(第1実施形態)
図1から図3を参照して、防水シート1の第1実施形態について説明する。
図1に示す防水シート1は、建築物などの対象100(図4参照)に、防水層2を貼り付けるために用いられる。防水シート1は、コーナー101と、傾斜面102とが交わる部分(図4参照)に貼り付けられる。防水シート1は、コーナー101と、傾斜面102とが交わる部分を防水することができる。コーナー101は、出隅である。コーナー101としては、具体的には、対象100の上の階の出隅が挙げられる。傾斜面102は、コーナー101が延びる方向に対して傾斜する。傾斜面102としては、具体的には、対象100の下の階の屋根が挙げられる。防水シート1は、対象100に貼り付けられる前の状態で、平板形状を有する。防水シート1は、対象100に貼り付けられるときに、折り曲げ可能である。防水シート1は、図1および図2に示すように、防水層2と、拘束層3と、粘着層4と、セパレーター5とを備える。
防水層2は、防水性を有する。詳しくは、防水層2には、水が浸み込まない。また、防水層2は、防水シート1を対象100に貼り付けるときに、伸長可能である。防水層2は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)などのゴムからなる。防水層2は、所定の第1方向と、第1方向と直交する第2方向とに延びる。防水層2は、略矩形状のシート形状を有する。防水層2の外周R1を区画する各辺は、第1方向または第2方向に沿う。
防水層2の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.4mm以上であり、例えば、4.0mm以下、好ましくは、2.0mm以下である。
防水層2の伸び率は、例えば、150%以上、好ましくは、200%以上であり、例えば、400%以下である。
拘束層3は、防水層2を拘束する。言い換えると、拘束層3は、防水層2を、所定の形状に保持する。拘束層3は、防水シート1が対象100に貼り付けられる前において、防水層2を、フラットな形状に保持する。拘束層3は、防水シート1が対象100に貼り付けられるときに、防水層2を、折り曲げられた形状に保持する。拘束層3は、防水層2に積層される。防水層2と拘束層3とが積層される方向を積層方向と定義する。積層方向は、第1方向および第2方向の両方と直交する。拘束層3は、剛性を有する。拘束層3は、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの硬質の樹脂からなる。拘束層3は、好ましくは、金属からなる。拘束層3が金属からなると、拘束層3の剛性を確保できる。拘束層3は、第1方向および第2方向に延びる略矩形の平板形状を有する。拘束層3の外周R2を区画する各辺は、第1方向または第2方向に沿う。
拘束層3の厚みは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、例えば、1.0mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
第1方向および第2方向において、拘束層3の外周R2は、防水層2の外周R1よりも内側に配置される。つまり、防水層2の周縁部(拘束層3の外周R2よりも外側に配置される部分)は、拘束層3から露出する。防水層2の周縁部が拘束層3から露出していると、作業者は、防水シート1を対象100に貼り付けるときに、防水層2の周縁部を、拘束層3を介さずに、直接的に、対象100に押し付けることができる。これにより、作業者は、防水層2の周縁部を、対象100に対して容易に密着させることができる。
防水層2の周縁部の幅Wは、例えば、1.0mm以上、好ましくは、2.0mm以上であり、例えば、10.0mm以下、好ましくは、8.0mm以下である。
なお、防水層2の周縁部は、拘束層3から露出しなくてもよい。すなわち、拘束層3の外周R2は、防水層2の外周R1と重なってもよい。
拘束層3は、切欠き6を有する。また、拘束層3は、第1拘束部7と、第2拘束部8と、第3拘束部9と、第1連結部10と、第2連結部11とを有する。
