JP6924357B2 - 吸着繊維束及び体液浄化カラム - Google Patents

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Description

本発明は、体液浄化治療において体液中の病因物質を吸着により除去することを目的とし、病因物質に対する吸着能を有する繊維の束及びこれが内蔵された体液浄化カラムに関する。
従来より、患者の血液を体外循環させて体液浄化カラムに通し、吸着を原理として病身物質を除去する治療法は、血液中の低密度リポ蛋白質(LDL)濃度が異常高値となる高LDL血症や血液中のエンドトキシン濃度が異常高値となる敗血症などで一般的に広く使用されている。
これら体液浄化カラムは、体液をカラム入口に通し、カラム内の吸着体と接触させ、出口から排出させて使用する。このように、吸着体と体液が接触する過程を経ることにより、病因物質を吸着除去している。
吸着体の形状としては、ビーズや不織布を用いたものが広く使用されている。また、吸着繊維の繊維方向を揃えた糸束を円筒状ケースの長手方向(通常は長手方向)に揃えて充填する形態のものも開示されている。
例えば、特許文献1には繊維方向を揃えた糸束もしくは棒状多孔質吸着材を円筒状ケースの長手方向に揃えて充填されたものが記載されている。しかし、特許文献1には「壁面と繊維状または棒状多孔質吸着材との間に隙間ができ、体液の片流れが懸念される場合には、この隙間に充填剤または接着剤を入れることが好ましい」と記されているように、繊維などを一方向に引き揃えた状態で充填した場合、ケースとの間に形成される間隙や繊維同士の間隙の大きさがばらつきやすくなり、偏流の発生が懸念される。偏流が発生すると、カラムとして吸着性能を十分に発揮できないばかりか、滞留が生じ血栓が形成されるおそれがある。
他の吸着体の形態として、ビーズや細かい短繊維の形態を有する血液成分吸着体をケースに充填して、吸着体の接触面積を確保する発明が特許文献2、3に記載されている。
また、例えば、特許文献4、5には繊維を編地や不織布に加工した布を、側面に穴の空いた中空パイプの外側にパイプ断面方向から見て層状になるように連続して巻き付け、中心パイプから外側の布へ、または外側の布から中心パイプへ血液を流して使用するカラムが開示されている。
加えて、特許文献6には、中空糸を側面に穴が空いた中空パイプにらせん状に巻き付けて束としたものをケースに充填して、中空糸の内外どちらか一方に血液を、他方に酸素ガスを流し、中空糸膜を介して接触させたガス交換を行うカラムが記載されている。しかしながら、中空糸外側の流れに関していえば、中空パイプ側面の穴から出た血液がらせん状中空糸束に向かう流れ方向と、カラム全体としての流れ方向とが直角をなすため、らせん状中空糸束内で斜め方向へ流れたり、中空パイプ内で滞留したりすることにより、偏流が発生する恐れがある。したがって、ケース設計およびらせん状中空糸束内の流路径や密度を調節して流路抵抗を適切に設定する必要がある。
特開昭60−246765号公報 特開2009−254695号公報 特開2009−297229号公報 特開平9−239022号公報 特開2002−102332号公報 特開平11−47268号公報
Kazuhiko Ishikiriyama et al. ; JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE, 171, 103−111, (1995)
特許文献1に係る発明においては、上記したカラム内に発生する偏流の解消が大きな課題であった。
特許文献2、3に係る発明においては、血液を効率よく吸着体に接触させるために吸着体を均一にケース内に充填することが課題であった。
また、特許文献4、5に係る発明では、布を巻き付ける際に1層目から2層目へ層を重ねる時の段差部分、及び、多層に巻き付けるときの布同士の間の空隙の生じやすさが原因で偏流が起こり得ることから、吸着性能を発揮できない、また、血液滞留が発生しやすい、などの課題があった。
さらに、特許文献6で開示されているように棒の中心部および側面に被処理液が通過可能な流路を有している中心軸に繊維をらせん巻にすると、中心軸の部位によって繊維側へ流れる被処理液流量に差が生じるため、偏流の解消が課題であった。
本発明が解決しようとする課題は、上記の課題に鑑みて、体液浄化カラムにおいて、カラム内における偏流の発生が抑制された、病因物質の吸着除去性能が高い吸着繊維束及びカラムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、吸着繊維をらせん状に巻き付けて略円柱形の吸着繊維束に成形することが吸着性能向上に重要であることを見出した。上記らせん構造が吸着繊維と血液の接触面積を大きくできるためである。
すなわち、本発明に係る吸着繊維束は、以下の構成により示されるものである。
中心軸として円柱からなる棒状物質を有し、前記棒状物質は、内部に被処理液が通過可能な流路を有しないものであり、吸着繊維が前記棒状物質の周囲にらせん状に巻き付けられ、略円柱形に成形された、体液浄化用吸着繊維束。
さらに、本発明において見出したところによれば、吸着繊維束の中心部に血液が流れる流路、すなわち中空空間が存在しないことが流れの均一化の観点から好ましい。
