後方の端部35Bbは、後方スタンド37Bを貫通した先端にプーリ39eが取り付けられ、ベルト39dを介し直動シャフト39fと連動する。これにより、前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bは、公転回転中心軸Cを中心に同期回転する。
回転シャフト35(前方シャフト35Aおよび後方シャフト35B)には、第1の公転キャプスタン21、第2の公転キャプスタン22および公転フライヤ23が固定されている。回転シャフト35が回転することで、回転シャフト35に固定されたこれらの部材は、公転回転中心軸Cを中心に公転回転する。
<浮き枠>
浮き枠34は、回転シャフト35の前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの互いに向かい合う端部35Aa、35Baに軸受34aを介し支持されている。また、浮き枠34は、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1を支持する。
図3は、図1における矢印II方向から見た浮き枠34の平面図である。図1、図3に示すように、浮き枠34は、上下に開口する箱形状を有する。浮き枠34は、前後に対向する前方壁34bおよび後方壁34cと、左右に対向するとともに前後方向に延びる一対の支持壁34dを有する。
前方壁34bおよび後方壁34cには貫通孔が設けられ、それぞれ前方シャフト35Aおよび後方シャフト35Bの端部35Aa、35Baが挿入されている。端部35Aa、35Baと前方壁34bおよび後方壁34cの貫通孔との間には、軸受34aが介在する。これにより、浮き枠34には、回転シャフト35(前方シャフト35Aおよび後方シャフト35B)の回転が伝達され難い。浮き枠34は、回転シャフト35が回転状態にあっても設置面Gに対する静止状態を保つ。なお、公転回転中心軸Cに対し浮き枠34の重心を偏らせる錘を設けて浮き枠34の静止状態を安定させてもよい。
図3に示すように、一対の支持壁34dは、巻き出しボビン11、第1のガイドキャプスタン18および第1の引抜きダイス1を左右方向(図2紙面中の上下方向)両側に配置されている。一対の支持壁34dは、巻き出しボビン11を保持するボビン支持シャフト12および第1のガイドキャプスタン18の回転軸J18を回転可能に支持する。また、支持壁34dは、図示略のダイス支持体を介し第1の引抜きダイス1を支持する。
<巻き出しボビン>
巻き出しボビン11には、直線溝5aが形成された直線溝付管5B(図4参照)が巻き付けられている。巻き出しボビン11は、直線溝付管5Bを巻き出して後段に供給する。
巻き出しボビン11は、ボビン支持シャフト12に着脱可能に取り付けられている。
図3に示すように、ボビン支持シャフト12は、回転シャフト35と直交する方向に延在されている。また、ボビン支持シャフト12は、浮き枠34に自転回転可能に支持されている。なお、ここで自転回転とは、ボビン支持シャフト12自身の中心軸を中心として回転することを意味する。ボビン支持シャフト12は、巻き出しボビン11を回転自在に保持し、巻き出しボビン11の供給方向に自転回転することで、巻き出しボビン11からの管材5の繰り出しを補助する。
巻き出しボビン11は、巻き付けられた直線溝付管5Bを全て供給した際に取り外され、他の巻き出しボビンに交換される。取り外された空の巻き出しボビン11は、直線溝付管5Bを形成する押出装置に取り付けられ、再び直線溝付管5Bが巻き付けられる。巻き出しボビン11は、浮き枠34に支持され公転回転しない。したがって、巻き出しボビン11に直線溝付管5Bが乱巻されていても支障なく供給を行うことができ、巻き直しを行うことなく使用できる。また、巻き出しボビン11の重量により製造装置Aにおいて管材5に捻りを付与するための公転回転の回転数は制限されない。したがって、巻き出しボビン11に長尺の管材5を巻き付けることができる。これにより、長尺の管材5に対して、捻りを付与することができ、製造効率を高めることができる。
ボビン支持シャフト12には、ブレーキ部15が設けられている。ブレーキ部15は、浮き枠34に対するボビン支持シャフト12の自転回転に制動力を与える。すなわち、ブレーキ部15は、巻き出しボビン11の巻き出し方向の回転を規制する。ブレーキ部15による制動力により、巻き出し方向に搬送される管材5には、後方張力を付加できる。ブレーキ部15として、例えば、制動力としてのトルク調節が可能なパウダーブレーキ又はバンドブレーキを採用できる。
<第1のガイドキャプスタン>
第1のガイドキャプスタン18は、円盤状に形状されている。第1のガイドキャプスタン18には、巻き出しボビン11から繰り出された管材5が1周程度巻き掛けられる。第1のガイドキャプスタン18の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致される。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を第1の方向D1に沿って公転回転中心軸C上に誘導する。
第1のガイドキャプスタン18は、自転回転自在に浮き枠34に支持されている。また第1のガイドキャプスタン18の外周には、自転回転自在のガイドローラ18bが複数並んで配置されている。本実施形態の第1のガイドキャプスタン18は、自身が自転回転するとともにガイドローラ18bが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。なお、図3において、ガイドローラ18bの図示は省略されている。
図3に示すように、第1のガイドキャプスタン18と巻き出しボビン11との間には、管路誘導部18aが設けられている。管路誘導部18aは、例えば管材5を囲むように配置された複数のガイドローラである。管路誘導部18aは、巻き出しボビン11から供給される管材5を第1のガイドキャプスタン18に誘導する。
