JP6925507B2 - カバーガラス、紫外線照射システム、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

カバーガラス、紫外線照射システム、及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カバーガラス、紫外線照射システム、及び光学フィルムの製造方法に関する。
フィルムの上に機能層を設けた光学フィルムが、各種製品に使用されている。このような光学フィルムは、一般的に、搬送された支持体の上に紫外線硬膜剤が添加された塗布液を塗布し、次いで、塗布液を乾燥し、乾燥した塗布液に紫外線を照射することにより、塗布液を硬化し、製造される。この塗布液の硬化には、紫外線照射装置が用いられることが多い。
例えば、特許文献1には、ケースと、ケースに収納された光源と、ケースに取り付けられた窓板を構成する複数のガラス板と、を備える紫外線照射装置が開示されている。特許文献1では、複数のガラス板は隙間を開けて配置され、この隙間を封止するように短冊状封止板を設けることにより、ケースの内部の気密性を維持している。
特開2011−245811号公報
紫外線照射装置から塗布液に光を照射する際、酸素が存在すると重合開始剤より発生するラジカルを消失してしまう。そのため、対象物を搬送するケーシングの中に不活性ガス、例えば、窒素ガスを導入して紫外線照射空間の酸素濃度をできるだけ小さくすることが好ましいとされている。
しかしながら、特許文献1に示される紫外線照射装置の複数のガラス板と短冊状封止板とにより構成される窓板(カバーガラスとも称する)では、不活性ガスがケーシングからリークすることが懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ケーシングの中の不活性ガスのリークを抑制できるカバーガラス、紫外線照射システム、及び光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
第1の態様に係るカバーガラスは、光源と、搬送しながら光源からの光が照射される対象物との間に配置されるカバーガラスであって、対向する主面と主面を繋ぐ端面を有する複数のガラス板が、端面を互いに突き合わせて配列され、かつ一方の主面の側の第1突き合わせ線と他方の主面の側の第2突き合わせ線とが平面視で、異なる位置にある。
第2の態様に係るカバーガラスにおいて、互いに突き合わされる端面は、0.1μm以下の算術平均粗さを有する。
第3の態様に係るカバーガラスにおいて、第1突き合わせ線と第2突き合わせ線とが対象物の搬送方向に対して平行であり、かつ互いに突き合わされる端面は、ガラス板の厚み方向に対して傾斜する傾斜面で構成される。
第4の態様に係るカバーガラスにおいて、第1突き合わせ線と第2突き合わせ線とが対象物の搬送方向に対して平行であり、かつ互いに突き合わされる端面は、ガラス板の厚み方向に対して垂直な垂直面と平行な平行面とで構成される。
第5の態様に係るカバーガラスにおいて、第1突き合わせ線と第2突き合わせ線とが対象物の搬送方向に対して傾斜し、かつ互いに突き合わされる端面は、ガラス板の厚み方向に対して垂直な垂直面と平行な平行面とで構成される。
第6の態様に係るカバーガラスにおいて、ガラス板が、溶融石英ガラス、及び合成石英ガラスの何れかである。
第7の態様に係る紫外線照射システムは、搬送される対象物に向けて光を放射する光源と、光源と対象物との間に配置される赤外線カットガラスと、赤外線カットガラスと対象物との間に配置される上述のカバーガラスと、カバーガラスを支持するケーシングと、を有する。
第8の態様に係る紫外線照射システムにおいて、光源は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、及び発光ダイオードの何れかである。
第9の態様に係る紫外線照射システムにおいて、光源に対して複数の赤外線カットガラスと反対側に配置され、光源から放射される光を対象物に向けて反射する反射鏡を備える。
第10の態様に係る紫外線照射システムにおいて、反射鏡に対して光源と反対側に配置される冷却機構を備える。
第11の態様に係る光学フィルムの製造方法は、紫外線硬化性化合物を含む塗膜が形成された支持体を搬送する搬送工程と、上述の紫外線照射システムから対象物である塗膜が形成された支持体に光を照射する照射工程と、を含む。
第12の態様に係る光学フィルムの製造方法において、照射工程がケーシング内を不活性ガス雰囲気下にして行われる。
本発明によれば、ケーシングの中への不活性ガスのリークを抑制できる。
図1は、紫外線照射システムを含む製造ラインの全体の概略図である。 図2は、紫外線照射システムの概略構成図である。 図3は、赤外線カットガラスの斜視図である。 図4は、枠体に支持される赤外線カットガラスの平面図である。 図5は、図4のV−Vに沿う断面図である。 図6は、枠体に支持されるカバーガラスの平面図である。 図7は、第1実施形態のカバーガラスの分解、及び組立斜視図である。 図8は、第2実施形態のカバーガラスの分解、及び組立斜視図である。 図9は、第3実施形態のカバーガラスの分解、及び組立斜視図である。 図10は、第4実施形態のカバーガラスの分解、及び組立斜視図である。 図11は、実施例の評価結果を示す表である。
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、実施形態以外の他の実施形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
