JP6927436B2 - 転炉のスロッピング予知方法、転炉の操業方法及び転炉のスロッピング予知システム - Google Patents

転炉のスロッピング予知方法、転炉の操業方法及び転炉のスロッピング予知システム Download PDF

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Description

本発明は、転炉での溶銑の脱炭精錬において、スロッピング(炉内からのスラグ及び溶融鉄の噴出)の発生を予知する方法及びシステムに関する。また、スロッピングの発生を防止しながら溶銑を酸素吹錬する転炉の操業方法に関する。
高炉から出銑された溶銑は転炉に装入され、転炉内に装入された溶銑に対して上吹きランスまたは底吹き羽口から酸化性ガス(酸素ガス)が供給され、溶銑は転炉で脱炭精錬されて、溶銑から溶鋼が溶製される。この転炉においては、炉内に酸化性ガスを吹き込む(「酸素吹錬」という)ことによって媒溶剤を滓化させてスラグを形成し、溶銑に含まれる不純物元素(P、Siなど)をスラグ中に除去している。但し、媒溶剤を十分滓化させようとすると、生成されるスラグがフォーミング(泡立ち)し、酸素吹錬中に突沸的に炉内のスラグ及び溶融鉄(溶銑または溶鋼)が炉口から炉外に噴出する、所謂「スロッピング」が発生することがある。
特に、酸化鉄源(鉄鉱石、ミルスケールなど)を炉内に多量に投入した場合やソフトブローの操業時に、スラグ中の酸素蓄積量(FeO量)が増加し、スラグと溶融鉄(溶銑または溶鋼)との界面で脱炭反応(C+O→CO)が爆発的に起こり、多量のCOガスが発生するために、スロッピングが起こるといわれている。
スロッピングは、溶鋼成分を乱して出鋼歩留りを低下させるとともに、脱炭精錬時間の増加、OG設備(非燃焼式排ガス処理設備)でのガス回収率の低下、作業環境の低下、周辺機器の故障などの様々な問題を引き起こす。そのため、従来から様々なスロッピング予知方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、上吹きランスに設置した振動センサーで上吹きランスの振動を測定し、測定される振動信号のうち、予め定めた振幅設定値よりも大きな信号の一定時間内における比率を算出し、所定設定比率を超えるとスロッピングが発生すると判定するスロッピング予知方法が提案されている。
特許文献2には、転炉内のスラグ面にマイクロ波を投射し、スラグ面から反射されたマイクロ波を捉えて投射波と反射波との混合波の周波数及び/またはスラグ面でのマイクロ波反射率を算出し、これら算出値に基づいてスラグレベル及びスラグ滓化状況を検知し、スラグレベル及びスラグ滓化状況を予め定めた基準状態に維持すべく、これらの影響要素を設定制御する精錬方法が提案されている。
また、特許文献3には、転炉から発生する排ガスを冷却除塵して回収するようにした転炉排ガス処理装置において、音響メータ、排ガス組成分析、ダスト濃度計によって検知した情報に基づいてスラグ状況を判定し、その判定結果に基づき、スロッピング、スピッティングの発生を抑制すべく、ランス高さ、送酸流量、上底吹き比率または副原料投入量の制御を行う転炉精錬方法が提案されている。
特開平6−248321号公報 特開昭59−41409号公報 特開平6−256832号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1は、振動センサーを使用し、また、特許文献2は、マイクロ波スラグレベル計を使用しており、これらのセンサーを用いたスロッピング予知方法では、センサーを、転炉炉内または炉内直近に設置する必要がある。設置したセンサーは、酸素吹錬中の転炉内で激しく流動する溶鋼、スラグ、排ガスなどの極近傍に曝されることから、設備の耐久性や連続運転性に課題があった。
特許文献3は、転炉排ガス処理設備の排ガスダクトで測定しており、排ガスダクトでは雰囲気温度が低いことから比較的安定稼働が可能であるが、測定時期に、排ガスダクトの測定位置まで排ガスが移動する時間分の遅れが生じるという課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は以下のとおりである。転炉での溶銑の脱炭精錬において、スロッピングを検知するためのセンサーを、転炉炉内または転炉炉内直近に設置する必要がなく、且つ、時間遅れすることなくスロッピングの発生を予知する予知方法及び予知システムを提供することである。また、スロッピングの発生を防止しながら酸素吹錬する転炉の操業方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]転炉内の溶銑に、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑を脱炭精錬し、溶銑から溶鋼を製造する転炉の脱炭精錬におけるスロッピング予知方法であって、
前記転炉の炉口から吹き出す炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
測定される発光スペクトルの580〜620nmの範囲の波長における発光強度を算出し、
算出した発光強度の時系列変化に基づいてスロッピングの発生を予知する、
転炉のスロッピング予知方法。
[2]前記発光強度が一旦減少した後に増加に転じる変曲点を検知し、変曲点を検知することでスロッピングの発生を予知する、上記[1]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
[3]前記発光強度の時系列変化を移動平均によって求める、上記[1]または上記[2]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
[4]前記発光強度の時系列変化を、移動平均による判定用の式を用いて求める、上記[1]または上記[2]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
[5]前記判定用の式として、下記の(1)式から下記の(3)式を用い、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定する、上記[4]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
Figure 0006927436
ここで、I(n,m0)は、測定点n-m0から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L1,m1)は、測定点n-L1-m1から測定点n-L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-2L1,m1)は、測定点n-2L1-m1から測定点n-2L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n,m2)は、測定点n-m2から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L2,m2)は、測定点n-L2-m2から測定点n-L2までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、C0、C1、C2は判定の閾値であって、C0>0、C2>0、C1<C2であり、L1、L2は定数であって、1以上の整数であり、m0、m1、m2は定数であって、0以上の整数である。
