JP5178756B2 - ピン端子の接合方法及び装置、並びにピン端子付きパワー基板 - Google Patents

ピン端子の接合方法及び装置、並びにピン端子付きパワー基板 Download PDF

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Description

本発明は、パワー基板にピン端子をはんだ付けする接合方法及び接合装置、並びに、ピン端子付きパワー基板に関する。
半導体装置の中には、その内部回路において例えば1kV以上の絶縁耐圧を有する半導体チップ(例えばIGBT等)を扱う電力用半導体装置が存在する。このような電力用半導体装置における基板とプリント配線板との接続を金属の線材(ピン端子)を用いて行う構造が特許文献1に開示されている。
このような構造の場合、上記ピン端子による接続をはんだ付けにて行うと、電力用半導体装置の基板に既にはんだ付けされているパワー素子などの部品のはんだが再溶融することも考えられる。よって、このような不具合を避けるため、上記特許文献1の構造では、ピン端子が接続されるプリント配線板にはブシュを設けておき、該ブシュと上記ピン端子とを嵌合することで、電力用半導体装置における基板とプリント配線板との接続を行っている。
特許第3691402号
しかしながら、上記特許文献1の構造では、プリント配線板にブシュを設ける必要があり、さらにブシュとピン端子との嵌合動作が必要であることから、材料コストが甚大となり、また生産性も悪いという問題がある。
一方、電力用半導体装置の基板にピン端子を予め接続した場合には以下のような問題が生じる。即ち、電力用半導体装置の基板における配線パターンの電極と、上記パワー素子の電極とは、アルミニウム線によるワイヤボンディングにて接続される。しかしながら、このボンディング用装置に備わるワイヤボンドツール、カッター、及びワイヤガイドなどが空間的にピン端子と干渉する領域には、ワイヤボンドを行うことができない。よって上述の干渉を避けるため、ピン端子の近傍は、空間を大きくとる必要があり、予めピン端子を接続した場合には、大きなデッドスペースが生じてしまい、上記基板が大型化するという問題がある。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたもので、電力用半導体装置の基板を小型化し、つまりワイヤボンディングの後に、ピン端子の接続を可能とし、低コストで生産性を向上可能な、ピン端子の接合方法及び装置、並びにピン端子付きパワー基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるピン端子の接合方法は、部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合方法であって、常温から、上記ピン端子を接合するはんだの融点以下で該融点付近の温度まで、加熱装置にて上記パワー基板を予熱するとともに、上記はんだの融点を跨ぎ上記融点を超えて上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させて上記ピン端子を上記パワー基板にはんだ接合することを特徴とする。
本発明の一態様におけるピン端子の接合方法によれば、半導体素子等の部品がはんだ付けされ、ワイヤボンディングが施されたパワー基板に対して、複数のピン端子をはんだ付けする接合方法であり、予熱用装置にてパワー基板を予熱するとともに、ピン端子を高周波誘導加熱する。
複数の被加熱体に対して高周波誘導加熱のみによって加熱する場合、一般的に、高周波誘導加熱用のコイルに対する被加熱体の配置位置によって各被加熱体における発熱温度が異なりバラツキが生じる。これに対し、本発明の一態様の接合方法では、上述のようにパワー基板を予熱することで、高周波誘導加熱によるピン端子の発熱温度のバラツキを抑制することができる。その結果、予め、部品がはんだ付けされワイヤボンディングが施されたパワー基板に対して、先のはんだを再溶融させることなく、追って複数のピン端子をはんだ付けすることができる。したがって、ボンディングされるワイヤとの干渉防止用の空間を設ける必要もなく、パワー基板の小型化が可能である。また、このようにパワー基板にピン端子をはんだ付け可能であることから、従来の接合用部材を要せず、低コストで生産性の向上を図ることも可能となる。
本発明の実施形態における接合装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態における接合方法の一例を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態における接合方法の他の例を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態における接合装置にてピン端子の接合が行われるパワー基板の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態における接合装置にてピン端子の接合が行われるパワー基板の他の例を示す斜視図である。 本発明の実施形態における接合装置にてピン端子の接合が行われるパワー基板の別の例を示す斜視図である。 本発明の実施形態における接合装置にてピン端子の接合が行われるパワー基板のさらに他の例を示す斜視図である。
本発明の実施形態であるピン端子の接合方法及び接合装置、並びにピン端子を接続したパワー基板について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
実施の形態1.
