JP6927610B1 - キャッシュ制御装置、キャッシュシステムおよびキャッシュ制御方法 - Google Patents

キャッシュ制御装置、キャッシュシステムおよびキャッシュ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】誤り訂正後のデータをキャッシュメモリに書き込むことによる処理の遅延を軽減できるようにする。【解決手段】キャッシュ制御装置が、キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納する誤り訂正手段と、データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する読出要求対応手段と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、キャッシュ制御装置、キャッシュシステムおよびキャッシュ制御方法に関する。
メインメモリ(主記憶部)にキャッシュメモリが設けられた構成で、メインメモリまたはキャッシュメモリから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、誤り訂正後のデータがキャッシュメモリまたはメインメモリに書き込まれることがある。
例えば、特許文献1に記載のエラー訂正装置は、メインメモリから読み出したデータに訂正可能なエラーが存在した場合、エラー訂正後のデータをキャッシュメモリに送出する。また、このエラー訂正装置は、訂正後のデータが書き込まれたキャッシュメモリのアドレスを、アドレスアレイのアドレス部に書き込む。アドレスアレイは、アドレス部と書込ビット部とが紐付けられて構成されており、アドレス部にアドレスが書き込まれると、そのアドレス部に紐付けられた書込ビット部の状態が反転する。そして、エラー訂正装置は、書込ビット部が反転しているアドレスに対応したブロックに保持されたキャッシュメモリ内のデータをメインメモリに再書き込みする。
特開昭63−278162号公報
特許文献1に記載のエラー訂正装置によれば、誤り訂正後(エラー訂正後)のデータがキャッシュメモリおよびメインメモリに書き込まれることで、訂正可能障害から訂正不可能障害へ遷移することを防止できる。
さらに、誤り訂正後のデータをキャッシュメモリに書き込むことによる処理の遅延を軽減できることが好ましい。
本発明は、上述の課題を解決することのできるキャッシュ制御装置、キャッシュシステムおよびキャッシュ制御方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様によれば、キャッシュ制御装置は、キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納する誤り訂正手段と、データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する読出要求対応手段と、前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込むデータ更新処理手段とを備える。
本発明の第2の態様によれば、キャッシュシステムは、キャッシュと、訂正後データ記憶手段と、キャッシュ制御装置とを備え、前記キャッシュ制御装置は、前記キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを前記訂正後データ記憶手段に格納する誤り訂正手段と、データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する読出要求対応手段と、前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込むデータ更新処理手段とを備える。
本発明の第3の態様によれば、キャッシュ制御方法は、キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納する工程と、データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する工程と、前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込む工程と、を含む。
この発明によれば、誤り訂正後のデータをキャッシュメモリに書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略構成図である。 実施形態に係るキャッシュシステムを複数備えるコンピュータの構成例を示す図である。 実施形態に係るキャッシュシステムの構成例を示す図である。 実施形態に係るデータ読出要求に対するキャッシュシステムにおけるデータの流れの第一例を示す図である。 実施形態に係るデータ読出要求に対するキャッシュシステムにおけるデータの流れの第二例を示す図である。 実施形態に係るデータ読出要求に対するキャッシュシステムにおけるデータの流れの第三例を示す図である。 実施形態に係るデータ読出要求に対するキャッシュシステムにおけるデータの流れの第四例を示す図である。 実施形態に係るビジーチェック回路が、データ格納レジスタが記憶する誤り訂正後のデータをキャッシュに書き込む場合のデータの流れの例を示す図である。 実施形態に係るキャッシュシステムが中央処理装置からのデータ読出要求を受けた場合に行う処理の手順の例を示すフローチャートである。 実施形態に係るキャッシュのミス時の処理の例を示すフローチャートである。 実施形態に係る誤り訂正時の処理の例を示すフローチャートである。 実施形態に係るビジーチェック回路が、データ格納レジスタが記憶しているデータをキャッシュに格納する処理手順の例を示すフローチャートである。 実施形態に係るキャッシュ制御装置の構成の例を示す図である。 実施形態に係るキャッシュシステムの構成の例を示す図である。 実施形態に係るキャッシュ制御方法における処理の手順の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す概略構成図である。図1に示す構成で、コンピュータ100は、プロセッサシステム110と、主記憶システム140とを備える。プロセッサシステム110は、中央処理装置群120と、キャッシュシステム130とを備える。中央処理装置群120は、中央処理装置121−1から121−4を備える。キャッシュシステム130は、キャッシュ制御部131と、データ格納部132と、キャッシュ201とを備える。主記憶システム140は、主記憶部141と、主記憶制御部142とを備える。
中央処理装置121−1から121−4の各々は、主記憶システム140が記憶するプログラムを読み出して実行し、各種処理を行う。中央処理装置121−1から121−4を総称して中央処理装置121とも表記する。