[6](1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて決定する、上記[5]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
[7](1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する、上記[5]に記載の転炉のスロッピング予知方法。
[8]溶銑から溶鋼を製造する転炉の操業方法において、
上記[1]から上記[7]のいずれかに記載の転炉のスロッピング予知方法でスロッピングが発生すると判定された際には、
スロッピングが発生すると判定された時点で、上吹きランスから吹き付ける酸化性ガスの流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の投入のうちの1種または2種以上を実施する、転炉の操業方法。
[9]転炉内の溶銑に、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑を脱炭精錬し、溶銑から溶鋼を製造する転炉の脱炭精錬におけるスロッピング予知システムであって、
前記転炉の周囲に配置され、転炉と可動式フードとの隙間から炉口燃焼火炎を撮影する分光カメラと、
該分光カメラから送られた画像データを取り出し可能に記録するとともに、前記画像データの発光スペクトルの580〜620nmの範囲の波長における発光強度を算出し、且つ、算出した発光強度の時系列変化に基づいてスロッピングの発生を予知する画像解析装置と、
を有する転炉のスロッピング予知システム。
[10]更に、前記画像解析装置から入力されるデータに基づいて、操業条件を変更するべく制御信号を発信する制御用計算機を有する、上記[9]に記載の転炉のスロッピング予知システム。
[11]前記画像解析装置は、前記発光強度が一旦減少した後に増加に転じる変曲点を検知し、変曲点を検知することでスロッピングの発生を予知する、請求項9または請求項10に記載の転炉のスロッピング予知システム。
[12]前記画像解析装置は、前記発光強度の時系列変化を、移動平均による判定用の式を用いて求める、上記[9]から上記[11]のいずれかに記載の転炉のスロッピング予知システム。
[13]前記判定用の式として、下記の(1)式から下記の(3)式を用い、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定する、上記[12]に記載の転炉のスロッピング予知システム。
Figure 0006927436
ここで、I(n,m0)は、測定点n-m0から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L1,m1)は、測定点n-L1-m1から測定点n-L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-2L1,m1)は、測定点n-2L1-m1から測定点n-2L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n,m2)は、測定点n-m2から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L2,m2)は、測定点n-L2-m2から測定点n-L2までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、C0、C1、C2は判定の閾値であって、C0>0、C2>0、C1<C2であり、L1、L2は定数であって、1以上の整数であり、m0、m1、m2は定数であって、0以上の整数である。
[14]前記画像解析装置は、(1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する機械学習モデルを具備する、上記[13]に記載の転炉のスロッピング予知システム。
[15]更に、(1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する機械学習モデルを具備する機械学習用計算機を有する、上記[13]に記載の転炉のスロッピング予知システム。
本発明に係る転炉のスロッピング予知方法及び予知システムでは、炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定することによってスロッピングの発生を予知している。したがって、スロッピングを検知するためのセンサーを、転炉炉内または転炉炉内直近に設置する必要がなく、且つ、時間遅れすることなくスロッピングの発生を予知できる。また、本発明に係る転炉の操業方法によれば、スロッピングの発生を予知した時点で、スロッピング防止対策を実施するので、スロッピングの発生を安定して抑制できる。
図1は、本発明の実施に好適な転炉設備の構成を模式的に示す概略図である。 図2は、スロッピングが発生したチャージにおける発光強度指数の酸素吹錬中の時系列的な変化を示す図である。 図3は、スロッピングが発生しなかったチャージにおける発光強度指数の酸素吹錬中の時系列的な変化を示す図である。 図4は、本発明の実施に好適な転炉設備の他の構成を模式的に示す概略図である。
本発明者らは、溶銑を酸化精錬して溶銑から溶鋼を製造する転炉での脱炭精錬において、酸素吹錬中のスロッピングの発生を時間遅れすることなくリアルタイムで予知することを目的とし、鋭意検討した。具体的には、転炉での脱炭精錬において、スロッピング発生時の転炉の炉内状況をリアルタイムで監視した。スロッピングは、転炉内のスラグがフォーミング(泡立ち)した状態のときに発生することが知られている。
検討の結果、本発明者らは、転炉の炉内状況をリアルタイムで的確に把握する因子として、転炉の炉口燃焼火炎に着目し、脱炭精錬において、炉口燃焼火炎の発光スペクトルを所定の時間間隔で測定することに思い至った。ここで「炉口燃焼火炎」とは、転炉の炉口から上方の煙道に向かって吹き出す炉内の火炎を指す。
炉口燃焼火炎の発光スペクトルには、転炉内での脱炭反応(C+O→CO)によって発生するCOガスに関する情報や、このCOガスの一部と転炉炉口部分で吸引される空気とが混合して起こる自然発火によって生成するCOガスに関する情報が含まれている。また、発光スペクトルには、転炉内の火点(上吹きランスからの酸化性ガスの溶銑浴面への衝突位置)から蒸発する鉄原子に由来するFeO*(中間生成物)に関する情報も含まれている。この発光スペクトルのうち、580〜620nmの範囲の波長について、その波長ごとの発光強度をリアルタイムに測定できれば、転炉の炉内状況を、リアルタイムで容易に推定できることを、本発明者らは見出した。
発光スペクトルのうち、580〜620nmの範囲の波長は、FeO*(中間生成物)の生成及び消失に起因する「FeO orange system band」に相当し、炭化水素系ガスの中間生成物の波長域とは異なる。更に、本発明者らは、FeO*(中間生成物)の生成時には、この波長域で吸光ピークが認められ、一方、FeO*(中間生成物)の消失時には、同じ波長域で発光ピークが認められることを確認している。また更に、発光強度がFeO*(中間生成物)の消失速度に連動していることを確認している。以下、「FeO*(中間生成物)」を単に「FeO*」と記す。
