以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略す場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る端末機101の構成を表すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る操作制御システム10が設けられる工場内の構成を表すブロック図である。操作制御システム10は、計器やバルブなど複数の機器としてのプラント機器1に接続して設けられる。本実施の形態においてプラント機器1は、たとえば火力発電所の炉を管理制御する計器および駆動装置などである。操作制御システム10は、複数の端末機101を備える。図2には、4つの端末機101a、101b、101c、101dを図示しているけれども、端末機101の数は、複数であれば限定するものではない。本明細書において、いずれの端末機101であるかを特定することなく各端末機を指すとき、単に「端末機101」と称する。
図2に示すように、各端末機101は通信網2によって互いに接続されるとともに、各プラント機器1を制御する制御装置3に接続される。操作制御システム10のハードウェアは、汎用コンピュータで実現されており、ハードウェアが本発明を実現するためのソフトウェアを読み込むことによって、操作制御システム10が実現される。これに対し、プラント機器1を制御する制御装置3は、各プラント機器1を制御するための専用のコンピュータで構成されている。制御装置3を構成するハードウェアは、汎用コンピュータで実現することは困難である。
図1に示すように、端末機101は、表示操作部4と、検出部5と、発信部6と、受信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。また各端末機101は、自端末機の端末ID(Identification)を有する。端末IDは、端末機101ごとに異なる。表示操作部4は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1の操作項目を表示し、プラント機器1に対する操作指令を入力可能に設けられる。検出部5は、表示操作部4にプラント機器1の操作項目が表示されたときに、操作項目が表示されたプラント機器1のIDを操作対象IDi1として検出する。発信部6は、操作対象IDi1を通信網2を介して発信する。受信部11は、通信網2を介して他の端末機101が発信したプラント機器1のIDを受信する。記憶部12は、受信部11が受信したプラント機器1のIDを、受信機器IDi2として記憶する。制御部13は、表示操作部4が複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について、表示操作部4からの操作指令として操作項目の表示を開始する開始指令s1が入力されたときに、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3を受信機器IDi2とID比較し、ID比較の結果に基づいて表示操作部4を制御する。制御部13は、ID比較の結果が一致を示した場合に、開始指令s1が入力されたプラント機器1がすでに操作中である旨を表示操作部4に表示させる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る操作制御システム10の動作を説明する図である。以下、各端末機101の動作を図3に基づいて説明する。各端末機101は、プラント機器1の制御装置3に接続され、表示操作部4から操作を入力することによって、制御装置3を介してプラント機器1を操作する。先にプラント機器1の操作を開始した端末機101を第1端末機101aとする。後からプラント機器1の操作を開始しようとする端末機101を第2端末機101bとする。複数の端末機101は、いずれも同一の構成によって実現される。
第1端末機101aの操作者は、第1端末機101aの表示操作部4を操作し、開始指令s1を入力することによって、操作しようとするプラント機器1の操作項目を表示操作部4に表示させる。開始指令s1が入力されると、検出部5は、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi1を検出する。制御部13は、記憶部12に記憶されている受信IDと、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi1とをID比較する。このID比較の結果が一致を示すならば、開始指令s1が入力されたプラント機器1は、他の端末機101によって操作されていることを意味するので、制御部13は、開始指令s1が入力されたプラント機器1が操作中である旨を自端末機の表示操作部4に表示させる。ID比較の結果が一致を示さなければ、開始指令s1が入力されたプラント機器1は、他の端末機101によって操作されていないことを意味するので、制御部13は、第1端末機101aによる操作を許容する。以下、第1端末機101aによる操作が許容されたものとして説明を続ける。
表示操作部4による操作項目の表示が許容されれば、表示操作部4に操作項目が表示されたプラント機器1のIDを、操作対象IDi1として検出する。検出された操作対象IDi1は、制御部13を介して発信部6から発信される。発信部6は通信網2に接続され、通信網2を介して第1端末機101aの外部に操作対象IDi1を発信する。本実施の形態において制御部13は発信部6を制御し、発信部6が操作対象IDi1を発信するときに、更新指令u1も併せて発信部6に発信させる。更新指令u1とは、他の端末機101の制御部13に対して再度の現状把握を促し、記憶部12の記憶内容を更新させる指令である。
第2端末機101bは、受信部11からプラント機器1のIDを受信し、受信したプラント機器1のIDを受信機器IDi2として記憶部12に記憶する。図3に示す例において第2端末機101bは、第1端末機101aが発信した操作対象IDi1を受信機器IDi2として記憶部12に記憶する。次に、第2端末機101bがプラント機器1の操作を開始するために、表示操作部4からの操作指令として操作項目の表示を開始する開始指令s1が入力されると、検出部5は、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3を検出する。制御部13は、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2と、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3とをID比較する。このID比較の結果が一致を示すならば、開始指令s1が入力されたプラント機器1は第1端末機101aによって操作されていることを意味するので、制御部13は、開始指令s1が入力されたプラント機器1が操作中である旨を表示操作部4に表示させる。
記憶部12に記憶されている受信機器IDi2は、1つとは限らず、その時点で他の端末機101によって操作されている全てのプラント機器1のIDは、発信部6および受信部11を用いて全ての端末機101で情報共有され、全ての端末機101の記憶部12に記憶される。第2端末機101bの表示操作部4から操作項目の表示を開始する開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3が、いずれの受信機器IDi2とID比較しても結果が不一致を示すならば、開始指令s1が入力されたプラント機器1は第2端末機101bが操作可能であるので、表示操作部4による操作が開始される。操作が開始されると、第2端末機101bの検出部5は、操作を開始したプラント機器1のIDを、操作対象IDi1として検出する。その結果、操作対象IDi1が制御部13を介して発信部6に送信される。第2端末機101bの発信部6は、通信網2を介して第2端末機101bの外部に操作対象IDi1を発信する。
次に、表示操作部4によるプラント機器1の操作を終了するときの操作制御システム10の動作を説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る操作制御システム10が操作を終了するときの動作を説明する図である。プラント機器1の操作を終了する端末機101を、第1端末機101aとする。第1端末機101aがプラント機器1の操作を終了したという情報を受ける端末機101を、第2端末機101bとする。
第1端末機101aでは、表示操作部4から操作中のプラント機器1に対する操作を終了する終了指令c1が入力される。第1端末機101aの検出部5は、終了指令c1の対象となるプラント機器1のIDi4と、入力された終了指令c1とを検出する。第1端末機101aの発信部6は、終了指令c1が入力されたプラント機器1のIDi4および終了指令c1を、通信網2を介して発信する。第2端末機101bの受信部11は、終了指令c1と、終了指令c1に付随したプラント機器1のIDi4とを、通信網2を介して受信する。図4に示す例では、終了指令c1に付随したプラント機器1のIDi4は、第1端末機101aが発信したプラント機器1のIDi4に一致する。したがって、第2端末機101bの記憶部12は、終了指令c1が入力されたプラント機器1のIDi4と一致する受信機器IDi2を記憶内容から消去する。
