JP3162339B2 - 汚泥の処理方法および処理システム - Google Patents

汚泥の処理方法および処理システム

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  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性汚水の処理
方法に関するもので、特に生物学的処理により生じた汚
泥を高度に濃縮する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、し尿や下水などの都市廃水、
工場からなどの有機性廃水などは、その中に含有される
種々の物質を取り除く処理が施されてから河川等に放流
される。そのような有機性汚水の処理システムにおいて
は、例えば図6に示すようなシステムにより行われてい
る。まず、処理しようとする汚水原水は、初期沈殿池に
て比較的大きな懸濁物質が沈殿分離される。次に、曝気
槽にて、活性汚泥により汚水中のBOD、COD等の水
溶性成分を分解する生物学的処理がなされる。その後、
最終沈殿池にて、活性汚泥のフロックが沈殿分離され、
放流される。また、最終沈殿池からの汚泥は、主に曝気
槽に返送されるが、一部は余剰汚泥として重力式濃縮槽
にて濃縮される。その際の分離液は初期沈殿池等に返送
される。そして、濃縮された汚泥は汚泥貯留槽に送られ
て貯留される。尚、初期沈殿池での沈殿物もこの汚泥貯
留槽にて貯留される。汚泥貯留槽に貯留した汚泥は、適
宜、脱水処理され、または脱水処理設備のない施設にお
いてはバキューム車等により他の処理施設へと移送され
て処理される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで汚水処理の場
合、汚水中に含有される汚濁物質の質および量は一定で
はなく、汚水の水質変動、水量変動、水温変動などがあ
る。このような負荷変動が大きいと発生する汚泥の質及
び量の変動も大きくなる。重力式濃縮槽では重力沈降に
より汚泥を濃縮しているため、汚泥の濃縮に長時間を要
したり、濃縮が不十分になることがある。特に昨今で
は、重力式濃縮が困難な汚泥が増加している。このた
め、最終沈殿池から重力式濃縮槽へ送給される汚泥の質
や量が変化すると、重力式濃縮槽での処理が間に合わな
い事態になる。こうした重力式濃縮槽の容量オーバーが
生じた場合には、最終沈殿池から重力式濃縮槽への汚泥
の引抜きを停止し、汚泥を曝気槽や最終沈殿池に一時滞
留する対策がなされる。しかし、こうした汚泥の滞留を
行うと、システム全体の処理条件が崩れ、最終沈殿池か
ら汚泥粒子が流出してしまう恐れがある。また、重力式
濃縮槽での分離が不十分の場合には、汚泥貯留槽での濃
度が低く、後処理の脱水効率が低下したり、バキューム
車による移送量が増加して不経済となる。このため、重
力式濃縮汚泥を更に濃縮する手段又は代替手段として、
一般的に、遠心濃縮、浮上濃縮、造粒濃縮等の機械濃縮
法が採用されている。しかしながら、このような機械濃
縮法は、一般に処理能力が大きく、汚泥処理量が少ない
施設では、一旦汚泥を貯留した後に間欠的な濃縮を行な
わなければならない為、汚泥が嫌気状態になりやすく、
腐敗してかえって濃縮状態が悪くなったり、人手がかか
る欠点がある。また、処理水は水質が悪いために、重力
式濃縮時と同様に、本体の汚水処理の曝気槽以前の工程
に返送して処理する必要があり、本体の汚水処理への負
荷がかかる。また、少量汚泥の濃縮法として汚泥に凝集
剤を添加して、スクリーンで濃縮する方法も知られてい
る。しかしながら、この方法によると、スクリーン濾過
液の水質が悪いために、重力式濃縮時と同様に、処理水
を本体の汚水処理の曝気槽以前に返送して処理する必要
があり、本体の汚水処理への負荷がかかったり、また、
原汚泥の濃度の変動にあわせて添加する凝集剤の濃度を
調整する必要が発生したりして、本体の汚水処理全体の
処理効率に悪い影響を与えたり、手間を要する欠点があ
