JP6924534B1 - 固液分離装置及び汚泥処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】濾過工程の効率を向上することが可能な固液分離装置を提供する。【解決手段】供給された処理対象物Sの濾過を行う濾過部2と、受け入れた処理対象物Sを濾過部2に供給する供給部3とを備え、供給部3は、受け入れた処理対象物Sを収容すると共に処理対象物Sを濾過部2に供給する収容部4と、収容部4から処理対象物Sを排出する排出口5と、収容部4に受け入れた処理対象物Sの整流を行う整流部材6とを備え、整流部材6は、収容部4を、処理対象物Sが貯容され整流が行われる貯容部11と、処理対象物Sが排出口5より排出される排出部12とに分割すると共に、その下端に貯容部11と排出部12とを連通する隙間Bを有する固液分離装置1。【選択図】図2

Description

本発明は、畜産糞尿から発生する畜産汚水、食品工場等の排水処理から発生する含油汚泥、下水処理から発生する余剰汚泥、金属加工、メッキ、建設系、食肉加工場、弁当製造等の食品加工等の現場から発生する汚泥等の処理対象物中に含まれる固形物と水分とを分離する固液分離装置、及びこの固液分離装置を用いた汚泥処理装置に関する。
比較的多くの水分を含んだ処理対象物、例えば汚泥水を濾過して脱水処理する固液分離装置が知られている(例えば「特許文献1」参照)。
また、上述した固液分離装置を水処理装置と共に用いて廃水処理装置を構成する技術が知られている(例えば「特許文献2」参照)。
特許第3894366号公報 特開2005−118662号公報
上述した固液分離装置においては、濾過部に供給される原水を貯留する水槽から濾過部への原水の供給を、濾過部の幅方向において均一に行うことが濾過工程の効率の上で望ましい。
本発明は、濾過工程の効率を向上することが可能な固液分離装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、供給された処理対象物の濾過を行う濾過部と、受け入れた前記処理対象物を前記濾過部に供給する供給部とを備え、前記供給部は、受け入れた前記処理対象物を収容すると共に前記処理対象物を前記濾過部に供給する収容部と、前記収容部から前記処理対象物を排出する排出口と、前記収容部に受け入れた前記処理対象物の整流を行う整流部材とを備え、前記整流部材は、前記収容部を、前記処理対象物が貯容され前記整流が行われる貯容部と前記処理対象物が前記排出口より排出される排出部とに分割すると共に、その下端に前記貯容部と前記排出部とを連通する隙間を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の固液分離装置において、さらに前記整流部材は前記収容部に移動自在に支持され、前記隙間の大きさを調整可能であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の固液分離装置において、さらに前記貯容部に貯容される前記処理対象物の量を調整可能な調整部材を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の固液分離装置において、さらに前記調整部材は前記整流部材の上部に上下動可能に支持されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の固液分離装置において、さらに前記調整部材は前記貯容部と前記排出部とを連通する開口部を有し、前記濾過部は前記処理対象物を濾過する濾過体を備え、前記開口部の装置幅方向における長さは少なくとも前記濾過体の前記装置幅方向における長さと同等であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の固液分離装置において、さらに前記整流部材の下端部は前記貯容部側から前記排出部側に向けて曲面状となるように形成されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の固液分離装置において、さらに前記排出口は前記排出部の幅方向にわたって形成されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の固液分離装置において、さらに前記濾過部は、前記供給部側から当該供給部から離れる側へ延びるプレートを、当該プレートの長手方向とほぼ直交するプレート厚み方向にほぼ一定の間隔で複数配置して一体化した第1のプレート群と、前記長手方向に延びる複数のプレートを前記第1のプレート群の前記プレート間に入り込むように配置して一体化した第2のプレート群とを有し、前記各プレート群のうち少なくとも一方を、互いの前記プレートの上面が交互に変位するように平行運動を行わせることで、前記濾過を行うことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の固液分離装置において、さらに前記第1のプレート群と前記第2のプレート群とは、前記上面が前記離れる側に向けて上方に傾斜しており、前記平行運動によって前記上面上において前記処理対象物を前記離れる側に向けて搬送する過程で前記濾過を行うことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載の固液分離装置において、さらに前記貯容部の、前記収容部と前記整流部材とが対向する対向方向における間隔は、下方に向けて狭くなっていることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、供給された原水から異物を除去する異物除去装置と、前記異物除去装置によって異物が除去された前記原水をフロック化した後に濾過及び脱水する前処理装置と、前記前処理装置によって前処理された前記原水を曝気処理した後、生じた汚泥を処理する余剰汚泥処理装置とを備えた汚泥処理装置において、前記異物除去装置は、請求項1ないし10の何れか一つに記載の固液分離装置であり、前記処理対象物を前記原水とし前記異物を除去することで前記濾過を行うことを特徴とする。