図1は、実施形態の紫外線照射システムを含む製造ラインの全体の概略図である。なお、ここでいう「上流」、及び「下流」は、支持体Wの搬送方向(Machine Direction)を基準としている。ある基準に対して搬送方向側に位置する場合を「下流」、搬送方向と反対側に位置する場合を「上流」と定義される。
図1に示されるように、製造ライン1は、対象物を構成する支持体Wを送り出す送り出し装置10と、支持体Wを巻き取る巻き取り装置12と、を備える。支持体Wは、送り出し装置10から巻き取り装置12に、矢印に示される搬送方向に沿って、連続的に搬送される。
送り出し装置10は、支持体Wを巻き回したロールを送り出すことができれば、その構造は特に限定されない。送り出し装置10として、複数のロールを連続的に送り出すことができる、ターレット式の送り出し装置10を好適に使用できる。
巻き取り装置12は、支持体Wを巻き回してロールにすることができれば、その構造は特に限定されない。巻き取り装置12として、支持体Wを複数のロールに巻き取ることができる、ターレット式の巻き取り装置12を好適に使用できる。
送り出し装置10の下流には塗布装置14が配置される。塗布装置14から支持体Wの一方の面に塗布液が塗布される。塗布液は、少なくとも紫外線硬化性化合物を含んでいる。
塗布装置14により、支持体Wの上に乾燥前の塗膜16が形成される。塗布装置14の下流には、乾燥装置18が配置される。乾燥装置18には、搬送される支持体Wの通過を可能にする入口開口18Aと出口開口18Bとが形成される。乾燥装置18は、搬送される支持体Wの上に形成された塗膜16を乾燥させる。
乾燥装置18の下流には、紫外線照射システム60が配置される。紫外線照射システム60は、支持体Wの搬送路を囲うケーシング20と、ケーシング20に着脱自在に取り付けられた紫外線照射装置30と、を備える。ケーシング20は、支持体Wの搬送路を構成する複数本のパスロールを格納することができ、かつ支持体Wの搬送に必要な空間の容積を確保するよう構成される。そのため、紫外線照射装置30は、独立の構造体として、ケーシング20の外部に着脱自在に取り付けられる。
ケーシング20には、搬送される支持体Wの通過を可能にする入口開口20Aと出口開口20Bとが形成される。ケーシング20の中を不活性ガス雰囲気下にするため、ケーシング20の中には、不活性ガスを供給するノズル24が配置される。
紫外線照射装置30は、支持体Wと、支持体Wの上に形成された乾燥後の塗膜16とに光を照射する。支持体Wの上に形成された塗膜16が硬化する。
ケーシング20の下流に配置された巻き取り装置12により、硬化された塗膜16の形成された支持体Wが、ロールに巻き取られる。
図2を参照して、実施形態の紫外線照射システム60について説明する。図2に示されるように、紫外線照射装置30は、第1室32Aと第2室32Bとを有する筐体32を備える。第1室32Aには、光を放射する棒状の光源34と、光源34を覆う反射鏡36と、を備える。光源34、及び反射鏡36は、搬送方向に直交する幅方向(Transverse Direction)に延び、支持体Wの幅よりも大きい長さを有している。
反射鏡36は、楕円の一部、又は放物線の断面形状を有する。反射鏡36は、光源34から放射される光を反射し、光源34からの光を効率的に支持体Wに導く。
光源34として、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、又は発光ダイオード光源等を使用することができる。光源34から放射される光は、紫外線と称される200nm以上400nm以下の波長の光と、波長以外の700nm以上の波長の光とを含んでいる。200nm以上400nm以下の波長の光は、塗膜16に含まれる紫外線硬化性化合物の反応に寄与する。一方で、700nm以上の波長の光は、支持体Wを加熱する要因となる。
そこで、複数の赤外線カットガラス38が、第1室32Aの中であって、光源34と支持体Wの間となる位置に配置される。赤外線カットガラス38は700nm以上の波長の光を反射、又は吸収することができるので、赤外線カットガラス38は700nm以上の波長の光が、塗膜16、及び支持体Wに照射されないようにできる。なお、複数の赤外線カットガラス38は筐体32に取り付けられた枠体44により、支持される。
なお、赤外線カットガラス38は、紫外線硬化性化合物の反応に不要な波長を選択的に反射する。反射の輻射熱により、第1室32Aが加熱される懸念がある。第1室32A内の温度を徐冷するため、第2室32Bに冷却機構46が配置される。冷却機構46として、例えば、ファン、多孔板等を挙げることができる。
図2に示されるように、赤外線カットガラス38は、紫外線照射装置30において、ケーシング20に近い側に配置される。
ケーシング20には、紫外線照射装置30から光を透過させるための窓50が設けられている。窓50は、ケーシング20の開口に配置されたカバーガラス52と、カバーガラス52を支持する枠体54と、カバーガラス52と枠体54との間を埋めるゴムパッキン56とにより構成される。カバーガラス52が紫外線照射装置30とケーシング20との境界面を構成する。
紫外線照射装置30と窓50とが位置合わせされ、紫外線照射装置30は窓50に対して着脱自在に固定される。紫外線照射装置30の投影面積と、カバーガラス52の平面視で面積とは、略同じ大きさに設定されている。したがって、カバーガラス52は、紫外線照射装置30からの光をほぼ全て、ケーシング20に中に透過できる。
