JP7052716B2 - 転炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉内の溶銑に、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けて溶銑を酸化精錬する転炉の操業方法に関し、詳しくは、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程と、のうちのいずれか一つの処理工程を含む転炉の操業方法に関する。
近年、溶銑の予備処理技術(脱珪処理、脱燐処理、脱硫処理)の開発が進み、転炉での脱炭処理(脱炭精錬)に供される溶銑の燐(P)、硫黄(S)の濃度は、それ以上に除去する必要のないレベルまで低減され、転炉では主に脱炭処理のみを行う鉄鋼精錬プロセスが完成しつつある。脱珪処理及び脱燐処理は、溶銑中の珪素(Si)及び燐が溶銑に供給される酸素源(酸素ガスや酸化鉄)中の酸素によって酸化除去される反応であり、脱硫処理は、CaOなどの脱硫剤と溶銑中の硫黄とが反応して硫黄が除去される反応である。尚、予備処理として行われる溶銑の脱珪処理及び脱燐処理は、トピードカーなどの溶銑搬送容器で行われるのみならず、転炉でも行われている。
脱燐処理は、下記の(3)式に脱燐反応を示すように、溶銑中の燐が酸素源中の酸素によって酸化されて生成する燐酸化物(P)を、脱燐精錬剤として添加するCaO系媒溶剤で固定し、溶銑から燐を分離することで行われている。
2[P]+5(FeO)+3(CaO)=(3CaO・P)+5[Fe] ……(3)
ここで、(3)式において、[P]、[Fe]は溶銑中の成分を示し、(FeO)、(CaO)、(3CaO・P)はスラグ中の成分を示している。つまり、溶銑中の燐がFeOによって酸化され、この酸化反応によって生成したPが、CaOと反応して、CaO系媒溶剤の滓化によって生成されるスラグに吸収されるという反応である。
脱燐処理では、生成される燐酸化物(P)をスラグが吸収することで反応が進むことから、脱燐平衡の観点から、スラグの塩基度(=(質量%CaO)/(質量%SiO))を所定の値以上に確保する必要がある。従来、脱燐反応を促進させるためにはスラグの塩基度を1.2~3.5の範囲内に制御する必要があると一般的にいわれている。
ところで、高炉から出銑される溶銑には、0.2~0.4質量%程度の珪素が含有されている。0.2~0.4質量%程度の珪素を含有する溶銑に酸素源を供給した場合、溶銑中の珪素は溶銑中の燐よりも熱力学的に優先に酸化されることから、脱燐処理前の溶銑中の珪素濃度が高い場合には、つまり、脱燐処理におけるSiOの発生量が多い場合には、スラグの塩基度を所定の値に確保するためのCaO系媒溶剤の使用量が多くなるのみならず、スラグの発生量が多くなり、製造コストを上昇させる。
そこで、上記問題を解決するために、脱珪処理されていない溶銑を転炉を用いて脱珪処理し、この脱珪処理に引き続いて脱燐処理する際に、溶銑の脱珪処理を行った後、生成したスラグを排滓し(「中間排滓」とも呼ぶ)、排滓後、炉内に残留させた溶銑を脱燐処理する転炉操業方法や、更に、その後、転炉内に残留させた溶銑を脱炭処理する転炉操業方法などが提案されている。
例えば、特許文献1には、脱珪処理終了時のスラグの塩基度が0.3~1.3の範囲に入るようにCaO系媒溶剤の供給量を調整して脱珪処理を行い、その後、炉を傾動して炉内のスラグを排出し、次いで、脱燐処理を行う操業方法が提案されている。しかしながら、特許文献1は、中間排滓工程で系外に排出するスラグ量を制御(増大)することは言及しておらず、脱燐処理で使用するCaO系媒溶剤の低減化は十分とはいえず、また、脱珪処理終了時の溶銑の珪素濃度は0.02~0.10質量%のバラツキの範囲であり、脱珪処理終了時点が明確でない。
特許文献2には、転炉内で溶銑の脱珪処理を行った後に中間排滓を行い、同一の炉内で更に脱燐処理を行う溶銑の脱珪脱燐処理方法において、溶銑中の珪素濃度が0.2質量%以上の状態で中間排滓を行い、前記脱燐処理よりも後工程において発生するスラグを、脱珪処理を行う炉内に投入し、スラグの塩基度を0.5~1.8の範囲に調整して脱珪処理を行う操業方法が提案されている。しかしながら、特許文献2は、脱珪処理終了時の溶銑中の珪素濃度が高く、脱燐処理で使用するCaO系媒溶剤の低減化は十分とはいえず、また、脱珪処理終了時点をどのようにして判定するかは言及していない。
特許文献3には、中間排滓で排出したスラグのCaO濃度及び排出量を測定し、これらの測定値に基づいて中間排滓後に炉内に添加するCaO系媒溶剤の量を決定する精錬方法が提案されている。しかしながら、特許文献3は、中間排滓工程後の精錬における炉内スラグの塩基度を的確に制御可能であるが、中間排滓におけるスラグ排出量を増大させることは目的としておらず、中間排滓工程後の精錬で使用するCaO系媒溶剤の低減化には結びつかない。
また、特許文献4には、初期溶銑データと、転炉から排出された排ガスの成分及び流量を含む時系列排ガスデータとから、炉内の溶銑の珪素濃度を逐次的に推定し、溶銑の珪素濃度が0.01質量%以下となった時点を脱珪処理の終了時点と判定して脱珪処理を終了し、その後、中間排滓へと移行する操業方法が開示されている。但し、排ガス成分分析及び排ガス流量の測定は、排ガスが測定点まで到達するまでの時間と分析時間とが必要であり、時系列排ガスデータの結果が判明するまでには、数十秒~1分程度の遅れがあることが一般に知られている。
特開平10-152714号公報 特開2011-137196号公報 特開2010-126790号公報 特開2017-25379号公報
上記したように、中間排滓工程におけるスラグ排出量を増大させ、これによって、脱燐処理でのCaO系媒溶剤の使用量を削減するためには、脱珪処理中に、炉内のスラグ形成と関係する溶銑中の珪素濃度をリアルタイムで監視し、溶銑中の珪素濃度に応じて上吹き酸素条件などを適正に制御して、脱珪スラグの性状を適正に制御する必要がある。
しかしながら、特許文献1~3に記載された技術は、脱珪処理の終了時点を、脱珪処理前の溶銑の珪素濃度及び酸素源(上吹きランスからの酸素ガスなど)の供給量に基づく物質収支計算によって求めていると想到され、脱珪処理の実際の終了を把握してはいない。つまり、特許文献1~3は、炉内状況をリアルタイムで監視し、これによって、脱珪処理で生成するスラグを、その後の中間排滓工程で排出しやすい性状に調整することは意図していない。また、特許文献4は、炉内状況を監視しているが、操業の実時間に対して遅れを伴うという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程と、のうちのいずれか一つの処理工程を含む転炉の操業方法において、脱珪処理中に溶銑中の珪素濃度の変化をリアルタイムで監視し、脱珪反応の終了を溶銑中の珪素濃度に基づいて適切に判定することのできる、転炉の操業方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、
転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程と、
のうちのいずれか一つの処理工程を含む転炉の操業方法であって、
前記脱珪処理工程または前記脱珪脱燐処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定し、
脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に、所定量の酸化性ガスを前記上吹きランスを介して溶銑に供給し、
該所定量の酸化性ガスを供給した後に脱珪処理工程または脱珪脱燐処理工程を終了する、転炉の操業方法。
[2]前記発光強度の時間変化として、下記の(1)式で定義される発光強度変化率を算出し、算出される発光強度変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、上記[1]に記載の転炉の操業方法。
発光強度変化率=(In/In-1)-1……(1)
ここで、Iは、時刻Tにおける特定波長の発光強度(a.u.)、In-1は、時刻TのΔt秒前の時刻Tn-1における特定波長の発光強度(a.u.)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