図1には、一実施形態におけるピン端子の接合装置101の概略図を示している。この接合装置101、及びこの接合装置101にて実行される本発明の実施形態であるピン端子の接合方法における被加熱物は、パワー基板50、及び該パワー基板50にはんだ接合される複数のピン端子51である。ここで、パワー基板50は、予め、特にパワー半導体素子等の半導体素子52及び実装部品53などの部品が例えばリフローソルダリング技術などにより、当該パワー基板50の基板部57にはんだ付けされ、さらに、基板部57に形成された配線パターン54と、上記半導体素子52及び実装部品53などの電極とがアルミニウム等の金属ワイヤ55にてボンディングされた状態の基板である。また、ピン端子51とは、金属製で細長い棒状の端子であり、上記配線パターン54に立設されパワー基板50と他基板とを電気的に接続するための端子に相当する。
図1に示すように、本実施形態におけるピン端子の接合装置101は、基本的構成部分として、加熱装置110と、高周波誘導加熱装置120とを備える。
加熱装置110は、パワー基板50を載置するステージ111と、該ステージ111内に埋設され電源部114からの電力供給にて発熱するヒータ112とを有する。また、ステージ111は、金属製であり、パワー基板50を位置決めするための位置決め機構113を有する。
このような加熱装置110は、ステージ111の平坦な載置面111aにパワー基板50が載置され、ヒータ112の発熱により、載置されたパワー基板50を、常温から、上記ピン端子51と配線パターン54とを接合するはんだ56の融点以下で該融点付近の温度まで、予熱する装置である。
また、加熱装置110は、以下のように構成するのが好ましい。即ち、後述するようにピン端子51は高周波誘導加熱装置120を用いて加熱されるが、その際の加熱ムラを補償するために、加熱装置110のヒータ112は、独立して温度制御可能な複数の加熱領域を有し、この加熱領域毎に異なる温度に昇温可能に構成してもよい。このように構成することで、パワー基板50における複数の領域を、それぞれ異なる温度に昇温可能となる。
高周波誘導加熱装置120は、導体にてなる線材が巻回され高周波電源部122から高周波電流が供給されるコイル121を備える。コイル121は、例えば図2に示すようにパワー基板50の端部に一列状に配列され立設された複数のピン端子51に対して、その全てを内周側に含む形状にて巻回される。このようなコイル121は、ステージ111に載置されたパワー基板50の上方に配置される。
このように構成された高周波誘導加熱装置120は、高周波電源部122から供給された高周波電流によりコイル121に発生する磁界により、ピン端子51を発熱させ、上記はんだ56を溶融させる装置である。このように高周波誘導加熱装置120は、パワー基板50を局所的に加熱するものであり、パワー基板50に対するコイル121の配置位置を制御することで、はんだ56の溶融の際、予めパワー基板50に実装された半導体素子52及び実装部品53などを固定しているはんだを再溶融させることはない。
以上のように構成されるピン端子の接合装置101における動作、つまりピン端子の接合方法について、以下に説明する。
まず、はんだ付けに関する一般的な背景について説明する。
上述したように、ピン端子51をパワー基板50にはんだ付けするときには、予めパワー基板50に実装された半導体素子52及び実装部品53などを固定しているはんだを再溶融させないのが、品質管理上好ましい。
詳しく説明すると、特に、例えば半導体素子の裏面におけるメタライズの金属層は、はんだが溶融しているときには、いわゆる、食われを起こし、溶融したはんだ中に溶解していき、上記金属層の全てが溶解してしまう場合もある。よって、上記溶解により被接合体に現れた層と、はんだとの相性がよくない組み合わせの場合には、はんだの不濡れが発生するなどの不具合が生じる場合もある。その結果、接合不良となり、製品として使用不可となるという問題が発生する。このように、はんだ付けにおけるはんだの溶融時間を管理することは、製品の品質管理上、重要事項である。よって、一旦、はんだ付けされたはんだを再溶融させないことは、品質管理上好ましいことになる。
はんだに上記再溶融を発生させないために、上述のように本実施形態では高周波誘導加熱装置120による加熱を行うが、一般的に、高周波誘導加熱方式には、以下の問題点がある。
