JP5178756B2 - ピン端子の接合方法及び装置、並びにピン端子付きパワー基板 - Google Patents
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Description
即ち、本発明の一態様におけるピン端子の接合方法は、部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合方法であって、常温から、上記ピン端子を接合するはんだの融点以下で該融点付近の温度まで、加熱装置にて上記パワー基板を予熱するとともに、上記はんだの融点を跨ぎ上記融点を超えて上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させて上記ピン端子を上記パワー基板にはんだ接合することを特徴とする。
図1には、一実施形態におけるピン端子の接合装置101の概略図を示している。この接合装置101、及びこの接合装置101にて実行される本発明の実施形態であるピン端子の接合方法における被加熱物は、パワー基板50、及び該パワー基板50にはんだ接合される複数のピン端子51である。ここで、パワー基板50は、予め、特にパワー半導体素子等の半導体素子52及び実装部品53などの部品が例えばリフローソルダリング技術などにより、当該パワー基板50の基板部57にはんだ付けされ、さらに、基板部57に形成された配線パターン54と、上記半導体素子52及び実装部品53などの電極とがアルミニウム等の金属ワイヤ55にてボンディングされた状態の基板である。また、ピン端子51とは、金属製で細長い棒状の端子であり、上記配線パターン54に立設されパワー基板50と他基板とを電気的に接続するための端子に相当する。
加熱装置110は、パワー基板50を載置するステージ111と、該ステージ111内に埋設され電源部114からの電力供給にて発熱するヒータ112とを有する。また、ステージ111は、金属製であり、パワー基板50を位置決めするための位置決め機構113を有する。
このような加熱装置110は、ステージ111の平坦な載置面111aにパワー基板50が載置され、ヒータ112の発熱により、載置されたパワー基板50を、常温から、上記ピン端子51と配線パターン54とを接合するはんだ56の融点以下で該融点付近の温度まで、予熱する装置である。
まず、はんだ付けに関する一般的な背景について説明する。
上述したように、ピン端子51をパワー基板50にはんだ付けするときには、予めパワー基板50に実装された半導体素子52及び実装部品53などを固定しているはんだを再溶融させないのが、品質管理上好ましい。
即ち、高周波誘導加熱では、高周波電源によって誘導コイルへ高周波電流を通電し、これにより誘導コイルに磁界が発生する。生じた磁界が金属の被加熱体を横切るときに、磁界の変化に伴い上記被加熱体に発生する渦電流によって、被加熱体を発熱させる。磁界は、誘導コイルの鉛直方向に直線的に伸び、誘導コイルを回り込むようにして帰っていく形になる。よって、誘導コイルの円周の内部空間における磁界は、ほぼ一様であるが、誘導コイルから離れる程、磁界は減衰するという関係がある。したがって、誘導コイルに対する上記被加熱体の位置に依存して、被加熱体の発熱量が異なるという問題がある。
実施の形態2.