本発明によれば、供給部から濾過部に対する原水の供給を濾過部の幅方向において均一に行うことができ、濾過部が原水を均一に濾過することが可能となり濾過工程の効率を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る固液分離装置としての異物除去装置の概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る異物除去装置の概略正面図である。 本発明の一実施形態に用いられる整流板の(a)概略平面図(b)概略正面図(c)概略側断面図である。 本発明の一実施形態に用いられる調整部材の(a)概略平面図(b)概略正面図である。 本発明の一実施形態に用いられる濾過部を供給部側から見た概略側面図である。 本発明の一実施形態に用いられる濾過部の概略分解斜視図である。 本発明の一実施形態に用いられる濾過体を説明する概略斜視図である。 本発明の一実施形態に用いられる濾過体を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる(a)第1の軸及び第2の軸と第1偏心カムとの位置関係を示す概略図(b)第1の軸及び第2の軸と第2偏心カムとの位置関係を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る異物除去装置の概略平面図である。 従来の異物除去装置を示す(a)概略平面図(b)概略正面図(c)概略側面図である。 本発明の一実施形態の変形例に用いられる排出口及び排出部材の(a)概略平面図(b)概略断面図(c)概略側面図である。 本発明の一実施形態に係る(a)汚水処理装置の概略図(b)汚水処理装置に用いられる異物除去装置の概略図(c)汚水処理装置に用いられる前処理装置の概略図(d)汚水処理装置に用いられる余剰汚泥処理装置の概略図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る固液分離装置としての異物除去装置(スクリーンともいう)を示している。同図において異物除去装置1は、処理対象物である原水から異物を除去する、異物除去工程である濾過工程を行う濾過部2と、濾過部2に供給される原水を収容して、収容した原水を濾過部2に供給する供給部3とを有している。
異物除去装置1は、原水を貯容した原水槽から送られた原水から、比較的大型の固形物である異物(し渣)の除去を目的としている。本実施形態において異物除去装置1が処理する原水は、畜舎から発生する余剰汚泥等を含んだ畜産汚水であり、水分と固形物とが混在した態様を呈している。
図1において、図の左右方向を示す矢印Xは異物除去装置1の長さ方向を、図の奥行き方向を示す矢印Yは異物除去装置1の幅方向を、図の上下方向を示す矢印Zは異物除去装置1の高さ方向をそれぞれ示している。以下、装置長さ方向X、装置幅方向Y、装置高さ方向Zという。先ず供給部3について説明し、濾過部2については後述する。
供給部3は、図1及び図2に示すように、受け入れた原水を収容すると共にこの原水を濾過部2に供給する、原水を収容する水槽である収容部4を備えている。箱形形状に形成され内部に原水が供給される収容部4は、供給された原水の漏出を防止する図示しないパッキン等の防水部材を有している。収容部4の、図2において右側端部である装置長さ方向Xの一端部側の外壁面には、内部に収容された原水を排出する排出口5が設けられている。排出口5には図示しない配管が接続されており、排出された原水はこの配管を通って原水槽に戻される。収容部4の装置長さ方向X側の他端部は、後述する濾過部2の一端部に接続されている。
収容部4の装置長さ方向Xにおけるほぼ中央部には整流部材6が設けられており、整流部材6の上方には原水槽から収容部4に原水を供給する原水供給管7が設けられている。整流部材6は、原水供給管7から供給される原水が衝突することにより、原水供給管7から収容部4に供給される原水の水勢を抑制して、供給される原水を整流させる機能を有する整流板8と、整流板8の上部に設けられ収容部4内における原水の水位を調整する調整部材9とを有している。
図3(a)は整流板8の平面図を、図3(b)は同正面図を、図3(c)は図3(b)における装置幅方向Yのほぼ中央部で切断した整流板8の側断面図をそれぞれ示している。整流板8は、装置高さ方向Zにおけるほぼ中央部を境として、下方に配置され原水を整流させる機能を有する整流部8Aと、上方に配置され調整部材9を保持する保持部8Bとを一体的に有している。整流部8Aと保持部8Bとは、図3(c)に示す所定の角度θを形成するように構成されている。
整流部8Aは、その装置幅方向Yにおける長さAが収容部4の内壁における同方向Yの長さよりも若干短く形成されており、整流板8は収容部4の内部において装置高さ方向Zに向けて移動可能に構成されている。
整流部8Aの装置幅方向Yにおける両端部近傍には、それぞれ上下方向に二個ずつ並んだ四個の長穴8aが形成されている。整流板8は、各長穴8aに挿通されたボルトや蝶ねじ等の固定手段67によって、収容部4の内壁に固定されたアングル材からなる固定部材10(図3(b)に二点鎖線で示す)に上下動自在に固定される。整流板8は、保持部8Bの整流部8Aに連続する壁面が、図3(c)に一点鎖線で示す鉛直線Gに対してほぼ平行となる態様で収容部4に取り付けられる。これにより整流部8Aは、鉛直線Gに対して(180−θ)度傾斜した態様で収容部4内に固定される。
収容部4内に整流板8が固定されたとき、整流板8の装置幅方向Yにおける両端部は、それぞれ図示しないガスケット等の水密性を有する部材を介して収容部4の内壁に接触する。この構成より、原水供給管7から供給された原水は整流板8を境として図2に示すように収容部4の左側のみに収容されて収容部4の右側には供給されず、収容部4は整流板8によって、原水が貯容され整流が行われる貯容部11と原水が排出口5から排出される排出部12とに分割される。
整流部8Aの下端部8bは、図2及び図3(c)に示すように、貯容部11側から排出部12側に向けて曲面状となるように曲折形成されている。整流板8は、収容部4内に固定されたときに、図2に示すように下端部8bと収容部4の底面との間に所定の距離を有する隙間Bが生じるように形成されており、この隙間Bによって貯容部11と排出部12とが連通される。
隙間Bの長さは、固定手段67を緩めて整流板8を固定部10に対して上下動させた後に再び固定手段67を固定することによって調整され、原水中に混在する異物の大きさ等によって決定される。例えば、配合飼料や大豆かす等の未消化物、豚毛、その他の固形物等を含む豚舎からの汚水である原水に対しては、隙間Bが5〜30mm程度に設定される。この程度の長さに隙間Bを設定することにより、異物が隙間Bに引っ掛かることを防止できる。なお、30mmを超える大きさの異物は原水槽側の給水ポンプによる給送が困難であるため、収容部4には給送されない。
保持部8Bは筒状に形成されており、その装置長さ方向Xにおいて前面側に位置する側板、すなわち図3(c)において左側に位置する側板8cは、その下端部が角度θを持って整流部8Aの上端部に対して連続するように形成されている。側板8cの両側端部にはそれぞれ側板8d,8eの一側端部が、各側板8d,8eの他側端部には側板8fの両側端部がそれぞれ一体的に接続されており、各側板8c,8d,8e,8fによって図3(a)に示す筒状の保持部8Bが構成される。
