以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内においてX軸と平行な方向をX軸方向とし、所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とし、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθX方向とし、Y軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθY方向とし、Z軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθZ方向とする。所定面は、XY平面である。Z軸は、所定面と直交する。本実施形態において、所定面は、水平面と平行であることとする。Z軸方向は、鉛直方向である。なお、所定面が水平面に対して傾斜していてもよい。
[電子部品実装装置]
図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置100の一例を示す斜視図である。電子部品実装装置100は、電子部品Cを基板Pに実装する。図1に示すように、電子部品実装装置100は、ベースフレーム101と、電子部品Cを供給するフィーダ200が設置されるフィーダバンク102と、基板Pを搬送する基板搬送装置103と、基板搬送装置103の搬送経路に設けられ、基板Pを保持する基板クランプ機構104と、電子部品Cを保持可能なノズル10を支持する実装ヘッド106と、XY平面内において実装ヘッド106を移動可能な実装ヘッド移動装置107と、実装ヘッド106に設けられ、実装ヘッド106に対してノズル10をZ軸方向及びθZ方向に移動可能なノズル移動装置112と、ノズル10に保持された電子部品Cを照明する照明装置20と、ノズル10に保持された電子部品Cを撮像する撮像装置30と、コンピュータシステム40と、を備える。
ベースフレーム101は、フィーダバンク102、基板搬送装置103、実装ヘッド106、実装ヘッド移動装置107、及び撮像装置30を支持する。
フィーダバンク102は、フィーダ200を支持する。フィーダ200は、電子部品Cを供給する電子部品供給装置である。フィーダ200は、部品供給位置PJaに電子部品Cを供給する。部品供給位置PJaは、フィーダ200からノズル10に電子部品Cを供給する部品供給処理が実施される位置である。部品供給位置PJaは、フィーダ200から供給される電子部品Cと対向する位置を含む。
基板搬送装置103は、ベースプレート105と、ベースプレート105の上方で基板Pを搬送可能な搬送ベルトとを有する。基板Pは、基板搬送装置103の搬送ベルトにより、X軸方向に搬送される。基板クランプ機構104は、基板搬送装置103の搬送経路において基板Pを保持する。基板クランプ機構104は、Y軸方向の基板Pの両端部をクランプする。
基板クランプ機構104は、実装処理が実施される実装位置PJbで基板Pを保持する。基板クランプ機構104は、基板Pの表面とXY平面とが平行となるように、基板Pを保持する。実装位置PJbは、電子部品Cを基板Pに実装する実装処理が実施される位置である。実装位置PJbは、電子部品Cが実装される基板Pと対向する位置を含む。
実装ヘッド106は、電子部品Cを保持するノズル10を有し、ノズル10に保持された電子部品Cを基板クランプ機構104に保持された基板Pに実装する。実装ヘッド106は、フィーダ200から供給された電子部品Cをノズル10で保持して基板Pの表面に実装する。実装ヘッド106は、部品供給処理が実施される部品供給位置PJa、及び実装処理が実施される実装位置PJbを含むXY平面内において移動可能である。
実装ヘッド移動装置107は、基板Pの上方及びフィーダ200の上方で、実装ヘッド106を移動する。実装ヘッド移動装置107は、フィーダ200から供給される電子部品Cと対向する部品供給位置PJa、及び電子部品Cが実装される基板Pと対向する実装位置PJbを含むXY平面内において実装ヘッド106を移動可能である。実装ヘッド移動装置107による実装ヘッド106の可動範囲は、実装ヘッド106の作業エリアを含む。実装ヘッド移動装置107の作動により、実装ヘッド106はXY平面を移動可能である。
実装ヘッド移動装置107は、実装ヘッド106をX軸方向にガイドするX軸ガイドレール108と、X軸ガイドレール108をY軸方向にガイドするY軸ガイドレール109と、実装ヘッド106をX軸方向に移動するための動力を発生するX駆動装置110と、実装ヘッド106をY軸方向に移動するための動力を発生するY駆動装置111とを有する。
実装ヘッド106は、X軸ガイドレール108に支持される。X駆動装置110は、モータのようなアクチュエータを含み、X軸ガイドレール108に支持されている実装ヘッド106をX軸方向に移動するための動力を発生する。X駆動装置110の作動により、実装ヘッド106は、X軸ガイドレール108にガイドされながらX軸方向に移動する。
X軸ガイドレール108は、Y軸ガイドレール109に支持される。Y駆動装置111は、モータのようなアクチュエータを含み、Y軸ガイドレール109に支持されているX軸ガイドレール108をY軸方向に移動するための動力を発生する。Y駆動装置111の作動により、X軸ガイドレール108は、Y軸ガイドレール109にガイドされながらY軸方向に移動する。X軸ガイドレール108がY軸方向に移動すると、そのX軸ガイドレール108に支持されている実装ヘッド106は、X軸ガイドレール108と一緒にY軸方向に移動する。本実施形態において、Y駆動装置111は、X軸ガイドレール108を介して、実装ヘッド106をY軸方向に移動する。
[実装ヘッド]
図2は、本実施形態に係る実装ヘッド106の一例を模式的に示す図である。実装ヘッド106は、電子部品Cを着脱可能に保持するノズル10を有する。ノズル10は、電子部品Cを吸着保持する吸着ノズルである。真空源と接続される吸引口がノズル10の先端部に設けられる。ノズル10の先端部と電子部品Cとが接触した状態で真空源による吸引が実施されることにより、電子部品Cはノズル10に吸着保持される。真空源による吸引が解除されることにより、電子部品Cはノズル10から解放される。なお、ノズル10は、電子部品Cを挟んで保持する把持ノズルでもよい。
実装ヘッド106は、部品供給位置PJa及び実装位置PJbのそれぞれにノズル10が配置されるように、XY平面内において移動可能である。実装ヘッド106は、フィーダ200から供給された電子部品Cをノズル10で保持して基板Pに実装する。
ノズル10は、部品供給位置PJaにおいて、フィーダ200から供給された電子部品Cを保持する。ノズル10は、部品供給位置PJaにおいて電子部品Cを保持した後、実装位置PJbまで搬送し、基板Pに実装する。実装位置PJbにおいて電子部品Cが基板Pに実装された後、ノズル10は、電子部品Cを解放する。これにより、基板Pに電子部品Cが実装される。
実装ヘッド106は、ノズル10をZ軸方向及びθZ方向に移動可能に支持する。実装ヘッド106は、ノズル10をZ軸方向及びθZ方向に移動可能なノズル移動装置112を有する。ノズル移動装置112は、ノズル10をZ軸方向に移動するZ駆動装置113と、ノズル10をθZ方向に移動(回転)するθZ駆動装置114とを含む。Z駆動装置113は、モータのようなアクチュエータを含み、ノズル10をZ軸方向に移動するための動力を発生する。θZ駆動装置114は、モータのようなアクチュエータを含み、ノズル10をθZ方向に移動するための動力を発生する。