本実施の形態2では、加熱装置120は、パワー基板50に対して複数の加熱領域を形成し、加熱領域毎に異なる温度制御を行うように構成する。また、本実施形態2における接合装置101−2では、上述の実施形態1における構成に、図1に示す制御装置130をさらに備える。制御装置130は、加熱装置110の位置決め機構113、電源部114、及び高周波誘導加熱装置120の高周波電源部122と接続され、これら構成部分の動作制御を行う。
そこで、本実施形態では、高周波誘導加熱装置120によるピン端子51の発熱において、上記はんだ56の溶融に必要となる十分な発熱が見込めない一又は複数のピン端子51が発生する場合には、不十分な発熱が予想される一つ又は複数のピン端子51に対応する、加熱装置120のヒータ112の一部分について、他のヒータ112部分に比して、高温に昇温するように構成する。
勿論、上述した実施の形態1の接合装置101が奏する効果は、本実施の形態2の接合装置101−2においても奏することができる。
上述の実施の形態2では、高周波誘導加熱装置120におけるコイル121の内周領域の面積が大きくなると、磁束密度の分布が不均一となりやすく、その結果、ピン端子51の発熱量が不均一になる旨を説明した。一方、上記コイル121の内周領域の面積が比較的小さい場合でも、発熱量が上述のようにコイルとピン端子との距離に依存することから、パワー基板50においてピン端子51の配置が広範にわたるような場合には、各ピン端子51において発生する熱量にバラツキが生じる。その結果、以下のような問題が発生する。
即ち、まず、パワー基板50の上方に配置したコイル121による高周波誘導加熱にて、ピン端子51を配列したパワー基板50を加熱する。これにより発生するパワー基板50上の温度分布を温度測定器140で取得する。つまり、この温度測定により、各ピン端子51における発熱量のバラツキを検出することができる。この結果を、例えば制御装置130が有する記憶部131に記憶し、制御装置130は、上記温度分布の情報を元に、加熱装置120のヒータ112における複数の上記加熱領域の温度分布指令を決定する。そしてこの決定に従い、制御装置130は、ヒータ112の各加熱領域の昇温制御を行う。また、実施形態1にて説明したように、ピン端子51に対して高周波誘導加熱装置120による高周波誘導加熱を実行する。
上述した実施の形態1から3では、高周波誘導加熱装置120のコイル121は、パワー基板50の上方に配置されている。本実施の形態4では、パワー基板50、特にピン端子51に対するコイル121の配置位置を、実施の形態1から3における配置位置とは異ならせた。尚、その他の構成については、実施の形態1から3における構成と変わるところはなく、ここでの説明を省略する。
即ち、コイル121の周りに生じる磁束は、ピン端子51の側面部を貫通するため、実施形態1〜3における構成のようにパワー基板50の上方にコイル121を配置する場合に比べて、本実施形態では、より高効率にピン端子51を加熱することが可能となる。
また、本実施形態では、実施形態1〜3における構成に比べて、パワー基板50を貫通する磁束が少なくなり、パワー基板50の温度上昇を低減することができる。
本実施の形態5は、実施の形態4にて説明したコイル121を有する接合装置101−4を用いるが、被加熱体であるパワー基板が実施の形態4とは異なる。即ち、実施の形態4では、基板部57の一端57aにピン端子51を配列したパワー基板50が被加熱体であるが、本実施の形態5では、図3に示すように、パワー基板50Aを被加熱体とする。尚、本実施の形態5においても使用する接合装置101−4は、図1に示す接続装置101等と同じ構成を有するが、図3では、その一部の構成部分の図示を省略している。
勿論、上述した実施の形態1〜4の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態5においても奏することができる。
上述した実施の形態1〜5では、いずれのパワー基板50、50Aも、基板部57の縁部に沿って一列状にピン端子51を配列している。これに対し本実施形態6では、図4に示すように、配線パターン54に基づいてピン端子51を設置したパワー基板50Bを被加熱体とする。よって、パワー基板50Bにおいて、ピン端子51は、基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。また、上記パワー基板50Bに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図4では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
その結果、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Bの生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態6においても奏することができる。
本実施形態7でも、上述の実施形態6と同様に、ピン端子51は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態7では、図5に示すパワー基板50Cを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Cに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図5では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
そこで本実施形態7では、ピン端子51と、配線パターン54との接合部におけるはんだ56の量を発熱量に応じて変化させる。つまり、温度上昇が他のピン端子51よりも小さいピン端子には、はんだ量を少なくし、温度上昇が大きいピン端子にははんだ量を多くする。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態7においても奏することができる。