[3]前記発光強度の時間変化として、下記の(2)式で定義される発光強度移動平均変化率を算出し、算出される発光強度移動平均変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、上記[1]に記載の転炉の操業方法。
発光強度移動平均変化率=(In S-In-m S)/[(In S+In-m S)/2]……(2)
ここで、I は、加算数をSとし、時刻Tを基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、In-m は、加算数をSとし、時刻Tの(Δt×m)秒前の時刻Tn-mを基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、mは自然数、Sは移動平均の加算数(0以上の整数)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
[4]前記閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて決定する、上記[2]または上記[3]に記載の転炉の操業方法。
[5]前記閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて、機械学習によって決定する、上記[2]または上記[3]に記載の転炉の操業方法。
本発明によれば、溶銑の脱珪処理工程及び溶銑の脱珪脱燐処理工程のうちのいずれか一つの工程を含む転炉の操業方法において、脱珪反応の終了時点を的確に検知することができる。また、脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に、所定量の酸化性ガスを溶銑に供給した後に、脱珪処理工程を終了するので、脱珪処理工程の後に中間排滓工程が設けられた場合には、中間排滓工程における排滓率を向上させることができる。これにより、それに続く、脱燐処理工程におけるCaO系媒溶剤の使用量を削減することが可能となり、更に、脱珪処理工程及び脱燐処理工程における脱炭反応の進行を最小限に抑えることができるという効果も発揮される。また、脱珪脱燐処理工程においては、脱珪反応の終了時点と判定された時点から直ちに脱燐処理に必要な酸化性ガス供給速度に変更することができ、脱珪脱燐処理工程を効率的に行うことが実現される。
本発明を実施するうえで好適な転炉設備の構成を模式的に示す概略図である。 転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルのうちの610nmの波長の発光強度変化率と溶銑中の珪素濃度との関係を示すグラフである。 脱珪反応の終了時点と判定された時点から脱珪処理工程における酸素吹錬終了までに吹き込んだ酸素ガスの原単位と脱燐処理工程におけるスラグの塩基度との関係を示すグラフである。 脱珪反応の終了時点と判定された時点から脱珪処理工程における酸素吹錬終了までに吹き込んだ酸素ガスの原単位とΔP/ΔCとの関係を示すグラフである。 転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルのうちの610nmの波長の発光強度移動平均変化率と溶銑中の珪素濃度との関係を示すグラフである。 本発明の実施に好適な転炉設備を図1とは別の方向から見た概略図である。
本発明者らは、溶銑の脱珪反応が生じるだけの酸化性ガスを溶銑に供給して行う脱珪処理工程と、脱珪反応に引き続いて脱燐反応が生じる量の酸化性ガスを溶銑に供給して行う脱珪脱燐処理工程と、のうちのいずれか一つの工程を有する転炉の操業方法において、脱珪処理中に溶銑中の珪素濃度の変化をリアルタイムで監視し、脱珪反応の終了を溶銑中の珪素濃度に基づいて適切に判定することを目的として、また、脱珪処理工程の後に中間排滓工程が設けられた場合には、中間排滓工程の排滓率を向上させ、それに続く、脱燐処理工程におけるCaO系媒溶剤の使用量(添加量)を削減することを目的として、以下の試験及び検討を行った。ここで、脱珪脱燐処理とは、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを上吹きランスから供給して溶銑を酸化精錬することである。
特に、脱珪処理中の酸化性ガス供給量が、その後の中間排滓工程における排滓率及び脱燐処理工程におけるCaO系媒溶剤の使用量に及ぼす影響について検討した。尚、本発明は、中間排滓を前提としなくても、スラグフォーミングの防止、燐や炭素の溶銑からの過剰な除去防止、鋼中燐濃度的中率の向上などにも有効である。
この試験では、上吹きランスから酸化性ガスを吹き付けるとともに、炉底部の底吹き羽口から攪拌用ガスを吹き込むことができる転炉(容量300トン規模)を使用した。上吹きランスからの酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素ガス)を使用し、底吹き羽口からの攪拌用ガスとしては、アルゴンガスを使用した。尚、上吹きランスから酸化性ガスを炉内の溶銑に吹き付けて炉内の溶銑を酸化精錬することを、一般的に「酸素吹錬」と呼ぶ。
珪素を0.02質量%以上含有する溶銑を上記した転炉に装入し、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けて、転炉内の溶銑に、脱珪処理及び脱燐処理、並びに、脱珪脱燐処理を施した。脱珪処理と脱燐処理との間では、脱珪処理で生成したスラグの中間排滓を実施した。脱燐処理終了時及び脱珪脱燐処理終了時の溶銑中燐濃度の目標値は0.030質量%とした。
尚、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑に上吹きランスから酸素ガスなどの酸化性ガスを吹き付けると、脱珪反応(Si+2O→SiO)、脱燐反応(2P+5O→P)及び脱炭反応(C+O→CO)が起こる。これらの反応のなかで、熱力学的に脱珪反応が優先的に起こり、脱珪反応によって溶銑中珪素濃度が低下した後に、脱炭反応及び脱燐反応が起こる。したがって、脱珪処理中にも脱炭反応及び脱燐反応が起こり得る。
脱珪処理中、炉内のスラグの塩基度(=(質量%CaO)/(質量%SiO))を0.8~1.0の範囲内とし、脱珪処理開始から約5分間経過した時点で中間排滓を行った。その後、脱燐処理工程では、中間排滓工程での排滓率(排滓率(%)=(排出したスラグ量(kg))×100/(脱珪処理終了時の炉内スラグ量(kg)))が50%であると仮定した場合にスラグの塩基度が1.5となるように、脱燐処理におけるCaO系媒溶剤の使用量を設定し、設定した使用量のCaO系媒溶剤を炉内に添加して脱燐処理工程を継続して行った。
脱珪脱燐処理工程では、酸素吹錬開始から約5分間経過した時点で上吹きランスからの酸素ガス流量を脱燐処理に必要な流量に増加させ、所定量の酸化性ガスを供給した後に、脱珪脱燐処理工程を終了した。脱珪脱燐処理工程における炉内のスラグの塩基度は、脱珪脱燐処理工程の終了時点で1.5となるように、CaO系媒溶剤の使用量を設定した。
本発明者らは、転炉の炉内状況を適正に把握するために、転炉の炉口燃焼火炎に着目し、酸素吹錬にあたって、炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定することに思い至った。ここで「炉口燃焼火炎」とは、転炉の炉口から上方に設置された煙道に向かって吹き出る炉内の火炎を指す。
炉口燃焼火炎の発光スペクトルには、転炉内で脱炭反応によって発生するCOガスや、このCOガスの一部と転炉炉口部分で吸引される空気とが混合して起こる自然発火によって生成するCOガスに関する情報や、炉内の火点(火点とは、上吹きランスからの酸素ガスの溶銑浴面への衝突面である)から蒸発する鉄原子に由来するFeO*(中間生成物)に関する情報が含まれている。この発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、その波長ごとの発光強度をリアルタイムに測定できれば、転炉の炉内状況が、リアルタイムに容易に推定できることを、本発明者らは見出した。
尚、発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長は、FeO*(中間生成物)の生成及び消失に起因する「FeO orange system band」に相当し、炭化水素系ガスの中間生成物の波長域とは異なる。更に、FeO*の生成時には、この波長域で吸光ピークが認められ、一方、FeO*の消失時には、同じ波長域で発光ピークが認められ、このうち、発光強度がFeO*の消失速度に連動していることを、本発明者らは確認している。
