JP6926365B2 - アンカー及びナット - Google Patents
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Description
そのため、規定トルクで締付けたことを確認するために、実際の締付トルクを測定できたり、所望のトルクで締付けたりできるトルクレンチ等の特殊な工具が必要となるとともに、品質管理は煩雑となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特殊な工具を要することなく品質管理を簡略化できるアンカーを提供することを目的とする。
(1)本発明のアンカーは、被定着体に定着されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトに螺合されるナットと、を備えるアンカーであって、前記ナットは、締付トルクが与えられる締付部と、先端側に前記アンカーボルトが螺合され、後端側に接続ボルトが螺合可能な接続部と、前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有する。
(2)上記(1)の構成において、前記破断部は、前記アンカーボルトの軸を中心とする回転方向に沿って均等に配置された3本以上の柱状体である。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記破断部は、前記締付部に設けられた嵌合孔に嵌合された状態で固定されている。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記ナットは、分離した前記締付部を支持可能な逸脱防止部を有する。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの構成において、前記ナットは、前記アンカーボルトの軸に対して略直交する方向において対向する係合孔と、前記係合孔を貫通した状態で両端が前記接続部から外方に突出し、分離した前記締付部を支持可能なストッパ部材を有する。
(6)上記(5)の構成において、前記ストッパ部材は、前記接続部に対して前記接続ボルトが規定量以上に螺合されると、前記接続ボルトの作用により変形して前記締付部の支持を解除可能である。
(7)上記(1)から(6)の構成において、前記締付部は、前記接続部の表面色とは異なる表面色を有する。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号が付される。また、特に説明のない限り、アンカー100が被定着体Tに定着された状態における被定着体側(図1において上側)を先端側又は上側とし、その反対の作業空間側(図1において下側)を後端側又は下側とする。なお、本発明は、アンカー100の後端側が鉛直方向(重力方向)において下になるように設置される場合において、特に、分離した締付部21が重力によって移動することによる効果が得られるが、これに限らず、アンカー100が設定される方向は、水平方向等、いずれの方向であってもよい。
図2(a)はナット20の組立図である。図2(b)は図2(a)におけるA矢視断面図である。図2(c)は図2(a)におけるB矢視断面図である。図2(d)はナット20の分解図である。図2(e)は接続部22の側面図である。図2(f)は図2(d)におけるC矢視断面図である。
アンカー100は、ウェッジ式の拡張アンカーであるが、これに限らず、締付け方式であれば、テーパーボルト式、コーンナット式等の他の方式の拡張アンカーであってもよい。
また、アンカーボルト10は、後端部に、ナット20の接続部22の雌ねじ部22fに螺合される雄ねじ部13を有する。
そして、接続部22は、接続部22と締付部21とを組み合わせた状態における確認窓21Wが設けられた位置に対応する位置に、確認窓22Wを設ける。すなわち、締付部21の確認窓21Wと接続部22の確認窓22Wとは、側面視において重なっているので、横から目視できるようになっている。なお、確認窓21Wは、締付部21の六角形の各辺を含むいずれの面に設けてもよく、複数設けてもよい。同様に、確認窓22Wは、接続部22の六角形の各辺を含むいずれの面に設けてもよく、複数設けてもよい。
これにより、接続部22の雌ねじ部22fに対して、アンカーボルト10が規定量(規定ねじ深さ)以上に螺合されていれば、確認窓21W及び確認窓22Wを通してアンカーボルト10の後端側が目視でき、螺合されていなければ目視できないので、接続部22の雌ねじ部22fに対して、アンカーボルト10が規定量(規定ねじ深さ)以上に螺合されたかどうかを、目視するだけで確認できる。
なお、接続部22の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金であってよいが、亜鉛又は亜鉛合金としてもよい。
なお、締付部21、接続部22、破断部23又は先端フランジ24の各部品の製造方法又はそれらの部品同士を適宜の組み合わせで一体化したアセンブリの製造方法としては、鋳造であってよく、ロストワックス又は射出成形法等であってもよい。
なお、締付部21の表面色は、例えば、空調衛生は緑、電気は黄、衛生は青、防災は赤等、アンカー100に取り付けられる取付物の設置業種によって慣用されている色分けに従って着色されてもよい。
ここで、締付部21に締付トルクを与えると、摩擦力が抵抗して被定着体Tに対して先端フランジ24は回転せずに留まるので、先端フランジ24及び締付部21に対して両端固定の状態で支持された破断部23には、曲げ・引張力が作用する。