また、本発明に係る体液浄化カラムは、以下の構成により示されるものである。
体液流入口と体液流出口のそれぞれを両端のいずれかに有するケーシングと、
前記ケーシング内に収納された吸着繊維束と、を備え、
前記吸着繊維束は円柱からなる棒状物質を中心軸としてその周囲にらせん状に巻き付けられ、略円柱形に成形された、体液浄化カラム。
本発明によれば、カラム内における偏流の発生が抑制された、被処理液に含まれる病因物質の効率的な吸着除去が可能な吸着繊維束及び浄化カラムを提供できるものである。
本発明の実施の形態に係る血液成分吸着体の巻姿であり、棒状物質の周囲に吸着繊維がらせん状に巻き付けられている。 本発明の実施の形態に係る血液成分吸着体の展開模式図であり、らせん状に巻くときの巻き付け角度を説明するものである。 カラムの吸着性能測定時の回路の図であり、血液を用いた性能評価の概略を説明するものである。
本発明における吸着繊維としては、吸着対象物質を含む流体と接触したときに、流体から対象物質を捕捉し、流体中の対象物質濃度を減少させる性能を有する繊維であれば、どのような素材のものでも良い。このような繊維は、たとえば、イオン結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用やリガンドとタンパク質の間の特異的結合などといった繊維と対象物質の間に生じる結合または引力によって対象物質を捕捉できる。
結合または引力といった相互作用を生じさせるためには繊維の構成成分が大きく影響する。対象物質との間に上記相互作用を発揮する成分を含有する繊維を用いても良いし、上記相互作用が無い繊維でもその繊維表面にリガンドや相互作用を生じさせる官能基などを修飾させた繊維を用いても良い。
一般的に吸着効率に吸着体と被処理流体との接触面積が大きく寄与していることが知られており、上記接触面積が大きいほど吸着が促進される。
接触面積増加の手段としては、繊維径の細径化が有効である。これは繊維体積あたりの表面積を増加して、繊維全体をより効率的に吸着に使用できるためである。繊維断面の円相当直径の上限としては、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは240μm以下、さらに好ましくは190μm以下、特に好ましくは160μm以下である。円相当直径が大きすぎる場合、カラムに充填した際のカラム内における単位体積あたりの糸の充填量が減少し、吸着量低下につながることがあるため好ましくない。繊維径の下限としては、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上である。円相当直径が小さすぎる場合、繊維の強度が低下し切れやすくなるため、棒状物質に繊維を巻き付けて略円柱状に成形する際の不安定化、製品化後の耐衝撃性の低下に繋がることがある。
上記円相当直径の測定方法としては、測定対象となる糸の両端を、0.01〜0.1g/mmの張力をかけた状態で固定し切断する。その後、切断面を光学顕微鏡で拡大して写真撮影する。その際には同一倍率でスケールも撮影する。該画像をデジタル化した後、例えばスカラ(株)の画像解析ソフト「Micro Measure ver.1.04」を用い、糸の断面の外周部をなぞって断面積Sを算出し、以下の式により個々の目開きの円相当直径を算出する。30点の測定値の平均を算出し、小数点以下第1位を四捨五入する。
吸着繊維の円相当直径=2×(S/π)1/2
繊維の断面形状は、円形に限らず、繊維の単位体積あたりの接触面積を広げるために、少なくとも一部を異径断面にしたものを用いても良く、また、異なる断面形状の繊維を混合させて用いても良い。
本発明において、吸着繊維の異形度は、糸断面を観察した際の内接円と外接円の直径の比、すなわち、内接円の直径Diと外接円の直径Doの比Do/Diによって表す。
ここで、異形断面については線対称性、点対称性などの対称性を保持した形状であっても、非対称性であってもよいが、均一な繊維物性を有する点で概ね対称性を有する形状であることが好ましい。異形断面が概ね線対称性、点対称性を保持すると判断される場合、内接円とは繊維横断面において繊維の輪郭をなす曲線に内接する円であり、外接円とは繊維横断面において繊維の輪郭をなす曲線に外接する円である。
一方、異形断面が線対称性、点対称性を全く保持しない形状であると判断される場合には、繊維の輪郭をなす曲線と少なくとも2点で内接し、繊維の内部にのみ存在して内接円の円周と繊維の輪郭をなす曲線とが交差しない範囲においてとりうる最大の半径を有する円を内接円とする。外接円は繊維の輪郭を示す曲線において少なくとも2点で外接し、繊維横断面の外部にのみ存在し、外接円の円周と繊維の輪郭が交差しない範囲においてとりうる最小の半径を有する円を外接円とする。
いかなる異形の形状であれ、これが1.2以上あれば、繊維が除去対象物質を吸着する能力を高くすることが可能となる。異形度は、一般には、増大するにしたがって体積当りの表面積が増大するため、吸着性能を向上させることができるためである。したがって、好ましい異形度の下限は1.2以上であり、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上である。一方、異形度が増大しすぎる場合、別の問題が生じ得る。すなわち、断面形状が複雑化して部分的に細長い箇所が生じるために、糸の強伸度が低下して繊維の部分的な折れ曲がりや切断が起きやすく、繊維形状の保持が困難なことから紡糸安定性が低下する。また、繊維として成型する前の紡糸原液を風や液を用いて速やかに冷却する場合、複雑な形状が糸内部への風や液体の流れを妨げ、結果として糸形状だけでなく、表面および内部のミクロ構造にもムラが生じることが懸念される。このことから、異形度には一定の上限を設けることが好ましく、本発明においては6.6以下としており、好ましくは4.5以下、より好ましくは3.6以下である。
