以下に、本願に係る液供給装置およびリーク検知方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る液供給装置およびリーク検知方法が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(第1の実施形態)
〔1.リーク検知処理の一例〕
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、第1の実施形態に係るリーク検知処理の一例について説明する。図1Aおよび図1Bは、第1の実施形態に係るリーク検知処理の一例を示す図である。図1Aには、開閉弁102からの処理液のリークが発生していない正常状態を示している。図1Bには、開閉弁102からの処理液のリークが発生している異常状態を示している。
図1Aおよび図1Bに示す第1の実施形態に係る液供給装置100は、処理液を流通させる流路101と、流路101を開閉する開閉弁102とを備える。開閉弁102は、弁体121を駆動することによって流路101の開閉を行う。弁体121は、絶縁性を有する。
ここで、流路101を流通する処理液には異物が含まれている場合がある。このような異物が弁体121に異物が付着していると、弁体121が閉じた際に、弁体121が異物を噛み込むことで、弁体121に傷が生じることがある。なお、弁体121は、耐薬品性等の観点から樹脂で形成されることが多く、異物の噛み込みによる傷が生じ易い。
弁体121に傷が生じると、弁体121に僅かな隙間が生じ、かかる隙間から処理液がリークするおそれがある。リークした処理液は、たとえばノズルから液滴となって落下して基板に付着し、基板にパーティクを発生させるおそれがある。このため、このような事態が生じる前に、開閉弁102からの処理液のリークを検知することが望ましい。
しかしながら、弁体121の傷によって生じる隙間は、たとえば直径が10〜50μm程度と小さく、かかる隙間からリークする処理液は微少である。したがって、このような微少なリークを流量計により検知することは困難である。
ここで、本願発明者は、処理液のリークが発生していない正常状態(図1A)と処理液のリークが発生している異常状態(図1B)とで、開閉弁102の一次側(上流側)と二次側(下流側)との間における処理液の電気的な接続状態が変化することを発見した。
具体的には、図1Aに示すように、開閉弁102の一次側と二次側とは、絶縁性の弁体121によって遮断されている。このため、正常状態においては、開閉弁102の一次側と二次側との間は電気的に絶縁された状態となっている。
一方、図1Bに示すように、異常状態において、開閉弁102の一次側と二次側とは、弁体121に生じた隙間を介して繋がった状態となっている。このため、異常状態においては、開閉弁102の一次側と二次側とが電気的に接続された状態となる。
本願発明者は、開閉弁102の一次側および二次側を処理液で満たした状態で、開閉弁102の一次側および二次側間の処理液の抵抗値を測定する実験を、リークを生じさせない正常な弁体121と、傷による微少なリークを生じさせる異常な弁体121のそれぞれについて行った。その結果を図2に示す。図2は、リークが発生していない正常状態とリークが発生している異常状態とにおける開閉弁102の一次側および二次側間の処理液の抵抗値の比較結果を示すグラフである。なお、図2中、折れ線グラフは、弁体121を開いた状態で抵抗値を測定した結果を示し、棒グラフは、弁体121を閉じた状態で抵抗値を測定した結果を示している。
図2の折れ線グラフに示すように、弁体121を開いた状態で測定を行った場合、正常状態と異常状態との間で処理液の抵抗値に大きな差異は見られなかった。これに対し、図2の棒グラフに示すように、弁体121を閉じた状態で測定を行ったところ、異常状態における処理液の抵抗値が、正常状態における処理液の抵抗値よりも3桁近く低くなり、弁体121の開時における抵抗値と同程度となることがわかった。
このように、弁体121に隙間のない正常な開閉弁102と、弁体121に隙間がある異常な開閉弁102とでは、開閉弁102の一次側および二次側間における処理液の電気的な接続状態が異なる。
そこで、第1の実施形態に係るリーク検知処理では、開閉弁102の一次側および二次側間における処理液の電気的な接続状態に基づき、開閉弁102からの処理液のリークを検知することとした。
図3は、第1の実施形態に係る液供給装置100の概略構成を示す図である。図3に示すように、液供給装置100は、一次側導電部104Pと、二次側導電部104Sと、配線部105と、測定部107と、電源108と、制御部18とをさらに備える。
一次側導電部104Pは、流路101のうち開閉弁102の一次側(上流側)に設けられ、二次側導電部104Sは、流路101のうち開閉弁102の二次側(下流側)に設けられる。一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sは、流路101内の処理液に接するように設けられる。
配線部105は、一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sを含む直列回路を形成する。電源108は、配線部105に設けられる。測定部107は、配線部105に設けられ、配線部105によって形成される回路に流れる電流を測定する。あるいは、測定部107は、配線部105によって形成される回路の電圧または抵抗を測定してもよい。
制御部18は、流路101が弁体121によって閉じられた状態において測定部107によって測定された電流、電圧または抵抗の値と閾値との比較結果に基づき、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。