なお、本実施形態では各側板8c,8d,8e,8fからなる四個の部材をそれぞれ接合して保持部8Bを構成したが、保持部8Bの構成はこれに限られず、二個以上の部材をそれぞれ接合して構成しても、一つの部材を加工して構成してもよい。また、整流部8Aと保持部8Bとは、一つの部材から一体形成しても、それぞれ別々の部材から構成してこれを接合して形成してもよい。
各側板8d,8e,8fの装置高さ方向Zにおける長さは側板8cの装置高さ方向Zにおける長さよりも短く形成されており、保持部8Bの筒状部は装置高さ方向Zにおいて整流部8Aとの境界部までは到達しない長さに形成されている。上述の構成より、保持部8Bには各側板8c,8d,8e,8fによって囲まれた空間部8gが形成される。
各側板8c,8fには、それぞれ上端部から装置高さ方向Zのほぼ中央部にかけて下方に切り欠かれた開口部8hが形成されている。図3(b)に示すように、開口部8hはその装置幅方向Yにおける長さがCとなるように形成される。
図4(a)は調整部材9の平面図を、図4(b)は同正面図をそれぞれ示している。調整部材9は調整部9Aと把持部9Bと固定部9Cとを有しており、調整部9Aと把持部9Bとは一体的に構成され、固定部9Cは把持部9Bに対して係合可能に構成されている。
調整部9Aは、その外形、すなわち装置長さ方向Xにおける長さDと装置幅方向Yにおける長さEとが、上述した空間部8gにおける同方向の長さよりもそれぞれ若干短くなるように形成されている。この構成より、調整部9Aは空間部8gの内部において装置高さ方向Zに向けてしっくりと移動可能に構成されている。
調整部9Aは、側板9a、側板9b、側板9c、上板9dを有しており、その装置長さ方向Xにおいて前面側に位置する側板、すなわち図4(a)において下側に位置する側板9aには、開口部9eが形成されている。開口部9eの装置幅方向Yにおける長さは、開口部8hの装置幅方向Yにおける長さCと同じまたは若干短い長さFとなるように形成されている。この長さFは、後述する濾過部2が有する濾過体58の装置幅方向Yにおける長さL(図5参照)と同じ以上となるように構成されている。
把持部9Bは、取っ手部9fと支持部9gとから構成されている。丸棒あるいは円筒等の丸棒状の部材からなる支持部9gは、ねじ止め、溶接、接着等の方法によって上板9dの上面のほぼ中央部にその下端を取り付けられている。支持部9gと同様の丸棒状の部材からなる取っ手部9fは、その長手方向の中央部を支持部9gの上端にT字形状となるように取り付けられている。
装置高さ方向Zに所定の長さを有する板材からなる固定部9Cは、その上面及び下面の中央部に装置高さ方向Zに向けて貫通する孔部9hを有している。孔部9hは、その直径が支持部9gの外形よりも若干大きく形成されており支持部9gがその内部を上下動可能となるように構成されている。固定部9Cの一側面には、孔部9hに直交する向きで孔部9hに達するように形成されたネジ穴が形成されており、このネジ穴にはボルトや蝶ねじ等の固定手段9iが螺合している。
固定部9Cは、図2に示すように、収容部4の上端部に、装置幅方向Yにわたって掛け渡されて設けられた取付部材13に対して取り付けられる。取付部材13に固定部9Cが固定された状態で、取っ手部9fを把持して固定手段9iを緩めることにより、保持部8Bに対して調整部材9を上下動可能である。そして、所定の位置で固定手段9iを締め付けることにより、整流板8に対して調整部材9を位置決めすることができる。
上述したように、整流板8が収容部4の内壁に固定された固定部材10によって上下動自在に支持され、整流板8に設けられた保持部8Bに調整部材9が支持されていることから、整流板8を装置高さ方向Zに上下動させると調整部材9が装置長さ方向Xに移動することとなる。このため、取付部材13には図示しない長穴が形成されており、整流板8の上下動時において取付部材13は、収容部4に対して装置長さ方向Xに向けて取り付け位置が調整可能に構成されている。
次に、濾過部2について説明する。図5は濾過部2を異物除去装置1の装置長さ方向Xにおいて供給部3側、すなわち図2において濾過部2をその右側端部側から見た図を、図6は濾過部2の分解斜視図をそれぞれ示している。
濾過部2は、ベース14、第1プレートユニット15、第2プレートユニット16を有し、ベース14は互いに対向した一対の側板17,18、及び各側板17,18を一体的に連結するステー19,20から構成されている。ベース14の上部及び下部は開放されている。図5では、ステー19の一部を破断して示している。
第1プレートユニット15は、互いに対向した一対の側板21,22、各側板21,22を一体的に連結するステー23,24、各側板21,22間に配置されたプレートとしての複数の第1フィルタプレート25を具備している。
第2プレートユニット16は、互いに対向した一対の側板26,27、各側板26,27を一体的に連結するステー28,29、各側板26,27間に配置されたプレートとしての複数の第2フィルタプレート30を具備している。
図5に示すように、第2プレートユニット16の各側板26,27は第1プレートユニット15の各側板21,22間に配置されている。本実施形態において、各側板21,22,26,27はそれぞれ一枚の板材から構成しているが、濾過部2を構成する各部品の組付けを容易化するため、各側板21,22,26,27を互いに着脱可能な複数の板材から構成してもよい。
図7及び図8に示すように、第1フィルタプレート25及び第2フィルタプレート30は、共に金属または硬質樹脂等の高剛性を有する細長い形状の板材から構成され、それぞれの厚みt1,t2は例えば1〜4mm程度、好ましくは1〜3mm程度、本実施形態では1.5mmのものを使用している。また、各フィルタプレート25,30の幅W1,W2は濾過部2の仕様によって異なるが、例えば20〜30mm程度である。
複数の第1フィルタプレート25は、その長手方向各端部を貫通する支持棒31,32によってそれぞれ支持され、各支持棒31,32の長手方向各端部が側板21,22にそれぞれ固定されている。複数の第2フィルタプレート30は、その長手方向各端部を貫通する支持棒33,34によってそれぞれ支持され、各支持棒33,34の長手方向各端部が側板26,27にそれぞれ固定されている。