ノズル10は、実装ヘッド移動装置107及び実装ヘッド106に設けられたノズル移動装置112により、X軸、Y軸、Z軸、及びθZの4つの方向に移動可能である。なお、ノズル10は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。
[電子部品]
図3は、本実施形態に係る電子部品Cの一例を模式的に示す側面図である。図4は、本実施形態に係る電子部品Cの一例を模式的に示す平面図であって電子部品Cを下方から見た図である。
電子部品Cは、挿入型電子部品である。図3及び図4に示すように、電子部品Cは、ボディCbと、ボディCbから突出するリードClとを有する。ボディCbは、合成樹脂製のハウジング部材を含む。ボディCbの内部空間には、例えばコイルが配置される。リードClは、金属製の突起物である。リードClは、例えばボディCbの内部空間に配置されているコイルと接続される。リードClは、ボディCbの下面から下方に突出する。リードClは、ボディCbに2つ設けられる。
ノズル10は、ボディCbを保持する。電子部品実装装置100は、ノズル10でボディCbを保持した状態で、電子部品CのリードClを基板Pに設けられている孔に挿入する。電子部品Cは、リードClが基板Pの孔に挿入されることによって、基板Pに実装される。
[撮像装置]
図5は、本実施形態に係る撮像装置30の一例を模式的に示す斜視図である。撮像装置30は、ノズル10に保持され、照明装置20で照明された電子部品Cを撮像する。撮像装置30は、ベースフレーム101に支持される。撮像装置30は、ノズル10に保持されている電子部品Cを下方から撮像する。
撮像装置30は、光学系31と、光学系31を通過した光を受光するイメージセンサ32とを有する。光学系31の焦点の位置は固定されている。すなわち、光学系31は、固定焦点レンズであり、撮像装置30は、固定焦点カメラである。光学系31の光軸AXは、Z軸と平行である。
イメージセンサ32は、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。撮像装置30は、電子部品Cを撮像して、電子部品Cの画像データを取得する。
照明装置20は、ノズル10に保持されている電子部品Cを照明光で照明する。照明装置20は、撮像装置30よりも上方に配置される。照明装置20は、ケース21と、ケース21の上部に設けられる発光素子22と、ケース21の下部に設けられる発光素子23とを有する。
XY平面内において、ケース21の外形は、正方形状である。ケース21の上部に開口24が設けられる。ケース21の下部に開口25が設けられる。発光素子22は、ケース21の上部において、開口24を囲むように複数配置される。発光素子23は、ケース21の下部において、開口25を囲むように複数配置される。
ノズル10は、電子部品Cと撮像装置30の光学系31とが対向するように、電子部品Cを保持可能である。Z駆動装置113は、ノズル10に保持された電子部品Cと撮像装置30の光学系31とが対向した状態で、ノズル10をZ軸方向に移動可能である。
Z駆動装置113は、電子部品Cを保持したノズル10をZ軸方向に移動して、光学系31の光軸AXと平行なZ軸方向における電子部品Cと撮像装置30との距離を調整する。Z駆動装置113は、電子部品Cと撮像装置30との距離を調整する駆動装置として機能する。Z駆動装置113によって調整される電子部品Cと撮像装置30との距離は、光学系31の光軸AXと平行なZ軸方向の距離である。
Z軸方向における電子部品Cと撮像装置30との距離は、電子部品Cの着目部位と撮像装置30との距離を含む。電子部品Cと撮像装置30との距離は、電子部品Cの着目部位と撮像装置30の光学系31の複数のレンズのうち光学系31の焦点FPに最も近いレンズの表面との距離でもよいし、電子部品Cの着目部位と撮像装置30のイメージセンサ32の入射面との距離でもよい。
撮像装置30で電子部品Cを撮像するとき、コンピュータシステム40は、Z駆動装置113を制御して、ノズル10に保持されている電子部品Cを、開口24を介してケース21の内部空間に移動する。コンピュータシステム40は、照明装置20を制御して、発光素子22及び発光素子23のそれぞれから照明光を射出させる。これにより、ケース21の内部空間に配置されている電子部品Cが照明光で照明される。撮像装置30は、ノズル10に保持され、照明装置20で照明された電子部品Cを、開口25を介して下方から撮像する。
[コンピュータシステム]
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステム40の一例を示す機能ブロック図である。コンピュータシステム40は、例えばパーソナルコンピュータを含む。コンピュータシステム40は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置41と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ及びROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリを含む記憶装置42と、入出力インターフェース43とを有する。
照明装置20、撮像装置30、X駆動装置110、Y駆動装置111、Z駆動装置113、及びθZ駆動装置114のそれぞれは、コンピュータシステム40の入出力インターフェース43と接続される。なお、撮像装置30とコンピュータシステム40とは、LANケーブルで接続される。照明装置20、撮像装置30、X駆動装置110、Y駆動装置111、Z駆動装置113、及びθZ駆動装置114のそれぞれは、コンピュータシステム40に制御される。
演算処理装置41は、電子部品実装装置100を制御する制御部4と、撮像装置30で取得された電子部品Cの画像データを画像処理する画像処理部5と、を含む。
制御部4は、実装処理を実施するための制御信号を出力する実装制御部411と、照明装置20を制御する制御信号を出力する照明制御部412と、撮像装置30を制御する制御信号を出力する撮像制御部413と、撮像装置30で電子部品Cを撮像するときの電子部品Cと撮像装置30との距離を設定する距離設定部414とを有する。
記憶装置42は、実装処理のスケジュールデータを記憶するスケジュールデータ記憶部421と、実装処理を制御するコンピュータプログラムを記憶するプログラム記憶部422と、基板Pに実装される電子部品Cの外形を示す部品データを記憶する部品データ記憶部423とを有する。
スケジュールデータは、基板Pに実装される電子部品Cのリスト、電子部品Cの実装の順番、及び基板Pにおける電子部品Cの実装位置を少なくとも一つを含む。
部品データは、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれにおける電子部品CのボディCbの寸法を含む。また、部品データは、ボディCbの下面から突出するZ軸方向におけるリードClの寸法(長さL)を含む。
