JP6928956B2 - L型壁用構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、L型壁用構造体に関する。
例えば車両などからの騒音を遮るために鉄道の軌条、道路などに沿って壁を構築するための壁用構造体がある。壁用構造体としては、特許文献1、2に記載の技術がある。特許文献1には、所定の間隔で立設された溝型支柱の間にパネルを配置し、パネルの各端部を各溝型支柱の対向するフランジ部間にそれぞれ挿入するようにした壁構造が開示されている。特許文献2には、高架橋躯体のはね出し部の先端の地覆部の上に、軌条方向に沿って並べられるFRP(Fiber-Reinforced Plastics)製の壁用構造体が開示されている。
特開2000−257027号公報 特許第4709305号明細書
特許文献1では、支柱に対してパネルを固定するための構成部材が多く、現地での施工に手間がかかっていた。また、特許文献1の技術では、パネルを支柱に固定するボルトが、高架橋の上部側で露出しているため、ボルトが腐食するおそれがある。また、壁用構造体は、はね出し部に固定されているため、はね出し部にかかる負荷を軽減することが検討されている。
本発明は、曲げ剛性を保持しつつ軽量化が図られ、躯体にかかる負荷を軽減することが可能なL型壁用構造体を提供することを目的とする。
本発明は、第1方向から見てL型を成す本体を含むL型壁用構造体であって、前記本体は、前記第1方向と交差する第2方向に延在する中空の第1箱形構造と、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延在する中空の第2箱形構造と、を備え、前記1箱形構造及び前記第2箱形構造によってL型を成し、前記第1箱形構造は、躯体に対向して配置される取付面を構成し、取付孔が形成された当接面板と、前記当接面板の前記取付面とは反対側から第2方向に延びる取付部と、を備え、前記取付部は、前記第3方向において外側から内側に凹む凹部を含み、前記取付孔は、前記第2方向に連続し、前記凹部の内側まで連通されている。
このL型壁用構造体では、中空の箱形構造を有するので、軽量化を図ることができる。また、L型壁用構造体の本体は、L型を成しているので、第2方向に延在する第1箱形構造の当接面板を躯体の梁や支柱に対して固定することができる。そのため、L型壁用構造体をはね出し部(張出部)に固定せずに、躯体に対して設置することができるので、躯体に作用する負荷を低減できる。また、取付部において、取付孔が凹部まで連通されているので、凹部の内側に設置工具を挿入して、外面側から固定ナットの締め付け作業を行うことができる。これにより、作業性を向上することができる。また、外面側から視認することで、固定ナットの緩みを解消することができる。また、中空の箱形構造が採用されているので、曲げ剛性を保持しつつ軽量化を図ることができる。
また、前記取付部は、板厚方向を前記第1方向とし、前記第1方向に離間する一対の取付部側板と、板厚方向を前記第3方向とし、前記一対の取付部側板同士を連結する取付部天板と、を備え、前記第3方向において、前記取付部天板とは反対側は、外部に対して開放されている構成でもよい。
また、前記取付部は、前記第2方向において、当接面板と対向し、前記取付孔が形成された取付部座板を備え、前記当接面板と取付部座板との間には、前記第2方向に延在し、前記取付孔を構成する筒状の鞘管が配置されている構成でもよい。この構成では、鞘管を備えているので、固定時の締め付け圧縮力を受けることができる。そのため、強固にナットを締め付けることができる。
また、前記第1箱形構造は、板厚方向を前記第3方向とし、前記第2方向に延在する第1面板と、板厚方向を前記第3方向とし、前記第2方向に延在し、前記第3方向において、前記第1面板と対向する第2面板と、を備える構成でもよい。
また、前記第3方向における前記第1面板と前記第2面板との距離は、前記第2方向において、前記当接面板から離れるほど、短くなっている構成でもよい。この構成では、第2方向における張り出し長さが長くなるにつれて、第3方向の長さが短くなっているので、L型壁用構造体に作用する曲げ応力を受けつつ、軽量化を図ることができる。
また、第2箱形構造は、板厚方向を前記第2方向とし、前記第3方向に延在する第3面板と、板厚方向を前記第2方向とし、前記第3方向に延在し、前記第2方向において、前記第3面板と対向する第4面板と、を備える。
また、前記本体は、第1方向から見てL型を成す複数の内包リブを備え、前記複数の内包リブは、前記第1方向に離間して配置され、前記第1箱形構造から前記第2箱形構造まで連続して形成され、前記内包リブは、板厚方向を前記第1方向とするウエブと、 前記ウエブの幅方向の両端部から前記第1方向に張り出す一対のフランジとして、第1フランジ及び第2フランジを有し、前記第1箱形構造において、前記第1フランジは、前記第1面板に接合され、前記第2フランジは、前記第2面板に接合され、前記第2箱形構造において、前記第1フランジは、前記第3面板に接合され、前記第2フランジは、前記第4面板に接合されている構成でもよい。この構成では、内包リブを備えるので、曲げ剛性及び曲げ強度の向上を図ることができる。
また、前記第2箱形構造は、前記第1方向おいて、前記取付部の位置に対応して配置された内包ボックスを備え、前記内包ボックスは、板厚方向を前記第1方向とし、前記第1方向に離間する一対のボックス側板と、板厚方向を前記第2方向とし、前記一対のボックス側板間で、前記第3面板に当接するボックス天板と、を有し、前記内包リブは、前記第1方向において、前記内包ボックス及び前記取付部を挟んで配置され、前記ウエブは、前記ボックス側板に接合されていると共に、前記取付部側板に接合されている構成でもよい。この構成では、内包ボックスを備え、この内包ボックスと取付部の側面とを挟んで、内包リブと内包ボックスとを一体化すると共に、内包リブと取付部とを一体化することができる。これにより、風荷重の曲げ力によって作用する応力を、内包リブを介して好適に分散させることができる。これにより、内包リブの横倒れ座屈を防止することができる。
また、ウエブは、前記第2面板と前記取付部側板とのコーナ部において、前記取付部側板との間に隙間を形成する凹み形状である第1逃げ部と、前記第3面板と前記ボックス側板とのコーナ部において、前記ボックス側板との間に隙間を形成する凹み形状である第2逃げ部とを含む構成でもよい。この構成では、内包リブのウエブに凹み形状が設けられているので、内包リブが、取付部側板と底面板とのコーナ部のR部に乗り上げることが防止される。ウエブとR部との接触が回避されるので、フランジと底面板との接合強度の向上を図ることができる。同様に、内包リブが、ボックス側板と背面板とのコーナ部のR部に乗り上げることが防止される。ウエブとR部との接触が回避されるので、フランジと底面板との接合強度の向上を図ることができる。
また、本体は、FRP製であることが好ましい。これにより、曲げ剛性を保持しつつ軽量化を更に図ることができる。
また、第2箱形構造から、第2方向において外方に張り出すブラケットを備え、ブラケットには、第3方向における本体の位置を調整可能な位置調整部が設けられている構成でもよい。 この構成では、本体の第3方向における位置を調整することができる。
また、第1方向において隣接する前記本体同士の間の隙間を覆うように配置された塞ぎ部材を備え、前記塞ぎ部材は、前記第3方向である上下方向に延在し、前記隙間を前記第2方向から覆う第1塞ぎ板と、前記第1塞ぎ板から前記第2方向に屈曲されて、前記第2箱形構造の天頂板に当接する第2塞ぎ板と、を備える構成でもよい。この構成では、第1方向に隣接する本体同士の隙間を塞ぐことで、隙間からの走行音の漏れを防止することができる。
また、前記当接面板の板厚方向は前記第2方向であり、前記当接面板は、前記躯体の側面に対向して配置される構成でもよい。
本発明によれば、曲げ剛性を保持しつつ軽量化が図られ、躯体にかかる負荷を軽減することが可能なL型壁用構造体を提供することができる。
実施形態に係るL型壁用構造体が高架橋に設置された状態を示す斜視図である。 実施形態に係るL型壁用構造体を示す斜視図である。 L型壁用構造体の内部に配置された内包リブ示す斜視図である。 L型壁用構造体の内部に配置された内包ボックス示す部分切欠斜視図である。 内包リブを配置する前の状態のL型壁用構造体を示す部分切欠斜視図である。 内包リブを配置した後の状態のL型壁用構造体を示す部分切欠斜視図である。 L型壁用構造体の水平部の構造を示す部分切欠斜視図である。 図8(a)は、L型壁用構造体の水平部における第2方向に直交する面の断面図である。図8(b)は、図8(a)の部分拡大図である。 図9(a)L型壁用構造体の垂直部における第3方向に直交する面の断面図である。図9(b)は、図9(a)の部分拡大図である。 L型壁用構造体の水平部の第1方向に直交する面の断面図である。 L型壁用構造体の水平部を下方から示す底面図である。 L型壁用構造体にブラケットを設置した状態を示す断面図であり、第1方向に直交する面の断面図である。 ブラケットを設置した状態のL型壁用構造体を示す斜視図である。 L型壁用構造体に隙間プレートおよびエプロンを設置した状態を示す断面図であり、第1方向に直交する面の断面図である。 図15(a)は、隙間プレートを示す部分切欠斜視図である。図15(b)は、図15(a)のA−A線に沿って切った断面を示す断面図である。図15(c)は、図15(a)のB−B線に沿って切った断面を示す断面図である。 隙間プレートを配置した状態のL型壁用構造体を示す斜視図である。 横リブを配置した状態のL型壁用構造体を示す部分切欠斜視図である。 L型壁用構造体の内部に配置された内包ボックスの接合状態を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(高架橋)