そして、この曲げ・引張力に対応する引張応力が、破断部23の材料の破断応力(引張強さ)を超えると、破断部23が破断する。
したがって、破断部23の材料の破断応力(引張強さ)に対応する締付トルクが、規定トルクよりやや大きくなるように、破断部23の形状(断面積、柱の長さ)や機械的性質(材質)や支持条件(先端フランジ24の材質や締付部21の材質)を調節して設定する。
このように、破断部23は、作用する曲げ・引張力に対応する引張応力が、材料のせん断強さより大きい、材料の引張強さを超えると破断するように、材種や材質が調整される。
よって、作用するせん断応力が材料のせん断強さを超えると破断するように調整される場合に比べて、破断部23の破断応力を大きくでき、破断部23の材種や材質を調整し易くなる。
また、破断部23は、作用する曲げ・引張力に対応する引張応力が、材料の引張強さを超えると破断するように、材種や材質が調整されて、強度規定を担う部品となるので、材料表面の切り欠きに敏感なせん断応力に基づいて調整される場合に比べて、量産時の品質を高められる。
また、接続部22は、先端側に、外方に突出する環状の先端フランジ24、後端側に、外方に突出する環状の逸脱防止部25を有する。
図10(a)は、先端フランジ24、破断部23及び締付部21の組立図である。図10(b)は、先端フランジ24、破断部23及び締付部21の分解図である。
締付部21は、破断部23の数と同じ数の嵌合孔21hを、破断部23の位置に応じた位置に有している。
そして、破断部23は、締付部21に設けられた嵌合孔21hに嵌合された状態で固定されている。なお、破断部23は嵌合孔21hに圧入された状態で固定されてもよい。これにより、図10(b)に示すように、先端フランジ24及び破断部23を一体成形したものと、締付部21とを、個別に製造できる。よって、例えば、締付部21をプラスチックの樹脂成形品とする一方で先端フランジ24及び破断部23を金属のダイカストや切削により一体成形する等、着色の変更や材質の変更を部品ごとにでき、先端フランジ24及び破断部23を一体成形したものと、締付部21とを別の表面色にし易い。
なお、逸脱防止部25の外形状及び内形状は、単純な円形であってよく、少なくとも一対の平行な辺を有する形状であってもよい。
図3は、被定着体Tにアンカー100が定着した状態を示す説明図である。図4は、締付部21が分離した状態を示す説明図である。図5は、接続ボルト40をアンカー100に接続する状況を示す説明図である。図6は、接続ボルト40がストッパ部材27に当接した状態を示す説明図である。図7は、接続ボルト40がストッパ部材27を押し込んで変形させている状況を示す説明図である。図8は、ストッパ部材27が分離した締付部21の支持を解除した状態を示す説明図である。図9は、分離した締付部21が接続部22の後端側に移動した状態を示す説明図である。
(2)被定着体Tに、下孔Th(図3参照)を設ける。
(3)図3に示すように、下孔Thに、組み立てられた状態のアンカー100を構成するアンカーボルト10の先端側を挿入する。
ここで、接続部22の後端側に対して工具を用いて打撃を与える等して、ワッシャ30(ワッシャ30を使用しない場合は先端フランジ24)の先端側の面を被定着体Tの後端側の面に当接するまで挿入する。
これにより、アンカーボルト10の先端側が下孔Thに対して規定長さ以上挿入されたことを、ワッシャ30の先端側の面が被定着体Tの後端側の面に当接しているかどうかを目視することで確認できる。
(4)ソケットレンチ等の工具を利用して、図3において矢印で示すように、締付部21に対して締付トルクを与える。
(5)締付トルクを上げていき、締付トルクが規定トルクを超えると、図4に示すように、破断部23が破断し、締付部21が分離する。
締付部21が分離すると、締付部21はストッパ部材27の上に移動する。なお、本例のように、アンカー100の先端側が重力方向の上になるようにアンカー100が被定着体Tに対して設置される場合、締付部21はストッパ部材27によって支持された状態でストッパ部材27の上に位置する。
これにより、作業者や施工管理者は、締付部21が配置されている位置を目視で確認することにより、締付部21に規定トルクが与えられたかどうか、すなわち、アンカーボルト10に規定の軸力が導入されてアンカー100が確実に被定着体Tに定着されたかどうかを確認できる。
(6)被定着体Tにアンカー100が設置された後、アンカー100に取付物を取り付ける場合は、続いて、接続部22に対して接続ボルト40を螺合する(図5及び図6参照)。そして、接続ボルト40をねじ込んでいくと、接続ボルト40の先端側がストッパ部材27の当接部27bに当接する(図6参照)。
(7)接続ボルト40を接続部22に更にねじ込んでいくと、接続ボルト40の作用によりストッパ部材27の板部27aが変形して(図7参照)、接続部22の内部に収容されていく。
(8)そして、接続ボルト40のねじ込み長さが規定量以上となると、ストッパ部材27の板部27aは接続部22から外方に突出しなくなり、締付部21の支持を解除する(図8参照)。すなわち、ストッパ部材27は、接続ボルト40の作用により変形して締付部21の支持を解除可能である。
(9)ここで、接続部22は、後端側に逸脱防止部25を有するので、図8及び図9に示すように、締付部21は、ストッパ部材27による支持を失っても、逸脱防止部25に引っ掛かり、逸脱防止部25の上に配置される。これにより、作業者や施工管理者は、締付部21が配置されている位置を目視で確認することにより、規定量のねじ込みがなされたかどうかを確認できる。
11 ウェッジ
12 拡張部
