JP6928631B2 - 高周波誘導加熱ヘッドと、それを用いた高周波誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
このコア体では、環状のコア体の一部に切り欠き部を設け、この切り欠き部を、はんだ場所に移動させ、この切り欠き部で、はんだを溶融させ、はんだ付けを行っている(これに類似する先行文献としては下記特許文献2が存在する)。
したがって、回路基板上の他の電子部品などを不用意に加熱することが無くなるという利点がある。
そこで、後者の先行文献では、回路基板の表面上に、一つのコア体を配置し、このコア体に加熱コイルから磁束を供給する構成となっているので、コア体の移動は回路基板の表面上だけで行えば良く、その点では、作業性を向上できる。
しかしながら、この後者の先行文献では、コア体の切り欠き部の大きさは固定されたものであるので、はんだ付け部の状況、つまり、はんだ付けする部品の大きさや形状によっては、コア体を取り替える必要も発生し、その点では、生産性の向上が課題となる。
このため、本発明においては、回路基板の一面上において、高周波誘導加熱ヘッドの加熱部で、加熱すべき部品の加熱をすることができ、生産性を高めることが出来る。
つまり、加熱される部品が、第1及び第2のコア体の加熱部間に相対的に移動される時には、その入り口側において、保護層の層厚さが薄いので、第1、第2のコア体の加熱部間には大きな隙間が存在し、その結果として、第1、第2のコア体の加熱部間に、加熱すべき部品が、相対的に移動しやすくなるのである。
つまり、リード線が傾斜していても、第1、第2のコア体の加熱部の入り口側は、保護層が薄く、十分な隙間が存在するので、リード線は、第1、第2のコア体の加熱部間に相対的に移動することができ、しかも、その後、傾斜した状態のリード線が、第1、第2のコア体の加熱部間の中央部に相対的に移動する時には、傾斜側の保護膜に、リード線が当接し、リード線の傾斜状態を緩和する状態となり、これらの結果として、好ましいはんだ付け作業が行えるのである。
図1〜図3は、高周波誘導加熱装置を示し、高周波誘導加熱ヘッド1と、XYΘテーブル2とを備えている。
XYΘテーブル2の可動枠2aには、配線基板の一例として、プリント配線基板3が装着されている。
さらに、ランド7には、予め、クリームはんだが塗布されている。また、ランド7の近傍に、糸はんだ(図示せず)を供給する場合もある。
また、プリント配線基板3の上面側において、ランド7の近傍に、糸はんだを供給し、その糸はんだを、電子部品4の端子5、ランド7とともに加熱し、溶融した糸はんだを、ランド7上、および貫通孔6内に流入させ、これにより電子部品4の端子5を、ランド7部分、貫通孔6内に、電気的、機械的に接続する場合もある。
さて、そのようなはんだ付けを行う高周波誘導加熱ヘッド1は、図1〜図3に示すように、例えば、フェライトなどの軟磁性体よりなるコア体8、9を備えている。
具体的には、コア体8は上方に、軸支部8a、中部に磁路部8b、下方に加熱部8cを備えている。
同じく、コア体9は上方に、軸支部9a、中部に磁路部9b、下方に加熱部9cを備えている。
このとき、コア体8、9の軸支部8a、9aは重ね合わされ、この状態で、それぞれの軸支部8a、9aに設けた貫通孔(図示せず)に、回動支軸10を貫通させている。
つまり、コア体8、9は、回動支軸10の周りに、回動自在に支持されているのである。
これらのコア体8、9は板状体で形成されているが、加熱部8c、9cにおける、板厚方向の断面積(板厚方向に切断した場合に、そこに存在する断面の面積)は、磁路部8b、9bや、軸支部8a、9a近傍における、板厚方向の断面積(板厚方向に切断した場合に、そこに存在する断面の面積)よりも小さくしている。
これは、コア体8、9が開閉動作を行う場合でも、軸支部8a、9a間では、その重なり、摺動する部分に存在する隙間を介して、両者間に磁束が流れるので、軸支部8a、9aの対向面積を大きくし、これにより、この軸支部8a、9a間で磁束が流れやすく、かつ、軸支部8a、9aの一部に、磁束が集中しないようにするためである。
つまり、コア体8を平面視した場合、軸支部8aは、磁路部8b、加熱部8cよりも平面積が大きな状態となっている。
また、コア体9を平面視した場合、軸支部9aは、磁路部9b、加熱部9cよりも平面積が大きな状態となっている。
コア体8、9を開閉動作(回動動作)させる回動支軸10の一端は、基体11の下部縦面に、XYΘテーブル2と水平状態で固定されている。
