JP6929813B2 - パワー半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パワー半導体装置に関する。
パワー半導体素子のスイッチングによる電力変換装置は、変換効率が高いため、民生用、車載用、鉄道用、変電設備等に幅広く利用されている。このパワー半導体素子は通電により発熱するため、高い放熱性が求められる。特に車載用途においては、小型、軽量化のため水冷を用いた高効率な冷却システムが採用されている。特許文献1には、インバータ回路の上下アームを構成する複数の半導体素子と、前記半導体素子のそれぞれの電極面と対向して配置される複数の導体板と、前記半導体素子および前記導体板を収納するモジュールケースとを備え、前記モジュールケースは、前記導体板の面と対向する板状の金属製放熱部材と、当該放熱部材によって塞がれる開口部を有する金属製の枠体とを有し、前記放熱部材の中央には複数の放熱フィンが立設された放熱フィン部が設けられ、前記放熱部材の外周縁には前記枠体との接合部が設けられ、前記放熱部材は前記枠体に比べて高い熱伝導性を有し、前記枠体は前記放熱部材に比べて高い剛性を有していることを特徴とするパワーモジュールが開示されている。
特開2012−257369号公報
特許文献1に記載されている発明では、小型化の余地がある。
本発明の第1の態様によるパワー半導体装置は、導体である第1導体部と、前記第1導体部とは異なる導体である第2導体部と、前記第1導体部に実装されかつインバータ回路の上アームを構成する第1半導体素子と、前記第1導体部に実装されかつ前記インバータ回路の下アームを構成する第2半導体素子と、前記上アームおよび前記下アームに交流電流を伝達する交流端子導体と、を備え、前記交流端子導体の一部は、前記第1導体部と前記第2導体部の間の空間に配置されかつ当該第1導体部と当該第2導体部との間の電流伝達路となり、前記第1導体部、前記第2導体部、前記交流端子導体、前記第1半導体素子、および前記第2半導体素子はXY平面に広がり、前記交流端子導体、前記第1半導体素子、および前記第2半導体素子は、前記XY平面に垂直なZ方向に重ならない
本発明によれば、パワー半導体装置を小型化できる。
パワー半導体装置300の斜視図 パワー半導体装置300の断面図 下基板46の全体斜視図 上基板47の全体斜視図 交流端子導体8の第1導体部21および第2導体部22との接合部を示す図 図6(a)〜図6(e)はパワー半導体装置300の製造工程の断面図 図6(b)工程に対応する製造工程におけるパワー半導体装置300の全体斜視図 図6(c)工程に対応する製造工程のパワー半導体装置300の全体斜視図 図6(d)工程に対応する製造工程のパワー半導体装置300の全体斜視図 パワー半導体装置300の回路図 パワー半導体装置300を用いた電力変換装置200の回路図 電力変換装置200の外観を示す全体斜視図 電力変換装置200の断面構造を示す概略図 流路付きパワー半導体装置900の外観図 流路付きパワー半導体装置900の製造工程を示す斜視図
―実施の形態―
以下、図1〜図15を参照して、パワー半導体装置の実施の形態を説明する。
(パワー半導体装置300の斜視図)
図1は、本実施形態のパワー半導体装置300の斜視図である。図面同士の相関を明確にするために、図1の左下に示すようにXYZ軸を定義する。パワー半導体装置300は、金属製の第2フィン42Fと、第2放熱ベース42と、正極側の直流端子導体6と、負極側の直流端子導体7と、交流端子導体8と、信号用の端子325U、325L、325S、325Cとを備える。
信号端子325L、325U、325S、325Cは、パワー半導体装置300の二面から突出した後、プリント基板に形成した、制御回路、ドライバ回路に接続するため、曲げ加工により同一方向に向きを変えている。制御端子を二面に分けて出すことで、端子間の沿面距離や空間距離を確保しやすい効果がある。
正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7は、パワー半導体装置300の一面から一列に突出している。正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7が隣接する事で、入出力の電流を近接させインダクタンスを低減する効果がある。また正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7は、バッテリに連結したコンデンサモジュールに接続するため、一面から突出することで、インバータレイアウトを簡略化できる効果がある。交流端子320Bは、直流端子315B及び319Bは配置された側の面とは反対側のパワー半導体装置300の面から突出している。