実装制御部411は、スケジュールデータ記憶部421からスケジュールデータを読み込み、プログラム記憶部421からコンピュータプログラムを読み込む。電子部品Cの実装処理において、実装制御部411は、スケジュールデータ及びコンピュータプログラムに従って、X駆動装置110及びY駆動装置111の少なくとも一方に制御信号を出力して、フィーダ200の部品供給位置PJaにヘッド106を移動し、Z駆動装置113に制御信号を出力してノズル10を下降させて、部品供給位置PJaに配置されている電子部品Cをノズル10で保持する。電子部品Cがノズル10で保持された後、実装制御部411は、スケジュールデータ及びコンピュータプログラムに従って、X駆動装置110及びY駆動装置111の少なくとも一方に制御信号を出力して、実装位置PJbにヘッド106を移動し、Z駆動装置113に制御信号を出力してノズル10を下降させて、ノズル10に保持されている電子部品Cを基板Pに実装する。実装制御部411は、スケジュールデータに規定されている全ての電子部品Cについて実装処理を実施する。
照明制御部412は、照明装置20の発光素子22及び発光素子23の発行動作を制御する制御信号を出力する。照明装置20は、照明制御部412から出力された制御信号に基づいて、規定のタイミングで、ケース21の内部空間に配置されている電子部品Cを照明する。
撮像制御部413は、撮像装置30の撮像動作を制御する制御信号を出力する。撮像装置30は、撮像制御部413から出力された制御信号に基づいて、規定のタイミングで、ケース21の内部空間に配置されている電子部品Cを撮像する。
距離設定部414は、撮像装置30で電子部品Cを撮像するときの電子部品Cと撮像装置30との距離を設定する。本実施形態において、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3のそれぞれだけ離れているときにおいて、電子部品Cが撮像装置30に撮像される。距離設定部414は、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。
ノズル10で保持された電子部品Cが基板Pに実装される前に、そのノズル10で保持された電子部品Cが撮像装置30で撮像される。制御部4は、Z軸方向において異なる3つの位置のそれぞれに電子部品Cが配置されるように、Z駆動装置113を制御する。撮像装置30は、Z軸方向において異なる3つの位置のそれぞれに配置された電子部品Cを下方から撮像する。
図7は、本実施形態に係る撮像装置30の撮像動作の一例を模式的に示す図である。図7に示すように、電子部品Cの着目部位と撮像装置30とが第1距離H1だけ離れているときに、撮像装置30による電子部品Cの第1の撮像動作が実施される。電子部品Cの着目部位と撮像装置30とが第2距離H2だけ離れているときに、撮像装置30による電子部品Cの第2の撮像動作が実施される。電子部品Cの着目部位と撮像装置30とが第3距離H3だけ離れているときに、撮像装置30による電子部品Cの第3の撮像動作が実施される。
第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3のうち、第1距離H1が最も短く、第1距離H1に次いで第2距離H2が短く、第3距離H3が最も長い。距離設定部414は、電子部品Cと撮像装置30との第1距離H1、第1距離H1よりも長い第2距離H2、及び第2距離H2よりも長い第3距離H3を設定する。
距離設定部414は、電子部品Cの着目部位が撮像装置30の光学系31の焦点FPよりも前側(−Z側)及び後側(+Z側)のそれぞれに配置されるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。
第1距離H1と第2距離H2との差ΔHa、及び第2距離H2と第3距離H3との差ΔHbは、光学系31の被写界深度以上である。距離設定部414は、第1距離H1と第2距離H2との差ΔHaが光学系31の被写界深度以上となり、第2距離H2と第3距離H3との差ΔHbが光学系31の被写界深度以上となるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。光学系31の被写界深度とは、被写体が光学系31の焦点又はその近傍に配置され、被写体の画像データが合焦しているとみなせる被写体と撮像装置30との距離の範囲をいう。光学系31の被写界深度は、例えば光学系31の諸元データから導出される既知データである。
本実施形態において、電子部品Cの着目部位は、電子部品CのリードClの先端部Tである。図7に示す例において、距離設定部414は、第1の撮像動作及び第2の撮像動作においては、リードClの先端部Tが光学系31の焦点FPの前側(−Z側)に配置されるように、第1距離H1及び第2距離H2を設定し、第3の撮像動作においては、リードClの先端部Tが光学系31の焦点FPの後側(+Z側)に配置されるように、第3距離H3を設定する。なお、距離設定部414は、第1の撮像動作においては、リードClの先端部Tが光学系31の前側に配置されるように、第1距離H1を設定し、第2の撮像動作及び第3の撮像動作においては、リードClの先端部Tが光学系31の後側に配置されるように、第2距離H2及び第3距離H3を設定してもよい。
Z軸方向における光学系31の焦点FPの位置は、例えば光学系31の諸元データから導出される既知データである。また、Z軸方向におけるノズル10の先端部の位置は、Z駆動装置113の駆動量に基づいて検出される。なお、Z軸方向におけるノズル10の先端部の位置を検出する位置センサが設けられ、その位置センサによってZ軸方向におけるノズル10の先端部の位置が検出されてもよい。また、電子部品CのリードClの長さLは、部品データ記憶部423に記憶されている部品データから導出される。したがって、距離設定部414は、Z軸方向におけるノズル10の先端部の位置と、そのノズル10に保持されている電子部品Cの部品データとに基づいて、Z軸方向におけるリードCbの先端部Tの位置を算出することができる。距離設定部414は、光学系31の焦点FPの位置と電子部品Cの部品データとに基づいて、第1の撮像動作、第2の撮像動作、及び第3の撮像動作のうち、1つの撮像動作においてリードClの先端部Tが焦点FP付近に配置され、2つの撮像動作においてリードClの先端部Tが焦点FPよりも前側及び後側のそれぞれに配置されるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定することができる。
図7に示すように、本実施形態において、第2距離H2は、Z軸方向におけるリードClの先端部Tが焦点FPに配置される距離である。第1距離H1は、第2距離H2からリードClの長さLだけ撮像装置30に近付いた距離である。第3距離L3は、第2距離L2からリードClの長さLだけ撮像装置30から離れた距離である。
図6において、画像処理部5は、撮像装置30で取得された電子部品Cの画像データを画像処理する。撮像装置30で取得された電子部品Cの画像データは、コンピュータシステム40に出力される。
画像処理部5は、電子部品Cの画像データを画像処理して、電子部品Cの全焦点画像を生成する。制御部4は、画像処理部5で生成された電子部品Cの全焦点画像に基づいて、光学系31の光軸AXと直交するXY平面内における電子部品Cの位置を調整して、電子部品Cを基板Pに実装する。制御部4は、電子部品Cの全焦点画像に基づいて、XY平面内における電子部品CのリードClの先端部の位置を算出して、リードClが基板Pの孔に挿入されるように、実装ヘッド移動装置107を制御して、ノズル10に保持されている電子部品CのXY平面内における位置を調整する。