たとえば、制御部18は、測定部107によって測定された電流の値が閾値を超えた場合に、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。また、制御部18は、測定部107によって測定された抵抗の値が閾値以下である場合に、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。
このように、液供給装置100は、開閉弁102の一次側および二次側間における処理液の電気的な接続状態に基づき、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。これにより、たとえば流量計を用いて処理液のリークを検知する場合と比較して、弁体121の傷による微少なリークを精度良く検知することができる。
以下、このようなリーク検知処理を行う液供給装置100および液供給装置100を含む基板処理システム1について、詳細に説明する。
〔2.基板処理システムの構成〕
次に、第1の実施形態に係る基板処理システム1の構成について図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図4に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
〔3.処理ユニットの構成〕
次に、第1の実施形態に係る処理ユニット16の構成について図5を参照して説明する。図5は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図5に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、たとえば、ノズル41と、ノズル41を水平に支持する図示しないノズルアームと、ノズルアームを旋回させる図示しない移動機構とを備える。ノズル41は、液供給装置100に接続され、基板保持機構30の保持部31に保持されたウェハWの上方からウェハWに処理液を吐出する。
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
処理ユニット16は上記のように構成されており、保持部31に保持されて回転するウェハWに対し、ウェハWの上方に配置させたノズル41から処理液を供給することにより、ウェハWを処理する。
〔4.液供給装置の構成〕
次に、第1の実施形態に係る液供給装置100の構成について図6を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る液供給装置100の具体的な構成の一例を示す図である。
図6に示すように、液供給装置100は、流路101と、第1〜第3開閉弁102a〜102cとを備える。
流路101は、管状の部材であり、たとえばフッ素樹脂などの耐薬品性の高い材料で形成される。流路101は、絶縁性を有する。
流路101は、第1流路101aと、第2流路101bと、第3流路101cとを備える。第1流路101aは、一端部が処理流体供給部40のノズル41に接続され、他端部が第1処理液供給源103aに接続される。第2流路101bは、一端部が第1流路101aの中途部に接続され、他端部が第2処理液供給源103bに接続される。第3流路101cは、第2流路101bよりも下流側において第1流路101aに接続される。
第1〜第3流路101a〜101cのうち、第1流路101aおよび第2流路101bは、それぞれ異なる種類の処理液をノズル41へ供給するための流路である。一方、第3流路101cは、第1流路101aに残留する処理液を排出するための流路である。
具体的には、第1流路101aは、第3流路101cの接続位置よりも下流側に上昇部分を有している。第3流路101cに設けられた後述する第3開閉弁102cが開くと、第1流路101aに残留する処理液が自重により第3流路101cに引き込まれて第3流路101cから外部へ排出される。これにより、ノズル41からの処理液の液垂れを防止することができる。
第1〜第3開閉弁102a〜102cは、たとえばエアオペレートバルブである。エアオペレートバルブは、空気圧を用いて弁体121(図1A参照)を駆動することによって流路の開閉を行う開閉弁である。弁体121の駆動は、制御部18によって制御される。
なお、第1〜第3開閉弁102a〜102cは、ソレノイドを用いて弁体を駆動する電磁弁であってもよい。
第1開閉弁102aは、第1流路101aに設けられて第1流路101aを開閉する。第2開閉弁102bは、第2流路101bに設けられて第2流路101bを開閉する。第3開閉弁102cは、第3流路101cに設けられて第3流路101cを開閉する。
また、液供給装置100は、第1導電部104aと、第2導電部104bと、第3導電部104cと、第4導電部104dとを備える。第1導電部104aおよび第2導電部104bは、一次側導電部104Pの一例であり、第3導電部104cおよび第4導電部104dは、二次側導電部104Sの一例である。なお、第4導電部104dは、第3開閉弁102cの一次側に設けられた一次側導電部104Pの一例でもある。
ここで、第1〜第4導電部104a〜104dの構成について、第1導電部104aおよび第4導電部104dを例に挙げて図7を参照して説明する。図7は、第1導電部104aおよび第4導電部104dの構成の一例を示す図である。
図7に示すように、第1導電部104aおよび第4導電部104dは、導電性の流路部分である。たとえば、第1導電部104aおよび第4導電部104dは、複数の導電層が長手方向に沿ってストライプ状に形成された樹脂製のチューブであり、樹脂性の継手141を介して絶縁性の第1流路101aと接続される。
ここでは、第1導電部104aおよび第4導電部104dの構成例を示したが、第2導電部104bおよび第3導電部104cも同様の構成を有する。
なお、第1〜第4導電部104a〜104dは、必ずしも導電性の流路部分として構成されることを要しない。たとえば、第1〜第4導電部104a〜104dは、先端部を流路101の内部に配置させたプローブであってもよい。また、導電性の流路部分は、必ずしも導電層を有する樹脂製のチューブであることを要しない。導電性の流路部分は、たとえば、金属製の配管や継手等であってもよい。