そこで、転炉での脱炭精錬中に、転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルを時系列的に測定した。転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルの測定は、図1(図1の詳細説明は後述する)に示すように、転炉2の正面に分光カメラ6を取り付け、炉口9と可動式フード10との隙間から見える炉口燃焼火炎16を撮影することによって行った。分光カメラ6により撮影された撮影画像を画像解析装置7に送信した。そして、画像解析装置7で画像を記録するとともに、入力された画像データの任意の走査線上を線分析し、発光波長の波長ごとの発光強度を解析した。発光スペクトルの測定及び発光強度の解析は、各測定点の間隔、つまり、測定時間間隔Δtを1秒の一定として行った。
得られた発光スペクトルの測定結果から、脱炭精錬中に最も変化幅が大きかった610nmの波長を特定波長(解析に使用した波長)とし、脱炭精錬中に測定した各時期における610nmの波長の発光強度を算出し、発光強度の時系列変化を求めた。発光強度の時系列変化を求めるにあたり、酸素吹錬開始前に分光カメラ6で炉口を撮影した画像データにおける発光強度を1として規格化した発光強度を「発光強度指数」と定義し、この発光強度指数を用いて時系列変化を求めた。当然ではあるが、規格化しない発光強度のままで時系列変化を求めることもできる。
この検討では、上吹きランス3から酸化性ガスを吹き付けるとともに、炉底部の底吹き羽口4から攪拌用ガスを吹き込むことができる転炉(容量300トン規模)を使用した。上吹きランスからの酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素ガス)を使用し、底吹き羽口からの攪拌用ガスとしては、アルゴンガスを使用した。また、上吹きランスは、先端に設置される酸素ガス噴射ノズルの個数が5孔で、その噴射角度が15°のラバール型噴射ノズルを有する上吹きランスを使用した。ここで、噴射ノズルの噴射角度とは、噴射ノズルの酸素ガス噴射方向と上吹きランスの軸心方向との相対角度である。
上記した転炉を用いて、炭素濃度が3.5質量%の溶銑の脱炭精錬を行った。上吹きランスからの酸素ガスの供給は、溶銑の炭素含有量が3.5質量%の時点から開始し、炉内の溶融鉄の炭素含有量が0.04質量%となる時点まで継続して行った。
上吹きランスからの酸素ガス流量は、800〜1000Nm/min、上吹きランスのランス高さは、2.5〜3.0mとし、底吹き羽口からの攪拌用ガスの流量は、5〜30Nm/minとした。ここで、「上吹きランスのランス高さ」とは、上吹きランスの先端から転炉内における静止状態の溶銑浴面までの距離である。
図2に、スロッピングが発生したチャージにおける上記方法で算出した発光強度指数の酸素吹錬中の時系列的な変化を示し、図3に、スロッピングが発生しなかったチャージにおける上記方法で算出した発光強度指数の酸素吹錬中の時系列的な変化を示す。図2に示すスロッピングが発生したチャージの脱炭精錬時間は19.5分であり、図3に示すスロッピングが発生しなかったチャージの脱炭精錬時間は18.0分であった。図2及び図3の横軸に示す酸素吹錬進行度は、下記の(4)式で定義されるものである。
酸素吹錬進行度=(QO2C/QO2)×100……(4)
ここで、QO2Cは、酸素吹錬を開始してから任意の或る時点までの積算酸素量(Nm)、QO2は、酸素吹錬終了時の積算酸素量(Nm)である。
図2及び図3から、スロッピングの発生の有無に拘わらず、酸素吹錬の前半(酸素吹錬進行度が60〜70%までの範囲)では、酸素吹錬進行度の増加とともに発光強度指数は増加し、一方、酸素吹錬の後半では、酸素吹錬進行度の増加とともに発光強度指数は減少することがわかった。
但し、図2に示すように、スロッピングが発生したチャージでは、酸素吹錬の前半であっても、酸素吹錬進行度の増加に伴って増加し始めた発光強度指数が一旦減少し、その後、発光強度指数が再度増加に転じた後に、スロッピングが発生した。
これは、スロッピングの発生時は、炉内のスラグがフォーミングすることから、スラグの見掛け厚みが増加し、スラグの見掛け厚みの増加による遮断効果で、FeOの還元反応が停滞し、つまり、脱炭反応が停滞し、そのために、発光強度指数が一旦低下したと考えられる。その後、発光強度指数が再度増加に転じる理由は、FeOの還元反応が停滞したことによって、スラグ中のFeO量が過剰になり、FeO量が過剰になることで、スラグと溶融鉄との界面で脱炭反応(FeO+C→Fe+CO)が再度起こり始め、発光強度指数が再度増加に転じたと考えられる。
この結果から、本発明者らは、発光強度指数の時系列変化がスロッピングの予知に利用できることを見出した。
スロッピングが発生しないチャージについては、図3に示すように、発光強度指数は吹錬の進行とともに増加し、吹錬中期において最大値を呈した。その後、吹錬末期にかけては、酸化鉄の還元反応速度が低減するために、発光強度指数は減少した。
本発明者らは、発光強度指数は増加したり減少したりするパターンを形成するという観点から、スロッピングが発生したチャージとスロッピングが発生しなかったチャージとについて、発光強度指数の時系列的な変化を比較した。その結果、スロッピングが発生する場合には、発光強度指数の時系列的な変化に、以下に例示する特徴があることがわかった。即ち、発光強度指数の現在の数値が、現在から10秒前の測定点での発光強度指数よりも20%以上増加しており、且つ、現在から10秒前の測定点での発光強度指数が、現在から80秒前の測定点での発光強度指数と同等または小さい場合に、スロッピングが発生していたことがわかった。これは、規格化しない発光強度のままの測定値でも同様のことがいえる。
つまり、発光強度及び発光強度指数が、上記したように、一定時間(約70秒間程度)継続して減少または停滞傾向を示した後に、大幅な増加に転じる挙動(この挙動を本明細書では「変曲点」と定義する)は、スロッピングが発生するときに観察されることが示唆された。換言すれば、発光強度及び発光強度指数の時系列変化に変曲点が現れることを検知することで、スロッピングの発生を予知できることが示唆された。
尚、図2に示すスロッピングが発生したチャージでは、発光強度指数が一旦減少し、その後、増加に転じる期間(発光強度指数の谷)が二カ所ある。一つ目の谷(酸素吹錬進行度が約30%の時期)では、二つ目の谷(酸素吹錬進行度が約45%の時期)よりも、それぞれの測定点よりも10秒前の測定点での発光強度指数に対する発光強度指数の増加率が小さかった。つまり、一つ目の谷(酸素吹錬進行度が約30%の時期)は、スロッピングまでには至らないスラグのフォーミングの発生を示唆するものと考えられる。一方、二つ目の谷(酸素吹錬進行度が約45%の時期)では、10秒前の測定点での発光強度指数に対する発光強度指数の増加率が20%を超えており、二つ目の谷を通過した後にスロッピングが発生した。即ち、発光強度及び発光強度指数の時系列変化に、二つ目の谷のような変曲点が現れることを検知することで、スロッピングの発生をより正確に予知できると考えられる。
発光強度指数をスロッピングの予知に利用するにあたり、図2及び図3に発光強度指数の挙動を示すように、移動平均されていない瞬間値(実績値)の発光強度指数を比較することでもスロッピングの予知は可能である。しかし、或る期間の発光強度指数の移動平均を用いることで、より正確にスロッピングの発生を予知できることがわかった。ここで、移動平均とは、変化しているデータの或る範囲の和を、データの個数で除算した値であり、時系列データを平滑化する手法である。