次に、端末機101の各部が行う具体的な処理を、図5〜図9に基づいて説明する。図5は、本発明の実施の形態1において表示操作部4および検出部5が行う工程を表すフローチャートである。図5(a)は、表示操作部4の処理を表しており、図5(b)は、検出部5の処理を表している。図6は、本発明の実施の形態1において制御部13が行う工程の前半を表すフローチャートである。図7は、本発明の実施の形態1において制御部13が行う工程の後半を表すフローチャートである。
図8および図9は、本発明の実施の形態1において、記憶部12に記憶されるリスト15の一例を表す図である。図8(a)および図9(a)は、第1端末機101aの記憶部12に記憶されるリスト15を示している。図8(b)および図9(b)は、第2端末機101bの記憶部12に記憶されるリスト15を示している。図8は、記憶部12にまだリスト15として何も記憶されていない状態の、記憶部12のリスト15を表す。
第1端末機101aの自己IDd1を「A」とし、第2端末機101bの自己IDd2を「B」とする。第1端末機101aが、P10というIDを有するプラント機器1と、P20というIDを有するプラント機器1との操作を開始した場合、図9(a)に示すように、第1端末機101aの記憶部12に記憶されるリスト15には、この2つのプラント機器1のIDが、操作対象IDi1として記憶される。
表示操作部4は、本処理開始後、ステップST11の要望工程に移行し、プラント機器1に対する操作項目の表示を要望する開始指令s1を受け付ける。これは操作者が表示操作部4を操作することによって入力される。たとえば図8および図9に示す例では、第1端末機101aの表示操作部4から、「P10」という機器IDを有するプラント機器1と、「P20」という機器IDを有するプラント機器1とに対して時刻10:00に開始指令s1が入力される。それよりも後の10:05には、第2端末機101bの表示操作部4から、「「P10」という機器IDを有するプラント機器1と「P30」という機器IDを有するプラント機器1とに対して開始指令s1が入力される。
次に、検出部5によるステップST13の要望検出工程が行われる。ステップST13の要望検出工程において検出部5は、表示操作部4からの開始指令s1を検出して制御部13に送る。図8および図9に示す例では、第1端末機101aでは機器ID「P10」および開始指令s1と、機器ID「P20」および開始指令s1とが検出部5によって検出される。第2端末機101bでは、機器ID「P10」および開始指令s1と、機器ID「P30」および開始指令s1とが検出部5によって検出される。次に、図6のステップST1の検出確認工程に移行し、制御部13は、検出部5が表示操作部4から検出したプラント機器1の操作に関する開始指令s1と、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3とを、検出部5から受け取る。このとき、開始指令s1が入力された時刻に関する情報も併せて検出部5から受け取る。図8および図9に示す例では、第1端末機101aの制御部13は機器ID「P10」および開始指令s1と、機器ID「P20」および開始指令を検出部5から受け取る。第2端末機101bの制御部13は、機器ID「P10」および開始指令s1と、機器ID「P30」および開始指令を検出部5から受け取る。
次にステップST2の記憶確認工程に移行し、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2のリスト15を取得する。時刻10:00よりも過去の時間帯では、第1端末機101aの制御部13は記憶部12から、図8の状態のリスト15を取得する。時刻10:00よりも後、時刻10:05よりも過去の時間帯において、第2端末機101bの制御部13は、記憶部12から図9(a)の状態のリスト15を取得する。
次に、図6に示すように、ステップST3の比較工程に移行し、受信機器IDi2のリスト15の中に、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3に一致するIDが存在するか否かを比較によって確認する。図8および図9に示す例では、第1端末機101aの制御部13は、機器ID「P10」および機器ID「P20」と一致する機器IDがリスト15の中に存在するか否かを検索する。第2端末機101bの制御部13は、機器ID「P10」および機器ID「P20」と一致する機器IDがリスト15の中に存在するか否かを検索する。
比較工程におけるID比較の結果、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3に一致するIDが、記憶部12に受信機器IDi2として記憶されるリスト15の中に存在すれば、ステップST4の警告工程に移行する。時刻10:00における第1端末機101aの制御部13は、機器ID「P10」および機器ID「P20」を図8の状態のリスト15の中で検索し、ID比較する。したがって第1端末機101aは、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDを、記憶部12のリスト15の中には見出さない。
これに対し、時刻10:05における第2端末機101bは、機器ID「P10」および機器ID「P30」を図9(a)の状態のリスト15の中で検索し、ID比較する。したがって第2端末機102bは、開始指令s1が入力されたプラント機器1のID「P10」を記憶部12のリスト15の中に見出す。ステップST4の警告工程において制御部13は、表示操作部4を制御し、他の端末機101によって操作中である旨を表示させる。これを受けて表示操作部4では、図5のステップST12の表示工程に移行し、制御部13による制御のとおり、他の端末機101によって操作中である旨の表示を行う。
たとえば時刻10:05において第2端末機101bは、第1端末機101aによる操作が継続中である機器ID「P10」のプラント機器1には、操作を開始することができない。したがって第2端末機101bの表示操作部4には、「P10というIDを有するプラント機器1は他の端末機101によって操作中である」という旨が表示される。P30というIDを有するプラント機器1については、第2端末機101bは操作を開始できるので、P30のプラント機器1については操作対象IDi1として、第2端末機101bの記憶部12に記憶される。
図6のステップST3の比較工程において、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3に一致するIDが、記憶部12が受信機器IDi2として記憶するリスト15の中に無ければ、ステップST5の記憶更新工程に移行する。ステップST5の記憶更新工程では、記憶部12に記憶される内容を最新の情報に基づいて更新する。ここでは、自己の端末機101が操作中のプラント機器1のIDを、操作対象IDi1として記憶部12に記憶させる。
図9は、図6に示すステップST5の記憶更新工程が終了した後の、記憶部12のリスト15を表す。第1端末機101aは、機器ID「P10」および「P20」のプラント機器1に対して操作を開始したことを受けて、機器ID「P10]および「P20」の情報を記憶部12のリスト15に書き込む。第2端末機101bは、機器ID「P10」および「P30」のプラント機器1に対して開始指令s1が入力されたという情報をリスト15に書き込む。
制御部13のステップST3の比較工程において、自端末機から開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDが、記憶部12のリスト15の中に無かったという比較結果であった場合には、この比較結果を受けて、表示操作部4では図5のステップST12の表示工程に移行する。ステップST12の表示工程では、開始指令s1以降の操作指令を受け付け、開始指令s1が入力されたプラント機器1について、操作項目の表示を行う。第1端末機101aは機器ID「P10」および「P20」の両方のプラント機器1に対して操作が開始され、第2端末機102bは機器ID「P30」のプラント機器1に対してのみ操作が開始される。
検出部5では、表示操作部4に操作項目が表示されたことを受けて、ステップST14の対象検出工程に移行する。ステップST14の対象検出工程において検出部5は、表示操作部4に操作項目が表示されたプラント機器1のIDを操作対象IDi1として検出し、制御部13に対して操作対象IDi1を送信する。第1端末機101aでは、機器ID「P10」および「P20」の両方が操作対象IDi1として検出される。第2端末機102bでは、機器ID「P30」のみが操作対象IDi1として検出される。
