JP6923656B2 - 光学フィルタおよび光センサ - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外線透過フィルタを有する光学フィルタに関する。また、前述の光学フィルタを含む光センサに関する。
近赤外線は可視光に比べて波長が長いので散乱しにくく、距離計測や、3次元計測などにも活用可能である。また、近赤外線は人間、動物などの目に見えないので、夜間に被写体を近赤外線光源で照らしても被写体に気付かれることなく、夜行性の野生動物を撮影する用途、防犯用途として相手を刺激せずに撮影することにも使用可能である。このように、近赤外線に感知する光センサは、様々な用途に展開が可能である。このような近赤外線に感知する光センサにおいては、特許文献1〜3に記載されるように近赤外線透過フィルタが用いられている。
特開2016−146619号公報 国際公開WO2015/166779号公報 特開2014−103657号公報
近赤外線は可視光などに由来するノイズを含みやすい。また、一般的に、検出に用いられる光の波長が長くなるに伴い光センサの感度が低下し易く、それに伴い、目的の波長の光以外の成分がノイズとなって、光センサの検出精度が低下することがある。
また、光センサの精度等の各種性能を長期にわたって維持させるため、光センサに用いられる近赤外線透過フィルタについての耐光性や耐湿性を高めることが望ましい。
よって、本発明の目的は、耐光性および耐湿性が良好で、優れた検出精度を有する光学フィルタおよび光センサを提供することにある。
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、後述する構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 近赤外線透過フィルタと、近赤外線透過フィルタ上に設けられた誘電体多層膜と、を有する光学フィルタであって、
光学フィルタは、誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとが接しているか、あるいは、誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとの間に一方の面が誘電体多層膜と接し、他方の面が近赤外線透過フィルタと接している有機物層を有しており、
光学フィルタは、波長600nm以上1050nm未満の範囲で透過率が50%となる波長が少なくとも2つあり、透過率が50%となる波長のうち、最も短波長側の波長をλ1、最も長波長側の波長をλ2とした場合、下記条件1〜3の特性を満たす光学フィルタ;
条件1:(λ1−100)nmの波長の光の透過率が5%以下である
条件2:λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最大値が70%以上である
条件3:(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値が30%以下である。
<2> λ2とλ1との差が120nm以下である、<1>に記載の光学フィルタ。
<3> 光学フィルタは、波長400〜830nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長940nmの光の透過率が70%以上であり、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、<1>または<2>に記載の光学フィルタ。
<4> 近赤外線透過フィルタは、波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
<5> 光学フィルタは、波長400〜750nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長850nmの光の透過率が70%以上であり、波長940〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、<1>または<2>に記載の光学フィルタ。
<6> 近赤外線透過フィルタは、波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長900〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上である、<1>、<2>または<5>に記載の光学フィルタ。
<7> 誘電体多層膜は、波長400〜1100nmの範囲において、λ1よりも短い波長の光の少なくとも一部と、λ2よりも長い波長の光の少なくとも一部とを遮光する膜である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
<8> 誘電体多層膜は、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
<9> 近赤外線透過フィルタは色材を含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
<10> 色材は、2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している、<9>に記載の光学フィルタ。
<11> 色材は、有機系黒色着色剤を含む、<9>または<10>に記載の光学フィルタ。
<12> 近赤外線透過フィルタは更に近赤外線吸収剤を含む、<9>〜<11>のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
<13> 近赤外線吸収剤は、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物およびシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、<12>に記載の光学フィルタ。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の光学フィルタを有する光センサ。
本発明によれば、耐光性および耐湿性が良好で、優れた検出精度を有する光学フィルタおよび光センサを提供することができる。
本発明の光学フィルタの一実施形態を示す図である。 本発明の光学フィルタの一実施形態を示す図である。 本発明の光学フィルタとカラーフィルタとを組み合わせて用いた構造体の一実施形態を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TOSOH TSKgel Super HZM−HとTOSOH TSKgel Super HZ4000とTOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラムを用い、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いることによって求めることができる。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、近赤外線とは、波長700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、
近赤外線透過フィルタと、近赤外線透過フィルタ上に設けられた誘電体多層膜と、を有し、
誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとが接しているか、あるいは、誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとの間に一方の面が誘電体多層膜と接し、他方の面が近赤外線透過フィルタと接している有機物層を有しており、
波長600nm以上1050nm未満の範囲で透過率が50%となる波長が少なくとも2つあり、透過率が50%となる波長のうち、最も短波長側の波長をλ1、最も長波長側の波長をλ2とした場合、下記条件1〜3の特性を満たすことを特徴とする。
条件1:(λ1−100)nmの波長の光の透過率が5%以下である
条件2:λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最大値が70%以上である
条件3:(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値が30%以下である。
本発明の光学フィルタによれば、上記の条件1〜3の特性を有することにより、λ1よりも短い波長の光やλ2よりも長い波長の光を遮光して、λ1近傍からλ2近傍までの範囲の波長の光を選択的に透過させることができる。このため、本発明の光学フィルタは、センシングや画像認識などに用いられる目的の波長の光よりも短い波長の光や、長い波長の光を遮光して、ノイズのすくない目的の波長の光を選択的に透過させることができる。その結果、本発明の光学フィルタを光センサに組み込むことにより、センシングの精度や、画像認識の精度などの光センサにおける検出精度を高めることができる。
また、近赤外線透過フィルタが酸素と接触した状態で、近赤外線透過フィルタに光が照射され続けると、光照射によって発生した酸素ラジカルによって近赤外線透過フィルタが攻撃を受けて分光特性などが変動することがある。しかしながら、本発明の光学フィルタは、誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとが接しているか、あるいは、誘電体多層膜と近赤外線透過フィルタとの間に一方の面が誘電体多層膜と接し、他方の面が近赤外線透過フィルタと接している有機物層を有しているので、このように設けられた誘電体多層膜によって近赤外線透過フィルタの酸素との接触を効果的に抑制でき、その結果、優れた耐光性が得られる。また、本発明の光学フィルタは、上記の誘電体多層膜によって近赤外線透過フィルタへの水分の侵入も抑制することができ、その結果、優れた耐湿性が得られる。
図1、2に、本発明の光学フィルタの概略構成図を示す。図1に示す光学フィルタ10aは、近赤外線透過フィルタ1の表面に誘電体多層膜2が直接形成されている。すなわち、図1に示す光学フィルタ10aは、誘電体多層膜2と近赤外線透過フィルタ1とが接している態様の光学フィルタである。図2に示す光学フィルタ10bは、近赤外線透過フィルタ1の表面に有機物層3が形成されており、この有機物層3の表面に誘電体多層膜2が直接形成されている。すなわち、図2に示す光学フィルタ10bは、誘電体多層膜2と近赤外線透過フィルタ1との間に一方の面が誘電体多層膜2と接し、他方の面が近赤外線透過フィルタ1と接している有機物層3をさらに有する態様の光学フィルタである。図1に示す光学フィルタは、近赤外線透過フィルタ1の表面に誘電体多層膜2が直接形成されているので、近赤外線透過フィルタ1との酸素の接触や、近赤外線透過フィルタ1への水分の侵入を効果的に抑制でき、優れた耐光性や耐湿性が得られる。また、図2に示す光学フィルタは、近赤外線透過フィルタ1と誘電体多層膜2との間に有機物層3を有するので、誘電体多層膜2の製膜性や密着性を高めることができる。
なお、図1、2において、誘電体多層膜2は近赤外線透過フィルタ1の一方の面のみに設けられているが、近赤外線透過フィルタ1の両面に誘電体多層膜2が設けられていてもよい。コストの観点から近赤外線透過フィルタ1の片面にのみ設けられていることが好ましい。
また、本発明の光学フィルタが、誘電体多層膜2を近赤外線透過フィルタ1の一方の面にのみに有する場合、耐光性および耐湿性の観点から誘電体多層膜2は近赤外線透過フィルタ1への光の入射側に設けられていることが好ましい。すなわち、本発明の光学フィルタは、近赤外線透過フィルタ1上であって、近赤外線透過フィルタ1への光の入射側に誘電体多層膜2が設けられていることが好ましい。また、本発明の光学フィルタが、誘電体多層膜2を近赤外線透過フィルタ1の一方の面にのみに有する場合においては、近赤外線透過フィルタ1の誘電体多層膜2が設けられた側とは反対側の面が支持体側となるように支持体に積層して用いることが好ましい。
本発明の光学フィルタは、波長600nm以上1050nm未満の範囲で透過率が50%となる波長を少なくとも2つ(好ましくは2つ)有する。以下、光学フィルタにおける透過率が50%となる波長のうち、最も短波長側の波長をλ1、最も長波長側の波長をλ2とも記す。透過率が50%となる波長λ1、λ2については、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、以下の(X1)〜(X3)が好ましい態様として挙げられる。
(X1)λ1が波長650〜740nm(好ましくは波長670〜740nm、より好ましくは波長680〜740nm)の範囲に存在し、λ2が波長760〜840nm(好ましくは波長760〜820nm、より好ましくは波長760〜810nm)の範囲に存在する態様。
(X2)λ1が波長750〜840nm(好ましくは波長770〜840nm、より好ましくは波長780〜840nm)の範囲に存在し、λ2が波長860〜940nm(好ましくは波長860〜920nm、より好ましくは波長860〜910nm)の範囲に存在する態様。
(X3)λ1が波長840〜930nm(好ましくは波長860〜930nm、より好ましくは波長870〜930nm)の範囲に存在し、λ2が波長950〜1030nm(好ましくは波長950〜1020nm、より好ましくは波長950〜1010nm)の範囲に存在する態様。
本発明の光学フィルタにおいて、上記λ2と上記λ1との差(λ2−λ1)は、120nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、90nm以下であることが更に好ましく、85nm以下であることが特に好ましい。この態様によれば、ノイズの少ない目的の光を透過させることができ、光センサにおける検出精度をより向上させることができる。下限は例えば1nm以上とすることができる。
本発明の光学フィルタは、(λ1−100)nmの波長の光の透過率が5%以下であり、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。この態様によれば、短波長側のノイズが低減された光を透過させることができる。
本発明の光学フィルタは、λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最大値が70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、93%以上であることが更に好ましい。この態様によれば、目的の波長の光の透過性に優れ、光センサにおける感度を高めることができる。
本発明の光学フィルタは、(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値が30%以下であり、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。この態様によれば、長波長側のノイズが低減された光を透過させることができる。
本発明の光学フィルタは、400nm以上(λ1−100)nm以下の波長の光の透過率の最大値が5%以下であることが好ましく、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。また、(λ1−50)nmの波長の光の透過率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。また、(λ1−25)nmの波長の光の透過率が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。また、(λ1−10)nmの波長の光の透過率が40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。この態様によれば、短波長側のノイズがより低減された光を透過させることができる。
本発明の光学フィルタは、(λ2+10)nm以上(λ2+20)nm未満の光の透過率の最大値が40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。また、(λ2+20)nm以上(λ2+30)nm未満の光の透過率の最大値が35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。また、(λ2+30)nm以上(λ2+40)nm未満の光の透過率の最大値が30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。また、(λ2+40)nm以上(λ2+50)nm未満の光の透過率の最大値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。この態様によれば、長波長側のノイズがより低減された光を透過させることができる。
本発明の光学フィルタの好ましい分光特性としては、以下の(Y1)〜(Y3)が挙げられる。