赤外線カットガラス38を通過した紫外線照射装置30の光源34からの光は、窓50を透過し、ケーシング20の中を搬送される塗膜16、及び支持体Wに照射される。
ケーシング20の中に存在する酸素が、紫外線硬化性化合物の反応を阻害する。ノズル24(図1参照)から不活性ガスを噴射され、ケーシング20の中が不活性ガスに置き替えられる。したがって、ケーシング20、特に窓50のカバーガラス52から不活性ガスをリークさせないことが好ましい。なお、図2において、赤外線カットガラス38が紫外線照射装置30に配置され、カバーガラス52がケーシング20に配置される場合について説明したが、カバーガラス52を紫外線照射装置30の中に配置することができる。ここでは、配置される位置にかかわらず、カバーガラス52は、紫外線照射装置30とケーシング20との境界面を構成する。
図3は、赤外線カットガラス38の斜視図である。図3に示されるように、赤外線カットガラス38は、平面視で四角形のガラス板40により構成される。ガラス板40は、例えば、溶融石英ガラス、及び合成石英ガラスの何れかで構成されることが好ましい。溶融石英ガラスは水晶の粉末を酸水素炎で溶融した石英ガラスである。合成石英ガラスは、四塩化ケイ素を加水分解して得られる石英ガラスである。石英ガラスにすることにより、熱膨張係数を小さくでき、200nmの波長の光を透過させることができる。
ガラス板40は、対向する2個の主面40Aと、2個の主面40Aを繋ぐ4個の端面40Bとを有している。主面40Aは面積の大きな部分で、光源34からの光(後述する誘電体膜で反射、又は吸収される光を除く)を透過する面になる。主面40Aは、0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。0.1μm以下の算術平均粗さにすることにより、ガラス板40の主面40Aでの光の散乱、屈折率のバラツキを小さくでき、ガラス板40に求められる光学特性を維持することができる。
赤外線カットガラス38は、光源34からの赤外線をカットするため、2個の主面40Aの少なくとも一方の主面に、複数の誘電体膜(不図示)が形成されている。複数の誘電体膜は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層した構造を有する。低屈折率層を構成する材料として、酸化チタン等を挙げることができ、高屈折率層を構成する材料としてシリカ等を挙げることができる。
実施形態の赤外線カットガラス38は、両方の主面40Aに複数の誘電体膜が形成されることが好ましい。一方の主面40Aのみに複数の誘電体膜を形成すると、複数の誘電体膜が全体として厚くなり、クラック等が生じる懸念がある。両方の主面40Aに複数の誘電体膜を形成することで、誘電体膜のクラックを回避できる。
実施形態において、赤外線カットガラス38の複数の誘電体膜は、700nm以上2000nm以下の波長域において78%以下の透過率を有するように構成される。また、赤外線カットガラス38は石英ガラスで構成されるので、200nm以上400nm以下の波長域において92%以上の透過率を有することができる。透過率は分光光度計により測定することができる。
図4は、枠体44に支持された赤外線カットガラス38を光源の側から見た平面図である。図5はV−V線に沿う断面図である。図4に示されるように枠体44は、2個のスライド枠体44Aと、2個の固定板44Bとにより構成される。スライド枠体44Aと固定板44Bとは、金属で構成され、例えばアルミニウムで構成することが好ましい。
複数の赤外線カットガラス38は、長手方向に沿う端面40Bの側で2個のスライド枠体44Aにより支持され(図5参照)、かつ複数の赤外線カットガラス38は2個の固定板44Bによりスライド枠体44Aに沿って両側から挟み込まれている。その結果、複数の赤外線カットガラス38は、ガラス板40のそれぞれの端面40B同士を接触させて、隙間なく一方向に並べて配置される。ここで、一方向は、支持体Wの幅方向に沿う方向である。複数の赤外線カットガラス38を隙間なく配置することにより、紫外線硬化性化合物の反応に寄与しない波長の光が、複数の赤外線カットガラス38の間を通過してしまうことを防止できる。なお、固定板44Bはネジ等で固定され、複数の赤外線カットガラス38が移動することを防止する。複数の赤外線カットガラス38は平面視で四角形であればよく、矩形であることがより好ましい。
図5に示されるように、赤外線カットガラス38はU字型の断面を有するスライド枠体44Aに支持される。スライド枠体44Aから固定板44Bを取り外した際、赤外線カットガラス38をスライド枠体44Aに沿って移動させて配置できるよう、赤外線カットガラス38と2個のスライド枠体44Aと間には1.5mm以下のクリアランス合計が設けられている。
図6は、枠体54に支持されたカバーガラス52を光源34の側から見た平面図である。図6に示されるように枠体54は、2個のスライド枠体54Aと、2個の固定板54Bとにより構成される。スライド枠体54Aと固定板54Bとは、金属で構成され、例えば、ステンレス鋼で構成させることができる。カバーガラス52は、支持体Wの幅方向に沿って、複数のガラス板53を、隣接する端面を互いに突き合わせて配列することにより構成される。カバーガラス52を構成するガラス板53は、溶融石英ガラス、及び合成石英ガラスの何れかで構成されることが好ましい。石英ガラスにすることにより、熱膨張係数を小さくでき、200nmの波長の光を透過させることができる。ガラス板53は対向する主面を有する。主面は0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。カバーガラス52の主面は、面積の大きな部分で、紫外線照射装置30の光源34からの光を透過させる面となる。0.1μm以下の算術平均粗さにすることにより、ガラス板53の主面での光の散乱、屈折率のバラツキを小さくでき、ガラス板53に求められる光学特性を維持することができる。