異形度の測定方法としては、測定対象となる繊維の両端を、0.1g/mmの張力を付与した状態で固定し、無作為の位置で切断する。その後、切断面を光学顕微鏡、例えばスカラ社製DIGITAL MICROSCOPE DG−2で拡大して写真撮影する。撮影の際、同一倍率でスケールも撮影する。当該画像をデジタル化した後、例えばスカラ(株)の画像解析ソフト「Micro Measure ver.1.04」を用い、繊維の横断面の外接円の直径Doと、内接円の直径Diを計測する。そして次式により各繊維の異形度を求める。この測定を30箇所について行い、値を平均化し、小数点以下第2位を四捨五入した値を異形度とする。
異形度=Do/Di
また、本発明における繊維は、いわゆる一般的な中空糸でも、中空部を持たない繊維(中実糸)のどちらを用いても良い。本発明において特に中空糸を用いるときの、繊維断面積に対する中空部分断面積の比率の上限としては、0.6以下が好ましく、より好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。繊維断面積に対する中空部分の比率が大きいと、カラムに充填した際のカラム内における単位体積あたりの糸の充填量が減少し、カラムとしての吸着量低下につながるため好ましくない。
上記繊維断面積に対する中空部分断面積の比率は、上記円相当直径の測定と同様手法により糸断面を解析し、繊維断面積S、繊維中空部断面積Siを算出し、以下の式により比率を算出する。
繊維断面積に対する中空部分断面積の比率=Si/S
加えて、上記接触面積を効果的に増加させるために、多孔質構造の繊維を用いることが好ましい。特に、内部に細孔を有するものが好ましい。内部の細孔の平均細孔半径の下限としては、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.5nm以上、特に好ましくは2.0nm以上であり、一方、上限としては、好ましくは100nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下である。内部に細孔を有していても、平均細孔径が小さすぎると、被吸着物質が孔に入らないため、吸着効率が低下することがある。一方で、細孔径が大きすぎても、空隙部分に被吸着物質が吸着されないため、逆に吸着効率が低下することがある。上記の孔径範囲内で、除去対象とする被吸着物質の大きさに応じて最適な孔径が存在し、孔径の選択を誤ると十分な被吸着物質の吸着が出来ないことがある。
多孔質繊維の平均細孔半径は、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量(DSC)測定により、細孔内の水の毛管凝集による氷点降下度を測ることで1次平均細孔半径として求められる。吸着材料を−55℃に急冷し、5℃まで0.3℃/minで昇温させて測定し、得られた曲線のピークトップ温度を融点として、次式から細孔の1次平均細孔半径を算出する。
1次平均細孔半径[nm]=(33.30−0.3181×融点降下量[℃])/融点降下量[℃]
上記測定・算出方法においては、上述した非特許文献1に記載されたTHEORYの式(2)およびMATERIAL AND METHODの項を参照する。
本発明における多孔質繊維の素材としては、特に限定されるものではないが、成形加工のし易さやコストなどの観点から有機物が好適に用いられ、例えばポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、セルローストリアセテート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が用いられる。中でも、非晶性の高分子であり、タンパク質を吸着できる特性を有する疎水性高分子を含むことが好ましく、例えば、PMMA、PAN等が挙げられる。PMMA、PANは、また、厚み方向に均一構造を有する繊維の代表例であり、均質構造で孔径分布がシャープな構造を得やすいため好ましい。その中でも、ポリメタクリレート系素材がさらに好ましく、特にPMMAは、成形加工性やコストに優れ、また、透明性も高いため、繊維の内部状態も比較的観察が容易であり、ファウリング状態を評価しやすく好ましい。
本発明における略円柱状の吸着繊維束とは、図1に例示するように円柱の中心となる棒状物質である中心棒2に吸着繊維3をらせん状に巻き付けたらせん状線維束1を示すものである。
なお、かかる略円柱形状の吸着繊維束には、束の断面径が一定でないものも含まれ、たとえば一端の径に対して他端の径を変えた形状でも良い。また、略円柱の途中でくびれを持たせたり、逆にふくらみを持たせたりしても良い。
