JP6923139B2 - 密閉容器、パッキンおよびパッキン付き蓋体 - Google Patents

Description

本発明は、物品を密閉状態で収容する密閉容器、パッキンおよびパッキン付き蓋体に関する。

容器本体と蓋体との間にパッキンを介在させて密閉性（気密性、水密性等）を高めた密閉容器が知られている。このような密閉容器は、化粧品、薬品、食品等の揮発成分や水分、外気に触れて劣化や変質する成分等を含む内容物を密閉状態で収容することで、内容物の品質の劣化や変質の防止や保存性の向上、さらには揮発成分の漏れ防止を図ることができる。
密閉容器に用いるパッキンは、容器本体の口部（開口部）への密着性の点から蓋体に比較して軟質であることが好ましく、かがる観点から、蓋体とは別に製造したものを蓋体の内側に取り付けて用いることが一般的である。
このようなパッキンを備えた密閉容器として特許文献１に記載のものが知られている。
この密閉容器は、収容部を有する容器本体、該容器本体の口部に装着される蓋体、及び該蓋体の内側に装着されたパッキンを有し、前記蓋体の内面に前記パッキンの外周部を係止する凸部が形成されており、前記パッキンは、断面形状が上方に向けて凸に湾曲した形状の中央領域を有しており、該パッキンは、その外周部が前記凸部に係止された状態とされて前記蓋体内に保持されている。

特開２０１１−１７３５９７号公報

ところで、パッキンを備えた蓋体を容器本体に装着するに際して、作業者はパッキンによって密閉性が担保されているか否かを知りたいという要求がある。
従来、パッキンを備えた蓋体を容器本体に装着する際に、パッキンに容器本体の口部（開口部）が密接しているか否かは、蓋体を容器本体に装着した際の装着感によってある程度感覚的に知ることはできるが、不安感は残る。
そこで、本発明者は、蓋体を容器本体に装着した際に、パッキンに容器本体の開口部が確実に密接したことを上述した装着感によるものに加え、何らかの音が発せられることによって、知ることができればよいのではないかと考え、パッキンの構成について鋭意研究を重ねたところ、パッキンを、複数のリング状突出部を有する構成とし、当該リング状突出部をある条件に設定すれば、パッキンに容器本体の開口部が密接した際に破裂音が生じるという知見を得るに至った。

本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、蓋体を容器本体に装着した際に、パッキンに容器本体の開口部が確実に密接したことを確実に知ることができる密閉容器、パッキンおよび当該パッキンが設けられたパッキン付き蓋体を提供することを目的とする。

前記課題を解決するために、本発明の密閉容器は、有底筒状の容器本体と、この容器本体の開口部に装着される有天筒状の蓋体と、この蓋体に装着されたパッキンとを有する密閉容器であって、
前記パッキンは、前記蓋体に設けられるパッキン本体と、このパッキン本体に前記蓋体の軸方向に離間し、かつ径方向に突出して設けられた可撓性を有する複数のリング状突出部とを有し、
前記蓋体の天板部から前記軸方向において最も離間している前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面に密接し、それ以外の前記リング状突出部のうち少なくとも１つの前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面から径方向に離間しており、さらに前記容器本体の開口縁部に径方向内側に張り出すようにして形成されたリング状の張出部の先端縁より径方向外側に位置していることを特徴とする

また、本発明のパッキンは、有天筒状の蓋体に装着されるパッキンであって、
前記蓋体に設けられるパッキン本体と、このパッキン本体に前記蓋体の軸方向に離間し、かつ径方向に突出して設けられた可撓性を有する複数のリング状突出部とを有し、
前記蓋体の天板部から前記軸方向において最も離間している前記リング状突出部の外周部の直径が他のリング状突出部の外周部の直径より長いことを特徴とする。

また、本発明のパッキン付き蓋体は、有天筒状の蓋体と、この蓋体の内側に装着された前記パッキンとを備えたことを特徴する。

なお、前記パッキンは前記蓋体の内側に設けられるが、これは蓋体の内面の少なくとも一部に設けられることを意味し、さらにパッキンを蓋体の開口縁部に設ける場合も含む。

本発明においては、パッキンが、パッキン本体と、このパッキン本体に前記蓋体の天板部から前記蓋体の軸方向に離間し、かつ径方向に突出して設けられた複数の可撓性を有するリング状突出部とを有し、前記天板部から最も離間している前記リング状突出部の外周部が、前記容器本体の内周面に密接し、それ以外の前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面から径方向に離間しており、さらに前記容器本体の開口縁部に径方向内側に張り出すようにして形成されたリング状の張出部の先端縁より径方向外側に位置しているので、蓋体を容器本体に装着する際に破裂音が生じる。したがって、この破裂音によってパッキンに容器本体の開口部が確実に密接したこと、つまり密閉容器の密閉性が担保されていることを知ることができる。

