JP6930744B2 - 一方向動力伝達機構 - Google Patents
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Description
このため、前記モータを例えばロボットの把持機構等に用いた場合、物体を把持した後、その把持状態を維持するために、電力を供給し続けなくてはならない。
また、例えばテープフィーダユニット等では、電源を供給しないときでも、停止位置を精度よく固定させておくことが求められる。
この発明は、柱状空間を有する収納室(11)と、収納室(11)に同軸状に収納された出力回転体(20)と、出力回転体(20)に対し同軸状に設けられた入力回転体(30)と、収納室(11)の内周面と出力回転体(20)の外周面との間に設けられた円柱状の係合子(41,42)と、係合子(41,42)を周方向の一方側へ付勢する付勢部材(50)とを備え、出力回転体(20)の外周面に、前記一方側へ向かって収納室(11)の内周面との間を徐々に狭めるカム面(21,23)と、カム面(21,23)の前記一方側に隣接する凹部(22)とを形成し、入力回転体(30)に、凹部(22)に対し周方向の遊びを有する状態で嵌り合うとともに凹部(22)内から遠心方向へ突出する押圧伝達部(31)を形成し、係合子(41,42)を、カム面(21,23)および収納室(11)の内周面に接触するように配置している。なお、括弧内の数値は、特許文献1に用いられた符号である。
また、出力回転体(20)に外部から回転力が加わった場合には、回転しようとする出力回転体(20)のカム面(21又は23)と収納室(11)の内周面との間に係合子(41又は42)が強く押し付けられので、入力回転体(30)及び出力回転体(20)の回転を阻むことができる。
すなわち、円柱状の各係合子(41,42)を軸方向へ比較的長く形成することで、各係合子(41,42)と収納室(11)の内周面との接触面圧(ヘルツ応力)、及び各係合子(41,42)と各カム面(21,23)との接触面圧を小さくして、係合子(41,42)の接触面に摩耗や変形を生じるのを防いでいた。
しかしながら、このような従来構造では、装置全体を軸方向に薄型化しようとした場合、円柱状の各係合子(41,42)が軸方向に短くなって、各係合子(41,42)の接触面圧が大きくなるため、前記作用効果が得られず、許容トルクが小さくなってしまう。
円柱状空間を有する収納室と、前記収納室に同軸状に収納された出力回転体と、前記出力回転体に対し同軸状に設けられた入力回転体と、前記収納室の内周面と出力回転体の外周面との間で移動するように設けられた係合子と、前記係合子を周方向の一方側へ付勢する付勢部材とを備え、前記出力回転体の外周面には、前記一方側へ向かって前記収納室の内周面との間を徐々に狭めるカム面と、前記カム面の前記一方側に隣接する凹部とが形成され、前記入力回転体には、前記凹部に対し周方向の遊びを有する状態で嵌り合うとともに前記凹部内から遠心方向へ突出する押圧伝達部が形成され、前記係合子は、前記収納室の内周面に接触する第1の接触面と、前記カム面に接触する第2の接触面とを有するように配置され、前記入力回転体が前記一方側に対する他方側に回転した際に、前記押圧伝達部を前記係合子に当接させた後に、同押圧伝達部を前記凹部内の周方向端面に当接して前記出力回転体を押動するようにした一方向動力伝達機構であって、前記係合子は、前記第1の接触面を、前記収納室の内周面と前記カム面との双方に接触する仮想円よりも曲率が小さく、且つ前記収納室の内周面の曲率と同等以上の曲率の凸曲面に形成していることを特徴とする一方向動力伝達機構。
ここで、前記「同等以上」とは、同等、又は同等よりも大きいことを意味する。
また、前記一方向動力伝達機構における「一方向」とは、入力側から出力側へ動力が伝達される方向を意味する。
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
そして、この一方向動力伝達機構1は、入力回転体30に回転力を受けた際に、この回転力を出力回転体20に伝達して該出力回転体20を回転させ、また、出力回転体20に対し外部から回転力が加わった際には、該出力回転体20を回転不能にロックする。
この固定部材10の内周面は、出力側を縮径した段付き円筒状に形成され、その出力寄り部分を縮径部13、入力寄り部分を収納室11としている。
この収納室11内には、図3に示すように、係合子41,42、付勢部材50、及び入力回転体30の押圧伝達部31、出力回転体20等が収納される。
なお、この出力回転体20における軸方向の他端側(図2によれば右端側)には、支持軸26が突設される。この支持軸26には、入力回転体30が回転自在に嵌り合っている。
この凹部22内の周方向の両端には、後述する入力回転体30の押圧伝達部31によって押圧される被押圧面22a,22bを有する。これら被押圧面22a,22bは、平坦面状に形成され、一方の被押圧面22aは、一方のカム面21と交差し、他方の被押圧面22bは、他方のカム面23と交差している。
この入力回転体30は、その出力側の面の中心側に有底円筒状の凹部34を有し、該凹部34を、出力回転体20の支持軸26に回転自在に嵌め合わせている。
また、入力回転体30における出力回転体20側の側面には、凹部22毎に対応するように、周方向に所定間隔を置いて複数(図示例によれば3つ)の押圧伝達部31が突設されている。
各係合子41(又は42)は、収納室11の内周面11aに接触する第1の接触面P1と、カム面21(又は23)に接触する第2の接触面P2とを有する。
さらに、この係合子41は、第2の接触面P2を、収納室11の内周面11aと対向するカム面21との双方に接触する仮想真円よりも曲率が小さく、且つカム面21よりも曲率の大きい凸曲面状に形成している。