発光強度(実績値)及び発光強度指数を移動平均することで、バラツキが小さくなる。移動平均の可算数などを適切に選択することで、例えば、発光強度指数の移動平均値は、スロッピングが発生しないチャージでは、発光強度指数が最大値を呈するまでは単調に増加し、発光強度指数が最大値を呈した後は単調に減少するようになる。発光強度(実績値)も発光強度指数と同様の挙動を示す。
また更に、発光強度及び発光強度指数の時系列変化を、移動平均による判定用の式を用いて求めることで、より一層正確にスロッピングの発生を予知できることがわかった。
測定点nにおける、発光強度指数の移動平均による判定用の式としては、例えば、下記の(1)式から(3)式を用いることができる。(1)式から(3)式を用いることで、上記の変曲点を容易に検知することができる。ここで、測定点nとは、脱炭精錬中の任意の時点の測定点を指し、現在の測定点に相当する。
Figure 0006927436
ここで、I(n,m0)は、測定点n-m0から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L1,m1)は、測定点n-L1-m1から測定点n-L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-2L1,m1)は、測定点n-2L1-m1から測定点n-2L1までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n,m2)は、測定点n-m2から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L2,m2)は、測定点n-L2-m2から測定点n-L2までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、C0、C1、C2は判定の閾値であって、C0>0、C2>0、C1<C2であり、L1、L2は定数であって、1以上の整数であり、m0、m1、m2は定数であって、0以上の整数である。
ここで、(1)式は、C0以上の値を有するデータのみを判定用のデータとして用いることを意味する。この条件を課すことにより、バックグラウンドノイズや分光カメラの視野が短期間遮られてブラックアウトした期間のデータを除いて判定を行うことができる。(2)式は、測定点n-2L1から測定点n-L1までの期間、即ち、現在より少し前の発光強度指数の変化量を示す式である。また(3)式は、測定点n-L2から測定点nまでの期間、即ち、現在の直前の発光強度指数の変化量を示す式である。
尚、(2)式及び(3)式は、それぞれ、I(n-2L1,m1)及びI(n-L2,m2)で規格化された形となっているが、これらは、各チャージによって発光強度の絶対値が変化することの影響を除くためである。また、本発明では、現在より少し前の期間に発光強度指数が一旦減少し、その後、現在の直前で増加に転じる時系列変化の変曲点を検知するものであるから、C2>0、C1<C2である。
また、L1、L2は、現在から遡るべき測定点の数を与える。測定時間間隔をΔt(秒)とすると、L1×Δt、L2×Δtが、現在から遡るべき期間(秒)となる。m0、m1、m2は、後方移動平均範囲となる測定点の数を与える。測定時間間隔をΔt(秒)とすると、m1×Δt、m2×Δt、m3×Δtが、後方移動平均をとる時間範囲(秒)となる。
上記の(1)式、(2)式及び(3)式を用い、(1)式から(3)式の全ての式を満足するときにスロッピングが発生すると想定して、判定の閾値のC0、C1、C2、及び、定数L1、L2、m0、m1、m2を変更して、脱炭精錬におけるスロッピングの発生を予知する試験を行った。
表1に試験結果を示す。この試験では、610nmの波長を特定波長とし、スロッピングが発生すると判定した場合でも、操業条件は変更せず、スロッピングの発生を防止していない。
Figure 0006927436
表1に示すように、発光強度指数の移動平均の可算数や判定の閾値を適切に選択することで、スロッピングを安定して予知できることを見出した。ここで、表1における「判定成功率」とは、実際にスロッピングが発生した時点よりも60秒以上前にスロッピングを予知できたチャージの割合である。また、「正常検知率」とはスロッピングが発生しなかったチャージにおいて、スロッピングが発生すると予測しなかったチャージの割合、即ち、誤検知をしなかったチャージの割合である。
本発明に係る転炉のスロッピング予知方法、スロッピング予知システム及び転炉の操業方法は、上記知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。以下、本発明に係る転炉のスロッピング予知方法、スロッピング予知システム及び転炉の操業方法の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図1に、本発明を実施するうえで好適な転炉設備の構成の概略を模式的に示す。
本発明を実施するうえで好適な転炉設備1は、転炉2と、上吹きランス3と、転炉2の周囲に配設され、炉口燃焼火炎16を撮影可能とする分光カメラ6と、該分光カメラ6で撮影された撮影画像を取り出し可能に記録し、該撮影画像を解析する画像解析装置7と、該画像解析装置7で解析されたデータに基づき、制御信号を発信する制御用計算機8と、を有する。
更に、制御用計算機8から発信される制御信号により、個別に作動可能に構成される、上吹きランス3のランス高さを調整するためのランス高さ制御装置11、上吹きランス3から噴射する酸化性ガスの流量を調整するための酸化性ガス流量制御装置12を有する。また更に、底吹き羽口4から吹き込む攪拌用ガスの流量を調整するための底吹きガス流量制御装置13、炉上ホッパー(図示せず)に収容される副原料の銘柄及び投入量を制御するための副原料投入制御装置14及び可動式フード10の高さ位置を制御するための可動式フード高さ位置制御装置15を有する。
制御用計算機8には、ランス高さ制御装置11で測定されるランス高さ、酸化性ガス流量制御装置12で測定される酸化性ガス供給速度、底吹きガス流量制御装置13で測定される底吹きガス流量、副原料投入制御装置14で測定される副原料投入量、可動式フード高さ位置制御装置15で測定される可動式フード高さ位置が、フィードバック制御のために入力されている。また、制御用計算機8には、煙道に設けられた、転炉から排出される排ガスの流量を測定するための排ガス流量測定器(図示せず)で測定される排ガス流量、また、煙道に設けられた、転炉から排出される排ガスの成分(CO、CO、O)を測定するための排ガス成分測定器(図示せず)で測定される排ガス成分が入力されている。
本発明で使用する転炉2は、上吹きランス3から、炉内の溶銑5に向けて酸化性ガス噴流17を噴射すると同時に、炉底部の底吹き羽口4から、攪拌用ガスを吹き込むことができる。そして、転炉2の周囲には、転炉の炉口燃焼火炎16の発光スペクトルを測定できる分光カメラ6が取り付けられる。取り付けられた分光カメラ6により、転炉の炉口9と可動式フード10との隙間から見える炉口燃焼火炎16を撮影する。
尚、分光カメラ6の取り付け位置は、分光カメラ6に対する熱や粉塵等の負荷が小さく、耐用可能であり、且つ、転炉の炉口9と可動式フード10との隙間から見える炉口燃焼火炎16が撮影可能な位置であればよい。例えば、転炉2の正面に分光カメラ6を取り付ければ、チャージングドアに設けられたフレーム確認用の小窓(隙間)から見える炉口燃焼火炎16を撮影することができる。また、転炉炉体を囲む壁の炉裏(操作室の反対側)や炉側(トラニオン側)に炉口燃焼火炎16が撮影可能な撮影窓を設け、その窓の外側に分光カメラ6を取り付けて撮影することもできる。或いは、転炉炉体を囲む壁の内側であっても、分光カメラ6が耐用可能な場所があれば採用することができる。