る。更に、特開平9−38699号公報等によれば、膜
処理による汚泥濃縮法も検討されているが、濃縮汚泥濃
度が高くなると処理効率が悪くなる欠点がある。
【0004】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、活性汚泥法において発生する汚泥を確実に濃
縮して安定した汚水処理を行うことを目的とするもの
で、カチオン系凝集剤、掻揚げ式スクリーン及び浸漬型
膜分離装置を併用して効率よく汚泥濃縮を行う処理方法
およびシステムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】従来の問題点及び原因を
詳しく検討し、カチオン系高分子凝集剤が添加された余
剰汚泥を掻揚げ式スクリーンで凝集汚泥と濾過液に分離
し、濾過液を浸漬型膜分離装置で濃縮することで本発明
に至った。すなわち、請求項1に係る汚泥の処理方法
は、有機性汚水の生物学的処理で発生する余剰汚泥に、
カチオン系高分子凝集剤を添加して凝集処理し、スリッ
トと、スリットから突出した揚歯を有し、該揚歯の上方
へ移動により固液分離を行う掻揚げ式スクリーンで凝集
汚泥と濾過液に分離し、得られた濾過液を浸漬型膜分離
装置で膜処理水と濃縮汚泥に分離し、再度、該濃縮汚泥
を凝集処理に供することを特徴とするものである。この
際、生物学的処理で発生する余剰汚泥を重力式濃縮槽で
濃縮した後に、カチオン系高分子凝集剤を添加してもよ
い。
【0006】また、本発明の汚泥の処理システムは、有
機性汚水を生物学的処理した際に発生する余剰汚泥に、
カチオン系高分子凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、
スリットと、スリットから突出して設けられて上方に移
動する揚歯を有し、凝集汚泥と濾過液を分離する掻揚げ
式スクリーンと、分離された濾過液を処理水路濃縮汚泥
に分離する浸漬型膜分離装置と、該濃縮汚泥を凝集処理
に供する濃縮汚泥返送ラインとを有することを特徴とす
るものである。この際、余剰汚泥にカチオン系高分子凝
集剤を添加する前に、該余剰汚泥を濃縮する重力式濃縮
槽を配備しても良い。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の形態例を以下に説明する
が、本発明がそれらに限定解釈されるものではないこと
は勿論のことである。 [形態例1]本形態例の汚泥の処理システムは、図1に
示すように、まず、処理する汚水原水である有機性汚水
は、初期沈殿池に導入される。この初期沈殿池では、比
較的大きな懸濁物質が沈殿分離され、処理水は曝気槽
に、沈殿物は汚泥貯留槽に送給される。曝気槽に送給さ
れた処理水は、活性汚泥により汚水中のBOD、COD
等の水溶性成分が生物学的処理により分解された後、最
終沈殿池にて、活性汚泥のフロックが沈殿分離される。
こうして、汚水処理の本体部分で処理された後の処理水
は放流され、最終沈殿池で沈降した汚泥は返送汚泥ライ
ン30を通って曝気槽に返送されるが、一部は余剰汚泥
として重力式濃縮槽に送給される。
【0008】重力式濃縮槽では余剰汚泥の重力濃縮が行
なわれ、その重力式濃縮槽の底部から引き抜かれた汚泥
は、原汚泥槽を経て、凝集剤添加手段によりカチオン系
高分子凝集剤が添加され汚泥フロックが形成された後、
掻揚げ式スクリーンにて凝集汚泥と濾過液に分離され
る。そして、分離された凝集汚泥は汚泥貯留槽に貯留さ
れ、濾過液は、浸漬型膜分離装置に送給される。汚泥貯
留槽に貯留された汚泥は、その場で脱水されるか他の処
理施設に移送された後に脱水処理工程に供される。この
掻揚げ式スクリーンによる分離で凝集汚泥の濃度は3〜
6%の範囲となり、膜処理単独による汚泥濃縮法と比較
して、高濃度に濃縮可能で、一般に使用されている機械
濃縮法と同程度の濃度まで濃縮され得る。また、この掻
揚げ式スクリーンによって大部分の汚泥が除去される
為、浸漬型膜分離装置への汚泥負荷が軽減され、膜分離