つまり、この特開2016−59170号公報に記載されたように、内部の、ローターマグネットのシャフトに雄ねじを形成し、このシャフトの雄ねじに、上下に移動する移動体13を、螺合させている。
また、連結部14には、図1に示す左右方向に対向する状態で、リンク機構15、16が連結されている。
また、リンク機構15の中部には、折れ曲げ板15a、15bを関節動作させるように、支軸15cが設けられている。
同じように、リンク機構16の中部には、折れ曲げ板16a、16bを関節動作させるように、支軸16cが設けられている。
同じように、リンク機構16の折れ曲げ板16b下部は、コア体8の軸支部8aに、爪部16dにより固定されている。
つまり、電子部品4の端子5が細い場合には、コア体8、9の加熱部8c、9cを接近(加熱部8c、9c間のギャップが狭い)させ、また、電子部品4の端子5が太い場合には、コア体8、9の加熱部8c、9cを、広げる(加熱部8c、9c間のギャップを広げる)のである。
コア体8、9や、モータ12を支持した基体11は、上下動機構17に連結され、この上下動機構17により基体11を上下動させることで、コア体8、9も上下動させる。
なお、モータ19も、例えば特開2016−59170号公報に示されるようなステッピングモータで構成された、一般的なものであるので、説明の煩雑化を避けるために、簡単な説明にとどめる。
また、連結体20の上下動をスムーズに行わせるために、シャフト18とは平行状態で支持軸21も設けられ、これにより基体11を固定した連結体20は、シャフト18と支持軸21に支えられた状態で、上下動することになる。
このコイル22は、内部に冷却水を循環させるパイプ形状のもので、一例として1MHz、100Aの電流が供給される。
したがって、前記冷却水を安定的に供給するためにも、コイル22は、XYΘテーブル2の上方の定置に配置され、これ自体は基本的には可動させず、XYΘテーブル2の可動枠2aと、コア体8、9を可動させる。
つまり、はんだ付け時には、図1〜図3に示すように、コア体8、9の間に、コイル22が存在する状態にしなければならないので、加熱部8c、9cを開いた状態で、コア体8、9を、上方から下降させ、コア体8、9の間に、コイル22が存在する状態とする。
そして、この状態でコイル22に通電し、プリント配線基板3の上面側において、高周波誘導加熱ヘッド1によって、電子部品4の端子5、および、ランド7のクリームはんだを加熱し、ランド7のクリームはんだを溶融させ、その一部を、貫通孔6内にも流入させ、これにより電子部品4の端子5をランド7と、貫通孔6内に、電気的、機械的に接続するのである。
この内、端子5a〜5cはY方向に、断続的ながら直線的に配置され、また、端子5d〜5eはX方向に、断続的ながら直線的に配置され、さらに、端子5f〜5hはY方向に、断続的ながら直線的に配置され、また、端子5i〜5jはX方向に、断続的ながら直線的に配置されている。
まず、図8〜図10のように、XYΘテーブル2をY方向に移動させ、端子5aを、コア体8、9の加熱部8c、9c間に移動させ、その状態で、コイル22に通電し、高周波誘導加熱ヘッド1によって、電子部品4の端子5a、および、ランド7のクリームはんだを加熱し、ランド7のクリームはんだを溶融させ、その一部を、貫通孔6内にも流入させ、これにより電子部品4の端子5aをランド7と、貫通孔6内に、電気的、機械的に接続する。ここで、一旦、コイル22への通電を停止する。
以降、同じ繰り返しにより、次の、XYΘテーブル2に装着されたプリント配線基板3に対するはんだ付けが行われる。
プリント配線基板3を、XYΘテーブル2に装着したことも一つの特徴ではあるが、もっとも大きな特徴は、図8〜図10に示すように、コア体8の加熱部8cで、コア体9の加熱部9cに対向する部分と、コア体9の加熱部9cで、コア体8の加熱部8cに対向する部分には、それぞれの加熱部8c、9c分を覆う保護層23を設けたことである。
つまり、加熱される端子5が、コア体8,9の加熱部8c、9cに相対的に移動される時には、その入り口側において、保護層23の層厚さが薄いので、コア体8,9の加熱部8c、9c間には大きな隙間が存在し、その結果として、コア体8,9の加熱部8c、9c間に、加熱すべき端子5が、相対的に移動しやすくなるのである。
つまり、リード線が傾斜状態していても、コア体8,9の加熱部8c、9cの入り口側は、保護層23が薄く、十分な隙間が存在するので、リード線は、コア体8,9の加熱部8c、9c間に相対的に移動することができ、しかも、その後、傾斜した状態のリード線が、コア体8,9の加熱部8c、9c間の中央部に相対的に移動する時には、傾斜側の保護膜23に、リード線が当接し、リード線の傾斜状態を緩和する状態となり、これらの結果として、好ましいはんだ付け作業が行えるのである。