さらに、この係合子42は、第2の接触面P2を、収納室11の内周面11aと対向するカム面21との双方に接触する仮想真円よりも曲率が小さく、且つカム面23よりも曲率の大きい凸曲面状に形成している。
また、図示例によれば、各係合子41(又は42)において、付勢部材50によって押圧される被押圧面P4は、その押圧方向に交差する平面に形成される。
同様に、他方の係合子42も、反時計方向に行くにしたがって、収納室11の径方向に沿う寸法Wを狭めている。
この付勢部材50において、二股状に分かれた各片部は、対応する係合子41又は42の被押圧面P4に当接して、係合子41又は42を、カム面21又は23と収納室内周面11aとの間に押し付けている。
図7のグラフは、曲率半径の比(Rratio)とヘルツ応力(P/Pref)の比の関係を示す。
凸面円筒曲率半径(例えば、第1の接触面P1の半径)をR1、凹面円筒曲率半径(例えば、内周面11aの半径)をR2とすると(図4参照)、
これら曲率半径R1,R2の比は、Rratio=R1/R2 ・・・(1)
にて計算される。
R1と平面におけるヘルツ応力をPREFとし、
PREFを基準とした時のヘルツ応力の比をP/PREFとすると、
これら二種類のヘルツ応力の比は、P/PREF=(1−Rratio)1/2 ・・・(2)
にて計算される。
(2)式による計算値をプロットすれば、図7のグラフになる。
本実施態様は、この関係に基づき、収納室11の内周面11aの曲率、各係合子41(又は42)における第1の接触面P1と第2の接触面P2の曲率、及びカム面21(又は23)等を適宜に設定している。
すなわち、各係合子41(又は42)が内周面11aやカム面21,23押圧されて、弾性変形した場合に、その弾性変形状態での接触面積は、係合子が円筒状や球状である場合よりも広くなる。このため、第1の接触面P1と第2の接触面P2における単位面積当たりの面圧は、係合子が円筒状や球状である場合よりも小さくなる。
次に、他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上記一方向動力伝達機構1の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、上記一方向動力伝達機構1と同一の部分については、同一の符号を用いるとともに重複する詳細説明を省略する。
すなわち、第2の接触面P2とカム面21’,23’の接触は、平面同士の接触になる。
なお、上記実施態様によれば、カム面21,23,21’,23’の各々を平面としたが、他例としては、この各カム面を、第2の接触面P2よりも曲率が小さい凹曲面とすることも可能である。
10:固定部材
11:収納室
11a:内周面
20,20’:出力回転体
21,21’,23,23’:カム面
22:凹部
30:入力回転体
31:押圧伝達部
41,42,41’,42’:係合子
P1:第1の接触面
P2:第2の接触面
Claims (7)
- 円柱状空間を有する収納室と、前記収納室に同軸状に収納された出力回転体と、前記出力回転体に対し同軸状に設けられた入力回転体と、前記収納室の内周面と出力回転体の外周面との間で移動するように設けられた係合子と、前記係合子を周方向の一方側へ付勢する付勢部材とを備え、
前記出力回転体の外周面には、前記一方側へ向かって前記収納室の内周面との間を徐々に狭めるカム面と、前記カム面の前記一方側に隣接する凹部とが形成され、
前記入力回転体には、前記凹部に対し周方向の遊びを有する状態で嵌り合うとともに前記凹部内から遠心方向へ突出する押圧伝達部が形成され、
前記係合子は、前記収納室の内周面に接触する第1の接触面と、前記カム面に接触する第2の接触面とを有するように配置され、
前記入力回転体が前記一方側に対する他方側に回転した際に、前記押圧伝達部を前記係合子に当接させた後に、同押圧伝達部を前記凹部内の周方向端面に当接して前記出力回転体を押動するようにした一方向動力伝達機構であって、
前記係合子は、前記第1の接触面を、前記収納室の内周面と前記カム面との双方に接触し且つ係合子の外に出ず最大となる仮想円よりも曲率が小さく、且つ前記収納室の内周面の曲率と同等以上の曲率の凸曲面に形成していることを特徴とする一方向動力伝達機構。 - 前記係合子は、前記第2の接触面を、前記収納室の内周面と前記カム面との双方に接触し且つ係合子の外に出ず最大となる仮想円よりも曲率が小さく、且つ前記カム面の曲率と同等以上の曲率の面に形成していることを特徴とする請求項1記載の一方向動力伝達機構。
- 前記カム面を平面にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の一方向動力伝達機構。
- 前記第2の接触面を平面にしたことを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の一方向動力伝達機構。
- 前記付勢部材は、前記係合子を前記一方側へ押圧するように設けられ、
前記係合子は、前記付勢部材によって押圧される面を、その押圧方向に交差する平面に形成していることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の一方向動力伝達機構。 - 前記係合子は、前記押圧伝達部によって当接される被当接面を、その当接方向に交差する平面に形成していることを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載の一方向動力伝達機構。
- 前記係合子は、前記一方側へゆくにしたがって、前記収納室の径方向に沿う寸法を狭めるように形成されていることを特徴とする請求項1〜6何れか1項記載の一方向動力伝達機構。
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