ここで、監視しているのは、炉内溶銑浴の火点で主に生成するFeO*の電子状態が遷移するときに発せられる或いは吸収される、特定の波長の電磁波である。FeO*は炉内から立ちのぼる火炎と一体になっているので、例えば、脱珪反応が終了に近づいたときはFeO*の発生量及びFeO*の反応量が増えるので、この火炎の発光スペクトルを分光すれば、580~620nmの波長の電磁波の強度は増大する。逆に、FeO*の発生量及びFeO*の反応量が減れば、580~620nmの波長の電磁波の強度は減少する。
即ち、580~620nmの範囲の波長は、炭素によってFeOが還元される際に発生する還元光であり、該波長の発光強度は、FeOが励起状態(FeO*)から基底状態に変化する際の発光エネルギーの大きさを表すものである。脱珪処理末期に上記波長における発光強度が増加することから、分光強度の変化は脱珪反応終了に伴うFeOの生成・還元に対応すると考えられる。
そこで、上記した転炉の酸素吹錬中に、転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定した。転炉の炉口燃焼火炎の発光スペクトルの測定は、図1(図1の詳細説明は後述)に示すように、転炉2の正面に分光カメラ6を取り付け、炉口14と可動式フード15との隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影することによって行った。分光カメラ6により撮影された撮影画像を画像解析装置7に送信した。そして、画像解析装置7で画像を記録するとともに、入力された画像データの任意の走査線上を線分析し、発光波長の波長ごとの発光強度を解析した。尚、発光スペクトルの測定及び発光強度解析は、1~10秒の一定の測定時間間隔Δtで行った。また、発光スペクトルの測定と同時に、転炉に備えられたサブランス(自動測温サンプリング装置(図示せず))を用いて、酸素吹錬中に1~2回の頻度で炉内溶銑試料の採取、及び、炉内溶銑中の珪素濃度の分析を行った。
得られた発光スペクトルの測定結果から、酸素吹錬中に最も変化幅が大きかった610nmの波長を特定波長とし、この特定波長における、時刻Tの発光強度Iと、そのΔt秒前の時刻Tn-1の発光強度In-1とから、下記の(1)式で定義される発光強度変化率を求めた。測定時間間隔Δtは、1~10秒とした。
発光強度変化率=(In/In-1)-1……(1)
ここで、Iは、時刻Tにおける特定波長の発光強度(a.u.)、In-1は、時刻TのΔt秒前の時刻Tn-1における特定波長の発光強度(a.u.)である。
図2に、求めた発光強度変化率と溶銑中の珪素濃度との関係を示す。図2から、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%を境界として、発光強度変化率が大きく変化していることがわかる。つまり、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%未満では、発光強度変化率は1.8よりも増大することがわかる。溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%未満では、610nmの波長の発光強度が大きく、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%以上では、610nmの波長の発光は殆ど観測されない。これは、珪素を0.02質量%以上含有する溶銑の酸化精錬では、先ず、脱珪反応が起こり、その後、脱燐反応及び脱炭反応が起こることが公知であり、脱珪反応によって溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%未満になると、発光強度が大きくなることを示している。
図2から、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%未満となる時点、換言すれば、発光強度変化率が1.8超えとなった時点が、脱珪処理工程において溶銑が含有していた珪素のほとんどがスラグ中にSiOとして移動した時点であること、即ち、脱珪反応の終了時点であることを、本発明者らは知見した。つまり、発光強度変化率の「閾値」を1.8とし、発光強度変化率が1.8超えとなった時点以降に中間排滓を行うことで、溶銑中の珪素の大部分をスラグとして排出できることを知見した。尚、発光強度変化率の「閾値」は、1.8に限るわけではなく、それぞれの転炉毎に予め決定される。
また、図3に、発光強度変化率に基づいて脱珪反応の終了時点と判定された時点から脱珪処理工程における酸素吹錬終了までに、上吹きランスから更に吹き込んだ酸素ガスの原単位と脱燐処理工程におけるスラグの塩基度との関係の調査結果を示す。各試験において、中間排滓工程における排滓率が50%であると仮定して、脱燐処理工程のスラグの塩基度が1.5になるようにCaO系媒溶剤の使用量を調整しているので、図3において、脱燐処理工程におけるスラグの塩基度が1.5よりも高い試験では、中間排滓工程における排滓率が50%を超える高い数値であることを示している。
図3に示すように、脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に0.9~1.6Nm/溶銑-tの酸素ガスを上吹きランスから供給し、0.9~1.6Nm/溶銑-tの所定量の酸素ガスの供給完了後、上吹きランスからの酸素ガスの供給を停止し、脱珪処理工程を終了して中間排滓工程に移行することで、中間排滓工程における排滓率が向上し、脱燐処理工程におけるスラグの塩基度が高くなることを、本発明者らは知見した。尚、図3において、横軸の酸素ガスの原単位がゼロ(=0)の試験は、酸素吹錬を、脱珪反応の終了時点と判定された時点で終了した試験である。
ここで、脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に0.9~1.6Nm/溶銑-tの酸素ガスを上吹きランスから供給すると排滓率が上昇する理由は、脱珪反応の終了時点以降に供給された酸素ガスによって溶銑中のFeが酸化され、脱珪処理終了時のスラグ中のFeO濃度が上昇し、スラグの粘性が低下して排出しやすくなったと考えられる。
脱燐処理された溶銑は、その後、脱燐処理が施された転炉に残留され、または、別の転炉に装入されて脱炭処理が施され、溶銑から溶鋼が製造される。脱燐処理された溶銑を転炉で脱炭処理する場合、脱燐処理終了時の溶銑の炭素含有量が多いほど、脱炭処理において炭素の酸化による発熱量が多くなり、脱炭処理を効率的に行うことが可能となる。つまり、脱燐処理後に行う脱炭処理を効率的に行うためには、脱燐処理終了時の溶銑の炭素濃度が高いことが望まれる。
図4に、発光強度変化率に基づいて脱珪反応の終了時点と判定された時点から脱珪処理工程における酸素吹錬終了までに、上吹きランスから吹き込んだ酸素ガスの原単位と、脱珪処理工程及び脱燐処理工程の2工程における脱燐量(ΔP(質量%))と脱炭量(ΔC(質量%))との比(=ΔP/ΔC(-))と、の関係の調査結果を示す。図4に示すように、脱炭量を抑制しつつ脱燐量を確保するためには、脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸素ガスを上吹きランスから供給した時点で、酸素吹錬を停止して脱珪処理工程を終了し、中間排滓工程に移行することが最適であることを、本発明者らは知見した。
本発明者らは更なる検討を行い、実際の酸素吹錬においては、発光強度スペクトル測定の光路に、クレーンや煙の障害物が侵入する場合があり、その場合には、測定される、(1)で定義した発光強度変化率が、設定した閾値(1.8)を超えて、誤検知することがわかった。このようなことから、(1)式のように、或る時刻Tと、そのΔt秒前の時刻Tn-1における発光強度との比較(瞬時値の比較)だけでは、正確な判定ができない場合があることを、本発明者らは知見した。