画像処理部5は、撮像装置30で撮像された電子部品Cの画像データを取得する画像データ取得部511と、画像データのそれぞれの画素におけるコントラストを算出するコントラスト算出部512と、コントラストの平均変化率を算出する変化率算出部513と、コントラスト及び平均変化率に基づいて、電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを算出する測距処理部514と、算出された合焦点位置HFに基づいて電子部品Cの全焦点画像を生成する全焦点画像生成部515と、XY平面内における電子部品Cの着目部位の位置を算出する位置算出部516と、を有する。
記憶装置42は、測距処理部514で算出された合焦点位置HFを記憶する合焦点位置記憶部521と、全焦点画像生成部515で生成された全焦点画像を記憶する全焦点画像記憶部522とを有する。
画像データ取得部511は、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3だけ離れているときのそれぞれにおいて撮像装置30で撮像された電子部品Cの第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データを取得する。第1画像データは、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの画像データである。第2画像データは、電子部品Cと撮像装置30とが第2距離H2だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの画像データである。第3画像データは、電子部品Cと撮像装置30とが第3距離H3だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの画像データである。
画像データ取得部511に取得される画像データは、撮像装置30から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換することによって生成される。画像データは、複数の画素を含む。画像データ取得部511に取得される画像データは、複数の画素のそれぞれについて検出された輝度値を示す。
コントラスト算出部512は、第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データの電子部品Cの着目部位を含む同一の着目画素のそれぞれの第1コントラスト、第2コントラスト、及び第3コントラストを算出する。第1コントラストは、第1画像データの電子部品Cの着目部位を含む着目画素のコントラストである。第2コントラストは、第2画像データの電子部品Cの着目部位を含む着目画素のコントラストである。第3コントラストは、第3画像データの電子部品Cの着目部位を含む着目画素のコントラストである。
図8は、本実施形態に係るコントラストの算出方法を説明するための模式図である。コントラストの算出対象である着目画素のXY平面内における座標値を(i,j)とし、着目画素(i,j)の輝度値をI(i,j)とし、着目画素(i,j)から+X方向に距離dxだけ離れた画素の輝度値をI(i+dx,j)とし、着目画素(i,j)から−X方向に距離dxだけ離れた画素の輝度値をI(i−dx,j)とし、着目画素(i,j)から+Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i,j+dy)とし、着目画素(i,j)から−Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i,j−dy)とし、着目画素(i,j)から+X方向に距離dxだけ離れ+Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i+dx,j+dy)とし、着目画素(i,j)から+X方向に距離dxだけ離れ−Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i+dx,j−dy)とし、着目画素(i,j)から−X方向に距離dxだけ離れ−Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i−dx,j−dy)とし、着目画素(i,j)から−X方向に距離dxだけ離れ+Y方向に距離dyだけ離れた画素の輝度値をI(i−dx,j+dy)としたとき、着目画素(i,j)のコントラストLm(i,j)は、(1)式に基づいて算出される。
すなわち、(1)式に示すように、コントラスト算出部512は、着目画素(i,j)の周囲の8つの画素の輝度値のそれぞれと着目画素の輝度値との差分の総和を、着目画素(i,j)におけるコントラストLm(i,j)として算出する。
なお、距離dx及び距離dyは予め定められた整数であり、一例として、1個の画素の大きさでもよいし、10個の画素の大きさでもよい。
なお、着目画素(i,j)におけるコントラストLm(i,j)の算出方法は、(1)式に基づかなくてもよい。
着目画素(i,j)におけるコントラストLm(i,j)が算出された後、コントラスト算出部512は、画像データにおける全画素について、コントラストLm(i,j)に基づいて、(2)式に従って平滑化を実施する。
図9は、本実施形態に係るコントラストの平滑化を説明するための模式図である。図9に示すように、着目画素についてコントラストの平滑化を実施する場合、コントラスト算出部512は、着目画素を中心とする加算領域の全画素のコントラストの値を平均化することによって、コントラストを平滑化する。図9に示す例において、加算領域は、一辺が2N+1個の正方形の領域である。なお、Nは予め定められた整数であり、例えば解像度に応じて適宜選択される。
コントラスト算出部512は、第1画像データの全ての画素のそれぞれについて、コントラストLの算出及び平滑化を実施する。本実施形態において、(1)式に基づいてコントラストLmを算出する処理は、1次フィルタ処理に相当し、(2)式に基づいてコントラストLmを平滑化する処理は、2次フィルタ処理に相当する。また、コントラスト算出部512は、第2画像データの全ての画素のそれぞれについて、コントラストLの算出及び平滑化を実施する。また、コントラスト算出部512は、第3画像データの全ての画素のそれぞれについて、コントラストLの算出及び平滑化を実施する。
以上により、第1画像データの全ての画素、第2画像データの全ての画素、及び第3画像データの全ての画素のそれぞれについて、平滑化されたコントラスト値(2次フィルタ値)が算出される。
図10は、本実施形態に係る電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を模式的に示す図である。電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第1画像データと、電子部品Cと撮像装置30とが第2距離H2だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第2画像データと、電子部品Cと撮像装置30とが第3距離H3だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第3画像データとが取得される。