なお、第1のガイドキャプスタン18に代えて、巻き出しボビン11と第1の引抜きダイス1との間にトラバース機能を有する誘導管を設けてもよい。誘導管を設ける場合には、巻き出しボビン11と第1の引抜きダイス1との距離を短くすることができ、工場内のスペースを有効活用できる。
図1に示すように、第1の引抜きダイス1と第1の公転キャプスタン21との間の領域が管材5の加工域とされる。なお、第1の引抜きダイス1の前段には、第1のガイドキャプスタン18が設けられており管材5の回転が規制されている。これにより、管材5は、第1の引抜きダイス1の前段で捻りが付与されず、第1の公転キャプスタン21との間(加工域)のみで捻りが付与される。
第1の引抜きダイス1は、浮き枠34の内側に固定されている。第1の引抜きダイス1は、第1の方向D1を引抜き方向とする。第1の引抜きダイス1の中心は、回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致されている。また、第1の方向D1は、公転回転中心軸Cと平行である。
第1の引抜きダイス1には、浮き枠34に固定された潤滑油供給装置9Aにより潤滑油が供給される。これにより第1の引抜きダイス1における引抜力を軽減できる。
第1の引抜きダイス1を通過した管材5は、浮き枠34の前方壁34bに設けられた貫通孔を介して、前方シャフト35Aの内部側に導入される。
<第1の公転キャプスタン>
第1の公転キャプスタン21は、円盤状に形成されている。第1の公転キャプスタン21は、中空の前方シャフト35Aの周壁を部分的に貫通する横孔35Acに望むように配置されている。第1の公転キャプスタン21は、円盤の中心を回転軸J21として、前方シャフト35Aの外周部に固定された支持体21aによって回転自在に支持されている。
第1の公転キャプスタン21は、外周の接線の1つが公転回転中心軸Cと略一致されている。第1の公転キャプスタン21には、公転回転中心軸C上の第1の方向D1に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。第1の公転キャプスタン21は、管材5を巻き掛けて管材5を前方シャフト35Aの内部側から外部側に引き出して公転フライヤ23に誘導する。
第1の公転キャプスタン21は、公転回転中心軸Cの周りを前方シャフト35Aとともに公転回転する。公転回転中心軸Cは、第1の公転キャプスタン21の自転回転の回転軸J21と直交する方向に延在されている。管材5は、第1の公転キャプスタン21と第1の引抜きダイス1との間で捻りが付与される。これにより、管材5は、直線溝付管5Bから一定の傾斜を付与した内面螺旋溝を有する中間捻り管5Cに加工される。
第1の公転キャプスタン21とともに、前方シャフト35Aの外周側には駆動モータ20が設けられている。駆動モータ20は、第1の公転キャプスタン21を管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に回転駆動する。これにより、第1の公転キャプスタン21は、管材5に第1の引抜きダイス1を通過するための前方張力を付与する。
第1の公転キャプスタン21および駆動モータ20は、前方シャフト35Aの公転回転中心軸Cに重心が位置するように公転回転中心軸Cに対して互いに対称の位置に配置されていることが好ましい。これにより、前方シャフト35Aの回転のバランスを安定させることができる。なお、第1の公転キャプスタン21と駆動モータ20の重量差が大きい場合は、錘を設けて重心を安定させてもよい。
<公転フライヤ>
公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2の間で、管材5の管路を反転させる。公転フライヤ23は、第1の引抜きダイス1の引抜き方向である第1の方向D1に搬送される管材5を反転させ、搬送方向を第2の引抜きダイス2の引抜き方向である第2の方向D2に向ける。より具体的には、公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22に管材5を誘導する。
公転フライヤ23は、複数のガイドローラ23aとガイドローラ23aを支持するガイドローラ支持体(図示略)とを有する。ここでは、説明の煩雑さを解消するためガイドローラ支持体の図示を省略するが、ガイドローラ支持体は、回転シャフト35に支持されている。
ガイドローラ23aは、公転回転中心軸Cに対し外側に湾曲する弓形状に形成されている。ガイドローラ23a自身が転動して管材5をスムーズに搬送する。公転フライヤ23は、公転回転中心軸Cを中心として、浮き枠34並びに浮き枠34内に支持された第1の引抜きダイス1および巻き出しボビン11の周りを回転する。
公転フライヤ23の一端は、公転回転中心軸Cに対し第1の公転キャプスタン21の外側に位置されている。また、公転フライヤ23の他端は、中空の後方シャフト35Bの周壁を貫通する横孔35Bcを通過して後方シャフト35Bの内側に延在されている。公転フライヤ23は、第1の公転キャプスタン21に巻き掛けられて外側に繰り出された管材5を後方シャフト35Bの内側に誘導する。また、公転フライヤ23は、管材5を後方シャフト35Bの内部側において、第2の方向D2に沿って公転回転中心軸C上に繰り出すように案内する。
本実施形態の公転フライヤ23は、複数のガイドローラ23aにより管材5を搬送する構成であるとして説明した。しかしながら公転フライヤ23を、弓状に形成した帯板から形成して、管材5を帯板の一面を滑動させて搬送する構成としてもよい。