切欠き6は、防水層2を露出する。切欠き6は、第1方向において、拘束層3の一端E1から他端E2へ向かって切り欠かれる。切欠き6は、第1方向において、拘束層3の中央部まで切り欠かれる。第2方向における切欠き6の広さは、拘束層3の中央部から拘束層3の一端E1へ向かうにつれて拡がる。言い換えると、第2方向における切欠き6の広さは、第1拘束部7から離れるにつれて拡がる。詳しくは、切欠き6は、略三角形状(二等辺三角形状)を有し、辺6Aと、辺6Bとを有する。辺6Aおよび辺6Bは、第1方向に対して傾斜する。辺6Aおよび辺6Bは、直線形状を有する。辺6Aは、第1拘束部7から離れるにつれて、第3拘束部9から離れる。辺6Bは、第1拘束部7から離れるにつれて、第2拘束部8から離れる。
辺6Aと辺6Bとが形成する角度θ1は、例えば、40°以上、好ましくは、50°以上であり、例えば、70°以下、好ましくは、60°以下である。
第1拘束部7は、切欠き6の第1方向他方側において、防水層2を拘束する。この実施形態では、第1拘束部7は、第1方向における防水層2の他方側の半分を拘束する。第1拘束部7は、第1方向において、切欠き6に対して他方側に配置される。第1拘束部7は、スリット12と、第1穴13と、第2穴14とを有する。
スリット12は、第1拘束部7を折り曲げやすくするために設けられる。スリット12は、第2方向において、第1拘束部7の略中央に配置される。これにより、第1拘束部7は、第2方向における略中央において、スリット12に沿って折り曲げ可能である。スリット12は、第1方向に延びる。スリット12は、直線形状を有する。スリット12は、貫通穴である。スリット12は、防水層2を露出する。スリット12は、拘束層3を折り曲げやすくすることができれば、拘束層3を貫通しなくてもよい。スリット12は、第1方向において、切欠き6と並ぶ。スリット12上を通る仮想線は、二等辺三角形状の切欠き6の垂直二等分線となる。
第2方向におけるスリット12の広さL1は、例えば、0mm以上、好ましくは、1.0mm以上であり、例えば、5.0mm以下、好ましくは、10.0mm以下である。
第1穴13は、第1拘束部7のうちの、スリット12の第2方向一方側に配置される部分、および、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分を折り曲げやすくするために設けられる。なお、以下の説明において、第1拘束部7のうちの、スリット12の第2方向一方側に配置される部分を、第1拘束部7の第1部分7Aと記載する。この実施形態では、第1部分7Aは、第2方向における第1拘束部7の一方側の半分に相当する。第1穴13は、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分と、第1拘束部7とに配置される。第1穴13は、第1方向において、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分から第1拘束部7にわたって広がる。第1穴13は、第2方向において、スリット12に対して一方側に配置される。また、第1穴13は、第1方向において、第2拘束部8と並ぶ。第1穴13は、貫通穴である。第1穴13は、防水層2を露出する。第1穴13は、拘束層3を折り曲げやすくすることができれば、拘束層3を貫通しなくてもよい。第1方向における第1穴13の広さは、拘束層3の中央部から第2方向の一方側へ向かうにつれて拡がる。詳しくは、第1穴13は、略三角形状を有する。第1穴13は、辺13Aと、辺13Bと、辺13Cとを有する。辺13Aは、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分に配置される。辺13Aは、第2方向に沿って延びる。辺13Bは、第2方向に対して傾斜する。辺13Bは、第2方向の一方側へ向かうにつれて、第2拘束部8から離れる。また、辺13Bは、第2方向の一方側へ向かうにつれて、辺13Aから離れる。第1拘束部7の第1部分7Aは、辺13Aと辺13Bとの間において、折り曲げ可能である。辺13Cは、第1方向に沿って延びる。
辺13Aと辺13Bとが形成する角度θ2は、例えば、0°以上、好ましくは、40°以上であり、例えば、90°以下、好ましくは、50°以下である。