上述したように、カバーガラス52は、紫外線照射装置30とケーシング20との境界面となる。したがって、ケーシング20の中に満たされる不活性ガスが、カバーガラス52からケーシング20の外にリークすることを抑制する必要がある。図2に示されるように、ゴムパッキン56がスライド枠体54Aとカバーガラス52との間に介在するので、ケーシング20の中の不活性ガスが、カバーガラス52と枠体54との間からリークすることを防止することができる。
さらに、カバーガラス52を構成する複数のガラス板53を突き合せた部分からのリークを防止する必要がある。実施形態において、対向する主面と主面を繋ぐ端面を有する複数のガラス板53が端面を互いに突き合わせて配列され、かつ一方の主面の側の第1突き合わせ線と他方の主面の側の第2突合わせ線とが平面視して異なる位置にすることにより、不活性ガスのリークを防止する。
以下、具体的な構成について、図7から図10を説明して説明する。図7は第1実施形態のカバーガラス52の分解、及び組立斜視図である。図7に示されるように、ガラス板53は、対向する主面53Aと、対向する主面53Aを繋ぐ4個の端面53Bとを有している。対向する主面53Aは平面視で矩形である。端面53Bの中で、隣接するガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、ガラス板53の厚み方向に対して傾斜する傾斜面で構成される。傾斜する端面53B同士は、互いに平行の平面で構成されることが好ましい。端面53B同士を容易に突き合わせることができる。
隣接するガラス板53の端面53Bを互いに突き合わせて配列させると、一方の主面53Aの側に第1突き合わせ線53Cが、他方の主面53Aの側に第2突き合わせ線53Dが形成される。第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとが平面視で、異なる位置となる。平面視は、ガラス板53の一方の主面53Aを設置した状態で、他方の主面53Aの側から観察する。
互いに突き合わされる端面53Bを傾斜面にすることで、一方の主面53Aから他方の主面53Aへの不活性ガスの流れる経路が長くなる。その結果、不活性ガスの通気抵抗を上げることができ、カバーガラス52から不活性ガスがリークすることを抑制できる。
ガラス板53の主面53Aは矩形であり、ガラス板53が支持体Wの幅方向に沿って配列されているので、第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dは、支持体Wの搬送方向に対して平行となる。平行は、平行と略平行とを含む。
ガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。互いに突き合わされる端面53Bの算術平均粗さを0.1μm以下にすることにより、端面53Bに残存するクラックの数を少なくでき、又はクラックの深度を浅くできる。ガラス板53の端面53B同士の接触により端面53Bのクラックに応力が集中することを回避できる。結果として、紫外線照射装置30を動作させた場合において、カバーガラス52を構成するガラス板53の破損等を防止することができる。
互いに突き合わされる端面53Bを紫外線照射装置30の光源34からの光が透過するので、0.1μm以下の算術平均粗さにすることにより、端面53Bでの光の散乱、屈折率のバラツキを小さくでき、ガラス板53に求められる光学特性を維持することができる。
図8は第2実施形態のカバーガラス52の分解、及び組立斜視図である。なお、図7と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略する場合がある。図8に示されるように、ガラス板53は、対向する主面53Aと、対向する主面53Aを繋ぐ4個の端面53Bと有している。対向する主面53Aは平面視で矩形である。端面53Bの中で、隣接するガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、ガラス板53の厚みの方向tに対して垂直な垂直面53Fと、ガラス板53の厚みの方向tに対して平行な平行面53Eとにより構成される。垂直とは垂直と略垂直とを含む、平行は平行と略平行とを含む。
隣接するガラス板53の互いに突き合わされる端面53B同士は、互いに平行な垂直面53F、及び互いに平行な平行面53Eで構成されることが好ましい。端面53B同士を容易に突き合わせることができる。
隣接するガラス板53の端面53Bを互いに突き合わせて配列させると、一方の主面53Aの側に第1突き合わせ線53Cが、他方の主面53Aの側に第2突き合わせ線53Dが形成される。第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとが平面視で、異なる位置となる。