13 (アンカーボルトの)雄ねじ部
20 ナット
21 締付部
21h 嵌合孔
21W 確認窓
22 接続部
22f (接続部の)雌ねじ部
22h 係合孔
22W 確認窓
23 破断部
23a 柱状体
23b 柱状体
23c 柱状体
24 先端フランジ
25 逸脱防止部
27 ストッパ部材
27a 板部
27b 当接部
30 ワッシャ
40 接続ボルト
100 アンカー
T 被定着体
Th 下孔
H 高さ
X 軸
Claims (15)
- 被定着体に定着されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトに螺合されるナットと、を備えるアンカーであって、前記ナットは、締付トルクが与えられる締付部と、先端側に前記アンカーボルトが螺合され、後端側に接続ボルトが螺合可能な接続部と、前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有し、
前記ナットは、分離した前記締付部を支持可能な逸脱防止部を有する
ことを特徴とするアンカー。 - 前記破断部は、前記アンカーボルトの軸を中心とする回転方向に沿って均等に配置された3本以上の柱状体である
ことを特徴とする請求項1に記載のアンカー。 - 前記破断部は、前記締付部に設けられた嵌合孔に嵌合された状態で固定されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンカー。 - 被定着体に定着されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトに螺合されるナットと、を備えるアンカーであって、前記ナットは、締付トルクが与えられる締付部と、先端側に前記アンカーボルトが螺合され、後端側に接続ボルトが螺合可能な接続部と、前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有し、
前記ナットは、
前記アンカーボルトの軸に対して略直交する方向において対向する係合孔と、
前記係合孔を貫通した状態で両端が前記接続部から外方に突出し、分離した前記締付部を支持可能なストッパ部材を有する
ことを特徴とするアンカー。 - 前記ストッパ部材は、前記接続部に対して前記接続ボルトが規定量以上に螺合されると、前記接続ボルトの作用により変形して前記締付部の支持を解除可能である
ことを特徴とする請求項4に記載のアンカー。 - 前記締付部は、前記接続部の表面色とは異なる表面色を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアンカー。 - 締付トルクが与えられる締付部と、
先端側と後端側に雌ねじを有する接続部と、
前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有し、
前記破断部は、前記雌ねじに螺合される雄ねじの軸を中心とする回転方向に沿って均等に配置された3本以上の柱状体であり、
前記接続部は、
前記雌ねじに螺合される前記雄ねじの軸に対して略直交する方向において対向する係合孔と、
前記係合孔を貫通した状態で両端が前記接続部から外方に突出し、分離した前記締付部を支持可能なストッパ部材を有する
ことを特徴とするナット。 - 前記ストッパ部材は、前記接続部に対して接続ボルトが規定量以上に螺合されると、前記接続ボルトの作用により変形して前記締付部の支持を解除可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のナット。 - 前記破断部は、前記締付部に設けられた嵌合孔に嵌合された状態で固定されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナット。 - 締付トルクが与えられる締付部と、
先端側と後端側に雌ねじを有する接続部と、
前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有し、
前記接続部は、分離した前記締付部を支持可能な逸脱防止部を有する
ことを特徴とするナット。 - 前記締付部は、前記接続部の表面色とは異なる表面色を有する
ことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のナット。 - 締付トルクが与えられる締付部と、
先端側と後端側に雌ねじを有する接続部と、
前記締付部と前記接続部とを連結し、前記締付トルクが規定トルク以上になると破断して前記接続部から前記締付部を分離する柱状の破断部と、を有し、
前記接続部の前記雌ねじは、前記接続部に貫通して設けられている
ことを特徴とするナット。 - 接続部とストッパ部材と締付部と、を有し、
前記接続部が、先端側と後端側に雌ねじと、
前記雌ねじに螺合される雄ねじの軸に対して略直交する方向において対向する係合孔と、を有し、
前記ストッパ部材が、前記係合孔を貫通した状態で両端が前記接続部から外方に突出し、前記接続部に組み合わせた状態の前記締付部を支持可能に構成されている
ことを特徴とするナット。 - 前記ストッパ部材は、前記接続部に対して接続ボルトが規定量以上に螺合されると、前記接続ボルトの作用により変形して前記締付部の支持を解除可能である
ことを特徴とする請求項13に記載のナット。 - 前記締付部は、前記接続部の表面色とは異なる表面色を有する
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のナット。
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