また、図1の実施形態においては、管材5がガイドローラ23aの外側を通過する場合を例示した。しかし、公転フライヤ23の回転速度が速い場合には、管材5が遠心力により公転フライヤ23から脱線するおそれがある。このような場合は、管材5の外側に更にガイドローラ23aを設け、管材5の脱線を防止することが好ましい。
公転フライヤ23と同等の重量を有し前方シャフト35Aから後方シャフト35Bに延びて公転フライヤ23と同期回転するダミーフライヤを複数設けてもよい。これにより、回転シャフト35の回転を安定させることができる。
<第2の公転キャプスタン>
第2の公転キャプスタン22は、第1の公転キャプスタン21と同様に、円盤状に形状されている。第2の公転キャプスタン22は、後方シャフト35Bの端部35Bbの先端に設けられた支持体22aに自転回転が自在な状態で支持されている。また、第2の公転キャプスタン22の外周には、自転回転自在のガイドローラ22cが並んで配置されている。本実施形態の第2の公転キャプスタン22は、自身が自転回転するとともにガイドローラ22cが転動するが、何れか一方が回転すれば、管材5をスムーズに搬送できる。
第2の公転キャプスタン22は、外周の接線の1つが公転回転中心軸Cと略一致する。
第2の公転キャプスタン22には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される管材5が一周以上、巻き掛けられる。第2の公転キャプスタン22は、巻き掛けられた管材を公転回転中心軸C上の第2の方向D2に繰り出す。
第2の公転キャプスタン22は、公転回転中心軸Cの周りを後方シャフト35Bとともに公転回転する。公転回転中心軸Cは、第2の公転キャプスタン22の自転回転の回転軸J22と直交する方向に延在されている。第2の公転キャプスタン22から繰り出された管材5は、第2の引抜きダイス2において縮径される。第2の引抜きダイス2は、設置面Gに対し静止しているため、第2の公転キャプスタン22と第2の引抜きダイス2との間で、管材5に捻りを付与できる。これにより、管材5は、中間捻り管5Cから内面螺旋溝付管5Rとなる。
第2の公転キャプスタン22を支持する支持体22aは、公転回転中心軸Cに対し第2の公転キャプスタン22と対称の位置に錘22bを支持する。錘22bは、後方シャフト35Bの回転のバランスを安定させる。
<第2の引抜きダイス>
第2の引抜きダイス2は、第2の公転キャプスタン22の後段に配置されている。第2の引抜きダイス2は、先の第1の方向D1と反対の第2の方向D2を引抜き方向とする。第2の方向D2は、公転回転中心軸Cと平行な方向である。管材5は、第2の方向D2に沿って第2の引抜きダイス2を通過する。第2の引抜きダイス2は、設置面Gに対し静止されている。第2の引抜きダイス2の中心は、回転シャフト35の公転回転中心軸Cと一致されている。
第2の引抜きダイス2は、以下に説明する移動機構Kを介し架台62に支持されている。
架台62の上部に金属製の支持片64が設けられ、この支持片64の側部に支持ブロック90が設けられ、この支持ブロック90の中心部を貫通するように軸受け部90Aが設けられ、この軸受け部90Aに支持されて水平方向に延在するロッド状の作動軸91が設けられている。この作動軸91の一端側(公転キャプスタン22側)に金属製のダイスブロック92が取り付けられ、このダイスブロック92の一部に第2の引抜きダイス2が装着されている。作動軸91は軸受け部90Aに支持されて自身の軸方向かつ水平方向に移動自在に支持されている。作動軸91の他端側にはカムフォロア(カムローラ)93が取り付けられ、このカムフォロア93の近傍に円板型のカムホイール94が自身の周方向に回転自在に設けられている。
カムホイール94は水平に支持され、架台62の上部に設けられたフレーム基板95Aに取り付けられた駆動モータ95により回転自在に支持されている。
カムホイール94の片面中央側に駆動主軸94Aが突設され、カムホイール94の片面側であって、駆動主軸94Aの周囲に沿うように円周溝型のカム溝94Bが形成され、カム溝94Bの内周側かつ駆動主軸94Aの外周側に駒形の内カム97が取り付けられている。なお、内カム97の外周輪郭はカム溝94Bに対し偏心する外郭形状とされている。
前記カムフォロア93はカム溝94Bに挿入されているが内カム97とも接しているので、カムホイール94が回転することでカムフォロア93に内カム97から偏心力が作用し、作動軸91はその長さ方向に沿って前後に所定距離往復スライド移動される。
本実施形態では作動軸91と軸受け部90Aを備えた支持ブロック90とダイスブロック92とカムフォロア93とカムホイール94と駆動モータ95と内カム97により移動機構Kが構成されている。
なお、この例では内カム97の外周輪郭を偏心形状としたが、偏心のない円板カムでも良く、中心から円周までの距離の異なる円板カムでも差し支えない。
また、第2の引抜きダイス2には、架台62の上部に取り付けられた潤滑油供給装置9Bにより潤滑油が供給される。これにより第2の引抜きダイス2における引抜力を軽減できる。
<第2のガイドキャプスタン>
第2のガイドキャプスタン61は、円盤状に形成されている。第2のガイドキャプスタン61の外周の接線方向は、公転回転中心軸Cと一致されている。第2のガイドキャプスタン61には、公転回転中心軸C上の第2の方向D2に搬送される中間捻り管5Cが一周以上、巻き掛けられる。
第2のガイドキャプスタン61は、回転軸J61を中心に回転可能に架台62に支持されている。また、第2のガイドキャプスタン61の回転軸J61は、駆動モータ63の出力軸と駆動ベルト等を介し接続されている。第2のガイドキャプスタン61は、駆動モータ63により、管材5の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動回転される。なお、駆動モータ63は、トルク制御可能なトルクモータを用いることが好ましい。