このように破裂音が生じることのメカニズムは詳細を確認できていないが、蓋体を容器本体に装着する際に、まず、蓋体の天板部から軸方向に最も離間しているリング状突出部の外周部が容器本体の内周面に密接するとともに当該リング状突出部の可撓性によって当該リング状突出部の外周部が他のリング状突出部に近付くことによって、パッキンと容器本体との間にある空気が圧縮され、他のリング状突出部の外周部が容器本体の張出部を越える際に当該他のリング状突出部の外周部が弾性的に撓んだうえで弾性復帰することによって、当該他のリング状突出部が振動するとともに圧縮空気が容器本体の外周部と蓋体の内周部との間を通って外部に抜けることによって、上述した破裂音が生じるものと推定される。

また、本発明の前記構成において、前記リング状突出部が３つあり、３つの前記リング状突出部は、前記天板部に近いものほど、外周部の直径が短くてもよい。

さらに、本発明の前記構成において、前記パッキン本体は、前記リング状突出部より前記天板部の側に位置する面板部を有し、前記面板部に、前記容器本体の前記張出部が密接していてもよい。
パッキンの面板部は、蓋体の内面（蓋体の開口縁部を含む）に密着するのが好ましく、形状は問わないが円板状またはリング状に形成されるのが好ましい。

本発明によれば、蓋体を容器本体に装着する際に破裂音が生じるので、この破裂音によってパッキンに容器本体の開口部が確実に密接したことを確実に知ることができる。

本発明の実施形態に係る密閉容器の半断面図である。 本発明の実施の形態に係るパッキンの半断面図である。 図１におけるＸ円部の拡大図である。

以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図１は本実施形態の密閉容器の半断面図、図２はパッキンの半断面図、図３は図１におけるＸ円部の拡大図である。

図１に示すように、本実施形態の密閉容器１は、有底円筒状の容器本体１０と、この容器本体１０の開口部に装着される有天円筒状の蓋体２０と、この蓋体２０の内側に装着されたパッキン３０とを有している。
容器本体１０は、円筒状の胴部１１と、この胴部１１の底部に設けられた円板状の底壁部１２とを有しており、当該胴部１１と底壁部１２とはアルミ等の金属によって一体的に形成されている。胴部１１は、その開口上端縁部から内側にリング状に張り出すようにして形成された張出部１１ａを有している。張出部１１ａは、その上面と内側面とが断面視において略円弧状に形成されている。
なお、容器本体１０はアルミ等の金属製に限らず、他の金属製であってもよいし、さらに樹脂製、木製、ガラス製等であってもよい。また、胴部１１と底壁部１２とは別体であってもよい。

蓋体２０は、円筒状の胴部２１と、この胴部２１の頂部に設けられた円板状の天板部２２とを有しており、当該胴部２１と天板部２２とはアルミ等の金属によって一体的に形成されている。また、天板部２２はその上面が上凸の緩やかな曲面によって形成され、天板部２２と胴部２１とは滑らかな曲面（Ｒ面）によって接続されている。また、胴部２１の内周面の直径は、容器本体１０の胴部１１の外周面の直径より僅かに長く、これによって、蓋体２０の胴部２１は容器本体１０の胴部１１に略擦り合わせによって装着されている。
なお、容器本体１０および蓋体２０は円筒状に限ることなく、角筒状、楕円筒状、長円筒状等であってもよい。

パッキン３０は、図１〜図３に示すように、円板状またはリング状に形成された面板部３２を有するパッキン本体３１と、このパッキン本体３１に、面板部３２から蓋体２０の軸方向に離間し、かつ軸方向に突出して設けられた３つの可撓性を有するひだ状の円形リング状のリング状突出部３３，３４，３５とを有し、可撓性を有する樹脂またはゴムによって一体的に形成されている。なお、リング状突出部は複数あればよいので、２つまたは４つ以上でもよい。また、蓋体２０にパッキン３０が装着された状態では、蓋体２０の軸方向とパッキン本体３１の軸方向はが同じとなる。
また、上述したように、蓋体２０が、角筒状、楕円筒状、長円筒状等である場合、面板部は、それぞれ、多角形板状（三角形板状および四角形板状を含む。）、楕円板状、長円板状とし、リング状突出部３３，３４，３５も、それぞれ多角形リング状（三角形リング状および四角形リング状を含む。）、楕円リング状、長円リング状とすればよい。

