JP6928277B2 - 窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
前記n側超格子層成長工程は、1つのInGaN層を成長させるInGaN層成長工程と1つのGaN層を成長させるGaN層成長工程とを含む工程をnサイクル繰り返すことを含み、
前記n側超格子層成長工程において、第1サイクル〜第mサイクルにおけるGaN層成長工程を、N2ガスを含みH2ガスを含まないキャリアガスを用いて行い、第(m+1)サイクル〜第nサイクルにおけるGaN層成長工程をキャリアガスとしてH2ガスを含むガスを用いて行うことを特徴とする。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100は、基板1と、基板1上に設けられた下地層2、n側コンタクト層3、n側超格子層4、活性層5、p側クラッド層6及びp側コンタクト層7を含む。n側超格子層4は、1つのInGaN層と1つのGaN層とを含む単一ペアをnペア含む。そして、n側超格子層4において、下地層2側からmペアまでのGaN層4aはキャリアガスとして水素を含まないN2ガスを用いて成長されており、活性層5側の(m+1)〜nペアのGaN層4xはキャリアガスとしてH2ガスを含むガスを用いて成長されている。また、n側超格子層4において、好ましくは、下地層2側からkペアまでのInGaN層4bはn型不純物がドープされていないアンドープ層であり、(k+1)〜nペアのInGaN層4sは、n型不純物を含む層である。n側超格子層4において、図1に示すように、例えば、最も下地層2側の層は、GaN層4aであり、最も活性層5側の層は、InGaN層4sである。n側超格子層4の上に形成される活性層5は、交互に設けられた井戸層と障壁層とを含み、例えば、n側超格子層4における最も活性層5側のInGaN層4sに、障壁層が接するようにn側超格子層4上に設けられる。そして、活性層5の上には、p側クラッド層6及びp側コンタクト層7が順に形成される。ここで、nは3以上の整数であり、mはnよりも小さい1以上の整数であり、kはnよりも小さい1以上の整数である。尚、本明細書において、(m+1)〜nペアというときには、m=n−1の場合、すなわち、最も活性層5側のnペアのみの場合も含む。また、本明細書において、(k+1)〜nペアというときには、k=n−1の場合、すなわち、最も活性層5側のnペアのみの場合も含む。
半導体層を形成するための基板1は、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA12O4)のような絶縁性基板を用いることができる。中でも、サファイア基板が好ましい。また、基板1として、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Siなどを用いても良い。基板1は、最終的に取り除いてもよいし、取り除かなくてもよい。
n側コンタクト層3は、少なくともその一部分にn型不純物を含有し、電極形成面内及び発光層へのキャリアの供給、拡散を実現するためのものである。特に、n電極8から活性層5に向かってキャリアを面内拡散して供給するために、比較的高濃度にn型不純物がドープされていることが好ましい。n側コンタクト層3は、GaNにより構成されることが好ましい。
n側超格子層4は、その上に形成される活性層5等の結晶性を良好にするために設ける層であり、上述したように、1つのInGaN層と1つのGaN層とを含む単一ペアをnペア含む。ここで、ペア数nは、例えば、10〜40の範囲、好ましくは、15〜35の範囲、さらに好ましくは、25〜35の範囲に設定される。例えば、活性層5における井戸層のInの含有量が比較的小さい青色の光を発光する窒化物半導体発光素子では、20ペア、活性層5における井戸層のInの含有量が比較的大きい緑色の光を発光する窒化物半導体発光素子では、30ペアに設定される。また、GaN層4a,4xは、好ましくは、1.5nm〜5nmの厚さ、より好ましくは、2nm〜4nmの厚さに設けられる。InGaN層4b,4sは、好ましくは、0.5nm〜3nmの厚さ、より好ましくは、0.7nm〜2nmの厚さに設けられる。GaN層4a,4x及びInGaN層4b,4sの厚さは、単位ペアごとに異なっていてもよく、例えば、n側コンタクト層3側のGaN層4aと活性層5側のGaN層4xとの間で異なっていてもよいし、n側コンタクト層3側のInGaN層4bと活性層側5のInGaN層4sの間で異なっていてもよい。
ここで、n側超格子層4において、活性層5側ではなく下地層2側から数ペアまでのGaN層4aをキャリアガスとしてH2ガスを含むガスで成長させた場合、明るさはほとんど向上せず、順方向電圧Vfが上昇する傾向にある。これは、n側超格子層4aにおいて、下地層2側のGaN層4aの表面状態を改善しても、活性層5が形成されるGaN層4aの表面状態は平坦な表面になっておらず、活性層5を効率よく形成することができないためであると考えられる。