(Y1) 波長400〜640nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下(好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下)であり、波長750nmの光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは93%以上)であり、波長800〜1100nmの波長の光の透過率の最大値が30%以下(好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下)である。この光学フィルタは、波長750nm近傍の光を選択的に透過させることができる。この光学フィルタにおいて、λ1が波長650〜740nm(好ましくは波長670〜740nm、より好ましくは波長680〜740nm)の範囲に存在し、λ2が波長760〜840nm(好ましくは波長760〜820nm、より好ましくは波長760〜810nm)の範囲に存在することが好ましい。
(Y2) 波長400〜750nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下(好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下)であり、波長850nmの光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは93%以上)であり、波長940〜1100nmの波長の光の透過率の最大値が30%以下(好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下)である。この光学フィルタは、波長850nm近傍の光を選択的に透過させることができる。この光学フィルタにおいて、λ1が波長750〜840nm(好ましくは波長770〜840nm、より好ましくは波長780〜840nm)の範囲に存在し、λ2が波長860〜940nm(好ましくは波長860〜920nm、より好ましくは波長860〜910nm)の範囲に存在することが好ましい。
(Y3) 波長400〜830nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下(好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下)であり、波長940nmの光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは93%以上)であり、波長1050〜1100nmの波長の光の透過率の最大値が30%以下(好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下)である。この光学フィルタは、波長940nm近傍の光を選択的に透過させることができる。この光学フィルタにおいて、λ1が波長840〜930nm(好ましくは波長860〜930nm、より好ましくは波長870〜930nm)の範囲に存在し、λ2が波長950〜1030nm(好ましくは波長950〜1020nm、より好ましくは波長950〜1010nm)の範囲に存在することが好ましい。
本発明の光学フィルタは近赤外線透過フィルタ1を有する。近赤外線透過フィルタ1としては、可視光の少なくとも一部を遮光し近赤外線の少なくとも一部を透過させる分光特性を有するフィルタであればよく、特に限定されない。また、近赤外線透過フィルタ1は、1層の膜(単層膜)で構成されていてもよく、2層以上の膜の積層体(多層膜)で構成されていてもよい。また、近赤外線透過フィルタ1が多層膜で構成されている場合は、多層膜全体として、上述の分光特性を有していればよく、1層の膜自体が、それぞれ上述の分光特性を有していなくてもよい。近赤外線透過フィルタの好ましい例としては、例えば以下の(IR1)〜(IR3)のいずれかの分光特性を有するフィルタが挙げられる。
(IR1):波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長800〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長670nmを超える光を透過可能な近赤外線透過フィルタとすることができる。また、この近赤外線透過フィルタは、波長400〜640nmの範囲の光の透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長750nmの波長の光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上)であり、波長800〜1100nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であることが好ましい。
(IR2):波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長900〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長800nmを超える光を透過可能な近赤外線透過フィルタとすることができる。また、この近赤外線透過フィルタは、波長400〜750nmの範囲の光の透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長850nmの波長の光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上)であり、波長900〜1100nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であることが好ましい。
(IR3):波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長900nmを超える光を透過可能な近赤外線透過フィルタとすることができる。また、この近赤外線透過フィルタは、波長400〜830nmの範囲の光の透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長940nmの波長の光の透過率が70%以上(好ましくは80%以上)であり、波長1050〜1100nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であることが好ましい。
近赤外線透過フィルタ1の厚さとしては、特に限定はない。例えば、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
本発明の光学フィルタにおいて、近赤外線透過フィルタ1は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。本発明の光学フィルタをカラーフィルタと組み合わせて用いる場合においては、近赤外線透過フィルタは、パターンを有して、近赤外線透過フィルタのパターンの抜け部分にカラーフィルタの画素が形成されていることが好ましい(後述する図3参照)。
本発明の光学フィルタに用いられる近赤外線透過フィルタ1は色材を含むことが好ましい。この態様によれば、薄膜で所望の分光特性を有する近赤外線透過フィルタを製造し易い。また、色材を含む近赤外線透過フィルタは、光照射や水分による影響によって色材が劣化して分光特性が変動し易い傾向にあるが、本発明の光学フィルタによれば、近赤外線透過フィルタ上に誘電体多層膜を有することにより、色材を含む近赤外線透過フィルタを用いた場合であっても優れた耐光性や耐湿性を有しており、本発明の効果がより顕著に得られる。
本発明の光学フィルタに用いられる近赤外線透過フィルタ1は、更に近赤外線吸収剤を含むことが好ましい。近赤外線透過フィルタにおいて、近赤外線吸収剤は、透過する光(近赤外線)をより長波長側に限定する役割を有している。したがって、近赤外線透過フィルタに近赤外線吸収剤を含有させることで、光学フィルタが透過する光(近赤外線)を調整することができる。
色材および近赤外線吸収剤については後述する。近赤外線透過フィルタは、後述する近赤外線透過フィルタ用組成物を用いて形成することができる。
本発明の光学フィルタは誘電体多層膜2を有する。本発明の光学フィルタにおいては、誘電体多層膜2は、近赤外線透過フィルタ1の表面に設けられていてもよく(図1参照)、有機物層3を介して近赤外線透過フィルタ1上に設けられていてもよい(図2参照)。
なお、誘電体多層膜は光の干渉の効果を利用して赤外線を遮光する膜である。すなわち、誘電体多層膜は、赤外線を反射する能力を有する膜を意味する。誘電体多層膜は、高屈折率の誘電体薄膜(高屈折率材料層)と低屈折率の誘電体薄膜(低屈折率材料層)とを交互に複数層積層することで作製することができる。誘電体多層膜における誘電体薄膜の積層数は、2〜100層が好ましく、4〜60層がより好ましく、6〜40層が更に好ましい。
高屈折率材料層の形成に用いられる材料としては、屈折率が1.7〜2.5の材料が好ましい。具体例としては、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrOなどが挙げられる。低屈折率材料層の形成に用いられる材料としては、屈折率が1.2〜1.6の材料が好ましい。具体例としては、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThF、NaAlFなどが挙げられる。
誘電体多層膜の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、遮断しようとする赤外線波長λ(nm)の0.1λ〜0.5λの厚みであることが好ましい。厚みを上記範囲とすることにより、特定波長の遮断・透過をコントロールしやすい。
本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、λ2よりも長い波長の光の少なくとも一部を遮光させるものであることが好ましい。
また、本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、(λ2+50)nmの波長の光の透過率が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。
また、本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。
また、本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最小値Tminと、(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値Tmax1との差(Tmin−Tmax1)が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。
本発明の光学フィルタに用いられる誘電体多層膜2は、λ1よりも短い波長の光を透過させるものであってもよいが、ノイズのより低減された光を透過させやすいという理由から、λ1よりも短い波長の光の少なくとも一部を遮光させるものであることが好ましい。より具体的には、誘電体多層膜2は、波長400〜1100nmの範囲において、λ1よりも短い波長の光の少なくとも一部と、λ2よりも長い波長の光の少なくとも一部とを遮光するものであることが好ましい。
誘電体多層膜2がλ1よりも短い波長の光の少なくとも一部を遮光させるものである場合、この誘電体多層膜は、(λ1−100)nmの波長の光の透過率が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。また、(λ1−50)nmの波長の光の透過率は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。また、400nm以上(λ1−100)nm以下の波長の光の透過率の最大値は30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。また、λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最小値Tminと、400nm以上(λ1−100)nm以下の波長の光の透過率の最大値Tmax2との差(Tmin−Tmax2)は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最小値Tminと、(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値Tmax1との差(Tmin−Tmax1)は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
図2に示すように、本発明の光学フィルタが、誘電体多層膜2と近赤外線透過フィルタ1との間に有機物層3を有する場合、有機物層3の厚さとしては、10〜1000nmであることが好ましい。下限は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。上限は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。有機物層3の膜厚が上記範囲であれば、平坦性の高い膜面上に誘電体多層膜を形成し易く、誘電体多層膜の製膜性や密着性が良好である。有機物層3は、λ1以上λ2以下の波長の光の透過性の高い膜であることが好ましく、前述の範囲の光の透過率の最小値が90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、98%以上であることが特に好ましい。有機物層3は、後述する有機物層用組成物を用いて形成することができる。
本発明の光学フィルタは、支持体上に積層して用いることができる。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。また、InGaAs基板などを用いることも好ましい。また、支持体には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
本発明の光学フィルタは、有彩色着色剤を含むカラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。カラーフィルタは、有彩色着色剤を含む着色組成物を用いて製造できる。カラーフィルタとしては、赤色画素、青色画素、緑色画素、黄色画素、マゼンタ色画素、およびシアン色画素から選ばれる少なくとも1色の着色画素を有するフィルタが挙げられる。また、カラーフィルタは、前述の着色画素の他に、更に透明画素を有していてもよい。
図3は、本発明の光学フィルタとカラーフィルタとを組み合わせて用いた構造体の一実施形態であって、この構造体100は、近赤外線透過フィルタ1のパターンの抜け部に、カラーフィルタ20が形成されている。そして、近赤外線透過フィルタ1およびカラーフィルタ20の表面に誘電体多層膜2が形成されている。図3において、近赤外線透過フィルタ1と誘電体多層膜2との積層体10が本発明の光学フィルタである。なお、図3において、近赤外線透過フィルタ1と誘電体多層膜2との間、および/またはカラーフィルタ20と誘電体多層膜2との間に有機物層が設けられていてもよい。また、図3において、隣接するフィルタ同士の上面の高低差はほぼ同一であるが、隣接するフィルタ同士の上面の高低差は異なっていてもよい。また、隣接するフィルタ同士の上面の高低差が異なっている場合は、有機物層などで段差が埋められていることが好ましい。
本発明の光学フィルタは、固体撮像素子などの各種類の光センサや、画像表示装置(例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置など)に組み込んで用いることができる。例えば、本発明の光学フィルタが組み込まれた光センサは、虹彩認証用、距離計測用、近接センサ用、ジェスチャーセンサ用、モーションセンサ用、TOF(Time−of−Flight)センサ用、静脈センサ用、血管可視化用、皮脂量測定用、蛍光標識用、監視カメラ用などの用途に好ましく用いることができる。
<近赤外線透過フィルタ用組成物>
次に、本発明の光学フィルタにおける近赤外線透過フィルタの形成に用いられる組成物(近赤外線透過フィルタ用組成物)について説明する。近赤外線透過フィルタ用組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが4.5以上であることが好ましく、7.5以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、30以上であることが特に好ましい。
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(1)により定義される。
Aλ=−log(Tλ/100) ・・・(1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、近赤外線透過フィルタ用組成物を用いて製膜した膜での値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように近赤外線透過フィルタ用組成物を塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥して調製した膜を用いて測定することが好ましい。膜の厚さは、膜を有する基板について、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定することができる。