制御部13では、図6に示すように、ステップST5の記憶項新工程の後、ステップST6の発信制御工程に移行する。ステップST6の発信制御工程において制御部13は、発信部6を制御して、更新指令u1と操作対象IDi1とを発信させる。このとき、更新指令u1、これに付随する操作対象IDi1に加えて、自端末機の端末IDも更新指令u1に付随させて発信させる。自端末機の端末IDは、記憶部12に記憶されており、「自己ID」と称することがある。
ステップST6の発信制御工程において第1端末機101aの制御部13は、発信部6に対して、更新指令u1、自己ID「A」、操作対象ID「P10」および「P20」を発信させる。時刻10:00に開始された第1端末機101aの操作に関して、第1端末機101aにおけるステップST6の発信制御工程が終了すると、第1端末機101aの記憶部12が有する情報は、全ての端末機101の記憶部12によって共有され。この結果、全ての端末機101の記憶部12の記憶内容は、図9(a)の状態となる。
ステップST6の発信制御工程において第2端末機101bの制御部13は、発信部6に対して、更新指令u1、自己ID「B」、操作対象ID「P30」を発信させる。時刻10:05に開始された第2端末機101bの操作に関して、第2端末機101bにおけるステップST6の発信制御工程が終了すると、第2端末機101bの記憶部12が有する情報は、全ての端末機101の記憶部12によって共有され。この結果、全ての端末機101の記憶部12の記憶内容は、図9(b)の状態となる。
次に図7に示すステップST7の終了検出工程に移行し、制御部13は、検出部5が表示操作部4から終了指令c1を検出したか否かを判断する。終了指令c1が検出されなければ、終了検出工程を繰り返す。終了指令c1が検出されれば、次のステップST8の発信制御工程に移行するステップST8の発信制御工程では、発信部6を制御して、終了指令c1と、操作対象IDi1として記憶していたプラント機器1のIDを発信させる。次にステップST9の記憶更新工程に移行し、記憶部12に記憶される内容を、最新の情報に基づいて更新する。ここでは、操作対象IDi1として記憶部12に記憶していたプラント機器1のIDを、記憶内容から消去させる。その後、本処理は終了する。
次に、発信部6が行う具体的な処理を、図10に基づいて説明する。図10は、本発明の実施の形態1において発信部6が行う工程を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST15の指令受信工程に移行し、制御部13からの指令を受信する。これは前述した図6のステップST6の発信制御工程に対応する場合もあれば、図7のステップST8の発信制御工程に対応する場合もある。次にステップST16の発信工程に移行し、通信網2を介して発信を行う。その後、本処理は終了する。
次に、受信部11が行う具体的な処理を、図11に基づいて説明する。図11は、本発明の実施の形態1において受信部11が行う工程を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST21の受信工程に移行し、通信網2からの受信を行う。受信するのは、更新指令u1、終了指令c1、これらに付随する端末機101のIDおよびプラント機器1のIDなどである。受信部11は、指令信号および各指令信号に付随して送信されてくるIDについて、ひとまとまりの情報として受信する。次にステップST22の転送工程に移行し、受信した指令およびIDを記憶部12および制御部13に転送する。受信部11は転送する場合にも、指令信号および各指令信号に付随して送信されてきたIDについて、ひとまとまりの情報として転送する。ステップST21の受信工程で受信し、ステップST22の転送工程で転送した信号が更新指令u1であった場合、記憶部12の記憶は最新の状態に更新される。その後、本処理は終了する。
図12は、本発明の実施の形態1において、更新指令u1を受けて記憶部12の情報が更新された後の、記憶部12のリスト15を表す図である。複数の端末機101のうちいずれか1つ以上の端末機101が更新指令u1を発信し、これを受けて全ての端末機101の記憶部12のリスト15が更新されると、一時的にでも端末機101と端末機101との間で記憶部12のリスト15に差異があったとしても、情報は共有される。その結果、図12に示すように、全ての記憶部12のリスト15は、同じ記憶内容に統一される。したがって、いずれの端末機101がいずれのプラント機器1を操作中であるか、という情報を、全ての端末機101で共有することになる。
このように複数の端末機101は、発信部6および受信部11によって通信網2を介して記憶内容を共有し、これに基づいてプラント機器1に対する重複した操作を防止する。記憶部12の記憶内容を複数の端末機101で共有した状態で、プラント機器1について操作項目の表示を要望する開始指令s1が表示操作部4から入力されたときに、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3が受信機器IDi2と一致したならば、すでに操作中である旨を表示操作部4に表示する。したがって、プラント機器1に対して重複した操作が行われることを防止することが可能となる。
このような構成とすることによって、実施の形態1に係る操作制御システム10によれば、各端末機101は、通信網2を介してプラント機器1が操作中であるか否かの情報を発信および受信することができるので、通信網2を介して他の端末機101と連携して、制御に必要な情報を収集することができる。これによって、プラント機器1およびプラント機器1を制御する専用の制御装置3を用いることなく、プラント機器1に対する重複した操作を防止することができる。したがって、プラント機器1を制御する専用の制御装置3に変更を加えることなく導入できる。これによって、導入が容易でかつ重複操作を防止可能な操作制御システム10を実現できる。
また実施の形態1に係る操作制御システム10によれば、表示操作部4からプラント機器1に対する終了指令c1が入力されると、終了指令c1が入力されたプラント機器1のIDは通信網2を介して外部に通知され、終了指令c1が入力されたプラント機器1のIDは記憶部12の記憶内容から消去される。したがって操作が終了したプラント機器1は、操作されていないプラント機器1として認識される。これによって、表示操作部4がプラント機器1に対して新たに操作を開始できる。
実施の形態1において機器は、工場内に設けられるプラント機器1としたけれども、これに限定されるものではない。本発明における機器は、通信網を介して複数の機器が複数の端末機によって制御される実施の形態もあり得る。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る操作制御システム10について、図に基づいて以下に説明する。実施の形態2は、先に説明した実施の形態1に類似しており、以下、実施の形態1に対する実施の形態2の相違点を中心に説明する。
図13は、本発明の実施の形態2における端末機102の構成を表す図である。本実施の形態において制御部13は、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、記憶部12に記憶された受信機器IDi2とをID比較し、ID比較の結果が一致を示した場合に、開始指令s1が入力されたプラント機器1に対して表示操作部4から入力される、開始指令s1以降の操作指令を無効化する。制御部13は、実施の形態1における制御部13と同様の動作を行う判断部21と、表示操作部4からの入力を強制的に無効化する操作処理部23とを備える。
図14は、本発明の実施の形態2において判断部21が行う工程を表すフローチャートである。ステップST31の検出確認工程、ステップST32の記憶確認工程、およびステップST33の比較工程は、実施の形態1の図6において説明したステップST1の検出確認工程、ステップST2の記憶確認工程、およびステップST3の比較工程と同様である。図15および図16は、本発明の実施の形態1において、記憶部12に記憶されるリスト15の一例を表す図である。図15(a)および図16(a)は、ある1つの端末機102の記憶部12に記憶されるリスト15を示している。図15(b)および図16(b)は、他の1つの端末機102の記憶部12に記憶されるリスト15を示している。図15は、図14に示すステップST32の記憶確認工程で、記憶部12にまだリスト15として何も記憶されていない状態の、記憶部12のリスト15を表す。
ステップST33の比較工程で、開始指令s1が入力されたプラント機器IDと記憶部12に記憶されている受信機器IDi2とをID比較し、一致するIDが存在すれば、ステップST34の記入工程に移行する。ステップST34の記入工程では、操作項目の表示を要望する開始指令s1が入力されたことを、記憶部12に記憶されるリスト15に記入し、かつ開始指令s1が入力されたプラント機器1に対する表示操作部4からの操作を無効化すべきとの情報を、記憶部12に記憶されるリスト15に記入する。操作を無効化すべきとの情報を「ロックフラグ16」と称する。次に、ステップST35の警告工程に移行する。ステップST35の警告工程では、表示操作部4に、開始指令s1が入力されたプラント機器1への操作が無効化される旨を表示させる。