即ち、高周波誘導加熱では、高周波電源によって誘導コイルへ高周波電流を通電し、これにより誘導コイルに磁界が発生する。生じた磁界が金属の被加熱体を横切るときに、磁界の変化に伴い上記被加熱体に発生する渦電流によって、被加熱体を発熱させる。磁界は、誘導コイルの鉛直方向に直線的に伸び、誘導コイルを回り込むようにして帰っていく形になる。よって、誘導コイルの円周の内部空間における磁界は、ほぼ一様であるが、誘導コイルから離れる程、磁界は減衰するという関係がある。したがって、誘導コイルに対する上記被加熱体の位置に依存して、被加熱体の発熱量が異なるという問題がある。
即ち、本実施形態における、複数のピン端子51をはんだ接合する場合では、高周波誘導加熱装置120による発熱量は、コイル121に対するピン端子51の配置位置により変化し、一桁程度の発熱量の違いを生じる場合もある。このような発熱量の相違により、各ピン端子51の根元、つまり上記はんだ56が存在する部分の温度は、不均一となる。
よって、高周波誘導加熱のみを用いて、全てのピン端子51の根元におけるはんだ56の温度を、その融点以上にするためには、相当な長時間の加熱が必要であったり、巨大な電源が必要であったりなどして、効率が悪い。また、高周波誘導加熱のみを用いた場合、温度の不均一を是正することは、困難であった。
詳しく説明すると、パワー基板50は、電力半導体モジュールの一部となるものであり、通電時に半導体素子52からの発熱が大きいため、基板部57等の部材は、高い放熱性を有している。よって、ピン端子51を含みパワー基板50を高周波誘導加熱のみで加熱した場合、高周波誘導加熱によりピン端子51で発生した熱は、はんだ56を通って熱伝導率が高い基板部57へ逃げるため、ピン端子51そのものの温度は上昇しにくい。さらに、直径が数mm程度のピン端子51は、熱容量がパワー基板50の1000分の1程度であり、ピン端子51の発熱のみでピン端子51近傍のパワー基板50をはんだ56の融点付近まで上昇させることは困難である。その結果、ピン端子51とパワー基板50との接触部に塗布したはんだ56は溶融せず、ピン端子51の接合を行うことができない。
また、ピン端子51の断面積が小さいため、大きな電力を投入して高周波誘導加熱を行なうと、パワー基板50側に位置するピン端子51の一端51aに対向する他端51bの温度は、ピン端子51が赤熱する程度にまで温度上昇するが、一端51aにおける接合部のはんだ56を溶融させることはできなかった。
そこで本実施形態では、上述のように加熱装置120によって、パワー基板50の全体を、はんだ56の融点以下で該融点付近の温度まで、予め加熱する。該加熱後、あるいは該加熱とともに、さらに、高周波誘導加熱装置120による高周波誘導加熱によってピン端子51を発熱させ、上記融点付近の温度から融点を超える温度まで、つまり融点を跨いでピン端子51を昇温させる。
このような加熱方法によって、ピン端子51からパワー基板50への温度勾配を利用して、ピン端子51の根元近傍、つまりピン端子51と配線パターン54との接続部分における温度を、はんだ56の融点以上とし、かつ、ピン端子51の根元近傍以外の部分を、はんだ56の融点未満とする。このようにして、局所的なはんだ接合を形成し、上述した、高周波誘導加熱における不均一性を是正し、それぞれのピン端子51における根元の温度をより均一化した。
例えば、はんだ56の融点が217℃の場合、加熱装置120によりパワー基板50の温度を200℃に加熱する工程と、高周波誘導加熱装置120による高周波誘導加熱により、はんだ56の融点以上に加熱する工程とを有することで、高周波誘導加熱による加熱量は、50℃程度でよいことになる。
本実施形態の、ピン端子の接合装置101によれば、各ピン端子51の根元温度のばらつきは、加熱装置120を用いない場合に比べて、半分以下に抑制できた。これにより、ピン端子51の接合時における赤熱、及びフラックスの失活や、不必要な加熱時間の増大などの不都合を解消することができた。よって、生産性の向上を図ることも可能となる。
また、以上説明したように、ピン端子の接合装置101によれば、予め、半導体素子52等がはんだ付けされ、さらにワイヤボンディングが施されたパワー基板50に対して、後からピン端子51のはんだ付けが可能である。よって、予めピン端子が立設されている構成では、ワイヤボンドツール等との干渉防止のために基板が大型化するという問題があったが、本実施形態のピン端子の接合装置101では、上記干渉防止用の禁止エリアの制約なしにパワー基板50の設計を行なうことができ、パワー基板50の小型化を図ることも可能である。