による単独汚泥濃縮の場合と比較して、処理速度が大幅
に改善される。掻揚げ式スクリーンを透過して浸漬型膜
分離装置に送給された濾過液は膜処理水と濃縮汚泥に分
離され、膜処理水は透明で水質も良好なものとなり、本
体の汚水処理の曝気槽以前に返送して再処理する必要が
ないため、水質上は直接放流するか、又は最終沈殿池へ
返送することが可能である。また、濃縮汚泥は濃縮汚泥
返送ライン31を経由して再び重力式濃縮槽または原汚
泥槽に返送しても良く、再び、凝集処理に供される。
【0009】添加する凝集剤として、カチオン系高分子
凝集剤を用いるのは、無機系凝集剤およびアニオンまた
はノニオン系高分子凝集剤では掻揚げ式スクリーンにて
分離できる凝集汚泥に生成しにくいからである。カチオ
ン系高分子凝集剤としては、汚泥を適度の大きさのフロ
ックにするものであれば特に限定されるものではない。
例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン等の縮合系高
分子凝集剤、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物な
いしホフマン分解物、ポリアミジン系高分子凝集剤、お
よびジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(以
下、DMと略す)のホモポリマー、DMの第4級アンモ
ニウム塩(以下、DMCと略す)のホモポリマー、DM
及びDMCとアクリルアミドとの共重合物等が挙げられ
る。凝集剤の形状は、液体、エマルジョン、ディスパー
ジョン、粉末を問わない。液体の場合は、そのまま使用
できるが、粉末等の場合は、水で一定濃度に希釈してか
ら添加する。カチオン系高分子凝集剤の使用量は余剰汚
泥の性状にもよるが、余剰汚泥中の懸濁物質(SS)1
00重量部に対して0.1〜2重量部となる量が好まし
く、0.3〜1.0重量部が特に好ましい。0.1重量部
未満ではフロックの形成が不十分となる。また、2重量
部より多いとフロックが再分散したり、凝集剤コストが
かかり過ぎて不経済的であるので好ましくない。凝集剤
添加手段は、汚泥が掻揚げ式スクリーンに供給される前
に、その汚泥に凝集剤が所定量添加される手段であれば
よく、一般的には、原汚泥槽から掻揚げ式スクリーンへ
の送給配管において添加する方法が採られる。
【0010】掻揚げ式スクリーンとしては、周知のもの
を使用することができる。例えば、図2,3に示すよう
なものが例示できる。この掻揚げ式スクリーン32は、
斜面34に縦方向に沿ったスリット36が複数形成さ
れ、そのスリット36を内側から外側に先端が突出した
複数の揚歯38が、モータの動力によって下方から上方
に向けて次々と移動するもので、この掻揚げ式スクリー
ン32が、その下部がフロック状とされた凝集汚泥に浸
かるように設置されることで、凝集汚泥のみが上方に掻
き揚げられ、落下板40から汚泥貯留槽と接続した配管
に移される。こうして、凝集汚泥と濾過液とが分離され
る。掻揚げ式スクリーンのスリット幅は、1mm以下が
よく、これよりも広いと凝集汚泥の捕足率が著しく低下
するので好ましくない。このような掻揚げ式スクリーン
32であると、その凝集汚泥の掻揚げ動作とスリットの
除が同時に行なわれるので、実際上、目詰まりの心配
がなく、他のスクリーン、例えば、ウェッジワイヤース
クリーンやドラムスクリーンに不可欠な定期的な洗浄の
必要がない。このため、ウェッジワイヤースクリーンや
ドラムスクリーンでは、常時監視が必要となるが、掻揚
げ式スクリーン32を用いることによって無人連続運転
することができる。また、掻揚げ式スクリーンは凝集汚
泥を掻揚げ時に水と隔離するので、水との共存下で凝集
汚泥を分離する他のスクリーンと比較して、高濃度まで
濃縮したり、濃縮濃度を一定にしたりすることが容易で
ある。このように、掻揚げ式スクリーンは、凝集汚泥の
分離に極めて適しているものである。
【0011】浸漬型膜分離装置としては、通常の活性汚
泥の浸漬型膜分離装置で使用されている周知のものを用