(パワー半導体装置300の断面図)
図2は、パワー半導体装置300の断面図である。ただし図2では信号用の端子の図示を省略している。パワー半導体装置300は、図示上下方向、すなわちZ方向に略対称な構造を有する。図2には、下部から第1放熱ベース41、第1金属ベース811、第1絶縁部31、および第1導体部21が示されている。そして図2の高さ方向中央には、左から負極側の直流端子導体7、2つの半導体素子10、および交流端子導体8が示されている。ただし半導体素子10はZ方向の高さが交流端子導体8などよりも低いので、高さを略一致させるために金属ブロック159が挿入される。また負極側の直流端子導体7および交流端子導体8は図1では端部が曲げられていたが、図2では曲げ部分の図示を省略している。半導体素子10などの図示上部にはさらに、第2導体部22、第2絶縁部32、第2金属ベース821、および第2放熱ベース42が示されている。
すなわち、第1放熱ベース41、第1金属ベース811、第1絶縁部31、および第1導体部21、半導体素子10、第2導体部22、第2絶縁部32、第2金属ベース821、および第2放熱ベース42はZ方向に配列している。なお第1導体部21と交流端子導体8との間、および交流端子導体8と第2導体部22との間には半田が存在するが図2では図示を省略している。第1放熱ベース41および第2放熱ベース42は、交流端子導体8の一部を挟むように形成される。
第1放熱ベース41は第1フィン41Fを備え、第2放熱ベース42は第2フィン42Fを備える。第1フィン41Fが存在するX方向の範囲41FWは、Z方向から見ると負極側の直流端子導体7の一部および交流端子導体8の一部と重複している。同様に第2フィン42Fが存在するX方向の範囲42FWは、Z方向から見ると負極側の直流端子導体7の一部および交流端子導体8の一部と重複している。換言すると、Z方向から見た場合に、第1フィン41Fおよび第2フィン42Fは、交流端子導体8の一部と重なる位置に形成される。なお第1フィン41Fおよび第2フィン42Fの頂部、すなわち図2の上端及び下端は切削加工がされている。また第1放熱ベース41および第2放熱ベース42の内側の面、すなわち図2において第1金属ベース811および第2金属ベース821に接する面も切削加工がされている。
交流端子導体8の一部は、第1導体部21と第2導体部22の間の空間に配置される。また交流端子導体8の一部は、第1導体部21と第2導体部22との間の電流伝達路となる。なお第1放熱ベース41および第2放熱ベース42は、熱伝導率が高く、防水性を有する金属材料であればとくに制約されないが、加工性及びベースとの溶接性を考慮するとアルミが最も望ましい。以下では、第1金属ベース811、第1絶縁部31、および第1導体部21をあわせて下基板46と呼び、第2金属ベース821、第2絶縁部32、および第2導体部22をあわせて上基板47と呼ぶ。
(下基板46の全体斜視図)
図3は、下基板46の全体斜視図である。下基板46は、後述する半導体素子10や交流端子導体8などを搭載する第1導体部21と、第1金属ベース811と、これら第1導体部21と第1金属ベース811の間に第1絶縁部31と、を備える。第1金属ベース811は、金属材料であれば特に制約されないが、放熱性の点で、銅又はアルミが望ましく、コストの点ではアルミが望ましい。第1絶縁部31は矩形形状であり、第1絶縁部31の図示上部に不連続に第1導体部21が形成される。そのため図2の断面図において第1導体部21は不連続に図示された。
第1導体部21は、電気伝導性を有する材料であれば特に制約されないが、電気伝導性に優れた、銅又はアルミが望ましい。第1導体部21の一部又は全体は、はんだ接続性を向上するため、ニッケルめっきを含むめっきを施す事が望ましい。また第1導体部21には、パワー半導体素子間ではんだが連結し、溶融した半田材の表面張力によりチップが位置ずれするのを防止するため、穴824を設けてもよい。第1絶縁部31は、絶縁性材料であれば特に制約されないが、コストの点では、樹脂が望ましく、耐熱性、熱伝導性の点ではセラミックスが望ましい。
(上基板47の全体斜視図)