まず、図1を参照して、L型壁用構造体100が設置される高架橋1について説明する。説明の便宜上、直交する3方向を第1方向X、第2方向Y、第3方向Zとする。第1方向Xは、高架橋1の軌条2が延在する方向であり、L型壁用構造体100の幅方向である。第2方向Yは、高架橋1の幅員方向であり、L型壁用構造体100の水平部100Hの張り出し長さ方向である。第3方向Zは、高架橋1の上下方向であり、L型壁用構造体100の垂直部100Vの高さ方向である。
高架橋1は、第1方向Xに延在している。高架橋1は、第1方向Xに延在する主桁(梁部、躯体)3を備え、主桁3は、第3方向Zに延在する複数の柱部7によって支持されている。はね出し部4は、主桁3上に形成され、第2方向Yに所定の幅を有し、第1方向Xに延在している。はね出し部4の第2方向Yの両端部には、上方に突出する地覆部5が形成されている。はね出し部4上に軌条2が配置されている。また、主桁3の側面には、アンカーボルト310が形成されている。主桁3の側面は、第2方向Yにおいて、外側を向く面である。アンカーボルト310は、第2方向Yの外側に向かって張り出している。
(L型壁用構造体100)
次に、L型壁用構造体100について説明する。L型壁用構造体100は、中空の箱形を含む。L型壁用構造体100は、第1方向Xから見てL字状を成すように形成されている。L型壁用構造体100は、第2方向Yに延びる水平部100Hと、水平部100Hの端部から第3方向Zに上方に延びる垂直部100Vとを備える。L型壁用構造体100は、第1方向Xに所定の幅を有する。L型壁用構造体100の本体は、第2方向に延在する中空の第1箱形構造である水平部100Hと、第3方向Zに延在する中空の第2箱形構造である垂直部100Vと、を備える。
図1及び図2に示されるように、L型壁用構造体100は、当接面板300、上面板(第1面板)110、前面板(第3面板)120、底面板(第2面板)130、背面板(第4面板)140、一対の側面板150、天頂板160を備える。上面板110及び底面板130は、第3方向Zに対向し、前面板120及び背面板140は、第2方向Yに対向している。一対の側面板150は、第1方向Xに対向している。
水平部100Hは、当接面板300、上面板110、底面板130、及び一対の側面板150の水平部分を含み、第2方向Yに延在する箱形を形成する。垂直部100Vは、前面板120、背面板140、天頂板160、及び一対の側面板150の垂直部分を含み、第3方向Zに延在する箱形を形成する。また、L型壁用構造体100は、アンカーボルト310に取り付けられる取付部200を有する。取付部200は、水平部100Hに設けられている。
(当接面板300)
図2及び図5に示されるように、当接面板300は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、主桁3の側面に対向する取付面を構成する。当接面板300は、第2方向Yから見て、矩形を成している。当接面板300は、第1方向Xを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。当接面板300の長辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。当接面板300の短辺は、主桁3の第3方向Zの長さ(高さ)に対応している。当接面板300の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。当接面板300は、高架橋1に取り付けられた状態において、主桁3の側面に当接する。また、当接面板300には、板厚方向に貫通する複数の取付孔190が形成されている。
(上面板110)
上面板110は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、はね出し部4の底面に対向する面を構成する。上面板110は、当接面板300の上辺から第2方向Yの外側に向かって延在している。上面板110は、第3方向Zから見て矩形を成している。上面板110は、第2方向Yを長辺とし、第1方向Xを短辺とする長方形を成している。上面板110の短辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。上面板110の長辺は、はね出し部4の第2方向Yにおける張り出し長さに対応している。上面板110の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。また、上面板110は、第2方向Yにおいて、外側の部分が、内側の部分に対して傾斜するように形成されていてもよい。上面板110の第2方向Yの外側の部分は、外側に向かうにつれて上方へ傾斜していてもよい。
(前面板120)
前面板120は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、はね出し部4の外側において、軌条2側に向く面を構成する。前面板120は、上面板110の第2方向Yの外側の短辺から第3方向Zに上方に延在している。前面板120は、第2方向Yから見て矩形を成している。前面板120は、第3方向Zを長辺とし、第1方向Xを短辺とする長方形を成している。前面板120の短辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。前面板120の長辺は、垂直部100Vの高さに対応している。前面板120の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。
(底面板130)
底面板130は、板状を成し、高架橋1に取付られた状態において、下方を向く面を構成する。底面板130は、当接面板300の下辺から第2方向Yの外側に向かって延在している。底面板130は、第3方向Zから見て矩形を成している。底面板130は、第2方向Yを長辺とし、第1方向Xを短辺とする長方形を成している。底面板130の短辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。底面板130の長辺は、はね出し部4の第2方向Yにおける張り出し長さに対応している。底面板130の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。底面板130は、第2方向Yにおいて、当接面板300から離れるほど、上面板110に接近するように、上方に配置されている。また、底面板130には、図7および図10に示されるように、取付部200の開口290が形成されている。
(背面板140)
背面板140は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、はね出し部4の外側において、軌条2側とは反対側に向く面を構成する。背面板140は、垂直部100Vの背面部を構成する。背面板140は、底面板130の第2方向Yの外側の短辺から第3方向Zに上方に延在している。背面板140は、第2方向Yから見て矩形を成している。背面板140は、第3方向Zを長辺とし、第1方向Xを短辺とする長方形を成している。背面板140の短辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。背面板140の長辺は、垂直部100Vの高さに対応している。背面板140の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。
(側面板150)
側面板150は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、第1方向Xに交差する面を構成する。側面板150は、第1方向Xから見て、L字状を成している。側面板150の水平部分150Hは、当接面板300の短辺から第2方向の外側に向かって延在している。水平部分150Hは、第3方向において、上面板110の長辺と、底面板130の長辺とに連結されている。水平部分150Hは、当接面板300から離れるにつれて、第3方向に沿う幅が狭くなっている。水平部分150Hの第2方向の長さは、上面板110及び底面板130の第2方向Yにおける長さに対応している。側面板150の板厚方向は、第1方向Xに沿うように形成されている。
側面板150の垂直部分150Vは、水平部分150Hから第3方向Zに上方に向かって延在している。垂直部分150Vは、天頂板160の短辺に連結されている。垂直部分150Vは、第2方向Yにおいて、前面板120の長辺と、背面板140の長辺とに連結されている。垂直部分150Vは、第1方向Xから見て、縦長の長方形を成している。垂直部分150Vの第3方向Zの長さは、前面板120及び背面板140の第3方向Zの長さに対応している。
