JP6929176B2 - 立体成型物の製造方法 - Google Patents
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さらに製品としての表面保護や意匠性の向上のため、ハードコート材料を設ける方法が行われている。
例えば特許文献1には、成型用積層ハードコートフィルムの発明が記載されている。特許文献1に記載のハードコートフィルムは、活性エネルギー線硬化性樹脂を含む。
すなわち、本発明は射出成型工程を備えるフィルムラミネート成型において、被着体の表面の形状に沿ってハードコート層を簡素な工程により短時間で接着することができる、立体成型物の製造方法を提供することを目的とする。
[1]少なくともハードコート前駆体層、接着シート層をこの順で備える積層体を加熱して変形させ、積層成型体を形成する工程と、前記積層成型体を射出成型用の金型内に設置し、射出成型する工程と、を備え、前記ハードコート前駆体層および前記接着シート層は、それぞれ熱硬化性樹脂を形成材料として含み、前記積層成型体を形成する工程において、加熱により前記ハードコート前駆体層を硬化させてハードコート層とすると共に、前記接着シート層を硬化させて接着層とし、前記ハードコート層と前記接着層とが積層した前記積層成型体を形成し、前記射出成型する工程において、前記積層成型体の前記ハードコート層側が前記金型の内壁に接し、前記積層成型体の前記接着層側が前記金型の金型内空隙側に面するように、前記金型内に前記積層成型体を設置して射出成型する立体成型物の製造方法。
[2]前記接着シート層の形成材料が、アクリル系ポリマーを含む、[1]に記載の立体成型物の製造方法。
[3]前記ハードコート前駆体層の形成材料が熱重合開始剤(A)を含み、前記接着シート層の形成材料が熱重合開始剤(B)を含む、[1]又は[2]に記載の立体成型物の製造方法。
本明細書において、「積層成型体」とは、ハードコート層、接着シート層をこの順で備える積層体の成型体を意味する。
本実施形態の立体成型物の製造方法は、少なくともハードコート前駆体層、接着シート層をこの順で備える積層体を加熱して変形させ、積層成型体を形成する工程と、前記積層成型体を射出成型用の金型内に設置し、射出成型する工程と、を備え、前記ハードコート前駆体層および前記接着シート層は、それぞれ熱硬化性樹脂を形成材料として含み、前記積層成型体を形成する工程において、加熱により前記ハードコート前駆体層を硬化させてハードコート層とすると共に、前記接着シート層を硬化させて接着層とし、前記ハードコート層と前記接着層とが積層した前記積層成型体を形成し、前記射出成型する工程において、前記積層成型体の前記ハードコート層側が前記金型の内壁に接し、前記積層成型体の前記接着層側が前記金型の金型内空隙側に面するように、前記金型内に前記積層成型体を設置して射出成型する。
以下、本実施形態の各構成について説明する。
本実施形態においては、まず、少なくともハードコート前駆体層、接着シート層、をこの順で備える積層体を立体成型、積層成型体を形成する。本実施形態に用いる積層体は、ハードコート前駆体層と接着シート層を必須の層をして備えていればよいが、積層体はハードコート前駆体層、任意の基材層、接着シート層、任意の離型シート、任意の保護フィルム層から構成されることが好ましい。
図3(a)に本実施形態に用いる積層体30の一例を示す。積層体30は、離型シート10、接着シート層11、基材層20、ハードコート前駆体層21、任意の保護フィルム層22とをこの順で備える。積層体30は、最外層に離型シート10を有する。
離型シートは、熱成型をした際に樹脂の延展性がよい材料であれば特に限定されない。熱成型をした際の延展性が良好であると、積層体の接着シートを離型シートで保護した状態で立体成型をすることができる。このような材料としては、ポリプロピレンを含む樹脂フィルムであることが好ましい。本実施形態においては、プロピレン単独重合体を主成分とし、ポリプロピレンの耐熱性を発揮できれば他の成分を含有していてもよい。本実施形態においては、融点162℃以上であるプロピレン単独重合体を99質量%以上含むことが好ましい。
接着シート層は、アクリル系ポリマーと、熱重合開始剤と、を含む接着剤原料組成物を調製し、該接着剤原料組成物から製造することが好ましい。
接着剤原料組成物は、有機溶剤に溶解している方が、より厚みの精度良く塗布することが可能となるため、有機溶剤を含むことが好ましい。接着剤原材料組成物から溶剤を乾燥することで、接着シート層が得られる。つまり、接着剤原材料組成物の組成は、接着シート層を構成する接着性樹脂組成物の組成に、溶剤を加えたものであってもよい。接着シートは、常温では(熱硬化前)、粘着層として機能する。
アクリル系ポリマーと、重合開始剤とを混合して接着剤原料組成物を製造し、前記接着剤原料組成物を離型シート12上に塗布し、さらに他の離型シート10を重ねて挟持し、接着シート層11が、離形シート10及び12で挟持された接着シート挟持体1を製造する工程を有することが好ましい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマーは、エステル基(−COO−)を有するアクリル系モノマー、カルボキシル基(−COOH)を有するアクリル系モノマー、アミド基(−CONR2,Rは水素原子又はアルキル基等の置換基)を有するアクリル系モノマー、ニトリル基(−CN)を有するアクリル系モノマー、オレフィン類、スチレン、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルシラン等の非アクリル系モノマーが挙げられる。アクリル系ポリマーは、2種以上のモノマーからなる共重合体が好ましい。光重合前におけるアクリル系ポリマーの数平均分子量は、例えば5〜100万程度が好ましい。粘度は、例えば1000〜10000mPa・s程度が挙げられる。