第1コントラストLm1は、第1画像データの着目画素のコントラストである。第2コントラストLm2は、第2画像データの着目画素のコントラストである。第3コントラストLm2は、第3画像データの着目画素のコントラストである。
着目画素における電子部品Cの着目部位が合焦点位置HFに近いほど、コントラストは高い値を示す。合焦点位置HFとは、電子部品Cの着目部位が光学系31の焦点FPと合致する位置をいう。
変化率算出部513は、電子部品Cと撮像装置30との距離に対する第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第1変化率を算出する。また、変化率算出部513は、電子部品Cと撮像装置30との距離に対する第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第2変化率を算出する。
図11は、本実施形態に係る電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を示すダイアグラムである。図11は、図10の一部を抽出した図に相当する。図11に示すダイアグラムにおいて、横軸は、電子部品Cと撮像装置30との距離を示し、縦軸は、電子部品Cの着目部位を含む着目画素におけるコントラストを示す。
本実施形態においては、同一の着目画素についての第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3に基づいて、その着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFが算出される。
図11に示すように、電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を示すダイアグラムが規定される。ダイアグラムにおいて、第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3がプロットされる。第1コントラストLm1は、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第1画像データの着目画素のコントラストである。第2コントラストLm2は、電子部品Cと撮像装置30とが第2距離H2だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第2画像データの着目画素のコントラストである。第3コントラストLm3は、電子部品Cと撮像装置30とが第3距離H3だけ離れているときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第3画像データの着目画素のコントラストである。
変化率算出部513は、距離に対する第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第1変化率を算出する。変化率算出部513は、ダイアグラムにおいて第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とを通るラインDaを算出する。ラインDaの傾きは、第1変化率を示す。
また、変化率算出部513は、距離に対する第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第2変化率を算出する。変化率算出部513は、ダイアグラムにおいて第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とを通るラインDbを算出する。ラインDbの傾きは、第2変化率を示す。
測距処理部514は、第1変化率が第2変化率よりも大きいときに、第1変化率と第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とで規定される第1比例データと、第1変化率と第3コントラストLm3とで規定される第2比例データとに基づいて、着目画素における合焦点位置HFを算出する。
一方、測距処理部514は、第2変化率が第1変化率よりも大きいときに、第2変化率と第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とで規定される第3比例データと、第2変化率と第1コントラストLm1とで規定される第4比例データとに基づいて、着目画素における合焦点位置HFを算出する。
コントラストの変化率とは、電子部品Cと撮像装置30との距離に対する着目画素のコントラストの変化量をいう。コントラストの変化率が大きいことは、電子部品Cと撮像装置30との距離に対する着目画素のコントラストの変化量が大きいことを意味し、ダイアグラムにおけるラインの傾きが大きいことを意味する。コントラストの変化率が小さいことは、電子部品Cと撮像装置30との距離に対する着目画素のコントラストの変化量が小さいことを意味し、ダイアグラムにおけるラインの傾きが小さいことを意味する。
図11に示す例においては、第1変化率が第2変化率よりも大きい。すなわち、ラインDaの傾きがラインDbの傾きよりも大きい。測距処理部514は、第1変化率と第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とで規定される第1比例データと、第1変化率と第3コントラストLm3とで規定される第2比例データとに基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを算出する。
図12は、本実施形態に係る着目画素における合焦点位置HFの算出方法を説明するためのダイアグラムである。図12に示すダイアグラムにおいて、横軸は、電子部品Cと撮像装置30との距離を示し、縦軸は、電子部品Cの着目部位を含む着目画素におけるコントラストを示す。図12に示すように、第1変化率が第2変化率よりも大きいとき、ラインDaが採用され、ラインDbが排斥される。以下の説明においては、採用されたラインDaを適宜、第1ラインD1、と称する。
第1比例データは、ダイアグラムにおいて、第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とを通る第1ラインD1を含む。第1ラインD1の傾きは、正の第1変化率を示す。
第2比例データは、ダイアグラムにおいて、コントラストを示す縦軸と平行な仮想線を基準として第1ラインD1と線対称であり第3コントラストLm3を通る第2ラインD2を含む。第2ラインD2の傾きは、負の第1変化率を示す。
すなわち、ダイアグラムにおいて、第1ラインD1は、プロットされた第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とを通り、正の第1変化率の傾きがあるラインである。第2ラインD2は、プロットされた第3コントラストLm3を通り、負の第1変化率の傾きがあるラインである。
測距処理部514は、第1ラインD1と第2ラインD2とに基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを算出する。合焦点位置HFは、前記第1ラインD1と第2ラインD2との交点における撮像装置30からの距離である。
