JP6928417B2 - イオン放出機能性複合微粒子の製造方法 - Google Patents

イオン放出機能性複合微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、歯科分野において歯科材料に応用されるイオン放出機能性複合微粒子の製造方法に関する。
歯科医学において口腔内環境を衛生的に保ち、う蝕や歯周病を予防する事は重要な課題の一つである。しかしながら、う蝕が発生しコンポジットレジン充填などの保存修復治療を受けざるをえない患者が数多く存在する。また、それらコンポジットレジンなどの保存修復物と歯質との接着界面は二次う蝕の好発部位である。従って、初期う蝕および二次う蝕の予防には周辺歯質の強化やプラーク沈着(バイオフィルム形成)を阻止する必要がある。ここで、初期段階のう蝕は歯質を形成するエナメル質がStreptococcus mutans等の細菌が産出する乳酸により溶解(脱灰)することで生じる。特にプラーク内は唾液によるpHの緩衝作用が弱くなるためう蝕を発生しやすい。そのエナメル質は生体で最も硬い組織であり、その主成分はハイドロキシアパタイトで構成されている。
しかしながら、pH4以下の酸性環境下では容易に溶解しエナメル質は崩壊する。このハイドロキシアパタイトをフルオロアパタイトに化学変換させ、耐酸性を持たせる事がう蝕に対して有効であることは数多くの研究により明らかにされている。そのため、フッ化ナトリウム等を配合した歯磨剤や修復材料が多くの歯科材料メーカーより販売されている。しかしながらフッ化ナトリウム等の無機塩類は一時的な効果は認められるものの、短時間にその多くが溶出するため持続的な歯質強化が期待出来ない。そこで、我々はフッ化物イオンを含む多種イオンを持続的に徐放するイオン放出性ガラスを開発した。(特許文献1参照)このフィラーの基本骨格はフルオロボロアルミノシリケートガラスであり、その表面をポリカルボン酸処理する事により多種イオンの放出および取込みが可能となっている。また、フッ化ナトリウム等の無機塩類とは異なり配位型の結合であるために徐放性を有する。これらの効果は多くの研究論文(非特許文献1〜4参照)で報告されている。
しかし、そのイオン放出性ガラスは粒子径が数μmと小さいために嵩高くなり、また安息角も高いために流動性が悪くなる等の性質を有している。このイオン放出性ガラスを歯科材料に応用してイオン徐放による予防的な効果を最大限に発現させるためには、歯科材料にイオン放出性ガラスを高配合することが求められるものの、イオン放出性ガラスが有する前述の性質から歯科材料中におけるイオン放出性ガラスの配合量を高くすることができず、配合量を低く抑えなければならなかった。例えば、粉液タイプのセメント系歯科材料への応用においては、一般的にイオン放出性ガラスは粉材に配合されるが、粉材の嵩が高くなり、また安息角も高く流動性が低下するため粉量計による計量性や液材との練和操作性が悪くなり、さらに均一な練和物が得られない等の問題が生じていた。これはイオン放出性ガラス高配合による粉材の表面積の増大に伴う粉液バランスの崩れとも言える。また、筆積み法で用いる即時重合レジンへの応用においても同様に、イオン放出性ガラスはポリマービーズを主成分とする粉材への配合となるが、メチルメタアクリレート等の液成分のポリマービーズへの吸収が大きく阻害されるため、適切な泥状混和物が得られない等の問題が生じていた。さらに、ペースト&ペーストタイプの歯科材料への応用においては、イオン放出性ガラスの嵩高さに起因する表面積増大のためペーストへの高配合化ができず、また術者が操作容易なペースト粘性に調製することも困難であった。
特許公開2001-139844
Koji Kawasaki and Masaki Kambara, International Journal of Dentistry, Volume 2014, Article ID463149 Nao Suzuki, Masahiro Yoneda, Kazuto Haruna, Yosuke Masuo, Tetsuyo Nishihara, Kosuke Nakanishi, Kazuhiko Yamada, Akie Fujimoto and Takao Hirofuji, Archives of Oral Biology 59(2014)407-413 Yoshihiro Fujimoto, Mika Iwasa, Ryosuke Murayama, Masashi Miyazaki, Akihiro Nagafuji and Toshiyuki Nakatsuka, Dental Materials Journal 2010; 29(4): 392-397 Satoshi Imazato, Sai Ma, Ji-hua Chen and Hockin H.K.Xu, Dental Materials 30(2014)97-104
前述した様に、イオン放出性ガラスは小さな粒子径や破砕型形状に基因した嵩高さや低い安息角等から流動性に乏しいなどの欠点も有していた。これらの欠点は練和等の操作性に悪影響を与えることから、様々な歯科材料に応用することができず、限定された応用に留まっている現状があった。特にこのイオン放出性ガラスを即時重合レジンなどの筆積み法を多用する粉液タイプの歯科材料に応用した場合においては、一般に用いられているポリメチルメタクリレート等の球状フィラーに比べ流動性が劣るため操作性に課題があった。