(天頂板160)
天頂板160は、板状を成し、高架橋1に取り付けられた状態において、第3方向Zに交差する面を構成する。天頂板160は、第3方向Zから見て、矩形を成している。天頂板160は、第1方向Xを長辺とし、第2方向Yを短辺とする長方形を成している。天頂板160の長辺は、L型壁用構造体100の幅に対応している。天頂板160の短辺は、垂直部100Vの厚みに対応している。天頂板160の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。
(取付部200)
図1に示されるように、L型壁用構造体100は、片持ち支持の構造体であり、主桁3の側面3aに対して取り付けられている。L型壁用構造体100は、例えば主桁3の側面3aのみに取り付けられている。L型壁用構造体100は、主桁3の側面3aに取り付けられる取付面として当接面板300を備える。
L型壁用構造体100は、図11に示されるように、複数の取付部200を有する。複数の取付部200は、水平部100Hに設けられている。複数の取付部200は、第1方向Xに所定の間隔で設けられている。取付部200は、取付部天板210、取付部座板211、取付部側板212、一対の取付部側板212、取付部傾斜板213を備える。取付部200は、底面板130から第3方向Zに上方に凹む(凹部を含む)形態を成している。取付部200は、第1方向Xから見て、台形状をなし、第3方向Zから見て長方形を成している。取付部200は、例えば3つ形成され、第1方向Xにおいて中央に配置された200は、その外側に配置された取付部200より、第2方向Yにおいて長い。
(取付部天板210)
取付部天板210は、板状を成し、第3方向Zから見て、長方形を成している。取付部天板210は、第2方向Yを長辺とし、第1方向Xを短辺とする。取付部天板210は、取付部200の天井部を構成する。取付部天板210は、第3方向Zより底面板130より上方に配置されている。取付部天板210は、上面板110の内面(裏面)に当接して、上面板110と一体化(接合)されている。取付部天板210の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。
(取付部座板211)
取付部座板211は、板状を成し、第2方向Yから見て、長方形を成している。取付部座板211は、第3方向Zを長辺とし、第1方向Xと短辺とする。取付部座板211は、取付部天板210の当接面板300側の短辺から下方に延びている。取付部座板211は、第3方向Zにおいて、取付部天板210及び底面板130に連結されている。取付部座板211の第1方向Xに沿う幅は、取付部天板210の短辺の長さに対応している。取付部座板211は、第2方向Yにおいて、当接面板300と対向している。取付部座板211は、第2方向Yにおいて、当接面板300より外側に配置されている。取付部座板211の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。また、取付部座板211には、板厚方向に貫通する取付孔190が形成されている。取付部座板211は、取付部200の内壁Aを構成する。
(取付部傾斜板213)
取付部傾斜板213は、板状を成し、板厚方向から見て長方形を成している。取付部傾斜板213は、図10に示されるように、取付部天板210に対して傾斜して配置されている。取付部側板212は、取付部天板210の第2方向Yの外側の短辺から斜め下方に延びている。取付部側板212は、第2方向Yにおいて、当接面板から離れるほど、下方に配置されるように傾斜している。取付部傾斜板213は、取付部座板211及び底面板130に連結されている。取付部傾斜板213の第1方向Xに沿う幅は、取付部天板210の短辺の長さに対応している。取付部傾斜板213は、取付部200の内壁Bを構成する。
(取付部側板212)
一対の取付部側板212は、板状を成し、第1方向Xに対向して配置されている。取付部側板212は、第3方向Zにおいて、取付部天板210及び底面板130に連結され、第2方向Yにおいて、取付部座板211及び取付部傾斜板213に連結されている。取付部側板212の板厚方向は、第1方向Xに沿うように配置されている。取付部側板212は、取付部200の内壁Cを構成する。
(鞘管220)
鞘管220は、図5及び図10に示されるように、当接面板300と取付部座板211とに連結されている。鞘管220は、筒状を成し取付孔190の内壁面を構成する。L型壁用構造体100を高架橋1に取り付けた状態において、アンカーボルト310を挿通させる開口部を構成する。鞘管220は、第2方向Yから見て第3方向Zを長手方向とする長穴を構成する。鞘管220は、固定時のアンカーボルト310の締付力に対応した圧縮強度を有する断面性能を有する。鞘管220は、取付部座板211に対応してそれぞれ設けられ、取付部200において、合計3箇所に配置されている。
以上説明したように、取付部200は、取付部天板210、内壁A、内壁B、内壁Cから形成され、底面板130から上方に凹む凹部(開口290)として形成されている。取付部200及び取付孔190の数量は、例えば3個として例示しているが、その他の数量でもよい。取付部200及び取付孔190の数量は、L型壁用構造体100の大きさ(例えば、幅(X)方向の長さ)及び支持条件によって決まり、例えば1個でもよく、4個以上でもよい。同様にアンカーボルト310の本数は、1個の取付孔190に対して、3本として例示しているが、1個の取付孔190に対して2本以下でもよく、4本以上でもよい。
また、図11に示されるように、取付部200の開口290の開口長さKLは、第2方向Yに沿う長さである。第1方向Xの中央の開口290の開口長さKLと、外側の開口290の開口長さKLとが異なっている。これは、後述する内包リブ170のウエブ171が、取付部天板210に当接する長さに関係している。また、第1方向Xの中央の開口の開口290の開口長さKL及び開口幅KWは、L型壁用構造体100を固定する際に利用される締め付け電動工具の大きさに関係している。開口幅KWは、第1方向Xに沿う長さである。
(L型壁用構造体100の設置構造)
L型壁用構造体100を躯体(例えば主桁3)に取り付けるための設置構造について説明する。L型壁用構造体100は、取付先の高架橋1の躯体の主桁3から突出するアンカーボルト310及びナット340を用いて、取り付けられる。アンカーボルト310を取付孔190(鞘管220)に挿通させて、取付部座板211から突出するアンカーボルト310の先端部に対して、ベースプレート320及び座金330を配置して、ナット340を嵌めて適切な力で締め付ける。これにより、L型壁用構造体100を高架橋1の主桁3に対して固定する。さらに、必要に応じて、ナット340を締め付けた後、鞘管220の開口内にグラウトを注入して固定してもよい。
(内包ボックス180)
次に、内包ボックス180について説明する。L型壁用構造体100の垂直部100Vは、図4及び図18に示される内包ボックス180を備える。内包ボックス180は、背面板140から内側に凹む凹部を構成する。内包ボックス180は、垂直部100Vにおいて下部側に設けられている。内包ボックス180は、複数設けられている。内包ボックス180の幅は、取付部200の幅(開口幅KW)と同じである。また、内包ボックス180は、第1方向Xにおける配置箇所は、取付部200と同じである。内包ボックス180は、ボックス天板181、ボックス傾斜板183、一対のボックス側板182を備える。なお、内包ボックス180として予め成形されたものを、垂直部100Vに対して配置して、樹脂を含浸した繊維機材を積層し、当接部を補強、接合してもよく、発泡コアーを心材として樹脂を含浸した補強繊維を積層してもよい。
(ボックス天板181)
ボックス天板181は、板状を成し、第1方向Xから見て、長方形を成している。ボックス天板181は、第3方向Zを長辺とし、第1方向Xと短辺とする。底面板130は、上面板110の内面(裏面)に当接して、上面板110と一体化されている。取付部天板210の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。ボックス天板181は、前面板120の内面(裏面)に当接して、前面板120と一体化(接合)されている。ボックス天板181の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。
(ボックス傾斜板183)
一対のボックス傾斜板183は、第3方向Zにおいて、ボックス天板181の両側に配置されている。ボックス傾斜板183は、板状を成し、板厚方向から見て長方形を成している。ボックス傾斜板183は、ボックス傾斜板183に対して傾斜して配置されている。上側のボックス傾斜板183は、ボックス天板181の第3方向Zの上側の短辺から斜めに上方に延びている。上側のボックス傾斜板183は、第2方向Yにおいてボックス天板181から離れるほど、上方に配置されるように傾斜している。下側のボックス傾斜板183は、ボックス天板181の第3方向Zの下側の短辺から斜め下方に延びている。下側のボックス傾斜板183は、第2方向Yにおいてボックス天板181から離れるほど、下方に配置されるように傾斜している。一対のボックス傾斜板183同士の間隔は、ボックス天板181から離れるほど拡がるように形成されている。ボックス傾斜板183の第2方向Yの外側の端部は、背面板140に連結されている。ボックス傾斜板183の第1方向Xの長さ(幅)は、ボックス天板181の第1方向Xの長さに対応している。一対のボックス傾斜板183は、内包ボックス180の上部及び下部を構成する。