第2穴14は、第1拘束部7のうちの、スリット12の第2方向他方側に配置される部分、および、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分を折り曲げやすくするために設けられる。なお、以下の説明において、第1拘束部7のうちの、スリット12の第2方向他方側に配置される部分を、第1拘束部7の第2部分7Bと記載する。この実施形態では、第2部分7Bは、第2方向における第1拘束部7の他方側の半分に相当する。第2穴14は、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分と、第1拘束部7とに配置される。第2穴14は、第1方向において、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分から第1拘束部7にわたって広がる。第2穴14は、第2方向において、スリット12に対して他方側に配置される。第2穴14は、第2方向において、第1穴13に対して間隔を隔てて配置される。第2穴14は、第1方向において、第3拘束部9と並ぶ。第2穴14は、貫通穴である。第2穴14は、防水層2を露出する。第2穴14は、拘束層3を折り曲げやすくすることができれば、拘束層3を貫通しなくてもよい。第1方向における第2穴14の広さは、拘束層3の中央部から第2方向の他方側へ向かうにつれて拡がる。詳しくは、第2穴14は、略三角形状を有する。第2穴14は、辺14Aと、辺14Bと、辺14Cとを有する。辺14Aは、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分に配置される。辺14Aは、第2方向に沿って延びる。辺14Bは、第2方向に対して傾斜する。辺14Bは、第2方向の他方側へ向かうにつれて、第3拘束部9から離れる。また、辺14Bは、第2方向の他方側へ向かうにつれて、辺14Aから離れる。第1拘束部7の第2部分7Bは、辺14Aと辺14Bとの間において、折り曲げ可能である。辺14Cは、第1方向に沿って延びる。
辺14Aと辺14Bとが形成する角度θ3は、例えば、0°以上、好ましくは、40°以上であり、例えば、90°以下、好ましくは、50°以下である。
第2拘束部8は、切欠き6の第2方向一方側において、防水層2を拘束する。第2拘束部8は、第2方向において、切欠き6に対して一方側に配置される。第2拘束部8は、第1拘束部7の第1部分7Aと連続する。
第3拘束部9は、切欠き6の第2方向他方側において、防水層2を拘束する。第3拘束部9は、第2方向において、切欠き6に対して他方側に配置される。言い換えると、第3拘束部9は、第2方向において、切欠き6に対して、第2拘束部8の反対側に配置される。第3拘束部9は、第2方向において、第2拘束部8に対して間隔を隔てて配置される。第3拘束部9は、第1拘束部7の第2部分7Bと連続する。
第3拘束部9は、図4に示すように、第2方向における第1拘束部7の一端E11(図1参照)と他端E12(図1参照)とが近づくように第1拘束部7が折り曲げられた状態で、第1拘束部7が折り曲げられる前(図1参照)よりも、第2拘束部8から離れて配置される。このとき、切欠き6から露出される防水層2は、第3拘束部9が第2拘束部8から離れる方向に伸長する。
図1に示すように、第1連結部10は、第1拘束部7と、第2拘束部8とを連結する。第1連結部10は、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分に配置される。第1連結部10は、第2方向において、第1穴13と、第1拘束部7の一端E11との間に配置される。第1連結部10は、第1方向に延びる。第2方向における第1連結部10の両側には、それぞれ、第1凹部15が設けられる。すなわち、拘束層3は、第2方向における第1連結部10の両側に配置される第1凹部15を有する。2つの第1凹部15は、第1連結部10の幅(第2方向における長さ)L2を規定するために設けられる。第1凹部15は、防水層2を露出する。なお、第1凹部15は、防水層2を露出せず、第1連結部10よりも薄く形成された凹みであってもよい。
第1連結部10の幅L2は、例えば、1.0mm以上、好ましくは、3.0mm以上であり、例えば、10.0mm以下、好ましくは、5.0mm以下である。
第2連結部11は、第1拘束部7と、第3拘束部9とを連結する。第2連結部11は、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分に配置される。第2連結部11は、第2方向において、第2穴14と、第1拘束部7の他端E12との間に配置される。第2連結部11は、第1方向に延びる。第2方向における第2連結部11の両側には、それぞれ、第2凹部16が設けられる。すなわち、拘束層3は、第2方向における第2連結部11の両側に配置される第2凹部16を有する。2つの第2凹部16は、第2連結部11の幅(第2方向における長さ)L3を規定するために設けられる。第2凹部16は、防水層2を露出する。なお、第2凹部16は、防水層2を露出せず、第2連結部11よりも薄く形成された凹みであってもよい。