また、吸光度は、従来公知の分光光度計を用いて測定できる。吸光度の測定条件は特に限定はないが、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminが、0.1〜3.0になるように調整した条件で、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxを測定することが好ましい。このような条件で吸光度を測定することで、測定誤差をより小さくできる。波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminが、0.1〜3.0になるように調整する方法としては、特に限定はない。例えば、溶液の状態で吸光度を測定する場合は、試料セルの光路長を調整する方法が挙げられる。また、膜の状態で吸光度を測定する場合は、膜厚を調整する方法などが挙げられる。
近赤外線透過フィルタ用組成物は、以下の(1)〜(3)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(1):波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長800〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長670nmを超える光を透過可能な膜を形成することができる。
(2):波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長900〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長800nmを超える光を透過可能な膜を形成することができる。
(3):波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長900nmを超える光を透過可能な膜を形成することができる。
以下、近赤外線透過フィルタ用組成物を構成し得る各成分について説明する。
<<色材>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、色材を含有することが好ましい。本発明において、色材は、近赤外領域の光の少なくとも一部を透過し、かつ、可視領域の光を遮光する材料であることが好ましい。本発明において、色材は、紫色から赤色の波長領域の光を吸収する材料であることが好ましい。また、本発明において、色材は、波長400〜640nmの波長領域の光を遮光する色材であることが好ましい。また、色材は、波長1000〜1100nmの光を透過する材料であることが好ましい。本発明において、色材は、以下の(A)および(B)の少なくとも一方の要件を満たすことが好ましい。
(1):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。
(2):有機系黒色着色剤を含む。(2)の態様において、更に有彩色着色剤を含有することも好ましい。
なお、本発明において、有彩色着色剤とは、白色着色剤および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。また、本発明において、有機系黒色着色剤は、可視光を吸収するが、赤外線の少なくとも一部は透過する材料を意味する。したがって、本発明において、有機系黒色着色剤は、可視光および赤外線の両方を吸収する黒色着色剤、例えば、カーボンブラックやチタンブラックは含まない。有機系黒色着色剤は、波長400nm以上700nm以下の範囲に極大吸収波長を有する着色剤であることが好ましい。
色材は、例えば、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるA/Bが4.5以上であることが好ましい。
上記の特性は、1種類の素材で満たしていてもよく、複数の素材の組み合わせで満たしていてもよい。例えば、上記(1)の態様の場合、複数の有彩色着色剤を組み合わせて上記分光特性を満たしていることが好ましい。また、上記(2)の態様の場合、有機系黒色着色剤が上記分光特性を満たしていてもよい。また、有機系黒色着色剤と有彩色着色剤との組み合わせで上記の分光特性を満たしていてもよい。
(有彩色着色剤)
本発明において、有彩色着色剤は、赤色着色剤、緑色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤およびオレンジ色着色剤から選ばれる着色剤であることが好ましい。本発明において、有彩色着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。好ましくは顔料である。顔料は、平均粒径(r)が、20nm≦r≦300nmであることが好ましく、25nm≦r≦250nmであることがより好ましく、30nm≦r≦200nmであることが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、顔料の一次粒子が集合した二次粒子についての平均粒径を意味する。また、使用しうる顔料の二次粒子の粒径分布(以下、単に「粒径分布」ともいう。)は、平均粒径±100nmの範囲に含まれる二次粒子が全体の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。なお、二次粒子の粒径分布は、散乱強度分布を用いて測定することができる。
顔料は、有機顔料であることが好ましい。有機顔料としては以下のものが挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)、
これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。また、特開2015−028144号公報、特開2015−34966号公報に記載の染料を用いることもできる。
色材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられ、(2)、(3)または(4)が好ましく、(3)がより好ましい。
(1)赤色着色剤と青色着色剤とを含有する態様。
(2)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤とを含有する態様。
(3)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
(4)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(5)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(6)赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(7)黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
上記(1)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤=20〜80:20〜80であることが好ましく、20〜60:40〜80であることがより好ましく、20〜50:50〜80であることが更に好ましい。
上記(2)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(3)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:25〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:25〜50:10〜30:10〜30であることが更に好ましい。
上記(4)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(5)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(6)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(7)の態様において、黄色着色剤と紫色着色剤の質量比は、黄色着色剤:紫色着色剤=10〜50:40〜80であることが好ましく、20〜40:50〜70であることがより好ましく、30〜40:60〜70であることが更に好ましい。
黄色着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 139,150,185が好ましく、C.I.Pigment Yellow 139,150がより好ましく、C.I.Pigment Yellow 139が更に好ましい。青色着色剤としては、C.I.Pigment Blue 15:6が好ましい。紫色着色剤としては、C.I.Pigment Violet 23が好ましい。赤色着色剤としては、C.I.Pigment Red 122,177,224,254が好ましく、C.I.Pigment Red 122,177,254がより好ましく、C.I.Pigment Red 254が更に好ましい。緑色着色剤としては、C.I.Pigment Green 7、36、58、59が好ましい。
(有機系黒色着色剤)
本発明において、有機系黒色着色剤としては、例えば、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ系化合物などが挙げられ、ビスベンゾフラノン化合物、ペリレン化合物が好ましい。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010−534726号公報、特表2012−515233号公報、特表2012−515234号公報、国際公開WO2014/208348号公報、特表2015−525260号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平1−170601号公報、特開平2−34664号公報などに記載のものが挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。
本発明において、ビスベンゾフラノン化合物は、下記式で表される化合物およびこれらの混合物であることが好ましい。
Figure 0006923656
式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して置換基を表し、aおよびbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、aが2以上の場合、複数のRは、同一であってもよく、異なってもよく、複数のRは結合して環を形成していてもよく、bが2以上の場合、複数のRは、同一であってもよく、異なってもよく、複数のRは結合して環を形成していてもよい。
〜Rが表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−OR301、−COR302、−COOR303、−OCOR304、−NR305306、−NHCOR307、−CONR308309、−NHCONR310311、−NHCOOR312、−SR313、−SO314、−SOOR315、−NHSO316または−SONR317318を表し、R301〜R318は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
ビスベンゾフラノン化合物の詳細については、特表2010−534726号公報の段落番号0014〜0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、色材として有機系黒色着色剤を用いる場合、有彩色着色剤と組み合わせて使用することが好ましい。有機系黒色着色剤と有彩色着色剤とを併用することで、優れた分光特性が得られ易い。有機系黒色着色剤と組み合わせて用いる有彩色着色剤としては、例えば、赤色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤などが挙げられ、赤色着色剤および青色着色剤が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、有彩色着色剤と有機系黒色着色剤との混合割合は、有機系黒色着色剤100質量部に対して、有彩色着色剤が10〜200質量部が好ましく、15〜150質量部がより好ましい。
色材における顔料の含有量は、色材の全量に対して95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましい。
色材の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して10〜70質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
<<近赤外線吸収剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、近赤外線吸収剤を含有することができる。近赤外線透過フィルタにおいて、近赤外線吸収剤は、透過する光(近赤外線)をより長波長側に限定する役割を有している。
本発明において、近赤外線吸収剤としては、近赤外領域(好ましくは、波長700〜1100nm、より好ましくは波長700〜1000nm)の範囲に極大吸収波長を有する化合物を好ましく用いることができる。近赤外線吸収剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。なお、本明細書において、「波長700〜1100nmの範囲に極大吸収波長を有する」とは、近赤外線吸収剤の溶液での吸収スペクトルにおいて、波長700〜1100nmの範囲に最大の吸光度を示す波長を有することを意味する。測定溶媒としては、クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、テトラヒドロフランが挙げられる。近赤外線吸収剤がクロロホルムで溶解する化合物である場合は、クロロホルムを測定溶媒として用いる。近赤外線吸収剤がクロロホルムで溶解しない場合は、メタノールを用いる。また、近赤外線吸収剤がクロロホルムおよびメタノールのいずれにも溶解しない場合はジメチルスルホキシドを用いる。
本発明において、近赤外線吸収剤としては、単環または縮合環の芳香族環を含むπ共役平面を有する化合物(近赤外線吸収化合物)を好ましく用いることができる。近赤外線吸収化合物が有するπ共役平面を構成する水素以外の原子数は、14個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましく、25個以上であることが更に好ましく、30個以上であることが特に好ましい。上限は、例えば、80個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましい。
近赤外線吸収化合物が有するπ共役平面は、単環または縮合環の芳香族環を2個以上含むことが好ましく、前述の芳香族環を3個以上含むことがより好ましく、前述の芳香族環を4個以上含むことが更に好ましく、前述の芳香族環を5個以上含むことが特に好ましい。上限は、100個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、30個以下が更に好ましい。前述の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、クアテリレン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、インドール環、イソインドール環、カルバゾール環、および、これらの環を有する縮合環が挙げられる。
本発明において、近赤外線吸収剤は、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物及びジベンゾフラノン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジイモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール化合物が特に好ましい。ジイモニウム化合物としては、例えば、特表2008−528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013−195480号公報の段落番号0013〜0029に記載の化合物、特許第6081771号公報に記載のバナジウムフタロシアニンが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、フタロシアニン化合物として、下記構造の化合物を用いることもできる。ナフタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ジイモニウム化合物およびスクアリリウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落番号0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、近赤外線吸収化合物としては、特開2016−146619号公報に記載された化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