本発明における棒状物質は、内部に被処理液が通過することができる流路を有さないものであり、すなわち、中実である。また、吸着繊維を巻き付けるときの安定性、繊維束作製後の強度維持、形状維持に極めて重要な役割を果たすものである。
棒状物質の断面は多角形などの異形断面でも構わないが、円形断面が好ましい。異形断面の棒状物質を用いると、異形形状における頂点において力が掛かることによる繊維破断、頂点間に繊維のたわみができ、棒状物質側面との間に空間が生じることによる被処理液流れの不均一化のおそれがある。
棒状物質の断面径の下限としては、円相当径として1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、特により好ましくは3mm以上である。棒状物質の断面径が小さすぎると、巻き付けの際の繊維張力による棒状物質の変形や破壊、繊維束作製後の繊維束の変形が起こりやすくなる。
また、作製後の繊維からなる円柱(以下、繊維円柱)の外径(Rf)に対する棒状物質の断面径(Rb)の比(Rb/Rf)の上限としては0.7以下が好ましく、より好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。下限としては、0.03以上が好ましく、より好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。この比率が高すぎると繊維束内での被処理液流れの偏りや、カラムサイズの増加に繋がることがある。逆に低すぎると円柱作製後の形状維持が不安定になり円柱内部の糸配置のズレやゆがみ、ケーシングへの挿入後の変形・ねじれによる繊維の破断が生じるおそれがある。円柱の外径が一定でない場合、Rfの最小値を用いて算出したRb/Rf、つまりRb/Rfの最大値が上記した好ましい上限を下回り、かつ、Rfの最大値を用いて算出したRb/RfつまりRb/Rfの最小値が上記した好ましい下限を上回ることが好ましい。棒状物質の断面径が一定でない場合も同様に、Rb/Rfの最大値およびRb/Rfの最小値を用いて判断すればよい。
上記棒状物質においては、プラスチックや金属等により構成される器具であることが好ましい。プラスチックの場合は、例えば機械的強度、熱安定性に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも成形性、放射線耐性の点において優れた樹脂が好ましい。放射線耐性に優れる樹脂は滅菌時に放射性照射する場合に好ましいためである。樹脂は、金型による射出成形や、素材を切削加工することにより製作される。中でもコストや成型性、重量、血液適合性などの観点からプラスチックが好適に用いられる。これらの中でも成形性、放射線耐性の点においてポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびそれらの誘導体が好ましい。
本発明の繊維円柱における繊維占有率は、カラムの吸着性能に極めて重要である。繊維円柱における繊維占有率は、10〜80%であることが好ましく、より好ましくは15〜70%であり、特に好ましくは20〜60%である。上記上限及び下限のいずれの組み合わせの範囲であってもよい。繊維占有率は小さすぎてもカラム内に充填される吸着繊維量が少なく、吸着容量が小さくなり使用する上で吸着性能が不十分となることがある。逆に大きすぎても被処理液の流路面積が縮小、複雑化し流動性が悪くなることで吸着性能を十分に発揮できないことがある。
繊維円柱における繊維占有率は、繊維円柱の断面積と長さから計算される繊維円柱体積(Vc)から棒状物質の断面積および棒状物質有効長から計算される棒状物質体積(Vb)を除いた体積と、繊維断面積、繊維本数および繊維長から計算される繊維体積(Vf)との比率であり、以下のように求められる。
Vc=繊維円柱断面積×繊維円柱長さ
Vb=棒状物質の断面積×棒状物質有効長
Vf=繊維断面積×繊維本数×繊維長
繊維円柱における繊維占有率=Vf×100/(Vc−Vb)
なお、VcやVbを求める際に断面径が一定でない場合は、適宜長さ方向に分割して求めた体積を合計するなどして求めることができる。また、棒状物質の有効長については、棒状物質の全体の長さがケーシング内部を貫通するなどケーシング有効長よりも長い場合は、ケーシング有効長を棒状物質有効長とする。ここで有効長とは、カラムにおいて繊維がポッティング材等で覆われた部分を除いた、体液を流したときに吸着が有効に働く部分の長さである。
本発明における吸着繊維束は、棒状物質に対して繊維1本を巻き付けて作製しても良いし、等間隔に配置した複数本の繊維を同時に巻き付けて作製しても良い。1本の繊維又は複数本の各繊維が連続して巻き付けられていることが好ましい。
本発明において、繊維を連続して巻く、とは、少なくとも吸着体の円筒長(円柱の長手方向軸長さ)に渡って途切れること無く巻くことを指し、引き続き同様に繊維を途切れさせることなく巻き重ねることが好ましい。このように繊維を連続して巻くことで、効率的に巻くことが可能となる上、繊維の端部の処理が容易であって、ケース内部で繊維がほどけて吸着体の形状が崩れるリスクを低減でき、ケース内部で吸着体が形状を保つことが可能となる。