プロセッサシステム110が備える中央処理装置121の個数は図1に示す4つに限らず、1つ以上であればよい。
主記憶システム140は、各種データを記憶する。主記憶部141は、記憶領域を形成する。主記憶制御部142は、主記憶部141を制御して、主記憶部141に対するデータの読み書きを行う。
主記憶部141は、主記憶手段の例に該当する。
なお、メモリにデータを書き込むことをメモリにデータを格納するとも称する。メモリがデータを記憶することを、メモリがデータを格納するとも称する。メモリがデータを記憶していることを、メモリがデータを有するとも称する。
キャッシュシステム130は、主記憶システム140のキャッシュとして設けられ、主記憶システム140のデータを一時的に記憶する。
キャッシュ201は、記憶領域を形成する。
キャッシュ制御部131は、キャッシュ201を制御して、キャッシュ201を制御して、キャッシュ201に対するデータの読み書きを行う。また、キャッシュ制御部131は、キャッシュ201から読み出したデータに対して誤り検出を行い、訂正可能障害(訂正可能なメモリ障害、訂正可能なデータ誤り)を検出した場合、誤り訂正を行う。誤り訂正されたデータを訂正後データとも称する。
キャッシュ制御部131は、キャッシュ制御装置の例に該当する。
データ格納部132は、キャッシュ制御部131がキャッシュ201から読み出したデータに対して誤り訂正を行った場合に、誤り訂正後のデータを一時的に記憶する。これにより、キャッシュ制御部131は、誤り訂正後のデータを中央処理装置121によるキャッシュ201へのアクセスが生じていないタイミングでキャッシュ201に書き込むことができる。この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュ201へ書き込むことによる、中央処理装置121からのリクエストの実行の遅延を回避できる。
データ格納部132は、訂正後データ記憶手段の例に該当する。
キャッシュシステム130は、ライトバック方式(Write Back Algorithm)でデータ更新を行う。すなわち、キャッシュ制御部131は、中央処理装置121からのデータ書込要求に対し、書込対象のデータをキャッシュ201に格納しておく。そして、キャッシュ制御部131は、所定のデータ書込条件が成立したときに、キャッシュ201またはデータ格納部132から書込対象のデータを読み出し、読み出したデータを主記憶システム140に出力して書込を要求する。
コンピュータがキャッシュシステム130を複数備えていてもよい。
図2は、キャッシュシステム130を複数備えるコンピュータの構成例を示す図である。図2に示す構成で、コンピュータ101は、プロセッサシステム110と、主記憶システム140とを備える。プロセッサシステム110は、中央処理装置群120とキャッシュシステム130とを備える。
特に、図2に示す構成では、コンピュータ101が複数のプロセッサシステム110を備え、これによってコンピュータ101は複数のキャッシュシステム130を備える。複数のキャッシュシステム130が1つの主記憶システム140に接続されている。
以下では、図2の例のように、複数のキャッシュシステム130が1つの主記憶システム140に接続されている場合にキャッシュコヒーレンシ(Cache Coherency)を保持する方法として、MESIプロトコルを用いる場合を例に説明する。ただし、キャッシュシステム130に適用可能なキャッシュコヒーレンシのプロトロコルは、特定のものに限定されない。また、キャッシュコヒーレンシの問題が生じない構成の場合、キャッシュシステム130がキャッシュコヒーレンシのプロトコルを実行する必要は無い。
図2の例では、コンピュータ101が複数のプロセッサシステム110を備え、キャッシュ制御部131がMESIプロトコルを実行する点以外は、図1の場合と同様である。
図3は、キャッシュシステム130の構成例を示す図である。図3に示す構成で、キャッシュシステム130は、キャッシュ201と、セレクタ202と、エラー検出・訂正回路203と、キャッシュ判定回路204と、読出制御部205と、書込制御部206と、ステータスレジスタ207と、ビジーチェック回路208と、データ格納レジスタ209とを備える。
セレクタ202は、中央処理装置121からのリクエストを受け付け、リクエストに示されるメモリアドレスを基に、アクセスするキャッシュ201のエントリを決定する。ここでいうリクエストは、データの読出要求または書込要求である。
ここでいうエントリは、ライン(キャッシュ201がデータの単位として扱うデータ長のデータ)と、ラインのメモリアドレスを示すエントリアドレスとを含むデータ、あるいは、かかるデータを格納する記憶領域である。キャッシュシステム130がMESIプロトコルを実行する場合、さらにエントリ毎に、MESIのステータスの格納領域のビット列が設けられる。
複数の中央処理装置121からのリクエストが重なった場合、セレクタ202は、何れかのリクエストを選択することで、リクエストを順番に処理する。
読出制御部205は、主記憶システム140に対してデータ読出要求を行う。
書込制御部206は、主記憶システム140に対してデータ書込要求を行う。
キャッシュ判定回路204は、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、要求されたデータがキャッシュ201にあるか(ヒットしているか)否かを判定する。要求されたデータがキャッシュ201にあると判定した場合、キャッシュ判定回路204は、そのデータを取得してエラー検出・訂正回路203へ出力する。
一方、要求されたデータがキャッシュ201に無いと判定した場合、キャッシュ判定回路204は、要求されたデータのメモリアドレスを読出制御部205に出力して、要求されたデータを主記憶システム140から取得するように指示する。
また、キャッシュ201のエントリに空きがない場合、キャッシュ判定回路204は、中央処理装置121からの新たなリクエストに対応するために、エントリの空きを作る。具体的には、キャッシュ判定回路204は、所定のエントリ入れ替え方式に従って何れかのエントリを選択する。そして、キャッシュ判定回路204は、選択したエントリのデータ(ライン)およびそのデータのメモリアドレスを書込制御部206に出力して、主記憶システム140へのデータの書き込みを指示する。また、キャッシュ判定回路204は、選択したエントリ(データを主記憶システム140に格納したエントリ)を空にする。
エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ判定回路204がキャッシュ201から取得したデータに対して誤り検出を行う。誤り検出にて訂正可能障害を検出した場合、エラー検出・訂正回路203は、そのデータに対して誤り訂正を行う。データに対して誤り訂正を行った場合、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータをデータ格納レジスタ209に書き込み、データを書き込んだエントリの情報をステータスレジスタ207に書き込む。
エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正手段の例に該当する。
さらに、エラー検出・訂正回路203は、訂正可能障害を検出されたデータを格納していたキャッシュ201のエントリのMESIのステータスを参照する。ステータスが「M」(Modified)であった場合、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータの主記憶システム140への書き込みを書込制御部206に指示する。また、エラー検出・訂正回路203は、訂正可能障害を検出されたデータを格納していたキャッシュ201のエントリのMESIのステータスを「E」(Exclusive)に変更する。
MESIのステータスの「M」は、該当アドレスのデータ(キャッシュライン)が、主記憶システム140の記憶するデータから更新されていることを示す。したがって、複数のキャッシュシステム130のうちステータスが「M」になっているキャッシュシステム130以外のキャッシュシステム130は、更新後のデータを記憶していない。かつ、主記憶システム140にも更新後のデータはない。この状態のままでは、他のキャッシュシステム130に接続された中央処理装置121から該当アドレスのデータの読出要求があった場合、要求元の中央処理装置121は、正しいデータを取得できない。
そこで、誤り訂正を行ったキャッシュシステム130が、誤り訂正後のデータ(誤り訂正済みの更新後のデータ)を主記憶システム140に書き込む。これにより、他のキャッシュシステム130からも主記憶システム140にアクセスして更新後のデータを取得できる。MESIのステータスの「E」は、複数のキャッシュシステム130のうちそのキャッシュシステム130のみが更新後のデータ(キャッシュライン)を記憶するが、更新後のデータを主記憶システム140に書き込み済みであることを示す。
なお、この時点では、データ格納レジスタ209が記憶する誤り訂正後のデータは、キャッシュ201には書き込まれていない。ビジーチェック回路208が、データ格納レジスタ209に格納されている誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込むまで、中央処理装置121からの該当アドレスのデータの読出要求に対し、ステータスレジスタ207が、キャッシュ201に格納されている誤り訂正前のデータではなく、データ格納レジスタ209に格納されている誤り訂正後のデータを要求元の中央処理装置121へ返信する。
データ格納レジスタ209は、訂正可能障害データを訂正した後のデータを格納するレジスタである。データ格納レジスタ209は、エントリ毎に、当該エントリが有効であるかを示す有効ビットを保有する。
データ格納レジスタ209は、データ格納部132(図1)の例に該当する。また、データ格納レジスタ209は、訂正後データ記憶手段の例に該当する。
ステータスレジスタ207は、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、要求されるデータがデータ格納レジスタ209に格納されているか否かを判定する。かかる判定のために、ステータスレジスタ207は、データ格納レジスタ209のエントリの情報を保持しておく。具体的には上記のように、エラー検出・訂正回路203が、誤り訂正後のデータをデータ格納レジスタ209に書き込む際に、データを書き込んだエントリの情報をステータスレジスタ207に書き込む。ステータスレジスタ207がキャッシュ201の一部として構成されていてもよい。
ステータスレジスタ207は、読出要求対応手段の例に該当する。
要求されるデータがデータ格納レジスタ209に格納されていると判定した場合、ステータスレジスタ207は、当該データ読出要求の処理に関してキャッシュ201内のデータの使用を禁止し、要求されるデータをデータ格納レジスタ209から読み出して、要求元の中央処理装置121へ転送する。
また、ステータスレジスタ207は、中央処理装置121からのデータ書込要求に対し、データ格納レジスタ209のエントリの情報を参照して、書込要求されたメモリアドレスのデータがデータ格納レジスタ209に格納されているか否かを判定する。該当アドレスのデータがデータ格納レジスタ209に格納されていると判定した場合、ステータスレジスタ207は、ステータスレジスタ207自らが記憶しているデータ格納レジスタ209の該当エントリの情報をクリアする(削除する)とともに、データ格納レジスタ209の該当エントリの有効ビットをクリアする(有効ビットの値を0にする)。
ビジーチェック回路208は、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定する。例えば、ビジーチェック回路208は、セレクタ202を監視し、セレクタ202が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定する。セレクタ202が中央処理装置121からのリクエストを処理していないと判定した場合、ビジーチェック回路208は、データ格納レジスタ209にデータが存在するか(有効ビットの値が1(有効)になっているエントリがあるか)を判定する。データ格納レジスタ209にデータが存在すると判定した場合、ビジーチェック回路208は、そのデータをキャッシュ201に書き込む。そして、ビジーチェック回路208は、ステータスレジスタ207が保持するデータ格納レジスタ209の該当エントリの情報をクリアするとともに、データ格納レジスタ209の該当エントリの有効ビットをクリアする。
ビジーチェック回路208は、データ更新処理手段の例に該当する。また、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定することは、キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)が、中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定することの例に該当する。