(ボックス側板182)
一対のボックス側板182は、第1方向Xにおいて、ボックス天板181の両側に配置されている。ボックス側板182は、板状を成し、第1方向Xから見て、台形状を成している。ボックス側板182は、第2方向Yにおいて、ボックス天板181の長辺から、底面板130まで連続している。ボックス側板182の斜辺は、一対のボックス傾斜板183に連結されている。ボックス側板182の板厚方向は、第1方向Xに沿うように配置されている。ボックス側板182は、内包ボックス180の側部を構成する。
(内包リブ170)
次に、内包リブ170について説明する。L型壁用構造体100は、内包リブ170を備える。内包リブ170は、図6に示されるように、L型壁用構造体100の中空部に配置されている。内包リブ170は、図3に示されるように、第1方向Xから見てL字状を成している。内包リブ170は、第2方向Yに延在する水平部170Hと、第3方向に延在する垂直部170Vと、を備える。
L型壁用構造体100は、例えば4個の内包リブ170を備える。一対の内包リブ170は、第1方向Xに対向して配置されている。一対の内包リブ170は、第1方向Xにおいて、取付部200及び内包ボックス180の両側に配置されている。
内包リブ170は、ウエブ171、フランジA(第1フランジ)172及びフランジB(第2フランジ)173を備える。ウエブ171は、板状を成し、第1方向Xから見て、L字状を成すように形成されている。ウエブ171の形状は、側面板150の形状に対応している。ウエブ171の板厚方向は、第1方向Xに沿うように配置されている。ウエブ171の水平部170Hは、上面板110と底面板130とを連結するように配置されている。ウエブ171の垂直部100Vは、前面板120と背面板140とを連結するように配置されている。
フランジA172は、ウエブ171の幅方向の端部から第1方向Xに張り出している。水平部170Hにおいて、フランジA172の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。水平部170Hにおいて、図9(a)に示されるように、フランジA172は、上面板110の内面(裏面)に当接して、上面板110と一体化(接合)されている。垂直部170Vにおいて、フランジA172の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。垂直部170Vにおいて、フランジA172は、前面板120の内面(裏面)に当接して、前面板120と一体化(接合)されている。
フランジB173は、ウエブ171の幅方向の端部から第1方向Xに張り出している。フランジB173は、フランジA172と同じ向きに張り出している。水平部170Hにおいて、フランジB173の板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。水平部170Hにおいて、フランジB173は、側面板150内面(裏面)に当接して、側面板150と一体化(接合)されている。垂直部170Vにおいて、フランジB173の板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。垂直部170Vにおいて、フランジB173は、背面板140の内面(裏面)に当接して、背面板140と一体化(接合)されている。また、フランジA172及びフランジB173が張り出す向きは、隣り合う内包リブ170同士において、反対となっている。
図8(a)及び図8(b)に示されるように、垂直部170Vにおいて、ウエブ171の一部は、内包ボックス180のボックス側板182に当接している。ウエブ171及びボックス側板182は、第1方向Xに当接している。
図9(a)及び図9(b)に示されるように、水平部170Hにおいて、ウエブ171の一部は、取付部側板212に当接している。ウエブ171及び取付部側板212は、第1方向に当接している。水平部170Hにおいて、フランジB173は、底面板130と取付部側板212とが交差するコーナ部近傍に配置されている。ウエブ171は、ウエブ171と取付部側板212との間に逃げA(第1逃げ部、隙間)174を形成するように変形されている。逃げA174では、第1方向Xにおいて、ウエブ171が取付部側板212から離れるように凹んでいる。このように、底面板130と取付部側板212とが交差するコーナ部近傍に逃げA174を形成することで、フランジB173が底面板130に接合できなくなることを防止する。
図8(a)及び図8(b)に示されるように、垂直部170Vにおいて、ウエブ171の一部は、ボックス側板182に当接している。ウエブ171及びボックス側板182は、第1方向に当接している。垂直部170Vにおいて、フランジB173は、背面板140とボックス側板182との間に逃げB(第2逃げ部、隙間)175を形成するように変形されている。逃げB175では、第1方向Xにおいて、ウエブ171がボックス側板182から離れるように凹んでいる。このように、背面板140とボックス側板182とが交差するコーナ部近傍に逃げB175を形成することで、フランジB173が背面板140に接合できなくなることを防止する。
(コーナR部105)
次にコーナR部105について説明する。コーナR部105は、水平部100Hと垂直部100Vとの接続部であるコーナ部である。コーナR部105は、上面板110と前面板120との接続部、底面板130と背面板140との接続部、側面板150の屈曲部を含む。コーナR部105の曲率半径は、50mm以上200mm以下の範囲であることが好ましい。曲率半径を50mm以上とすることで、コーナR部105での応力集中を緩和することができる。曲率半径が50mm未満であると、コーナR部105での応力集中が高まり、破損するおそれがある。曲率半径が200mm以下であると、剛性への形状効果が高く、風荷重による曲げ荷重がコーナR部105に作用したときの座屈変形の誘発を緩和し、曲げたわみを抑制することができる。曲率半径が200mmを超えると、剛性への形状効果が薄れ、風荷重による曲げ荷重がコーナR部105に作用したとき座屈変形が誘発され、曲げたわみが大きくなるおそれがある。
(ブラケット400)
次にブラケット400について説明する。図12及び図13に示されるように、ブラケット400は、前面板120の外面(表面)に取り付けられると共に、地覆部5上に配置される部材である。ブラケット400は、マウント部400a、サポート部400b、スカート部400cを有する。ブラケット400の第1方向Xの長さは、L型壁用構造体100の第1方向Xの長さ(幅)に対応している。ブラケット400は、例えば金属材料(例えばステンレス鋼等)により形成されている。
マウント部400aは、板状を成し、前面板120の外面に当接する部分である。マウント部400aは、第2方向Yから見て、第1方向Xを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。マウント部400aの板厚方向は、第2方向Yに沿って配置されている。マウント部400aは、第3方向Zにおいて、ボックス天板181に対応する位置に配置されている。マウント部400aには、取付用ボルト420を挿通させる取付孔が設けられている。同様に、前面板120及びボックス天板181には、取付用ボルト420を挿通させる取付孔が形成されている。また、ボックス天板181の内面には、取付孔に対応する位置に、埋め込みナット410が予め配置されて固定されている。取付用ボルト420は、前面板120の外面側から内面側へ挿通されて、埋め込みナット410にねじ止めされている。取付用ボルト420を締め付けることで、マウント部400aは、前面板120に対して固定される。
サポート部400bは、板状を成し、地覆部5の天面に対向して配置される部分である。サポート部400bは、マウント部400aの下端部から屈曲されて、第2方向Y(軌条2側)に張り出している。サポート部400bは、第3方向Zから見て、第1方向Xを長辺とし、第2方向Yを短辺とする長方形を成している。サポート部400bの板厚方向は、第3方向Zに沿って配置されている。サポート部400bの第2方向Yにおける長さは、地覆部5の第2方向Yにおける長さ(幅)よりも少し長くなっている。サポート部400bは、第3方向Zにおいて、地覆部5との間に隙間を有するように配置されている。