図4は、上基板47の全体斜視図である。上基板47は、第2導体部22と、第2金属ベース821と、これら第2導体部22と第2金属ベース821の間に第2絶縁部32と、を備える。第2絶縁部32は矩形形状であり、第2絶縁部32の図示上部に不連続に第2導体部22が形成される。そのため図2の断面図において第2導体部22は不連続に図示された。第2絶縁部32の材料は第1絶縁部31と同一であり、第2導体部22の材料は第1導体部21と同一であり、第2金属ベース821の材料は第1金属ベース811と同一である。なお図4は図3とは視点が反転しており、180度回転させると図1に示す姿勢となる。
(交流端子導体8の接合部)
図5は、交流端子導体8の第1導体部21および第2導体部22との接合部を示す図である。第1導体部21と交流端子導体8とは半田5bにより接続され、交流端子導体8と第2導体部22とは半田5aにより接続される。半田5aおよび半田5bはそれぞれいわゆる半田ボール5cを含む。半田ボール5cとは、半田の主成分であるすず(Pb)よりも融点が高い素材、たとえばニッケルで作成された高精度な球である。半田5aおよび半田5bは半田ボール5cを含むので、第1導体部21と交流端子導体8との距離、および交流端子導体8と第2導体部22との距離は半田ボール5cの直径と等しい。そのため、半田ボール5cの直径を調整することで第1導体部21と交流端子導体8との距離、および交流端子導体8と第2導体部22との距離を調整できる。
また半田ボール5cの存在により交流端子導体8が第1導体部21や第2導体部22と密着しないので、半田5aや半田5bの全量が押し出されることがない。換言すると、交流端子導体8と第1導体部21との半田5bによる結合、および交流端子導体8と第2導体部22との半田5aによる結合が確実に行われる。
なお図5では交流端子導体8の接合部について説明したが、正極側の直流端子導体6や負極側の直流端子導体7の接合部も同様半田ボール5cを含む半田を用いて接合される。またそれぞれの半田に含める半田ボール5cの直径は一定でなくてもよいので、各端子の高さの差を半田ボール5cの直径を異ならせることで高さを揃えることができる。すなわち正極側の直流端子導体6、負極側の直流端子導体7、および交流端子導体8に使用する半田に含める半田ボール5cの直径をそれぞれの高さの差を吸収するように設定することで、第1絶縁部31と第2絶縁部32の間隔を一定にできる。
(製造工程)
図6(a)〜図6(e)はパワー半導体装置300の製造工程の断面図である。図6(a)に示すように、まず下基板46を用意し、次に図6(b)に示すように第1導体部21に半田材や焼結金属等の接続部材を介して半導体素子10を搭載する。さらに半導体素子10のエミッタ側電極面にはんだ等の接続部材を介して、金属ブロック159を搭載し接続する。その後、図示していないAlワイヤを接続する。金属ブロック159は電気伝導性を有する金属材料であればとくに制約されないが、電気伝導性が高い銅が望ましい。金属ブロック159には軽量化のためアルミを用いてもよい。接続部材との接続を確保するため金属ブロック159の表面にめっき等を施してもよい。
次に図6(c)に示されるように、接続部材を介して、正極側の直流端子導体6、負極側の直流端子導体7及び交流端子導体8を搭載する。そして図6(d)に示すように、さらに接続部材を介して、上基板47を搭載し接続する。最後に、図6(e)に示すように、第1放熱ベース41および第2放熱ベース42を上基板47と下基板46とを挟み込むように配置する。そして、第1フィン41Fと第2フィン42Fを内側に押圧することで、正極側の直流端子導体6、負極側の直流端子導体7及び交流端子導体8を挟み込んだ上基板47と下基板46とを結合させる。なおこの際に、図5を参照して説明したように、正極側の直流端子導体6、負極側の直流端子導体7及び交流端子導体8は、半田ボール5cを含む半田を用いて接合されるので、第1絶縁部31と第2絶縁部32とのZ方向の間隔を一定にできる。
(製造工程の斜視図)
図7は、図6(c)工程に対応する製造工程におけるパワー半導体装置300の全体斜視図である。図7には、下基板46に、パワー半導体素子である上アーム側IGBT155A及び155Bと、上アーム側ダイオード156A及び156Bと、下アーム側IGBT157A及び157Bと、下アーム側ダイオード158A及び158Bと、が2並列ではんだ接続されているインバータ回路800が示されている。ここで、IGBTとは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor)の略である。
各IGBTは、ゲート及び温度センスからAlワイヤ840でコレクタ側基板の導体部に接続している。各パワー半導体素子の上には、金属ブロック159を搭載している。リードフレーム830及び831は、タイバー832により端子同士を接続して、トランスファーモールド工程時に端子の位置がずれないように形成される。Alワイヤ840は、上アームゲート信号端子325U等と上アーム側IGBT155Aの制御電極等を接続する。