本実施形態においては、少なくとも着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFが算出される。電子部品Cの着目部位は、着目画素に含まれる。電子部品Cの着目部位を含む着目画素における合焦点位置HFが算出される。
本実施形態において、電子部品Cの着目部位は、電子部品CのリードClの先端部Tを含む。測距処理部514は、着目画素におけるリードClの先端部Tの合焦点位置HFを算出する。算出されたリードClの先端部Tの合焦点位置HFは、合焦点位置記憶部521に記憶される。
このように、3つの画像データ(第1画像データ、第2画像データ、第3画像データ)が取得されるだけで、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを短時間で簡単に算出することができる。
本実施形態においては、着目画素におけるリードClの先端部Tの合焦点位置HFのみならず、電子部品Cの複数の部位のそれぞれを含む複数の画素における合焦点位置が算出される。複数の画素のそれぞれにおける電子部品Cの複数の部位の合焦点位置は、合焦点位置記憶部521に記憶される。
なお、図11及び図12を参照して説明した例は、第1変化率が第2変化率よりも大きいときの合焦点位置HFを算出する例である。図13及び図14を参照して、第2変化率が第1変化率よりも大きいときの合焦点位置HFを算出する例について説明する。
図13は、本実施形態に係る電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を示すダイアグラムである。図13に示すダイアグラムにおいて、横軸は、電子部品Cと撮像装置30との距離を示し、縦軸は、電子部品Cの着目部位を含む着目画素におけるコントラストを示す。図13に示すように、電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を示すダイアグラムが規定される。ダイアグラムにおいて、第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3がプロットされる。
変化率算出部513は、距離に対する第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第1変化率を算出する。変化率算出部513は、ダイアグラムにおいて第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とを通るラインDaを算出する。ラインDaの傾きは、第1変化率を示す。
また、変化率算出部513は、距離に対する第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第2変化率を算出する。変化率算出部513は、ダイアグラムにおいて第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とを通るラインDbを算出する。ラインDbの傾きは、第2変化率を示す。
図13に示す例においては、第2変化率が第1変化率よりも大きい。すなわち、ラインDbの傾きがラインDaの傾きよりも大きい。測距処理部514は、第2変化率と第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とで規定される第3比例データと、第2変化率と第1コントラストLm1とで規定される第4比例データとに基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを算出する。
図14は、本実施形態に係る着目画素における合焦点位置HFの算出方法を説明するためのダイアグラムである。図14に示すダイアグラムにおいて、横軸は、電子部品Cと撮像装置30との距離を示し、縦軸は、電子部品Cの着目部位を含む着目画素におけるコントラストを示す。図14に示すように、第2変化率が第1変化率よりも大きいとき、ラインDbが採用され、ラインDaが排斥される。以下の説明においては、採用されたラインDbを適宜、第3ラインD3、と称する。
第3比例データは、ダイアグラムにおいて、第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とを通る第3ラインD3を含む。第3ラインD3の傾きは、負の第2変化率を示す。
第4比例データは、ダイアグラムにおいて、コントラストを示す縦軸と平行な仮想線を基準として第3ラインD3と線対称であり第1コントラストLm1を通る第4ラインD4を含む。第4ラインD4の傾きは、正の第2変化率を示す。
すなわち、ダイアグラムにおいて、第3ラインD3は、プロットされた第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とを通り、負の第2変化率の傾きがあるラインである。第4ラインD4は、プロットされた第1コントラストLm1を通り、正の第2変化率の傾きがあるラインである。
測距処理部514は、第3ラインD3と第4ラインD4とに基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを算出する。合焦点位置HFは、前記第3ラインD3と第4ラインD4との交点における撮像装置30からの距離である。
全焦点画像生成部515は、電子部品Cの複数の部位のそれぞれを含む複数の画素における合焦点位置に基づいて、全焦点画像を生成する。全焦点画像生成部515は、合焦点位置記憶部521に記憶されている複数の画素のそれぞれにおける合焦点位置に基づいて、全焦点画像を生成する。これにより、複数の画素のそれぞれについて焦点が合っている全焦点画像が生成される。生成された全焦点画像は、全焦点画像記憶部522に記憶される。
位置算出部516は、合焦点位置に配置された電子部品Cの着目部位に基づいて、光学系31の光軸AXと直交するXY平面内における電子部品Cの着目部位の位置を算出する。位置算出部516は、合焦点位置HFに配置されたリードClの先端部Tに基づいて、XY平面内におけるリードClの先端部Tの位置を算出する。
位置算出部516は、全焦点画像記憶部522に記憶されている電子部品Cの全焦点画像を参照して、XY平面内におけるリードClの先端部Tの位置を算出する。
[電子部品実装方法]
図15は、本実施形態に係る電子部品実装方法の一例を示すフローチャートである。距離設定部414は、電子部品CのリードClの先端部Tが撮像装置30の光学系31の焦点FPよりも前側及び後側のそれぞれに配置される電子部品Cと撮像装置30との第1距離H1、第1距離H1よりも長い第2距離H2、及び第2距離H2よりも長い第3距離H3を設定する(ステップS10)。
距離設定部414は、既知データである光学系31の焦点FPの位置と、電子部品Cの部品データとに基づいて、ノズル10に保持された電子部品CのリードClの先端部Tが、第1の撮像動作及び第2の撮像動作において、光学系31の焦点FPよりも前側に配置され、第3の撮像動作において、光学系31の焦点FPよりも後側に配置されるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。