ここで、n側超格子層4において、活性層5側ではなく下地層2側から数ペアまでのInGaN層4bをn型不純物を含む層とした場合、静電耐圧特性は向上するが、順方向電圧Vf、明るさが悪化する傾向にある。これは、n側超格子層4の活性層5側にn型不純物が含まれる層が形成されていないことで、活性層5へキャリアが注入しにくくなったためであると考えられる。
活性層5としては、Inを含む窒化物半導体を用いことが好ましく、In比率を適宜設定することにより、紫外域から可視光(赤色光)の領域において発光が可能でかつ高い発光効率が得られる。例えば、井戸層をInXGa1-XNにより構成する場合には、所望の発光色が得られるようにIn組成xを設定する。窒化物半導体発光素子の発光波長は、発光ピーク波長が430nm〜570nmの範囲、好ましくは500nm〜570nmの範囲とする。また、障壁層は、例えば、GaN、InGaN、AlGaN等により構成することができる。井戸層、障壁層は、Si等のn型不純物及び/又はMg等のp型不純物を含んでいても良いし、アンドープであってもよい。
p側クラッド層6は、p側クラッド層6は、キャリアを閉じ込めるために設けられる層であり、例えば、Mg等のp型不純物を含むGaN、AlGaN等により構成することができる。p側クラッド層6は、例えば、10nm〜30nmの厚さに設けられる。
p側コンタクト層7は、上面に電極が形成される層であり、例えば、Mg等のp型不純物を含むGaN、AlGaN等により構成することができる。p側コンタクト層7は、例えば、100nm〜150nmの厚さに設けられる。
(下地層形成工程)
まず、例えば、サファイアからなる基板1のC面上に、有機金属気相成長法(MOCVD)によりバッファ層を介して下地層2を形成する。
ここで、バッファ層は、例えば、600℃以下の低温で、原料ガスにTMA、TMG、アンモニア等を用いて、基板上にAlGaNを成長させることにより形成する。
また、下地層2は、例えば、原料ガスにTMG、アンモニアを用い、バッファ層の上にGaNを成長させることにより形成する。この下地層2は、例えば、1050℃の温度で成長させた第1層と1150℃の温度で成長させた第2層を含む複数の層により形成してもよい。
次に、例えば、原料ガスとしてTMG、アンモニアを用い、n型不純物ガスとしてモノシランを用い、例えば、1150℃の温度で、例えば、Siからなるn型不純物を含むn型GaNを成長させることにより、n側コンタクト層3を形成する。
次に、温度をn側コンタクト層3を成長させるときの温度より低い、例えば、温度を860℃にして、GaN層とInGaN層とを交互に成長させてn側超格子層4を形成する。
次に、例えば、原料ガスにTEG、TMI、アンモニアを用い、例えば、温度を950℃にしてGaNよりなる障壁層を成長させ、温度を800℃にしてInGaNよりなる井戸層を成長させる。これらの障壁層と井戸層とを交互に成長させ、最後にGaNよりなる障壁層を成長させることにより活性層5を形成する。
次に、例えば、原料ガスとしてTEG、アンモニアを用い、p型不純物ガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgからなるp型不純物を含むp型AlGaNを成長させることにより、p側クラッド層6を形成する。
続いて、例えば、原料ガスとしてTMG、TMA、アンモニアを用いて、アンドープのGaNからなる層を成長させる。その後、このアンドープのGaNからなる層上に原料ガスとしてTMG、TMA、アンモニアを用い、p型不純物ガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用いて、Mgからなるp型不純物を含むp型GaNを成長させることにより、p側コンタクト層7を形成する。p側コンタクト層7の不純物濃度は、p側クラッド層6よりも高くすることが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
以下に説明する製造方法により窒化物半導体発光素子を作製した。
(基板1)
基板1として、サファイアよりなる基板を用い、最初に、MOCVD反応容器内において、窒化物半導体を成長させるサファイア(C面)を水素雰囲気中、1050℃の温度でクリーニングした。
温度を550℃にして、原料ガスにTMA、TMG、アンモニアを用い、基板上にAlGaNよりなるバッファ層を約12nmの膜厚に成長させた。
(下地層2)
温度を1050℃にして、原料ガスにTMG、アンモニアを用い、バッファ層上にGaNを約1μmの膜厚に成長させた。続いて、温度を1150℃にして、原料ガスにTMG、アンモニアを用い、GaNを約1μmの膜厚に成長させた。このように成長させた2層のGaNをまとめて下地層2とする。
次に、1150℃の温度でTMG、アンモニア、モノシランを用い、Siを1×1019/cm3ドープしたn型GaNよりなるn側コンタクト層3を6μmの膜厚に成長させて形成した。
次に、温度を860℃にして、以下のようにしてGaN層とInGaN層とを一層ずつ成長させる工程を30サイクル繰り返してn側超格子層4を形成した。