第2連結部11の幅L3は、例えば、1.0mm以上、好ましくは、3.0mm以上であり、例えば、10.0mm以下、好ましくは、5.0mm以下である。
なお、第1拘束部7の第1部分7A、第1拘束部7の第2部分7B、第2拘束部8、および第3拘束部9は、拘束層3の中央部を介して、互いに連結されている。なお、以下の説明において、拘束層3の中央部を、中央連結部17と記載する。中央連結部17は、第1方向において、切欠き6と第1拘束部7との間に配置される。中央連結部17は、第1方向において、切欠き6とスリット12との間に配置される。中央連結部17は、第2方向において、第2拘束部8と第3拘束部9との間に配置される。中央連結部17は、第2方向において、第1穴13と第2穴14との間に配置される。第1拘束部7の第1部分7Aと第2拘束部8とは、第1連結部10と中央連結部17とによって連結され、第1拘束部7の第2部分7Bと第3拘束部9とは、第2連結部11と中央連結部17とによって連結されている。
粘着層4は、図2に示すように、拘束層3の反対側において、防水層2に積層される。粘着層4は、拘束層3の反対側において、防水層2の全面を覆う。粘着層4は、粘着性と、防水性とを有する。粘着層4は、粘着剤から形成される。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。なお、粘着層4は、弾性層と、積層方向における弾性層の両面に塗布される粘着剤とから形成されてもよい。
粘着層4の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.4mm以上であり、例えば、4.0mm以下、好ましくは、2.0mm以下である。
セパレーター5は、防水層2の反対側において粘着層4に積層される。セパレーター5は、粘着層4の粘着力により、粘着層4に貼り付けられる。セパレーター5は、粘着層4の全面を覆う。セパレーター5は、可撓性を有する。セパレーター5は、フィルム形状を有する。セパレーター5は、粘着層4から剥離可能である。
セパレーター5としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなるフィルムを基材とする剥離フィルム、例えば、紙を基材とする剥離紙などが挙げられる。セパレーター5は、粘着層4からの剥離性を確保するために、粘着層4と接触する表面に、例えば、シリコーン樹脂などの剥離剤からなる薄膜を有してもよい。
セパレーター5は、図3に示すように、第1の切れ目C1と、第2の切れ目C2とによって、4つに分割されている。すなわち、セパレーター5は、第1セパレーター5A、第2セパレーター5B、第3セパレーター5Cおよび第4セパレーター5Dを備える。第1セパレーター5A、第2セパレーター5B、第3セパレーター5Cおよび第4セパレーター5Dは、互いに独立して粘着層4から剥離可能である。これにより、後で詳しく説明するが、セパレーター5を部分的に粘着層4から剥離して、防水層2を、対象100に、部分的に貼り付けていくことができる。なお、第1の切れ目C1は、第1方向に延びる。第1の切れ目C1は、スリット12および切欠き6と、積層方向において重なる。第2の切れ目C2は、第2方向に延びる。第2の切れ目C2は、第1の切れ目C1と直交する。第2の切れ目C2は、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分、および、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分と、積層方向において重なる。より具体的には、第2の切れ目C2は、第1連結部10および第2連結部11と、積層方向において重なる。
第1セパレーター5Aは、第1拘束部7の第1部分7Aと、積層方向において重なる。つまり、第1セパレーター5Aを粘着層4から剥離することにより、粘着層4のうちの、第1拘束部7の第1部分7Aと積層方向に重なる部分を、露出させることができる。そのため、第1セパレーター5Aを粘着層4から剥離した状態で、防水層2のうちの、第1拘束部7の第1部分7Aによって拘束される部分を、対象100に貼り付けることができる。以下の説明において、防水層2のうち、第1拘束部7の第1部分7Aによって拘束される部分を、防水層2の第1部分2Aと記載する。