また、上述のように、半導体素子52及び実装部品53などを固定しているはんだを再溶融させることなくピン端子51のはんだ付けが可能なことから、上記再溶融による半導体素子52及び実装部品53の移動等の懸念点に対する検査時間を縮小することができる。よって、この点からも生産性の向上を図ることが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1では、上述したように、加熱装置120は、パワー基板50の全体を一様に昇温する場合を説明した。一方、実施の形態1で説明したように、加熱装置120のヒータ112は、独立して温度制御可能な複数の加熱領域を有し、この加熱領域毎に異なる温度に昇温可能な構成とすることもできる。
本実施の形態2では、加熱装置120は、パワー基板50に対して複数の加熱領域を形成し、加熱領域毎に異なる温度制御を行うように構成する。また、本実施形態2における接合装置101−2では、上述の実施形態1における構成に、図1に示す制御装置130をさらに備える。制御装置130は、加熱装置110の位置決め機構113、電源部114、及び高周波誘導加熱装置120の高周波電源部122と接続され、これら構成部分の動作制御を行う。
高周波誘導加熱は、一般的に、コイルの内周領域の面積が大きくなると、磁束密度の分布が不均一となりやすい。このようなコイルにてピン端子51を発熱させた場合、ピン端子51の発熱量が不均一になる可能性が高い。
そこで、本実施形態では、高周波誘導加熱装置120によるピン端子51の発熱において、上記はんだ56の溶融に必要となる十分な発熱が見込めない一又は複数のピン端子51が発生する場合には、不十分な発熱が予想される一つ又は複数のピン端子51に対応する、加熱装置120のヒータ112の一部分について、他のヒータ112部分に比して、高温に昇温するように構成する。
即ち、加熱装置120は、パワー基板50に予め温度勾配を与えて加熱可能なように、ヒータ112は、複数の加熱領域を有する。各加熱領域の設定温度は、図1に示す制御装置130にて任意に決定可能であり、制御装置130は、その設定温度に達するようにヒータ112の上記加熱領域の温度制御を行う。例えば、ヒータ112は、中央部、及びその両端部に3分割され、制御装置130は、例えば、高周波誘導加熱の磁束密度の高い中央部のヒータの設定温度を低くし、その両端部における各ヒータの設定温度を高くするように制御することができる。
このように構成することで、広範囲に渡り配列されたピン端子51に対して、内周領域を比較的大きく設計したコイル121を有する高周波誘導加熱装置120にて発熱させる場合でも、高周波誘導加熱装置120における磁束密度分布の不均一さを補償して、ピン端子51の加熱温度を均一化することができる。その結果、ピン端子51の接合時における赤熱、及びフラックスの失活や、不必要な加熱時間の増大などの不都合を解消することができる。
勿論、上述した実施の形態1の接合装置101が奏する効果は、本実施の形態2の接合装置101−2においても奏することができる。
実施の形態3.
上述の実施の形態2では、高周波誘導加熱装置120におけるコイル121の内周領域の面積が大きくなると、磁束密度の分布が不均一となりやすく、その結果、ピン端子51の発熱量が不均一になる旨を説明した。一方、上記コイル121の内周領域の面積が比較的小さい場合でも、発熱量が上述のようにコイルとピン端子との距離に依存することから、パワー基板50においてピン端子51の配置が広範にわたるような場合には、各ピン端子51において発生する熱量にバラツキが生じる。その結果、以下のような問題が発生する。
即ち、温度上昇が大きいピン端子では、他のピン端子よりも早くはんだが溶融し、ピン端子の近傍に残ったフラックスの焼付きなどが生じる。一方、温度上昇が小さいピン端子では、他のピン端子に比べて長時間にわたり、はんだが高温に維持されることから、フラックスが失活し、溶融時のはんだの不濡れなどが発生する。また、全てのピン端子が接合するまで加熱を続行すると、ピン端子付近の半導体素子や実装部品のはんだが再溶融するなどの問題も発生する。
そこで本実施の形態3における接合装置101−3では、上述の実施形態2における構成に加えて、図1に示され制御装置130に接続される温度測定器140をさらに備える。
本実施の形態3における接合装置101−3は、以下のように動作する。