本実施形態8でも、上述の実施形態6、7と同様に、ピン端子は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態8では、図6に示すパワー基板50Dを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Dに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図6では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
そこで本実施形態8では、図6に示すように、ピン端子の配置位置に応じてピン端子そのものの熱容量を変化させることで、はんだ溶融のタイミングを均等化するように構成した。即ち、コイル121による発熱量が他よりも大きいピン端子は、熱容量が大きい太いピンを使用し、一方、発熱量が小さいピン端子には熱容量が小さい細いピンを使用する。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態8においても奏することができる。
本実施形態9でも、上述の実施形態6〜8と同様に、ピン端子は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態9では、図7に示すパワー基板50Eを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Eに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図7では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
そこで本実施形態9においても、上述の実施の形態8と同様にピン端子そのものの熱容量を変化させるが、実施形態8ではピン端子の外径を変化させたのに対し、本実施形態9では、図7に示すように、中空部を有する管形状のピン端子を使用し、その外径は変更せずに肉厚を変化させて熱容量を変化させる。即ち、発熱量が他よりも小さいピン端子は、上記肉厚が比較的厚いピンを使用し、一方、発熱量が大きいピン端子には上記肉厚が比較的薄いピンを使用する。
このように、ピン端子の配置位置に応じてピン端子そのものの熱容量を変化させることで、はんだ溶融のタイミングを均等化することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態9においても奏することができる。
52 半導体素子、
101、101−2〜101−4 接合装置、110 加熱装置、
120 高周波誘導加熱装置、121 コイル、130 制御装置、
140 温度測定器。
Claims (11)
- 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合方法であって、
常温から、上記ピン端子を接合するはんだの融点以下で該融点付近の温度まで、加熱装置にて上記パワー基板を予熱するとともに、
上記はんだの融点を跨ぎ上記融点を超えて上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させて上記ピン端子を上記パワー基板にはんだ接合する、
ことを特徴とするピン端子の接合方法。 - 上記ピン端子が上記パワー基板の端部に列状に配列される場合、上記高周波誘導加熱を行うコイルは、配列された全てのピン端子を内周側に含む形状にて巻回されている、請求項1記載のピン端子の接合方法。
- 上記ピン端子が上記パワー基板の互いに直交する2辺に沿って列状に配列される場合、上記パワー基板の角部には上記ピン端子を配置せず、各辺に配列されたピン端子毎に上記コイルにて高周波誘導加熱を行う、請求項2記載のピン端子の接合方法。
- 上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対して、上記パワー基板における上記ピン端子の配列が不均等な場合、ピン端子の配置位置に応じて、融点の異なる複数種類のはんだを使い分けて上記はんだの溶融タイミングを均一化する、請求項1記載のピン端子の接合方法。
- 上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対して、上記パワー基板における上記ピン端子の配列が不均等な場合、ピン端子の配置位置に応じて上記はんだの量を変化させて上記はんだの溶融タイミングを均一化する、請求項1記載のピン端子の接合方法。
- 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合装置であって、
上記パワー基板を載置し、載置した上記パワー基板における複数領域を異なる温度に加熱する複数の加熱領域を有する加熱装置と、
上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させる高周波誘導加熱装置と、
を備えたことを特徴とするピン端子の接合装置。 - 上記パワー基板の温度分布を測定する温度測定器と、
測定された上記温度分布に従い、それぞれの上記ピン端子におけるはんだの温度を均一化する、上記加熱装置の上記加熱領域の温度制御を行う制御装置と、をさらに備えた、請求項6記載のピン端子の接合装置。 - 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされ、さらに複数のピン端子の一端が高周波誘導加熱にて加熱されて溶融したはんだで上記ピン端子が接合されるパワー基板であって、
上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対する各ピン端子の配置位置に応じて、上記ピン端子は、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する形状を有することを特徴とするパワー基板。 - 上記ピン端子は、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する、異なった太さを有する、請求項8記載のパワー基板。
- 上記ピン端子は、中空形状であり、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する、異なった肉厚を有する、請求項8記載のパワー基板。
- 他基板に接合される上記ピン端子の他端側は、上記他基板に穿孔されているスルーホールに対応した太さを有する、請求項9又は10記載のパワー基板。
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