なお前述の半導体素子10は、上アーム側IGBT155A、上アーム側IGBT155B、上アーム側ダイオード156A、上アーム側ダイオード156B、下アーム側IGBT157A、下アーム側IGBT157Bと、下アーム側ダイオード158A、および下アーム側ダイオード158Bの総称である。またこのインバータ回路の上アームを構成する半導体素子は上アーム側IGBT155A、上アーム側IGBT155B、上アーム側ダイオード156A、および上アーム側ダイオード156Bである。またこのインバータ回路の下アームを構成する半導体素子は下アーム側IGBT157A、下アーム側IGBT157Bと、下アーム側ダイオード158A、および下アーム側ダイオード158Bである。
図8は、図6(d)工程に対応する製造工程のパワー半導体装置300の全体斜視図である。下基板46の上に上基板47を搭載している。
図9は、図6(e)工程に対応する製造工程のパワー半導体装置300の全体斜視図である。上基板47及び下基板46の上に第1フィン41Fおよび第2フィン42Fを搭載している。この後、リードフレーム830及び831に接続されたタイバー832をカットして端子を形成し、パワー半導体装置300を得る。
(パワー半導体装置300の回路図)
図10は、本実施形態のパワー半導体装置300のインバータ回路800の回路図である。正極側の直流端子導体6は、上アーム回路のコレクタ側接続部315から出力しており、バッテリまたはコンデンサの正極側に接続される。上アームゲート信号端子325Uは、上アーム回路のIGBT155のゲート及びエミッタセンスから出力している。負極側の直流端子導体7は、下アーム回路のエミッタ側接続部319から出力しており、バッテリまたはコンデンサの負極側、又はGNDに接続される。下アームゲート信号端子325Lは、下アーム回路のIGBT157のゲート及びエミッタセンスから出力している。交流端子導体8は、下アーム回路のコレクタ側接続部320から出力しており、モータに接続される。中性点接地をする場合は、下アーム回路は、GNDでなくコンデンサの負極側に接続する。
上アーム回路と下アーム回路は、中間接続321により接続される。本実施の形態では、交流端子導体8が中間接続321を兼ねている。本実施形態に係るパワー半導体装置300は、上アーム回路及び下アーム回路の2つのアーム回路を、1つのモジュールに一体化した構造である2in1構造である。2in1構造の他にも、3in1構造、4in1構造、6in1構造等を用いた場合、パワー半導体装置からの出力端子の数を低減し小型化することができる。
なお図10に示す回路図と図7に示すハードウエア構成との対応は以下のとおりである。すなわち図10に示す上アーム回路のIGBT155は、図7に示す上アーム側IGBT155A及び155Bに相当し、図10に示す上アーム回路のダイオード156は、図7に示す上アーム側ダイオード156A及び156Bに相当する。また図10に示す下アーム回路のIGBT157は、図7に示す下アーム側IGBT157A及び157Bに相当し、図10に示す下アーム回路のダイオード158は、図7に示す下アーム側ダイオード158A及び158に相当する。
(電力変換装置の回路図)
図11は、本実施形態のパワー半導体装置300を用いた電力変換装置200の回路図である。電力変換装置200は、インバータ回路部140及び142と、補機用のインバータ回路部43と、コンデンサモジュール500と、を備えている。インバータ回路部140及び142は、パワー半導体装置300を複数備えており、それらを接続することにより3相ブリッジ回路を構成している。電流容量が大きい場合には、更にパワー半導体装置300を並列接続し、これら並列接続を3相インバータ回路の各相に対応して行うことにより、電流容量の増大に対応できる。また、パワー半導体装置300に内蔵しているパワー半導体素子を並列接続することでも電流容量の増大に対応できる。
インバータ回路部140とインバータ回路部142とは、基本的な回路構成は同じであり、制御方法や動作も基本的には同じである。インバータ回路部140等の回路的な動作の概要は周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述のように、上アーム回路は、スイッチング用のパワー半導体素子として上アーム用IGBT155と上アーム用ダイオード156とを備えており、下アーム回路は、下アーム用IGBT157と下アーム用ダイオード158とを備えている。IGBT155及び157は、ドライバ回路174を構成する2つのドライバ回路の一方あるいは他方から出力された駆動信号を受けてスイッチング動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。