分光カメラ6により撮影された撮影画像(画像データ)は、逐次、画像解析装置7に送信される。画像解析装置7では、送られた撮影画像(画像データ)を記録するとともに、画像データの任意の走査線上を線分析して、発光波長及び波長ごとの発光強度を解析する。また、画像解析装置7は、送られた撮影画像(画像データ)の解析結果に基づいてスロッピングの発生を予知する。
画像解析装置7で解析された炉口燃焼火炎16の画像データは、スロッピングの発生を予知したことを含めて、その都度、制御用計算機8に送信される。同様に、制御用計算機8に記憶された上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さ、排ガス流量、排ガス成分などの操業データが、その都度、画像解析装置7に送信される。
制御用計算機8は、スロッピングの発生を予知したことを画像解析装置7から受信したなら、ランス高さ制御装置11、酸化性ガス流量制御装置12、底吹きガス流量制御装置13、副原料投入制御装置14及び可動式フード高さ位置制御装置15を、個別または同時に作動させる制御信号を発信する。尚、図1中の符号の18は、上吹きランスへの酸化性ガス供給管、符号の19は、上吹きランスへの冷却水供給管、符号の20は、上吹きランスからの冷却水排出管である。
本発明では、転炉設備1を用いて、転炉2に収容された溶銑5に、上吹きランス3から酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口4から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑5を酸化精錬して、つまり、溶銑5を脱炭精錬して、溶銑5から溶鋼を製造する。
そして、脱炭精錬中に、分光カメラ6で炉口燃焼火炎16を撮影し、得られた発光スペクトルを解析して、リアルタイムで転炉2における脱炭精錬中の炉内状況の変化を推定する。この推定した炉内状況の変化に基づいて、スロッピングを予知する。分光カメラ6による炉口燃焼火炎16の撮影、発光スペクトルの解析は、測定時間間隔Δtを1〜10秒として行うことが、生産性の向上及び鉄歩留まりの向上の観点から好ましい。
撮影して得られた発光スペクトルは、画像解析装置7に取り出し可能に記録される。画像解析装置7は、得られた炉口燃焼火炎16の発光スペクトルのうち、580〜620nmの範囲の波長について、発光波長を特定し、特定して発光波長ごとの発光強度を算出する。
580〜620nmの範囲の波長は、前述したように、FeO*の生成と消失に起因するFeO orange system bandに相当する。FeO*の生成時には、この波長域で吸光ピークが認められ、一方、FeO*の消失時には、同じ波長域で発光ピークが認められ、そのうちの発光強度がFeO*の消失速度に連動していることを、本発明者らは確認している。つまり、580〜620nmの範囲の波長は、転炉内での反応を反映し、転炉の炉内状況を容易に推定する手掛かりになることから、測定の対象とした。また、発光強度は、FeOが励起状態(FeO*)から基底状態に変化する際の発光エネルギーの大きさを表す。
画像解析装置7は、得られた波長ごとの発光強度及び発光強度指数を算出する。更に、好ましくは、発光強度指数の移動平均を算出する。そして、画像解析装置7は、算出した発光強度、発光強度指数、発光強度指数の移動平均の時系列変化に基づいて、炉内状況の変化を推定し、転炉操業におけるスロッピングの発生を予知する。この場合、上記の変曲点を検知し、変曲点を検知することでスロッピングの発生を予知することが好ましい。
ここで、スロッピングの予知に用いる移動平均による判定用の式として、(1)式から(3)式を使用し、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定することが好ましい。(1)式から(3)式における判定の閾値であるC0、C1、C2は、各転炉の撮影環境や操業条件によって異なることから、発光強度を測定し、(1)式から(3)式でスロッピングを正常に検知した割合が最大となるように、予備試験を実施して予め定める。また、操業上の利点を鑑み、誤検知が最低となる範囲で正常検知率が最大となるように、C0〜C2を決めることもできる。
その他のL1、L2、m0、m1、m2の各定数については、大きな値を設定した方が、トレンドは緩やかとなり、過検知(スロッピングでないものをスロッピングと判定する)を起こしにくい。しかし、これらの値を大きく設定しすぎると、感受性が鈍くなり、スロッピング発生前にスロッピングを検知することが難しくなる。
また、Δt×L1、Δt×L2、Δt×m0、Δt×m1、Δt×m2は、スロッピングを検知した後の対策を講じる時間(数十秒〜百秒程度)を考慮したうえで、(1)式から(3)式でスロッピングを正常に検知する割合が最大となるように、予備試験を実施して予め定める。Δt×L1、Δt×L2、Δt×m0、Δt×m1、Δt×m2が吹錬時間に対して1〜5%程度の長さの場合には、比較的良好な検知率が得られる。また、操業上の利点を鑑み、誤検知が最低となる範囲で正常検知率が最大となるように決めることもできる。
画像解析装置7では、オペレーターが、C0、C1、C2、の各閾値、及び、L1、L2、m0、m1、m2の各定数を任意の数値で設定できるようになっている。また、画像解析装置7は、判定の閾値であるC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種または2種以上を用いて、機械学習によって決定する、機械学習モデル機能を具備している。つまり、画像解析装置7は、C0、C1、C2を、機械学習によって自動的に設定できる機能を具備している。
また、図4に示すように、画像解析装置7とは別に、機械学習モデル機能を有している機械学習用計算機21を設けることができる。この場合は以下のように各定数を設定することができる。先ず、操業データが記録された制御用計算機8などから操業データを、炉口燃焼火炎の発光強度のデータが記録された画像解析装置7などから発光強度のデータを、それぞれオフラインで機械学習用計算機21に送信する。機械学習用計算機21は、受信したデータに基づいて機械学習を行ない、上記の各定数を決定し、決定した値を画像解析装置7に送信する。画像解析装置7は、新たな定数を受信し、次回以降の操業では新たな定数を用いて判定を行う。
図4は、本発明の実施に好適な転炉設備の他の構成を模式的に示す概略図である。図4に示す転炉設備1Aは、図1に示す転炉設備1に、更に、機械学習用計算機21を配置した構成である。その他の構成は図1に示す転炉設備1と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
発光強度指数の算出に使用する特定波長は、580〜620nmの範囲の波長のうちで、脱炭精錬中の発光強度の変化量が最も大きい波長を予め測定して決定するか、または、当該脱炭精錬中に当該波長域内の複数の波長を監視して、発光強度の変化量が最も大きい波長を、その都度決定する。