そこで、本発明者らは、時刻Tを基準として、時刻Tと、時刻Tから(Δt×1)秒前の時刻Tn-1と、時刻Tから(Δt×2)秒前の時刻Tn-2と、時刻Tから(Δt×3)秒前の時刻Tn-3と、・・・、時刻Tから(Δt×S)秒前(Sは0以上の整数)の時刻Tn-Sとで、それぞれ発光強度を求め、得られた各発光強度の合計量(和)、即ち発光強度の移動平均を利用して発光強度の時間変化を求めることに思い至った。このような発光強度の移動平均を利用すれば、発光強度のバラツキを或る程度平均化でき、したがって、発光強度の時間変化のバラツキが小さくなり、より正確な判定を行うことができることに想到した。
上記した発光スペクトルの測定結果から、酸素吹錬中に最も変化幅が大きかった610nmの波長を特定波長とした。そして、時刻Tを基準とし、時刻Tn-iでの特定波長の発光強度In-iを、時刻Tと、時刻Tから(Δt×1)秒前の時刻Tn-1と、時刻Tから(Δt×2)秒前の時刻Tn-2と、・・・、時刻Tから(Δt×S)秒前の時刻Tn-Sとで、合計(S+1)回について求めた。そして、それらを合計(和)し、時刻Tを基準とする発光強度の移動平均を、下記の(4)式を用いて算出した。尚、In-iは、時刻Tの(Δt×i)秒前の時刻Tn-iにおける特定波長の発光強度(a.u.)である。
Figure 0007052716000001
また、時刻Tの(Δt×m)秒前の時刻Tn-mを基準とし、同様に、時刻Tn-m-iでの特定波長の発光強度In-m-iを、時刻Tn-mと、時刻Tn-mから(Δt×1)秒前の時刻Tn-m-1と、時刻Tn-mから(Δt×2)秒前の時刻Tn-m-2と、・・・、時刻Tn-mから(Δt×S)秒前(Sは0以上の整数)の時刻Tn-m-Sとで、合計(S+1)回について求めた。そして、それらを合計(和)し、時刻Tn-mを基準とする発光強度の移動平均を、下記の(5)式を用いて算出した。尚、In-m-iは、時刻Tの(Δt×m)秒前の時刻Tn-mから(Δt×i)秒前の時刻Tn-m-iにおける特定波長の発光強度(a.u.)である。
Figure 0007052716000002
得られた時刻Tを基準とする発光強度の移動平均、及び、得られた時刻Tn-mを基準とする発光強度の移動平均から、下記の(2)式で定義される、特定波長の発光強度移動平均変化率を求めた。
発光強度移動平均変化率=(In S-In-m S)/[(In S+In-m S)/2]……(2)
ここで、I は、加算数をSとし、時刻Tを基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、In-m は、加算数をSとし、時刻Tの(Δt×m)秒前の時刻Tn-mを基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、mは自然数、Sは移動平均の加算数(0以上の整数)、Δtは測定時間間隔(s)である。
図5に、求めた発光強度移動平均変化率と脱珪処理工程における溶銑中の珪素濃度との関係を示す。尚、ここでは、測定時間間隔Δtは1秒、自然数m及び移動平均の加算数Sは20とした。
図5から、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量%未満となる時点を境界として、(2)式で算出される発光強度移動平均変化率が大きく変化していることがわかる。即ち、発光強度移動平均変化率が0.4超えとなった時点が、脱珪処理工程において溶銑が含有していた珪素のほとんどがスラグ中にSiOとして移動した時点であること、即ち、脱珪反応の終了時点であることを、本発明者らは知見した。つまり、発光強度移動平均変化率の「閾値」を0.4とし、発光強度移動平均変化率が0.4超えとなった時点以降に中間排滓を行うことで、溶銑中の珪素の大部分をスラグとして排出できることを知見した。尚、発光強度移動平均変化率の「閾値」は、0.4に限るわけではなく、それぞれの転炉毎に予め決定される。
発光スペクトルの測定光路が、クレーンの移動、煙の発生などによって遮断された場合には、(1)式(瞬時値の比較)を用いた発光強度変化率では、発光強度変化率が低くなり、所定の条件(予め設定された閾値超え)を満足したと判定されることがある。これに対して、(2)式の移動平均を用いて算出された発光強度移動平均変化率では、そのようなトラブルがあっても平均化されるために、測定値の変化は安定している。
このため、移動平均を用いて算出された発光強度移動平均変化率を用いれば、溶銑中の珪素濃度が約0.02質量未満となる時点、即ち、発光強度移動平均変化率が閾値超えとなる時点のバラツキが少なく、安定して脱珪反応の終了時点を判定できることを、本発明者らは知見した。
ところで、転炉には、精錬した後の炉内の溶銑及び溶鋼を溶銑保持容器または溶鋼保持容器に排出するための出鋼口が設けられており、通常、出鋼口は開口しているので、出鋼口からも炉内の火炎が観察される。本明細書では、この火炎を「出鋼口燃焼火炎」と称す。つまり、出鋼口を通して観測される出鋼口燃焼火炎或いは出鋼口で観察される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定することで、上記の炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定した場合と同様に、転炉の炉内状況を把握することができる。
本発明に係る転炉の操業方法は、上記知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。以下、本発明に係る転炉の操業方法の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図1に、本発明を実施するうえで好適な転炉設備の構成の概略を模式的に示す。
本発明を実施するうえで好適な転炉設備1は、転炉2と、上吹きランス3と、転炉2の正面に配設され、炉口燃焼火炎12を撮影可能とする分光カメラ6と、該分光カメラ6で撮影された撮影画像を取り出し可能に記録し、該撮影画像を解析する画像解析装置7と、該画像解析装置7で解析されたデータに基づき、制御信号を発信する制御用計算機8と、を有する。更に、制御用計算機8から発信された制御信号により、個別に作動可能に構成される、上吹きランス3のランス高さを調整するためのランス高さ制御装置9、上吹きランス3から噴射する酸化性ガスの流量を調整するための酸化性ガス流量制御装置10、及び、底吹き羽口4から吹き込む攪拌用ガスの流量を調整するための底吹きガス流量制御装置11を有する。
使用する転炉2は、上吹きランス3から、炉内の溶銑5に向けて酸化性ガス噴流13を噴射すると同時に、炉底部の底吹き羽口4から、攪拌用ガスを吹き込むことができる構成とする。そして、転炉2の正面には、転炉の炉口燃焼火炎12の発光スペクトルを測定できる分光カメラ6が取り付けられる。取り付けられた分光カメラ6により、転炉の炉口14と可動式フード15との隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影する。該分光カメラ6により撮影された撮影画像(画像データ)は、逐次、画像解析装置7に送信される。画像解析装置7では、送られた撮影画像(画像データ)を記録するとともに、画像データの任意の走査線上を線分析して、発光波長及び波長ごとの発光強度を解析する。
解析された炉口燃焼火炎12の画像データは、その都度、制御用計算機8に送信される。制御用計算機8は、入力された、解析された画像データに基づき、ランス高さ制御装置9、酸化性ガス流量制御装置10及び底吹きガス流量制御装置11を、個別或いは同時に作動させる制御信号を発信するように構成されている。図1中の符号16は、上吹きランスへの酸化性ガス供給管、17は、上吹きランスへの冷却水供給管、18は、上吹きランスからの冷却水排出管である。
本発明に係る転炉の操業方法では、上記した転炉設備1を用いて、溶銑の脱珪反応が生じるだけの酸化性ガスを溶銑に供給して行う脱珪処理工程と、脱珪反応に引き続いて脱燐反応が生じる量の酸化性ガスを溶銑に供給して行う脱珪脱燐処理工程と、のうちのいずれか一つの工程を含む転炉操業方法を実施する。尚、脱珪処理工程及び脱珪脱燐処理工程に供する溶銑5は、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑とする。
脱珪処理工程及び脱珪脱燐処理工程では、転炉2に収容された溶銑5に、上吹きランス3から酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口4から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑5を脱珪処理する。脱珪脱燐処理工程では、脱珪反応が終了した後も酸化性ガスを供給して脱燐処理を実施する。