アミド基(−CONR2,Rは水素原子又はアルキル基等の置換基)を有するアクリル系モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
ニトリル基(−CN)を有するアクリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
アクリル系モノマー又はアクリル系オリゴマーのうち、アクリル系モノマーとしては、前記アクリル系ポリマーを構成するモノマーと同様なモノマー、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基を含有する(メタ)アクリレート、アクリルアミド等の1種又は2種以上が挙げられる。1分子中の(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基の数は、ひとつでも2以上でもよい。
熱重合開始剤としては、熱により分解して、モノマーの重合(ラジカル重合)と樹脂の硬化を開始するラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤としては、接着シートの取り扱いを容易にする観点では、(有機)過酸化物系、アゾ系等が好ましい。
例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート化合物等の架橋剤(硬化剤)は、アクリル系ポリマーを、又はアクリルモノマー又はアクリルオリゴマーの重合により生成するポリマーを架橋させるため、好適に用いられる。この場合、必要に応じて、アクリル系ポリマー又はアクリルモノマー又はアクリルオリゴマーの少なくとも一部として、架橋剤と反応する官能基を有するポリマー又はモノマーが使用される。架橋剤と反応する官能基は、例えばイソシアネート系架橋剤の場合、水酸基やカルボキシル基等である。架橋剤の添加量は、ポリマーの官能基に対して例えば1.5当量以下が好ましい。
架橋剤(硬化剤)によるアクリル系ポリマーの硬化は、被着体に貼合する前の接着シートを製造する段階で、エージングにより進行させてもよい。
基材層の材質としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなどからなる樹脂フィルムを用いることができる。ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどである。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどである。
本実施形態に使用できる基材層の材質としては、積層体成型工程において真空成型法や圧空成型法等の方法を実施した場合に、他の層の延伸に追従できる材質であることが好ましい。このため上記のなかでも延伸フィルムであることが好ましい。
本実施形態に用いることができるハードコート前駆体層の材質としては、シリコーン系、メラミン系等の熱硬化型ハードコート樹脂が使用できる。また、ハードコート前駆体層が硬化したハードコート層の厚さは、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。ハードコート層の厚さが1μmより薄いと、ハードコート性が得られず耐擦傷性が低下し易くなる。
また、ハードコート層の厚さが10μmより厚いと、ハードコート層にクラックが発生し易くなり、ハードコートフィルム自体がカールし易くなるので好ましくない。
また、ハードコート層には帯電防止剤、紫外線吸収剤などの各種の機能を付与するための添加剤を必要に応じて添加してもよい。
・熱重合開始剤(A)の熱重合開始温度のほうが、熱重合開始剤(B)の熱重合開始温度よりも高い場合:ハードコート前駆体層の硬化が接着シート層の硬化よりも後に開始する。このため、ハードコート前駆体層が曲面追従し、接着シート層が硬化して密着力が上がってからハードコート前駆体層が硬化させることができる。
・熱重合開始剤(B)の熱重合開始温度のほうが、熱重合開始剤(B)の熱重合開始温度よりも高い場合:ハードコート前駆体層の硬化が先に開始する。このため、ハードコート前駆体層が曲面に追従してから接着シート層を硬化させることができる。
保護フィルム層は、立体成型品の製造工程のから立体成型品の使用前までのいずれかの段階で剥離除去される。このため、ハードコート層への粘着剤の転移が無い(粘着剤が残らない)ように剥離可能に貼りあわされている構成とすることが好ましい。
本実施形態において、保護フィルム層の材質としては、上述の特性を有する材料であれば特に限定されないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリオレフィン系フィルム(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが好ましい。