第2のガイドキャプスタン61を駆動することによって中間捻り管5Cには、前方張力が付与される。これにより中間捻り管5Cは、第2の引抜きダイス2における加工に必要な引抜き応力が付与され前方に搬送される。
<巻き取りボビン>
巻き取りボビン71は、管材5の移動経路の終端に設けられ、管材5(内面螺旋溝付管5R)を回収する。巻き取りボビン71の前段には、誘導部72が設けられている。誘導部72は、トラバース機能を有し管材5(内面螺旋溝付管5R)を巻き取りボビン71に整列巻きさせる。
巻き取りボビン71は、ボビン支持シャフト73に着脱可能に取り付けられている。ボビン支持シャフト73は、架台75に支持され、駆動モータ74の出力軸に駆動ベルト等を介し接続されている。巻き取りボビン71は、駆動モータ74により回転駆動され、管材5(内面螺旋溝付管5R)を弛ませることなく巻き取ることができる。巻き取りボビン71は、管材5が十分に巻き付けられた場合に取り外され、他の巻き取りボビン71に付け替えることができる。
<<内面螺旋溝付管の製造方法>>
上述した内面螺旋溝付管の製造装置Aを用いて、内面螺旋溝付管5Rを製造する方法の詳細について説明する。
まず、予備工程について説明する。
押出成形により、図6に示すように、内面に長さ方向に沿う複数の直線溝5aが周方向に間隔をおいて形成された直線溝付管5Bを作製する(直線溝付管押出工程)。
次に、直線溝付管5Bを巻き出しボビン11にコイル状に巻き付ける。更に、巻き出しボビン11を製造装置Aの浮き枠34にセットする。
また、巻き出しボビン11から管材5(直線溝付管5B)を所定長さ繰り出して、予め直線溝付管5Bの移動経路にセットする。具体的には、管材5を、第1のガイドキャプスタン18、第1の引抜きダイス1、第1の公転キャプスタン21、公転フライヤ23、第2の公転キャプスタン22、第2の引抜きダイス2、第2のガイドキャプスタン61、巻き取りボビン71の順に、通過させて、セットする。
以上の予備工程が終わった後に、内面螺旋溝付管5Rの製造を開始する。
内面螺旋溝付管5Rの製造工程において、管材5の移動経路に沿って説明する。
まず、巻き出しボビン11から管材5を順次繰す。
巻き出しボビン11から繰り出された管材5を第1のガイドキャプスタン18に巻き掛ける。第1のガイドキャプスタン18は、管材5を公転回転中心軸C上に位置する第1の引抜きダイス1のダイス孔に誘導する(第1の誘導工程)。
次に、管材5を第1の引抜きダイス1に通過させる。更に、第1の引抜きダイス1の後段で管材5を第1の公転キャプスタン21に巻き掛けてその周りを周回させる。これにより、管材5を縮径するとともに捻りを付与することができ(第1の捻り引抜き工程)、管材5を中間捻り管5Cに加工することができる。即ち、管材5(直線溝付管5B)の内面の図6に示す直線溝5aに捻りを付与し、一定の捻り角を有する螺旋溝を形成できる。
捻り付与の段階は、第1の引抜きダイス1のダイス孔と第1の公転キャプスタン21に管材5が接触した位置との間の加工域で行われる。捻り引抜き工程を経て直線溝付管5Bは、中間捻り管5Cとなる。中間捻り管5Cは、内面螺旋溝付管5Rの製造工程における中間段階の管材であり、内面螺旋溝付管5Rに形成される最終目的の螺旋溝5dより浅い捻り角の螺旋溝が形成された状態である。
第1の捻り引抜き工程において、管材5には、捻りが付与されると同時に引抜きダイスによる縮径が行われる。すなわち、管材5は、捻りと縮径との同時加工による複合応力が付与させる。複合応力下においては、捻り加工のみを行う場合と比較して管材5の降伏応力が小さくなり、管材5の座屈応力に達する前に、管材5に大きな捻りを付与できる。これにより、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる管材5であっても、管材5の座屈の発生を抑制しつつ従来よりも大きな捻りを付与できる。
一般的に、管材に捻りを付与する際の加工域が長くなるほど座屈応力は小さくなり、その結果、わずかな捻りにおいても座屈を生じやすくなる。即ち、加工域の長さと限界捻れ角(座屈を生じないで捻れる最大捻れ角)には相関関係があり、加工域を短くすることで、大きな捻れ角を付与しても座屈が生じにくい。
捻り加工に伴う座屈の生じやすさは、捻り加工時に管材5に付与されるせん断応力と相関関係がある。捻り加工時のせん断応力は、捻り角と相関関係があるため、捻り角を大きくするに伴い、管材に付与されるせん断応力が大きくなり座屈が生じ易くなる。
第1の引抜きダイス1による管材5の縮径率は、それぞれ2%以上とすることが好ましい。なお縮径率は、(引抜き前の管材の外径−引抜き後の管材の外径)/引抜き前の管材の外径の百分率により求められる。
図7は、外径10mm、内径9mmのアルミニウム合金製の管材に対し、第1の引抜きダイス1で引抜きする場合の限界捻り角と縮径率の関係を調べた結果を示すグラフである。図7に示すように限界捻り角と縮径率の間には相関が認められ、引抜き時の縮径率を大きくするにつれて限界捻り角が大きくなる傾向が認められる。すなわち、縮径率が小さ過ぎる場合は引抜きによる効果が乏しく、大きな捻り角を得ることが難しいので、縮径率を2%以上とするのが好ましい。なお、同様の理由から縮径率を5%以上とすることがより好ましい。
一方で、第1の引抜きダイス1による管材5の縮径率が大きくなり過ぎると加工限界で破断を生じ易くなるので、それぞれ40%以下とするのが好ましい。
第1の捻り引抜き工程において、管材5には第1の公転キャプスタン21を駆動する駆動モータ20により、前方張力が付与される。また、同時に管材5には巻き出しボビン11のブレーキ部15により後方張力が付与される。このため、管材5に適度な張力を付与することが可能となり、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