まず、原料ガスにTEG、アンモニアを用い、キャリアガスとしてN2ガスを用いてGaN層4aを3nmの厚さに成長させた(A1工程)。なお、本実施例において、キャリアガスとして一種のガスしか記載していない場合は、キャリアガスは実質的にその一種のガスのみからなり、他の種類のガスを実質的に含まないことを意味する。つまり、A1工程では、キャリアガスは実質的にN2ガスのみからなる。
次に、原料ガスにTEG、TMI、アンモニアを用い、キャリアガスとしてN2ガスを用いてInGaN層4bを1nmの厚さに成長させた(B1工程)。
このA1工程とB1工程とを1サイクルとして、第1〜第27サイクルまで27サイクル繰り返した。
このA2程とB2工程とをそれぞれ第28サイクル〜第30サイクルまで3サイクル繰り返した。
以上のようにして、それぞれGaN層を30層、InGaN層を30層を含む超格子層を形成した。つまり、nを30、m及びkを27としてn側超格子層4を形成した。
次に、温度を930℃にして、原料ガスにTEG、TMI、アンモニアを用い、n型不純物ガスにモノシランを用い、Siが4×1018/cm3ドープされた膜厚が6nmのGaN層を成長させ、その上に膜厚が3nmのアンドープのGaN層を成長させた。さらにその上に、温度を800℃にして、原料ガスにTEG、TMI、アンモニアを用いて成長させたIn0.25Ga0.75Nよりなる膜厚が3nmの井戸層と、温度960℃にして、原料ガスにTEG、アンモニアを用いて成長させたGaNよりなる膜厚が19nmの障壁層とを交互に9ペア成長させた。さらにその上に、温度を800℃にして、原料ガスにTEG、TMI、アンモニアを用いて成長させたIn0.25Ga0.75Nよりなる膜厚が3nmの井戸層と、温度を960℃にして、原料ガスにTEG、アンモニアを用いて成長させたGaNよりなる膜厚が16nmの障壁層とを交互に3ペア成長させ活性層5を形成した。
次に、930℃の温度にして、原料ガスにTEG、TMA、アンモニアを用い、p型不純物ガスにCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを2×1020/cm3ドープしたAl0.13Ga0.87Nよりなるp側クラッド層6を11nmの膜厚に形成した。
続いて、温度850℃〜1000℃程度で、TMG、アンモニアを用い、アンドープのGaNからなる層を約80nmの膜厚で成長させ、その上に、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用い、Mgを5×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなる層を約40nmの膜厚で成長させて、p側コンタクト層7を形成した。
実施例2の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例2では、第1〜第26サイクルまでA1工程を行い、第1〜第27サイクルまでB1工程を行った。さらに、第27〜第30サイクルまでA2工程を行い、第28〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを26、kを27としてn側超格子層4を形成した。
実施例3の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例3では、第1〜第25サイクルまでA1工程を行い、第1〜第27サイクルまでB1工程を行った。さらに、第26〜第30サイクルまでA2工程を行い、第28〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを25、kを27としてn側超格子層4を形成した。
実施例4の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例4では、第1〜第28サイクルまでA1工程を行い、第1〜第27サイクルまでB1工程を行った。さらに、第29〜第30サイクルまでA2工程を行い、B2工程を第28〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを28、kを27としてn側超格子層4を形成した。
実施例5の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例5では、第1〜第29サイクルまでA1工程を行い、第1〜第27サイクルまでB1工程を行った。さらに、第30サイクルでA2工程を行い、第28〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを29、kを27としてn側超格子層4を形成した。
実施例6の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例6では、第1〜第27サイクルまでB2工程を行い、第1〜第28サイクルまでB1工程を行った。さらに、第28〜第30サイクルまでA2工程を行い、第29〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを27、kを28としてn側超格子層4を形成した。