また、距離設定部414は、第1距離H1と第2距離H2との差ΔHa、及び第2距離H2と第3距離H3との差ΔHbのそれぞれが、既知データである光学系31の被写界深度以上になるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。
基板Pに実装される電子部品Cが部品供給位置PJaに供給される。実装制御部411は、実装ヘッド移動装置107及びノズル移動装置112を制御して、ノズル10を部品供給位置PJaに移動する。実装制御部411は、部品供給位置PJaに供給された電子部品Cをノズル10に保持させる。
実装制御部411は、実装ヘッド移動装置107及びノズル移動装置112を制御して、ノズル10に保持された電子部品Cを撮像装置30の光学系31と対向する位置に移動する。照明制御部412は、照明装置20で電子部品Cを照明する。
実装制御部411は、ノズル移動装置112を制御して、電子部品Cを保持したノズル10をZ軸方向に移動する。実装制御部411は、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3のそれぞれだけ離れた状態になるように、電子部品Cを保持したノズル10をZ軸方向に移動する。
撮像制御部413は、電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3のそれぞれだけ離れているときにおいて、撮像装置30で電子部品Cを撮像させる。電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1のときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第1画像データ、電子部品Cと撮像装置30とが第2距離H2のときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第2画像データ、及び電子部品Cと撮像装置30とが第3距離H3のときに撮像装置30で撮像された電子部品Cの第3画像データは、画像処理部5に出力される。画像データ取得部511は、電子部品Cの第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データを取得する(ステップS20)。
コントラスト算出部512は、第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データの電子部品Cの着目部位を含む同一の着目画素のそれぞれの第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3を算出する(ステップS30)。
着目画素は、少なくともリードClの先端部Tが撮像された画素である。コントラスト算出部512は、第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データのそれぞれの全ての画素について、同一の画素の第1コントラスト、第2コントラスト、及び第3コントラストを算出する。
変化率算出部513は、距離に対する第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第1変化率、及び第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との間の着目画素のコントラストの平均変化率を示す第2変化率を算出する(ステップS40)。
図11及び図13を参照して説明したように、電子部品Cと撮像装置30との距離と着目画素のコントラストとの関係を示すダイアグラムが規定される。変化率算出部513は、第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とに基づいて、ラインDaを算出する。変化率算出部513は、第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とに基づいて、ラインDbを算出する。ラインDaの傾きが第1変化率を示す。ラインDbの傾きが第2変化率を示す。
変化率算出部513は、第1変化率が第2変化率よりも大きいか否かを判定する(ステップS50)。
ステップS50において、第1変化率が第2変化率よりも大きいと判定されたとき(ステップS50:Yes)、測距処理部514は、第1変化率と第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とで規定される第1比例データと、第1変化率と第3コントラストLm3とで規定される第2比例データとに基づいて、着目画素におけるリードClの先端部Tの合焦点位置HFを算出する(ステップS60)。
図12を参照して説明したように、本実施形態において、第1比例データは、ダイアグラムにおいて第1コントラストLm1と第2コントラストLm2とを通る第1ラインD1で示され、第2比例データは、ダイアグラムにおいて第1ラインD1と線対称であり第3コントラストLm3を通る第2ラインD2で示される。合焦点位置HFは、第1ラインD1と第2ラインD2との交点における撮像装置30からの距離によって示される。
ステップS50において、第2変化率が第1変化率よりも大きいと判定されたとき(ステップS50:No)、測距処理部514は、第2変化率と第2コントラストLm2と第3コントラストLm3とで規定される第3比例データと、第2変化率と第1コントラストLm1とで規定される第4比例データとに基づいて、リードClの先端部Tを含む着目画素における合焦点位置HFを算出する(ステップS70)。
図14を参照して説明したように、第3比例データは、ダイアグラムにおいて第3コントラストLm2と第3コントラストLm3とを通る第3ラインD3で示され、第4比例データは、ダイアグラムにおいて第3ラインD3と線対称であり第1コントラストLm1を通る第4ラインD4で示される。合焦点位置HFは、第3ラインD3と第4ラインD4との交点における撮像装置30からの距離によって示される。
測距処理部514は、第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データのそれぞれの全ての画素について、合焦点位置を算出する。
全焦点画像生成部515は、全ての画素のそれぞれについて算出された合焦点位置に基づいて、電子部品Cの合焦点画像を生成する(ステップS80)。
位置算出部516は、電子部品Cの全焦点画像を参照して、XY平面内におけるリードClの先端部Tの位置を算出する(ステップS90)。