サポート部400bには、アジャストボルト(位置調整部)430を挿通させる挿通孔が形成されている。サポート部400bの表面(上面)には、挿通孔に対応する位置にナットが固定されている。アジャストボルト430は、上方からナット及び挿通孔に挿通され、して、サポート部400bの裏面(下面)から下方に突き出している。アジャストボルト430の先端部は、地覆部5に突き当てられている。アジャストボルト430をねじ込むことで、地覆部5に対するサポート部400bの高さ位置を調整することができる。これにより、マウント部400aの位置を調整して、L型壁用構造体100の第3方向Zにおける位置を調整することができる。
スカート部400cは、板状を成し、地覆部5の側面(第2方向Yにおいて軌条2側の側面)に対向して配置される部分である。スカート部400cは、サポート部400bの第2方向Yにおける軌条2側の端部から屈曲されて下方に延びている。スカート部400cは、第2方向Yから見て、第1方向Xを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。スカート部400cは、地覆部5に係合可能に構成されている。例えば、ナット340が緩んで、L型壁用構造体100がずれた場合に、ブラケット400が地覆部5に引っかかり、L型壁用構造体100の落下が防止される。
(塞ぎ部材)
次に隙間プレート及びエプロンについて説明する。図16に示されるように、L型壁用構造体100は、第1方向Xに並んで配置される。第1方向Xにおいて、隣り合うL型壁用構造体100同士の間には、図15に示されるように隙間520が設けられている。このように隙間520を設けることで、L型壁用構造体100の配置の調整代として利用することができる。第1方向Xにおいて隣接するL型壁用構造体100間には、塞ぎ部材として、隙間プレート(塞ぎ部材)510及びエプロン500が配置されている。隙間プレート510及びエプロン500は、FRP製の部材である。
(エプロン500)
エプロン500は、図14に示されるように、ブラケット400を覆う部材である。エプロン500は、取付板500a、傾斜板500b、垂下板500c3を有する。エプロン500は、図16に示されるように、複数のL型壁用構造体100に跨がって配置されている。エプロン500は、第1方向Xにおいて、複数のL型壁用構造体100の幅に対応している。エプロン500は、金属材料(例えばステンレス鋼)によって形成されている。
取付板500aは、板状を成し、前面板120の外面に当接する部分である。取付板500aは、第2方向Yから見て、第1方向Xを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。取付板500aの板厚方向は、第2方向Yに沿って配置されている。取付板500aは、第3方向Zにおいて、ブラケット400のマウント部400aの上方に配置されている。取付板500aには、ブラインドボルト505を挿通させる取付孔が設けられている。同様に、前面板120には、ブラインドボルト505を挿通させる取付孔が形成されている。ブラインドボルト505を挿通させる取付孔は、第1方向Xにおいて、内包ボックス180が配置されていない位置に設けられている。また、前面板120の内面には、取付孔に対応する位置に、埋め込みナットが予め配置されて固定されている。ブラインドボルト505は、前面板120の外面側から内面側へ挿通されて、埋め込みナットにねじ止めされている。ブラインドボルト505を締め付けることで、取付板500aは、前面板120に対して固定される。
傾斜板500bは、板状を成し、マウント部400a及びサポート部400bを斜め上方から覆う部分である。傾斜板500bは、取付板500aの下端から屈曲されて、斜め下方に張り出している。傾斜板500bは、板厚方向から見て、第1方向Xを長辺とし、第2方向Yを短辺とする長方形を成している。傾斜板500bは、第2方向Yにおいて、地覆部5の側面よりも軌条2側まで延びている。
垂下板500cは、板状を成し、地覆部5の側面及びスカート部400cを覆う部分である。垂下板500cは、傾斜板500bの下端から屈曲されて可能に張り出している。垂下板500cは、第2方向Yから見て、第1方向Xを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。垂下板500cは、第3方向Zにおいて、スカート部400cの下端より下方まで延びている。
また、傾斜板500bには、コンクリート注入口507が設けられている。立ち調整が完了後、コンクリート注入口507からエプロン500とブラケット400との間の空間に、コンクリートを流し込んで固めることで、高架橋1の地覆部5に対して、ブラケット400及びエプロン500を一体化することができる。これにより、立ち調整機能を保持することができるので、ブラケット400部分の保守点検を省略することができる。その結果、保守手点検項目を削減して、保全費用を削減することができる。
(隙間プレート510)
隙間プレート510は、L型壁用構造体100間の隙間520を塞ぐ部材であり。隙間プレート510は、前面板120側で第3方向Zに延在する垂直部分と、天頂板160側で第2方向Yに延在する水平部分とを含む。隙間プレート510の長手方向に交差する断面形状は、例えばT字状を成している。隙間プレート510は、フランジ部512及びウエブ部513を備える。フランジ部512及びウエブ部513は板状を成し、交差するように配置されている。
フランジ部512の垂直部分(第1塞ぎ板)は、前面板120の外面側から隙間520を覆うように配置されている。フランジ部512の垂直部分の板厚方向は、第2方向Yに沿って配置されている。フランジ部512の垂直部分は、第2方向Yから見て、第3方向Zを長辺とし、第1方向Xを短辺とする縦長の長方形を成している。フランジ部512の垂直部分の下端は、図14に示されるように、エプロン500の取付板500aにかかる位置に配置されている。フランジ部512の垂直部分は、天頂板160に対応する高さまで延びている。
ウエブ部513の垂直部分は、第2方向において、前面板120側から隙間520内に挿入されている。ウエブ部513の垂直部分の板厚方向は、第1方向Xに沿って配置されている。ウエブ部513の垂直部分は、第1方向Xから見て、第3方向Zを長辺とし、第2方向Yを短辺とする縦長の長方形を成している。
フランジ部512の水平部分(第2塞ぎ板)は、天頂板160より上方から隙間520を覆うように配置されている。フランジ部512の水平部分の板厚方向は、第3方向Zに沿って配置されている。フランジ部512の水平部分は、第3方向Zから見て、第2方向Yを長辺とし、第1方向Xを短辺とする長方形を成している。
ウエブ部513の水平部分は、第3方向Zにおいて、天頂板160側から隙間520内に挿入されている。ウエブ部513の水平部分の板厚方向は、第1方向Xに沿って配置されている。ウエブ部513の水平部分は、第1方向Xから見て、第2方向Yを長辺とし、第3方向Zを短辺とする長方形を成している。
また、フランジ部512は、水平部分の底面板130側の端部から下方に延びる背面部分を含む。フランジ部512の背面部分は、背面板140の外面側から隙間520を覆うように配置されている。フランジ部512の背面部分の板厚方向は、第2方向Yに沿って配置されている。フランジ部512の背面部分は、第2方向Yから見て、長方形を成している。フランジ部512の背面部分の第3方向の長さは、図15(a)に示されるように、ウエブ部513の水平部分の第3方向の長さに対応している。また、ウエブ部513の水平部分の背面板140側の端部は図15(b)に示されるように、フランジ部512の背面部分に連結されている。
図14に示されるように、隙間プレート510の下端部には、スリット530が設けられている。スリット530は、フランジ部512の下端部を、ウエブ部513から離間させて形成させた隙間である。これにより、隙間プレート510を装着した状態において、フランジ部512と、前面板120との間にエプロン500の取付板500aを挿入させることができる。
この隙間プレート510は、FRP製であるため軽量で取扱性に優れ、現場で容易に施工することができ、設置の作業時間を短縮することができる。例えば、隙間プレート510を引っかけるだけで、隙間プレート510をL型壁用構造体100に設置することができる。例えば、従来の技術では、例えばリベットなどの接合方法により、塞ぎ部材を壁用構造体に接合しているため、施工時間を要していた。隙間プレート510では、下端部のスリット530に、エプロン500の上端部を差し込むことで、隙間プレート510下端部を嵌めることができる。そのため、リベットなどを現場で施工する必要がない。その結果、施工時間の短縮を図ることができる。
(横リブ177)
次に図17を参照して横リブ177について説明する。L型壁用構造体100は、横リブ177を備える構成でもよい。横リブ177は、第1方向Xに延在し、隣接する内包リブ170に連結されている。横リブ177は、第1方向Xに複数設けられ、内包リブ170と側面板150とを連結している。また、横リブ177は、第3方向Zにおいて異なる位置に複数配置されている。横リブ177は、ウエブ及び一対のフランジを含む。ウエブは、板状を成し、第3方向Zから見て長方形を成している。ウエブの板厚方向は、第3方向Zに沿うように配置されている。一対のフランジは、ウエブの幅方向の両端部から下方に延びている。ウエブの板厚方向は、第2方向Yに沿うように配置されている。前面板120側のフランジは、前面板120に当接され接合されている。背面板140側のフランジは、背面板140に当接され接合されている。