ステップST33の比較工程で、開始指令s1が入力されたプラント機器IDが、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2のリスト15に存在しない場合には、ステップST36の記憶更新工程に移行する。ステップST36の記憶更新工程、およびその次のステップST37の発信制御工程は、図6のステップST5の記憶更新工程、およびステップST6の発信制御工程と同様である。またその後の工程についても、図7に説明した工程と同様である。
図16は、図14に示すステップST36の記憶更新工程が終了した後の、記憶部12のリスト15を表す。図16には、図9に示した例に類似する場合を図示した。このとき、たとえば他の1つの端末機102bが、P10というIDを有するプラント機器1と、P30というIDを有するプラント機器1とに操作を試みたとすると、まだ、ある端末機102aによる操作が継続中であるプラント機器1には操作を開始することができないので、記憶部12に記憶されるリスト15には、他の1つの端末機102bからの開始指令s1を記入し、かつこの操作がロックされる旨のロックフラグ16が記入される。
図17は、本発明の実施の形態2において受信部11が行う工程を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST38の受信工程に移行し、通信網2からの受信を行う。次にステップST39の転送工程に移行し、受信した指令およびIDを記憶部12および制御部13に転送する。その後、本処理は終了する。ステップST38の受信工程およびステップST39の転送工程は、図11に示したステップST21の受信工程、およびステップST22の転送工程と同様である。ステップST39の転送工程で転送した信号が更新指令u1であった場合、記憶部12の記憶は最新の状態に更新される。
図18は、本発明の実施の形態2において、更新指令u1を受けて記憶部12の情報が更新された後の、記憶部12のリスト15を表す図である。複数の端末機102のうちいずれか1つ以上の端末機102が更新指令u1を発信し、これを受けて全ての端末機102の記憶部12のリスト15が更新されると、一時的にでも端末機102と端末機102との間で記憶部12のリスト15に差異があったとしても、情報は共有される。その結果、図18に示すように、全ての記憶部12のリスト15は、同じ記憶内容に統一される。したがって、いずれの端末機102がいずれのプラント機器1を操作中であるか、という情報を、全ての端末機102で共有することになる。
図19は、本発明の実施の形態2において、操作処理部23が行う工程を表すフローチャートである。操作処理部23による処理は、判断部21による処理と平行して行われる。本処理開始後、ステップST41の操作確認工程に移行し、表示操作部4からのプラント機器1に対する操作の入力があるかどうかを確認する。操作の入力がなければ操作入力の確認を続ける。操作入力があれば、ステップST42の情報取得工程に移行し、いずれのプラント機器1に対する開始指令s1が入力されたのかの情報を検出部5から取得する。次にステップST43の判断工程に移行し、記憶部12に記憶されるリスト15において、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3にロックフラグ16があるか否かを判断する。
記憶部12のリスト15において、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3にロックフラグ16があれば、ステップST44の無効化工程に移行し、開始指令s1が入力されたプラント機器1に対する表示操作部4からの操作入力を無効化する。ステップST43の判断工程において、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3にロックフラグ16がなければ、ステップST45の受付工程に移行し、開始指令s1が入力されたプラント機器1に対する表示操作部4からの操作入力を受付け、操作入力を許容する。その後、本処理は終了する。本処理は、自己の端末機102が稼働している間、繰り返される。
このような構成によって、実施の形態2に係る操作制御システム10によれば、制御部13は、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、記憶部12に記憶された受信機器IDi2とをID比較し、ID比較の結果が一致を示した場合に、開始指令s1が入力されたプラント機器1に対して表示操作部4から入力される開始指令s1以降の操作指令を無効化する。操作項目の表示を要望する開始指令s1が表示操作部4から入力されたときに、開始指令s1が入力されたプラント機器1が操作中であった場合、開始指令s1が入力されたプラント機器1に対する表示操作部4による操作は無効化される。したがって、プラント機器1に対する重複した操作の防止を確実にすることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る操作制御システム10について、図に基づいて以下に説明する。実施の形態3は、先に説明した実施の形態2に類似しており、以下、実施の形態2に対する実施の形態3の相違点を中心に説明する。図20は、本発明の実施の形態3における端末機103の構成を表す図である。
制御部13は、操作項目の表示を要望する開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、記憶部12に記憶された受信機器IDi2とをID比較する。発信部6は、他の端末機103の制御部13に対して再度のID比較を促す更新指令u1を発信可能に設けられる。また発信部6は、表示操作部4にプラント機器1の操作項目が表示されたときに、自端末機の端末IDを操作対象IDi1に付随させて通信網2を介して発信する。受信部11は、他の端末機103からの更新指令u1とプラント機器1のIDに付随する端末IDとを受信する。記憶部12は、自端末機の端末IDを自己IDとして記憶し、複数の端末ID間に予め定める優先順位を記憶するとともに、受信部11で受信した端末IDを受信機器IDi2に付随させて記憶する。
制御部13は、発信部6を制御可能に設けられる。また制御部13は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一致を示したときに、発信部6に更新指令u1を発信させる。また制御部13は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一致を示したとき、および受信部11が更新指令u1を受信したときに、受信機器IDi2に付随した端末IDの優先順位と自己IDの優先順位とを優先順位比較する。また制御部13は、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した端末IDの優先順位が自己IDの優先順位よりも低い場合には、受信機器IDi2と受信機器IDi2に付随させた自己IDとを発信部6に発信させる。また制御部13は、受信機器IDi2に付随した端末IDの優先順位が自己IDの優先順位よりも高い場合には、表示操作部4に操作項目が表示されたプラント機器1に対する操作を終了すべき旨を、表示操作部4に送信させる。
制御部13は、判断部21、指令処理部22および操作処理部23を備える。判断部21および操作処理部23は実施の形態2に関して前述したとおりである。指令処理部22は、あるプラント機器1についての操作を無効化すべきとする無効化指令f1が、受信部11を介して入力されると、記憶部12に記憶される受信機器IDi2のリスト15において、操作が無効化されるべきプラント機器1のIDにロックフラグ16を付記する。
次に、本発明の各構成要素の動作図を参照しながら説明する。図21は、本発明の実施の形態3に係る操作制御システム10の動作を説明する図である。図22は、本発明の実施の形態3において、記憶部12が記憶している優先順位リストL1の一例を示す図である。第1端末機103a、第2端末機103bを含む全ての端末機103の記憶部12は、端末機103について予め定める優先順位を優先順位リストL1として記憶している。また記憶部12は、各端末機103に定められる自己IDを記憶している。たとえば、第1端末機103aの自己IDd1を「A」とし、第2端末機103bの自己IDd2を「B」とする。第1端末機103aの表示操作部4からプラント機器1について開始指令s1が入力され、プラント機器1についての操作が許可されれば、検出部5はそのプラント機器1のIDを操作対象IDi1として検出する。第1端末機103aの制御部13は、更新指令u1、操作対象IDi1、第1端末機103aの端末IDd1および無効化指令f1を発信部6に発信させる。