互いに突き合わされる端面53Bを垂直面53Fと平行面53Eとにより構成することにより、一方の主面53Aから他方の主面53Aへの不活性ガスの流れる経路が長くなる。その結果、不活性ガスの通気抵抗を上げることができ、カバーガラス52から不活性ガスがリークすることを抑制できる。図8では、端面53Bの垂直面53Fは1個であり、平行面53Eは2個であるが、数は特に限定されない。
第1実施形態と同様に、ガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。また、第1実施形態と同様に、第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dは、支持体Wの搬送方向に対して平行となる。
図9は第3実施形態のカバーガラス52の分解、及び組立斜視図である。なお、図7、及び図8と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略する場合がある。図9に示されるように、ガラス板53は、対向する主面53Aと、対向する主面53Aを繋ぐ4個の端面53Bと有している。対向する主面53Aは平面視で矩形である。4個の端面53Bは、主面53Aに垂直であり、ガラス板53の厚み方向に平行である。
複数のガラス板53は、支持体Wの幅方向に沿って、互いに端面53Bが突き合わされ、ガラス板53の2列のガラス列52Aが構成される。2列のガラス列52Aが、突き合わされる端面53B同士が、重なり合わないように、主面53A同士が積層され、カバーガラス52が構成される。
図9に示されるように、一列目のガラス列52Aの一方の主面53Aの側に第1突き合わせ線53Cが、二列目のガラス列52Aの他方の主面53Aの側に第2突き合わせ線53Dが形成される。第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとが平面視で、異なる位置となる。
2列のガラス列52Aが、突き合わされる端面53B同士が、重なり合わないように、主面53A同士が積層され、カバーガラス52が構成されるので、一方の主面53Aから他方の主面53Aへの不活性ガスの流れる経路が長くなる。その結果、不活性ガスの通気抵抗を上げることができ、カバーガラス52から不活性ガスがリークすることを抑制できる。
第1実施形態、又は第2実施形態と同様に、ガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。また、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dは、支持体Wの搬送方向に対して平行となる。
図10は第4実施形態のカバーガラス52の分解、及び組立斜視図である。なお、図7から図9と同様の構成に同様の符号を付して説明を省略する場合がある。図10に示されるように、ガラス板53は、対向する主面53Aと、対向する主面53Aを繋ぐ4個の端面53Bと有している。対向する主面53Aは平面視で矩形ではない。端面53Bの中で、隣接するガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、ガラス板53の厚みの方向tに対して垂直な垂直面53Fと、ガラス板53の厚みの方向tに対して平行な平行面53Eとにより構成される。垂直とは垂直と略垂直とを含む、平行は平行と略平行とを含む。
隣接するガラス板53の互いに突き合わされる端面53B同士は、互いに平行な垂直面53F、及び互いに平行な平行面53Eで構成されることが好ましい。端面53B同士を容易に突き合わせることができる。
隣接するガラス板53の端面53Bを互いに突き合わせて配列させると、一方の主面53Aの側に第1突き合わせ線53Cが、他方の主面53Aの側に第2突き合わせ線53Dが形成される。第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとが平面視で、異なる位置となる。
互いに突き合わされる端面53Bを垂直面53Fと平行面53Eとにより構成することにより、一方の主面53Aから他方の主面53Aへの不活性ガスの流れる経路が長くなる。その結果、不活性ガスの通気抵抗を上げることができ、カバーガラス52から不活性ガスがリークすることを抑制できる。図10では、端面53Bの垂直面53Fは1個であり、平行面53Eは2個であるが、数は特に限定されない。
第1実施形態から第3実施形態と同様に、ガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bは、0.1μm以下の算術平均粗さを有することが好ましい。
ガラス板53の主面53Aは矩形ではなく、ガラス板53が支持体Wの幅方向に沿って配列されているので、第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dは、第1実施形態から第3実施形態とは異なり、支持体Wの搬送方向に対して傾斜させている。