第2セパレーター5Bは、第1拘束部7の第2部分7Bと、積層方向において重なる。つまり、第2セパレーター5Bを粘着層4から剥離することにより、粘着層4のうちの、第1拘束部7の第2部分7Bと積層方向に重なる部分を、露出させることができる。そのため、第2セパレーター5Bを粘着層4から剥離した状態で、防水層2のうち、第1拘束部7の第2部分7Bによって拘束される部分を、対象100に貼り付けることができる。以下の説明において、防水層2のうちの、第1拘束部7の第2部分7Bによって拘束される部分を、防水層2の第2部分2Bと記載する。
第3セパレーター5Cは、第2拘束部8と、積層方向において重なる。つまり、第3セパレーター5Cを粘着層4から剥離することにより、粘着層4のうちの、第2拘束部8と積層方向に重なる部分を、露出させることができる。そのため、第3セパレーター5Cを粘着層4から剥離した状態で、防水層2のうちの、第2拘束部8によって拘束される部分を、対象100に貼り付けることができる。以下の説明において、防水層2のうち、第2拘束部8によって拘束される部分を、防水層2の第3部分2Cと記載する。
第4セパレーター5Dは、第3拘束部9と、積層方向において重なる。つまり、第4セパレーター5Dを粘着層4から剥離することにより、粘着層4のうちの、第3拘束部9と積層方向に重なる部分を、露出させることができる。そのため、第4セパレーター5Dを粘着層4から剥離した状態で、防水層2のうちの、第3拘束部9によって拘束される部分を、対象100に貼り付けることができる。以下の説明において、防水層2のうち、第3拘束部9によって拘束される部分を、防水層2の第4部分2Dと記載する。
次いで、図4を参照して、防水シート1の施工状態について説明する。
上記したように、防水シート1は、建築物などの対象100において、コーナー101と、傾斜面102とが交わる部分に貼り付けられる。コーナー101は、第1面S1と第2面S2とから形成される。第1面S1は、コーナー101が延びる方向に延び、傾斜面102と交差する。第2面S2は、コーナー101が延びる方向に延び、第1面S1および傾斜面102と交差する。
防水シート1が対象100に貼り付けられた状態で、防水シート1は、スリット12がコーナー101に沿うように配置され、コーナー101に沿って折り曲げられる。この状態で、第1拘束部7は、第2方向における第1拘束部7の一端E11と他端E12とが近づくように、山折りされる。また、防水層2の第1部分2Aは、粘着層4により、対象100の第1面S1に貼り付けられる。防水層2の第2部分2Bは、粘着層4により、対象100の第2面S2に貼り付けられる。なお、防水層2の第2部分2Bは、粘着層4により、対象100の傾斜面102にも貼り付けられる。
また、防水シート1は、第1面S1と傾斜面102との境目に沿って折り曲げられるとともに、第2面S2と傾斜面102との境目に沿って折り曲げられる。この状態で、第1拘束部7は、第1穴13の辺13Aと辺13Bとの間で谷折りされるとともに、第2穴14の辺14Aと辺14Bとの間で谷折りされる。また、防水層2の第3部分2Cおよび第4部分2Dは、対象100の傾斜面102に貼り付けられる。
また、第3拘束部9は、第1拘束部7が折り曲げられる前(図1参照)よりも、第2拘束部8から離れて配置される。防水層2のうち、切欠き6から露出される部分は、第3拘束部9が第2拘束部8から離れる方向に伸長する。
次いで、図5Aから図6を参照して、防水シート1を対象100に貼り付ける方法(防水シート1の施工方法)について説明する。
防水シート1の施工方法は、第1貼付工程(図5A参照)と、第2貼付工程(図5B参照)と、第3貼付工程(図6参照)とを含む。
第1貼付工程では、作業者は、図5Aに示すように、防水層2の第1部分2Aを、対象100の第1面S1に貼り付ける。
詳しくは、作業者は、防水シート1を、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分(図1参照)、および、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分(図1参照)において、拘束層3が谷折りされるように折り曲げる。これにより、防水シート1には、第1拘束部7の剛性によって、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分、および、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分に第1の折り目が付く。