上述のように、複数の第1フィルタプレート25と複数の第2フィルタプレート30とがそれぞれ一体的に組み付けられ、複数の第1フィルタプレート25からなる第1のプレート群35と、複数の第2フィルタプレート30からなる第2のプレート群36(共に図6参照)とがそれぞれ構成されている。第1のプレート群35と第2のプレート群36とによって、原水を濾過する濾過体58が構成される。濾過体58は、図5に示すように、その装置幅方向Yにおける長さがLとなるように構成されている。この長さLは、図10に示す異物除去装置1の概略平面図に示すように、開口部9eの装置幅方向Yにおける長さF以下となるように構成されている。
図7に示すように、各第1フィルタプレート25間には支持棒31,32に嵌合した円筒状のスペーサ37,38がそれぞれ配置され、各スペーサ37,38の働きにより各第1フィルタプレート25は、互いに所定の間隔を空けてほぼ平行に配置されている。各第2フィルタプレート30間にも支持棒33,34に嵌合した円筒状のスペーサ39,40がそれぞれ配置され、各スペーサ39,40の働きにより各第2フィルタプレート30は、互いに所定の間隔を空けてほぼ平行に配置されている。
ここで、各フィルタプレート25,30は、各第2フィルタプレート30が各第1フィルタプレート25の間に位置するように配置され、各支持棒31,32,33,34の長手方向に各フィルタプレート25,30が交互に位置する態様でそれぞれ配置されている。このように本実施形態で示す濾過部2は、互いに間隔を空けてほぼ平行に配置された複数の第1フィルタプレート25からなる第1のプレート群35と、それぞれ第1フィルタプレート25間に配置され互いにほぼ平行に位置する複数の第2フィルタプレート30からなる第2のプレート群36とを備えており、各フィルタプレート25,30はそれぞれ細長い形状の板材から構成されている。図8に示す、互いに隣り合う第1フィルタプレート25と第2フィルタプレート30との間隔G1は、処理対象物である原水の種類によっても異なるが、一般的に2mm以下、好ましくは0.1〜0.5mm程度に設定される。
図5に示すように、側板18にはモータMが取り付けられており、各側板17,18にはモータMによって回転駆動される第1の軸41が、軸受42,43を介して回転自在に支持されている。図6に示すように各側板17,18には、第1の軸41と平行に配置された第2の軸44が軸受45,46を介して回転自在に支持されている。各軸41,44の一端にはスプロケットホイール47,48がそれぞれ固定され、各スプロケットホイール47,48にはチェーン49が巻き掛けられている。各スプロケットホイール47,48及びチェーン49は、図5から明らかなように側板17の外側に配置されている。
図5及び図6に示すように、第1の軸41には二個の第1偏心カム50が固定され、第2の軸44には第1偏心カム50と同形状の第1偏心カム51が二個固定されている。各第1偏心カム50は、第1プレートユニット15が有する各側板21,22に形成された貫通孔にそれぞれ固定された二個の軸受52に、それぞれ回転可能に嵌合している。同様に各第1偏心カム51は、各側板21,22に形成された貫通孔にそれぞれ固定された二個の軸受53に、それぞれ回転可能に嵌合している。
さらに、第1の軸41には二個の第2偏心カム54が固定され、第2の軸44には第2偏心カム54と同形状の第2偏心カム55が二個固定されている。各第2偏心カム54,55は、後述するように各第1偏心カム50,51に対して角度位置を異ならせた状態で、各軸41,44にそれぞれ固定されている。各第2偏心カム54は、第2プレートユニット16が有する各側板26,27に形成された貫通孔にそれぞれ固定された二個の軸受56に、それぞれ回転可能に嵌合している。同様に各第2偏心カム55は、各側板26,27に形成された貫通孔にそれぞれ固定された二個の軸受57に、それぞれ回転可能に嵌合している。
図9(a)、図9(b)は、第1偏心カム50,51と第2偏心カム54,55とが第1の軸41と第2の軸44とにそれぞれ固定された状態を説明する図である。第1偏心カム50,51と第2偏心カム54,55とはそれぞれ同一半径の円板状に形成され、それぞれの中心O1,O2は各軸41,44の中心O3からδだけ離間している。この偏心量δは、適宜な値であり例えば5mmに設定されている。
また、第1偏心カム50,51の中心O1と第2偏心カム54,55の中心O2とは、中心O3を通る図9に示す基準線Hに対して所定の角度、本実施形態では180度の角度で互いにずらして配置されている。
これにより、各軸41,44が中心O3の周りに図9において反時計回り方向に回転すると、第1偏心カム50,51と第2偏心カム54,55とは180度の位相差を持って偏心回転し、第1のプレート群35と第2のプレート群36とが平行運動を行う。ここでいう平行運動とは、第1のプレート群35と第2のプレート群36とが、それぞれ前後方向及び左右方向に倒れ込むことなく水平面に対する上面(図8に示す符号t1,t2が横幅となる各フィルタプレート25,30の上面)の角度が一定に維持された状態で、偏心カム50,51,54,55の回転に伴い前後方向及び上下方向に第1のプレート群35と第2のプレート群36とが相対的に移動することをいう。この平行運動により、各プレート群35,36上に運ばれた固形物は、各偏心カム50,51,54,55の回転方向に向けて搬送される。
上述した構成において、図5及び図6に示すように、各側板21,22には原水が下方に落下することを防止するシール部材62,63,64が取り付けられている。防水性を有するシート状のシール部材は、濾過体58の装置幅方向Yにおける両端部と、濾過体58の装置長さ方向Xにおいて供給部3から離れる側の端部とにそれぞれ接着等の方法によって固定されている。各シール部材62,63,64の働きにより、濾過体58による濾過を行うことなく原水が濾過体58の下方に流出して、原水からの異物の除去が阻害されることが防止される。
また本実施形態において、図1及び図2に示すように濾過体58を構成する第1のプレート群35及び第2のプレート群36は、上述した上面が供給部3側の端部から供給部3から離れた側の端部に向かうに連れて上方へと向かうように傾斜して配置されている。原水中に含まれる異物の量が極端に多い場合や原水が粘性を有していて離水性が低い場合には、濾過体58上に多量の固形物が堆積して原水からの水分の流下が妨げられる場合がある。このような場合において、濾過体58の上面が水平に近い状態であると、原水から水分が十分に分離されず、含水率が高い状態で異物が装置外へ排出される場合がある。本実施形態では濾過体58が傾斜しているため、原水中の異物からの水分の分離が傾斜によって促進され、含水率が高い状態で異物が装置外へ排出されることを抑制できる。
次に、濾過部2による原水の濾過工程について説明する。
原水供給管7から収容部4に供給された原水は、収容部4からオーバーフローしつつ流出して各フィルタプレート25,30上、すなわち濾過体58上に到達する。図1及び図2において、濾過体58上に到達した原水を符号Sで示す。