このような横リブ177が複数設けられていると、L型壁用構造体100の軽量化を図りつつ、捩れによる前面板120及び背面板140の表面が畝って凹むようなせん断変形を抑制することができる。このような横リブ177を設けることで、L型壁用構造体100の幅を長くすることができる。L型壁用構造体100の幅が短い場合には、前面板120及び背面板140が変形するおそれが低く、横リブ177を備えていない構成でもよい。
(変形例)
L型壁用構造体は、垂直部100Vにメッシュ状部分を備える構成でもよい。垂直部100Vに、前面板120及び背面板140を貫通する矩形の開口部を設け、この開口部に、例えばFRPからなるメッシュ状部分を配置する。メッシュ状部分の開口率は、例えば60%とすることができる。このようなメッシュ状部分を備えるL型壁用構造体によれば、風の圧力を減圧する防風機能を有する防風構造体を実現することができる。また、メッシュ状部分の代わりに、例えば透明板を配置してもよい。このようなL型壁用構造体では、軌条2を走行する車両から、L型壁用構造体の背面側の景色を臨むことができる。そのため、車窓からの景観を楽しむことが可能な景観重視の防音構造体を、L型壁用構造体を用いて実現することができる。また、垂直部100Vに、軌条2側から第2方向Yに所定の長さを有する細管集合体を配置してもよい。この細管集合体を配置し、この細管集合体の背後に綿状の吸音媒体、反射板(背面板140)を配置してもよい。これにより、吸音機能を備えたL型壁用構造体を構築することができる。
(繊維強化樹脂)
L型壁用構造体100の当接面板300、上面板110、側面板150、底面板130、背面板140、一対の側面板150、天頂板160、取付部200、内包ボックス180、鞘管220、内包リブ170、横リブ177は、繊維強化樹脂によって形成されている。この繊維強化樹脂は、少なくとも連続強化繊維から成る織物基材を含んでいる。
このような繊維強化樹脂で形成されたL型壁用構造体100は、「塩害」および「凍結・融解」によって生じるひび割れ(クラック)の進展を抑制できるので、耐久性が向上され、各々の板状の構造部位の面内剛性を高くすることができる。これにより、L型壁用構造体100の軽量化を図りつつ曲げ剛性を確保することができる。
また、前記各部材の板厚方向に積層される連続繊維基材の占める繊維体積含有率は、10%以上40%以下であることが好ましく、20%以上30%以下で構成されていることがより好ましい。これにより、所定の曲げ剛性を保持しつつ強度を向上させることができるので、一層の軽量化を図ることができる。繊維体積含有率は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。繊維体積含有率は、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
(繊維強化樹脂の強化繊維について)
繊維強化樹脂の強化繊維として、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などを単独で又は組み合わせて用いることができる。炭素繊維を含ませることによって、比強度・比剛性を向上させることができる。その結果、L型壁用構造体100の軽量化を一層図ることができる。
なお、強化繊維の形態としては、例えば、「繊維長が1〜3mmである短繊維やマット」、「連続繊維からなるクロス」、「ストランド」などを適宜組み合わせた基材が例示される。また、繊維強化樹脂とするためのマトリックス樹脂は特に限定しないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)、PEEK(ポリ・エーテル・エーテル・ケトン)、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
(繊維強化樹脂の成形方法)
繊維強化樹脂を成形する成形方法としては、マトリックス樹脂を用いることができる。あるいは、繊維強化樹脂を成形する成形方法としては、強化繊維の形態によっては真空、ブロー、スタンピング、BMC(バルク・モールディング・コンパウンド)、SMC(シート・モールディング・コンパウンド)、トランスファー成形、RTM(レジン・トランスファー・モールディング)、ハンドレイアップ成形などの様々な方法を用いて容易に成形することができる。
さらに、繊維強化樹脂に充填される充填材に、粘性を増すための粉体(例えば、炭酸カルシウムや砂等)の他、層状化合物(例えば、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素など)、針状化合物(例えば、ゾノトライト、チタン酸カリ、炭素繊維など)、粒状、又はシート状化合物(例えば、フェライト、タルク、クレーなど)を添加してもよい。これにより、無機物結晶同士又は無機物とマトリックスとの相互運動による摩擦熱への変換がなされる。マトリックス樹脂に対して充填材(フィラー)を充填することによって弾性率と密度が増大され、振動に対する抵抗が増し、制振特性が向上する。このようなL型壁用構造体100を壁用構造体として用いることで、振動が低減される。
このようなL型壁用構造体100では、中空の箱形構造を有するので、軽量化を図ることができる。また、L型壁用構造体100の本体は、L型を成しているので、第2方向Yに延在する水平部100Hの当接面板300を主桁3に対して固定することができる。そのため、L型壁用構造体100をはね出し部4に固定せずに、躯体に対して設置することができるので、はね出し部4に作用する負荷を低減できる。はね出し部4に作用する負荷を低減することで、はね出し部4におけるひび割れの発生を抑制し、高架橋1の信頼性の向上を図ることができる。
また、L型壁用構造体100では、取付孔190が取付部200の凹部(開口290)まで連通されているので、凹部の内側に設置工具を挿入して、外面側からナット340の締め付け作業を行うことができる。これにより、作業性を向上することができる。また、外面側から視認することで、ナット340の緩みを解消することができる。また、中空の箱形構造が採用されているので、曲げ剛性を保持しつつ軽量化を図ることができる。
また、L型壁用構造体100の水平部100Hでは、第2方向Yにおける張り出し長さが長くなるにつれて、第3方向Zの長さが短くなっているので、L型壁用構造体100に作用する曲げ応力を受けつつ、軽量化を図ることができる。
また、L型壁用構造体100では、内包リブ170を備え、内包リブ170が上面板110、前面板120、底面板130及び背面板140に連結されているので、L型壁用構造体の曲げ剛性及び曲げ強度の向上を図ることができる。
また、L型壁用構造体100では、内包ボックス180を備え、この内包ボックス180と取付部200とを挟んで、内包リブ170と内包ボックス180とを一体化すると共に、内包リブ170と取付部200とを一体化することができる。これにより、風荷重の曲げ力によって作用する応力を、内包リブ170を介して好適に分散させることができる。これにより、内包リブ170の横倒れ座屈を防止することができる。
(実施例1)
次に、実施例1にかかるL型壁用構造体100について説明する。図1及び図2に示されるL型壁用構造体100を実施例1として製造した。実施例1のL型壁用構造体100の寸法は以下の通りである。L型壁用構造体100の第1方向Xの長さ(幅)を、1[m]とした。水平部100Hの第2方向Yの長さを3[m]とした。水平部100Hの第2方向Yの長さとは、第2方向Yにおいて、当接面板300の外面から背面板140の外面までの長さである。主桁3に固定する部分の第3方向の厚さを0.5[m]とした。主桁3に固定する部分の第3方向Zの厚さとは、当接面板300の外面の第3方向Zの長さである。張り出し先端部分の第3方向Zの厚さを0.5[m]とした。張り出し先端部分の第3方向Zの厚さとは、水平部100Hの垂直部100V側の端部の第3方向Zの厚さである。垂直部100Vの第3方向の高さを5[m]とした。垂直部100Vの高さは、垂直部100Vの下端から天頂板160の外面までの長さである。垂直部100Vの第2方向の厚さを0.25[m]とした。垂直部100Vの厚さとは、第2方向Yにおいて、前面板120の外面から背面板140の外面までの長さである。
(実施例1のL型壁用構造体100の製造方法)
次に、実施例1のL型壁用構造体100の製造方法について説明する。
(使用材料)
チョップドストランドマット及びガラスロービングクロスを含む強化繊維基材を用いた。チョップドストランドマット(以下マットと称す)は、ガラス繊維を所定の長さに切断し、ランダムに分散させシート状の基材である。L型壁用構造体100に使用されたマットは、繊維目付が300[g/m]のマットMC300(商品名、日東紡株式会社製)と、繊維目付が450[g/m]のマットMC450(商品名、日東紡株式会社製)である。