更新指令u1には、端末機103によるプラント機器1の操作状況に変化があったから複数の端末機103で共有している情報を更新すべきである、との意味がある。操作対象IDi1および第1端末機103aの端末IDd1には、操作対象IDi1で表されるプラント機器1を、端末IDd1で表される端末機101が操作中である、との意味がある。無効化指令f1には、操作対象IDi1で表されるプラント機器1に対する他の端末機101からの操作を無効化すべきである、との意味がある。
第2端末機103bの記憶部12は、複数の端末機103に関して予め定める優先順位を示す優先順位リストL1と第2端末機103bの自己IDd2とを、予め記憶している。受信部11が、更新指令u1、プラント機器1のIDi2、端末IDd1および無効化指令f1を受信すると、更新指令u1に付随したプラント機器1のIDi2を受信機器IDi2として記憶部12に記憶する。また第2端末機103bは、記憶部12に記憶された受信機器IDi2で表されるプラント機器1に対して表示操作部4から操作が行われようとすると、受信機器IDi2に付随する端末IDの優先順位と自己IDd2の優先順位とを優先順位比較する。優先順位比較の結果、自己IDd2の優先順位のほうが高ければ、受信機器IDi2に付随させて自己IDd2を発信部6から発信する。これによって他の端末機103は、受信機器IDi2によって示されるプラント機器1に対し、第2端末機103bが操作を要望していることを把握する。
第2端末機103bにおいて、記憶部12に記憶された受信機器IDi2で表されるプラント機器1に対して表示操作部4から操作が行われようとして、受信機器IDi2に付随する端末IDの優先順位と自己IDd2の優先順位とを優先順位比較した結果、自己IDd2の優先順位のほうが低ければ、第2端末機103bにおいて制御部13は、表示操作部4からの操作入力を無効化する。
次に、判断部21が行う具体的な処理を図23および図24に基づいて説明する。図23は、本発明の実施の形態3において判断部21が行う工程の一部を表すフローチャートである。図24は、本発明の実施の形態3において判断部21が行う工程の他の一部を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST51の検出確認工程、ステップST52の記憶確認工程、およびステップST53の比較工程を行う。これらの工程は、図6のステップST1〜ステップST3、および図14のステップST31〜ステップST33と同様である。ステップST53の比較工程でのID比較結果が一致を示した場合、ステップST54の順位比較工程に移行し、ステップST53の比較工程で一致が示された受信機器IDi2に付随する端末IDの優先順位と、自己IDの優先順位とを優先順位比較する。このとき判断部21は、記憶部12に記憶されている、複数の端末機103の間に予め定める優先順位を基準として、優先順位比較を行う。
ステップST54の順位比較工程で、自己IDの優先順位のほうが高いという結果であった場合には、図24に示すステップST59の発信制御工程に移行する。ステップST59の発信制御工程では、更新指令u1、無効化指令f1、自己の端末機103の表示操作部4から開始指令s1が入力されたプラント機器1のID、およびそのプラント機器1のIDに付随させた自己IDを発信部6に発信させる。次に、ステップST60の記憶更新工程に移行し、記憶部12に記憶される内容を、最新の情報に基づいて更新する。ここでは、自己の端末機103がプラント機器1について操作項目の表示を要望したこと、およびプラント機器1のIDを記憶部12に記憶させる。その後、本処理は終了する。
ステップST54の順位比較工程で、自己IDの優先順位のほうが高いという結果であった場合には、図23に示したステップST55の記入工程に移行する。ステップST55の記入工程、およびその次のステップST56の警告工程については、図14に示したステップST34の記入工程、およびステップST35の警告工程と同様である。
ステップST53の比較工程で、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3が、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2のリスト15に存在しない場合には、ステップST57の記憶更新工程に移行する。ステップST57の記憶更新工程、およびその次のステップST58の発信制御工程は、図6のステップST5の記憶更新工程、およびステップST6の発信制御工程と同様である。またその後の工程についても、図7に説明した工程と同様である。
図25は、本発明の実施の形態3において指令処理部22が行う工程を表すフローチャートである。指令処理部22は、受信部11が無効化指令f1を受信したときに、これに対応して記憶部12の記憶内容を更新する。本処理開始後、ステップST61の受信確認工程に移行し、無効化指令f1を受信したかを確認する。無効化指令f1を受信していなければ、この工程を継続し、無効化指令f1を受信したならば、ステップST62の情報取得工程に移行する。ステップST62の情報取得工程では、無効化指令f1にどのプラント機器1のIDが付随しているのかという情報と、どの端末機103が無効化指令f1を発信したのかという情報を取得する。次にステップST63の確認工程に移行し、無効化指令f1に付随したプラント機器1のIDが示すプラント機器1を、自己の端末機103が表示操作部4において表示中であるか否かを確認する。
ステップST63の確認工程で、自己の端末機103で表示中であるという結果が示されたならば、ステップST64の記入工程に移行し、自己の端末機103で表示中のプラント機器1に対する、表示操作部4からの操作を無効化すべきとの情報を、記憶部12に記憶されるリスト15に記入する。その後、本処理は終了する。ステップST63の確認工程で、自己の端末機103で表示していないという結果が示されたならば、そのまま本処理を終了する。本処理は、自己の端末機103が稼働している間、繰り返される。
図26は、本発明の実施の形態3において、発信部6が行う工程を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST65の指令受信工程に移行し、制御部13からの指令および情報を受信する。これは図10において説明したステップST15の指令受信工程に類似する。次にステップST66の発信工程に移行し、ステップST15の指令受信工程で受信した指令および情報を発信する。本実施の形態においては、受信し、また発信される指令および情報は、更新指令u1、操作対象IDi1、および自己IDであり、優先順位比較において自己IDの優先順位のほうが高い場合には、無効化指令f1も受信し発信する。その後本処理は終了する。
このような構成とすることによって、実施の形態3に係る操作制御システム10によれば、発信部6は、更新指令u1を発信するので、他の端末機103がいずれかのプラント機器1を操作中であっても、他の端末機103の制御部13にプラント機器1のIDについてのID比較および端末IDについてのID比較を促すことができる。優先順位の低い端末機103によって操作されているプラント機器1に対して、優先順位の高い端末機103から操作項目の表示を要望する開始指令s1が発信されたときに、優先順位の高い端末機103は、更新指令u1と、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、これに付随させた自己IDとを発信する。端末機103はプラント機器1を操作中であっても、更新指令u1を受信するので、制御部13においてプラント機器1のIDおよび端末IDのID比較を行う。優先順位の低い端末機103は、操作中のプラント機器1のIDを受信するので、操作中のプラント機器1のIDを受信機器IDi2として記憶する。その結果、優先順位の低い端末機103では、操作中のプラント機器1のIDが受信機器IDi2に一致するので、操作を終了すべき旨が表示操作部4に表示される。これによって、1つのプラント機器1に複数の端末機103から操作の要望があった場合に、予め定める優先順位に従って、端末機103からの操作を切り換えることが可能となる。
また実施の形態3に係る操作制御システム10によれば、自己の端末機103が操作中であるプラント機器1に対して、他の端末機103の表示操作部4から開始指令s1が入力されたときに、他の端末機103の優先順位と自己の端末機103の優先順位とを優先順位比較して、他の端末機103の優先順位のほうが高かった場合に、自己の端末機103による操作は無効化される。したがって、プラント機器1に対する重複した操作の防止を、予め定める優先順位に従って確実に行うことができる。
実施の形態3においては、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した端末IDの優先順位が自己IDの優先順位よりも高い場合に、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対して表示操作部4から入力される操作指令を無効化する構成としたけれども、これに限定するものではない。たとえば表示操作部4からの操作指令を無効化せず、表示操作部4に操作を禁止する旨の警告を表示するのみの構成とすることも可能である。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る操作制御システム10について、図に基づいて以下に説明する。実施の形態4は、先に説明した実施の形態3に類似しており、以下、実施の形態3に対する実施の形態4の相違点を中心に説明する。図27は、本発明の実施の形態4における端末機104の構成を表す図である。