XY平面内におけるリードClの先端部Tの位置を示す位置データは、位置算出部516から実装制御部411に出力される。実装制御部411は、電子部品Cの全焦点画像から算出されたXY平面内におけるリードClの先端部Tの位置に基づいて、リードClが基板Pの孔に挿入されるように、実装ヘッド移動装置107を制御して、ノズル10に保持されている電子部品CのXY平面内における位置を調整する。実装制御部411は、実装ヘッド移動装置107を制御して、XY平面内における電子部品Cの位置を調整して、電子部品CのリードClと基板Pの孔との相対位置を調整しながら、ノズル移動装置112を制御して、ノズル10に保持されている電子部品Cを基板Pに実装する(ステップS100)。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、電子部品Cの着目部位が撮像装置30の光学系31の焦点FPよりも前側及び後側のそれぞれに配置される電子部品Cと撮像装置30との第1距離H1、第1距離H1よりも長い第2距離H2、及び第2距離H3よりも長い第3距離H3が設定される。電子部品Cと撮像装置30とが第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3のそれぞれだけ離れているときにおいて、撮像装置30により電子部品Cの第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データが取得される。第1画像データ、第2画像データ、及び第3画像データの電子部品Cの着目部位を含む同一の着目画素のそれぞれの第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3が算出されることにより、それら第1コントラストLm1、第2コントラストLm2、及び第3コントラストLm3に基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置が算出される。
このように、本実施形態においては、3つの画像データ(第1画像データ、第2画像データ、第3画像データ)が取得されるだけで、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを短時間で簡単に算出することができる。取得する画像データの数が3つでよいため、電子部品を撮像するのに要する時間、及び複数の画像データに基づいて合焦点位置HFを算出するのに要する時間を短くすることができる。したがって、電子部品実装装置100のタクトタイムを低減することができる。
図16は、比較例に係る合焦点位置の算出方法を説明するためのダイアグラムである。図16に示す例においては、電子部品Cと撮像装置30との距離が多数段階で変更された状態のそれぞれにおいて、電子部品Cの画像データが取得され、それら多数の画像データの同一の着目画素のそれぞれのコントラストが算出される。図16に示す例においては、電子部品Cと撮像装置30との距離が17段階で変更され、17個の画像データの同一の着目画素のそれぞれのコントラストが算出される。被写体が光学系31の焦点FPに近い位置に配置されるほど、すなわち合焦点位置HPに近いほど、コントラストは高い値を示す。17個のコントラストが平滑化されることによってコントラスト曲線が得られる。コントラスト曲線においてコントラストの最大値を示す電子部品Cと撮像装置30との距離に基づいて、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFが算出される。図16に示す例においては、取得される画像データの数が多いほどコントラスト曲線が滑らかになり、そのコントラスト曲線に基づいて合焦点位置HFが精度良く算出される。しかし、取得する画像データの数が多くなると、電子部品Cを撮像するのに要する時間、及び複数の画像データに基づいて合焦点位置HFを算出するのに要する時間が長くなる。その結果、電子部品実装装置100のタクトタイムの長期化がもたらされる。
本実施形態によれば、3つの画像データ(第1画像データ、第2画像データ、第3画像データ)が取得されるだけで、着目画素における電子部品Cの着目部位の合焦点位置HFを短時間で簡単に算出することができる。したがって、電子部品実装装置100のタクトタイムを低減することができる。
また、本実施形態によれば、合焦点位置HFに配置された電子部品Cの着目部位に基づいて、XY平面内における電子部品Cの位置が算出される。これにより、XY平面内における電子部品Cの位置に基づいて、電子部品Cとその電子部品Cが実装される基板PとのXY平面内における相対位置を精度良く調整することができる。
また、本実施形態によれば、第1距離H1と第2距離H2との差ΔHaは、光学系31の被写界深度以上である。これにより、第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との差異が明確になる。また、第2距離H2と第3距離H3との差ΔHbは、光学系31の被写界深度以上である。これにより、第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との差異が明確になる。第1コントラストLm1と第2コントラストLm2との差異が明確になることにより、ラインDaの傾きで示されるコントラストの第1変化率が明確に算出される。また、第2コントラストLm2と第3コントラストLm3との差異が明確になることにより、ラインDbの傾きで示されるコントラストの第2変化率が明確に算出される。第1変化率及び第2変化率が明確に算出されることにより、合焦点位置HFは精度良く算出される。
また、本実施形態によれば、距離設定部414は、光学系31の焦点FPの位置と既知データである電子部品Cの外形を示す部品データとに基づいて、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定する。これにより、距離設定部414は、第1の撮像動作、第2の撮像動作、及び第3の撮像動作のうち、1つの撮像動作において電子部品Cの着目部位が焦点FPよりも前側及び後側の一方に配置され、2つの撮像動作において電子部品Cの着目部位が焦点FPよりも前側及び後側の他方に配置されるように、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定することができる。
また、本実施形態によれば、電子部品Cは、ボディCbと、ボディCbから突出するリードClとを有し、電子部品Cの着目部位は、リードClの先端部Tを含む。これにより、全焦点画像に基づいて、リードClの先端部Tの位置が精度良く検出される。そのため、挿入型電子部品において、電子部品CのリードClと基板Pの孔とを精度良く位置決めして、電子部品CのリードClと基板Pの孔に円滑に挿入することができる。
また、本実施形態によれば、第2距離H2は、リードClの先端部Tが焦点FPに配置される距離である。第1距離H1は、第2距離H2からリードClの長さLだけ撮像装置30に近付いた距離である。第3距離H3は、第2距離H2からリードClの長さLだけ撮像装置30から離れた距離である。これにより、光学系31の焦点FPの位置を基準として、第1距離H1、第2距離H2、及び第3距離H3を設定することができる。また、電子部品Cと撮像装置30との距離が第1距離H1に設定されることにより、ボディClとリードClとの境界であるリードClの基端部の近傍を焦点FPに配置した状態で、撮像装置30で電子部品Cを撮像することができる。また、電子部品Cと撮像装置30との距離が第3距離H3に設定されることにより、リードClの先端部Tの近傍を焦点FPに配置した状態で、撮像装置30で電子部品Cを撮像することができる。
なお、上述の実施形態においては、Z駆動装置113の作動により電子部品Cを保持したノズル10がZ軸方向に移動することによって、電子部品Cと撮像装置30との距離が調整されることとした。撮像装置30をZ軸方向に移動可能な撮像装置移動装置が設けられ、撮像装置移動装置の作動により、電子部品Cと撮像装置30との距離が調整されてもよい。また、電子部品C及び撮像装置30の両方がZ軸方向に移動することによって、電子部品Cと撮像装置30との距離が調整されてもよい。