ピロロピロール化合物としては、式(PP)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006923656
式中、R1aおよびR1bは、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、RおよびRは、各々独立に水素原子または置換基を表し、RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよく、Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BR4A4B、または金属原子を表し、Rは、R1a、R1bおよびRから選ばれる少なくとも一つと共有結合もしくは配位結合していてもよく、R4AおよびR4Bは、各々独立に置換基を表す。式(PP)の詳細については、特開2009−263614号公報の段落番号0017〜0047、特開2011−68731号公報の段落番号0011〜0036、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0024の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
式(PP)において、R1aおよびR1bは、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1aおよびR1bが表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、特開2009−263614号公報の段落番号0020〜0022に記載された置換基や、以下の置換基Tが挙げられる。また、R1aおよびR1bが表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基が2個以上の置換基を有している場合、置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
(置換基T)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基、アシル基(好ましくは炭素数1〜30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30)、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸アミド基(好ましくは−NHCORA1で表される基であり、RA1は、炭化水素基または複素環基を表す。炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。)、スルホン酸アミド基(好ましくは−NHSOA2で表される基である。RA2は、炭化水素基または複素環基を表す。炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。)、イミド酸基(好ましくは、−SONHSOA3、−CONHSOA4、−CONHCORA5または−SONHCORA6で表される基である。RA3〜RA6は、それぞれ独立して炭化水素基または複素環基を表す。炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。)、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルフィノ基、アリールスルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1〜30)。
これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した基が挙げられる。
1a、R1bで表される基の具体例としては、アルコキシ基を置換基として有するアリール基、水酸基を置換基として有するアリール基、アシルオキシ基を置換基として有するアリール基などが挙げられる。
式(PP)において、RおよびRは、各々独立に水素原子または置換基を表す。置換基としては上述した置換基Tが挙げられる。RおよびRの少なくとも一方は電子求引性基が好ましい。ハメットの置換基定数σ値(シグマ値)が正の置換基は、電子求引性基として作用する。ここで、ハメット則で求められた置換基定数にはσp値とσm値がある。これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。本発明においては、ハメットの置換基定数σ値が0.2以上の置換基を電子求引性基として例示することができる。σ値は、0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.35以上が更に好ましい。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80以下である。電子求引性基の具体例としては、シアノ基(σp値=0.66)、カルボキシル基(−COOH:σp値=0.45)、アルコキシカルボニル基(例えば、−COOMe:σp値=0.45)、アリールオキシカルボニル基(例えば、−COOPh:σp値=0.44)、カルバモイル基(例えば、−CONH:σp値=0.36)、アルキルカルボニル基(例えば、−COMe:σp値=0.50)、アリールカルボニル基(例えば、−COPh:σp値=0.43)、アルキルスルホニル基(例えば、−SOMe:σp値=0.72)、アリールスルホニル基(例えば、−SOPh:σp値=0.68)などが挙げられ、シアノ基が好ましい。ここで、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、ハメットの置換基定数σ値については、例えば、特開2011−68731号公報の段落番号0017〜0018を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(PP)において、Rは電子求引性基(好ましくはシアノ基)を表し、Rはヘテロアリール基を表すことが好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示される。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(PP)において、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基または−BR4A4Bで表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基または−BR4A4Bで表される基であることがより好ましく、−BR4A4Bで表される基であることが更に好ましい。R4AおよびR4Bが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。R4AおよびR4Bは互いに結合して環を形成していてもよい。
式(PP)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。また、ピロロピロール化合物としては、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物、特開2011−68731号公報の段落番号0037〜0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
スクアリリウム化合物としては、下記式(SQ)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006923656
式(SQ)中、AおよびAは、それぞれ独立に、アリール基、ヘテロアリール基または式(A−1)で表される基を表す;
Figure 0006923656
式(A−1)中、Zは、含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、Rは、アルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、dは、0または1を表し、波線は連結手を表す。式(SQ)の詳細については、特開2011−208101号公報の段落番号0020〜0049、特許第6065169号公報の段落番号0043〜0062、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0024〜0040の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、式(SQ)においてカチオンは、以下のように非局在化して存在している。
Figure 0006923656
スクアリリウム化合物としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060〜0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、国際公開WO2013/133099号公報に記載の化合物、国際公開WO2014/088063号公報に記載の化合物、特開2014−126642号公報に記載の化合物、特開2016−146619号公報に記載の化合物、特開2015−176046号公報に記載の化合物、特開2017−25311号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/154782号公報に記載の化合物、特許5884953号公報に記載の化合物、特許6036689号公報に記載の化合物、特許5810604号公報に記載の化合物、特開2017−068120号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
シアニン化合物は、式(C)で表される化合物が好ましい。
式(C)
Figure 0006923656
式中、ZおよびZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団であり、
101およびR102は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、
は、奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表し、
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1であり、
aが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが二重結合で結合し、bが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが単結合で結合し、
式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、Xはアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、Xはカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、cは0である。
シアニン化合物としては、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物、特開2002−194040号公報の段落番号0026〜0030に記載の化合物、特開2015−172004号公報に記載の化合物、特開2015−172102号公報に記載の化合物、特開2008−88426号公報に記載の化合物、特開2017−031394号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、近赤外線吸収剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、SDO−C33(有本化学工業(株)製)、イーエクスカラーIR−14、イーエクスカラーIR−10A、イーエクスカラーTX−EX−801B、イーエクスカラーTX−EX−805K((株)日本触媒製)、ShigenoxNIA−8041、ShigenoxNIA−8042、ShigenoxNIA−814、ShigenoxNIA−820ShigenoxNIA−839(ハッコーケミカル社製)、EpoliteV−63、Epolight3801、Epolight3036(EPOLIN社製)、PRO−JET825LDI(富士フイルム(株)製)、NK−3027、NK−5060((株)林原製)、YKR−3070(三井化学(株)製)などが挙げられる。
本発明において、近赤外線吸収剤として、無機粒子を用いることもできる。無機粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。無機粒子としては、金属酸化物粒子または金属粒子が好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO)粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。また、無機粒子としては酸化タングステン系化合物を用いることもできる。酸化タングステン系化合物は、セシウム酸化タングステンであることが好ましい。酸化タングステン系化合物の詳細については、特開2016−006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
近赤外線透過フィルタ用組成物が近赤外線吸収剤を含有する場合、近赤外線吸収剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して1〜30質量%であることが好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
また、近赤外線吸収剤と色材との合計量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分の10〜70質量%であることが好ましい。下限は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。
また、近赤外線吸収剤と色材との合計量中における、近赤外線吸収剤の含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
近赤外線透過フィルタ用組成物においては、近赤外線吸収剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。近赤外線吸収剤を2種以上併用する場合は、それらの合計が上記範囲であることが好ましい。
<<硬化性化合物>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は硬化性化合物を含有することが好ましい。硬化性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、環状エーテル基を有する化合物等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。本発明において、硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物またはカチオン重合性化合物が好ましく、ラジカル重合性化合物がより好ましい。
硬化性化合物の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。硬化性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物としては、ラジカルの作用により重合可能な化合物であればよく、特に限定はない。ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物がより好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を3個以上有する化合物が更に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基の個数の上限は、たとえば、15個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。ラジカル重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいが、モノマーが好ましい。モノマータイプのラジカル重合性化合物の分子量は、200〜3000であることが好ましい。分子量の上限は、2500以下が好ましく、2000以下が更に好ましい。分子量の下限は、250以上が好ましく、300以上が更に好ましい。