表示操作部4は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されたときに、操作者名n1の入力を操作者に対して促す。発信部6は、他の端末機104の制御部13に対して再度のID比較を促す更新指令u1を発信可能に設けられる。また発信部6は、表示操作部4にプラント機器1の操作項目が表示されたときに、表示操作部4から入力された操作者名n1を操作対象IDi1に付随させて通信網2を介して発信する。受信部11は、他の端末機104からの更新指令u1とプラント機器1のIDに付随する他端末機の操作者名n2とを受信する。記憶部12は、予め定める複数の操作者名n1と、複数の操作者名n1間に予め定める優先順位とを記憶するとともに、受信部11で受信した他端末機の操作者名n2を受信名n2として受信機器IDi2に付随させて記憶する。
制御部13は、発信部6を制御可能に設けられる。また制御部13は、複数のプラント機器1のうち少なくとも1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一致を示したときに、発信部6に更新指令u1を発信させる。また制御部13は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一致を示したとき、および受信部11が更新指令u1を受信したときに、受信機器IDi2に付随した受信名n2の優先順位と操作者名n1の優先順位とを優先順位比較する。また制御部13は、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した受信名n2の優先順位が操作者名n1の優先順位よりも低い場合には、受信機器IDi2と受信機器IDi2に付随させた操作者名n1とを発信部6に発信させる。また制御部13は、受信機器IDi2に付随した受信名n2の優先順位が操作者名n1の優先順位よりも高い場合には、表示操作部4に操作項目が表示されたプラント機器1に対する操作を終了すべき旨を、表示操作部4に表示させる。
次に、本発明の各構成要素の動作図を参照しながら説明する。図28は、本発明の実施の形態4に係る操作制御システム10の動作を説明する図である。図29は、本発明の実施の形態4において、記憶部12が記憶している優先順位リストL2の一例を示す図である。第1端末機104a、第2端末機104bを含む全ての端末機104の記憶部12は、端末機104を操作する可能性のある全ての操作者名n1を記憶しており、かつ全ての操作者について、予め定める優先順位を優先順位リストL2として記憶している。操作者名n1およびその優先順位は、セキュリティ対策を施した上で、書き換え可能に記憶される。
第1端末機104aおよび第2端末機104bを含む全ての端末機104は、稼動が開始されたとき、またはいずれか1つのプラント機器1に対して操作項目の表示を要求したときに、操作者に対して名前の入力を促す。図30は、本発明の実施の形態4において、記憶部12が記憶する自己IDおよび操作者名n1の一例を表す図である。第1端末機104aの操作者名n1は「β」であるものとし、第2端末機104bの操作者名n1は「γ」であるものとする。第1端末機104aは、入力された操作者名n1を「β」と記憶する。第1端末機104aのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力され、プラント機器1の操作が許可されれば、検出部5はそのプラント機器1のIDを操作対象IDi1として検出する。第1端末機104aの制御部13は、更新指令u1、操作対象IDi1、および第1端末機104aの操作者名n1を発信部6に発信させる。
第2端末機104bでは、受信部11が更新指令u1プラント機器1のIDi2および他端末機の操作者名n2を受信すると、更新指令u1に付随したプラント機器1のIDi2を受信機器IDi2として、他端末機の操作者名n2を受信名n2として記憶部12に記憶する。図31は、本発明の実施の形態4において、記憶部12が記憶する受信機器IDi2のリスト15を表す図である。図31(a)は第1端末機104aにおいて記憶される受信機器IDi2のリスト15を示し、図31(b)は第2端末機104bにおいて記憶される受信機器IDi2のリスト15を示す。
図28には、第2端末機104bが第1端末機104aからの情報を受信するものとして例示しているので、第2端末機104bの受信部11が受信したプラント機器1のIDi2は、第1端末機104aが発信した操作対象IDi1と一致する。第2端末機104bにおいていずれか1つ以上のプラント機器1に対して表示操作部4から開始指令s1が入力されると、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、記憶部12に記憶している受信機器IDi2とをID比較し、一致するものが存在するか否かを判断する。
第2端末機104bにおけるID比較の結果、一致するIDが存在する場合には、その受信機器IDi2に付随して記憶されている受信名n2、この場合「β」の優先順位と、第2端末機104bの操作者名「γ」の優先順位とを優先順位比較する。優先順位比較の結果、第2端末機104bの操作者名「γ」の優先順位のほうが高ければ、第2端末機104bの制御部13は、受信機器IDi2に付随させて第2端末機104bの操作者名「γ」を発信部6から発信させる。また同時に、更新指令u1および無効化指令f1も併せて発信する。これによって他の端末機104は、受信機器IDi2によって示されるプラント機器1に対し、第2端末機104bが操作を要望していることを把握する。第1端末機104aは、更新指令u1を受信するので、第1端末機104aの制御部13は、受信機器IDi2に付随する第2端末機104bの操作者名「γ」の優先順位と、第1端末機104aの操作者名「β」の優先順位を優先順位比較する。また第2端末機104bからは受信機器IDi2に関連して無効化指令f1が発信されているので、これを受信した第1端末機104aでは、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対する操作指令が無効化される。
第2端末機104bにおいて、受信機器IDi2に付随して記憶されている他端末機の操作者名「β」の優先順位と、第2端末機104bの操作者名「γ」の優先順位とを優先順位比較した結果、第2端末機104bの操作者名「γ」の優先順位のほうが低ければ、第2端末機104bにおいて制御部13は、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対して行われる表示操作部4からの操作を無効化する。
次に、判断部21が行う具体的な処理を、図32および図33に基づいて説明する。図32は、本発明の実施の形態4において判断部21が行う工程の一部を表すフローチャートである。図33は、本発明の実施の形態4において判断部21が行う工程の他の一部を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST71の検出確認工程、ステップST72の記憶確認工程、およびステップST73の比較工程を行う。これらの工程は、図6のステップST1〜ステップST3、および図14のステップST31〜ステップST33と同様である。ステップST73の比較工程でのID比較の結果が一致を示した場合、ステップST74の順位比較工程に移行し、ステップST73の比較工程で一致が示された受信機器IDi2に付随する受信名n2の優先順位と、自己の端末機104における操作者名n1の優先順位とを優先順位比較する。このとき判断部21は、記憶部12に記憶されている、複数の操作者名n1に対して予め定める優先順位を基準として、優先順位比較を行う。
ステップST74の順位比較工程で、自己の端末機104における操作者名n1の優先順位のほうが高いという結果であった場合には、図33に示すステップST79の発信制御工程に移行する。ステップST79の発信制御工程では、更新指令u1、無効化指令f1、および自己の端末機104の表示操作部4から開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDを、発信部6に発信させる。また同時に、そのプラント機器1のIDに付随させて、自己の端末機104の操作者名n1も併せて発信させる。次にステップST80の記憶更新工程に移行し、記憶部12に記憶される内容を、最新の情報に基づいて更新する。ここでは、自己の端末機104がプラント機器1について開始指令s1が入力されたこと、およびプラント機器1のIDを記憶部12に記憶させる。その後、本処理は終了する。