いることができ、例えば、特開平9−47776号公報
等に記載されているものを適用できる。例えば、図4に
示す浸漬型膜分離装置10は、膜分離槽12と、この膜
分離槽12内に配置される分離膜モジュール14と、分
離膜モジュール14と接続された吸引ポンプ16とを有
して概略構成される。分離膜モジュール14としては、
例えば、複数本の中空糸で構成される中空糸膜からなる
分離膜18と、その中空糸分離膜18の両端を支持する
管状支持体20とを有して概略構成される。中空糸には
種々の多孔質かつ管状の中空糸が使用でき、例えば、セ
ルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール
系、PMMA系、ポリスルフォン系等の各種材料からな
るものが使用できる。
【0012】また、分離膜は、表面に親水基を有する所
謂恒久親水化膜であることが望ましい。恒久親水化膜を
用いることにより有機物と分離膜表面の疎水性相互作用
を抑制することができ、有機物の吸着を抑えることがで
きる。管状支持体20の一端は吸引ポンプ16と配管2
6を介して接続される。分離膜モジュール14は1つの
膜分離槽12内に複数個配置することが可能で、分離膜
モジュール14を複数個配置することによって、全体と
しての膜面積を増加させることができ、処理性能を向上
させることができる。
【0013】膜分離槽12内であって分離膜18の下方
には、気体を発散する散気装置22を配置することが好
ましい。散気装置22は、多数の細孔の形成された中空
体で、圧空ポンプ24と接続されている。この圧空ポン
プ24を作動させることにより、散気装置22からは気
泡が発散される。この散気装置22を利用することによ
り、エアースクラビング処理を行うことができる。すな
わち、散気装置22から発散し上昇する気泡により、中
空糸膜が揺動し、この揺動により中空糸同しが擦れあっ
たり又は中空糸と水の相対的流動により、中空糸の表面
に付着した汚泥が取り除かれるようになる。
【0014】このような膜分離装置10において、吸引
ポンプ16を作動させると、膜分離槽12内の処理水は
分離膜18で吸引濾過され、被処理水中の懸濁物質のみ
が分離膜18の表面に捕えられ処理水と懸濁物質とに分
離される。また、適宜上記エアースクラビング処理によ
る分離膜の洗浄を行えば、分離能力の低下を防止するこ
とができる。
【0015】分離膜の洗浄は、エアースクラビング処理
ばかりでなく、逆洗処理などによっても行うことができ
る。即ち、吸引ポンプ16を圧送ポンプとしても用いる
ことにより、清浄水または濾過水を分離膜18の内側か
ら外側に放出させることにより分離膜18の表面に付着
した懸濁物質を除去することができる。また、分離膜の
表面の洗浄は、薬品洗浄によっても行える。薬品洗浄は
費用が嵩むものであるが、エアースクラビング処理や逆
洗処理などを併用することによって薬品の使用量の低減
を図ることができる。尚、上記例においては、吸引濾過
を行った例を示したが、加圧濾過を適用することもでき
る。分離膜モジュールを構成する分離膜の種類も特に限
られず、形状も中空糸タイプの他に、平膜タイプ、管状
タイプ、袋状タイプ等任意のものを用いることができ
る。
【0016】本形態例の汚泥処理システム及び方法によ
れば、余剰汚泥の処理を安定して、効率よく高度に濃縮
することができる。特に、最終沈殿池から分離される汚
泥の質や量の変化などによる変動に対しても柔軟に対処
でき、最終沈殿池での容量オーバーを防止でき、システ
ム全体の処理を安定して行うことができる。また、余剰
汚泥の大部分の汚泥を凝集剤で生成させたフロックとし
て掻揚げ式スクリーンで除去することによって、後段の
浸漬型膜分離装置にかかる負担を軽減し、膜分離処理を
高透過流束で運転することができる。また、この図1に
示したシステムであると、重力式濃縮槽を有する既存の
処理施設においても、その設備の多くをそのまま流用し
て適用することができ、改装に要する負担をきわめて少