次いで、作業者は、第1セパレーター5A(図3参照)を剥離し、スリット12がコーナー101に沿い、第1の折り目が第1面S1と傾斜面102との境目に沿うように、防水層2の第1部分2Aを、対象100の第1面S1に貼り付ける。
次いで、第2貼付工程では、作業者は、図5Bに示すように、防水層2の第2部分2Bを、対象100の第2面S2に貼り付ける。
詳しくは、作業者は、第2セパレーター5B(図3参照)を剥離せずに、防水シート1を、コーナー101、および、第2面S2と傾斜面102との境目に沿って、折り曲げる。このとき、第1拘束部7は、コーナー101に沿って山折りされ、第1拘束部7の第2部分7Bは、第2穴14の辺14Aと辺14Bとの間で谷折りされる。これにより、防水シート1には、第1拘束部7の剛性によって、コーナー101に沿って延びる第2の折り目と、第2面S2と傾斜面102との境目に沿って延びる第3の折り目とが付く。
次いで、作業者は、第2セパレーター5Bの一部(防水層2の第2部分2Bのうちの対象100の第2面S2に貼り付けられる部分に積層される部分)を剥離し、第3の折り目が第2面S2と傾斜面102との境目に沿うように、防水層2の第2部分2Bを、対象100の第2面S2に貼り付ける。次いで、作業者は、第2セパレーター5Bの残りの部分を剥離し、防水層2の第2部分2Bのうち、第2面S2からはみ出た部分を、傾斜面102に貼り付ける。
次いで、第3貼付部分では、作業者は、図6および図4に示すように、防水層2の第3部分2Cおよび第4部分2Dを、切欠き6から露出される防水層2を伸長させながら、傾斜面102に貼り付ける。
詳しくは、作業者は、図6に示すように、第3セパレーター5Cを剥離し、防水層2の第3部分2Cを、傾斜面102のうちの、第1面S1と交差する部分に、貼り付ける。
次いで、作業者は、図4に示すように、第4セパレーター5Dを剥離し、切欠き6から露出される防水層2を伸長させながら、防水層2の第4部分2Dを、傾斜面102のうちの、第2面S2と交差する部分に、貼り付ける。
このとき、第1拘束部7が対象100の第1面S1および第2面S2に対して固定された状態で第2拘束部8と第3拘束部9との間隔が拡げられることにより、中央連結部17(図1参照)が、歪みながら、コーナー101の稜線と、第1面S1と傾斜面102との境目と、第2面S2と傾斜面102との境目とが交わるポイントに対して、押し付けられる。これにより、コーナー101の稜線と、第1面S1と傾斜面102との境目と、第2面S2と傾斜面102との境目とが交わるポイントに対して、防水層2を密着させることができる。
防水層2の第3部分2Cおよび第4部分2Dを傾斜面102に貼り付けることにより、対象100に対する防水シート1の貼り付けが完了する。
この防水シート1、および、防水シート1の施工方法によれば、図1に示すように、拘束層3が、第1拘束部7と、切欠き6によって分離される第2拘束部8および第3拘束部9を有し、図4に示すように、第1拘束部7が折り曲げられ、第3拘束部9が第2拘束部8から離れた場合に、切欠き6から露出される防水層2が伸長する。
これにより、コーナー101の形状や傾斜面102の斜度に応じて、第1拘束部7の屈曲度合いと、切欠き6から露出される防水層2の伸長度合いとを変えて、防水シート1を、対象100の形状に合わせて折り曲げることができる。
その結果、防水シート1を、対象100のコーナー101や傾斜面102に対して、容易に密着させることができる。
また、この防水シート1によれば、図1に示すように、第1拘束部7が、第1方向において切欠き6と並び、第1方向に延びるスリット12を有する。
そのため、図4に示すように、第1拘束部7を、切欠き6と並ぶ位置において、スリット12に沿って容易に折り曲げることができる。
また、この防水シート1によれば、図1に示すように、第2方向における切欠き6の広さが、第1拘束部7から離れるにつれて拡がる。
そのため、図4に示すように、第3拘束部9が第2拘束部8から離れるときに、切欠き6から露出される防水層2を、第1拘束部7から離れるほど伸長させることができる。
また、この防水シート1によれば、図1に示すように、第1拘束部7が、第1穴13および第2穴14を有する。