図2の線維巻き取り時の外表面展開図4に示すように、吸着繊維10は棒状物質の外側に円柱状線維束の長さ(L)5および線維巻き取り時の最外面円周長(2πr)7に対して、任意の角度θを付けてらせん状に巻き付けられる。このθはトラバース角度(θ)8として管理される。また、トラバース角度の上限(θ’)9は、円柱状線維束の長さ(L)5と線維巻き取り時の最外面半円周長(πr)6で構成された長方形の対角線と、線維巻き取り時の最外面半円周長(πr)6の間の角度として管理される。
本発明で、らせん状とは、糸を棒状物質の半径方向に対してトラバース角度θだけ傾けて複数回巻き付けたものを指す。
糸を巻き付ける方法としては、棒状物質に最も近い糸道ガイドを棒状物質の軸方向と平行に相対的に移動させながら、糸を巻き始めた棒状物質を回転させることで、トラバース角度θを付けて巻くことが可能となる。糸道を規制する糸道ガイドを平行移動させても良いし、回転する棒状物質が、固定された糸道ガイドに対し、平行移動してもよい。
が棒状物質の一端まで巻きつけられたら、上記平行移動の方向を反転することで、他端に向かって逆方向に糸が巻重ねられる。この往復動作を連続して繰り返すことで、糸は次第に巻き重ねられ、巻太ることで円柱形状の吸着繊維体を形成する。
トラバース角度θは糸が巻き太るにつれて変化させても良いし、一定でもよい。トラバース角度θは、棒状物質と糸道が相対的に平行移動する速度であるトラバース速度Vtと、糸の巻き取り速度Vrとで表され、次式で算出できる。
θ=tan−1(Vt/Vr)・・・(式1)
トラバース角度θは、巻き取った後の繊維円柱においてもその角度が保持されている。
なお、トラバース角度θとは、巻き取った後の円柱底面と平行な直線と巻き取り糸とが為す角度のうち、鋭角の方であり、すなわち0°より大きく90°未満の角度となる。
すなわち、同じトラバース角度を保ったまま糸を巻き取る時の棒状物質の回転方向を逆方向にした場合であっても、円柱底面と平行な直線と巻き取り糸とが為す角度のうち、鈍角(90°〜180°)ではなく、0°より大きく90°未満をθと読み取る。
本発明においてトラバース角度θは、繊維円柱の形状安定および繊維内での被処理液の流動性に極めて重要であることが見出されており、トラバース角度θの下限においては、0.01°より大きいことが好ましく、0.1°より大きいことがより好ましく、1°より大きいことがさらに好ましく、5°より大きいことが中でも好ましく、より一層好ましいのは10°以上、特に好ましくは20°以上である。またトラバース角度θの上限θ’については、円柱状繊維束の内部または外部の任意の地点において下記式を満たす角度が好ましく、50°より小さいことがより好ましく、40°より小さいことがさらに好ましい。
tanθ'=L/πrかつ、0.01°<θ'<65°
上記式中のLは円柱状繊維束の長手方向の長さ、rは上記任意の地点における円柱状繊維束の横断面半径、πは円周率を表す。たとえば、円柱状繊維束の最外周より内側の、ある地点におけるθは、巻き取った糸を目的地点の横断面半径になるまでほどいた後、θを読み取ることで求めることができる。また、外半径が一定でない場合、トラバース角度θの上限θ’については、繊維束最外面の外半径の最大と最小の平均値をrとして上記式に代入することで求めることができる。トラバース角度が小さすぎると繊維同士の接触が密になりすぎて、被処理液の流動性が悪くなり、十分な吸着性能を発揮できないことがある。また、トラバース角度が上記式で示すθ’よりも大きいと図2に示すように、繊維を棒状物質に巻き付ける際に棒状物質の一端から他端へ糸が移動する間に棒状物質の円周方向に対して巻き付く繊維の長さが十分でなく、糸の張力が棒状物質に伝わりにくくなりかねないため、安定した繊維の巻き取りが困難になることがある。
本発明における多孔質繊維は、体液の流入口と流出口をもつケーシングに内蔵することで浄化カラムとして用いることができる。
ケーシングの形状としては、両端が開放端であり、例えば四角筒体、六角筒体等の角筒体や円筒体が挙げられ、中でも円筒体、特に断面が真円状の筒体が好ましい。これはケーシングが角をもたないことで、角部での体液の滞留が発生しないようにできるためである。また、両側を開放端とすることで、体液の流れが乱流になりにくく圧力損失を最小限に抑えることができる。また、ケーシングはプラスチックや金属等により構成される器具であることが好ましい。プラスチックの場合は、例えば機械的強度、熱安定性に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でもケーシングに求められる成形性、透明性、放射線耐性の点においてポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびそれらの誘導体が好ましい。透明性に優れた樹脂は、たとえば血液などの灌流時に内部の様子を確認できるため安全性の確保に好都合であり、放射線耐性に優れる樹脂は滅菌時に放射性照射する場合に好ましいためである。樹脂は、金型による射出成形や、素材を切削加工することにより製作される。中でもコストや成型性、重量、血液適合性などの観点からプラスチックが好適に用いられる。