セレクタ202と、エラー検出・訂正回路203と、キャッシュ判定回路204と、読出制御部205と、書込制御部206と、ステータスレジスタ207と、ビジーチェック回路208との組み合わせは、キャッシュ制御部131(図1)の例に該当する。また、セレクタ202と、エラー検出・訂正回路203と、キャッシュ判定回路204と、読出制御部205と、書込制御部206と、ステータスレジスタ207と、ビジーチェック回路208との組み合わせは、キャッシュ制御装置の例に該当する。
図4は、データ読出要求に対するキャッシュシステム130におけるデータの流れの第一例を示す図である。図4の例では、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、データ格納レジスタ209が誤り訂正後の該当データ(ここでは、要求されているデータ)を記憶している。
図4の例で、中央処理装置121からのデータ読出要求を受けたセレクタ202は、データ読出要求からエントリの情報(例えば、エントリアドレス)を取得し、キャッシュ201にエントリの情報を示して該当データを出力するよう要求する。ここでは、セレクタ202が取得するエントリの情報は、キャッシュ201のエントリとデータ格納レジスタ209のエントリとに共通に用いられるものとする。
これに対し、ステータスレジスタ207が、ステータスレジスタ207自らが記憶するデータ格納レジスタ209のエントリの情報を参照して、データ格納レジスタ209が誤り訂正後の該当データを記憶していると判定する。ステータスレジスタ207は、キャッシュ201内のデータの使用を一時的に禁止し、データ格納レジスタ209を制御して誤り訂正後の該当データを要求元の中央処理装置121へ転送させる。
図5は、データ読出要求に対するキャッシュシステム130におけるデータの流れの第二例を示す図である。図5の例では、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、キャッシュ201が該当データを記憶しており、かつ、キャッシュ201が記憶する該当データに誤りが生じていない。
図5の例で、中央処理装置121からのデータ読出要求を受けたセレクタ202は、データ読出要求からエントリの情報を取得し、キャッシュ201にエントリの情報を示して該当データを出力するよう要求する。また、ステータスレジスタ207は、データ格納レジスタ209が誤り訂正後の該当データを記憶していないと判定する。
また、キャッシュ判定回路204は、キャッシュ201が該当データを記憶していると判定し、エラー検出・訂正回路203に該当データの誤り検出を行わせる。
エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ判定回路204の制御に従って、キャッシュ201が記憶する該当データを取得し、誤り検出を行う。図5の例では、エラー検出・訂正回路203は、誤り無しと判定し、該当データを要求元の中央処理装置121へ転送する。
図6は、データ読出要求に対するキャッシュシステム130におけるデータの流れの第三例を示す図である。図6の例では、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、キャッシュ201が該当データを記憶しており、キャッシュ201が記憶する該当データに誤りが生じている。また、該当データを記憶するキャッシュ201のエントリのMESIのステータスは「E」または「S」になっている。かつ、データ格納レジスタ209は、誤り訂正後の該当データを記憶してない。
図6の例で、中央処理装置121からのデータ読出要求を受けたセレクタ202は、データ読出要求からエントリの情報を取得し、キャッシュ201にエントリの情報を示して該当データを出力するよう要求する。また、ステータスレジスタ207は、データ格納レジスタ209が誤り訂正後の該当データを記憶していないと判定する。
また、キャッシュ判定回路204は、キャッシュ201が該当データを記憶していると判定し、エラー検出・訂正回路203に該当データの誤り検出を行わせる。
エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ判定回路204の制御に従って、キャッシュ201が記憶する該当データを取得し、誤り検出を行う。図6の例では、エラー検出・訂正回路203は、訂正可能障害を検出し、該当データの誤り訂正を行う。そして、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータを要求元の中央処理装置121へ転送する。
また、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータをデータ格納レジスタ209のエントリに書き込み、そのエントリの有効ビットをセットする(有効ビットの値を1にする)。さらに、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータを書き込んだデータ格納レジスタ209のエントリの情報をステータスレジスタ207に書き込む。
また、エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ201の誤り訂正前のデータを格納していたエントリのMESIのステータスを参照する。図6の例では、エラー検出・訂正回路203は、ステータスが「E」または「S」であることを検出する。この場合、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータの主記憶システム140への書き込みは行わない。
図7は、データ読出要求に対するキャッシュシステム130におけるデータの流れの第四例を示す図である。図7の例では、中央処理装置121からのデータ読出要求に対し、キャッシュ201が該当データを記憶しており、キャッシュ201が記憶する該当データに誤りが生じている。また、該当データを記憶するキャッシュ201のエントリのMESIのステータスは「M」になっている。かつ、データ格納レジスタ209は、誤り訂正後の該当データを記憶してない。
図7の例で、中央処理装置121からのデータ読出要求を受けたセレクタ202は、データ読出要求からエントリの情報を取得し、キャッシュ201にエントリの情報を示して該当データを出力するよう要求する。また、ステータスレジスタ207は、データ格納レジスタ209が誤り訂正後の該当データを記憶していないと判定する。
また、キャッシュ判定回路204は、キャッシュ201が該当データを記憶していると判定し、エラー検出・訂正回路203に該当データの誤り検出を行わせる。
エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ判定回路204の制御に従って、キャッシュ201が記憶する該当データを取得し、誤り検出を行う。図7の例では、エラー検出・訂正回路203は、訂正可能障害を検出し、該当データの誤り訂正を行う。そして、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータを要求元の中央処理装置121へ転送する。
また、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータをデータ格納レジスタ209のエントリに書き込み、そのエントリの有効ビットをセットする(有効ビットの値を1にする)。さらに、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータを書き込んだデータ格納レジスタ209のエントリの情報をステータスレジスタ207に書き込む。
また、エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ201の誤り訂正前のデータを格納していたエントリのMESIのステータスを参照する。図7の例では、エラー検出・訂正回路203は、ステータスが「M」であることを検出する。この場合、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータ、およびそのデータのアドレスを書込制御部206に通知して、誤り訂正後のデータを主記憶システム140へ書き込むよう指示する。
書込制御部206は、エラー検出・訂正回路203からの指示に従って、主記憶システム140に対して誤り訂正後のデータの主記憶部141への書き込みを要求する。
図8は、ビジーチェック回路208が、データ格納レジスタ209が記憶する誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込む場合のデータの流れの例を示す図である。
図8の例で、ビジーチェック回路208は、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定する。例えば上記のように、ビジーチェック回路208は、セレクタ202を監視し、セレクタ202が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定する。
図8の例では、ビジーチェック回路208は、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理していないと判定する。そして、ビジーチェック回路208は、誤り訂正後のデータを格納しているデータ格納レジスタ209のエントリ(有効ビットの値が1になっているエントリ)から誤り訂正後のデータを読み出し、そのエントリの有効ビットをクリアする。また、ビジーチェック回路208は、有効ビットをクリアしたエントリについて、ステータスレジスタ207が記憶しているデータ格納レジスタ209のエントリの情報をクリアする。そして、ビジーチェック回路208は、データ格納レジスタ209から読み出した誤り訂正後のデータをキャッシュ201に格納する。
図9は、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのデータ読出要求を受けた場合に行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図9の処理で、セレクタ202は、中央処理装置121から受けたデータ読出要求からエントリの情報を取得し、キャッシュ201にエントリの情報を出力して該当データを出力するよう要求する(ステップS101)。
次に、ステータスレジスタ207が、エントリの情報を用いて、データ格納レジスタ209に該当データ(要求されているデータの誤り訂正後のデータ)があるか否かを判定する(ステップS102)。
データ格納レジスタ209に該当データがあると判定した場合(ステップS102:YES)、ステータスレジスタ207は、キャッシュ201のデータの使用を一時的に禁止し、データ格納レジスタ209を制御して該当データを中央処理装置121に転送させる(ステップS111)。
ステップS111の後、キャッシュシステム130は図9の処理を終了する。
一方、ステップS102で、データ格納レジスタ209に該当データが無いとステータスレジスタ207が判定した場合(ステップS102:NO)、キャッシュ判定回路204は、キャッシュ201が該当データを記憶しているか否かを判定する(ステップS121)。例えば、キャッシュ201が、該当データを記憶している場合は、ステップS101でのセレクタ202の要求に応じて該当データを出力するようにし、キャッシュ判定回路204が、キャッシュ201が該当データを出力しているか否かを判定するようにしてもよい。
なお、キャッシュ201がデータを記憶している場合でも、そのデータが格納されているエントリのMESIのステータスが「I」(Invalid)の場合は、キャッシュ201がそのデータを記憶していない場合と同様に扱う。MESIのステータスの「I」は、そのデータ(キャッシュライン)が無効であることを示す。
キャッシュ201が該当データを記憶していないとキャッシュ判定回路204が判定した場合(ステップS121:NO)、キャッシュシステム130は、ミス時の処理として予め定められている処理を行う(ステップS131)。
ステップS131の後、キャッシュシステム130は、図9の処理を終了する。
一方、ステップS121で、キャッシュ201が該当データを記憶しているとキャッシュ判定回路204が判定した場合(ステップS121:YES)、エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ201から取得した該当データに誤りがあるか否かを判定する(ステップS141)。
誤りがないと判定した場合(ステップS141:NO)、エラー検出・訂正回路203は、該当データを要求元の中央処理装置121へ転送する(ステップS151)。
ステップS151の後、キャッシュシステム130は、図9の処理を終了する。
一方、ステップS141で、該当データに誤りがあると判定した場合、キャッシュシステム130は、該当データを誤り訂正可能か否かを判定する(ステップS161)。
誤り訂正不可と判定した場合(ステップS161:NO)、エラー検出・訂正回路203は、要求元の中央処理装置121にエラーを通知する(ステップS171)。
ステップS171の後、キャッシュシステム130は、図9の処理を終了する。
一方、ステップS161で、該当データを誤り訂正可能と判定した場合(ステップS161:YES)、キャッシュシステム130は、誤り訂正時の処理として予め定められている処理を行う(ステップS181)。