なくすることができる。
【0017】[形態例2]形態例2として図5に示す汚
泥処理システムが挙げられる。この汚泥処理システムで
は、余剰汚泥を重力式濃縮槽を経ずに直接、原汚泥槽に
供給して凝集処理以降の処理を行なうことが上述した形
態例1と異なる。この場合、汚泥処理工程が全て好気下
で行なわれるので、汚泥腐敗が起こりにくく、濃縮が行
なわれやすい上に、悪臭の発生も少ない。また、重力式
濃縮槽も不要となり、施設の縮小を図ることができる。
【0018】
【実施例】[実施例1]上述した形態例1の汚泥の処理
システムを用いて、汚泥処理を行なった。重力式濃縮槽
の底部から取り出した濃度10000mg/Lの余剰汚
泥を一旦、原汚泥槽に貯め、送給配管中で、汚泥固形分
100重量部に対して0.5重量部のカチオン系高分子
凝集剤を添加した後、4L/minで掻揚げ式スクリー
ン(NSスクリーン、スリット幅0.5mm、コミニュ
ーターサービス(株)製)に送給した。この際、掻揚げ
式スクリーンにおいて、濃度55000mg/Lの汚泥
が、0.7L/minで凝集汚泥として除去された。ス
クリーン濾過液は、濃度が1000mg/Lとなり、
3.3L/minとなった。浸漬型膜分離装置には、図
4に示すように、容量が2m3の膜分離槽12内に膜面
積が4m2の分離膜モジュール14を膜面が鉛直方向に
沿うように10本平行に並べたものを用いた。また、膜
分離槽12の底部に設けた散気装置22からは30m3
/hrで空気を気泡として発散させた。この膜分離槽1
2内に、掻揚げ式スクリーンからの濾過液を送給すると
共に、分離膜モジュール14の透過流束が3.0L/m
inなるように吸引濾過して膜処理水を得た。浸漬型膜
分離装置10で濃縮された汚泥は、膜分離槽の上部に設
けられたオーバーフロー口から排出し、原汚泥槽に返送
した。浸漬型膜分離装置で濃縮された汚泥濃度は、10
000mg/Lであった。
【0019】[実施例2]上述した形態例2の汚泥の処
理システムを用いて、汚泥処理を行なった。余剰汚泥を
重力式汚泥濃縮槽を経ずに直接、原汚泥槽に供給する以
外は、上記実施例1と同様とした。即ち、原汚泥槽から
取り出した濃度4500mg/Lの余剰汚泥に汚泥固形
分100重量部に対して0.5重量部のカチオン系高分
子凝集剤を添加した後、4L/minで掻揚げ式スクリ
ーンに送給した。この際、掻揚げ式スクリーンにおい
て、濃度55000mg/Lの汚泥が、0.3L/mi
nでフロック状凝集汚泥として除去された。スクリーン
濾過液は、濃度が500mg/Lとなり、3.7L/m
inとなった。そして、膜分離槽12内に、スクリーン
濾過液を送給すると共に、分離膜モジュール14の透過
流束が3.3L/minになるように吸引濾過して膜処
理水を得た。浸漬型膜分離装置10で濃縮された汚泥
は、膜分離槽の上部に設けられたオーバーフロー口から
排出し、原汚泥槽に返送した。浸漬型膜分離装置で濃縮
された汚泥の濃度は、4600mg/Lであった。
【0020】
【発明の効果】本発明の汚泥処理システム及び方法によ
れば、余剰汚泥の処理を安定して、効率よく高度に濃縮
することができる。特に、最終沈殿池から分離される汚
泥量の質や量の変化などによる変動に対しても柔軟に対
処でき、最終沈殿池での容量オーバーを防止でき、シス
テム全体の処理を安定して行うことができる。また、汚
泥の性状が悪化し、重力式汚泥濃縮槽での濃縮が十分で
なくとも、本汚泥処理システムにより高度な濃縮を行う
ことができる。また、余剰汚泥の大部分の汚泥を凝集剤
で生成させたフロックとして掻揚げ式スクリーンで除去
することによって、後段の浸漬型膜分離装置にかかる負
担を軽減し、膜分離処理が高透過流束で運転することが
できる。また、処理能力が高いために、処理水を本体の
汚水処理の曝気槽以前の工程に返送して処理する必要が
なく、本体の汚水処理への負荷がない。掻揚げ式スクリ
ーンを使用しているためスクリーンの閉塞がないことか