紫外線照射装置30の光源34からの光が、ガラス板53の互いに突き合わされる端面53Bの領域で、散乱等により不均一になる懸念がある。第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dが搬送方向と平行である場合、支持体Wの上に搬送方向に沿って同じ位置に連続して不均一な光が照射される。その結果、搬送方向に沿って、連続的に塗膜16に欠陥が発生する。一方、第4実施形態では、第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dが搬送方向に対して傾斜しているので、光の不均一性を平均化できる。したがって、同じ位置に連続的に塗膜16に欠陥が発生することを抑制できる。実施形態の図10では、第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとが平行である場合を示した。第1突き合わせ線53C、及び第2突き合わせ線53Dが搬送方向に対して傾斜している限り、第1突き合わせ線53Cと第2突き合わせ線53Dとの位置関係は、何ら限定されない。搬送方向に対して傾斜とは、カバーガラス52を平面視した状態において、搬送方向と第1突き合わせ線53Cとが、及び搬送方向と第2突き合わせ線53Dとが一致していない場合を意味する。
本明細書において、算術平均粗さは、JIS B0601(1994)に基づく算術平均粗さRaを意味する。算術平均粗さは、表面粗さ計(ミツトヨ製、型式SJ−201、精度 0.01μm、JIS B0601−1994準拠)を用いて測定することができる。
ガラス板53の主面53A、及び端面53Bをアルミナ、酸化セリウム等の砥粒を用いてバフ研磨を施すことより、0.1μm以下の算術平均粗さにできる。研磨された主面53A、及び端面53Bが光学研磨面であることが好ましい。光学研磨面とすることで、光の散乱、屈折率のバラツキ等が低減され、光学的機能を発揮できる。
上述したように、実施形態では、カバーガラス52が複数のガラス板53により構成される。カバーガラス52と枠体54との熱膨張係数の差に起因して、カバーガラス52と枠体54とのクリアランスが小さくなり、カバーガラス52にストレスが加えられる場合がある。複数のガラス板53は、微小な移動が許容されているので、カバーガラス52に加わるストレスを緩和できる。したがって、熱膨張係数の差に起因するカバーガラス52の破損等を回避することができる。
次に、図1を参照して、光学フィルムの製造方法について説明する。送り出し装置10に支持体Wを巻き回したロールがセットされる。支持体Wは、可撓性の連続した帯状であって、対向する面積の大きな面を有し、膜厚の薄い部材を意味する。支持体Wを構成する材質として、樹脂フィルムを挙げることができる。樹脂フィルムの材質として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル重合体、6,6−ナイロン、6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロースアセテート等が例示することができる。
送り出し装置10から支持体Wが、例えば、0.1m/秒から1.5m/秒の搬送速度で送り出される。
塗布装置14から塗布液が支持体Wの一方面に供給され、支持体Wの一方面に塗膜16が形成される。塗膜16とは、支持体Wに塗布された塗布液を意味し、乾燥前、乾燥後、硬化前、及び硬化後の塗布液を含む。塗膜16が形成された支持体Wが搬送される(搬送工程)。
塗布装置14の方式は、エクストルージョンコート方式、ディップコート方式、エアーナイフコート方式、カーテンコート方式、スライドコート方式、ローラーコート方式、ワイヤーバーコート方式、及びグラビアコート方式の何れも適用することができ、これらには限定されない。
塗布液は、少なくとも紫外線硬化性化合物を含み、紫外線硬化性化合物以外にも溶媒、光重合開始剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
紫外線硬化性化合物としては、紫外線により硬化可能な紫外線硬化性化合物(紫外線硬化性モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の紫外線硬化性化合物等)等が例示できる。なお、紫外線硬化性モノマー、オリゴマー、及び低分子量の何れかであってもよい。紫外線硬化性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
紫外線硬化性化合物は、通常、紫外線硬化性基、例えば、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等)、又は感光性基(シンナモイル基等)を有しており、特に重合性基を有する紫外線硬化性化合物(例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂))が好ましい。
重合性基を有する紫外線硬化性化合物のうち、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系単量体、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート等のC1−6アルキル(メタ)アクリレート等)、シクロアルキル(メタ)アクリレート、橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等)、グリシジル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル等のビニルエステル、ビニルピロリドン等のビニル系単量体等]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート等の橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3から6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類等を使用できる。