ラジカル重合性化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落番号0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。重合性化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM−35E;新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A−DPH−12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基が、エチレングリコール残基および/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。また、特開2013−253224号公報の段落番号0034〜0038の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012−208494号公報の段落番号0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0585)に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM−460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬(株)製)などが挙げられる。また、ラジカル重合性化合物として、アロニックス M−350、TO−2349(東亞合成製)を使用することもできる
ラジカル重合性化合物は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有するラジカル重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた重合性化合物が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。酸基を有するラジカル重合性化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
ラジカル重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有するラジカル重合性化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、特開2013−253224号公報の段落番号0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する基とアルキレンオキシ基を有する化合物を用いることもできる。エチレン性不飽和結合を有する基とアルキレンオキシ基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基と、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基とを有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基とエチレンオキシ基とを有する化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4〜20個有する3〜6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基とアルキレンオキシ基を有する化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR−494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA−330などが挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載されている分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることができる。市販品としては、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株))製などが挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物としては、特開2017−48367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物を用いることもできる。
また、ラジカル重合性化合物としては、8UH−1006、8UH−1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB−A0(共栄社化学(株)製)などを用いることも好ましい。
近赤外線透過フィルタ用組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、ラジカル重合性化合物の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。ラジカル重合性化合物は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性化合物を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物としては、カチオン重合性基を有する化合物が挙げられる。カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基などの環状エーテル基や、ビニルエーテル基やイソブテン基などの不飽和炭素二重結合基などが挙げる。カチオン重合性化合物は、環状エーテル基を有する化合物であることが好ましく、エポキシ基を有する化合物であることがより好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1〜100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
エポキシ基を有する化合物が低分子化合物の場合、例えば、下記式(EP1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006923656
式(EP1)中、REP1〜REP3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表し、アルキル基は、環状構造を有するものであってもよく、また、置換基を有していてもよい。またREP1とREP2、REP2とREP3は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。QEPは単結合若しくはnEP価の有機基を表す。REP1〜REP3は、QEPとも結合して環構造を形成していても良い。nEPは2以上の整数を表し、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6である。但しQEPが単結合の場合、nEPは2である。
EP1〜REP3、QEPの詳細について、特開2014−089408号公報の段落番号0087〜0088の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。式(EP1)で表される化合物の具体例としては、特開2014−089408号公報の段落0090に記載の化合物、特開2010−054632号公報の段落番号0151に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
低分子化合物としては、市販品を用いることもできる。例えば、(株)ADEKA製のアデカグリシロールシリーズ(例えば、アデカグリシロールED−505など)、(株)ダイセル製のエポリードシリーズ(例えば、エポリードGT401など)などが挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310〜3300g/eqであることが好ましく、310〜1700g/eqであることがより好ましく、310〜1000g/eqであることが更に好ましい。
エポキシ樹脂は、市販品を用いることもできる。例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N−695(DIC(株)製)、マープルーフG−0150M、G−0105SA、G−0130SP、G−0250SP、G−1005S、G−1005SA、G−1010S、G−2050M、G−01100、G−01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
本発明において、エポキシ基を有する化合物は、特開2013−011869号公報の段落番号0034〜0036、特開2014−043556号公報の段落番号0147〜0156、特開2014−089408号公報の段落番号0085〜0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
近赤外線透過フィルタ用組成物がカチオン重合性化合物を含有する場合、カチオン重合性化合物の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。カチオン重合性化合物は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。カチオン重合性化合物を2種以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、近赤外線透過フィルタ用組成物が、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを含む場合、両者の質量比は、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物=100:1〜100:400が好ましく、100:1〜100:100がより好ましい。
<<光開始剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は光開始剤を含有することができる。光開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤などが挙げられる。硬化性化合物の種類に応じて選択して用いることが好ましい。硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を用いた場合においては、光開始剤として光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。また、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を用いた場合においては、光開始剤として光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。光開始剤としては、特に制限はなく、公知の光開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。
光開始剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。近赤外線透過フィルタ用組成物は、光開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3−アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特開2014−130173号公報の段落0065〜0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
α−ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α−アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379、及び、IRGACURE−379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE−819、DAROCUR−TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653−1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156−162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202−232)に記載の化合物、特開2000−66385号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特表2004−534797号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、特開2017−19766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開WO2015/152153号公報に記載の化合物、国際公開WO2017/051680号公報に記載の化合物などがあげられる。オキシム化合物の具体例としては、3−ベンゾイルオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE−OXE01、IRGACURE−OXE02、IRGACURE−OXE03、IRGACURE−OXE04(以上、BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられるまた、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI−730、NCI−831、NCI−930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、光ラジカル重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、光ラジカル重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
本発明において、光ラジカル重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載されるOE−01〜OE−75が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006923656
Figure 0006923656
オキシム化合物は、波長350〜500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360〜480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1,000〜300,000であることがより好ましく、2,000〜300,000であることが更に好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明は、光ラジカル重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010−527339号公報、特表2011−524436号公報、国際公開WO2015/004565号公報、特表2016−532675号公報の段落番号0417〜0412、国際公開WO2017/033680号公報の段落番号0039〜0055に記載されているオキシム化合物の2量体や、特表2013−522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開WO2016/034963号公報に記載されているCmpd1〜7などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用することで、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α−アミノケトン化合物が50〜600質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。近赤外線透過フィルタ用組成物は、光ラジカル重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光ラジカル重合開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤としては、光酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤としては、光照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。光カチオン重合開始剤の詳細については特開2009−258603号公報の段落番号0139〜0214の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
光カチオン重合開始剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。近赤外線透過フィルタ用組成物は、光カチオン重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光カチオン重合開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<多官能チオール>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。多官能チオールは上述の光ラジカル重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、近赤外線透過フィルタ用組成物の感度を高めることができる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。また、下記構造の化合物も挙げられる。