濾過体58上に原水Sが到達した時点でモータMが作動しており、第1の軸41が図2において反時計回り方向に回転駆動され、この回転がチェーン49を介して第2の軸44に伝達されて、第1の軸41と同期して第2の軸44が回転駆動される。この回転により、各第1偏心カム50,51及び各第2偏心カム54,55が各軸41,44の中心O3を中心として図9において偏心回転し、第1フィルタプレート25と第2フィルタプレート30とが180度の位相差を持って平行運動する。
これにより濾過体58上に到達した原水Sは、図2における右方から左方へと装置長さ方向Xに向けて搬送される。この原水Sが搬送される方向を、処理対象物搬送方向である原水搬送方向Jとする。原水Sが濾過体58によって原水搬送方向Jへと搬送される過程において、原水S中の水分は図2に矢印Kで示すように各フィルタプレート25,30間の隙間G1から下方へと落下し、残りの水分と固形物とが原水搬送方向Jへと搬送される。この一連の動作により、原水Sが濾過部2によって濾過される濾過工程が行われる。
濾過体58によって濾過されて落下した水分は、図2に示す、ベース14の下部に配置された濾液トレイ59内に濾液として貯容される。ここで、貯容された濾液には未だ固形分が含まれているので、この濾液は濾液トレイ59に設けられた送出口60より送出され、図示しない配管を介して次工程に送られる。
濾過工程により濾過体58上に残存した固形分である異物は、各側板26,27間に固定されたガイド板61によって案内されつつ下方に落下して回収される。この回収時において、濾過対象物であり大きな異物であるし渣の他に原水S中のSS(懸濁物質)が全体の10%程度除去される。図1に、濾過部2で除去された異物を符号65で示す。
次に、異物除去装置1における供給部3から濾過部2への原水の供給について説明する。図2に示すように、図示しない原水槽から原水供給管7を介して供給部3に送られてきた原水Sは、整流部材6を構成する整流板8に衝突しつつ収容部4内に貯容される。ここで収容部4に供給された原水Sは、収容部4に対して傾斜した状態で固定された整流板8の整流部8Aに衝突することにより水勢を抑制され、整流された状態で収容部4内に貯容されて貯容部11を形成していく。
換言すると収容部4に供給された原水は、収容部4と対向する対向方向における大きさ、すなわち図2において装置長さ方向Xにおける収容部4の他端側壁面との間隔が、上方から下方に向けて徐々に狭くなるように傾斜して配置された整流部8Aに衝突することによって整流される。異物除去装置1では、整流板8がこのような態様で配置されていることにより、整流作用を得ることができる。このとき、整流板8の下端部8bと収容部4の底面との間に形成された隙間Bから少量の原水Sが排出部12に送られるが、原水供給管7から貯容部11に貯容される原水量に対して排出部12に送られる原水量が少ないため、収容部4には原水Sが徐々に貯容されて貯容部11が形成される。排出部12に送られた原水は、排出口5から排出されて図示しない原水槽に戻される。
貯容部11が形成された後にも原水供給管7からの原水Sの供給は継続され、所定の水位を超えた原水Sが濾過部2へと供給されて上述した濾過工程が行われる。貯容部11の形成後に供給される原水Sも、上述と同様に貯容された原水中において整流部8Aに衝突することによって水勢を抑制され、整流された状態で供給される。この整流により、原水Sは供給部3から濾過部2に供給される際に、濾過部2の幅方向すなわち濾過部2の装置幅方向Yにわたって原水Sの供給を均一に行うことができ、濾過部2における濾過工程の効率を向上することができる。
ここで、上述した所定の水位は調整部材9によって調整される。原水供給管7から供給される原水量は、隙間Bから排出される原水量と濾過部2によって処理される原水量との合計よりも多くなるように設定されているため、貯容部11の水位は上昇し続けてやがて原水Sが収容部4から溢れてしまう。これを防止すべく、貯容部11内の原水量が所定の高さとなるように、調整部材9は貯容部11内の原水Sを開口部9eから排出部12に排出して貯容部11内における原水Sの水位を調整している。一例を挙げると、原水供給管7からの原水供給量が1000リットル/時、隙間Bから排出される原水量が150リットル/時、濾過部2によって処理される原水量が500リットル/時、調整部材9により排出部12に排出される原水量が350リットル/時である。
貯容部11内の原水Sが開口部9eから排出部12に排出される際に、開口部9eの装置幅方向Yにおける長さFが濾過体58の装置幅方向Yにおける長さLと同等以上であるため、貯容部11内及び濾過部2にわたって貯容された原水Sは、図10に矢印の長さで示すように、装置幅方向Yにおける両端部と中央部とにおいてほぼ同じ流速Nで開口部9eから排出される。
この構成により、供給部3から濾過部2に供給される原水Sの原水搬送方向Jにおける下流側端部、すなわち図10に符号Pで示す濾過部2に対する供給線を、装置幅方向Yにおいてほぼ直線状とすることができる。これにより濾過部2に対する原水Sの供給を濾過部2の幅方向である装置幅方向Yにおいて均一に行うことができ、濾過体58が原水Sを均一に濾過することが可能となり濾過工程の効率を向上することができる。
ここで、比較例として従来の異物除去装置について説明する。
図11は、固液分離装置として機能する異物除去装置の(a)平面図(b)正面図(c)側面図をそれぞれ示している。同図において異物除去装置70は、本体架台部71、整流箱72、原水戻りトレイ73、水位調整パイプ74、水位調整ゲート75、濾過体76、ガイド板77、駆動モータ78、排出口79、原水供給管80、送出口81、ドレン82等を有している。
箱形状を呈する本体架台部71内には、図11において右側に箱形を呈する整流箱72が配置され、整流箱72の底部の下方に原水戻りトレイ73が配置されている。整流箱72の底部には、原水戻りトレイ73に貫通した管状の水位調整パイプ74が固定されており、水位調整パイプ74の上部外側には、水位調整パイプ74の外周部に対して摺接する内周部を有する筒状の水位調整ゲート75が、水位調整パイプ74に対して上下動自在に配置されている。水位調整ゲート75には本体架台部71の上方外部に突出して配置された取っ手部75aが一体的に設けられており、取っ手75aを把持して水位調整ゲート75の上下動が行われる。水位調整ゲート75は、その上端と水位調整パイプ74の上端とが一致する位置を下限として上方に向けて移動自在であり、取っ手部75aが図示しない固定手段によって本体架台部71に固定されることにより所定の高さに固定される。