浄化カラムの端部封止方法としては、メッシュを配置する方法や、樹脂で固定して隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を設ける手法もある。ここで、貫通孔とは隔壁部の多孔質繊維長手方向に貫通している開口部のことである。すなわち、隔壁部に存在してこれを貫通するものであり、ケーシングの内部と外部を連通する孔のことである。この中でも、メッシュを配置する方法は、隔壁を形成する手法に比べて工程が容易であり、またカラム内への液の分散性も高いためより好ましい。また、カラム内の被処理液の分散性をさらに高める目的で、メッシュの一部に他より圧力損失の大きいメッシュを設けたり、邪魔板と呼ばれるような流れを遮る板などを付与したりしてもよい。
本発明においては、被吸着物質がその繊維内部に入り込み、吸着される多孔質繊維を提供することが好ましい。そこで、カラムとして繊維束の内部までタンパク質が移動しやすいような形状及び構造を有することが好ましい。カラム内での流体の移動はカラムへの繊維の充填率、ケーシング内径、繊維径、繊維本数などによって制御することができる。本発明においては、ケーシングから棒状物質が占める部分を除いた空間の体積に対する繊維の充填率(ケース充填率)の上限としては70%以下が好ましく、より好ましくは65%、特に好ましくは62%以下である。ケース充填率の下限としては、10%以上、より好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上である。充填率は、高すぎるとケースへの挿入性が悪くなることがあり、低すぎるとケース内の糸が偏ってしまい、カラム内の流れにムラができることがある。
よりケース充填率の計算方法を説明すると、ケーシングの断面積と長さから計算されるケーシング体積(Vm)から棒状物質の断面積およびケーシング長から計算される棒状物質体積(Vb)を除いた体積と、繊維断面積およびケーシング長、繊維本数から計算される繊維体積(Vf)との比率として、以下のように求められる。
Vm=ケーシング胴部の断面積×ケーシング有効長
Vb=棒状物質の断面積×棒状物質有効長
Vf=繊維断面積×繊維本数×繊維長
ケース充填率=Vf/(Vm−Vf)×100(%)
なお、ケーシング胴部の断面積については、ケーシングにテーパーがある場合は、ケーシング中央における断面積とする。また、VcやVbを求める際に断面径が一定でない場合は、適宜長さ方向に分割して求めた体積を合計するなどして求めることができる。
棒状物質の有効長については、棒状物質の全体の長さがケーシング内部を貫通するなどケーシング有効長よりも長い場合は、ケーシング有効長を棒状物質有効長とする。ここで有効長とは、カラムにおいて繊維がポッティング材等で覆われた部分を除いた、体液を流したときに吸着が有効に働く部分の長さである。
また、ここでいうVmは、繊維を内包しない部材部分、例えばヘッダー、ヘッダーキャップと呼ばれるような被処理液の出入口ポートとなり得る部材についての体積は含まないものとする。
また、ケーシングに繊維円柱を挿入したときに、ケーシングと繊維円柱の間に大きな隙間が生じていると被処理液がショートパスしてしまい、流れムラや吸着除去不良の原因となる。したがって隙間はなるべく少ない方が好ましい。繊維円柱挿入後の隙間を減らすためにケース内壁全体をポッティング材などで埋めてしまっても良いし、繊維円柱にメッシュや布などをさらに巻いて円柱径を調節してからケーシングに挿入しても良い。繊維円柱挿入後における任意の位置のケーシング断面における、ケーシング内径(Rc)に対する挿入後の繊維円柱断面径(Rf)の差(ΔR)は0mm以上5mm以下が好ましく、より好ましくは0mm以上3mm以下、特に好ましくは0mm以上1mm以下である。ケーシング内径(Rc)は、ケース内壁全体をポッティング材などの固定材、接着剤で埋めた場合はその層の厚みを含むが、ケース端面にのみ固定材、吸着剤で埋めた場合はそれらの厚みを含まない。同様に、繊維円柱断面径(Rf)は、繊維円柱に布などを巻いた場合はその層の厚みを含む。ΔR=0mmとは実質、繊維円柱の側面がケーシング内壁または固定材等と接触していることを表す。
本発明における浄化カラムは、主に体液浄化用途として用いることができる。
本発明おける浄化カラムが使用対象とする体液とは、血液や血漿、リンパ液や腹水など生体内にあって組織間、体腔内、全身の管や循環系などを満たす液体を指す。
中でも、血液浄化用途の場合、処理方法には全血を直接灌流する方法と血液から血漿を分離した後に血漿をカラムに通す方法とがあるが、本発明の浄化カラムはいずれの方法にも用いることができる。除去対象としては、病因タンパク質、細菌、ウイルスなどに好適に用いられる。特に病因タンパク質としては、例えばサイトカイン、β2−マイクログロブリン(β2−MG)、IgG,免疫複合体、LDLなどが挙げられる。
また、血液浄化器として用いる場合、1回の処理量や操作の簡便性などの観点から体外循環回路に組み込みオンラインで吸着除去を行う手法が好ましい。この場合、本発明の浄化カラムを単独で用いても良いし、透析時などに人工腎臓と直列に繋いで用いることもできる。このような手法を用いることで、透析と同時に人工腎臓のみでは除去が不十分である物質を除去することができる。特に人工腎臓では除去が困難な大分子量物質を、本発明に係る浄化カラムを用いて吸着除去することで人工腎臓の機能を補完できる。