ステップST74の順位比較工程で、自己の端末機104における操作者名n1のほうが優先順位が低いという結果であった場合には、図32に示すステップST75の記入工程に移行する。ステップST75の記入工程、およびその次のステップST76の警告工程については、図14に示したステップST34の記入工程、およびステップST35の警告工程と同様である。
ステップST74の比較工程で、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3が、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2のリスト15に存在しない場合には、ステップST77の記憶更新工程に移行する。ステップST77の記憶更新工程、およびその次のステップST78の発信制御工程は、図6のステップST5の記憶更新工程、およびステップST6の発信制御工程と同様である。またその後の工程についても、図7に説明した工程と同様である。
このような構成とすることによって、実施の形態4に係る操作制御システム10によれば、発信部6は、更新指令u1を発信するので、他の端末機104がいずれかのプラント機器1を操作中であっても、他の端末機104の制御部13にプラント機器1のIDについてのID比較および操作者名についての優先順位比較を促すことができる。優先順位の低い操作者によって操作されているプラント機器1に対して、優先順位の高い操作者が開始指令s1を入力したときに、優先順位の高い操作者は、更新指令u1と、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、これに付随させた操作者名n1とを発信する。端末機104はプラント機器1の操作中であっても、更新指令u1を受信するので、制御部13においてプラント機器1のIDについてのID比較および操作者名についての優先順位比較を行う。
優先順位の低い操作者が操作する端末機104は、操作中のプラント機器1のIDを受信するので、操作中のプラント機器1のIDを受信機器IDi2として記憶する。その結果、優先順位の低い操作者が操作する端末機104では、操作中のプラント機器1のIDが受信機器IDi2に一致するので、操作を終了すべき旨が表示操作部4に表示される。これによって、1つのプラント機器1に複数の端末機104から操作の要望があった場合に、予め定める操作者の優先順位に従って、端末機104からの操作を切り換えることが可能となる。
また実施の形態4に係る操作制御システム10によれば、自己の端末機104が操作中であるプラント機器1に対して、他の端末機104の表示操作部4から開始指令s1が入力されたときに、他の端末機104を操作する人物の優先順位と自己の端末機104を操作する操作者の優先順位とを優先順位比較して、他の端末機104を操作する人物の優先順位のほうが高かった場合に、自己の端末機104による操作は無効化される。したがって、プラント機器1に対する重複した操作の防止を、予め定める優先順位に従って確実に行うことができる。
実施の形態4においては、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した受信名n2の優先順位が自己の端末機104に関する操作者名n1の優先順位よりも高かった場合に、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対して表示操作部4から入力される操作指令を無効化する構成としたけれども、これに限定するものではない。たとえば表示操作部4からの操作指令を無効化せず、表示操作部4に操作を禁止する旨の警告を表示するのみの構成とすることも可能である。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る操作制御システム10について、図に基づいて以下に説明する。実施の形態5は、先に説明した実施の形態4に類似しており、以下、実施の形態4に対する実施の形態5の相違点を中心に説明する。図34は、本発明の実施の形態5における端末機105の構成を表す図である。
表示操作部4は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されたときに、操作者名n1の入力を操作者に促す。発信部6は、他の端末機105の制御部13に対して再度のID比較を促す更新指令u1を発信可能に設けられる。また発信部6は、表示操作部4にプラント機器1の操作項目が表示されたときに、自端末機の端末IDおよび操作者名n1を操作対象IDi1に付随させて通信網2を介して発信する。受信部11は、他の端末機105からの更新指令u1と、プラント機器1のIDに付随する端末IDおよび受信名n2を受信する。記憶部12は、自端末機の端末IDを自己IDとして記憶する。また記憶部12は、予め定める複数の操作者名n1と、複数の端末IDとを記憶し、また複数の操作者名n1および複数の端末IDの組み合わせについて予め定める優先順位を記憶する。また記憶部12は、受信部11で受信した端末IDおよび受信名n2を受信機器IDi2に付随させて記憶する。
制御部13は、発信部6を制御可能に設けられ、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一致を示したときに、発信部6に更新指令u1を発信させる。また制御部13は、複数のプラント機器1のうち少なくともいずれか1つのプラント機器1について表示操作部4から開始指令s1が入力されかつID比較の結果が一を示したとき、および受信部11が更新指令u1を受信したときに、受信機器IDi2に付随した端末IDおよび操作者名の組み合わせの優先順位と自己IDおよび操作者名n1の組み合わせの優先順位とを優先順位比較する。
また制御部13は、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した端末IDおよび受信名n2の組み合わせの優先順位が操作対象IDi1および自己IDの組み合わせの優先順位よりも低い場合には、受信機器IDi2と、受信機器IDi2に付随させた自己IDおよび操作者名n1とを発信部6に発信させる。また制御部13は、受信機器IDi2に付随した端末IDおよび受信名n2の組み合わせの優先順位が操作対象IDi1および自己IDの組み合わせの優先順位よりも高い場合には、表示操作部4に操作項目が表示されたプラント機器1に対する操作を終了すべき旨を、表示操作部4に表示させる。
次に、本発明の各構成要素の動作図を参照しながら説明する。図35は、本発明の実施の形態5に係る操作制御システム10の動作を説明する図である。図36は、本発明の実施の形態4において、記憶部12が記憶している優先順位リストL3の一例を示す図である。第1端末機105a、第2端末機105bを含む全ての端末機105の記憶部12は、自己の端末機105のIDと、端末機105を操作する可能性のある全ての操作者名n1を記憶している。また全ての記憶部12は、操作者と端末機105との全ての組み合わせについて、予め定める優先順位を優先順位リストL3として記憶している。
第1端末機105aの操作者名n1は「β」であるものとし、第2端末機105bの操作者名n1は「γ」であるものとする。第1端末機105aは、入力された操作者名n1を「β」と記憶する。第1端末機105aの表示操作部4からプラント機器1について開始指令s1が入力され、プラント機器1の操作の開始が許可されれば、検出部5はそのプラント機器1のIDを操作対象IDi1として検出する。第1端末機105aの制御部13は、更新指令u1、操作対象IDi1、第1端末機105aの操作者名n1(β)、および第1端末機105aの端末IDd1(A)を発信部6に発信させる。
第2端末機105bでは、受信部11が更新指令u1プラント機器1のIDi2および他端末機の操作者名n2を受信すると、更新指令u1に付随したプラント機器1のIDi2を受信機器IDi2として、他端末機の操作者名n2を受信名n2として記憶部12に記憶する。図31は、本発明の実施の形態4において、記憶部12が記憶する受信機器IDi2のリスト15を表す図である。図35には、第2端末機105bが第1端末機105aからの情報を受信するものとして例示しているので、第2端末機105bの受信部11が受信したプラント機器1のIDi2は、第1端末機105aが発信した操作対象IDi1と一致する。また第2端末機105bの受信部11が受信した受信名n2は、第1端末機105aが発信した操作者名n1と一致する。第2端末機105bにおいていずれか1つ以上のプラント機器1に対して表示操作部4から開始指令s1が入力されると、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、記憶部12に記憶している受信機器IDi2とをID比較し、一致するものが存在するか否かを判断する。
第2端末機105bにおけるID比較の結果、一致するIDが存在する場合には、その受信機器IDi2に付随して記憶されている他端末機の操作者名「β」と、同じく受信機器IDi2に付随して記憶されている端末ID「A」との組み合わせに注目する。この組み合わせは受信した情報であるので、「受信組み合わせ」と称する。また第2端末機105bは、第2端末機105bの操作者名「γ」と自己IDd2「B」との組み合わせに注目する。これらは自己の端末機105に関する情報であるので、「自己組み合わせ」と称する。その上で受信組み合わせの優先順位と自己組み合わせの優先順位とを優先順位比較する。