この保護層23は、図8〜図10のように、コア体8,9の加熱部8c、9cの全周を覆う構成としても良いし、図14〜図16に示すように、コア体8,9の加熱部8c、9cで、対向する面にだけ設けても良い。
ただし、この場合にも、保護層23は、コア体8,9の加熱部8c、9cの、それぞれが対向する方向(例えばX方向)に対して、水平方向に直交する方向(例えばY方向)において、中央部の層厚さよりも、両側部分の層厚さを薄くした構成とする。
本実施形態では、コア体8,9の、少なくとも一方の加熱部8c、9cを軸支部(回動支軸10)とは反対側に向けた突出形状とし、その先端側には、図4のごとく、先端側に向けて拡角する先端磁束強化部8d、9dを設けた。
図5、図6は磁束が加熱部8c、9c間に集中しているだけではなく、下方、つまり、ランド7側にも広がり、ランド7も加熱でき、効果的なはんだ付けが行えるようになった。
なお、図4〜図6では磁束の状態を判りやすくするために、保護層23は表示していない。
前記コア体8、9を開閉させるモータ(M1)12と、コア体8、9を上下動させるモータ(M2)19は、制御部24に接続されている。
また、XYΘテーブル2のX軸用のモータ(M3)25と、Y軸用のモータ(M4)26、Θ回転用モータ(M5)27、および、タイマー28、メモリ29も、制御部24に接続されている。
さらに、コイル22は、インバータ30を介して制御部24に接続されている。
ステッピングモータは、例えば特開2016−59170号公報などでも、良く知られているように、パルスを与える毎にそのステッピングモータ固有の角度だけ、正転方向にも、逆転方向にも、回転させることができるもので、本実施形態でも、制御が正確、簡単と言うことで、採用した。
また、モータ12、19、25、26、27を制御するための位置情報などは、図12、図13に示す動作プログラムと共に、メモリ29に記憶されている。
先ず、制御部24によって、XYΘテーブル2が駆動される。
すなわち、図7、図8に示すプリント配線基板3の、はんだ付けする端子5の設定位置は、メモリ29に位置情報として記憶されているので、図8に示す位置まで、XYΘテーブル2によって、プリント配線基板3が移動させられる(図12のS1、S2)。
コア体8、9が定位置(位置情報はメモリ29に記憶)まで下降すると、モータ12によって、コア体8、9を閉じる動作を行う(図12のS4、S5)。
図8に示す、加熱すべき端子5の太さ、形状に対応する加熱部8c、9c間のギャップ位置(位置情報はメモリ29に記憶)まで、コア体8、9が閉じられると、モータ19によってコア体8、9が下降される(図12のS6、S7)。
図8のように、コア体8、9が、端子5位置(位置情報はメモリ29に記憶)にまで下降させられると、インバータ30によりコイル22に通電を開始する(図12のS8、S9)。
以上のようにして、図7のランド7部分での端子5aの、はんだ付けが完了すると、次のはんだ付けすべき対象物が存在するか、否かの判定が行われる(図13のS13)。
端子5aの加熱時にコイル22への通電を行うと、磁気によりコア体8、9の加熱部8c、9c間の距離が近接し、端子5aの効果的な加熱が行える。
コイル22への通電の有無により、加熱部8c、9c間の距離が変わるのは、コア体8、9をリンク機構15、16によって保持しているからである。
つまり、リンク機構15、16は、二枚の折れ曲げ板15a、15b、16a、16bで構成され、上部の関節部分は、連結部14の回動軸14aに回動自在に支持され、中部は支軸16cによって可動自在に支持され、下部は回動支軸10に対して回動自在としているので、その遊び部分の寸法により、コイルへの通電の有無により、加熱部8c、9c間の距離が変わることになる。
2 XYΘテーブル
2a 可動枠
3 プリント配線基板
4 電子部品
5 端子
6 貫通孔
7 ランド
8 コア体
8a 軸支部
8b 磁路部
8c 加熱部
9 コア体
9a 軸支部
9b 磁路部
9c 加熱部
10 回動支軸
11 基体
12 モータ
13 移動体
14 連結部
15 リンク機構
16 リンク機構
17 上下動機構
18 シャフト
19 モータ
20 連結体
21 支持軸
22 コイル
23 保護層
24 制御部
25 モータ
26 モータ
27 モータ
28 タイマー
29 メモリ
30 インバータ
Claims (12)