即ち、まず、パワー基板50の上方に配置したコイル121による高周波誘導加熱にて、ピン端子51を配列したパワー基板50を加熱する。これにより発生するパワー基板50上の温度分布を温度測定器140で取得する。つまり、この温度測定により、各ピン端子51における発熱量のバラツキを検出することができる。この結果を、例えば制御装置130が有する記憶部131に記憶し、制御装置130は、上記温度分布の情報を元に、加熱装置120のヒータ112における複数の上記加熱領域の温度分布指令を決定する。そしてこの決定に従い、制御装置130は、ヒータ112の各加熱領域の昇温制御を行う。また、実施形態1にて説明したように、ピン端子51に対して高周波誘導加熱装置120による高周波誘導加熱を実行する。
温度測定器140から制御装置130への情報提供において、好ましくは、更にリアルタイムにフィードバックできる補正を行なえるのが良い。そのような温度測定器としては、複数の放射温度計や、サーモビュアのような温度分布測定を測定できる手段が好適である。
このように本実施の形態3における接合装置101−3によれば、高周波誘導加熱装置120のコイル121に対して広範にピン端子51が配列されていることで、高周波誘導加熱にて各ピン端子51において発生する発熱量にバラツキが生じる場合でも、各ピン端子の根元の温度を、より均一化することができ、誘導加熱時間を最小限とすることができる。よって、パワー基板50の生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1の接合装置101が奏する効果は、本実施の形態2の接合装置101−2においても奏することができる。
実施の形態4.
上述した実施の形態1から3では、高周波誘導加熱装置120のコイル121は、パワー基板50の上方に配置されている。本実施の形態4では、パワー基板50、特にピン端子51に対するコイル121の配置位置を、実施の形態1から3における配置位置とは異ならせた。尚、その他の構成については、実施の形態1から3における構成と変わるところはなく、ここでの説明を省略する。
図2は、本実施の形態4における接合装置101−4の概略構成を示し、特に、パワー基板50のピン端子51の配置と加熱方法を説明するための図である。尚、上述のように本実施の形態4における接合装置101−4は、図1に示す接続装置101等と同じ構成を有するが、図2では、その一部の構成部分の図示を省略している。
図2に示すように、パワー基板50の基板部57の端部57aに、基板部57の一辺に沿って複数のピン端子51を一列状に整列するように設置した場合、ピン端子51と直交する方向に巻いたコイル121を用いて、換言すると、ピン端子51の延在方向(軸方向)に対して直交する方向がコイル121の中空部の延在方向121aとなるように巻回されたコイル121を用いて、このようなコイル121を、ピン端子51の側方で、かつ上記中空部延在方向121aを上記直交する方向に平行又はほぼ平行として配置する。
また、上記中空部延在方向121aに直交する方向である、コイル121の幅方向121bにおけるコイル121の幅寸法を、上記端部57aにおけるパワー基板50の長さよりも長くする。このように構成することで、コイル121は、少なくともピン端子51が整列されている領域では、コイル121を構成する導体が直線的に延在した細長いコイルとなる。よって、コイル121の曲部121cから発生する磁束に起因する、ピン端子51に作用する磁束のバラツキを無くすことができる。
以上にように構成したコイル121にてピン端子51を発熱させることで、全てのピン端子51について均一に加熱することが可能である。
即ち、コイル121の周りに生じる磁束は、ピン端子51の側面部を貫通するため、実施形態1〜3における構成のようにパワー基板50の上方にコイル121を配置する場合に比べて、本実施形態では、より高効率にピン端子51を加熱することが可能となる。
また、本実施形態では、実施形態1〜3における構成に比べて、パワー基板50を貫通する磁束が少なくなり、パワー基板50の温度上昇を低減することができる。
本実施形態の接合装置101−4においても、上述した実施の形態1〜3の場合と同様に加熱装置120によるパワー基板50の予熱が行われる。よって、上述した実施の形態1の接合装置101において得られた効果は、本実施の形態4の接合装置101−4においても奏することができる。
尚、本実施形態4に限らず全ての実施形態において、ピン端子51と配線パターン54との接合部へのはんだ56の供給方法として、例えば、回転プレート上に所定のギャップを設けたスキージにて、一定の厚みのはんだを塗り、そこにピン端子の一端を接触させて、はんだを転写する転写法や、ディスペンサによる微小塗布方法や、ジェットディスペンスによる局所塗布方法や、ピン端子の底面へのディスペンス方法、等を用いることで、所定量のはんだ56を供給することができる。
実施の形態5.