さらにイオン放出性ガラスの特徴であるイオン徐放による歯質強化等の効果を高いレベルで発現させるためには歯科材料に多くのイオン放出性ガラスを配合する必要がある、しかし、イオン放出性ガラスの配合量を高める程、歯科材料からのイオンの徐放量は増加するものの、その反面嵩高く、そして流動性も低下するため操作性が悪くなる等の課題も生じる結果となる。また、ペーストタイプの歯科材料への応用においてはイオン放出性ガラスの表面を3-メタクリロイルキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理する事でラジカル重合性モノマーとの相溶性を向上させ、ペースト中にイオン放出性ガラスを高充填することが可能となる。しかし、シランカップリング剤による表面処理は疎水性効果が高まるために、イオン徐放が抑制される傾向にある等、これら相反する数々の課題を解決することが必要とされていた。
本発明は、イオン放出性ガラスを高密度に配合した上で、安息角を低下させ流動性を向上させることができ、歯科材料に配合されているラジカル重合性モノマーとの相溶性に優れるイオン放出機能性複合微粒子を製造することを課題とする。また、複合微粒子中のイオン放出性ガラスの配合量を任意に変えることができ、製造コストと環境負荷を低減させたイオン放出機能性複合微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
発明者等の鋭意検討の結果、水溶性アルコール/水の混合溶媒に可溶なエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマー、水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタクリレートポリマー、およびイオン放出性ガラスを含む懸濁液を、スプレードライヤーを用いた噴霧・乾燥により歯科用イオン放出機能性複合微粒子を製造し、それを様々な歯科材料に応用することにより、上記の課題を解決出来る事を発見し本発明を完成させた。
本発明により、イオン放出機能性複合微粒子中のイオン放出性ガラスの配合量を任意に変えることができ、製造コストと環境負荷を低減させたイオン放出機能性複合微粒子の製造方法を提供することができる。本発明によるポリマーの溶解性を利用したスプレードライヤーによるイオン放出機能性複合微粒子の製造方法では、水溶性アルコール/水の混合溶媒を使用することで、従来の良溶媒のみを用いた組成域ではポリマーの完全溶解による粘性上昇により困難であったポリマー配合率でも製造が可能となった。
以下、より詳細に説明する。すなわち、歯科用イオン放出機能性複合微粒子を得る製造方法として液中乾燥法や懸濁重合法を用いた場合には多量の廃液が発生するため、その廃液処理も必要なるため製造コストを押し上げ、また環境に与える影響も多大であった。それに対して、スプレードライヤーによる噴霧乾燥法を用いる方法は複雑な工程を経ることなく歯科用イオン放出機能性複合微粒子を得る事が可能である。また、廃液も少なく済むため製造コストの低減化が可能であり、環境への影響も低く抑えられる。
しかしながら、スプレードライヤーを用いる方法もポリマーが溶解していなければイオン放出性ガラスを結合する結合剤としての効果を発揮しない。したがって、エチルメタクリレートポリマー、エチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーおよびメチルメタクリレートポリマーをそれらの良溶媒であるアセトンやメチルメタクリレートモノマー等に多量に溶解した場合には、粘性の増加が著しくスプレードライヤーによる製造は困難であった。
ここで、エチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーはエタノール等の水溶性アルコールには膨潤するものの溶解はしない。しかしながら水溶性アルコール/水の混合溶媒に完全溶解する事と、メチルメタクリレートポリマーは水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しない事を発見した。この溶解性の違いを利用する事でイオン放出性ガラスとポリマーの比率を如何様に変化させてもポリメチルメタクリレートは溶解しないために懸濁液の粘性は増加せずスプレードライヤーにて噴霧・乾燥して歯科用イオン放出機能性複合微粒子を製造することが可能となった。同時に製造コストと環境負荷の低減を可能とした。
本発明により、イオン放出機能性複合微粒子中のイオン放出性ガラスの配合量を任意に変えることができ、製造コストと環境負荷を低減させたイオン放出機能性複合微粒子の製造方法を提供することができる。
本発明によるポリマーの溶解性を利用したスプレードライヤーによるイオン放出機能性複合微粒子の製造方法では、水溶性アルコール/水の混合溶媒を使用することで、従来の良溶媒のみを用いた組成域ではポリマーの完全溶解による粘性上昇により困難であったポリマー配合率でも製造が可能となった。