ら無人連続運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 形態例1の汚泥処理システムを示す流れ図で
ある。
【図2】 掻揚げ式スクリーンの一例を示す正面図であ
る。
【図3】 同掻揚げ式スクリーンの側面図である。
【図4】 浸漬型膜分離装置の一例を示す側面図であ
る。
【図5】 形態例2の汚泥処理システムを示す流れ図で
ある。
【図6】 従来例の汚泥の処理システムを示す流れ図で
ある。
【符号の説明】
10 浸漬型膜分離装置 12 膜分離槽 14 分離膜モジュール 16 吸引ポンプ 18 分離膜 22 散気装置 30 返送汚泥ライン 31 濃縮汚泥返送ライン 32 掻揚げ式スクリーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 茂 千葉県野田市二ツ塚138−1 ダイヤフ ロック株式会社 技術開発センター内 (72)発明者 田中丸 直也 東京都港区港南一丁目6番41号 三菱レ イヨン株式会社内 (72)発明者 小林 真澄 東京都港区港南一丁目6番41号 三菱レ イヨン株式会社内 (72)発明者 宮下 聡史 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 桑原 和夫 神奈川県川崎市多摩区登戸3816 MRC テクノリサーチ株式会社内 (72)発明者 板倉 正則 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 高島 隆晃 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (56)参考文献 特開 昭57−171496(JP,A) 特開 平4−87607(JP,A) 特開 平9−38699(JP,A) 特開 平5−76870(JP,A) 実開 昭53−105077(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 11/00 - 11/20 C02F 3/12 B01D 21/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚水の生物学的処理で発生する余
    剰汚泥に、カチオン系高分子凝集剤を添加して凝集処理
    し、スリットと、スリットから突出した揚歯を有し、該
    揚歯の上方への移動により固液分離を行う掻揚げ式スク
    リーンで凝集汚泥と濾過液に分離し、得られた濾過液を
    浸漬型膜分離装置で膜処理水と濃縮汚泥に分離し、再
    度、該濃縮汚泥を凝集処理に供することを特徴とする汚
    泥の処理方法。
  2. 【請求項2】 生物学的処理で発生する余剰汚泥を重力
    式濃縮槽で濃縮した後に、カチオン系高分子凝集剤を添
    加することを特徴とする請求項1記載の汚泥の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 有機性汚水を生物学的処理した際に発生
    する余剰汚泥に、カチオン系高分子凝集剤を添加する凝
    集剤添加手段と、スリットと、スリットから突出して設
    けられて上方に移動する揚歯を有し、凝集汚泥と濾過液
    を分離する掻揚げ式スクリーンと、分離された濾過液を
    処理水と濃縮汚泥に分離する浸漬型膜分離装置と、該濃
    縮汚泥を凝集処理に供する濃縮汚泥返送ラインとを有す
    ることを特徴とする汚泥の処理システム。
  4. 【請求項4】 余剰汚泥にカチオン系高分子凝集剤を添
    加する前に、該余剰汚泥を濃縮する重力式濃縮槽を有す
    ることを特徴とする請求項3記載の汚泥の処理システ
    ム。
JP15336198A 1998-06-02 1998-06-02 汚泥の処理方法および処理システム Expired - Fee Related JP3162339B2 (ja)

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