上アーム用IGBT155や下アーム用IGBT157は、コレクタ電極、エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子)、ゲート電極(ゲート電極端子)を備えている。上アーム用ダイオード156や下アーム用ダイオード158は、カソード電極およびアノード電極の2つの電極を備えている。上アーム用IGBT155や下アーム用IGBT157のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、ダイオード156、158のカソード電極がIGBT155、157のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT155、157のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。なお、パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いても良く、この場合は上アーム用ダイオード156、下アーム用ダイオード158は不要となる。
上下アーム直列回路に設けられた不図示の温度センサからは、上下アーム直列回路の温度情報がマイコンに入力される。また、マイコンには上下アーム直列回路の直流正極側の電圧情報が入力される。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知および過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全ての上アーム用IGBT155、下アーム用IGBT157のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路を過温度或いは過電圧から保護する。
図12は、電力変換装置200の外観を示す全体斜視図である。本実施形態に係る電力変換装置200の外観は、上面あるいは底面が略長方形の筐体112と、筐体112の短辺側の外周の一つに設けられた上部ケース110と、筐体112の下部開口を塞ぐための下部ケース116とを固定して形成されたものである。筐体112と下部ケース116は一体で形成される場合もある。筐体112の底面図あるいは上面図の形状を略長方形としたことで、車両への取付けが容易となり、また生産しやすい。筐体112には、パワー半導体装置300を冷却する冷媒の流入路113および流出路114が接続される。
図13は、本実施形態に係る電力変換装置200の断面構造を示す概略図である。パワー半導体装置300を流路部材に組み付け、流路付きパワー半導体装置900を形成している。パワー半導体装置300は、交流電極端子は電流センサ180を搭載したバスバーに溶接する。また、パワー半導体装置300の直流端子はコンデンサモジュール500と溶接する。次に、実装部品を搭載した制御回路172、ドライバ回路174を組み付け、信号端子と接続する。流路付きパワー半導体装置900の上部に制御回路、下部にコンデンサモジュールを設置することで、コンパクトに配置し小型化できる。
図14は、流路付きパワー半導体装置900の外観を示し、図14(a)は、流路付きパワー半導体装置900のエミッタ側からみた斜視図、図14(b)はコレクタ側からみた斜視図、(c)は断面図である。パワー半導体装置300を流路部材に組み付け、流路付きパワー半導体装置900を形成している。
図15は、流路付きパワー半導体装置900の製造工程を示す斜視図である。図15(a)に示されるように、モジュール連結部材1002に、貫通水路1001を金属溶融接合する。次に図15(b)に示されるように、パワー半導体装置300のコレクタ側をモジュール連結部材1002に搭載し、金属溶融接合する。
次に図15(c)に示されるように、パワー半導体装置300のエミッタ側にモジュール連結部材1002を搭載し、貫通水路部及びパワー半導体装置300を金属溶融接合により水密接合する。次に図15(d)に示されるように、コレクタ側及びエミッタ側のモジュール連結部材1002に流路カバー1003を搭載し金属溶融接合により水密接合する。2in1のパワー半導体装置300を6in1の流路付きパワー半導体装置900として組み上げる事で、水密性を確保しつつ、電力変換装置200への組み立てを容易にする効果がある。