より詳しく述べると、エチルメタクリレートポリマー、エチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーおよびメチルメタクリレートポリマーを良溶媒であるアセトンやメチルメタクリレートに溶解させると、それらのポリマーは完全に溶解する。よって、それらの溶液粘性はポリマーの割合が増すに従って増加し曳糸性が発現する。従って、スプレードライヤーではその曳糸性のため噴霧・乾燥が不可能となる。しかし、水溶性アルコール/水の混合溶媒を用いる本発明では、メチルメタクリレートポリマーは溶解しない。従って、イオン放出機能性複合微粒子中のポリマー濃度を増加させたい場合には、ポリメチルメタクリレートの添加量を増加させる事で調整が可能となる。この様に、従来の良溶媒のみを用いたイオン放出機能性複合微粒子のスプレードライヤーによる製造方法では困難であった組成域でも容易に製造可能となった。
本発明で得られるイオン放出機能性複合微粒子断面の模式図
本発明に用いる水溶性アルコールは水と相溶するものであれば何等制限なく用いることができる。その水溶性アルコールを具体的に例示するとメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられ、これらの中でも取扱の容易さや安全性の点からエタノールを用いることが好ましい。また、本発明に用いる水溶性アルコールは単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いる水は特に限定されないが、具体的に例示すると電気伝導度0.2μS/cm以下のイオン交換水、日本薬局方精製水および日本薬局方蒸留水が挙げられる。これらの中でも、製造コストの点で電気伝導度0.3μS/cm以下のイオン交換水が好ましい。また、本発明においてはこれらの水を単独で用いるだけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いる水溶性アルコール及び水からなる混合溶媒の混合割合はエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーを溶解させることができ、且つメチルメタクリレートポリマーを溶解させない領域の混合割合であれば特に限定されず、任意の混合割合を採用することができる。その中でも混合溶媒中における水溶性アルコールの割合が55〜99wt%の範囲が好ましく、より好ましくは60〜90wt%の範囲、最も好ましくは75〜85wt%の範囲である。
本発明に用いる、エチルメタクリレートポリマー及び/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーは水溶性アルコール及び水の混合溶媒に可溶であれば何等制限はなく、いずれのエチルメタクリレートポリマーやエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーでも問題なく用いることができる。エチルメタクリレートポリマーやエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーの分子量は特に制限はないが、その中でも好ましい分子量は1000〜200000の範囲であり、より好ましくは10000〜100000の範囲、最も好ましくは50000〜100000の範囲である。またこれらの分子量の種類は特に制限はなく、重量平均分子量や数平均分子量等のいずれの分子量であっても何等問題はない。
さらに、エチルメタクリレートポリマーやエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーの平均粒径(メジアン粒径)も特に制限は無く、水溶性アルコール及び水の混合溶媒に可溶であれば何等問題はない。その中でも好ましい平均粒径(メジアン粒径)は0.01〜200μmの範囲、より好ましくは1〜100μmの範囲、最も好ましくは5〜50μmの範囲である。0.01μm以下の場合、溶解時にママコを生じやすく、200μm以上の場合には溶解に時間を要するためである。

さらに本発明に用いるエチルメタクリレートポリマーやエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーは分子量や平均粒径(メジアン粒径)も含めて単独ではなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いるエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーにおけるエチルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合比は特に限定されないが、好ましくは1/99wt%から50/50wt%、より好ましくは5/95wt%から40/60wt%、さらに好ましくは10/90wt%から30/70wt%の範囲である。