次に、公転フライヤ23に管材5を巻き掛けて、管材5の搬送方向を公転回転中心軸C上の第2の方向D2に向ける。更に、第2の公転キャプスタン22に管材5を巻き掛けて、管材5を第2の引抜きダイス2に導入する(第2の誘導工程)。これにより、管材5の搬送方向を第1の方向D1から第2の方向D2に反転することができ、第2の引抜きダイス2の中心に位置を合わせることができる。公転フライヤ23は、浮き枠34の周りを公転回転中心軸Cを中心として回転できる。なお、第1の公転キャプスタン21、公転フライヤ23および第2の公転キャプスタン22は、公転回転中心軸Cを中心として同期回転する。したがって、第1の公転キャプスタン21から第2の公転キャプスタン22の間において管材5は相対的に回転せず、捻りも付与されない。
次に、第2の公転キャプスタン22とともに回転する管材5を第2の引抜きダイス2に通過させる。これにより、管材5を縮径するとともに捻りを付与し、螺旋溝5dの捻り角を更に大きくする(第2の捻り引抜き工程)。第2の捻り引抜き工程により中間捻り管5Cを内面螺旋溝付管5Rに加工することができる。
第2の捻り引抜き工程において、管材5には第2のガイドキャプスタン61を駆動する駆動モータ63により、前方張力が付与される。駆動モータ63としては、トルク制御可能なトルクモータを用いた場合、第2のガイドキャプスタン61は、管材5に付与する前方張力を調整できる。第2のガイドキャプスタン61により前方張力を調整することで、第2の捻り引抜き工程において管材5に適度な張力を付与することが可能となる。これにより、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
管材5は、公転回転する第2の公転キャプスタン22に巻き掛けられた後に第2の引抜きダイス2を通過する。管材5は、第2の引抜きダイス2により縮径されるとともに、第2の公転キャプスタン22により管材5に捻りが付与される。これにより、管材5の内面の螺旋溝5dに更に大きな捻りが付与され、螺旋溝5dの捻り角が大きくなる。第2の捻り引抜き工程により中間捻り管5Cは、内面螺旋溝付管5Rとなる。
第2の引抜きダイス2における縮径および捻り付与により、管材5は、中間捻り管5Cから内面螺旋溝付管5Rに加工される。また、カムホイール94と内カム97の回転により作動軸91が往復スライド移動され、第2の引抜きダイス2も中間捻り管5Cの移動経路に沿って所定距離前後にスライド移動される。
このため、第2の引抜きダイス2において中間捻り管5Cに対し縮径加工と捻り加工が施される場合、中間捻り管5Cの移動方向沿って第2の引抜きダイス2が移動している場合は、第2の引抜きダイス2を中間捻り管5Cが通過する相対速度は低下し、付与する捻り角を大きくでき、中間捻り管5Cの移動方向と反対方向に第2の引抜きダイス2が移動している場合、第2の引抜きダイス2を中間捻り管5Cが通過する相対速度は向上するので、付与する捻り角を小さくできる。
このことは、第2の引抜きダイス2を通過する場合の中間捻り管5Cの速度を周期的かつ連続的に徐々に増減させていることを意味し、内面螺旋溝付管5Rに加工した場合にその内周面に形成する螺旋溝5dの捻り角を内面螺旋溝付管5Rの長さ方向に沿って周期的かつ連続的に徐々に増減させることができる。
参考として、中間捻り管5Cの移動経路に沿う移動速度を一定として第2の引抜きダイス2を固定したまま中間捻り管5Cに対し縮径加工と捻り加工を施す場合、内面螺旋溝の捻り角は一定値となる。この場合図6(b)に示す直線溝5aは直線溝付管5Bの長さ方向に対し一定の傾斜角度を有する螺旋溝となる。
これに対し、引抜きダイス2を中間捻り管5Cの移動方向に沿って前後に一定の周期で一定の範囲内を連続的に移動させながら中間捻り管5Cに対し縮径加工と捻り加工を施すと、図8に示すように管体5Aの内周面に捻り角が周期的に増減する形状の螺旋溝5dを有する螺旋溝付管5Rを形成できる。
一例として、中間捻り管5Cの移動経路に沿う移動速度を一定とした場合に形成される螺旋溝の捻り角に対し、その捻り角を一定範囲内で周期的かつ連続的に増減するように波打つ形状の螺旋溝5dを形成できる。図8はその螺旋溝5dの一例を示すが、図10は後述する実施例で製造した螺旋溝5dを示す。図10に示す螺旋溝5dは、図8に示す螺旋溝5dを製造する場合よりも長い周期で引抜きダイス2を往復移動させた場合に形成された溝の一例を示す。
このように螺旋溝5d、5dの溝形状は作動軸91の移動速度と往復移動量の調整により変更できる。
図8〜図10に示す構造の螺旋溝を備えた内面螺旋溝付管は、波形の螺旋溝を備えたウエーブ管と呼称できる。このウエーブ管であるならば、伝熱管として利用した場合の熱交換効率を向上できる。
例えば、伝熱管を電縫管として構成するなら、アルミニウム合金板の一面に波形の溝加工を行った後、電縫することで波形の螺旋溝を備えた電縫管を構成することが可能である。ところが、電縫管の製造ではアルミニウム合金板全長の端縁を加熱し部分溶融させて電縫するので、外径10mm以下などの細管になると電縫した部分では溝が不連続となるので、圧力損失が大きくなる。この電縫管では冷媒低速域での熱伝達率低下が顕著であることが知られているので、電縫管を利用して仮にウエーブ管を構成したとしても、圧損が大きくなるので実用化は難しい。
この点、上述の方法によるウエーブ管であるならば、内面螺旋溝が途切れることなく連続形成されているので、周方向に冷媒の液膜の厚さを不均一にすることができ、局所的に薄膜化した部分で高い熱伝達効率を得られるので、熱特性を大きく向上できる。また、細管であっても電縫管のような大きな圧損を生じないので、電縫管に比べて冷媒流路の連続性を確保でき、圧損を大きくすることなく熱伝達性を向上できる内面螺旋溝付管5Rを提供できる。