本実施の形態5は、実施の形態4にて説明したコイル121を有する接合装置101−4を用いるが、被加熱体であるパワー基板が実施の形態4とは異なる。即ち、実施の形態4では、基板部57の一端57aにピン端子51を配列したパワー基板50が被加熱体であるが、本実施の形態5では、図3に示すように、パワー基板50Aを被加熱体とする。尚、本実施の形態5においても使用する接合装置101−4は、図1に示す接続装置101等と同じ構成を有するが、図3では、その一部の構成部分の図示を省略している。
パワー基板50Aでは、基板部57の直交する少なくとも2辺に沿って、それぞれピン端子51が一列状に整列されている。尚、図3では、基板部57の4辺に沿ってピン端子51が一列状に整列された形態を図示している。また、パワー基板50Aは、基板部57の四隅の角部付近(図中斜線部)には、ピン端子51の設置を行わない端子非設置部57bを有する。このような端子非設置部57bを設ける理由は、ピン端子51の加熱が重複して行われるものと、そうでないものとが生じることを避けるためである。
即ち、端子非設置部57bにもピン端子51を配置して直交する2辺に沿ってピン端子51を整列させて、実施の形態4にて説明したコイル121により高周波誘導加熱を行った場合には、端子非設置部57bに配置したピン端子51は、重複して高周波誘導加熱されることになる。よって、重複加熱されたピン端子51では、上述したような、赤熱及びフラックスの失活等による接合不具合が発生する可能性が高くなる。そこで、上記重複加熱を防止するため、端子非設置部57bを設けている。
このような観点から、端子非設置部57bの大きさは、直交する2辺に沿って整列されたピン端子51に対して実施の形態4にて説明したコイル121により高周波誘導加熱を行ったときに、上記重複加熱されるピン端子が生じない程度の大きさ、換言すると、全てのピン端子51をほぼ均等な発熱状態にできる大きさである。具体的には、例えば、1本又は数本のピン端子51が配置される程度の大きさである。
尚、上記幅方向121bにおけるコイル121の幅寸法は、実施形態4で説明したように、パワー基板50の辺の長さを超える長さであるが、少なくともピン端子51が整列されている領域において、コイル121を構成する導体が直線的に延在するような長さとしてもよい。
パワー基板50Aのように、ピン端子51を基板部57の外周部に選択的に配置することで、高周波誘導加熱の際に、コイル121と各ピン端子51との間の距離を一定にすることができ、さらにピン端子51の発熱温度を均一化させることが可能となった。これにより、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Aの生産性を向上させることができる。また、エネルギ消費量を削減することもできる。
勿論、上述した実施の形態1〜4の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態5においても奏することができる。
実施の形態6.
上述した実施の形態1〜5では、いずれのパワー基板50、50Aも、基板部57の縁部に沿って一列状にピン端子51を配列している。これに対し本実施形態6では、図4に示すように、配線パターン54に基づいてピン端子51を設置したパワー基板50Bを被加熱体とする。よって、パワー基板50Bにおいて、ピン端子51は、基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。また、上記パワー基板50Bに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図4では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
上述のように接合装置は、上述したものと同じものを用いることから、パワー基板50Bにてランダムに配置されたピン端子51は、コイル121に対して不均等な配置となっている。よって、実施の形態1〜5で説明した形態のまま、パワー基板50Bのピン端子51を一括して発熱させて接合しようとすると、各ピン端子51間で温度上昇に大きな差が生じてしまう。
そこで、本実施形態6では、ピン端子51と配線パターン54との接合部におけるはんだの種類を、ピン端子51の配置位置に応じて変更する。即ち、温度上昇が他のピン端子51よりも小さいピン端子51に対しては、融点の低いはんだを使用し、一方、温度上昇が大きいピン端子51には、融点の高いはんだを用いる。
具体的には、図4に示すように、コイル121による磁界が比較的作用し易く発熱量が大きい、基板部57の縁部に配置されたピン端子51に対しては、融点の高いはんだ56Aを使用し、一方、上記磁界が作用し難く発熱量が小さい基板部57の中央部に配置されたピン端子51に対しては、融点の低いはんだ56Bを使用する。
このようなはんだの使い分けにより、発熱温度がばらついても、はんだ溶融のタイミングを均一化することができる。
その結果、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Bの生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態6においても奏することができる。
また、異なるはんだの供給手法としては、マルチノズルのディスペンサを用いる、あるいは、マルチステージのはんだ転写装置を用いることで、複数種類のはんだ供給が可能である。
実施の形態7.