脱珪処理工程においては、脱珪処理終了時の炉内のスラグの塩基度が0.5~1.2の範囲になるように、CaO系媒溶剤の使用量を調整する。脱珪処理工程の後、通常、中間排滓工程に移行する。中間排滓工程では、脱珪処理工程で生成したスラグの少なくとも一部を転炉から排出する。中間排滓工程の後、転炉にCaO系媒溶剤を添加し、脱燐処理工程を実施する。
この脱燐処理工程では、転炉2に収容された溶銑5に、上吹きランス3から酸化性ガスを吹き付けて、或いは、更に底吹き羽口4から酸化性ガスまたは不活性ガスを吹き込んで、溶銑5を脱燐処理する。脱燐処理工程においては、脱燐処理終了時の炉内のスラグの塩基度が1.2~3.5の範囲になるように、CaO系媒溶剤の使用量を調整する。
脱珪脱燐処理工程では、脱珪脱燐処理終了時の炉内のスラグの塩基度が1.2~3.5の範囲になるように、CaO系媒溶剤の使用量を調整する。但し、脱珪反応が終了するまでの期間は、スラグの塩基度を0.5~1.2の範囲に制御してもよい。
脱珪処理工程に続いて行う脱燐処理工程及び脱珪脱燐処理工程の後は、炉内のスラグを排滓し、炉内に残留させた溶銑を脱炭処理(仕上げ脱燐処理を含む)してもよく、また、精錬後の炉内の溶銑を出鋼口を介して出湯し、出湯した溶銑を別の転炉に装入し、その転炉で脱炭処理(仕上げ脱燐処理を含む)してもよい。
本発明では、分光カメラ6で炉口燃焼火炎12を撮影し、得られた発光スペクトルを解析して、リアルタイムで転炉2における酸素吹錬中の炉内状況を監視する。尚、分光カメラ6による炉口燃焼火炎12の撮影、発光スペクトルの解析は、測定時間間隔Δtを1~10秒の間隔で行うことが、生産性の向上及び鉄歩留まりの向上の観点から好ましい。
撮影して得られた発光スペクトルを、画像解析装置7に取り出し可能に記録する。そして、画像解析装置7では、得られた炉口燃焼火炎12の発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、発光波長の特定と、波長ごとの発光強度を算出する解析とを行う。尚、580~620nmの範囲の波長は、前述したように、FeO*(中間生成物)の生成と消失に起因するFeO orange system bandに相当し、FeO*の生成時には、この波長域で吸光ピークが認められ、一方、FeO*の消失時には、同じ波長域で発光ピークが認められ、そのうちの発光強度がFeO*の消失速度に連動していることを、本発明者らは確認している。つまり、580~620nmの範囲の波長は、転炉内での反応を反映し、転炉の炉内状況を容易に推定する手掛かりになることから、測定の対象とした。また、発光強度は、FeOが励起状態(FeO*)から基底状態に変化する際の発光エネルギーの大きさを表すものである。
そして本発明では、得られた波長ごとの発光強度の時間変化を算出し、該発光強度の時間変化から、炉内状況の変化を推定し、転炉操業の監視に利用する。具体的には、炉口燃焼火炎12を撮影して得られた発光スペクトルの発光強度の時間変化として、(1)式で示す特定波長の発光強度変化率、または、(2)式で示す特定波長の発光強度移動平均変化率を算出して利用する。
尚、発光強度変化率及び発光強度移動平均変化率の算出に使用する特定波長は、580~620nmの範囲の波長のうち、酸素吹錬中の発光強度の変化量が最も大きい波長を予め測定して決定するか、または、当該酸素吹錬中に当該波長域内の複数の波長を監視して、発光強度の変化量が最も大きい波長を、その都度決定する。
本発明に係る転炉の操業方法では、測定した発光スペクトルの580~620nmの範囲の特定波長について、発光強度の時間変化を算出し、脱珪処理工程及び脱珪脱燐処理工程において、上吹きランスからの酸化性ガスの吹き付けを開始した後、つまり、酸素吹錬を開始した後に、上記(1)式で定義される発光強度変化率が予め設定した閾値(例えば、1.8)を超えた時点、または、上記(2)式で定義される発光強度移動平均変化率が予め設定した閾値(例えば、0.4)を超えた時点を、脱珪反応が終了した時点と判定する。
そして、脱珪処理工程では、脱珪反応が終了したと判定された時点から、更に、上吹きランスを介して酸素原単位として0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸素性ガスを供給し、その後、脱珪処理工程を終了して中間排滓工程に移行する。中間排滓工程後、炉内にCaO系媒溶剤を投入し、炉内に残留させた溶銑の脱燐処理工程を実施する。
脱珪脱燐処理工程では、脱珪反応が終了したと判定された時点を境に、上吹きランスからの酸化性ガスの供給速度を、脱燐反応に必要な供給速度に増加させる。つまり、発光強度移動平均変化率が予め設定された閾値を超えた時点で、直ちに、上吹きランスからの酸化性ガスの供給速度を、脱燐反応に必要な供給速度に増加させる。その後、所定量の酸化性ガスを供給したなら、脱珪脱燐処理工程を終了する。
ここで、本発明における「予め設定された閾値」とは、各転炉ごとに、予備試験を実施し、予め求められた、溶銑中の珪素濃度がおよそ0.02質量%未満となる発光強度変化率及び発光強度移動平均変化率をいう。
上吹きランス3から吹き付ける酸化性ガスとしては、酸素ガスが一般的であるが、酸素ガスと、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの希ガス、窒素ガスとの混合ガス、空気、酸素富化空気などを用いることができる。尚、ここでいう「酸化性ガス」とは、酸素濃度が空気と同等或いはそれ以上である酸素含有ガスである。また、底吹き羽口4から吹き込むガスは、不活性ガスまたは酸化性ガスであり、酸化性ガスを吹き込む場合は、酸化精錬用の酸化性ガスとして機能するとともに、攪拌用ガスとしても機能する。
また、CaO系媒溶剤としては、生石灰、石灰石、消石灰、ドロマイトとなどが、好適である。脱珪処理工程及び脱燐処理工程の場合には、脱炭スラグ(脱炭処理で生成するスラグ)もCaO系媒溶剤として使用できる。
上記説明は、炉口燃焼火炎12を撮影して、転炉2における酸素吹錬中の炉内状況をリアルタイムで監視する場合を例としているが、転炉2の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定することで、同様に、転炉2における酸素吹錬中の炉内状況をリアルタイムで監視することができる。
図6に、図1に示す転炉2を図1とは別の方向(図1とは直交する方向)から見た概略図を示す。図6に示すように、外殻を鉄皮21とし、鉄皮21の内側に耐火物22が施工された転炉2には、片側の側壁の耐火物22を貫通する出鋼口19が設置されている。転炉2を傾動することで、酸化精錬された炉内の溶銑を溶銑保持容器(図示せず)に出湯するように構成されている。
酸素吹錬中、転炉2の炉内圧は大気圧よりもわずかに低くなるように制御されており、出鋼口19から空気が炉内に進入し、出鋼口燃焼火炎20は出鋼口19からは噴出しない。したがって、この場合には、出鋼口燃焼火炎20の発光スペクトルを、出鋼口19を通して、分光カメラで測定することで、炉口燃焼火炎12を測定した場合と同様に、転炉2における酸素吹錬中の炉内状況をリアルタイムで監視することができる。
転炉2の炉内圧が大気圧よりもわずかに高くなるように制御した場合には、出鋼口燃焼火炎20が出鋼口19から炉外側に噴出し、出鋼口燃焼火炎20の測定が容易になる。図6中の符号23はスラグである。
また、炉口燃焼火炎12のスペクトル解析による炉内状況の判定では、クレーンの通過や炉口への地金の堆積などによる視野の遮蔽などの状況の変化により誤検知となる場合がある。このため、前述した「予め設定された閾値」を、各チャージの転炉操業ごとに変化させることが望ましい。
具体的には、発光強度変化率の閾値及び発光強度移動平均変化率の閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて決定することが好ましい。