駆動モータ78によって駆動される濾過体76は上述した濾過体58と同様に構成されており、第1のプレート群と第2のプレート群とを有していて、各プレート群の少なくとも一方に上述した平行運動を行わせることにより、原水の濾過を行って異物を除去する。濾過工程によって濾過体76上に残存した異物は、ガイド板77によって所定の廃棄箇所に廃棄される。
原水戻りトレイ73の側面には排出口79が設けられており、排出口79には図示しない配管が接続され、排出された原水はこの配管を通って図示しない原水槽に戻される。原水戻りトレイ73の上方には原水槽から原水を供給する原水供給管80が、濾過体76の下方に位置する本体架台部71には濾過された原水を排出する送出口81が、整流箱72の底板にはドレン82がそれぞれ設けられている。
この異物除去装置70においても原水供給管80から原水が連続的に供給されており、その一部が濾過体76によって濾過されて残りが本体架台部71内に収容される。濾過体76による濾過工程は濾過部2と同様に行われ、濾過体76上に残存した固形分である異物は、ガイド板77によって案内されつつ下方に落下して回収される。
原水供給管80から供給される原水は、十分な深さを有する整流箱72の底面に衝突して整流された状態で供給される。これにより、原水が濾過体76に供給される際に、濾過体76の幅方向にすなわち濾過体76の装置幅方向Yにわたって原水を均一に供給でき、濾過体76における濾過工程の効率を向上できる。整流箱72が十分な深さを有していればいるほど供給された原水は整流箱72内で滞留される時間が長くなり、より一層その水勢が抑制される。従って、整流箱72としては深さが深いほど整流効果が高くなり、整流効果が高い整流箱72を用いることにより、濾過工程の効率向上を大きくすることができる。
原水供給管80から供給される原水量は濾過体76による処理量よりも多いため、本体架台部71内の原水が所定の水位に達すると、水位調整パイプ74を介して原水が原水戻りトレイ73に送られ、送られた原水は排出口79から排出されて原水槽に戻される。このとき、取っ手75aを把持して水位調整ゲート75を上下動することにより、本体架台部71内に貯容可能な原水量を調整することができる。
本体架台部71内の原水が水位調整パイプ74及び水位調整ゲート75を介して原水戻りトレイ73に排出される際に、水位調整パイプ74及び水位調整ゲート75が円形状であると共に整流箱72のほぼ中央に位置しているため、整流箱72内及び濾過体76にわたって貯容された原水は、図11(a)に矢印の長さで示すように、装置幅方向Yにおける中央部で流速Qが速くなると共に両端部で流速Qが遅くなる。このように従来の異物除去装置70では、輩出される原水の流速Qを装置幅方向Yにおいて一定に保つことができなかった。
上述したように、従来の異物除去装置70では濾過工程の効率を向上すべく供給される原水を整流するため、できるだけ深さが深い整流箱を必要としていた。このため、整流箱及びこれを収納する本体架台部が大型化及びコストアップするという問題点があった。これに対して本実施形態で示した異物除去装置1では、整流箱を用いることなく原水の整流を行うことができるため、簡易な構成で部品点数を削減してコストダウンを図ることができると共に、装置の大型化を防止することができる。
また、従来の構成では、整流箱を使用すると原水が供給されないときには整流箱内で原水が滞留するため、原水中の異物等が沈殿して堆積し、悪臭や腐食性ガスを発生させるという問題点があった。この沈殿は、特に原水の流速が遅い整流箱の角部において多く発生していた。
これに対し本願発明の構成では、原水が貯容される貯容部11と原水を排出する排出部12とに原水が収容される収容部4を分割する整流部材6は、その下端において貯容部11と排出部12とを連通する隙間Bを有している。この構成により、収容部4内に原水が滞留することを抑制でき、収容部4内に異物が沈殿することを防止できる。
本発明の異物除去装置1では、開口部9eの装置幅方向Yにおける長さFを濾過体58の装置幅方向Yにおける長さLと同等以上とし、貯容部11内及び濾過部2にわたって貯容された原水Sが、装置幅方向Yにおける両端部と中央部とにおいてほぼ同じ流速Nで開口部9eから排出される構成とした。これにより、供給部3から濾過部2に供給される原水Sの供給線Pを装置幅方向Yにおいてほぼ直線状とすることで、濾過部2に対する原水Sの供給を濾過部2の幅方向において均一に行うことができ、濾過工程の効率を向上することができる。
本発明の異物除去装置1では、整流部材6が収容部4に移動自在に支持され、下端部8bと収容部4の底面との間の隙間Bの大きさが調整可能であるので、供給される原水に含まれる異物の大きさに応じて隙間Bの調整を行うことができる。これにより、異物が引っ掛かることを防止しつつ原水の滞留を防止できると共に、隙間Bをできるだけ小さくすることにより原水の流速を高め、収容部4の底部に堆積物が発生することを防止できる。
また、下端部8bが貯容部11側から排出部12側に向けて曲面状となるように曲折形成されているので、原水中に含まれる豚毛等の異物が引っ掛かりこれが成長して隙間Bを塞ぐことを防止できる。これにより、隙間Bが常時形成される状態を維持することができ、原水の滞留及び堆積物の発生を防止できる。
本発明の異物除去装置1では、収容部4に収容される原水量を調整可能な調整部材9が整流部材6の上部に上下動可能に支持されている。この構成により、収容部4内における原水の水位調整を簡単に行うことができると共に、原水の整流を行う部材と原水の水位調整を行う部材とを一体的に構成でき、小型化及び部品点数の削減によりコストダウンを図ることができる。
また、本発明の異物除去装置1では、収容部4の装置長さ方向Xの一端部側の外壁面に排出口5を設けている。このような排出口5に代えて、例えば収容部4の排出部12側の底面に穴をあけて排出口を形成する方法も考えられる。しかしこの場合には、異物の種類に応じて排出口の開口径を容易に変えることが困難であると共に、排出口の端面に豚毛等の異物が絡み付き易く、清掃も困難であるという問題点がある。本発明の排出口5では、このような問題点を解消できる。
本発明の排出口5は、図10に示すように、収容部4の外壁面の装置幅方向Yにおける中央部に配置されている。この構成に代えて、図12に示すように、収容部4の装置長さ方向Xの一端部側の外壁面に、排出部12の幅方向のほぼ全幅にわたって形成された排出口5Aを形成してもよい。排出口5Aから排出された原水は、排出口5Aの外側に設けられた樋状の排出部材66を介して図12(c)において左方へと送られ、図示しない配管を介して原水槽に戻される。