本発明に用いるメチルメタクリレートポリマーの分子量は特に限定されないが、好ましくは1000〜2000000の範囲、より好ましくは100000〜1500000の範囲、最も好ましくは500000〜1200000の範囲である。またこれらの分子量の種類は特に制限はなく、重量平均分子量や数平均分子量等のいずれの分子量であっても何等問題はない。さらにメチルメタクリレートポリマーの平均粒径(メジアン粒径)は特に限定されないが、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは5〜50μmの範囲である。
これらのメチルメタクリレートポリマーは単独だけでなく、異なる分子量や平均粒径(メジアン粒径)も含めて数種類のメチルメタクリレートポリマーを組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いるイオン放出性ガラスは、ガラス骨格を形成する1種類以上のガラス骨格形成元素とガラス骨格を修飾する1種類以上のガラス修飾元素を含んだガラスであれば何等制限なく用いることができる。また、本発明においてはガラス組成によってガラス骨格形成元素又はガラス修飾元素になりうる元素、いわゆるガラス両性元素はガラス骨格形成元素の範疇として含めるものである。イオン放出性ガラスに含まれるガラス骨格形成元素を具体的に例示するとシリカ、アルミニウム、ボロン、リン等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。また、ガラス修飾元素を具体的に例示するとフッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類元素、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属類元素、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属類元素等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。これらの中でもガラス骨格形成元素としてシリカ、アルミニウム、ボロンを含み、且つガラス修飾元素としてフッ素、ナトリウム、ストロンチウムを含むことが好ましく、具体的にはストロンチウム、ナトリウムを含んだシリカガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロボロシリケートガラス、フルオロアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。さらに、フッ化物イオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ホウ酸イオンを徐放する観点から、より好ましくはナトリウム、ストロンチウムを含んだフルオロアルミノボロシリケートガラスであり、そのガラス組成範囲はSiO2 15〜35質量%、Al2O3 15〜30質量%、B2O3 5〜20質量%、SrO 20〜45質量%、F 5〜15質量%、Na2O 0〜10質量%となる。このガラス組成は元素分析、ラマンスペクトルおよび蛍光X線分析等の機器分析を用いることにより確認することができるが、いずれかの分析方法による実測値がこれらの組成範囲に合致していれ何等問題はない。
これらのガラスの製造方法においては特に制限はなく、溶融法あるいはゾルーゲル法等の製造方法で製造することができる。その中でも溶融炉を用いた溶融法で製造する方法が原料の選択も含めたガラス組成の設計のし易さから好ましい。
本発明に用いるイオン放出性ガラスは非晶質構造であるが、一部結晶質構造を含んでいても何等問題はなく、さらにそれらの非晶質構造を有するガラスと結晶構造を有するガラスの混合物であっても何等問題はない。ガラス構造が非晶質であるか否かの判断はX線回折分析や透過型電子顕微鏡等の分析機器を用いて行うことができる。その中でも本発明に用いるイオン放出性ガラスは外部環境におけるイオン濃度との平衡関係により各種イオンが徐放することから、均質な構造である非晶質構造であることが好ましい。
本発明に用いるイオン放出性ガラスからの各種イオンの徐放はガラスの粒子径によって影響を受けるため湿式又は/及び乾式の粉砕、分級、篩い分け等の方法により粒子径を制御する必要がある。そのため本発明に用いるイオン放出性ガラスのメジアン径は0.01〜100μmの範囲であれば特に制限はないものの、好ましくは0.01〜50μmの範囲、さらに好ましくは0.1〜5μmの範囲である。また、ガラスの形状は球状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の形状でよく、特に何等制限はないが、好ましくは球状あるいは破砕状である。
さらに、本発明に用いるイオン放出性ガラスのガラス表面を表面処理して高機能化することによりイオン放出性を向上させることが好ましい態様である。その中でも、イオン放出性ガラスのイオン徐放性を向上させるためには本発明に用いるイオン放出性ガラスをシラン化合物や酸性ポリマーを用いて複合表面処理を行うことが最も好ましい。この複合表面処理はシラン化合物によりイオン放出性ガラス表面にポリシロキサンで被覆した後に、酸性ポリマーを用いて表面処理する方法であり、以下において具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