また、発光強度変化率の閾値及び発光強度移動平均変化率の閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて、機械学習によって決定することがより好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、脱珪処理工程または脱珪脱燐処理工程のうちのいずれか一つの工程を含む転炉の操業方法において、脱珪反応の終了時点を的確に検知することが実現される。また、脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に、所定量の酸化性ガスを溶銑に供給した後に脱珪処理工程を終了するので、脱珪処理工程の後に中間排滓工程が設けられた場合には、中間排滓工程における排滓率を向上させることができる。これにより、それに続く、脱燐処理工程におけるCaO系媒溶剤の使用量を削減することが可能となり、更に、脱珪処理工程及び脱燐処理工程における脱炭反応の進行を最小限に抑えることができるという効果も発揮される。
また、脱珪脱燐処理工程においては、脱珪反応の終了時点と判定された時点から直ちに脱燐処理に必要な酸化性ガス供給速度に変更することができ、脱珪脱燐処理工程を効率的に行うことが実現される。
以下、実施例に基づき、更に、本発明について説明する。
[実施例1]
図1に示す転炉2と同様の形式を有する、容量300トンの上底吹き転炉(酸素ガス上吹き、アルゴンガス底吹き)を用いて、溶銑5を酸化精錬して、溶銑5の脱珪処理、脱燐処理及び脱炭処理を行った。脱珪処理と脱燐処理との間、及び、脱燐処理と脱炭処理との間では、中間排滓工程として、炉内のスラグの少なくとも一部を炉外に排出させた。
先ず、転炉内に鉄スクラップを装入したのち、予め脱硫処理を施した、温度が1200~1280℃の300トンの溶銑を転炉に装入した。次いで、底吹き羽口4から、攪拌用ガスとしてアルゴンガスを溶銑中に吹き込みながら、上吹きランスから、酸化性ガスとして酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付け、溶銑の脱珪処理を開始した。尚、鉄スクラップの装入量は、脱燐処理終了後の溶鋼温度が1360℃となるように調整した。
脱珪処理工程では、炉内のスラグの塩基度(=(質量%CaO)/(質量%SiO))が0.8~1.0の範囲内になるように、酸素吹錬前及び/または酸素吹錬中に炉上ホッパー(図示せず)から、CaO系媒溶剤として生石灰を投入した。脱燐処理工程では、脱珪処理後の中間排滓工程での排滓率が50%であると仮定した場合にスラグの塩基度が1.5となるようにCaO系媒溶剤(生石灰)の使用量を設定した。
脱珪処理中に、所定の測定時間間隔Δt;1~10秒で、連続的に、転炉2のほぼ正面に設置した分光カメラ6により、転炉2の炉口と可動式フードとの隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影した。得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、得られた発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度Iを算出する解析を行った。使用した波長(特定波長)は610nmとした。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
得られた各時点における特定波長の発光強度を用いて、発光強度の時間変化として、上記(1)式で定義される発光強度変化率を算出し、各時点における転炉内の炉内状況の指標とし、転炉の操業を監視した(本発明例1)。本発明例1では、「予め設定された閾値」としては、1.8を採用した。
そして、得られた発光強度変化率が、上吹きランスからの酸素ガスの吹き付けを開始した後、閾値の1.8を超えた時点を脱珪反応の終了時点と判定し、脱珪反応の終了と判定した時点から、更に1.0Nm/溶銑-tの酸素ガスを供給した時点で脱珪処理を終了し、次工程の中間排滓工程へ移行する操業、つまり、本発明例1を100チャージ実施した。
また、得られた撮影画像から、上記(2)式で、移動平均の加算数S=30、自然数m=30とする計算式を用いて発光強度移動平均変化率を求め、求めた発光強度移動平均変化率を各時点における転炉内の炉内状況の指標として転炉の操業を監視した(本発明例2)。本発明例2では、「予め設定された閾値」としては、0.4を採用した。
そして、得られた発光強度移動平均変化率が、上吹きランスからの酸素ガスの吹き付けを開始した後、閾値の0.4を超えた時点を脱珪反応の終了時点と判定し、脱珪反応の終了と判定した時点から、更に1.0Nm/溶銑-tの酸素ガスを供給した時点で脱珪処理を終了し、次工程の中間排滓工程へ移行する操業、つまり、本発明例2を100チャージ実施した。
尚、比較例として、(1)式で定義される発光強度変化率及び(2)式で定義される発光強度移動平均変化率に関係なく、既存のプロセスコンピューターによる熱物質計算に基づき、溶銑中珪素濃度が0.02質量%と推定された時点で脱珪処理を終了し、次工程の中間排滓工程へ移行する操業を100チャージ実施した。
表1に、本発明例1、本発明例2及び比較例における脱珪処理工程、中間排滓工程及び脱燐処理工程の操業結果を示す。
Figure 0007052716000003
本発明例1及び本発明例2は、比較例に比べて、中間排滓工程での排滓率が高く、且つ、脱燐処理後の溶銑中燐濃度のバラツキが小さく、脱燐処理を効率的に実施できることが確認できた。尚、本発明例1及び本発明例2と比較例とで、処理時間はほぼ同じであった。
[実施例2]
実施例1と同じ転炉設備(上底吹き転炉)を用いて、実施例1と同様に、溶銑5の脱珪処理、脱燐処理及び脱炭処理を行った。脱珪処理と脱燐処理との間、及び、脱燐処理と脱炭処理との間では、中間排滓工程として、炉内のスラグの少なくとも一部を炉外に排出させた。
脱珪処理工程の酸素吹錬中に、実施例1と同様に、測定時間間隔Δtを1秒として、連続的に分光カメラ6により、転炉2の炉口と可動式フードとの隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影し、得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、記録した。
そして、オフラインで、得られた画像データの解析を実施した。解析では、得られた発光スペクトル(画像データ)のうち、580~620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度Iを算出する解析を行った。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
更に、特定波長を610nmに決定し、得られた各時点における該特定波長の発光強度を用いて、発光強度の時間変化として、(2)式で定義される発光強度移動平均変化率を、移動平均の加算数Sが、0(瞬時値)、10、30の3種とし、且つ、自然数mが、1、10、30、60の4種とした場合の合計6水準について、それぞれ算出した。そして、得られた発光強度移動平均変化率が「予め設定された閾値=0.4」を超えた時点を、それぞれの酸素吹錬における「脱珪反応終了ポイント」として特定した。
一方、得られた発光スペクトル(画像データ)のトレンドグラフから、手動解析によって「脱珪反応終了ポイント」を特定した。手動解析では、クレーンなどの遮蔽物が存在する場合などの明らかなノイズは除外し、転炉排ガスのトレンドなどから類推される酸素吹錬状況を総合的に判断し、「脱珪反応終了ポイント(適正検知のタイミング)」を特定した。
そして、(2)式で定義される発光強度移動平均変化率から特定された「脱珪反応終了ポイント(本発明による終了ポイント)」と、手動解析によって特定された「脱珪反応終了ポイント(適正検知のタイミング)」とを比較した。手動解析によって特定された「脱珪反応終了ポイント(適正検知のタイミング)」と、「本発明による終了ポイント」とが合致した場合を「適正検知」とした。
手動解析により特定された「脱珪反応終了ポイント(適正検知のタイミング)」に対して、「本発明による終了ポイント」が早い場合を「過検知」とし、遅い場合を「未検知」とした。尚、「未検知」には、(2)式で定義される発光強度移動平均変化率が「予め設定された閾値超え」とならず、「脱珪反応終了ポイント」を特定できない場合が含まれている。
移動平均の加算数Sごとに比較した結果を、全チャージに対する割合(%)で、表2に示す。
Figure 0007052716000004