図6に示すように、第1導電部104aは、第1流路101aにおける第1開閉弁102aよりも上流側の部分に設けられる。第1導電部104aには、第1配線部105aが接続される。第1配線部105aは、第1スイッチ106aを介してグランドに接続される。
第2導電部104bは、第2流路101bにおける第2開閉弁102bよりも上流側の部分に設けられる。第2導電部104bには、第2配線部105bが接続される。第2配線部105bは、第2スイッチ106bを介してグランドに接続される。
第3導電部104cは、第3流路101cにおける第3開閉弁102cよりも下流側の部分に設けられる。第3導電部104cには、第3配線部105cが接続される。第3配線部105cは、第3スイッチ106cを介してグランドに接続される。
第4導電部104dは、第1流路101aにおける第2流路101bよりも下流側かつ第3流路101cよりも上流側の部分に設けられる。第4導電部104dには、第4配線部105dが接続される。第4配線部105dは、第4スイッチ106dを介してグランドに接続される。
また、第4配線部105dには、第4導電部104dと第4スイッチ106dとの間に、測定部107と電源108とが設けられる。測定部107は、たとえば電流計である。電流計としての測定部107は、たとえばμAレベルの電流を測定可能な電流計である。電源108は、たとえば、500V程度の直流電源である。なお、電源108の正負の向きは、特に限定されない。
また、第4配線部105dには、第4導電部104dと測定部107との間に、第5配線部105eが接続される。第5配線部105eは、第5スイッチ106eを介してグランドに接続される。
なお、第1配線部105aおよび第4配線部105dは、第1導電部104aおよび第4導電部104dを含む回路を形成する配線部105の一例であり、これらのうち第1配線部105aは一次側配線部の一例であって、第4配線部105dは二次側配線部の一例である。また、第2配線部105bおよび第4配線部105dは、第2導電部104bおよび第4導電部104dを含む回路を形成する配線部105の一例であり、これらのうち第2配線部105bは一次側配線部の一例であって、第4配線部105dは二次側配線部の一例である。また、第3配線部105cおよび第4配線部105dは、第4導電部104dおよび第3導電部104cを含む回路を形成する配線部105の一例であり、これらのうち第4配線部105dは一次側配線部の一例であって、第3配線部105cは二次側配線部の一例である。
また、第1スイッチ106aおよび第2スイッチ106bは一次側スイッチの一例であり、第3スイッチ106cおよび第4スイッチ106dは二次側スイッチの一例である。また、第4スイッチ106dは一次側スイッチの一例でもある。
また、第5配線部105eは、開放用配線部の一例であり、第5スイッチ106eは、開放用スイッチの一例である。
なお、耐薬品性を考慮する必要がある場合には、第1〜第5スイッチ106a〜106e、測定部107および電源108を処理液の雰囲気の影響が及ばない場所に設置することも可能である。
〔5.リーク検知処理の手順〕
次に、第1の実施形態に係る液供給装置100により実行されるリーク検知処理の手順について説明する。まず、第1〜第3開閉弁102a〜102cが全て正常である場合の例について図8を参照して説明する。図8は、第1〜第3開閉弁102a〜102cが全て正常である場合におけるリーク検知処理の手順の一例を示す図である。なお、リーク検知処理は、第1〜第3開閉弁102a〜102cを全て閉じた状態で行われる。
図8に示すように、リーク検知処理は、たとえば、処理ユニット16におけるプロセス処理が行われない期間に実行される。なお、これに限らず、リーク検知処理は、プロセス処理に含まれる複数の工程のうち処理液を使用しない工程、たとえば、ウェハWを高速で回転させてウェハW上の処理液を振り切ることによってウェハWを乾燥させる乾燥工程中に実行されてもよい。
制御部18は、リーク検知処理を開始すると、まず、全体検知処理を行う。全体検知処理において、制御部18は、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオンし、第5スイッチ106eをオフする。そして、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたか否かを判定する。
ここで、第1〜第3開閉弁102a〜102cが全て正常である場合、すなわち、弁体121に隙間が生じていない場合、各開閉弁102a〜102cの一次側と二次側とは電気的に絶縁された状態となっている。このため、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオンしても電流は流れず、測定部107によって測定される電流の値は閾値を超えない。この場合、制御部18は、第1〜第3開閉弁102a〜102cの全てにおいて処理液のリークが発生していないと判定する。
このように、制御部18は、第1〜第3開閉弁102a〜102cの弁体121を全て閉じ、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオンした状態で、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えた場合に、第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れかからの処理液のリークを検知する全体検知処理を実行する。これにより、処理液のリークが発生していない場合に、リーク検知処理に要する時間を短縮することができる。