本実施形態7でも、上述の実施形態6と同様に、ピン端子51は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態7では、図5に示すパワー基板50Cを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Cに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図5では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
このような構成により、本実施形態7でも、高周波誘導加熱によるピン端子51の発熱量は、パワー基板50Cにおけるピン端子51の配置位置に応じて変化する。
そこで本実施形態7では、ピン端子51と、配線パターン54との接合部におけるはんだ56の量を発熱量に応じて変化させる。つまり、温度上昇が他のピン端子51よりも小さいピン端子には、はんだ量を少なくし、温度上昇が大きいピン端子にははんだ量を多くする。
具体的には、図5に示すように、コイル121による磁界が比較的作用し易く発熱量が大きい、基板部57の縁部に配置されたピン端子51に対しては、はんだ56の量を比較的多くし、一方、上記磁界が作用し難く発熱量が小さい基板部57の中央部に配置されたピン端子51に対しては、はんだ56の量を比較的少なくする。
はんだ56の量のコントロールは、シーケンサなどを用いて数値制御化する制御手段を更に備えることで、所定の接合部に所定量のはんだ56を供給可能である。即ち、ディスペンス方式であれば、はんだの塗出時間を制御することで対応可能であり、ジェットディスペンス方式の場合では、パルス数を制御することで可能である。
このように、供給するはんだ量を変化させることで、はんだ56を含めた各ピン端子51の熱容量の差を減少させ、それぞれのピン端子51において発熱温度がばらついても、はんだ溶融のタイミングを均一化することができる。その結果、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Cの生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態7においても奏することができる。
実施の形態8.
本実施形態8でも、上述の実施形態6、7と同様に、ピン端子は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態8では、図6に示すパワー基板50Dを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Dに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図6では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
このような構成により、本実施形態8においても、高周波誘導加熱によるピン端子の発熱量は、パワー基板50Dにおけるピン端子の配置位置に応じて変化する。
そこで本実施形態8では、図6に示すように、ピン端子の配置位置に応じてピン端子そのものの熱容量を変化させることで、はんだ溶融のタイミングを均等化するように構成した。即ち、コイル121による発熱量が他よりも大きいピン端子は、熱容量が大きい太いピンを使用し、一方、発熱量が小さいピン端子には熱容量が小さい細いピンを使用する。
具体的には、図6に示すように、コイル121による磁界が比較的作用し易く発熱量が大きい、基板部57の縁部に配置されたピン端子に対しては、比較的太いピン端子51Aを用い、一方、上記磁界が作用し難く発熱量が小さい基板部57の中央部に配置されたピン端子に対しては、比較的細いピン端子51Bを使用する。
尚、各ピン端子51A,51Bにおいて、他の基板、例えばプリント配線板80に接続される各ピン端子51A,51Bの他端51bは、プリント配線板80のスルーホール81に嵌合可能なように、各ピン端子51A,51Bの本体部51cよりも細い形状としている。このような形状とすることで、本体部51cの直径が異なるピン端子であっても、プリント配線板80のスルーホール81の大きさを変更することなく、ピン端子51A、51Bのはんだ付け用の加熱温度の均一化が可能となる。
その結果、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Dの生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態8においても奏することができる。
実施の形態9.