人工腎臓と同時に用いる場合には、回路内において、人工腎臓の前に接続しても良いし人工腎臓の後に接続しても良い。人工腎臓の前に接続するメリットとしては、人工腎臓による透析の影響を受けにくいため、浄化カラムの本来の性能を発揮し易いことがある。一方で人工腎臓の後に接続するメリットとしては、人工腎臓で除水を行った後の血液を処理するため、溶質濃度が高く、吸着除去効率の増加が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<重量平均分子量測定>
多孔質繊維の作成に用いるPMMAおよびPMMA共重合体の重量平均分子量は以下のとおり求めた。まず各PMMA試料を溶媒である0.1N−塩化リチウム・DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させた。オストワルド粘度計を用いて溶媒に対する試料溶液の25.0℃における相対粘度を測定し、相対粘度から重量平均分子量を算出した。
<多孔質繊維の作製>
重量平均分子量が40万のsyn−PMMAを31.7質量部、重量平均分子量が140万のsyn−PMMAを31.7質量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.7質量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む重量平均分子量30万のPMMA共重合体20質量部をジメチルスルホキシド376質量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を92℃に保温された口金から、1.1g/minの速度で空気中に吐出し、空中部分を380mm走行させた後、凝固浴に導き、浴内を通過させて中実糸を得た。凝固浴には水を用いており、水温(凝固浴温度)は42℃であった。それぞれの繊維を水洗後、保湿剤としてグリセリンを70重量%含む水溶液から成る浴槽に導いた後、温度を84℃とした熱処理浴内を通過させて余分のグリセリンを除去した後に27m/minで巻き取った。
得られた多孔質繊維の円相当直径は111.1μm、異形度は1.59、平均細孔径は6.6nmだった。
<カラムの作製>
上記で得られた多孔質繊維を長さ20mm、内径4mmのポリカーボネート製の円柱からなる棒状物質にトラバース角度θが1°となるように、全体の径が10mmとなるまで巻き付け吸着繊維体を形成した。吸着繊維体を内径10mm、軸方向長さ20mmのポリカーボネート製円筒状ケーシング内に内蔵した。ケース充填率は46.4%だった。最後に、ケーシング端部には被処理液の流入口、流出口をもつヘッダーと呼ばれるキャップをとりつけた。
<カラムの吸着性能測定>
カラムの吸着性能評価として、β2−MGのクリアランスを測定した。β2−MGは、長期透析合併症である透析アミロイドーシスの原因タンパク質であることが知られている。
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加した牛血液から、遠心分離によって血漿を得た。該血漿について、総タンパク量が6.5±0.5g/dLとなるように調整した。尚、ウシ血漿は、採血後5日以内のものを用いた。次に、ウシ血漿β2−MG濃度が1μg/mLになるように加え、撹拌した。かかる牛血漿について、その35mLを循環用に、50mLをクリアランス測定用として分けた。
回路は図3のようにセットした。すなわち、37℃湯浴13で保温された循環用血漿15またはクリアランス測定用血漿16がポンプ12を通り、浄化カラム11を通過したのち、分岐した回路の一方が廃棄用ビーカー14、他方が循環用血漿15へ繋がっている構成となっている。
回路のうち、被処理液を取り込む入り口部をBi、浄化カラム通液後の液出口部をBoとした。
Biを上記で調整した牛血漿35mL(37℃)の入った循環用ビーカー内に入れ、流速を3.5mL/minとしてポンプをスタートし、Boから排出される液体90秒間分を廃棄後、ただちにBoを循環用ビーカー内に入れて循環状態とした。
循環を1時間行った後ポンプを停止した。
次に、Biを上記で調整したクリアランス測定用の牛血漿内に入れ、Boを廃棄用ビーカー内に入れた。
流速は3.5mL/minとして、ポンプをスタートしてから2分経過後、クリアランス測定用の牛血漿(37℃)からサンプルを5ml採取し、Bi液とした。スタートから4分30秒経過後に、Boから流れたサンプルを5ml採取し、Bo液とした。これらのサンプルは−20℃以下の冷凍庫で保存した。
各液のβ2−MGの濃度からクリアランスを下記I式によって算出した。牛血液のロットによって測定値が異なる場合があるので、実施例、比較例には全て同一ロットの牛血漿を使用した。
Co(ml/min)=(CBi−CBo)×QB/CBi (I)
(I)式において、CO=β2−MGクリアランス(ml/min)、CBi=Bi液におけるβ2−MG濃度、CBo=Bo液におけるβ2−MG濃度、QB=Biポンプ流量(ml/min)である。
各液のβ2−MGの濃度から吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量を下記II式によって算出した。牛血液のロットによって測定値が異なる場合があるので、実施例、比較例には全て同一ロットの牛血漿を使用した。
Ab(μg/cm)=(CBs−CBe)×VL/Vf (II)