パッキン本体３１は、略円筒状の胴部３１ａを有し、この胴部３１ａの上端部に面板部３２が同軸に設けられている。面板部３２は、その上面が上凸の緩やかな曲面によって形成され、この上面と外周側面とが滑らかな曲面（Ｒ面）によって接続されている。
また、面板部３２の上面、外周側面およびこれらを接続する滑らかな曲面（Ｒ面）が、蓋体２０の天板部２２の内面、胴部２１の上部内周面およびこれらを接続する滑らかな曲面（Ｒ面）にそれぞれ密着している。
また、パッキン３０を備えた蓋体２０（パッキン付き蓋体２０Ａ）を容器本体１０に装着した状態において、パッキン本体３１の面板部３２の、胴部３１ａより外周側の面板部３２の下面に、容器本体１０の開口縁部である前記張出部１１ａが密接している。

また、パッキン３０の胴部３１ａの内周面は下方に向かうほど大径となるように胴部３１ａの軸方向に対して傾斜している。
また、胴部３１ａの外周面には、３つのリング状突出部３３，３４，３５が胴部３１ａの軸方向（蓋体２０の軸方向）に所定間隔離間して設けられている。蓋体２０の天板部２２（パッキン本体３１の面板部３２）から前記軸方向において最も離間している上から３つ目のリング状突出部３３の外周部は、容器本体１０の胴部１１の上端部内周面に密接しており、それ以外の２つのリング状突出部３４，３５は、面板部３２に近いものほど胴部１１の内周面から径方向に離間している。
言い換えると、３つのリング状突出部３３，３４，３５は、面板部３２に近いものほど、外周部の直径が短くなっており、面板部３２から最も遠い側のリング状突出部３３の外周部が容器本体１０の胴部１１の内周面に密接しており、他の２つのリング状突出部３４，３５は胴部１１の内周面に密接しておらず、当該内周面から径方向に離間している。
また、他の２つのリング状突出部３４，３５の外周部は、容器本体１０の胴部１１の内周面から径方向に離間しており、さらに容器本体１０の開口縁部に径方向内側に張り出すようにして形成されたリング状の張出部１１の先端縁（内周先端縁）より径方向外側に位置している。

また、３つのリング状突出部３３，３４，３５の外周部は断面円弧状に形成されており、胴部１１の内周面に密接しているリング状突出部３３の外周部は、断面円弧状の部分が弾性的に潰されるようにして胴部１１の内周面に圧接した状態で密接している。これによって、密閉容器１の密閉性が担保されている。また、リング状突出部３３が面板部３２の側に弾性的に撓むようにして変形する場合、当該リング状突出部３３の外周部が胴部１１の内周面に圧接した状態で密接し、これによって、密閉容器１の密閉性が担保される。
また、上から２つ目のリング状突出部３４の外周縁部と胴部１１の内周面との間の距離は、当該リング状突出部３４の径方向の高さ（パッキン本体３１の胴部３１ａの外周面からのリング状突出部３４の径方向の高さ）とほぼ等しくなっている。
さらに、最も上側のリング状突出部３５はリング状突出部３４より径方向の高さが若干（例えば０．２ｍｍ程度）低くなっている。当該リング状突出部３５を挟んでパッキン本体３１の胴部３１ａの外周面３１ｂ，３１ｃの径が異なっており、リング状突出部３５より上側の外周面３１ｂの径が下側の外周面３１ｃの径より大径となっている。
また、軸方向に隣り合う３つのリング状突出部３３，３４，３５の軸方向の間隔はほぼ等しくなっている。つまり、リング状突出部３３，３４間の間隔と、リング状突出部３４，３５間の間隔はほぼ等しくなっている。
なお、リング状突出部３４，３５の外周部は、容器本体１０の胴部１１の内周面から径方向に離間していればよく、当該外周部の直径はリング状突出部３３の外周部の直径より短ければよい。また、本実施形態では、リング状突出部３５の外周部の直径がリング状突出部３４の外周部の直径より短くなっているが、当該直径と等しくてもよいし、さらに当該直径より長くてもよい。
また、本実施形態では、３つのリング状突出部３３，３４，３５を有し、リング状突出部３３の外周部が容器本体１０の胴部１１の内周面に密接しているが、リング状突出部３４の外周部も容器本体１０の胴部１１の内周面に密接していてもよい。
要は、複数のリング状突出部のうち蓋体２０の天板部２２から軸方向において最も離間しているリング状突出部が胴部１１の内周面に密接しており、他のリング状突出部のうち少なくとも１つのリング状突出部の外周部が、容器本体１０の胴部１１の内周面から径方向に離間しており、さらに容器本体１０の開口縁部に形成された張出部１１ａの先端縁より径方向外側に位置していればよく、他のリング状突出部は胴部１１の内周面に密接していてもよい。