Figure 0006923656
多官能チオールの含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましい。近赤外線透過フィルタ用組成物は、多官能チオールを、1種のみを含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<樹脂>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、例えば顔料などを組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などを分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、樹脂は、国際公開WO2016/088645号公報の実施例に記載された樹脂、特開2017−57265号公報に記載された樹脂、特開2017−32685号公報に記載された樹脂、特開2017−075248号公報に記載された樹脂、特開2017−066240号公報に記載された樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、フルオレン骨格を有する樹脂を好ましく用いることもできる。フルオレン骨格を有する樹脂としては、下記構造の樹脂が挙げられる。以下の構造式中、Aは、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物から選択されるカルボン酸二無水物の残基であり、Mはフェニル基またはベンジル基である。フルオレン骨格を有する樹脂については、米国特許出願公開第2017/0102610号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
本発明で用いる樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また他のモノマーは、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸基を有する樹脂は、更に重合性基を有していてもよい。重合性基としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーシリーズ(例えば、ACA230AA、ACA250など)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、アクリキュアーRD−F8((株)日本触媒製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましく用いることができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。
Figure 0006923656
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
Figure 0006923656
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
Figure 0006923656
式(X)において、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
酸基を有する樹脂については、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685〜0700)の記載、特開2012−198408号公報の段落番号0076〜0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリベースFF−426(藤倉化成(株)製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
酸基を有する樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
Figure 0006923656
近赤外線透過フィルタ用組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40〜105mgKOH/gが好ましく、50〜105mgKOH/gがより好ましく、60〜105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、画素の下地に発生する残渣をより低減することができる。
分散剤として用いる樹脂は、グラフト共重合体であることも好ましい。グラフト共重合体は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。グラフト共重合体の詳細は、特開2012−255128号公報の段落番号0025〜0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト共重合体の具体例は、下記の樹脂が挙げられる。以下の樹脂は酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)でもある。また、グラフト共重合体としては特開2012−255128号公報の段落番号0072〜0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
また、本発明において、樹脂(分散剤)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることも好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する構造単位と、原子数40〜10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。オリゴイミン系分散剤については、特開2012−255128号公報の段落番号0102〜0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。オリゴイミン系分散剤としては、下記構造の樹脂や、特開2012−255128号公報の段落番号0168〜0174に記載の樹脂を用いることができる。
Figure 0006923656
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYK2000(ビックケミージャパン(株)製)などが挙げられる。また、特開2014−130338号公報の段落番号0041〜0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した酸基を有する樹脂などを分散剤として用いることもできる。
近赤外線透過フィルタ用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、1〜50質量%が好ましい。下限は、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、酸基を有する樹脂の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、1〜50質量%が好ましい。下限は、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。近赤外線透過フィルタ用組成物は、樹脂を、1種のみを含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
近赤外線透過フィルタ用組成物がラジカル重合性化合物と樹脂とを含む場合、ラジカル重合性化合物と、樹脂との質量比は、ラジカル重合性化合物/樹脂=0.4〜1.4であることが好ましい。上記質量比の下限は0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。上記質量比の上限は1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。上記質量比が、上記範囲であれば、より矩形性に優れたパターンを形成することができる。
また、ラジカル重合性化合物と酸基を有する樹脂との質量比は、ラジカル重合性化合物/酸基を有する樹脂=0.4〜1.4であることが好ましい。上記質量比の下限は0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。上記質量比の上限は1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。上記質量比が、上記範囲であれば、より矩形性に優れたパターンを形成することができる。
<<顔料誘導体>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、塩基性基、塩構造を有する基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006923656
式(B1)中、Pは色素構造を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
Pが表す色素構造としては、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造、アントラキノン色素構造、ジアントラキノン色素構造、ベンゾイソインドール色素構造、チアジンインジゴ色素構造、アゾ色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、ナフタロシアニン色素構造、ジオキサジン色素構造、ペリレン色素構造、ペリノン色素構造、ベンゾイミダゾロン色素構造、ベンゾチアゾール色素構造、ベンゾイミダゾール色素構造およびベンゾオキサゾール色素構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造およびベンゾイミダゾロン色素構造から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール色素構造が特に好ましい。
Lが表す連結基としては、炭化水素基、複素環基、−NR−、−SO2−、−S−、−O−、−CO−もしくはこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
Xが表す酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基等が挙げられる。カルボン酸アミド基としては、−NHCORX1で表される基が好ましい。スルホン酸アミド基としては、−NHSOX2で表される基が好ましい。イミド酸基としては、−SONHSOX3、−CONHSOX4、−CONHCORX5または−SONHCORX6で表される基が好ましい。RX1〜RX6は、それぞれ独立に、炭化水素基または複素環基を表す。RX1〜RX6が表す、炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。さらなる置換基としては、上述した式(PP)で説明した置換基Tが挙げられ、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。Xが表す塩基性基としてはアミノ基が挙げられる。Xが表す塩構造としては、上述した酸基または塩基性基の塩が挙げられる。
顔料誘導体としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開昭56−118462号公報、特開昭63−264674号公報、特開平1−217077号公報、特開平3−9961号公報、特開平3−26767号公報、特開平3−153780号公報、特開平3−45662号公報、特開平4−285669号公報、特開平6−145546号公報、特開平6−212088号公報、特開平6−240158号公報、特開平10−30063号公報、特開平10−195326号公報、国際公開WO2011/024896号公報の段落番号0086〜0098、国際公開WO2012/102399号公報の段落番号0063〜0094、国際公開WO2017/038252号公報の段落番号0082等に記載の化合物、特許第5299151号公報に記載の化合物を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0006923656
近赤外線透過フィルタ用組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<溶剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
溶剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全量に対し、10〜90質量%であることが好ましい。上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。下限は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより一層好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
<<重合禁止剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
<<シランカップリング剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤は、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
シランカップリング剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜15.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0238〜0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。近赤外線透過フィルタ用組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤、特開2011−132503号公報の段落番号0117〜0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS−330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、SC−101、SC−103、SC−104、SC−105、SC−1068、SC−381、SC−383、S−393、KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS−21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016−216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
Figure 0006923656
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報の段落番号0050〜0090および段落番号0289〜0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW−101、NCW−1001、NCW−1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD−6112、D−6112−W、D−6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.005〜3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノブタジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、アゾメチン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334、特開2016−162946号公報の段落番号0061〜0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。共役ジエン化合物の市販品としては、例えば、UV−503(大東化学(株)製)などが挙げられる。インドール化合物としては下記構造の化合物が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
Figure 0006923656
本発明においては、紫外線吸収剤として、式(UV−1)〜式(UV−3)で表される化合物を好ましく用いることもできる。
Figure 0006923656