本発明に係る転炉の操業方法では、脱炭精錬中に、算出した発光強度の時系列変化に基づいてスロッピングが発生すると判定された時点で、スロッピングの発生を防止するべく及び設備の損傷を防止するべく、上吹きランスから吹き付ける酸化性ガスの流量調整、ランス高さの調整、可動式フードの高さ位置調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量調整、鎮静材の炉内投入のうちの1種または2種以上を実施する。この場合、発光強度指数の時系列変化を、(1)式から(3)式の判定用の式を用いて求め、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定することが好ましい。
具体的な対処方法としては、上吹きランスから吹き付ける酸化性ガスの流量を減少するか、上吹きランスのランス高さを低下するか、可動式フードの高さ位置を高くして可動式フードのスラグによる損傷を防止するか、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量を増加させるか、鎮静材を投入することが好ましい。更には、上記の操作のうちの2つ以上を組み合わせて行うことがより好ましい。このような調整により、スロッピングの発生前またはスロッピング発生のごく初期に、スラグのフォーミングまたは急激な脱炭反応を抑制でき、炉外へのスラグ及び溶融鉄の噴出を回避でき、鉄歩留りを向上させることができる。
ここで、上吹きランスから吹き付ける酸化性ガス流量の減少、上吹きランスのランス高さの低下、底吹き羽口から吹き込むガス流量の増加及び鎮静材の投入は、スロッピングの発生を防止するための操業条件の変更であり、可動式フードの高さ位置を高くすることは、設備の損傷を防止するための操業条件の変更である。したがって、少なくとも、スロッピングの発生を防止するための操業条件の変更を実施することが望ましい。可動式フードの高さ位置を低くして物理的にスラグの噴出を防止することもスラグの噴出を軽減するという観点からは有効な処置であるが、この場合には、可動式フードの使用回数が低下することを考慮する必要がある。
ここで、鎮静材とは、転炉内に投入されることにより炉内のスラグにガス抜き流路を形成し、フォーミング(泡立ち)したスラグのガス抜けを改善し、スラグのフォーミングを抑制するための製鋼用副原料である。鎮静材としては、一般的には、炭材、ミルスケール、スラグなどを水分または油脂で造粒したものが使用されるが、その他の物質であってもよい。
上吹きランスから吹き付ける酸化性ガスの流量の減少量、上吹きランスのランス高さの低下量、可動式フードの高さ位置変化量、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の増加量、鎮静材の投入量は、予め、溶融鉄の攪拌力と酸化性ガスの流量との比率などに基づき、決定しておくことが好ましい。
また、本発明を実施するうえで好適な転炉設備1では、上記の(1)式から(3)式の判定用の式の全てが満たされる時点で、その都度、制御用計算機8から、ランス高さ制御装置11へ、ランス高さを低下するように制御信号を発信するか、酸化性ガス流量制御装置12へ、上吹きランスから噴射する酸化性ガスの流量を減少するように制御信号を発信するか、可動式フード高さ位置制御装置15へ、可動式フードの高さ位置を高くするように制御信号を発信するか、底吹きガス流量制御装置13へ、吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量を増加するように制御信号を発信するか、副原料投入制御装置14へ、所定量の鎮静材を投入するように制御信号を発信するか、或いは、それら制御信号の全てを同時に発信するように構成されることが好ましい。
上吹きランス3から吹き付ける酸化性ガスは、酸素ガス(工業用純酸素ガス)が一般的であるが、酸素ガスと、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの希ガスや窒素ガスとの混合ガス、空気、酸素富化空気などを用いることができる。尚、ここでいう「酸化性ガス」とは、酸素濃度が空気と同等或いはそれ以上である酸素含有ガスである。また、底吹き羽口4から吹き込むガスは、不活性ガスまたは酸化性ガスであり、酸化性ガスを吹き込む場合は、酸化精錬用の酸化性ガスとして機能するとともに、攪拌用ガスとしても機能する。
また、炉口燃焼火炎16のスペクトル解析による炉内状況の判定では、クレーンの通過や炉口への地金の堆積などによる視野の遮蔽などの状況の変化により誤検知となる場合がある。このため、(1)式から(3)式における判定の閾値であるC0、C1、C2を、各チャージの転炉操業ごとに変化させることが望ましい。
具体的には、判定の閾値であるC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種または2種以上を用いて決定することが好ましい。
また、判定の閾値であるC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種または2種以上を用いて、機械学習によって決定することがより好ましい。
また、上記説明は、発光強度指数を用いて(1)式から(3)式を算出しているが、各時点での発光強度自体を用いて(1)式から(3)式を算出してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、溶銑5を脱炭精錬する転炉2において、スロッピングの発生を、炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定することによって予知するので、スロッピングを検知するためのセンサーを、転炉炉内または転炉炉内直近に設置する必要がなく、且つ、時間遅れすることなくスロッピングの発生を予知することができる。そして、スロッピングの発生を予知した時点で、スロッピング防止対策を実施するので、スロッピングの発生を安定して抑制できる。
図1に示す転炉2と同様の形式を有する、容量300トンの上底吹き転炉(酸素ガス上吹き、アルゴンガス底吹き)を用いて、溶銑5の脱炭精錬を行った。上吹きランス3は、先端部に5個のラバールノズル型の噴射ノズルを、噴射角度を15°として、上吹きランスの軸心に対して同一円周上に等間隔に配置したものを使用した。尚、噴射ノズルのスロート径dは73.6mmであり、出口径dは78.0mmである。
先ず、転炉内に鉄スクラップを装入したのち、予め脱硫処理及び脱燐処理を施した、温度が1310〜1360℃の300トンの溶銑を転炉に装入した。溶銑の化学成分を表2に示す。
Figure 0006927436
次いで、底吹き羽口4から、攪拌用ガスとしてアルゴンガスを溶銑中に吹き込みながら、上吹きランス3から、酸化性ガスとして酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付け、溶銑の脱炭精錬を開始した。鉄スクラップの装入量は、脱炭精錬終了後の溶鋼温度が1650℃となるように調整した。
その後、脱炭精錬中に炉上ホッパー(図示せず)から、CaO系媒溶剤として生石灰を投入して、溶融鉄中の炭素濃度が0.05質量%となるまで脱炭精錬を行った。生石灰の投入量は、炉内に生成されるスラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO))が2.5となるように調整した。
脱炭精錬中に、所定の測定時間間隔Δt:1秒で、連続的に、転炉2のほぼ正面に設置した分光カメラ6により、転炉2の炉口9と可動式フード10との隙間から見える炉口燃焼火炎16を撮影した。