粉砕等により所望の平均粒子径に微粉砕されたイオン放出性ガラスを含有する水性分散体を調製後、一般式(I)(式中、ZはRO-、Xはハロゲン、YはOH-、Rは炭素数が8以下の有機基、n、m、Lは0から4の整数で、n+m+L=4である)で表されるシラン化合物を添加して混合し、そのシラン化合物を加水分解または部分加水分解・縮合させたポリシロキサンによりイオン放出性ガラス表面を被覆する。
Figure 0006928417
一般式(I)で表されるシラン化合物を具体的に例示すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2-エチルヘキシロキシ)シラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリイソプロポキシクロロシラン、トリメトキシヒドロキシシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン、水酸化ケイ素(酸化ケイ素水和物)等が挙げられ、より好ましくはテトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランである。
また一般式(I)で表されるシラン化合物の低縮合体であることがより好ましく、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランを部分加水分解して縮合させた低縮合シラン化合物である。これらの化合物は単独または組み合わせて使用することができる。
シラン化合物の添加量はイオン放出性ガラスの平均粒子径に依存するが、イオン放出性ガラスに対してSiO2 換算で0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜4重量部である。添加量が0.1重量部以下の場合は、ポリシロキサン被膜形成の効果がなく、一次粒子まで解砕できず凝集したものになる。一方10重量部以上では乾燥後の固化物が硬すぎて解砕することができず、一次粒子まで戻すことができない。
また水性分散体中におけるイオン放出性ガラスの含有量は水性媒体に対して25〜100重量部の範囲であり、好ましくは30〜75重量部の範囲である。イオン放出性ガラスの含有量が100重量部を越える場合は均一なポリシロキサン被膜を形成しにくい。また、25重量部より少ない場合、撹拌状態下でイオン放出性ガラスが沈降したり水性分散体中で相分離が発生したりする。
上記の水性媒体とは水及びアルコールから構成される。アルコールを加えることにより乾燥工程において表面被覆したイオン放出性ガラスの凝集性を軽減させ、より解砕性を向上させる多大な効果がある。好ましいアルコールとしては炭素数2〜10のアルコール類であるが、炭素数が10以上のアルコールの添加は沸点が高く溶媒を乾燥除去するために長時間を要する。具体的なアルコールを例示するとエチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、iso−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコールn−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ドデシルアルコールが挙げられ、より好ましくは炭素数2〜4のアルコール、例えばエチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールが挙げられる。アルコールの添加量は水に対して5〜100重量部、好ましくは5〜20重量部である。添加量が100重量部以上になると乾燥工程が複雑になる等の問題が生じる。
その後、シラン化合物処理した水性分散体であるスラリーを乾燥し、水性媒体を除去して固化物が得られる。この固化物はイオン放出性ガラスの凝集状態ではあるが、単なるイオン放出性ガラスの凝集物ではなく、個々の微粒子の境界面には縮合により形成されたポリシロキサンが介在している。したがって次の工程としてこの固化物をポリシロキサン処理前のイオン放出性ガラス相当に解砕すると、その表面がポリシロキサンで被覆されたイオン放出性ガラスが得られる。固化物の解砕は、せん断力または衝撃力を加えることにより容易に可能であり、解砕方法としては、例えばヘンシェルミキサー、クロスロータリミキサー、スーパーミキサー等を用いて行いことができる。
前記工程で得られたポリシロキサンで被覆されたイオン放出性ガラスは酸性ポリマーと反応させる酸性ポリマー処理を施すことによって本発明の最も好ましい表面処理イオン放出性ガラスを得ることができる。酸性ポリマー処理は酸性ポリマー溶液を含浸や噴霧等により接触させることにより行うことができる。例えばポリシロキサン被覆イオン放出性ガラスを乾式流動させ、その流動させた状態で上部から酸性ポリマー溶液を分散させ、十分撹拌するだけでよい。
このとき酸性ポリマー溶液の分散法は特に制限はないが、均一に分散できる滴下またはスプレー方式がより好ましく、その後熱処理を行う。得られた熱処理物は必要に応じて解砕を行い、本発明において最も好ましいイオン放出性ガラスを得ることができる。