- 回路基板の一面側において、それぞれの先端側に設けた加熱部が、第1の間隔を介して対向配置させられる第1及び第2のコア体と、
これら第1及び第2のコア体の少なくとも一方を可動させ、前記第1のコア体の加熱部と前記第2のコア体の加熱部との間に存在する前記第1の間隔の距離を調整する可動機構と、
前記第1及び第2のコア体に磁束を供給するコイルと、を備え、
前記第1及び第2のコア体は、前記第1及び第2のコア体の加熱部以外の部分で、加熱時における、前記第1及び第2のコア体の加熱部間に存在する前記第1の間隔よりも小さな第2の間隔を介して磁気的に結合される構成にするとともに、前記第1のコア体の加熱部で、前記第2のコア体の加熱部に対向する部分と、前記第2のコア体の加熱部で、前記第1のコア体の加熱部に対向する部分には、それぞれの加熱部分を覆う保護層を設け、この保護層は、前記第1及び第2のコア体の加熱部の、それぞれが対向する方向に対して、水平方向に直交する方向において、中央部の層厚さよりも、両側部分の層厚さを薄くしたことを特徴とする高周波誘導加熱ヘッド。 - 前記第1及び第2のコア体の少なくとも一方は、回動支軸で回動自在に軸支された軸支部と、この軸支部と前記先端側の加熱部との間に設けた磁路部とを有する構成とした請求項1に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体は、それぞれ、回動支軸で回動自在に軸支された軸支部と、この軸支部と前記先端側の加熱部との間に設けた磁路部とを有し、前記第1のコア体の軸支部と前記第2のコア体の軸支部とを重合させ、前記第1のコア体の軸支部と前記第2のコア体の軸支部とに前記回動支軸を貫通させた請求項2に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体は、それぞれ、板状体で形成し、これら第1及び第2のコア体の、それぞれの軸支部近傍における、板厚方向の断面積を、それぞれの磁路部における、板厚方向の断面積よりも大きくした請求項3に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体は、それぞれ、板状体で形成し、これら第1及び第2のコア体の、それぞれの加熱部における、板厚方向の断面積を、それぞれの軸支部近傍における、板厚方向の断面積、および、それぞれの磁路部における、板厚方向の断面積よりも小さくした請求項1乃至4のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1のコア体の加熱部と第2のコア体の加熱部との、加熱時における第1の対向距離は、前記軸支部側の距離よりも、先端側の距離を小さくした請求項2乃至5のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体の、少なくとも一方の加熱部の先端側には、先端側に向けて拡角する先端磁束強化部を設けた請求項1乃至6のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体の加熱部を、軸支部とは反対側に向けた突出形状とし、その先端側には、先端側に向けて拡角する先端磁束強化部を設けた請求項7に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記第1及び第2のコア体は、前記可動機構により、その加熱部を左右方向に接離させる構成とした請求項1乃至8のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 前記保護層はフッ素樹脂製とした請求項1乃至9のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
- 請求項1乃至10のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッドと、前記第1及び第2のコア体の加熱部の先端側に配置したXYΘテーブルと、を備えた高周波誘導加熱装置。
- 前記高周波誘導加熱ヘッドの可動機構は、第1のモータを有し、前記第1及び第2のコア体を上下動させる上下動機構は、第2のモータを有し、前記XYΘテーブルは、X軸用モータと、Y軸用モータと、Θ用モータを有し、これらの第1のモータ、第2のモータ、X軸用モータ、Y軸用モータ、Θ用モータおよび、前記コイルを制御部に接続した請求項11に記載の高周波誘導加熱装置。
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