ガラスロービングクロスは、ガラスロービングを縦糸・横糸に用いた織物である。L型壁用構造体100に使用された織物は、平織織物であり、繊維目付が800[g/m]のロービングクロスWR800(商品名、日東紡株式会社製)である。L型壁用構造体100の成形に使用される樹脂は、難燃性を付与するために、水酸化アルミニウムを30部加えた不飽和ポリエステル樹脂である。(以下「難燃樹脂」と称す。)予め成形した外段取り部材(内包ボックス180部材、鞘管220、内包リブ170、横リブ177)の接合に使用される樹脂は、難燃樹脂に、3[mm]の長さにカットされたガラス繊維であるフィラーを10部加えると共に、増粘材としてタルクを20部加えたパテ状の樹脂である(以下「接合樹脂」と称す)。
(成形方法)
L型壁用構造体100の成型方法として、ハンドレイアップ成形を用いた。
(第1工程)
第1工程は、外段取り部材を予備成形する工程である。外段取り部材とは、内包ボックス180、鞘管220、内包リブ170、横リブ177である。
(内包ボックス180の成形工程)
内包ボックス180を成形するための成形型1は、山形状の雄型であり、側面形状が台形を成している。成形型1の台形の上辺の長さを0.5[m]、下辺の長さを1.0[m]、高さを0.24[m]とした。成形型1の幅を0.2[m]とした。この幅は、取付部200の取付部天板210の第1方向Xと同じ長さとした。
成形型1を離型処理後、ゲルコートを成形型1に約500[g/m]〜800[g/m]塗布し、ボックス天板181、ボックス傾斜板183、両側のボックス側板182を形成しながら、成形型1に、以下の第1層〜第5層を順に積層した。
第1層:マットMC300に難燃樹脂を含浸しつつ、これを2枚積層して第1層とした。
第2層:ロービングクロスWR800に難燃樹脂を含浸しつつ積層して第2層とした。
第3層:マットMC300に難燃樹脂を含浸しつつ積層して第3層とした。
第4層:ロービングクロスWR800に難燃樹脂を含浸しつつ積層して第4層とした。
第5層:マットMC300に難燃樹脂を含浸しつつ積層して第5層とした。
また、成形型1上で樹脂を硬化させた。脱型後、ボックス天板181の内面の中央の位置に、M16の埋め込みナット410を配置し、マットMC450に難燃樹脂を含浸しつつ、埋め込みナット410を覆うように、マットMC450を2枚オーバレイして工程する工程を実施した。この工程を繰り返し、6面体の一面が開放された内包ボックス180を2体得ることができる。ここでオーバレイとは、予備成形したFRP部品や金属などの部材上に、樹脂を含浸しつつ、繊維基材を積層して補強、接合(固定)することである。
(鞘管220の成形工程)
鞘管220を成形するための成形型2は、長穴形状の一様断面のマンドレル型である。鞘管220を成形する工程では、成形型2を離型処理後、成形型2に上に、以下の第1層〜第5層を順に巻き付けながら積層した。第1層〜第5層の構成は、内包ボックス180と同じである。成形型2上で樹脂を硬化させ、脱型後、所定の長さに切断し鞘管220を得た。
(内包リブ170の成形工程)
内包リブ170を成形する際に用いる成形型3、4は、平面視においてL形形状を成している。成形型3は、U字形に凹んだ雌型であり、U字の底面部が内包リブ170のウエブ171に対応し、U字の立ち上がり部が、対向するフランジA172及びフランジB173に対応する。成形型3、4は、フランジA172及びフランジB173が張り出す向きが異なっている。成形型3、4を離型処理後、フランジA172、フランジB173を形成しながら、成形型3、4上に、第1層〜第5層を順に積層した。第1層〜第5層の構成は、内包ボックス180と同じである。成形型3上で樹脂を硬化させ、脱型後、バリなどをトリミングして一対の内包リブ170を得た。
(横リブ177の成形工程)
横リブ177は、内包リブ170の垂直部100Vと同じ形状であるため、成形型3を用いて、横リブ177を成形した。
(第2工程)
第2工程は、上面板110及び前面板120を成形する工程である。上面板110及び前面板120は連続した板状の部材として成形した。上面板110及び前面板120を成形する成形型5は、山形形状を折れ曲がった雄型である。成形型5は、板厚方向から見て長方形を成し、板厚方向と交差する方向から見て、山頂部(屈曲部)に曲率半径が50mmのR形状を形成した。
成形型5を離型処理後、ゲルコートを約500[g/m]〜800[g/m]塗布し、上面板110及び前面板120を形成しながら、成形型5上に、第1層〜第5層を順に積層した。第1層〜第5層の構成は、内包ボックス180と同じである。成形型5上で樹脂を硬化させ、脱型後、所定のサイズにトリミングして連続して延在する上面板110及び前面板120を得た。
(第3工程)
第3工程は、L型壁用構造体100の本体を成形する工程である。L型壁用構造体100の本体は、当接面板300、底面板130、背面板140、天頂板160、一対の側面板150及び取付部200を含む。L型壁用構造体100の本体部を成形する際に用いる成形型6は、U字形に凹んだ雌型を成し、第1方向Xから見て、L字状を成し、第2方向Yから見て長方形を成し、第3方向Zから見て長方形を成している。また、成形型6には、取付部200を成形するための凸型の内型が形成されている。
成形型6を離型処理後、ゲルコートを成形型6に約500[g/m]〜800[g/m]塗布し、当接面板300、底面板130、背面板140、天頂板160、一対の側面板150及び取付部200を形成しながら、成形型6に、以下の第1層〜第5層を順に積層した。第1層〜第5層を順に積層した。第1層〜第5層の構成は、内包ボックス180と同じである。成形型6上で樹脂を硬化させた後、次の第4工程を実施した。
(第4工程)
第4工程は、L型壁用構造体100の本体に、内包ボックス180、内包リブ170、横リブ177及び鞘管220を配置、接合する工程である。
(内包ボックス180の配置、接合工程)
内包ボックス180の配置、接合工程では、内包ボックス180の第1方向Xの中心が、取付部200の第1方向Xの中心と一致するよう、背面板140の内面に対して、マーキングを行った。マーキングに合わせて内包ボックス180の開放された領域を背面板140の方向に向けて、背面板140との当接部を接合樹脂で仮固定した。次に、図18に示されるように、内包ボックス180と背面板140との当接部600の周囲を、マットMC450(610)を用いてオーバレイして結合、一体化した。具体的には、マットMC450(610)に難燃樹脂を含浸しつつ、このマットMC450(610)を2枚重ねて、当接部600の周囲をオーバレイした。
(内包リブ170の配置、接合工程)
内包リブ170の配置、接合工程では、内包リブ170を配置する配置線上の底面板130及び背面板140と、取付部側板212と、ボックス側板182とに、接合樹脂を塗布した。
次に、図8(a)及び図9(b)に示されるように、内包リブ170のフランジA172及びフランジB173が、取付部200を挟んで、その先端が外向きとなるように配置して、フランジB173を底面板130及び背面板140に当接させると共に、ウエブ171を取付部側板212及びボックス側板182に当接させて仮固定した。
次に、底面板130との当接部、背面板140との当接部、取付部傾斜板213とのコーナ部、ボックス傾斜板183とのコーナ部を、マットMC450に難燃樹脂を含浸しつつ、これを2枚オーバレイし結合・一体化した。
(鞘管220の配置、接合工程)
当接面板300と取付部座板211との間の所定の位置に、鞘管220を配置して当接させ、接合樹脂で仮固定し、当接部の周囲をマットMC450に難燃樹脂を含浸しつつ、これを2枚オーバレイし結合・一体化した。また、横リブ177についても、所定の位置に配置して、L型壁用構造体100の本体に対して結合・一体化した。
(第5工程)
第5工程では、フランジA172の外面、取付部天板210の外面、ボックス天板181の外面に、マットMC450に難燃樹脂を含浸しつつ、このマットMC450を積層した。次に、このマットMC450の上に、繊維樹脂を線状に塗布し、さらにその上に、難燃樹脂を含浸したガラスマットを置き、第3工程で成形した上面板110及び前面板120のゲルコート面を上にして、第1方向Xに複数の金属角パイプを置いて成形型6と共に、クランプした。そして、樹脂が硬化した後、成形型6から脱型して、L型壁用構造体100を得た。
次に、当接面板300及び取付部座板211において、鞘管220の内周面に沿うように穿孔して取付孔190を形成した。
(L型壁用構造体100の完成品の性能評価)
このようにして得たL型壁用構造体100の全重量は、273[kg]であった。
次に、性能評価として、曲げ剛性の評価を行った。まず、H型鋼を準備し、このH型鋼を用いて高架橋1を模した金属フレームを作成した。高架橋1を模した金属フレームに、L型壁用構造体100を取り付け、金属フレームから延在する架台に、地面と水平になるように油圧シリンダーを取り付け、油圧シリンダーのロッドの先端部にロードセルを取り付けた。L型壁用構造体100の天頂板160から第3方向Zに2.5[m]下がった位置に、変動荷重である風荷重1.5[kN/m]相当の荷重を負荷して、曲げ剛性の評価を行った。その結果、L型壁用構造体100の天頂部(天頂板160)での水平方向(第2方向Y)の撓みは40[mm]で、目標撓み50[mm]以下の撓みとなり、目標とする曲げ剛性を有することが判った。