式(UV−1)において、R101及びR102は、各々独立に、置換基を表し、m1およびm2は、それぞれ独立して0〜4を表す。式(UV−2)において、R201及びR202は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R203及びR204は、各々独立に、置換基を表す。式(UV−3)において、R301〜R303は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R304及びR305は、各々独立に、置換基を表す。
式(UV−1)〜式(UV−3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0006923656
近赤外線透過フィルタ用組成物において、紫外線吸収剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。また、酸化防止剤として、国際公開WO17/006600号公報に記載された多官能ヒンダードアミン酸化防止剤を用いることもできる。
近赤外線透過フィルタ用組成物において、酸化防止剤の含有量は、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他成分>>
近赤外線透過フィルタ用組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、近赤外線透過フィルタ用組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100〜250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80〜200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開WO2014/021023号公報、国際公開WO2017/030005号公報、特開2017−008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA−5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
近赤外線透過フィルタ用組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1〜100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
<有機物層用組成物>
次に、本発明の光学フィルタにおける有機物層の形成に用いられる組成物(有機物層用組成物)について説明する。有機物層用組成物は、樹脂および/または硬化性化合物を含有することが好ましい。樹脂および硬化性化合物としては、上述した近赤外線透過フィルタ用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
また、有機物層用組成物は、色材を実質的に含有しないことが好ましい。有機物層用組成物が色材を実質的に含有しない場合とは、有機物層用組成物の全固形分中における色材の含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが一層好ましい。
また、有機物層用組成物は、近赤外線吸収剤を実質的に含有しないことが好ましい。有機物層用組成物が近赤外線吸収剤を実質的に含有しない場合とは、有機物層用組成物の全固形分中における近赤外線吸収剤の含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが一層好ましい。
有機物層用組成物は、更に、光開始剤、溶剤、界面活性剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの詳細については、上述した近赤外線透過フィルタ用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
<収容容器>
各組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015−123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<各組成物の調製方法>
各組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して各組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して各組成物として調製してもよい。
<光学フィルタの製造方法>
次に、本発明の光学フィルタの製造方法について説明する。本発明の光学フィルタは、上述した近赤外線透過フィルタ用組成物を支持体上に塗布して近赤外線透過フィルタを形成することが好ましい。
支持体としては、上述した支持体が挙げられる。近赤外線透過フィルタ用組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコート法);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、スピンコート法での塗布は、1000〜2000rpmの回転数で行うことが好ましい。また、スピンコート法での塗布は、特開平10−142603号公報、特開平11−302413号公報、特開2000−157922号公報に記載されているように、回転速度を塗布中に高めても良い。また「最先端カラーフィルターのプロセス技術とケミカルス」2006年1月31日、シーエムシー出版記載のスピンコートプロセスも好適に使用することができる。
近赤外線透過フィルタ用組成物を塗布して形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10〜3000秒が好ましく、40〜2500秒がより好ましく、80〜220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。
近赤外線透過フィルタの形成に際し、更にパターンを形成する工程を含んでいてもよい。パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法や、ドライエッチング法を用いたパターン形成方法が挙げられる。以下、パターンを形成する工程について詳細に説明する。
フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、支持体上の組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。
露光工程では組成物層をパターン状に露光する。例えば、組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、組成物層をパターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく、i線がより好ましい。照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cmが好ましく、0.05〜1.0J/cmがより好ましく、0.08〜0.5J/cmが最も好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m〜100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20〜30℃が好ましい。現像時間は、20〜180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を含有させたものを用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5〜100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば100〜260℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜に対して、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
ドライエッチング法でのパターン形成は、支持体上の組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013−064993号公報の段落番号0010〜0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
このようにして近赤外線透過フィルタを形成した後、近赤外線透過フィルタ上に誘電体多層膜を形成する。なお、図2に示す構造の光学フィルタを製造する場合には、近赤外線透過フィルタ上に有機物層用組成物を塗布および乾燥を行って有機物層を形成した後、有機物層の表面に誘電体多層膜を形成する。有機物層用組成物の塗布方法については、上述した方法が挙げられる。乾燥温度としては、特に限定はないが、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。乾燥時間は、10〜3000秒が好ましく、40〜2500秒がより好ましく、80〜220秒がさらに好ましい。有機物層の形成において、乾燥処理後さらに加熱処理(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、100〜260℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。
誘電体多層膜の形成方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いて形成できる。例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などの方法で形成することができる。
<光センサ>
次に、本発明の光センサについて説明する。本発明の光センサは、上述した本発明の光学フィルタを含む。光センサとしては、固体撮像素子などの各種のセンサが挙げられる。本発明の光センサは、虹彩認証用、距離計測用、近接センサ用、ジェスチャーセンサ用、モーションセンサ用、TOF(Time−of−Flight)センサ用、静脈センサ用、血管可視化用、皮脂量測定用、蛍光標識用、監視カメラ用などの用途に好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
[試験例1]
<分散液の調製>
下記の表1に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。
Figure 0006923656
<組成物の調製>
下記の表2に記載の原料を混合して、調製例1〜11の近赤外線透過フィルタ用組成物を調製した。下記の表に記載の数値は質量部である。
Figure 0006923656
上記表1、2に記載の原料は以下の通りである。
(近赤外線吸収剤)
K1、K2:下記構造の化合物。以下の式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
Figure 0006923656
(着色剤)
PR254 : C.I.Pigment Red 254
PY139 : C.I.Pigment Yellow 139
PY150 : C.I.Pigment Yellow 150
PB15:6 : C.I.Pigment Blue 15:6
PV23 : C.I.Pigment Violet 23
PBk32: C.I.Pigment Black 32
IB: Irgaphor Black(BASF社製、下記構造の化合物)
Figure 0006923656
(顔料誘導体)
B1、K3、K4:下記構造の化合物。以下の構造式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。
Figure 0006923656
(分散剤)
C1:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20,000。
C2:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=24,000。
C3:下記構造の樹脂。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20,000。
C4:BYK2000(固形分濃度40質量%、ビックケミージャパン(株)製)
Figure 0006923656
(樹脂)
P1:下記構造の樹脂(Mw=11,000、主鎖に付記した数値はモル比である。Meはメチル基である)
Figure 0006923656
P2:下記構造の樹脂。(Mw=4400、酸価=95mgKOH/g、以下の構造式中、Mはフェニル基であり、Aはビフェニルテトラカルボン酸無水物残基である。)
Figure 0006923656
P3:サイクロマーACA250(固形分濃度45質量%、(株)ダイセル製)
(重合性化合物)
D1:下記構造の化合物(a+b+c=3)
D2:下記構造の化合物(a+b+c=4)
D3:下記構造の化合物の混合物(a+b+c=5の化合物:a+b+c=6の化合物=3:1(モル比))
Figure 0006923656
D4:下記構造の化合物
Figure 0006923656
D5:下記構造の化合物(左側化合物と右側化合物とのモル比が7:3の混合物)
Figure 0006923656
D6:アロニックスM−520(東亞合成(株)製)
(シランカップリング剤)
H1:下記構造の化合物(以下の構造式中、Etはエチル基である)
Figure 0006923656
(光ラジカル重合開始剤)
I1〜I5:下記構造の化合物
Figure 0006923656
I6:アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)
(多官能チオール)
M1:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)
(界面活性剤)
F1:下記混合物(Mw=14000)。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
Figure 0006923656
(重合禁止剤)
G1:p−メトキシフェノール
(溶剤)
J1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
J2:シクロヘキサノン
J3:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド
J4:3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド
(紫外線吸収剤)
L1:下記構造の化合物
Figure 0006923656
<光学フィルタの製造>
(実施例1)
8インチ(20.32cm)のシリコンウエハまたはガラスウエハを支持体として用いた。支持体上に、CT−4000L(富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱し、塗布膜を硬化させ、下塗り層を形成した。なお、スピンコートの塗布回転数は、加熱処理後の塗布膜の膜厚が約0.1μmとなるように調整した。
次に、調製例1の近赤外線透過フィルタ用組成物を、上記支持体の下塗り層上に、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒間乾燥した。
支持体としてシリコンウエハを用いた場合においては、i線ステッパー露光装置FPA−i5+(キヤノン(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長の光を、100μm四方のアイランドパターンを有するマスクを通し、1000mJ/cmの露光量で照射した。露光後、アルカリ現像液(CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スピン乾燥し、次いでホットプレートを用いて220℃で5分間ベークして近赤外線透過フィルタを形成した。得られた近赤外線透過フィルタの表面に下記表に示す層構成の誘電体多層膜1を製膜して支持体上に光学フィルタ(近赤外線透過フィルタと誘電体多層膜との積層体)を製造した。
支持体としてガラスウエハを用いた場合においては、i線ステッパー露光装置FPA−i5+(キヤノン(株)製)を使用して、塗布膜の全面に365nmの波長の光を1000mJ/cmの露光量で照射した。露光後、アルカリ現像液(CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スピン乾燥し、次いでホットプレートを用いて220℃で5分間ベークして近赤外線透過フィルタを形成した。得られた近赤外線透過フィルタの表面に下記表に示す層構成の誘電体多層膜1を製膜して支持体上に光学フィルタ(近赤外線透過フィルタと誘電体多層膜との積層体)を製造した。
(実施例2〜14)
近赤外線透過フィルタ用組成物および誘電体多層膜の種類を下記表に記載に変更し、実施例2〜9については乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように近赤外線透過フィルタ用組成物を塗布し、実施例10〜14については乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように近赤外線透過フィルタ用組成物を塗布した以外は実施例1と同様にして光学フィルタ(近赤外線透過フィルタと誘電体多層膜との積層体)を製造した。