このような構成とすることにより、排出部12から排出口5Aを介して排出される原水の流速を装置幅方向Yにおいてほぼ均一とすることができ、排出部12の底部に堆積物が発生することを防止できる。
本発明の異物除去装置1では、上述したように、図2において装置長さ方向Xにおける収容部4の他端側壁面との間隔が上方から下方に向けて狭くなるように傾斜して整流部8Aが位置するように配置された整流板8により、整流作用を得ることができる。一方、貯容部11の底面に堆積する堆積物は、底面の面積が大きいほど、また排出口からの距離が長いほど堆積し易い傾向にある。
そこで、図2に符号Rで示す整流部8Aの下端と収容部4の他端側壁面との間隔を、最大の異物が排出可能な範囲でできるだけ狭く設定する。これにより、貯容部11の底面の面積を小さくすることができ、堆積物の発生を抑制できる。また、貯容部11からの原水の排出口は隙間Bであるので、距離の影響を受けることなく均一な排出を行うことができる。さらに、間隔Rを狭くすることにより、次回のポンプ起動時に貯容部11内の堆積物を押し出す効果も期待できる。
本発明の異物除去装置1では、第1のプレート群35と第2のプレート群36とを有し、各プレート群35,36のうちの少なくとも一方に平行運動を行わせることにより濾過工程を行う濾過体58を備えた濾過部2を採用している。この濾過部2により、原水を搬送しつつ水分と固形分とに効率よく分離することができ、分離した固形分を廃棄することができる。また、各プレート群35,36は、その上面が供給部3側から供給部3から離れる側、すなわち原水搬送方向Jの上流側から下流側に向けて上方に傾斜しているため、上面が水平あるいは下方に向けて傾斜した態様に比して濾過効率を向上できる。
しかし本発明では、上述のような作用効果を望まないのであれば、布や網やリング等を用いた他の濾過装置を濾過部として用いてもよい。
次に、異物除去装置1が適用可能な汚泥処理装置について説明する。
図13は、異物除去装置1が適用可能な汚泥処理装置を示している。図13(a)において汚泥処理装置100は、処理対象物である畜産汚水からなる原水が生産される豚舎90から送られる原水の処理を行う。汚泥処理装置100は、原水槽101、異物除去装置102、濾液調整槽103、前処理装置104、流量調整槽105、曝気槽106、汚泥槽107、余剰汚泥処理装置108、汚水槽109等から構成されている。
上述の構成中、原水槽101、濾液調整槽103、流量調整槽105、汚泥槽107、汚水槽109は、それぞれ少なくとも一つのポンプと図示しない槽内攪拌用のスクリュとを備えており、曝気槽106は少なくとも二つのポンプと図示しない槽内攪拌用のスクリュとを備えている。
豚舎90から送られ原水槽101内に貯容された原水は、原水槽101内のポンプの作動により異物除去装置102に送られる。異物除去装置102は、図13(b)に示すように、上述した異物除去装置1と同様に構成された、整流部材6を有する供給部102aと、濾過体58を有する濾過部102bとを有している。異物除去装置102は、原水中に含まれる豚毛や餌屑等の異物のうち比較的大きなものであるし渣110を除去することにより、後段の水処理を行うポンプや配管が異物により閉塞することを防止している。異物除去装置102により、原水中からし渣110が除去されると共に、細かなSS(懸濁物質)分も約10%程度除去される。除去されたし渣110は堆肥化される。
供給部102aから排出された原水は原水槽101に戻され、濾過部102bで濾過された濾液は濾液調整槽103に送られる。
異物除去装置102から送られた濾液である一次濾過された原水は濾液調整槽103内に貯容され、濾液調整槽103から次工程である前処理装置104に送られる。前処理装置104は、図13(c)に示すように、混和部104a、濃縮部104b、脱水部104cを有している。
混和部104aは整流箱111を有しており、濾液調整槽103から送られた原水を整流すると共に、原水に凝集剤を添加して原水を半固形状であるフロック体となるようにフロック化させる。濃縮部104bは、濾過体58と同様に構成された濾過体112を有しており、原水のフロック体の外面に付着した水分を除去してフロック体を濃縮する。脱水部104cは、濾過体112と同様の濾過体113、濾過体113上に残存した原水のフロック体を上方から加圧する加圧体114を有しており、濃縮された原水のフロック体をさらに加圧脱水する。前処理装置104により、一次濾過された原水中から汚泥が濃縮及び脱水されて形成された固形物である脱水ケーキ115が除去されると共に、SS(懸濁物質)分が約90%程度除去される。除去された脱水ケーキ115は堆肥化される。
混和部104a及び濃縮部104bから排出された原水は濾液調整槽103に戻され、脱水部104cで脱水された濾液は流量調整槽105に送られる。
一般的に水処理では、本実施形態でも採用している曝気槽106内で、微生物の力によって浄化を行う方法が採用されている。その際に、汚水(原水)の負荷を小さくすることにより、曝気槽106を小型化できること、及び小型化により容積に対する酸素供給量も削減できるため、大きなコストダウンを図ることができる。
この原水の負荷を小さくする手段として、原水に凝集剤を加えてフロック化させ、原水中のSS(懸濁物質)分を濃縮工程と脱水工程とを経て除去する方法がある。これを前処理脱水と呼ぶ。
SS(懸濁物質)分を除去することで、処理された後の原水中に含まれる汚れの指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)分も50%程度除去可能である。従って、原水の負荷が高いほど、また水処理の規模が大きいほど前処理脱水の効果が大きくなる。この処理は、曝気槽106に送られる原水に対する前処理となる。
BOD(生物化学的酸素要求量)とは、水中の有機物質を好気性微生物が分解するときに、水1リットル当たり何mgの酸素が必要かを表した数値である。水中の汚染物質が多ければ多いほど酸素をより多く消費するため、BODの値は大きくなる。
前処理装置104から送られた濾液である二次濾過された原水は流量調整槽105内に貯容され、流量調整槽105から次工程である曝気槽106に送られる。曝気槽106は、原水流入工程、曝気工程、汚泥沈殿工程、処理水取り出し及び上澄み水放流工程を繰り返して行い、曝気工程において上述した微生物の力によって浄化を行う。汚泥沈殿工程では、曝気槽106の底部に原水中の汚泥が沈殿し、沈殿した汚泥は一方のポンプによって汚泥槽107に送られる。処理水取り出し及び上澄み水放流工程では、浄化されて清浄化され曝気槽106の上部に浮上した処理水が、他方のポンプによって矢印Uで示すように河川、海、運河等に放流される。