反応に用いる酸性ポリマー溶液の調製に用いる溶媒は、酸性ポリマーが溶解する溶媒であれば何等制限はなく、水、エタノール、アセトン等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは水であり、これは酸性ポリマーの酸性基が解離し、ポリシロキサン被覆イオン放出性ガラスと均一に反応することができる。酸性ポリマー溶液中に溶解したポリマーの重量分子量は2000〜50000の範囲であり、好ましくは5000〜40000の範囲である。また酸性ポリマー溶液中に占める酸性ポリマー濃度は3〜25重量部の範囲が好ましく、より好ましくは8〜20重量部の範囲である。さらにポリシロキサン被覆イオン放出性ガラスに対する酸性ポリマー溶液の添加量は6〜40重量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。この添加量で換算するとポリシロキサン被覆イオン放出性ガラスに対する酸性ポリマー量は1〜7重量部、また水量は10〜25重量部の範囲が最適値となる。
上記の方法によりポリシロキサン被覆イオン放出性ガラスの表面に酸性ポリマー反応相を形成させるために用いることのできる酸性ポリマーは、酸性基として、リン酸残基、ピロリン酸残基、チオリン酸残基、カルボン酸残基、スルホン酸基等の酸性基を有する重合性単量体の共重合体または単独重合体であれば何等問題なく用いることができる。これらの重合性単量体を具体的に例示するとアクリル酸、メタクリル酸、2-クロロアクリル酸、3-クロロアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、グルタコン酸、シトラコン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸無水物、5-(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、20-(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル-2-ジハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2'-ブロモエチルリン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、ピロリン酸ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンジチオホスホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート等が挙げられる。これらの重合性単量体を用いて(共)重合された重合体の中でもポリシロキサン被覆無機フィラー中に含まれる酸反応性元素との酸-塩基反応が比較的遅い、α-β不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体を用いることが好ましく、具体的にはアクリル酸重合体、アクリル酸-マレイン酸共重合体、アクリル酸-イタコン酸共重合体等が挙げられる。
以下本発明の製造方法(手順)を具体的に記載する。製造手順は1.懸濁液(スラリー液)の調製手順、2.スプレードライヤーによるイオン放出機能性微粒子の製造に大別される。以下順に説明する。
1.懸濁液(スラリー液)の調製手順
本発明にて使用する懸濁液(スラリー液)の調製は以下に記載する手順が作業効率が高く好ましい。(1)水溶性アルコールと水の混合溶媒を調製する。(2)水溶性アルコール/水の混合溶媒に可溶なエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーを(1)で調製した混合溶媒へ溶解し、高分子溶液を調製する。(3)イオン放出性ガラスを(2)にて調製した高分子溶液に分散させ、懸濁液(スラリー液)の調製する。(4)水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタクリレートポリマーを(3)で調製した懸濁液(スラリー液)に分散させる。以上(1)から(4)の手順を踏む事で、本発明にて使用する懸濁液(スラリー液)の調製を効率的に行う事ができる。なお、(1)で調製される水溶性アルコール/水の混合溶媒中における水溶性アルコールの割合が50〜99%の範囲であることが好ましく、より好ましくは60〜90%の範囲であり、さらに好ましくは75〜85%の範囲である。水溶性アルコールの割合が50%以下または99%を超える場合にはエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーが溶解しないためである。なお、(2)にて使用されるエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーは最終的にイオン放出機能性微粒子のバインダー(結合材)として機能する。すなわち、水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタクリレートポリマーとイオン放出性ガラスの粒子間に存在し、各々を結合する役割を担う。