(II)式において、Abは吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量(μg/cm)、CBsは循環開始時の循環血漿のβ2−MG濃度(μg/mL)、CBeは循環終了後の循環血漿のβ2−MG濃度(μg/mL)、VLは循環血漿の液量(mL)、Vfは繊維体積(cm)である。
β2−MGクリアランスは0.33mL/min、吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量は、26.5μg/cmだった。
[実施例2]
実施例1と全く同じ多孔質繊維、棒状物質を用いて、トラバース角度θが20°となるように吸着線維体を形成し、吸着線維体を実施例1と同じケース、ヘッダーキャップからなるカラムに内蔵した。ケース充填率は27.4%だった。
実施例1と同様に測定したβ2−MGクリアランスは0.20mL/min、吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量は、42.1μg/cmだった。
[実施例3]
実施例1と全く同じ多孔質繊維、棒状物質を用いて、トラバース角度θが30°となるように吸着線維体を形成し、吸着線維体を実施例1と同じケース、ヘッダーキャップからなるカラムに内蔵した。ケース充填率は23.2%だった。
実施例1と同様に測定したβ2−MGクリアランスは0.13mL/min、吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量は、46.9μg/cmだった。
[実施例4]
実施例1と全く同じ多孔質繊維、棒状物質を用いて、トラバース角度θが40°となるように吸着線維体を形成し、吸着線維体を実施例1と同じケース、ヘッダーキャップからなるカラムに内蔵した。ケース充填率は22.1%だった。
実施例1と同様に測定したβ2−MGクリアランスは0.11mL/min、吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量は、38.4μg/cmだった。
[比較例1]
実施例1と全く同じ多孔質繊維、棒状物質を用いて、トラバース角度θが30°となるように吸着線維体を形成した後、棒状物質を取り除いた円筒状の吸着線維体を実施例1と同じケース、ヘッダーキャップからなるカラムに内蔵した。ケース充填率は18.0%だった。
実施例1と同様に測定したβ2−MGクリアランスは0.02mL/min、吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量は、7.3μg/cmだった。クリアランスおよび吸着繊維体の体積あたりのβ2―MG吸着量が低かったのは、大半の血漿が吸着線維体内を流れず、中心の空洞部を流れたためである。
上記実施例及び比較例の各種数値データをまとめて表1に示す。
Figure 0006924357
1 らせん状繊維束
2 中心棒
3 吸着繊維
4 繊維巻き取り時の外表面展開図
5 円柱状繊維束の長さ(L)
6 繊維巻き取り時の最外面半円周長(πr)
7 繊維巻き取り時の最外面円周長(2πr)
8 トラバース角度(θ)
9 トラバース角度の上限(θ’)
10 吸着繊維
11 浄化カラム
12 ポンプ
13 37℃湯浴
14 廃棄用ビーカー
15 循環用血漿
16 クリアランス測定用血漿

Claims (10)

  1. 中心軸として円柱からなる棒状物質を有し、
    前記棒状物質は、内部に被処理液が通過可能な流路を有しないものであり、
    吸着繊維が前記棒状物質の周囲にらせん状に巻き付けられ、略円柱形に成形された、体液浄化用吸着繊維束。
  2. 前記吸着繊維が連続に巻き付けられている、請求項1記載の体液浄化用吸着繊維束。
  3. 前記吸着繊維の少なくとも一部は、断面が異形の形状を有する、請求項1又は2記載の吸着繊維束。
  4. 前記吸着繊維が多孔質構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の吸着繊維束。
  5. 前記吸着繊維のトラバース角度θが0.01°<θ≦θ’の範囲を満たす、請求項1〜4のいずれか一項記載の吸着繊維束。
    ただし、θ'は円柱状繊維束の内部または外部の任意の地点において次の式を満たす
    tanθ'=L/πrかつ0.01°<θ'<65°
    L:円柱状繊維束の長手方向長さ[m]、r:前記任意の地点における円柱状繊維束の横断面半径[m]、π:円周率[−]
  6. 前記吸着繊維の基材が疎水性高分子である、請求項1〜5のいずれか一項記載の吸着繊維束。
  7. 前記疎水性高分子がポリメタクリレート系である、請求項6記載の吸着繊維束。
  8. 繊維占有率が10〜80%である、請求項1〜7のいずれか一項記載の吸着繊維束。
  9. 前記吸着繊維束の外径(Rf)に対する前記棒状物質の断面径(Rb)の比(Rb/Rf)が0.03以上、0.7以下である、請求項1〜8のいずれか一項記載の吸着繊維束。
  10. 体液流入口と体液流出口のそれぞれを両端のいずれかに有するケーシングと、
    前記ケーシング内に収納された吸着繊維束と、を備え、
    前記吸着繊維束は円柱からなる棒状物質を中心軸としてその周囲にらせん状に巻き付けられ、略円柱形に成形された、体液浄化カラム。
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