優先順位比較の結果、自己組み合わせの優先順位のほうが高ければ、第2端末機105bの制御部13は、受信機器IDi2に付随させて第2端末機105bの操作者名「γ」と自己IDd2とを発信部6から発信させる。また同時に、更新指令u1および無効化指令f1も併せて発信する。これによって他の端末機105は、受信機器IDi2によって示されるプラント機器1に対し、第2端末機105bが操作を要望していることを把握する。第1端末機105aは、更新指令u1を受信するので、第1端末機105aの制御部13は、受信機器IDi2に付随する第2端末機105bの操作者名「γ」、および第2端末機105bの組み合わせの優先順位と、第1端末機105a自身の自己組み合わせの優先順位とを優先順位比較する。また第2端末機105bからは受信機器IDi2に関連して無効化指令f1が発信されているので、これを受信した第1端末機105aでは、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対する操作指令が無効化される。
第2端末機105bにおいて、受信組み合わせの優先順位と自己組み合わせの優先順位とを優先順位比較した結果、自己組み合わせの優先順位のほうが低ければ、第2端末機105bにおいて制御部13は、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対して行われる表示操作部4からの操作を無効化する。
次に、判断部21が行う具体的な処理を、図37および図38に基づいて説明する。図37は、本発明の実施の形態5において判断部21が行う工程の一部を表すフローチャートである。図38は、本発明の実施の形態5において判断部21が行う工程の他の一部を表すフローチャートである。本処理開始後、ステップST81の検出確認工程、ステップST82の記憶確認工程、およびステップST83の比較工程を行う。これらの工程は、図6のステップST1〜ステップST3、および図14のステップST31〜ステップST33と同様である。ステップST83の比較工程でのID比較の結果が一致を示した場合、ステップST84の順位比較工程に移行し、ステップST83の比較工程で一致が示された受信機器IDi2に付随する受信組み合わせの優先順位と、自己の端末機105における自己組み合わせの優先順位とを優先順位比較する。このとき判断部21は、操作者名n1および端末IDに関して予め定める優先順位を基準として、優先順位比較を行う。
ステップST84の順位比較工程で、自己組み合わせの優先順位のほうが高いという結果であった場合には、図38に示すステップST89の発信制御工程に移行する。ステップST89の発信制御工程では、更新指令u1、無効化指令f1、および自己の表示操作部4から開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDを、発信部6に発信させる。また同時に、そのプラント機器1のIDに付随させて、自己の端末機105の操作者名n1および自己IDも併せて発信させる。次にステップST90の記憶更新工程に移行し、記憶部12に記憶される内容を、最新の情報に基づいて更新する。ここでは、自己の端末機105からプラント機器1について開始指令s1が入力されたこと、およびプラント機器1のIDを記憶部12に記憶させる。その後、本処理は終了する。
ステップST84の順位比較工程で、自己の端末機105における操作者名n1のほうが優先順位が低いという結果であった場合には、図37に示すステップST85の記入工程に移行する。ステップST85の記入工程、およびその次のステップST86の警告工程については、図14に示したステップST34の記入工程、およびステップST35の警告工程と同様である。
ステップST84の比較工程で、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3が、記憶部12に記憶されている受信機器IDi2のリスト15に存在しない場合には、ステップST87の記憶更新工程に移行する。ステップST87の記憶更新工程、およびその次のステップST88の発信制御工程は、図6のステップST5の記憶更新工程、およびステップST6の発信制御工程と同様である。またその後の工程についても、図7に説明した工程と同様である。
このような構成とすることによって、実施の形態5に係る操作制御システム10によれば、発信部6は、更新指令u1を発信するので、他の端末機105がいずれかのプラント機器1を操作中であっても、他の端末機105の制御部13にプラント機器1のIDについてのID比較と、端末IDおよび操作者名の組み合わせに関する優先順位についての優先順位比較とを促すことができる。優先順位が低い端末機105および操作者の組み合わせで操作されているプラント機器1に対して、優先順位が高い組み合わせで操作者に操作される端末機105から、開始指令s1が入力されたときに、優先順位が高い組み合わせで操作される端末機105は、更新指令u1と、開始指令s1が入力されたプラント機器1のIDi3と、これに付随させた自己IDおよび操作者のIDを発信する。
端末機105はプラント機器1を操作中であっても、更新指令u1を受信するので、制御部13においてプラント機器1のIDと、端末IDおよび操作者名の組み合わせの優先順位とについて、優先順位比較を行う。優先順位の低い組み合わせの端末機105は、操作中のプラント機器1のIDを受信するので、操作中のプラント機器1のIDを受信機器IDi2として記憶する。その結果、優先順位の低い端末機105では、操作中のプラント機器1のIDが受信機器IDi2に一致するので、操作を終了すべき旨が表示操作部4に表示される。これによって、1つのプラント機器1に複数の端末機105から操作の要望があった場合に、端末機105および操作者に関して予め定める優先順位にしたがって、端末機105からの操作を切り換えることが可能となる。
また実施の形態5に係る操作制御システム10によれば、自己の端末機105が操作中であるプラント機器1に対して、他の端末機105の表示操作部4から開始指令s1が入力されたときに、受信組み合わせの優先順位と、自己組み合わせの優先順位とを優先順位比較して、受信組み合わせの優先順位のほうが高かった場合に、自己の端末機105による操作は無効化される。したがって、プラント機器1に対する重複した操作の防止を、予め定める優先順位に従って確実に行うことができる。
実施の形態5においては、優先順位比較の結果として、受信機器IDi2に付随した受信組み合わせの優先順位が自己組み合わせの優先順位よりも高い場合に、受信機器IDi2が示すプラント機器1に対して表示操作部4から入力される操作指令を無効化する構成としたけれども、これに限定するものではない。たとえば表示操作部4からの操作指令を無効化せず、表示操作部4に操作を禁止する旨の警告を表示するのみの構成とすることも可能である。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に係る操作制御システム10について、図に基づいて以下に説明する。実施の形態6は、先に説明した実施の形態5に類似しており、以下、実施の形態5に対する実施の形態6の相違点を中心に説明する。図39は、本発明の実施の形態6において、記憶部12が記憶する優先順位リストL4の一例を表す図である。
本実施の形態では、記憶部12が記憶する予め定める優先順位は、プラント機器1ごとに定められる。たとえば、IDがP10で表されるプラント機器1では、操作者名n1および端末IDの全ての組み合わせの間で優先順位が定められ、IDがP20で表されるプラント機器1では、操作者名n1に優先順位が定められ、IDがP30で表されるプラント機器1では、端末IDに優先順位が定められる。優先順位がプラント機器1によって異なり、操作者名n1に優先順位が定められるプラント機器1と、端末IDに優先順位が定められるプラント機器1とが混在しても、一人の操作者が複数の端末機106を操作しない限りは不都合は生じない。また全ての端末機106が、操作者名n1および端末IDの全ての組み合わせについて、優先順位が定められる構成とすることもできる。
このような構成とすることによって、実施の形態6によれば、各プラント機器1に応じた環境での操作を優先できる。また、各プラント機器1に関して予め定める優先順位は、各プラント機器1に応じて書き換え可能に設定される。たとえば、操作に技能が必要なプラント機器1において、操作者の技能に基づいて優先順位を定めることもできる。また視認したり音を聞いたりすることが操作の上で有効な場合に、プラント機器1との位置関係に基づいて、端末機106に優先順位を定めることも可能となる。
尚、それぞれの実施の形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。