第2の引抜きダイス2の前段では、第2の公転キャプスタン22に管材5が巻き掛けられている。第2の引抜きダイス2の後段では、第2のガイドキャプスタン61が設けられ管材5の回転が規制されている。すなわち、管材5は第2の引抜きダイス2の前後で、捻り方向の変形が拘束されており、第2の公転キャプスタン22と第2のガイドキャプスタン61との間で、管材5に捻りが付与される。すなわち、第2の捻り引抜き工程において、管材5に捻りが付与される領域(加工域)は、第2の公転キャプスタン22と第2の引抜きダイス2との間に制限される。上述したように、加工域を短くすることで、大きな捻り角を付与しても座屈が生じにくい。第2のガイドキャプスタン61を設けることで、第2の引抜きダイス2の後段で捻りが付与されることがなく、加工域を短く設定できる。
なお、本実施形態において、第2の公転キャプスタン22は、後方スタンド37Bの後方(第2の引抜きダイス2側)に設けられているが、第2の公転キャプスタン22は、前方スタンド37Aと後方スタンド37Bとの間に位置していてもよい。しかしながら、第2の公転キャプスタン22を、後方スタンド37Bに対し後方に配置して第2の引抜きダイス2に近づけることで、第2の捻り引抜き工程における加工域を短くすることができる。これにより、座屈の発生をより効果的に抑制できる。
第2の捻り引抜き工程において、第1の捻り引抜き工程と同様に、捻りと縮径とが行われて、管材5には複合応力が付与させる。これにより、管材5の座屈応力に達する前に、管材に座屈の発生を抑制しつつ大きな捻りを付与できる。
第2の引抜きダイス2に設けられる引抜きダイスによる管材5の縮径率は、第2の引抜きダイス2の第1ダイス1Aおよび第2ダイス1Bと同様に、2%以上(より好ましくは5%以上)40%以下とすることが好ましい。
なお、第1の引抜きダイス1において、大きな縮径(例えば縮径率30%以上の縮径)を行うと管材5が加工硬化するために、第2の引抜きダイス2での大きな縮径を行うことが困難になる。したがって、第1の引抜きダイス1の縮径率と第2の引抜きダイス2の縮径率との合計は、4%以上50%以下とすることが好ましい。
次に、管材5は、巻き取りボビン71に巻き付けられ回収される。巻き取りボビン71は、駆動モータ74により、管材5の搬送速度と同期して回転することで、管材5を弛みなく巻き取ることができる。
以上の工程を経て、製造装置Aを用いて、図8に示す内面螺旋溝付管5Rを製造することができる。
本実施形態の製造方法は、上述の工程を経て形成された内面螺旋溝付管5Rに対して、再び第1の捻り引抜き工程および第2の捻り引抜き工程を行い、更に大きな捻り角を付与してもよい。この場合には、上述の工程を経た内面螺旋溝付管5Rに対して熱処理(焼きなまし)を行い、O材化する。更に巻き出しボビン11に巻き付けて、この巻き出しボビン11を適当な縮径率を有する第1の引抜きダイスおよび第2の引抜きダイスを有する製造装置Aに取り付ける。更に、製造装置Aにより上述の工程と同様の工程(第1の捻り引抜き工程および第2の捻り引抜き工程)を経ることで、更に大きな捻り角を付与した内面螺旋溝付管を製造できる。
本実施形態の製造方法によれば、特許文献1に示す従来の製造方法と比較して、捻りと同時に縮径を行っているため、出発材と最終製品の外径および断面積が異なる。また、管材に捻りと縮径の複合応力を付与する為に、捻り加工に必要なせん断応力を低減させることが可能となり、管材5の座屈応力に達する前に、管材5に大きな捻りを付与できる。なお、特許文献1に示す製造装置では、図7における縮径率0%の5°程度の捻りを2回行うため10°程度の捻り角の付与が限界であると考えられる。
本実施形態の製造方法によれば、直線溝付管5Bに対して捻りを付与するとともに、縮径を行うため、座屈発生を抑制しつつ大きな捻り角を付与できる。なお、本実施形態において、最終品である内面螺旋溝付管5Rの外径に対し、素材となる直線溝付管5Bの外径は1.1倍以上である。
本実施形態の製造方法によれば、第1の引抜きダイス1と第1の公転キャプスタン21により、管材5に捻りを付与している。更に、第1の引抜きダイス1と第2の引抜きダイス2との間において引抜き方向が反転されている。これにより、第1の捻り引抜き工程と、第2の捻り引抜き工程における、捻り方向を一致させて、管材5に従来技術より大きな捻りを付与できる。また、管材5の管路の始端である巻き出しボビン11と管路の終端である巻き取りボビン71を公転回転させる必要がない。ラインの速度は、回転速度に依存するため、重量物である巻き出しボビン11又は巻き取りボビン71を公転回転させない本実施形態の製造方法では、回転速度を容易に高めることができる。すなわち、本実施形態によれば容易にラインを高速化できる。
更に、本実施形態において、巻き出しボビン11を公転回転させることがないため、巻き出しボビン11に長尺の直線溝付管5B(管材5)を巻き付けることができる。このため、本実施形態の製造方法によれば、巻き出しボビン11を付け替えることがなく、一気通貫で長尺の管材5に捻りを付与することができる。すなわち、本実施形態によれば内面螺旋溝付管5Rの大量生産が容易となる。
本実施形態の製造方法は、第1の捻り引抜き工程と第2の捻り引抜き工程を経て管材5に捻りを付与するものである。このため、それぞれの捻り引抜き工程で付与する捻り角を積み上げて大きな捻り角を付与することができる。
本実施形態の製造方法によれば、第1の捻り引抜き工程および前記第2の捻り引抜き工程において、管材5に前方張力と後方張力が付与される。前方張力は、第2のガイドキャプスタン61により管材5に付与され、後方張力は、巻き出しボビン11を制動するブレーキ部15によって管材5に付与される。これにより、加工対象の管材5に適切な張力を安定して付与することができる。管材5の移動経路に弛みが無く、直線溝付管5Bが芯ずれせずに引抜きダイスに入るため、管材5に座屈・破断を生じさせることなく安定した捻り角を付与できる。