実施例7の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例7では、第1〜第27サイクルまでA1工程を行い、第1〜第26サイクルまでB1工程を行った。さらに、第28〜第30サイクルまでA2工程を行い、第27〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを27、kを26としてn側超格子層4を形成した。
実施例8の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例8では、第1〜第27サイクルまでA1工程を行い、第1〜第25サイクルまでB1工程を行った。さらに、第28〜第30サイクルまでA2工程を行い、第26〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを27、kを25としてn側超格子層4を形成した。
実施例9の窒化物半導体発光素子は、n側超格子層4を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして作製した。
実施例9では、第1〜第27サイクルまでA1工程を行い、第1〜第30サイクルまでB1工程を行った。さらに、第28〜第30サイクルまでA2工程を行った。つまり、nを30、mを27、kを30としてn側超格子層4を形成した。
比較例1では、第1〜第30サイクルまでA1工程を行い、第1〜第27サイクルまでB1工程を行った。さらに、第28〜第30サイクルまでB2工程を行った。つまり、nを30、mを30、kを27としてn側超格子層4を形成した。
(1)n側超格子層4における活性層5側のGaN層をキャリアガスとしてH2ガスを含むガスを用いて成長させることにより、明るさを向上させることができる(実施例1〜9と比較例1との比較)。
(2)n側超格子層4における活性層5側のInGaN層にn型不純物をドープすることにより、順方向電圧Vfを低くすることができる(実施例1〜8と実施例9との比較)。
2 下地層
3 n側コンタクト層
4 n側超格子層
4a GaN層
4x GaN層
4b InGaN層
4s InGaN層
5 活性層
6 p側クラッド層
7 p側コンタクト層
100 窒化物半導体発光素子
Claims (8)
- 発光層を成長させる前に、InGaN層とGaN層を有するn側超格子層を成長させるn側超格子層成長工程を含む窒化物半導体発光素子製造方法であって、
前記n側超格子層成長工程は、1つのInGaN層を成長させるInGaN層成長工程と1つのGaN層をn型不純物ガスを供給せずに成長させるGaN層成長工程とを含む工程をnサイクル繰り返すことを含み、
前記n側超格子層成長工程において、第1サイクル〜第mサイクルにおける前記GaN層成長工程を、N2ガスを含みH2ガスを含まないキャリアガスを用いて行い、第(m+1)サイクル〜第nサイクルにおける前記GaN層成長工程をキャリアガスとしてH2ガスを含むガスを用いて行うことを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。 - 前記窒化物半導体発光素子は、発光ピーク波長が500〜570nmの範囲にある請求項1に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- nが20以上40以下である請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- (n−m)が1以上4以下である請求項3に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記n側超格子層成長工程において、第1サイクル〜第kサイクルにおけるInGaN層成長工程をn型不純物ガスを供給せずに行い、第(k+1)サイクル〜第nサイクルにおけるInGaN層成長工程をn型不純物ガスを供給して行い、
前記n側超格子層成長工程において、第1サイクル〜第nサイクルにおけるInGaN層成長工程を、キャリアガスとしてN2ガスを含むガスを用いて行う請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。 - (n−k)が2以上5以下である請求項5に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- mの値がkの値よりも大きい請求項5又は6に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
- 前記1つのInGaN層のInの比率は、1%〜10%である請求項1〜7のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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