表2に示すように、(2)式で定義される発光強度移動平均変化率の算出において、移動平均の加算数Sを0(瞬時値)とした場合には、移動平均の加算数Sを10、30とした移動平均を利用した場合に比べて、「過検知」の割合(%)が高くなっていた。また、(2)式における自然数mが移動平均の加算数Sよりも大きい場合には、「未検知」の割合(%)が高くなっていた。
このことから、(2)式で定義される発光強度移動平均変化率の算出においては、(2)式における自然数mは移動平均の加算数S以下の値とすることが、「脱珪反応終了ポイント」の適正検知という観点からも好ましいことがわかった。
[実施例3]
実施例1と同じ転炉設備(上底吹き転炉)を用いて、実施例1と同様に、溶銑5の脱珪処理、脱燐処理及び脱炭処理を行った。脱珪処理と脱燐処理との間、及び、脱燐処理と脱炭処理との間では、中間排滓工程として、炉内のスラグの少なくとも一部を炉外に排出させた。
脱珪処理中に、実施例1と同様に、測定時間間隔Δtを1秒として、連続的に分光カメラ6により、転炉2の炉口と可動式フードとの隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影した。得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、得られた発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度Iを算出する解析を行った。使用した波長(特定波長)は610nmとした。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
得られた撮影画像から、上記(2)式で、移動平均の加算数S=30、自然数m=30とする計算式を用いて発光強度移動平均変化率を求め、求めた発光強度移動平均変化率を各時点における転炉内の炉内状況の指標として転炉の操業を監視した。
脱珪反応の終了時点と判定する閾値に関しては、酸素吹錬中の酸素ガス流量の平均値の大小を基に、実施例1に記載する本発明例2の操業データを4区分に分け、それぞれの区分の閾値を決定した。つまり、酸素ガス流量の平均値の大小に基づいて、(2)式の発光強度移動平均変化率の閾値を4種に設定した。
そして、実際の操業においては、酸素ガス流量の平均を逐次演算し、酸素ガス流量の平均によって定まる、前記4種のうちの1つの閾値を用い、このようにして設定した閾値を発光強度移動平均変化率が超えた時点を、脱珪反応の終了時点として操業を行った。
このようにして(2)式による発光強度移動平均変化率の閾値を決定することで、中間排滓工程での排滓率は、本発明例2と同等またはそれ以上になり、その後の脱燐処理を効率的に実施できることが確認できた。
[実施例4]
炉口燃焼火炎12のスペクトル解析による炉内状況の判定では、前述の通り、クレーンの通過や炉口への地金の堆積などによる視野の遮蔽などの状況の変化により誤検知となる場合がある。このため、前述した「予め設定された閾値」も、各チャージの転炉操業ごとに変化させることが望ましい。
そこで、炉口燃焼火炎12のスペクトル解析を行った2000チャージについて、サブランスによる測定値(炭素濃度、温度)、排ガス情報などから算出した脱炭酸素効率、スラグ成分、鉄歩留まりなどを基に、スペクトル解析で判定すべき時期を、各酸素吹錬ごとにオフライン解析して求め、(2)式の閾値を各酸素吹錬ごとに決定した。
更に、上記の2000チャージのオフライン解析データを教師データとして、ニューラルネットワーク型の機械学習を行った。入力データは、溶銑質量、鉄スクラップ質量、脱珪処理前の溶銑温度、副原料投入量、吹錬進行度ごとの送酸速度(上吹きランスからの酸素ガス供給速度)、底吹き流量、ランス高さ、排ガス流量、排ガス組成、可動式フード高さなどの30項目とし、隠れ層は5層とした。
上記のようにして機械学習した、スペクトル解析による判定の閾値の決定方法を用いて、実施例1と同じ転炉設備(上底吹き転炉)を用いて、実施例1と同様に、溶銑5の脱珪処理、脱燐処理及び脱炭処理を行った。脱珪処理と脱燐処理との間、及び、脱燐処理と脱炭処理との間では、炉内のスラグの少なくとも一部を炉外に排出させた。
脱珪処理中に、実施例1と同様に、測定時間間隔Δtを1秒として、連続的に分光カメラ6により、転炉2の炉口と可動式フードとの隙間から見える炉口燃焼火炎12を撮影した。得られた撮影画像から、画像解析装置7で、発光スペクトル(画像データ)を測定し、得られた発光スペクトルのうち、580~620nmの範囲の波長について、各時点における発光波長の特定と、波長ごとの発光強度Iを算出する解析を行った。使用した波長(特定波長)は610nmとした。解析は、画像データの任意の走査線上を線分析して行った。
得られた撮影画像から、上記(2)式で、移動平均の加算数S=30、自然数m=30とする計算式を用いて発光強度移動平均変化率を求め、求めた発光強度移動平均変化率を各時点における転炉内の炉内状況の指標として転炉の操業を監視した。
そして、測定される発光強度移動平均変化率が、上吹きランスからの酸素ガスの吹き付けを開始した後、機械学習により得られた閾値を超えた時点を脱珪反応の終了時点と判定し、脱珪反応の終了と判定した時点から、更に1.0Nm/溶銑-tの酸素ガスを供給した時点で脱珪処理を終了し、次工程の中間排滓工程へ移行する操業(本発明例3)を100チャージ実施した。
表3に、本発明例3における脱珪処理工程、中間排滓工程及び脱燐処理工程の操業結果を示す。尚、表3には、実施例1で説明した本発明例1、本発明例2及び比較例における脱珪処理工程、中間排滓工程及び脱燐処理工程の操業結果も比較のために併記している。
Figure 0007052716000005
表3に示すように、本発明例3は、本発明例1及び本発明例2に比べて、中間排滓工程での排滓率が更に高く、脱燐処理を効率的に実施できることが確認できた。尚、本発明例3と、本発明例1、本発明例2及び比較例とで、処理時間はほぼ同じであった。
1 転炉設備
2 転炉
3 上吹きランス
4 底吹き羽口
5 溶銑
6 分光カメラ
7 画像解析装置
8 制御用計算機
9 ランス高さ制御装置
10 酸化性ガス流量制御装置
11 底吹きガス流量制御装置
12 炉口燃焼火炎
13 酸化性ガス噴流
14 炉口
15 可動式フード
16 上吹きランスへの酸化性ガス供給管
17 上吹きランスへの冷却水供給管
18 上吹きランスからの冷却水排出管
19 出鋼口
20 出鋼口燃焼火炎
21 鉄皮
22 耐火物
23 スラグ

Claims (8)

  1. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、
    転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程と、
    のうちのいずれか一つの処理工程を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪処理工程または前記脱珪脱燐処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、発光強度スペクトル測定の光路に、クレーンや煙の障害物が侵入することが無い場合には、下記の(1)式で定義される発光強度変化率を算出し、算出される発光強度変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度変化率=(I n /I n-1 )-1……(1)
    ここで、I は、時刻T における特定波長の発光強度(a.u.)、I n-1 は、時刻T のΔt秒前の時刻T n-1 における特定波長の発光強度(a.u.)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  2. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、
    転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程と、