得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、得られた発光スペクトルのうち、580〜620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度指数を算出する解析を行った。使用した波長(特定波長)は610nmとした。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
得られた各時点における特定波長の発光強度指数を用いて、上記の(1)式から(3)式を算出した。その際に、(1)式から(3)式の判定の閾値は、C0=15、C1=0.65、C2=0.7とし、定数は、L1=L2=10、m0=m1=m2=20とした。
そして、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定し、スロッピングが発生すると判定した時点で、上吹きランスからの酸素ガス流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の炉内投入のうちのいずれか1種または2種以上を実施した。
具体的には、上吹きランスからの酸素ガス流量の調整は、1000Nm/minから833Nm/minへと減少し、ランス高さの調整は、3.0mから2.5mへと低下し、底吹きガス流量の調整は、15Nm/minから30Nm/minへと増加させた。また、可動式フードの高さ位置の調整は、スロッピングが発生すると判定した時点での可動式フードの高さ位置よりも500mm高い位置になるように調整し、鎮静材の投入量は500〜1500kgとした。
このような調整は、スロッピングが発生すると判定した時点で、直ちに制御用計算機8から、ランス高さ制御装置11、酸化性ガス流量制御装置12、底吹きガス流量制御装置13、副原料投入制御装置14及び可動式フード高さ位置制御装置15に、制御信号を発信して作動させた。尚、上吹きランスからの酸素ガス流量、上吹きランスのランス高さ、可動式フードの高さ位置、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量は、(1)式から(3)式のいずれか1つが満足しなくなった時点で、調整前の数値に戻し、脱炭精錬を継続した。
本発明を実施することで、スロッピングの発生率は、本発明を実施する前の発生率に比較して約1/3に低下した。
実施例1と同じ転炉設備(上底吹き転炉)を用いて、実施例1と同様に、溶銑5の脱炭精錬を行った。
脱炭精錬中に、測定時間間隔Δtを1秒として、実施例1と同様に、連続的に分光カメラ6により、転炉2の炉口と可動式フードとの隙間から見える炉口燃焼火炎16を撮影した。得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、得られた発光スペクトルのうち、580〜620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度指数を算出する解析を行った。使用した波長(特定波長)は610nmとした。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
得られた各時点における特定波長の発光強度指数を用いて、上記の(1)式から(3)式を算出した。その際に、(1)式から(3)式の定数については、L1、L2、m0、m1、m2は、実施例1と同一としたが、判定の閾値であるC0、C1、C2は、酸素吹錬中の酸素ガス流量の平均値の大小に基づき、実施例1に記載する脱炭精錬と同様の200チャージの操業データを4区分に分け、それぞれの区分の閾値を決定した。つまり、酸素ガス流量の平均値の大小に基づいて、(1)式から(3)式のそれぞれの閾値を4種に設定した。
そして、実際の操業においては、酸素ガス流量の平均を逐次演算し、酸素ガス流量の平均によって定まる、前記4種のうちの1つの閾値を用いた。そして、上記のようにして設定した(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定し、スロッピングが発生すると判定した時点で、上吹きランスからの酸素ガス流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の炉内投入のうちのいずれか1種または2種以上を、実施例1と同一基準で実施した。尚、上吹きランスからの酸素ガス流量、上吹きランスのランス高さ、可動式フードの高さ位置、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量は、(1)式から(3)式のいずれか1つが満足しなくなった時点で、調整前の数値に戻し、脱炭精錬を継続した。
このように、(1)式から(3)式における判定の閾値を決定することで、脱炭精錬中のスロッピングの発生頻度は、実施例1と同等またはそれ以下になり、脱炭精錬が安定することが確認できた。
炉口燃焼火炎16のスペクトル解析による炉内状況の判定では、前述の通り、クレーンの通過や炉口への地金の堆積などによる視野の遮蔽などの状況の変化により誤検知となる場合がある。このため、(1)式から(3)式における判定の閾値であるC0、C1、C2は、各チャージの転炉操業ごとに変化させることが望ましい。
そこで、炉口燃焼火炎16のスペクトル解析を行った2000チャージのオフライン解析データを教師データとして、ニューラルネットワーク型の機械学習を行った。入力データは、溶銑質量、鉄スクラップ質量、脱炭精錬前の溶銑温度、副原料投入量、吹錬進行度ごとの送酸速度(上吹きランスからの酸素ガス供給速度)、底吹き流量、ランス高さ、排ガス流量、排ガス組成、可動式フード高さなどの30項目とし、隠れ層は5層とした。
上記のようにして機械学習した閾値の決定方法を用いて、(1)式から(3)式の判定の閾値C0、C1、C2を設定し、実施例1と同じ転炉設備(上底吹き転炉)を用いて、実施例1と同様に、溶銑の脱炭精錬を行った。(1)式から(3)式の定数のL1、L2、m0、m1、m2は、実施例1と同一とした。
脱炭精錬の全吹練時間中に亘り、実施例1と同様に、所定の時間間隔Δt:1秒で、連続的に、分光カメラ6により、転炉2の炉口から吹き出す炉口燃焼火炎16を撮影し、得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定して記録した。
そして、上記のように設定した(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定し、スロッピングが発生すると判定した時点で、上吹きランスからの酸素ガス流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の炉内投入のうちのいずれか1種または2種以上を、実施例1と同一基準で実施した(本発明例3)。
実施例1〜3を比較するために、実施例1に記載される、(1)式から(3)式の判定の閾値C0、C1、C2を予め或る所定値に設定して行う脱炭精錬(本発明例1)、及び、実施例2に記載される、(1)式から(3)式の判定の閾値C0、C1、C2を酸素吹錬中の酸素ガス流量の平均値の大小に基づいて設定して行う脱炭精錬(本発明例2)も実施した。
本発明例1、本発明例2、本発明例3を、それぞれ100チャージ実施した。いずれの操業においても、スロッピングが発生すると判定した時点で、上吹きランスからの酸素ガス流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の炉内投入のうちのいずれか1種または2種以上を、実施例1と同一基準で実施した。