次に、設計荷重である風荷重3[kN/m]相当の荷重を負荷したが破壊には至らず、必要な曲げ耐力を有することが判った。
また、JISZ8735:1981(振動レベル測定方法)を参照して、固有振動数を測定した。具体的には、前記金属フレームにL型壁用構造体100を取り付けた状態で、前面板120の第3方向Zの中央部に、圧電式加速度ピックアップを両面テープで貼り付け、これに、JISC1510:1955記載の振動レベル計VA−12(リオン製)を接続し、L型壁用構造体100をプラスチックハンマーで叩いて固有振動数を測定した。この測定結果は、22[Hz]であり、躯体の回避すべき固有振動数である2[Hz]近傍ではないことが確認できた。固有振動数は弾性率に比例し密度(=重量)に反比例するため、繊維強化樹脂製でL型壁用構造体100を形成することで、構造体自体の軽量化を図り、不適当な2[Hz]である固有振動数を回避する構造体とすることができた。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
上記の実施形態では、第1方向Xを軌条2が延在する方向、第2方向Yを幅員方向、第3方向Zを上下方向としているが、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは、これに限定されず、その他の方向でもよい。
また、L型壁用構造体100が取り付けられる対象は、高架橋1の躯体に限定されず、その他の構造物でもよい。例えば、マンションなどの住宅、工場などの建物でもよく、その他の構造物でもよい。
また、当接面板300が取り付けられる位置は、主桁3の側面3aに限定されず、その他の位置でもよい。例えば、梁、柱などの躯体の底面や、天面に取り付けてもよい。この場合の当接面板300の板厚方向は、上下方向(第3方向Z)となる。また、L型壁用構造体100が取り付けられる対象物は、はね出し部4(張出部)が形成されてものでもよい。
また、取付部200が開放される向きは、底面板130側に限定されず、例えば、上面板110側でもよい。
また、上記の実施形態では、垂直部100Vが上方に延在するように配置されているが、垂直部100Vは、水平部100Hの端部から下方に延在するように配置されていてもよい。また、水平部100H及び垂直部100Vは、第1方向Xから見て直交するもの限定されず、例えば、水平部100Hに対して垂直部100Vが傾斜して配置されていてもよい。
1…高架橋、2…軌条、3…主桁(梁部、躯体)、3a…主桁の側面、4…はね出し部、5…地覆部、6…中央スラブ部、7…柱部、100…L型壁用構造体、100H…L型壁用構造体の水平部(第1箱形構造)、100V…L型壁用構造体の垂直部(第2箱形構造)、110…上面板(第1面板)、120…前面板(第3面板)、130…底面板(第2面板)、140…背面板(第4面板)、150…側面板、160…天頂板、170…内包リブ、170H…内包リブの水平部、170V…内包リブの垂直部、171…ウエブ、172…フランジA(第1フランジ)、173…フランジB(第2フランジ)、174…逃げA(第1逃げ部)、175…逃げB(第2逃げ部)、177…横リブ、180…内包ボックス、181…ボックス天板、182…ボックス側板、183…ボックス傾斜板、190…取付孔、200…取付部、210…取付部天板、211…取付部座板、212…取付部側板、213…取付部傾斜板、220…鞘管、290…開口、300…当接面板、310…アンカーボルト、320…ベースプレート、330…座金、340…ナット、300…当接面板、400…ブラケット、400a…マウント部、400b…サポート部、400c…スカート部、410…埋め込みナット、420…取付用ボルト、430…アジャストボルト(位置調整部)、500…エプロン、505…ブラインドボルト、507…コンクリート注入口、510…隙間プレート(塞ぎ部材)、512…フランジ部(第1塞ぎ板、第2塞ぎ板)、513…ウエブ部、520…隙間、530…スリット。

Claims (13)

  1. 第1方向から見てL型を成す本体を含むL型壁用構造体であって、
    前記本体は、
    前記第1方向と交差する第2方向に延在する中空の第1箱形構造と、
    前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延在する中空の第2箱形構造と、を備え、前記1箱形構造及び前記第2箱形構造によってL型を成し、
    前記第1箱形構造は、
    躯体に対向して配置される取付面を構成し、取付孔が形成された当接面板と、
    前記当接面板の前記取付面とは反対側から第2方向に延びる取付部と、を備え、
    前記取付部は、前記第3方向において外側から内側に凹む凹部を含み、
    前記取付孔は、前記第2方向に連続し、前記凹部の内側まで連通されているL型壁用構造体。
  2. 前記取付部は、
    板厚方向を前記第1方向とし、前記第1方向に離間する一対の取付部側板と、
    板厚方向を前記第3方向とし、前記一対の取付部側板同士を連結する取付部天板と、を備え、
    前記第3方向において、前記取付部天板とは反対側は、外部に対して開放されている請求項1に記載のL型壁用構造体。
  3. 前記取付部は、前記第2方向において、当接面板と対向し、前記取付孔が形成された取付部座板を備え、
    前記当接面板と取付部座板との間には、前記第2方向に延在し、前記取付孔を構成する筒状の鞘管が配置されている請求項2に記載のL型壁用構造体。
  4. 前記第1箱形構造は、
    板厚方向を前記第3方向とし、前記第2方向に延在する第1面板と、
    板厚方向を前記第3方向とし、前記第2方向に延在し、前記第3方向において、前記第1面板と対向する第2面板と、を備える請求項2又は3に記載のL型壁用構造体。
  5. 前記第3方向における前記第1面板と前記第2面板との距離は、前記第2方向において、前記当接面板から離れるほど、短くなっている請求項4に記載のL型壁用構造体。
  6. 前記第2箱形構造は、
    板厚方向を前記第2方向とし、前記第3方向に延在する第3面板と、
    板厚方向を前記第2方向とし、前記第3方向に延在し、前記第2方向において、前記第3面板と対向する第4面板と、を備える請求項4又は5に記載のL型壁用構造体。
  7. 前記本体は、第1方向から見てL型を成す複数の内包リブを備え、
    前記複数の内包リブは、前記第1方向に離間して配置され、前記第1箱形構造から前記第2箱形構造まで連続して形成され、
    前記内包リブは、
    板厚方向を前記第1方向とするウエブと、
    前記ウエブの幅方向の両端部から前記第1方向に張り出す一対のフランジとして、第1フランジ及び第2フランジを有し、
    前記第1箱形構造において、前記第1フランジは、前記第1面板に接合され、前記第2フランジは、前記第2面板に接合され、
    前記第2箱形構造において、前記第1フランジは、前記第3面板に接合され、前記第2フランジは、前記第4面板に接合されている請求項6に記載のL型壁用構造体。
  8. 前記第2箱形構造は、前記第1方向おいて、前記取付部の位置に対応して配置された内包ボックスを備え、
    前記内包ボックスは、
    板厚方向を前記第1方向とし、前記第1方向に離間する一対のボックス側板と、
    板厚方向を前記第2方向とし、前記一対のボックス側板間で、前記第3面板に当接するボックス天板と、を有し、
    前記内包リブは、前記第1方向において、前記内包ボックス及び前記取付部を挟んで配置され、
    前記ウエブは、前記ボックス側板に接合されていると共に、前記取付部側板に接合されている請求項7に記載のL型壁用構造体。
  9. 前記ウエブは、
    前記第2面板と前記取付部側板とのコーナ部において、前記取付部側板との間に隙間を形成する凹み形状である第1逃げ部と、
    前記第3面板と前記ボックス側板とのコーナ部において、前記ボックス側板との間に隙間を形成する凹み形状である第2逃げ部とを含む請求項8に記載のL型壁用構造体。
  10. 前記本体は、FRP製である請求項1〜9の何れか一項に記載のL型壁用構造体。
  11. 前記第2箱形構造から、前記第2方向において外方に張り出すブラケットを備え、
    前記ブラケットには、前記第3方向における前記本体の位置を調整可能な位置調整部が設けられている請求項1〜10の何れか一項に記載のL型壁用構造体。
  12. 第1方向において隣接する前記本体同士の間の隙間を覆うように配置された塞ぎ部材を備え、
    前記塞ぎ部材は、
    前記第3方向である上下方向に延在し、前記隙間を前記第2方向から覆う第1塞ぎ板と、
    前記第1塞ぎ板から前記第2方向に屈曲されて、前記第2箱形構造の天頂板に当接する第2塞ぎ板と、を備える請求項1〜11の何れか一項に記載のL型壁用構造体。
  13. 前記当接面板の板厚方向は前記第2方向であり、前記当接面板は、前記躯体の側面に対向して配置される請求項1〜12の何れか一項に記載のL型壁用構造体。
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