(3)と(4)の手順は入れ替えても大きな問題はないが、(4)にて使用するメチルメタクリレートポリマーは溶解しないものの、懸濁液(スラリー液)の調製完了後、高温下(40℃を超えるような夏場の作業室温下)の長期保存は若干の水溶性アルコールによる膨潤を認めるため、最終段階での分散がより好ましい。また、懸濁液(スラリー液)はニュートン流体ではないため一概に粘度のみで規定できないが、1000cP以下である事が好ましい。1000cP以上では次に続くスプレードライヤーによる噴霧乾燥時に糸曳きを生じやすいため適切ではない。また、懸濁液(スラリー液)の固形分濃度(スラリー濃度)は高すぎれば高粘度に近づき適切でなく、低すぎれば生産効率が低くかつメジアン粒径が著しく小さくなるため適切ではない。なお、(3)と(4)の工程で使用する分散機器は特に限定されないが、回転式攪拌装置や超音波分散装置等が好適である。
2.スプレードライヤーによるイオン放出機能性微粒子の製造手順
前述した懸濁液(スラリー液)の調製手順に従い調製した懸濁液(スラリー液)はスプレードライヤーに送液・噴霧乾燥され、球状のイオン放出機能性微粒子が製造される。この工程では、(1)ポンプによるスプレードライヤーへの送液、(2)スプレードライヤートマイザーの回転数制御、(3)入口乾燥温度の制御が主な制御要因となる。以下各項目が最終生成物であるイオン放出機能性微粒子の粒径に与える影響を記載する。まず(1)で使用するポンプであるが、懸濁液(スラリー液)を送液出来るタイプであれば特に限定されないが、チューブポンプがコンタミネーションの防止の点で最良である。また、送液速度はスプレードライヤーの乾燥熱容量で制限を受けるため、一概には言えないが、使用する水溶性アルコールのスプレードライヤー内部での濃度が爆発限界濃度以下の供給量が好ましい。なぜならば、爆発限界以上のアルコール濃度となれば、窒素気流下での乾燥が必要となり、製造コストの上昇を招くためである。(3)のスプレードライヤートマイザーの回転数は生成するイオン放出機能性微粒子の粒径に大きく影響する。一般的に懸濁液(スラリー液)の固形分濃度(スラリー濃度)と密接な関係があるが、回転数に比例して生成するイオン放出機能性微粒子のメジアン粒径は小さくなる。(3)の入口温度の設定であるが、100℃前後が好ましい。80℃以下であれば、乾燥に要する熱量が不足するため、送液速度を下げる必要性が生じ生産効率が著しく低下する。また120℃以上の高温の場合、ポンプより送液された懸濁液(スラリー液)が噴霧される前にスプレードライヤートマイザーの受け口で固化閉塞するため適切ではない。
以下、本発明によるイオン放出機能性複合微粒子の製造方法を説明するが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。
イオン放出性ガラスの調製
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、フッ化ナトリウム、炭酸ストロンチウムの各種原料を混合後、1400℃にてその混合物を溶融してガラスフリット(ガラス酸化物組成:SiO2 23.8wt%, Al2O3 16.2wt%, B2O3 10.5wt%, SrO 35.6wt%, Na2O 2.3wt%, F 11.6wt% )を得た。その得られたガラスフリットを振動ミルにて粉砕することにより、フルオロボロアルミノシリケートガラス微粉末を調製した。このフルオロボロアルミノシリケートガラス微粉末にMKCシリケートMS51SG1(テトラメトキシシラン部分加水分解縮合物:SiO2含有量16wt%、重合度2〜6:三菱化学株式会社製)を反応・熱処理しポリシロキサン処理物を得た。このポリシロキサン処理物を解砕後、ポリアクリル酸処理(ポリアクリル酸水溶液:ポリマー濃度13重量%、重量平均分子量20000;ナカライテスク社製)及び熱処理(100℃3時間)を施しイオン放出性ガラスを調製した。このイオン放出性ガラスの走査電子顕微鏡写真からメジアン径を測定した結果、3.2μmであった。
イオン放出機能性複合微粒子の製造(実施例1〜15)
表1から表3に実施例組成を記載する。以下、懸濁液調製手順を記載する。
まず、1L容積のポリエチレン製サンプル瓶に各々の組成に相当するエタノールとイオン交換水を調合し十分に攪拌混合した。次にポリマーA1(エチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマー:分子量70000、モノマー組成比:エチルメタクリレート80% / メチルメタクリレート20%), A2((エチルメタクリレートのポリマー:分子量71000)を添加し攪拌・溶解させた。溶解完了後にポリマーB(メチルメタクリレートのポリマー:分子量700000)およびイオン放出性ガラスを添加し、十分に攪拌させ均一な懸濁液を得た。得られた懸濁液はB型粘度計(温度23℃)にて粘度測定を行った。その後、GEAシステムエンジニアリング製スプレードライヤー(筒径1.5M)を用い、大気下にてローター回転速度6000rpm、送液速度10Kg/h、入口乾燥温度100℃にて噴霧・乾燥した。なお、懸濁液の送液には東京理科器械製チュービングポンプを用いた。得られたイオン放出機能性複合微粒子はマルバーン社製モフォロギG3にて粒度測定を行った。