本実施の形態に係るパッキン付き蓋体２０Ａは、蓋体２０の内側に上述したようにしてパッキン３０を装着することによって構成される。
そして、パッキン付き蓋体２０Ａを容器本体１０に装着していくと、容器本体１０の上端部の張出部１１ａが蓋体２０の天板部２２から軸方向に最も離間しているリング状突出部３３と蓋体２０の胴部２１との間を通って、当該張出部１１ａがパッキン３０の面板部３２の下面に密接するとともに、リング状突出部３３の外周部が容器本体１０の胴部１１の内周面に密接することによって、密閉容器１の密閉性が担保される。
また、パッキン付き蓋体２０Ａを容器本体１０に装着する際に、まず、蓋体２０の天板部２２から軸方向に最も離間しているリング状突出部３３の外周部が容器本体１０の胴部１１の内周面に密接するとともに当該リング状突出部３３の可撓性によって当該リング状突出部３３の外周部が他のリング状突出部３４，３５に近付くことによって、パッキン３０と容器本体１０との間にある空気が圧縮され、他のリング状突出部３４，３５の外周部が容器本体１０の張出部１１ａを越える際に当該他のリング状突出部３４，３５の外周部が弾性的に撓んだうえで弾性復帰することによって、当該他のリング状突出部３４，３５が振動するとともに圧縮空気が容器本体１０の外周部と蓋体２０の内周部との間を通って外部に抜けることによって、破裂音が生じるものと思われる。特にこの破裂音は、リング状突出部３４の外周部の直径がリング状突出部３５の外周部の直径より長い場合に、リング状突出部３５の外周部が容器本体１０の張出部１１ａを越える際に大きくなる。

このように、本実施の形態によれば、蓋体２０（パッキン付き蓋体２０Ａ）を容器本体１０に装着する際に破裂音が生じるので、この破裂音によってパッキン３０に容器本体１０の開口部が確実に密接したこと、つまり密閉容器１の密閉性が担保されていることを知ることができる。
また、パッキン本体３１は面板部３２を有し、面板部３２に、容器本体１０の開口縁部（張出部１１ａ）が密接しているので、この密接している部分によっても、密閉容器１の密閉性を担保できる。

１ 密閉容器
１０ 容器本体
１１ａ 張出部
２０ 蓋体
２０Ａ パッキン付き蓋体
２２ 天板部
３０ パッキン
３１ パッキン本体
３２ 面板部
３３，３４，３５ リング状突出部

Claims (5)

1. 有底筒状の容器本体と、この容器本体の開口部に装着される有天筒状の蓋体と、この蓋体に装着されたパッキンとを有する密閉容器であって、
   前記パッキンは、前記蓋体に設けられるパッキン本体と、このパッキン本体に前記蓋体の軸方向に離間し、かつ径方向に突出して設けられた可撓性を有する３つのリング状突出部とを有し、
   ３つの前記リング状突出部は、前記蓋体の天板部に前記軸方向において近いものほど、外周部の直径が短く
   前記蓋体の前記天板部から前記軸方向において最も離間している前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面に密接し、それ以外の前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面から径方向に離間しており、さらに前記容器本体の開口縁部に径方向内側に張り出すようにして形成されたリング状の張出部の先端縁より径方向外側に位置していることを特徴とする密閉容器。
2. 前記パッキン本体は、前記リング状突出部より前記天板部の側に位置する面板部を有し、
   前記面板部に、前記容器本体の前記張出部が密接していることを特徴とする請求項１に記載の密閉容器。
3. 有底筒状の容器本体の開口部に装着される有天筒状の蓋体に装着されるパッキンであって、
   前記蓋体に設けられるパッキン本体と、このパッキン本体に前記蓋体の軸方向に離間し、かつ径方向に突出して設けられた可撓性を有する３つのリング状突出部とを有し、
   ３つの前記リング状突出部は、前記蓋体の天板部に前記軸方向において近いものほど、外周部の直径が短く、
   当該パッキンが装着された前記蓋体が前記容器本体の前記開口部に装着された際に、前記蓋体の前記天板部から前記軸方向において最も離間している前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面に密接し、それ以外の前記リング状突出部の外周部は、前記容器本体の内周面から径方向に離間しており、さらに前記容器本体の開口縁部に径方向内側に張り出すようにして形成されたリング状の張出部の先端縁より径方向外側に位置していることを特徴とするパッキン。
4. 前記パッキン本体は前記蓋体の内面に密着する面板部を有していることを特徴とする請求項３に記載のパッキン。
5. 有天筒状の蓋体と、この蓋体の内側に装着された請求項３または４に記載のパッキンとを備えたことを特徴とするパッキン付き蓋体。

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