ステップS181の後、キャッシュシステム130は、図9の処理を終了する。
図10は、キャッシュ201のミス時の処理の例を示すフローチャートである。キャッシュシステム130は、図9のステップS131で図10の処理を行う。
図10の処理で、キャッシュ判定回路204が、該当データを主記憶システム140から取得するように読出制御部205に指示し、読出制御部205は、キャッシュ判定回路204からの指示に従って、主記憶部141が記憶している該当データを取得する(ステップS201)。
そして、読出制御部205は、得られた該当データを要求元の中央処理装置121に転送し、また、得られた該当データをキャッシュ201に書き込む(ステップS202)。
ステップS202の後、キャッシュシステム130は図10の処理を終了する。
図11は、誤り訂正時の処理の例を示すフローチャートである。キャッシュシステム130は、図9のステップS181で図11の処理を行う。
図11の処理で、エラー検出・訂正回路203は、該当データの誤り訂正を行う(ステップS301)。
そして、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータを要求元の中央処理装置121へ転送する(ステップS302)。
また、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正後のデータをデータ格納レジスタ209に格納し、データを格納したエントリの有効ビットをセットする(ステップS303)。そして、エラー検出・訂正回路203は、データを格納したデータ格納レジスタ209のエントリの情報を、ステータスレジスタ207に登録する(ステップS304)。
また、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正前の該当データを格納しているキャッシュ201のエントリにおけるMESIのステータスを確認する(ステップS305)。ステータスに応じて処理が分岐する(ステップS306)。
ステータスが「E」または「S」の場合(ステップS306:E,S)、キャッシュシステム130は、図11の処理を終了する。
一方、ステップS306でステータスが「M」の場合(ステップS306:M)、エラー検出・訂正回路203は、書込制御部206を介して主記憶部141に訂正後の該当データを書き込む(ステップS311)。
そして、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正前の該当データを格納しているキャッシュ201のエントリにおけるMESIのステータスを「E」に更新する(ステップS312)。
ステップS312の後、キャッシュシステム130は、図11の処理を終了する。
なお、上記のように、ステップS312の時点では、データ格納レジスタ209が記憶する誤り訂正後のデータは、キャッシュ201には書き込まれていない。ビジーチェック回路208が、データ格納レジスタ209に格納されている誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込むまで、中央処理装置121からの該当アドレスのデータの読出要求に対し、ステータスレジスタ207が、キャッシュ201に格納されている誤り訂正前のデータではなく、データ格納レジスタ209に格納されている誤り訂正後のデータを要求元の中央処理装置121へ返信する。
図12は、ビジーチェック回路208が、データ格納レジスタ209が記憶しているデータをキャッシュ201に格納する処理手順の例を示すフローチャートである。
図12の処理で、ビジーチェック回路208は、キャッシュシステム130の処理状況を確認し(ステップS401)、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理中か否かを判定する(ステップS402)。
リクエストを処理中であるとビジーチェック回路208が判定した場合(ステップS402:YES)、処理がステップS401に戻る。
一方、リクエストを処理中でないと判定した場合(ステップS402:NO)、ビジーチェック回路208は、データ格納レジスタ209のデータ格納状況を確認し(ステップS411)、データ格納レジスタ209にデータがあるか否かを判定する(ステップS412)。具体的には、ビジーチェック回路208は、データ格納レジスタ209のエントリのうち、有効ビットがセットされているエントリ(有効ビットの値が1になっているエントリ)があるか判定する。
データ格納レジスタ209にデータが無いとビジーチェック回路208が判定した場合(ステップS412:NO)、処理がステップS401へ戻る。
一方、データ格納レジスタ209にデータがあると判定した場合(ステップS412:YES)、ビジーチェック回路208は、データ格納レジスタ209からデータを読み出してキャッシュ201に書き込む(ステップS421)。
また、ビジーチェック回路208は、データを読み出したデータ格納レジスタ209のエントリからデータを削除し、さらに、そのエントリについてステータスレジスタ207が記憶しているデータ格納レジスタ209のエントリの情報を削除する(ステップ422)。データ格納レジスタ209のエントリからのデータの削除は、そのエントリの有効ビットをクリアすることで行われる。
ステップS422の後、処理がステップS401へ戻る。
以上のように、エラー検出・訂正回路203は、キャッシュ201から読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データをデータ格納レジスタ209に格納する。ステータスレジスタ207は、データ読出要求に対し、要求されるデータがデータ格納レジスタ209に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータをデータ格納レジスタ209から読み出して要求元へ転送する。
キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)によれば、エラー検出・訂正回路203がキャッシュ201から読み出されたデータの誤り訂正を行うことで、訂正可能障害から訂正不可能障害へ遷移することを防止できる。かつ、データ格納レジスタ209が訂正後データを記憶しておくことで、キャッシュシステム130が中央処理装置121からのリクエストを処理していないタイミングで、データ格納レジスタ209の訂正後データをキャッシュ201に書き込むことができる。キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)によれば、この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