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)パワー半導体装置300は、導体である第1導体部21と、第1導体部21とは異なる導体である第2導体部22と、第1導体部21に実装されかつインバータ回路800の上アームを構成する上アーム側IGBT155A、155B、上アーム側ダイオード156A、156Bと、第1導体部21に実装されかつインバータ回路の下アームを構成する下アーム側IGBT157A、157B、下アーム側ダイオード158A、および158Bと、上アームおよび下アームに交流電流を伝達する交流端子導体8と、を備える。交流端子導体8の一部は、第1導体部21と第2導体部22の間の空間に配置されかつ当該第1導体部21と当該第2導体部22との間の電流伝達路となる。交流端子導体8が第1導体部21と第2導体部22との間の電流伝達路となるので、両者を接続する部材を別途用意する必要がなくパワー半導体装置300を小型化できる。またパワー半導体装置300の部品点数が削減されるので、組み立てを効率化できる。
(2)パワー半導体装置300は、第1導体部21と接続される第1絶縁部31と、第2導体部22と接続されかつ第1絶縁部31と対向する第2絶縁部32と、を備える。交流端子導体8の一部は、第1絶縁部31と第2絶縁部32の間の空間に配置される。そのため、第1導体部21や第2導体部22を単独で扱うのではなく、第1絶縁部31や第2絶縁部32と一体かさせてから組み立てることによりパワー半導体装置300の生産性を向上できる。また大電流が流れる第1導体部21や交流端子導体8などを第1絶縁部31および第2絶縁部32で挟み込むことにより、ショートを防止し信頼性を向上することができる。
(3)パワー半導体装置300は、正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7を備える。第1絶縁部31は、矩形状である。正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7の少なくとも一方の一部は、第1絶縁部31と第2絶縁部32の間の空間に配置される。交流端子導体8は、第1絶縁部の矩形状の一辺側から突出する。正極側の直流端子導体6および負極側の直流端子導体7の少なくとも一方は、第1絶縁部31の矩形状の一辺とは異なる他辺側から突出する。そのため矩形の異なる2辺に直流端子導体と交流端子導体8が配されるので、これらにより第1絶縁部31と第2絶縁部32との間隔を一定にできる。
(4)パワー半導体装置300は、交流端子導体8の一部と第1導体部21及び第2導体部22と接続する半田材5aおよび5bと、交流端子導体8の一部に接触され、第1絶縁部31と第2絶縁部32の配列方向における当該交流端子導体8の一部の位置を調整する半田ボール5cと、直流端子導体6,7の一部に接触され、第1絶縁部31と第2絶縁部32の配列方向における当該直流端子導体6,7の一部の位置を調整する半田ボール5cと、を備える。そのため半田に半田含ませるボール5cの直径を変化させることで、交流端子導体8と第1絶縁部31や第2絶縁部32との距離や、直流端子導体6,7と第1絶縁部31や第2絶縁部32との距離を調整できる。
(5)パワー半導体装置300は、交流端子導体8の一部を挟むように形成される第1放熱ベース41および第2放熱ベース42を備える。そのため交流端子導体8を効率よく冷却できる。
(6)第1放熱ベース41および第2放熱ベース42は第1フィン41Fおよび第2フィン42Fを有する。第1放熱ベース41および第2放熱ベース42の配列方向から見た場合に、第1フィン41Fおよび第2フィン42Fは、交流端子導体8の一部と重なる位置に形成される。そのため交流端子導体8をさらに効率よく冷却できる。また第1フィン41Fおよび第2フィン42Fを押圧することで、交流端子導体8を鉛直方向から挟み込む力が働き、パワー半導体装置300を効率よく作成できる。仮に第1フィン41Fおよび第2フィン42Fが交流端子導体8の一部と全く重ならない位置に形成されると、放熱の効率が悪化するだけでなく、次の問題がある。すなわち、第1フィン41Fおよび第2フィン42Fを押圧した際に交流端子導体8には曲げ応力が働き、十分な接着の力が得られない恐れがある。
(変形例1)
上述した実施の形態では、半田ボール5cを用いて第1絶縁部31と第2絶縁部32の間隔を一定とした。しかし半田ボール5cの代わりに所定の直径を有するワイヤを用いてもよい。このワイヤはたとえば銅製である。