曝気槽106から送られた汚泥化した原水は汚泥槽107内に貯容され、汚泥槽107から次工程である余剰汚泥処理装置108に送られる。余剰汚泥処理装置108は、図13(d)に示すように、混和部104aと同様に構成された混和部108a、濃縮部104aと同様に構成された濃縮部108b、脱水部104cと同様に構成された脱水部108cとを有している。
混和部108aは整流箱111と同様の整流箱116を、濃縮部104bは濾過体112と同様の濾過体117を、脱水部108cは濾過体117と同様の濾過体118と加圧体114と同様の加圧体119をそれぞれ有している。余剰汚泥処理装置108により、汚泥化した原水中から脱水ケーキ120が除去されると共に、汚泥中からの水分が濃縮部108bにおいて99→96%程度に、脱水部108cにおいて96→85%程度に除去される。除去された脱水ケーキ120は、余剰汚泥として堆肥化される。
混和部108a及び濃縮部108bから排出された汚泥は汚泥槽107に戻され、脱水部108cで脱水された水分である汚水は汚水槽109に送られて貯容された後、流量調整槽105に送られる。上述した一連の動作により、汚泥処理装置100による汚泥処理工程が行われる。
上述の構成により、豚舎90から放出された原水を、し渣110、脱水ケーキ115,120等の異物を除去した後に河川等に放流する汚泥処理装置100が形成される。このような汚泥処理装置100に用いられる異物除去装置102として本発明の異物除去装置1を用いることにより、上述した実施形態で示した様々な作用効果を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本実施形態では、異物除去装置1が処理する処理対象物として、畜舎から発生する余剰汚泥等を含んだ畜産汚水である原水を示したが、処理対象物としてはこれに限られず、各種工場等の排水処理から発生する含油汚泥や下水処理から発生する余剰汚泥等を含んだ、水分あるいは水分と固形物とが混在したものであれば、どのようなものでもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1,102 固液分離装置(異物除去装置)
2 濾過部
3 供給部
4 収容部
5,5A 排出口
6 整流部材
8 下端部
9 調整部材
9e 開口部
11 貯容部
12 排出部
25 プレート(第1フィルタプレート)
30 プレート(第2フィルタプレート)
35 第1のプレート群
36 第2のプレート群
100 汚泥処理装置
104 前処理装置
108 余剰汚泥処理装置
B 隙間
F 開口部の大きさ
L 濾過部の大きさ
S 処理対象物(原水)

Claims (11)

  1. 供給された処理対象物の濾過を行う濾過部と、
    受け入れた前記処理対象物を前記濾過部に供給する供給部とを備え、
    前記供給部は、
    受け入れた前記処理対象物を収容すると共に前記処理対象物を前記濾過部に供給する収容部と、
    前記収容部から前記処理対象物を排出する排出口と、
    前記収容部に受け入れた前記処理対象物の整流を行う整流部材とを備え、
    前記整流部材は、前記収容部を、前記処理対象物が貯容され前記整流が行われる貯容部と前記処理対象物が前記排出口より排出される排出部とに分割すると共に、その下端に前記貯容部と前記排出部とを連通する隙間を有する固液分離装置。
  2. 請求項1記載の固液分離装置において、
    前記整流部材は前記収容部に移動自在に支持され、前記隙間の大きさを調整可能であることを特徴とする固液分離装置。
  3. 請求項1または2記載の固液分離装置において、
    前記貯容部に貯容される前記処理対象物の量を調整可能な調整部材を有することを特徴とする固液分離装置。
  4. 請求項3記載の固液分離装置において、
    前記調整部材は前記整流部材の上部に上下動可能に支持されていることを特徴とする固液分離装置。
  5. 請求項4記載の固液分離装置において、
    前記調整部材は前記貯容部と前記排出部とを連通する開口部を有し、前記濾過部は前記処理対象物を濾過する濾過体を備え、前記開口部の装置幅方向における長さは少なくとも前記濾過体の前記装置幅方向における長さと同等であることを特徴とする固液分離装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の固液分離装置において、
    前記整流部材の下端は前記貯容部側から前記排出部側に向けて曲面状となるように形成されていることを特徴とする固液分離装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか一つに記載の固液分離装置において、
    前記排出口は前記排出部の幅方向にわたって形成されていることを特徴とする固液分離装置。
  8. 請求項1ないし7の何れか一つに記載の固液分離装置において、
    前記濾過部は、
    前記供給部側から当該供給部から離れる側へ延びるプレートを、当該プレートの長手方向とほぼ直交するプレート厚み方向にほぼ一定の間隔で複数配置して一体化した第1のプレート群と、
    前記長手方向に延びる複数のプレートを前記第1のプレート群の前記プレート間に入り込むように配置して一体化した第2のプレート群とを有し、
    前記各プレート群のうち少なくとも一方を、互いの前記プレートの上面が交互に変位するように平行運動を行わせることで、前記濾過を行うことを特徴とする固液分離装置。
  9. 請求項8記載の固液分離装置において、
    前記第1のプレート群と前記第2のプレート群とは、前記上面が前記離れる側に向けて上方に傾斜しており、前記平行運動によって前記上面上において前記処理対象物を前記離れる側に向けて搬送する過程で前記濾過を行うことを特徴とする固液分離装置。
  10. 請求項1ないし9の何れか一つに記載の固液分離装置において、
    前記貯容部の、前記収容部と前記整流部材とが対向する対向方向における間隔は、下方に向けて狭くなっていることを特徴とする固液分離装置。
  11. 供給された原水から異物を除去する異物除去装置と、前記異物除去装置によって異物が除去された前記原水をフロック化した後に濾過及び脱水する前処理装置と、前記前処理装置によって前処理された前記原水を曝気処理した後、生じた汚泥を処理する余剰汚泥処理装置とを備えた汚泥処理装置において、
    前記異物除去装置は、請求項1ないし10の何れか一つに記載の固液分離装置であり、前記処理対象物を前記原水とし前記異物を除去することで前記濾過を行うことを特徴とする汚泥処理装置。
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