(比較例1)
8インチ(20.32cm)のシリコンウエハまたはガラスウエハを支持体として用いた。支持体上に、CT−4000L(富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱し、塗布膜を硬化させ、下塗り層を形成した。なお、スピンコートの塗布回転数は、加熱処理後の塗布膜の膜厚が約0.1μmとなるように調整した。
次に、調製例4の近赤外線透過フィルタ用組成物を、上記支持体の下塗り層上に、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒間乾燥した。
支持体としてシリコンウエハを用いた場合においては、i線ステッパー露光装置FPA−i5+(キヤノン(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長の光を、100μm四方のアイランドパターンを有するマスクを通し、1000mJ/cmの露光量で照射した。露光後、アルカリ現像液(CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スピン乾燥し、次いでホットプレートを用いて220℃で5分間ベークして、支持体上に近赤外線透過フィルタを形成し、これを比較例1の光学フィルタとした。
また、支持体としてガラスウエハを用いた場合においては、i線ステッパー露光装置FPA−i5+(キヤノン(株)製)を使用して、塗布膜の全面に365nmの波長の光を1000mJ/cmの露光量で照射した。露光後、アルカリ現像液(CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スピン乾燥し、次いでホットプレートを用いて220℃で5分間ベークして近赤外線透過フィルタを形成し、これを比較例1の光学フィルタとした。
誘電体多層膜1〜4の層構成は以下の表に示す通りである。また、以下の表のうち、Layer欄の番号が大きい方が近赤外線透過フィルタ側であり、1番が最表面である。
なお、誘電体多層膜1は、波長400〜750nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であり、波長850nmの光の透過率が70%以上であり、波長950〜1100nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。また、誘電体多層膜2は、波長400〜850nm範囲の光の透過率の最小値が70%以上であり、波長950〜1100nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。また、誘電体多層膜3は、波長400〜830nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であり、波長940nmの光の透過率が70%以上であり、波長1050〜1100nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。また、誘電体多層膜4は、波長400〜830nm範囲の光の透過率の最小値が70%以上であり、波長1050〜1100nm範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。
Figure 0006923656
<分光特性>
分光光度計U−4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、光学フィルタの波長400〜1100nmの範囲における透過率および光学フィルタに用いた近赤外線透過フィルタの波長400〜1100mの範囲における吸光度を測定した。
なお、光学フィルタに用いた近赤外線透過フィルタの透過率は、近赤外線透過フィルタ用組成物をガラスウエハ上に、乾燥後の膜厚が1.5μmまたは2.0μm(実施例1〜9、比較例1は1.5μm、実施例10〜14は2.0μm)となるようにスピンコーターを用いて塗布し、次いで、i線ステッパー露光装置FPA−i5+(キヤノン(株)製)を使用して塗布膜の全面に365nmの波長の光を1000mJ/cmの露光量で照射し、次いで、アルカリ現像液(CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像し、次いで、流水で30秒間リンスした後スピン乾燥し、次いでホットプレートを用いて220℃で5分間ベークして膜を用いて測定した。
また、ガラスウエハを支持体として用いた光学フィルタを用いて光学フィルタの分光特性の評価を評価した。
実施例1〜9の光学フィルタは、波長400〜750nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長850nmの光の透過率が70%以上であり、波長900〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。また、実施例1〜9の光学フィルタに用いた近赤外線透過フィルタは、波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長900〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上であった。
また、実施例10〜14の光学フィルタは、波長400〜830nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長940nmの光の透過率が70%以上であり、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下であった。また、実施例10〜14の光学フィルタに用いた近赤外線透過フィルタは、波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上であった。
また、実施例および比較例の光学フィルタの透過率が50%となる波長(λ1、λ2)、(λ1−100)nmの波長の光の透過率、λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最大値、(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値をそれぞれ下記の表に記す。なお、λ1、λ2は、光学フィルタの透過率が50%となる波長であって、λ1は短波長側の波長であり、λ2は長波長側の波長である。
<距離認識>
シリコンウエハ上に形成した光学フィルタを用いて距離認識の評価を行った。上記の光学フィルタをチップとして切り出したのち、TOF(Time−of−Flight)センサに組み込んだ。波長850nmまたは940nmのレーザを用い、エアマス1.5Gで以下の照度下で距離測定を行った。なお、実施例1〜9、比較例1については、850nmのレーザを用いて距離測定を行った。また、実施例10〜14については、940nmのレーザを用いて距離測定を行った。
5:距離測定が可能な照度の上限が1000W/mを超える。
4:距離測定が可能な照度の上限が700W/mを超え、1000W/m以下の範囲に存在する。
3:距離測定が可能な照度の上限が400W/mを超え、700W/m以下の範囲に存在する。
2:距離測定が可能な照度の上限が100W/mを超え、400W/m以下の範囲に存在する。
1:距離測定が可能な照度の上限が100W/m以下である。
<耐湿性>
ガラスウエハ上に形成した光学フィルタを用いて耐湿性を評価した。ガラスウエハ上に形成した光学フィルタを85℃相対湿度85%の条件下で1008時間耐湿試験を行った。耐湿試験を行った後、波長400〜1100nmの光の透過率を測定して、耐湿試験前後の光学フィルタの透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐湿性を評価した。なお、透過率の変化量の最大値とは、耐湿試験前後で光学フィルタの波長400〜1100nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における透過率の変化量のことである。また、透過率の変化量は以下の式から求めた値である。
透過率の変化量(%)=|耐湿試験前の透過率−耐湿試験後の透過率|
5:透過率の変化量の最大値が1%以下
4:透過率の変化量の最大値が1%を超え2%以下
3:透過率の変化量の最大値が2%を超え3%以下
2:透過率の変化量の最大値が3%を超え4%以下
1:透過率の変化量の最大値が4%を超え5%以下
<耐光性>
ガラスウエハ上に形成した光学フィルタを用いて耐光性を評価した。ガラスウエハ上に形成した光学フィルタについて、耐光試験装置(スガ試験機社製SX−75)を用いてブラックパネル温度63℃、石英インナーフィルター、275nmカットアウターフィルター、照度75mw/m(300〜400nm)、湿度50%の条件下で50時間、耐光性試験を行った。耐光性試験行った後、波長400〜1100nmの光の透過率を測定して、耐光性試験前後の光学フィルタの透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐光性を評価した。なお、透過率の変化量の最大値とは、耐光性試験前後で光学フィルタの波長400〜1100nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における透過率の変化量のことである。また、透過率の変化量は以下の式から求めた値である。
透過率の変化量(%)=|耐光性試験前の透過率−耐光性試験後の透過率|
5:透過率の変化量の最大値が1%以下
4:透過率の変化量の最大値が1%を超え2%以下
3:透過率の変化量の最大値が2%を超え3%以下
2:透過率の変化量の最大値が3%を超え4%以下
1:透過率の変化量の最大値が4%を超え5%以下
Figure 0006923656
Figure 0006923656
上記表に示すとおり、実施例の光学フィルタは、耐光性および耐湿性に優れていた。また、この光学フィルタを組み込んだTOFセンサは、高い照度の条件下でも精度よく距離認識を行うことができ、検出精度に優れていた。
実施例1において、近赤外線透過フィルタを形成した後、この近赤外線透過フィルタ上にCT−4000L(富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製)をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱し、塗布膜を硬化させ厚さ約0.1μmの有機物層を形成し、この有機物層上に誘電体多層膜1を製膜した以外は実施例1と同様の方法で光学フィルタを形成した。この光学フィルタは、実施例1と同様の効果を有していた。
1:近赤外線透過フィルタ
2:誘電体多層膜
3:有機物層
10、10a、10b:光学フィルタ
20:カラーフィルタ
100:構造体

Claims (16)

  1. 近赤外線透過フィルタと、前記近赤外線透過フィルタ上であって、前記近赤外線透過フィルタへの光の入射側に設けられた誘電体多層膜と、を有する光学フィルタであって、
    前記近赤外線透過フィルタは、色材と硬化性化合物とを含む近赤外線透過フィルタ用組成物を用いて形成された単層膜であり、
    前記色材は、2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成しているか、または、有機系黒色着色剤を含むものであり、
    前記色材の含有量が、近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して40〜70質量%であり、
    前記誘電体多層膜は、屈折率が1.7〜2.5の材料で構成された高屈折率材料層と、屈折率が1.2〜1.6の材料で構成された低屈折率材料層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であり、
    前記光学フィルタは、前記誘電体多層膜と前記近赤外線透過フィルタとが接しているか、あるいは、前記誘電体多層膜と前記近赤外線透過フィルタとの間に一方の面が前記誘電体多層膜と接し、他方の面が前記近赤外線透過フィルタと接している有機物層を有しており、
    前記光学フィルタは、波長600nm以上1050nm未満の範囲で透過率が50%となる波長が少なくとも2つあり、前記透過率が50%となる波長のうち、最も短波長側の波長をλ1、最も長波長側の波長をλ2とした場合、下記条件1〜3の特性を満たす光学フィルタ;
    条件1:(λ1−100)nmの波長の光の透過率が5%以下である
    条件2:λ1以上λ2以下の波長の光の透過率の最大値が70%以上である
    条件3:(λ2+50)nm以上1100nm以下の光の透過率の最大値が30%以下である。
  2. 前記λ2と前記λ1との差が120nm以下である、請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記光学フィルタは、波長400〜830nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長940nmの光の透過率が70%以上であり、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記近赤外線透過フィルタは、波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1000〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記光学フィルタは、波長400〜750nmの範囲の光の透過率の最大値が5%以下であり、波長850nmの光の透過率が70%以上であり、波長940〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  6. 前記近赤外線透過フィルタは、波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長900〜1100nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが、4.5以上である、請求項1、2または5に記載の光学フィルタ。
  7. 前記誘電体多層膜は、波長400〜1100nmの範囲において、前記λ1よりも短い波長の光の少なくとも一部と、前記λ2よりも長い波長の光の少なくとも一部とを遮光する膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  8. 前記誘電体多層膜は、波長1050〜1100nmの範囲の光の透過率の最大値が30%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. 前記誘電体多層膜は、SiO 2 とTiO 2 とが交互に複数積層されたものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  10. 前記近赤外線透過フィルタ用組成物の硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物を含み、
    前記近赤外線透過フィルタ用組成物は、更に光ラジカル重合開始剤と、酸基を有する樹脂とを含む、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11. 前記ラジカル重合性化合物の含有量が、前記近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して0.1〜40質量%である、請求項10に記載の光学フィルタ。
  12. 前記光ラジカル重合開始剤の含有量が、前記近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して0.1〜50質量%である、請求項10または11に記載の光学フィルタ。
  13. 前記酸基を有する樹脂の含有量が、前記近赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して1〜50質量%である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  14. 前記近赤外線透過フィルタ用組成物は更に近赤外線吸収剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  15. 前記近赤外線吸収剤は、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物およびシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項14に記載の光学フィルタ。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学フィルタを有する光センサ。
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