また、ステータスレジスタ207が、要求されるデータがデータ格納レジスタ209に記憶されていないと判定した場合、エラー検出・訂正回路203は、要求されるデータをキャッシュ201から取得して誤り検出を行う。訂正可能誤りを検出した場合、エラー検出・訂正回路203は、当該データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データをデータ格納レジスタ209に格納し、かつ、当該訂正後データを要求元へ転送する。
これにより、キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)では、誤りを含まないデータを要求元の中央処理装置121に転送できる。かつ、エラー検出・訂正回路203が、キャッシュ201のデータに対して誤り訂正を行ってデータ格納レジスタ209に格納する処理を別途行う必要がない点で、エラー検出・訂正回路203の処理負荷が比較的軽くて済む。
また、ビジーチェック回路208は、キャッシュ制御部131がデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを判定し、処理中でないと判定した場合、データ格納レジスタ209が記憶している訂正後データを、キャッシュ201に書き込む。
これにより、キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)では、キャッシュ制御部131がデータ読出要求またはデータ書込要求を処理しているときに、データ格納レジスタ209が記憶している訂正後データを、キャッシュ201に書き込むことを回避できる。キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)によれば、この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
また、エラー検出・訂正回路203は、誤り訂正を行ったデータのキャッシュプロトコルのステータスが、MESIのステータスの「M」である場合、訂正後データを主記憶部141に書き込むよう要求する。MESIのステータスの「M」は、キャッシュシステム130に記憶されているデータが、主記憶部141に記憶されているデータから更新されていることを示すステータスの例に該当する。
これにより、キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)では、キャッシュコヒーレンシを保持することができる。かつ、訂正後データを主記憶部141に書き込むタイミングでは、訂正後データをキャッシュ201に書き込まなくてもよい点で、誤り訂正後のデータをキャッシュ201に書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
ここで、あるキャッシュエントリで訂正可能障害が検出された場合の対応方法として、即時に障害を訂正したデータを当該キャッシュエントリに書き込む方法が考えられる。しかしながら、この方法では、システムは、訂正可能障害を検出するたびに、通常リクエスト(データ書込要求またはデータ読出要求)の処理中であっても割り込みを行い、訂正済みのデータの書き戻すことになり、この点で、システムの性能低下につながる。
あるいは、あるキャッシュエントリで訂正可能障害が検出された場合の対応方法として、システムが、当該キャッシュエントリの有効ビットをクリアすることで、障害を検出したアドレスへの次回アクセス時に、主記憶に直接アクセスすることが考えられる。しかしながら、主記憶へのアクセスでは、キャッシュへのアクセスよりも時間を要し、この点で、システムの性能低下につながる。
これに対し、キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)では、訂正済みのデータを直ちにキャッシュ201に書き戻す必要はなく、また、障害を検出したアドレスへの次回アクセス時に、主記憶部141に直接アクセスする必要もない。キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)によれば、この点で、システム(コンピュータ100)の性能低下を回避できる。
キャッシュ制御装置(キャッシュ制御部131)を、性能が優先されるシステム、例えば、多少複雑な処理を行う場合、または、処理量が増加する場合でも、性能の低下を軽減したいシステムに適用してもよい。
図13は、実施形態に係るキャッシュ制御装置の構成の例を示す図である。図13に示すキャッシュ制御装置510は、誤り訂正部511と、読出要求対応部512とを備える。
かかる構成で、誤り訂正部511は、キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、そのデータの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶部に格納する。読出要求対応部512は、データ読出要求に対し、要求されるデータが訂正後データ記憶部に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する。
誤り訂正部511は、誤り訂正手段の例に該当する。読出要求対応部512は、読出要求対応手段の例に該当する。訂正後データ記憶部は、訂正後データ記憶手段の例に該当する。
キャッシュ制御装置510によれば、誤り訂正部511がキャッシュから読み出されたデータの誤り訂正を行うことで、訂正可能障害から訂正不可能障害へ遷移することを防止できる。かつ、訂正後データ記憶部に訂正後データを記憶させておくことで、キャッシュ制御装置510がリクエストを処理していないタイミングで、訂正後データ記憶部の訂正後データをキャッシュに書き込むことができる。キャッシュ制御装置510によれば、この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュに書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
図14は、実施形態に係るキャッシュシステムの構成の例を示す図である。図14に示すキャッシュシステム520は、キャッシュ521と、訂正後データ記憶部522と、キャッシュ制御装置523とを備える。キャッシュ制御装置523は、誤り訂正部524と、読出要求対応部525とを備える。
かかる構成で、誤り訂正部524は、キャッシュ521から読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶部522に格納する。読出要求対応部525は、データ読出要求に対し、要求されるデータが訂正後データ記憶部522に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを訂正後データ記憶部522から読み出して要求元へ転送する。