使用される溶媒としては、各成分を溶解、又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃超の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)等の炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)等のエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)等のエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)等のケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)等のアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)等のシアノ化合物類、及び二硫化炭素(46.2℃)等がある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を超える溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)等がある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
紫外線吸収剤については特に制限はなく、特開2006−184874号公報[0107]〜[0185]段落に記載の化合物を挙げることができる。高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
界面活性剤としては、具体的にはフッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤あるいはその両者を含有することが好ましい。また、界面活性剤は、低分子化合物よりもオリゴマー、及びポリマーの何れかであることが好ましい。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制することができる。
塗膜16が形成された支持体Wが乾燥装置18の中に搬送される。乾燥装置18は、搬送される支持体Wの上に形成された塗膜16に含まれる、例えば溶媒を蒸発させることにより、塗膜16を乾燥させる。乾燥装置18に適用される乾燥方式について特に制限はなく、熱風による対流乾燥方式、赤外線等の輻射熱による輻射乾燥方式等、種々の乾燥方式を採用することができる。
乾燥装置18で乾燥された塗膜16が形成された支持体Wが、不活性ガス雰囲気下のケーシング20の中に搬送される。紫外線照射装置30の光源34からの光が、赤外線カットガラス38、及びケーシング20の窓50のカバーガラス52(図2参照)を介して、乾燥後の塗膜16の形成された支持体Wに照射される(照射工程)。
紫外線照射装置30の光源34からの光は、塗膜16に含まれる紫外線硬化性化合物を架橋反応、重合反応等の反応を起させ、塗膜16を硬化させる。硬化された塗膜16が機能層となる。機能層は、特に限定されず、たとえば、ハードコート層、防眩層、低透湿のバリア層、帯電防止層、反射防止層、光学異方性層等を挙げることができる。支持体Wに機能層を径背することにより、各種表示装置、発光装置、偏光板等の各種光学素子等の、光学部材に用いることができる光学フィルムを製造することができる。
上述したように、カバーガラス52が、複数のガラス板53で構成され、一方の主面53Aの側の第1突き合わせ線53Cと他方の主面53Aの側の第2突き合わせ線53Dとが平面視で、異なる位置にあるので、ケーシング20の中の不活性ガスが外にリークすることを抑制できる。
以下、本発明の実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<試験条件>
光源として独Honle社製の高圧水銀ラランプ(最大出力160W/cm)を用い、光源の紫外線照射量の出力を、30%から100%まで変化させて、断続的に使用した。なお、カバーガラスの温度は100℃から300℃と推定される。
<試験1>
図7に示される複数のガラス板を準備し、カバーガラスを構成した。ガラス板の主面、及び端面を研磨し、ガラス板の主面、及び端面の算術平均粗さ0.1μmとした。
<試験2>
図8に示される複数のガラス板を準備し、カバーガラスを構成した。ガラス板の主面、及び端面を研磨し、ガラス板の主面、及び端面の算術平均粗さ0.1μmとした。
<試験3>
図9に示される複数のガラス板を準備し、カバーガラスを構成した。ガラス板の主面、及び端面を研磨し、ガラス板の主面、及び端面の算術平均粗さ0.1μmとした。
<試験4>
図10に示される複数のガラス板を準備し、カバーガラスを構成した。ガラス板の主面、及び端面を研磨し、ガラス板の主面、及び端面の算術平均粗さ0.1μmとした。
<試験5>
主面と端面との境界線において、主面と端面との成す角が垂直である、一般的な形状のガラス板を複数準備した。ガラス板の主面、及び端面を研磨し、ガラス板の主面、及び端面の算術平均粗さ0.1μmとした。隣接するガラス板の端面同士を溶接し、一枚のカバーガラスを準備した。
<評価>
試験1乃至試験5のカバーガラスを準備し、紫外線照射システムにセットした。試験条件にしたがって、紫外線の照射を実施した。評価は、100℃、200℃、及び300℃における、試験1乃至試験5の(1)ケーシングの中の不活性ガスのリークの有無、(2)カバーガラスの破損等を確認した。