尚、上吹きランスからの酸素ガス流量、上吹きランスのランス高さ、可動式フードの高さ位置、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量は、(1)式から(3)式のいずれか1つが満足しなくなった時点で、調整前の数値に戻し、脱炭精錬を継続した。
表3に、本発明例1、本発明例2、本発明例3における操業結果を示す。表3には、スロッピングを予知せずに行う従来の脱炭精錬(従来例)の操業結果も併せて示す。表3に示すスロッピング発生率は、全チャージ数(100チャージ)に対するスロッピング発生チャージ数の百分率である。
Figure 0006927436
表3から明らかなように、本発明例3では、スロッピングの発生率が低く、スロッピング発生による吹錬延長が低減し、また、鎮静材の使用量が低減した。
1 転炉設備
1A 転炉設備
2 転炉
3 上吹きランス
4 底吹き羽口
5 溶銑
6 分光カメラ
7 画像解析装置
8 制御用計算機
9 炉口
10 可動式フード
11 ランス高さ制御装置
12 酸化性ガス流量制御装置
13 底吹きガス流量制御装置
14 副原料投入制御装置
15 可動式フード高さ位置制御装置
16 炉口燃焼火炎
17 酸化性ガス噴流
18 上吹きランスへの酸化性ガス供給管
19 上吹きランスへの冷却水供給管
20 上吹きランスからの冷却水排出管
21 機械学習用計算機

Claims (7)

  1. 転炉内の溶銑に、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑を脱炭精錬し、溶銑から溶鋼を製造する転炉の脱炭精錬におけるスロッピング予知方法であって、
    前記転炉の炉口から吹き出す炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580〜620nmの範囲の波長における発光強度を算出し、
    算出した発光強度の時系列変化に基づいてスロッピングの発生を予知するにあたり、
    前記発光強度の時系列変化を、下記の(1)式から下記の(3)式の移動平均による判定用の式を用いて求め、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定する、
    転炉のスロッピング予知方法。
    Figure 0006927436
    ここで、I(n,m 0 )は、測定点n-m 0 から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L 1 ,m 1 )は、測定点n-L 1 -m 1 から測定点n-L 1 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-2L 1 ,m 1 )は、測定点n-2L 1 -m 1 から測定点n-2L 1 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n,m 2 )は、測定点n-m 2 から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L 2 ,m 2 )は、測定点n-L 2 -m 2 から測定点n-L 2 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、C 0 、C 1 、C 2 は判定の閾値であって、C 0 >0、C 2 >0、C 1 <C 2 であり、L 1 、L 2 は定数であって、1以上の整数であり、m 0 、m 1 、m 2 は定数であって、0以上の整数である。
  2. (1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて決定する、請求項に記載の転炉のスロッピング予知方法。
  3. (1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する、請求項に記載の転炉のスロッピング予知方法。
  4. 溶銑から溶鋼を製造する転炉の操業方法において、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の転炉のスロッピング予知方法でスロッピングが発生すると判定された際には、
    スロッピングが発生すると判定された時点で、上吹きランスから吹き付ける酸化性ガスの流量の調整、上吹きランスのランス高さの調整、可動式フードの高さ位置の調整、底吹き羽口から吹き込む酸化性ガスまたは不活性ガスの流量の調整、鎮静材の投入のうちの1種または2種以上を実施する、転炉の操業方法。
  5. 転炉内の溶銑に、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑を脱炭精錬し、溶銑から溶鋼を製造する転炉の脱炭精錬におけるスロッピング予知システムであって、
    前記転炉の周囲に配置され、転炉と可動式フードとの隙間から炉口燃焼火炎を撮影する分光カメラと、
    該分光カメラから送られた画像データを取り出し可能に記録するとともに、前記画像データの発光スペクトルの580〜620nmの範囲の波長における発光強度を算出し、且つ、算出した発光強度の時系列変化に基づいてスロッピングの発生を予知する画像解析装置と、を有し、
    前記画像解析装置は、前記発光強度の時系列変化を、下記の(1)式から下記の(3)式の移動平均による判定用の式を用いて求め、(1)式から(3)式の全てが満たされるときに、スロッピングが発生すると判定する、
    転炉のスロッピング予知システム。
    Figure 0006927436
    ここで、I(n,m 0 )は、測定点n-m 0 から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L 1 ,m 1 )は、測定点n-L 1 -m 1 から測定点n-L 1 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-2L 1 ,m 1 )は、測定点n-2L 1 -m 1 から測定点n-2L 1 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n,m 2 )は、測定点n-m 2 から測定点nまでの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、I(n-L 2 ,m 2 )は、測定点n-L 2 -m 2 から測定点n-L 2 までの発光強度指数の移動平均(a.u.)であり、C 0 、C 1 、C 2 は判定の閾値であって、C 0 >0、C 2 >0、C 1 <C 2 であり、L 1 、L 2 は定数であって、1以上の整数であり、m 0 、m 1 、m 2 は定数であって、0以上の整数である。
  6. 前記画像解析装置は、(1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する機械学習モデルを具備する、請求項に記載の転炉のスロッピング予知システム。
  7. 更に、(1)式から(3)式における判定の閾値のC0、C1、C2を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの1種以上を用いて、機械学習によって決定する機械学習モデルを具備する機械学習用計算機を有する、請求項に記載の転炉のスロッピング予知システム。
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