本実施形態9でも、上述の実施形態6〜8と同様に、ピン端子は、配線パターン54に基づいて設置され、よって基板部57の縁部に沿って一列状に配列されるものではない。つまり、本実施形態9では、図7に示すパワー基板50Eを被加熱体とする。また、上記パワー基板50Eに用いる、ピン端子の接合装置は、上述した実施の形態1〜5にて使用した接合装置101、101−2〜101−4を使用することができる。尚、図7では、そのような接合装置101等の一部の構成部分のみを図示している。
このような構成により、本実施形態9においても、高周波誘導加熱によるピン端子の発熱量は、パワー基板50Eにおけるピン端子の配置位置に応じて変化する。
そこで本実施形態9においても、上述の実施の形態8と同様にピン端子そのものの熱容量を変化させるが、実施形態8ではピン端子の外径を変化させたのに対し、本実施形態9では、図7に示すように、中空部を有する管形状のピン端子を使用し、その外径は変更せずに肉厚を変化させて熱容量を変化させる。即ち、発熱量が他よりも小さいピン端子は、上記肉厚が比較的厚いピンを使用し、一方、発熱量が大きいピン端子には上記肉厚が比較的薄いピンを使用する。
具体的には、図7に示すように、コイル121による磁界が比較的作用し易く発熱量が大きい、基板部57の縁部に配置されたピン端子に対しては、肉厚の比較的薄いピン端子51Eを用い、一方、上記磁界が作用し難く発熱量が小さい基板部57の中央部に配置されたピン端子に対しては、肉厚の比較的厚いピン端子51Fを使用する。
このように、ピン端子の配置位置に応じてピン端子そのものの熱容量を変化させることで、はんだ溶融のタイミングを均等化することができる。
その結果、高周波誘導加熱時間を最小限にすることができ、パワー基板50Eの生産性が高まり、エネルギ消費量を削減することができる。
勿論、上述した実施の形態1〜5の接合装置101等が奏する効果は、本実施の形態9においても奏することができる。
また、本実施形態では、ピン端子51E、51Fは、ともに外径が同じであることから、取り扱いが容易であり、また、上記プリント配線板80のスルーホール81の直径を、ピン端子51E、51Fに対応して変更する必要がない。
50 パワー基板、50A〜50E パワー基板、51 ピン端子、
52 半導体素子、
101、101−2〜101−4 接合装置、110 加熱装置、
120 高周波誘導加熱装置、121 コイル、130 制御装置、
140 温度測定器。

Claims (11)

  1. 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合方法であって、
    常温から、上記ピン端子を接合するはんだの融点以下で該融点付近の温度まで、加熱装置にて上記パワー基板を予熱するとともに、
    上記はんだの融点を跨ぎ上記融点を超えて上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させて上記ピン端子を上記パワー基板にはんだ接合する、
    ことを特徴とするピン端子の接合方法。
  2. 上記ピン端子が上記パワー基板の端部に列状に配列される場合、上記高周波誘導加熱を行うコイルは、配列された全てのピン端子を内周側に含む形状にて巻回されている、請求項1記載のピン端子の接合方法。
  3. 上記ピン端子が上記パワー基板の互いに直交する2辺に沿って列状に配列される場合、上記パワー基板の角部には上記ピン端子を配置せず、各辺に配列されたピン端子毎に上記コイルにて高周波誘導加熱を行う、請求項2記載のピン端子の接合方法。
  4. 上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対して、上記パワー基板における上記ピン端子の配列が不均等な場合、ピン端子の配置位置に応じて、融点の異なる複数種類のはんだを使い分けて上記はんだの溶融タイミングを均一化する、請求項1記載のピン端子の接合方法。
  5. 上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対して、上記パワー基板における上記ピン端子の配列が不均等な場合、ピン端子の配置位置に応じて上記はんだの量を変化させて上記はんだの溶融タイミングを均一化する、請求項1記載のピン端子の接合方法。
  6. 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされたパワー基板に対して複数のピン端子をはんだで接合するピン端子の接合装置であって、
    上記パワー基板を載置し、載置した上記パワー基板における複数領域を異なる温度に加熱する複数の加熱領域を有する加熱装置と、
    上記ピン端子を高周波誘導加熱して上記はんだを溶融させる高周波誘導加熱装置と、
    を備えたことを特徴とするピン端子の接合装置。
  7. 上記パワー基板の温度分布を測定する温度測定器と、
    測定された上記温度分布に従い、それぞれの上記ピン端子におけるはんだの温度を均一化する、上記加熱装置の上記加熱領域の温度制御を行う制御装置と、をさらに備えた、請求項6記載のピン端子の接合装置。
  8. 部品が実装されてはんだ付けされワイヤボンディングされ、さらに複数のピン端子の一端が高周波誘導加熱にて加熱されて溶融したはんだで上記ピン端子が接合されるパワー基板であって、
    上記高周波誘導加熱を行うコイルの巻回形状に対する各ピン端子の配置位置に応じて、上記ピン端子は、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する形状を有することを特徴とするパワー基板。
  9. 上記ピン端子は、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する、異なった太さを有する、請求項8記載のパワー基板。
  10. 上記ピン端子は、中空形状であり、それぞれの上記ピン端子のはんだの温度を均一化する、異なった肉厚を有する、請求項8記載のパワー基板。
  11. 他基板に接合される上記ピン端子の他端側は、上記他基板に穿孔されているスルーホールに対応した太さを有する、請求項9又は10記載のパワー基板。
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