本実施形態において、射出成型する樹脂の種類は、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。中でもアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂であることが特に好ましい。
加熱温度の下限値の一例を挙げると、100℃以上、120℃以上、150℃以上が挙げられる。また、加熱温度の上限値の一例としては、200℃以下、180℃以下、160℃以下が挙げられる。
上記加熱温度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
加熱時間の下限値の一例を挙げると、0.5分間以上、1分間以上、3分間以上が挙げられる。また、加熱時間の上限値の一例としては、10分間以下、5分間以下、1分間以下が挙げられる。
上記加熱時間の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態においては、前記積層成型体30aを形成する工程の後に、積層成型体30aの離型シート10を剥離し、接着層11aを露出させる工程を備えることが好ましい。離型シート10は前記成型体を形成する工程において、接着層11aを保護する機能を有していた層であり、積層体の成型が終了した後に、離型シート10を剥離して除去し、接着層11aを露出させる。
本実施形態においては、積層成型体30aを形成する後、又は剥離工程後の積層成型体30aを、接着層11aが金型内空隙側となるように射出成型金型内に設置し、積層成型体30aの接着層11a側の面に対して金型内に樹脂を射出する射出成型工程を備える。
図3(c)に示すように、金型内空隙34c側となるように、金型34aと金型34bとの間に離型シートを剥離した積層成型体30aを設置する。金型34aは、樹脂をインサートするためのスプルー35を備える。
このときに、溶融樹脂35aの熱量によって、さらに、接着層11aの重合が進み、接着層11aと溶融樹脂とが融着して貼りあわされる。
接着層11a、及び基材層20は射出成型機の金型の形状に沿って予め成型されているため、射出成型時に樹脂が隙間なくインサートされ、金型の形状に沿った成型品を製造することができる。
本工程により製造される立体成型物1の断面図を図3(e)に示す。成型品30bは、樹脂層35b、接着層11a、基材層20、ハードコート層21a、任意の保護フィルム層22をこの順で備える。
Claims (4)
- 少なくともハードコート前駆体層、接着シート層をこの順で備える積層体を加熱して変形させ、積層成型体を形成する工程と、
前記積層成型体を射出成型用の金型内に設置し、射出成型する工程と、を備え、
前記ハードコート前駆体層および前記接着シート層は、それぞれ熱硬化性樹脂を形成材料として含み、
前記積層成型体を形成する工程において、加熱により前記ハードコート前駆体層を硬化させてハードコート層とすると共に、前記接着シート層を硬化させて接着層とし、前記ハードコート層と前記接着層とが積層した前記積層成型体を形成し、
前記射出成型する工程において、前記積層成型体の前記ハードコート層側が前記金型の内壁に接し、前記積層成型体の前記接着層側が前記金型の金型内空隙側に面するように、前記金型内に前記積層成型体を設置して射出成型する立体成型物の製造方法であって、
前記接着シート層は熱重合開始剤を含む接着剤原料組成物から形成され、
前記熱重合開始剤の重合開始温度は、前記射出成型する工程における樹脂の溶融温度よりも10℃以上50℃以下低い、立体成型物の製造方法。 - 前記ハードコート前駆体層の形成材料が熱重合開始剤(A)を含み、前記接着シート層の形成材料が熱重合開始剤(B)を含む、請求項1に記載の立体成型物の製造方法。
- 少なくともハードコート前駆体層、接着シート層をこの順で備える積層体を加熱して変形させ、積層成型体を形成する工程と、
前記積層成型体を射出成型用の金型内に設置し、射出成型する工程と、を備え、
前記ハードコート前駆体層および前記接着シート層は、それぞれ熱硬化性樹脂を形成材料として含み、
前記積層成型体を形成する工程において、加熱により前記ハードコート前駆体層を硬化させてハードコート層とすると共に、前記接着シート層を硬化させて接着層とし、前記ハードコート層と前記接着層とが積層した前記積層成型体を形成し、
前記射出成型する工程において、前記積層成型体の前記ハードコート層側が前記金型の内壁に接し、前記積層成型体の前記接着層側が前記金型の金型内空隙側に面するように、前記金型内に前記積層成型体を設置して射出成型する立体成型物の製造方法であって、
前記ハードコート前駆体層の形成材料が熱重合開始剤(A)を含み、前記接着シート層の形成材料が熱重合開始剤(B)を含み、
前記熱重合開始剤(A)の熱重合開始温度と、前記熱重合開始剤(B)の熱重合開始温度との差は15℃以内である、立体成型物の製造方法。 - 前記接着シート層の形成材料が、アクリル系ポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体成型物の製造方法。
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