そのため、図4に示すように、第1穴13によって、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分で、防水シートを容易に折り曲げることができるとともに、第2穴14によって、第1拘束部7の剛性を弱めて、折り目が第1拘束部7を通る場合であっても、防水シート1を容易に折り曲げることができる。
また、この防水シート1によれば、図1に示すように、拘束層3が、第1拘束部7と第2拘束部8とを連結する第1連結部10と、第1拘束部7と第3拘束部9とを連結する第2連結部11とを有する。
そのため、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分、および、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分において、防水層2を確実に拘束することができる。
また、この防水シート1によれば、図1に示すように、拘束層3が、第2方向における第1連結部10の両側に配置される第1凹部15と、第2方向における第2連結部11の両側に配置される第2凹部16とを有する。
そのため、第1凹部15によって、第2方向における第1連結部10の長さL2を規定し、第2凹部16によって、第2方向における第2連結部11の長さL3を規定することができる。
その結果、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分、および、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分において防水シート1を折り曲げやすいように、第2方向における第1連結部10の長さL2、および、第2方向における第2連結部11の長さL3を調節することができる。
また、この防水シート1によれば、図2に示すように、拘束層3の反対側において防水層2に積層される粘着層4と、防水層2の反対側において粘着層4に積層されるセパレーター5とを備える。
そのため、防水シート1を対象100に貼り付けるときに、別途、粘着剤などを準備する必要がなく、粘着層4により、防水シート1を対象100に容易に貼り付けることができる。
また、この防水シート1によれば、図3に示すように、セパレーター5が、互いに独立して粘着層4から剥離可能な第1セパレーター5A、第2セパレーター5B、第3セパレーター5Cおよび第4セパレーター5Dを備える。
そのため、セパレーター5を部分的に粘着層4から剥離して、防水シート1を、対象100に一部ずつ貼り付けていくことができる。
その結果、粘着層4が意図せず対象に粘着することを抑制し、防水シート1を対象100に円滑に貼り付けることができる。
なお、図7に示すように、セパレーター50は、切れ目Cによって2つに分割されていてもよい。すなわち、セパレーター50は、互いに独立して粘着層から剥離可能な第1セパレーター50Aおよび第2セパレーター50Bを備えてもよい。この場合、第1セパレーター50Aは、第1拘束部7と、積層方向において重なってもよい。第2セパレーター50Bは、第2拘束部8および第3拘束部9と、積層方向において重なってもよい。
この変形例においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第2実施形態)
図8から図10を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態の防水シート200では、図8に示すように、切欠き201の辺201Aおよび辺201Bは、湾曲形状を有する。辺201Aは、第3拘束部9から離れる方向へ向かって凹むように、湾曲する。辺201Bは、第2拘束部8から離れる方向へ向かって凹むように、湾曲する。これにより、第2拘束部8と第3拘束部9との間隔を容易に広げることができる。
また、第2実施形態の防水シート200では、第1穴202は、第1拘束部7と第2拘束部8との境界部分に配置され、第1拘束部7には配置されていない。また、第2穴203は、第1拘束部7と第3拘束部9との境界部分に配置され、第1拘束部7には配置されていない。第1穴202および第2穴203は、スリットである。第1穴202および第2穴203は、第2方向に延びる。第1穴202および第2穴203は、直線形状を有する。
また、第2実施形態の防水シート200では、図9に示すように、第3セパレーター5Cは、第1本体部204Aと、第1分離部204Bとを備え、第4セパレーター5Dは、第2本体部205Aと、第2分離部205Bとを備える。