(変形例2)
上述した実施の形態では、図7において2並列の構成を示した。しかし並列に構成されなくてもよいし、3以上を並列に構成してもよい。
(変形例3)
上述した実施の形態では、交流端子導体8と直流端子導体6,7は、矩形である第1絶縁部31の対向する辺から突出した。しかし交流端子導体8と直流端子導体6,7は、矩形である第1絶縁部31の隣接する辺から突出してもよい。すなわち交流端子導体8と直流端子導体6,7は、同一の辺から突出しなければよい。
上述した実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
5c 半田ボール(第1調整部材、第2調整部材)
6 正極側の直流端子導体
7 負極側の直流端子導体
8 交流端子導体
10 半導体素子
21 第1導体部
22 第2導体部
31 第1絶縁部
32 第2絶縁部
41 第1放熱ベース
41F 第1フィン
42 第2放熱ベース
42F 第2フィン
43 インバータ回路部
46 下基板
47 上基板
300 パワー半導体装置
800 インバータ回路

Claims (6)

  1. 導体である第1導体部と、
    前記第1導体部とは異なる導体である第2導体部と、
    前記第1導体部に実装されかつインバータ回路の上アームを構成する第1半導体素子と、
    前記第1導体部に実装されかつ前記インバータ回路の下アームを構成する第2半導体素子と、
    前記上アームおよび前記下アームに交流電流を伝達する交流端子導体と、を備え、
    前記交流端子導体の一部は、前記第1導体部と前記第2導体部の間の空間に配置されかつ当該第1導体部と当該第2導体部との間の電流伝達路となり、
    前記第1導体部、前記第2導体部、前記交流端子導体、前記第1半導体素子、および前記第2半導体素子はXY平面に広がり、
    前記交流端子導体、前記第1半導体素子、および前記第2半導体素子は、前記XY平面に垂直なZ方向に重ならない、パワー半導体装置。
  2. 請求項1に記載されたパワー半導体装置において、
    前記第1導体部と接続される第1絶縁部と、
    前記第2導体部と接続されかつ前記第1絶縁部と対向する第2絶縁部と、をさらに備え、
    前記交流端子導体の一部は、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部の間の空間に配置されるパワー半導体装置。
  3. 請求項2に記載のパワー半導体装置において、
    直流電流を伝達する直流端子導体をさらに備え、
    前記第1絶縁部は、矩形状を為し、
    前記直流端子導体の一部は、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部の間の空間に配置され、
    前記交流端子導体は、前記第1絶縁部の前記矩形状の一辺側から突出し、
    前記直流端子導体は、前記第1絶縁部の前記矩形状の前記一辺とは異なる他辺側から突出するパワー半導体装置。
  4. 請求項3に記載のパワー半導体装置において、
    前記交流端子導体の一部と前記第1導体部及び前記第2導体部と接続する半田材と、
    前記交流端子導体の一部に接触され、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部の配列方向における当該交流端子導体の一部の位置を調整する第1調整部材と、
    前記直流端子導体の一部に接触され、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部の配列方向における当該直流端子導体の一部の位置を調整する第2調整部材と、をさらに備えるパワー半導体装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のパワー半導体装置において、
    前記交流端子導体の一部を挟むように形成される第1放熱ベースおよび第2放熱ベースをさらに備えるパワー半導体装置。
  6. 請求項5に記載のパワー半導体装置において、
    前記第1放熱ベースおよび前記第2放熱ベースの少なくとも一方はフィンを形成し、
    前記第1放熱ベースおよび前記第2放熱ベースの配列方向から見た場合に、前記フィンは、前記交流端子導体の一部と重なる位置に形成されるパワー半導体装置。
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