Figure 0006928417
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イオン放出機能性複合微粒子の製造(比較例1〜5)
表4に比較例組成を記載する。以下、懸濁液調製手順を記載する。まず、1L容積のポリエチレン製サンプル瓶にエタノールを計量した。次にポリマーA1, Bを添加し攪拌・溶解させた。溶解完了後にイオン放出性ガラスを添加し、十分に攪拌させ均一な懸濁液を得た。得られた懸濁液は23℃にてB型粘度計にて粘度測定を行った。
Figure 0006928417
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粘度測定結果より分るように、ポリマーBはアルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタアクリレートのポリマーであるので、粘度の著しい増加は認められなかった。対して比較例にあるようにポリマーA1, A2, Bの良溶媒であるアセトンには完全溶解し、著しい粘度増加が認められた。結果として、比較例に示した系では10000CP以上の高粘度のため、チュービングポンプでは送液出来ず、噴霧・乾燥することは出来なかった。そのため、ヘイシンモーノポンプを用い送液したが、スプレードライヤーのローターが目詰まり閉塞し、イオン放出機能性複合微粒子の製造は出来なかった。また、実施例で得られた全てのイオン放出機能性複合微粒子のポリマー部位はメチルメタクリレートモノマーに完全溶解することを確認した。
本発明によるポリマーの溶解性を利用したスプレードライヤーによるイオン放出機能性複合微粒子の製造方法では、水溶性アルコール/水の混合溶媒を使用することで、従来の良溶媒のみを用いた組成域ではポリマーの完全溶解による粘性上昇により困難であったポリマー配合率でも製造が可能となった。より詳しく述べると、エチルメタクリレートポリマー、エチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーおよびメチルメタクリレートポリマーを良溶媒であるアセトンやメチルメタクリレートに溶解させると、それらのポリマーは完全に溶解する。よって、それらの溶液粘性はポリマーの割合が増すに従って増加し曳糸性が発現する。従って、スプレードライヤーではその曳糸性のため噴霧・乾燥が不可能となる。しかし、水溶性アルコール/水の混合溶媒を用いる本発明では、メチルメタクリレートポリマーは溶解しない。従って、イオン放出機能性複合微粒子中のポリマー濃度を増加させたい場合には、メチルメタクリレートポリマーの添加量を増加させる事で調整が可能となる。この様に、従来の良溶媒のみを用いたイオン放出機能性複合微粒子のスプレードライヤーによる製造方法では困難であった組成域でも容易に製造可能となった。

Claims (5)

  1. A) 数平均分子量が1000〜200000のエチルメタクリレートポリマー
    および/または
    数平均分子量が1000〜200000のエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマー、
    B)数平均分子量が1000〜200000のメチルメタクリレートポリマー、
    C)イオン放出性ガラス
    D)水溶性アルコール及び水の混合溶媒
    を含む懸濁液を、
    スプレードライヤーを用いた噴霧・乾燥を行うことにより歯科用イオン放出機能性複合微粒子を製造する製造方法。
  2. 前記水溶性アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールから選ばれる少なくとも1種類以上の水溶性アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
  3. 前記水溶性アルコール及び水の混合溶媒中における水溶性アルコールの割合が50〜99wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
  4. 前記 B)数平均分子量が1000〜200000のメチルメタクリレートポリマーの平均粒径(メジアン粒径)が、0.01〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
  5. 前記 C)イオン放出性ガラスが、フッ素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウムから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、
    前記 C)イオン放出性ガラスが、シリカガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラスから選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
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