訂正後データ記憶部522は、訂正後データ記憶手段の例に該当する。誤り訂正部524は、誤り訂正手段の例に該当する。読出要求対応部525は、読出要求対応手段の例に該当する。
キャッシュシステム520によれば、誤り訂正部524がキャッシュ521から読み出されたデータの誤り訂正を行うことで、訂正可能障害から訂正不可能障害へ遷移することを防止できる。かつ、訂正後データ記憶部522に訂正後データを記憶させておくことで、キャッシュ制御装置523がリクエストを処理していないタイミングで、訂正後データ記憶部522の訂正後データをキャッシュ521に書き込むことができる。キャッシュ制御装置523によれば、この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュに書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
図15は、実施形態に係るキャッシュ制御方法における処理の手順の例を示す図である。
図15に示す処理は、誤り訂正工程(ステップS11)と、読出要求対応工程(ステップS12)とを含む。
誤り訂正工程(ステップS11)では、キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶部に格納する。読出要求対応工程(ステップS12)では、データ読出要求に対し、要求されるデータが訂正後データ記憶部に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する。
図15のキャッシュ制御方法によれば、キャッシュから読み出されたデータの誤り訂正を行うことで、訂正可能障害から訂正不可能障害へ遷移することを防止できる。かつ、訂正後データ記憶部に訂正後データを記憶させておくことで、リクエストを処理していないタイミングで、訂正後データ記憶部の訂正後データをキャッシュに書き込むことができる。図15のキャッシュ制御方法によれば、この点で、誤り訂正後のデータをキャッシュに書き込むことによる処理の遅延を軽減できる。
なお、セレクタ202、エラー検出・訂正回路203、キャッシュ判定回路204、読出制御部205、書込制御部206、ステータスレジスタ207、ビジーチェック回路208、データ格納レジスタ209、誤り訂正部511、読出要求対応部512、誤り訂正部524、および、読出要求対応部525の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(オペレーティングシステム)や周辺機器等のハードウェアを含む。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
100、101 コンピュータ
110 プロセッサシステム
120 中央処理装置群
121 中央処理装置
130、520 キャッシュシステム
131 キャッシュ制御部
132 データ格納部
140 主記憶システム
141 主記憶部
142 主記憶制御部
201、521 キャッシュ
202 セレクタ
203 エラー検出・訂正回路
204 キャッシュ判定回路
205 読出制御部
206 書込制御部
207 ステータスレジスタ
208 ビジーチェック回路
209 データ格納レジスタ
510、523 キャッシュ制御装置
511、524 誤り訂正部
512、525 読出要求対応部
522 訂正後データ記憶部

Claims (5)

  1. キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納する誤り訂正手段と、
    データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する読出要求対応手段と、
    前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込むデータ更新処理手段と
    を備えるキャッシュ制御装置。
  2. 前記読出要求対応手段が、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されていないと判定した場合、前記誤り訂正手段は、要求されるデータを前記キャッシュから取得して誤り検出を行い、訂正可能誤りを検出した場合、当該データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納し、かつ、当該訂正後データを要求元へ転送する、
    請求項1に記載のキャッシュ制御装置。
  3. 前記誤り訂正手段は、誤り訂正を行ったデータのキャッシュプロトコルのステータスが、主記憶手段に記憶されているデータから更新されていることを示す場合、訂正後データを主記憶手段に書き込むよう要求する、
    請求項1または請求項2に記載のキャッシュ制御装置。
  4. キャッシュと、訂正後データ記憶手段と、キャッシュ制御装置とを備え、
    前記キャッシュ制御装置は、
    前記キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを前記訂正後データ記憶手段に格納する誤り訂正手段と、
    データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する読出要求対応手段と、
    前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込むデータ更新処理手段と
    を備えるキャッシュシステム。
  5. キャッシュから読み出されたデータに訂正可能障害が検出された場合、前記データの誤り訂正を行い、誤り訂正された訂正後データを訂正後データ記憶手段に格納する工程と、
    データ読出要求に対し、要求されるデータが前記訂正後データ記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、要求されるデータを前記訂正後データ記憶手段から読み出して要求元へ転送する工程と、
    前記キャッシュに対するデータ読出要求またはデータ書込要求を処理中か否かを、要求に示されるメモリアドレスを基に前記キャッシュのエントリを決定するセレクタの状態に基づいて判定し、処理中でないと判定した場合、前記訂正後データ記憶手段が記憶している訂正後データを、前記キャッシュに書き込む工程と、
    を含むキャッシュ制御方法。
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