(不活性ガスのリークの有無)
ケーシング内の酸素濃度で評価した。ケーシング内の酸素濃度を、酸素濃度計(理研計器株式会社製、型式 LC−750H(D))を用いて測定した。下記の評価基準の何れに含まれるかを判定した。実用的には、Aであることが求められる。
A:10ppm以上100ppm以下。
B:100ppmを超える。
(カバーガラスの破損等)
100℃、200℃、及び300℃の温度で、紫外線照射システムからカバーガラスを取り出し、ガラス板の加工部分をマイクロスコープ(キーエンス製、型式デジタルマイクロスコープ VHX−1000)により観察した。観察の結果、下記の評価基準の何れに含まれるかを判定した。Aの場合を「破損無し」と判定し、Bの場合を「破損有り」と判定した。実用的には、Aであることが求められる。
A:加工部分において平面であり、剥離が見られない。
B:加工部分において剥離が見られる。
図11は、試験1乃至試験5の評価結果をまとめた表である。リークの有無について、試験1から試験4はAの評価であり、試験5と同様の評価であった。不活性ガスがリークしていないことが理解できる。100℃、200℃、及び300℃での破損の有無について、試験1から試験4はAの評価であり、破損が生じていないことが理解できる。一方、試験5は、100℃ではAの評価であったが、200℃、300℃では、Bの評価であった。試験5では、枠体とカバーガラスの熱膨張係数の差に起因してカバーガラスにストレスが加わった場合、カバーガラスが一枚板であるためストレスを緩和できず、破損が生じたと推定される。
観察結果から、実施形態のカバーガラスは、リークを防止でき、破損等が生じないことが理解できる。
1 製造ライン
10 送り出し装置
12 巻き取り装置
14 塗布装置
16 塗膜
18 乾燥装置
18A 入口開口
18B 出口開口
20 ケーシング
20A 入口開口
20B 出口開口
24 ノズル
30 紫外線照射装置
32 筐体
32A 第1室
32B 第2室
34 光源
36 反射鏡
38 赤外線カットガラス
40 ガラス板
40A 主面
40B 端面
44 枠体
44A スライド枠体
44B 固定板
46 冷却機構
50 窓
52 カバーガラス
52A ガラス列
53 ガラス板
53A 主面
53B 端面
53C 第1突き合わせ線
53D 第2突き合わせ線
53E 平行面
53F 垂直面
54 枠体
54A スライド枠体
54B 固定板
56 ゴムパッキン
60 紫外線照射システム
W 支持体

Claims (12)

  1. 光源と、搬送しながら前記光源からの光が照射される対象物との間に配置されるカバーガラスであって、
    対向する主面と前記主面を繋ぐ端面を有する複数のガラス板が、前記端面を互いに突き合わせて配列され、かつ一方の前記主面の側の第1突き合わせ線と他方の前記主面の側の第2突き合わせ線とが平面視で、異なる位置にあるカバーガラス。
  2. 互いに突き合わされる前記端面は、0.1μm以下の算術平均粗さを有する請求項1に記載のカバーガラス。
  3. 前記第1突き合わせ線と前記第2突き合わせ線とが前記対象物の搬送方向に対して平行であり、かつ互いに突き合わされる前記端面は、前記ガラス板の厚み方向に対して傾斜する傾斜面で構成される請求項1又は2に記載のカバーガラス。
  4. 前記第1突き合わせ線と前記第2突き合わせ線とが前記対象物の搬送方向に対して平行であり、かつ互いに突き合わされる前記端面は、前記ガラス板の厚み方向に対して垂直な垂直面と平行な平行面とで構成される請求項1又は2に記載のカバーガラス。
  5. 前記第1突き合わせ線と前記第2突き合わせ線とが前記対象物の搬送方向に対して傾斜し、かつ互いに突き合わされる前記端面は、前記ガラス板の厚み方向に対して垂直な垂直面と平行な平行面とで構成される請求項1又は2に記載のカバーガラス。
  6. 前記ガラス板が、溶融石英ガラス、及び合成石英ガラスの何れかである請求項1から5の何れか一項に記載のカバーガラス。
  7. 搬送される対象物に向けて光を放射する光源と、
    前記光源と前記対象物との間に配置される赤外線カットガラスと、
    前記赤外線カットガラスと前記対象物との間に配置される請求項1から6の何れか一項に記載のカバーガラスと、
    前記カバーガラスを支持するケーシングと、
    を有する紫外線照射システム。
  8. 前記光源は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、及び発光ダイオードの何れかである請求項7に記載の紫外線照射システム。
  9. 前記光源に対して前記複数の赤外線カットガラスと反対側に配置され、前記光源から放射される光を前記対象物に向けて反射する反射鏡を備える請求項7又は8に記載の紫外線照射システム。
  10. 前記反射鏡に対して前記光源と反対側に配置される冷却機構を備える請求項9に記載の紫外線照射システム。
  11. 紫外線硬化性化合物を含む塗膜が形成された支持体を搬送する搬送工程と、
    請求項7から10の何れか一項に記載された紫外線照射システムから対象物である前記塗膜が形成された前記支持体に光を照射する照射工程と、
    を含む光学フィルムの製造方法。
  12. 前記照射工程が前記ケーシング内を不活性ガス雰囲気下にして行われる請求項11に記載の光学フィルムの製造方法。
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