    のうちのいずれか一つの処理工程を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪処理工程または前記脱珪脱燐処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、下記の(2)式で定義される発光強度移動平均変化率を算出し、算出される発光強度移動平均変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度移動平均変化率=(I n S -I n-m S )/[(I n S +I n-m S )/2]……(2)
    ここで、I は、加算数をSとし、時刻T を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、I n-m は、加算数をSとし、時刻T の(Δt×m)秒前の時刻T n-m を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、mは自然数、Sは移動平均の加算数(0以上の整数)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  3. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、当該脱珪処理工程後に中間排滓工程と、を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定し、
    脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に、0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸化性ガスを前記上吹きランスを介して溶銑に供給し、
    0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸化性ガスを供給した後に前記脱珪処理工程を終了するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、発光強度スペクトル測定の光路に、クレーンや煙の障害物が侵入することが無い場合には、下記の(1)式で定義される発光強度変化率を算出し、算出される発光強度変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度変化率=(I n /I n-1 )-1……(1)
    ここで、I は、時刻T における特定波長の発光強度(a.u.)、I n-1 は、時刻T のΔt秒前の時刻T n-1 における特定波長の発光強度(a.u.)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  4. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じるだけの量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪処理工程と、当該脱珪処理工程後に中間排滓工程と、を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定し、
    脱珪反応の終了時点と判定された時点から、更に、0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸化性ガスを前記上吹きランスを介して溶銑に供給し、
    0.9~1.2Nm/溶銑-tの酸化性ガスを供給した後に前記脱珪処理工程を終了するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、下記の(2)式で定義される発光強度移動平均変化率を算出し、算出される発光強度移動平均変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度移動平均変化率=(I n S -I n-m S )/[(I n S +I n-m S )/2]……(2)
    ここで、I は、加算数をSとし、時刻T を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、I n-m は、加算数をSとし、時刻T の(Δt×m)秒前の時刻T n-m を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、mは自然数、Sは移動平均の加算数(0以上の整数)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  5. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪脱燐処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定し、
    脱珪反応の終了時点と判定された時点で、前記上吹きランスからの酸化性ガスの供給速度を脱燐反応に必要な供給速度に増加させ、
    所定量の酸化性ガスを供給した後に脱珪脱燐処理工程を終了するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、発光強度スペクトル測定の光路に、クレーンや煙の障害物が侵入することが無い場合には、下記の(1)式で定義される発光強度変化率を算出し、算出される発光強度変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度変化率=(I n /I n-1 )-1……(1)
    ここで、I は、時刻T における特定波長の発光強度(a.u.)、I n-1 は、時刻T のΔt秒前の時刻T n-1 における特定波長の発光強度(a.u.)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  6. 転炉に収容された、0.02質量%以上の珪素を含有する溶銑を用いて、上吹きランスから、溶銑の脱珪反応が生じ、且つ、脱珪反応に引き続き脱燐反応も生じる量の酸化性ガスを供給して溶銑を処理する脱珪脱燐処理工程を含む転炉の操業方法であって、
    前記脱珪脱燐処理工程で、前記転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルまたは前記転炉の出鋼口から観測される出鋼口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、
    測定される発光スペクトルの580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、
    算出された発光強度の時間変化に基づいて脱珪反応の終了時点を判定し、
    脱珪反応の終了時点と判定された時点で、前記上吹きランスからの酸化性ガスの供給速度を脱燐反応に必要な供給速度に増加させ、
    所定量の酸化性ガスを供給した後に脱珪脱燐処理工程を終了するに際し、
    前記発光強度の時間変化として、下記の(2)式で定義される発光強度移動平均変化率を算出し、算出される発光強度移動平均変化率が予め設定された閾値を超えた時点を、脱珪反応の終了時点と判定する、転炉の操業方法。
    発光強度移動平均変化率=(I n S -I n-m S )/[(I n S +I n-m S )/2]……(2)
    ここで、I は、加算数をSとし、時刻T を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、I n-m は、加算数をSとし、時刻T の(Δt×m)秒前の時刻T n-m を基準とする特定波長の発光強度の移動平均(a.u.)、mは自然数、Sは移動平均の加算数(0以上の整数)であり、Δtは測定時間間隔(s)である。
  7. 前記閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて決定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
  8. 前記閾値を、酸素吹錬中の発光強度の推移、排ガス流量、排ガス成分、上吹きランスからの酸素ガス供給速度、上吹きランスのランス高さのうちの少なくとも一つ以上を用いて、機械学習によって決定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の転炉の操業方法。
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