本実施形態において、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2に設けられるダイス孔の中心は、公転回転中心軸C上に位置している。これにより、ダイス孔を通過する管材5をダイス孔に対して直線的に配置できるため、管材5を均一に縮径して、捻り付与時の座屈を抑制できる。なお、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2において、管材5が正常に縮径できる範囲であれば、公転回転中心軸Cに対するダイス孔の位置ズレは許容される。
なお、本実施形態において、巻き出しボビン11が浮き枠34に支持され、巻き取りボビン71が設置面Gに設置されているとして説明した。しかしながら、巻き出しボビン11と巻き取りボビン71のうち何れが浮き枠34に支持されていてもよい。すなわち、図1において、巻き出しボビン11と巻き取りボビン71とを入れ替えて配置してもよい。この場合には、管材5の搬送経路が反転する。また、第1の引抜きダイス1および第2の引抜きダイス2を入れ替えて配置するとともに、搬送方向に沿ってそれぞれの引抜きダイス1、2の引抜き方向を反転させて配置する。更に、引抜きダイス1、2の前後に位置するキャプスタンにおいて、引抜きダイスの後段に位置するキャプスタンを管材の巻き掛け方向(搬送方向)に駆動させ、引抜きダイスにおける引抜力に抗する前方張力を与える。
<<熱交換器>>
図11は、本発明に係る内面螺旋溝付管を備えた熱交換器80の一例を示す概略図であり、冷媒を通過させるチューブとして内面螺旋溝付管81(内面螺旋溝付管5R)を蛇行させて設け、この内面螺旋溝付管81の周囲に複数のアルミニウム合金製のフィン材82を平行に配設した構造である。内面螺旋溝付管81は、平行に配設したフィン材82を貫通するように設けた複数の透孔を通過するように設けられている。
図11に示す熱交換器80の構造において内面螺旋溝付管81は、フィン材82を直線状に貫通する複数のU字状の主管81Aと、隣接する主管81Aの隣り合う端部開口同士をU字形のエルボ管81Bで図11(b)に示すように接続してなる。また、フィン材82を貫通している内面螺旋溝付管81の一方の端部側に冷媒の入口部86が形成され、内面螺旋溝付管81の他方の端部側に冷媒の出口部87が形成されることで図11に示す熱交換器80が構成されている。
図11に示す熱交換器80は、フィン材82のそれぞれに形成した透孔を貫通するように内面螺旋溝付管81を設け、フィン材82の透孔に挿通後、拡管プラグにより内面螺旋溝付管81の外径を押し広げて内面螺旋溝付管81とフィン材82を機械的に一体化することで組み立てられている。
図11に示す熱交換器80に内面螺旋溝付管81を適用することで、熱交換効率の良好な熱交換器80を提供できる。
また、例えば、内面螺旋溝付管5Rの外径が10mm以下と小さく、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる内面螺旋溝付管5Rを用いて熱交換器80を構成すると、小型高性能であり、リサイクル時にフィン材82と内面螺旋溝付管81の分離が不要であって、リサイクル性に優れた熱交換器を提供できる。
以上のように、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、先の実施形態ではカムフォロア93とカムホイール94と内カム97を利用して作動軸91を往復移動させる移動機構Kにより第2の引抜きダイス2を往復移動させたが、第2の引抜きダイス2を移動させるための機構は先の実施形態のようなカムの構成に限らず、円筒カムや円錐カムあるいは他のカム機構でも良く、また、ギヤやラックを用いた直動機構を用いて作動軸9を往復移動させても良い。
図1〜図4に示す構成の製造装置を用い、アルミニウム合金からなる外径10mm、内径9mmの直線溝付管を加工して内面螺旋溝付管(外径7mm、内径6mm)を製造した。
管材を移動経路に沿って送る場合のライン速度を0.75m/分、浮き枠34の回転速度を14.3rpm、捻り角を20゜に設定し、第2の引抜きダイスの可動条件としてカムを500rpmで回転し、第2の引抜きダイスの可動ピッチを±6mmに設定した。
上述の条件により図1〜図4に示す製造装置で得られた内面螺旋溝付管の内面を切り開いて長方形状に添加した状態を図9に示し、同状態の螺旋溝に対しマーキングペンにより内面螺旋溝に沿って黒色ラインを描いた状態を図10に示す。図10に示す試料について捻り角を測定した結果、捻り角が大きい部位で25゜、捻り角が小さい部位で15゜あることがわかった。
図10に示す黒色ラインで示す螺旋溝の状態から、この内面螺旋溝は、捻り角20゜一定の螺旋溝に対し、増加側で最大+5゜を増加側のピークに、減少側で最大−5゜を減少側のピークとして、それらのピーク値の間で周期的かつ連続的に2次関数的に捻り角を増減させるような捻り角を有する波形の内面螺旋溝であると説明できる。
このような内面螺旋溝を備えた管材を熱交換器などの伝熱管に用いると、内部を流れる冷媒との間で良好な効率で熱交換ができる熱交換効率の良好な熱交換器を提供できる。
A…製造装置、C…公転回転中心軸、D1…第1の方向、D2…第2の方向、G…設置面、K…移動機構、1…第1の引抜きダイス、2…第2の引抜きダイス、5…管材、5A…管体、5B…直線溝付管、5C…中間捻り管、5R…内面螺旋溝付管、5d…内面螺旋溝、11…巻き出しボビン(第1のボビン)、12、73…ボビン支持シャフト(ボビンの軸)、15…ブレーキ部、18…第1のガイドキャプスタン、20、39c、63、74…駆動モータ、21…第1の公転キャプスタン、22…第2の公転キャプスタン、23…公転フライヤ、30…公転機構、34…浮き枠、35…回転シャフト、35A…前方シャフト、35B…後方シャフト、37A…前方スタンド、37B…後方スタンド、61…第2のガイドキャプスタン、64…支持片、71…巻き取りボビン(第2のボビン)、80…熱交換器、82…フィン材、91…作動軸、92…ダイスブロック、93…カムフォロア、94…カムホイール、94A…駆動主軸、94B…カム溝、95…モータ、97…内カム。