第1本体部204Aは、防水層2の第3部分2Cを傾斜面102(図6参照)に貼り付けるときに、第1分離部204Bよりも先に、粘着層4から剥離される。第1本体部204Aは、第3セパレーター5Cのうち、第1分離部204B以外の部分である。詳しくは、第1本体部204Aは、第2方向において、第1分離部204Bに対して他方側に配置される。また、第1本体部204Aは、第1方向において、第1分離部204Bに対して他方側に配置される。
第1分離部204Bは、第1本体部204Aから分離可能である。第1分離部204Bは、第1本体部204Aが粘着層4から剥離された状態で、粘着層4に残存する。第1分離部204Bは、積層方向において、第2拘束部8と重なる。第1分離部204Bは、第2方向において、第3セパレーター5Cの一端部に配置される。また、第1分離部204Bは、第1方向において、第3セパレーター5Cの一端部に配置される。
第2本体部205Aは、防水層2の第4部分2Dを傾斜面102(図4参照)に貼り付けるときに、第2分離部205Bよりも先に、粘着層4から剥離される。第2本体部205Aは、第4セパレーター5Dのうち、第2分離部205B以外の部分である。詳しくは、第2本体部205Aは、第2方向において、第2分離部205Bに対して一方側に配置される。また、第2本体部205Aは、第1方向において、第2分離部205Bに対して他方側に配置される。
第2分離部205Bは、第2本体部205Aから分離可能である。第2分離部205Bは、第2本体部205Aが粘着層4から剥離された状態で、粘着層4に残存する。第2分離部205Bは、積層方向において、第3拘束部9と重なる。第2分離部205Bは、第2方向において、第4セパレーター5Dの他端部に配置される。また、第2分離部205Bは、第1方向において、第4セパレーター5Dの一端部に配置される。
第2実施形態では、防水層2の第3部分2Cを傾斜面102(図6参照)に貼り付けるとき、作業者は、第3セパレーター5Cの第1本体部204Aを剥離し、第1分離部204Bが残存している部分をつかんで、第3部分2Cを傾斜面102に貼り付けることができる。
なお、このとき、第3部分2Cは、第1本体部204Aが剥離されることにより露出した粘着層4によって、部分的に、傾斜面102に貼り付けられる。その後、作業者は、第1分離部204Bを剥離し、第3部分2Cの残りの部分を傾斜面102に貼り付ける。
第1分離部204Bが残存している部分をつかむことにより、作業者は、粘着層4に触れることなく、第3部分2Cを傾斜面102に貼り付けることができる。
同様に、防水層2の第4部分2Dを傾斜面102(図4参照)に貼り付けるとき、作業者は、第4セパレーター5Dの第2本体部205Aを剥離し、第2分離部205Bが残存している部分をつかんで、第4部分2Dを傾斜面102に貼り付けることができる。その後、作業者は、第2分離部205Bを剥離し、第4部分2Dの残りの部分を傾斜面102に貼り付ける。
第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、第2実施形態においても、図10に示すように、セパレーター50は、切れ目Cによって2つに分割されていてもよい。この場合、第2セパレーター50Bは、本体部210Aと、第1分離部210Bと、第2分離部210Cとを備える。本体部210Aは、上記した第1本体部204A(図9参照)と第2本体部205A(図9参照)とを合わせた形状を有する。本体部210Aは、防水層2の第3部分2Cおよび第4部分2Dを傾斜面102(図6参照)に貼り付けるときに、第1分離部210Bおよび第2分離部210Cよりも先に、粘着層4から剥離される。第1分離部210Bは、上記した第1分離部204B(図9参照)と同じ形状を有する。第1分離部210Bは、積層方向において、第2拘束部8と重なる。第2分離部210Cは、上記した第2分離部205B(図9参照)と同じ形状を有する。第2分離部210Cは、積層方向において、第3拘束部9と重なる。第1分離部210Bおよび第2分離部210Cは、本体部210Aから分離可能であり、本体部210Aが粘着層4から剥離された状態で、粘着層4に残存する。
この変形例においても、上記した第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。