Claims (11)

  1. 第1の方向を引抜き方向とする第1の引抜きダイスと、前記第1の方向と反対の第2の方向を引抜き方向とする第2の引抜きダイスと、前記第1の引抜きダイスと前記第2の引抜きダイスの間において管材の移動経路を前記第1の方向から前記第2の方向に反転させるとともに前記第1の引抜きダイスおよび前記第2の引抜きダイスのうち何れか一方の周りを回転する公転フライヤと、を用いて、
    内面に長さ方向に沿う複数の溝が形成された溝付管を前記第1の引抜きダイスに通過させ更に前記公転フライヤに巻き掛け公転回転させることで縮径加工と捻り加工を付与し中間捻り管を形成する第1の捻り引抜き工程と、
    前記公転フライヤとともに回転する前記中間捻り管を前記第2の引抜きダイスに通過させて縮径加工と捻り加工を付与し内面螺旋溝付管を形成する第2の捻り引抜き工程とを有し、
    前記第1の捻り引抜き工程と前記第2の捻り引抜き工程の少なくとも一方において引抜き加工中の引抜きダイスを前記管材の移動方向に沿って往復前後移動することを特徴とする内面螺旋溝付管の製造方法。
  2. 前記管材の移動方向に沿って前記引抜きダイスを往復前後移動することにより、前記管材に形成する内面螺旋溝の捻り角を前記管材の長手方向に連続的かつ周期的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
  3. 前記引き抜きダイスを備えたダイスブロックを作動軸により前記管材の移動経路に沿って往復前後移動自在に支持し、前記作動軸の他端に設けられたカムフォロアを案内して前記作動軸をその軸方向に往復移動する移動機構により前記引き抜きダイスを往復前後移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
  4. 前記管材がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、前記引抜きダイスによる縮径率を2%〜40%とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造方法。
  5. 一方が巻き出しボビンであり他方が巻き取りボビンであり一方から他方に管材を搬送する第1のボビンおよび第2のボビンと、
    前記第1のボビンの軸を支持する浮き枠と、
    前記浮き枠を軸受を介して支持し前記浮き枠内のボビンの軸と直交する方向に回転する回転シャフトと、
    前記第1のボビンと前記第2のボビンの間で前記管材の管路を反転させるとともに前記回転シャフトに支持されて前記浮き枠の周りを回転する公転フライヤと、
    前記管材の移動経路において前記公転フライヤの前段および後段にそれぞれ配置され、
    互いに引抜き方向が反対である第1の引抜きダイスおよび第2の引抜きダイスと、
    前記第1の引抜きダイスと前記第2の引抜きダイスの少なくとも一方を前記管材の移動経路に沿って往復前後移動させる移動機構を備え、
    前記巻き出しボビンから巻き出される前記管材が内面に長さ方向に沿う溝が形成された溝付管であり、
    前記引き抜きダイスにより前記管材を螺旋溝付管に加工することを特徴とする内面螺旋溝付管の製造装置。
  6. 前記引抜きダイスにおいて前記管材に縮径加工と捻り加工を付与して前記管材を内面螺旋溝付管に加工するとともに、前記引き抜きダイスの往復前後移動により前記螺旋溝の捻り角を前記管材の長さ方向に連続的に変化させることを特徴とする請求項5に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
  7. 前記引き抜きダイスを備えたダイスブロックが作動軸により前記管材の移動経路に沿って往復前後移動自在に支持され、前記作動軸の他端に設けられたカムフォロアを案内して前記作動軸をその軸方向に往復移動する移動機構が設けられたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
  8. 前記管材がアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製であり、前記引抜きダイスによる縮径率が2%〜40%に設定されたことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
  9. 前記公転フライヤの前段および後段に前記回転シャフトに支持されて前記公転フライヤと同期回転する公転キャプスタンを備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
  10. 前記第1の引抜きダイスの前段に前記浮き枠に支持され前記管材が巻き掛けられる第1のガイドキャプスタンを備え、
    前記第2の引抜きダイスの後段に前記管材が巻き掛けられる第2のガイドキャプスタンを備えたことを特徴とする請求項5〜請求項9の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
  11. 前記第1の引抜きダイスおよび前記第2の引抜きダイスの後段に巻き掛け方向に駆動回転するキャプスタンを備え、前記キャプスタンが前記管材に前方張力を付与することを特徴とする請求項5〜請求項10の何れか一項に記載の内面螺旋溝付管の製造装置。
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