その後、制御部18は、電圧開放のために、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオフし、第5スイッチ106eをオンして、リーク検知処理を終える。このように、電圧開放を行うことで、安全性を高めることができる。また、リーク検知処理を行うごとに、流路101内の処理液が除電されることとなるため、たとえば、帯電した処理液がウェハWに供給されてウェハW上で放電することを未然に防ぐことができる。したがって、プロセス処理を安定して行うことが可能となる。
次に、第1開閉弁102aにおいて処理液のリークが発生している場合におけるリーク検知処理の手順について図9および図10A〜図10Eを参照して説明する。図9は、第1開閉弁102aにおいて処理液のリークが発生している場合におけるリーク検知処理の手順の一例を示す図である。また、図10A〜図10Eは、図9に示すリーク検知処理の動作例を示す図である。
図9に示すように、制御部18は、リーク検知処理を開始すると、まず、全体検知処理を行う。全体検知処理において、制御部18は、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオンし、第5スイッチ106eをオフする(図10A参照)。そして、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたか否かを判定する。
ここで、第1開閉弁102aの弁体121に隙間が生じている場合、第1開閉弁102aの一次側と二次側とが電気的に接続された状態となり、電流が流れることとなる。ただし、第1〜第3スイッチ106a〜106cの全てがオンされているため、この段階では、第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れにおいてリークが発生しているかまでは判別できない。
そこで、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたと判定すると、第1〜第4スイッチ106a〜106dのうち、第1スイッチ106aおよび第2スイッチ106bをオフし、第3スイッチ106cおよび第4スイッチ106dのみがオンされた状態とする(図10B参照)。そして、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたか否かを判定する。
ここでは、第3開閉弁102cの弁体121に隙間はない。このため、第3スイッチ106cと第4スイッチ106dとがオンされても電流は流れず、測定部107によって測定される電流の値は閾値を超えない。したがって、制御部18は、第3開閉弁102cにおいて処理液のリークが発生していない、すなわち、第3開閉弁102cは正常であると判定する。
つづいて、制御部18は、第3スイッチ106cをオフし、第2スイッチ106bをオンすることにより、第2スイッチ106bおよび第4スイッチ106dのみがオンされた状態とする(図10C参照)。そして、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたか否かを判定する。
ここでは、第2開閉弁102bの弁体121に隙間はない。このため、第2スイッチ106bと第4スイッチ106dとがオンされても電流は流れず、測定部107によって測定される電流の値は閾値を超えない。したがって、制御部18は、第2開閉弁102bにおいて処理液のリークが発生していない、すなわち、第2開閉弁102bは正常であると判定する。
つづいて、制御部18は、第2スイッチ106bをオフし、第1スイッチ106aをオンすることにより、第1スイッチ106aおよび第4スイッチ106dのみがオンされた状態とする(図10D参照)。そして、制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えたか否かを判定する。
ここでは、第1開閉弁102aの弁体121に隙間が生じている。このため、第1スイッチ106aと第4スイッチ106dとがオンされると電流が流れて、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超える。したがって、制御部18は、第1開閉弁102aにおいて処理液のリークが発生している、すなわち、第1開閉弁102aは異常であると判定する。
このように、制御部18は、第1〜第3開閉弁102a〜102cの弁体121を全て閉じ、対象とする一の開閉弁(第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れか)の一次側に設けられた一次側スイッチ(第1スイッチ106a,第2スイッチ106bまたは第4スイッチ106c)と二次側スイッチ(第3スイッチ106cまたは第4スイッチ106d)とをオンした状態で、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えた場合に、対象とする一の開閉弁(第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れか)からの処理液のリークを検知する個別検知処理を、対象とする開閉弁(第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れか)を代えて複数回実行する。これにより、液供給装置100が備える第1〜第3開閉弁102a〜102cのうち処理液のリークが発生している開閉弁を特定することができる。
その後、制御部18は、電圧開放のために、第1〜第4スイッチ106a〜106dをオフし、第5スイッチ106eをオンして、リーク検知処理を終える(図10E参照)。また、図9に示すように、第1〜第3開閉弁102a〜102cの何れかにおいて処理液のリークが検知された場合、制御部18は、次のプロセス処理の実行を中止する。これにより、次のプロセス処理において処理液のリークによる不具合が生じることを未然に防ぐことができる。また、制御部18は、処理液のリークが検知された旨の情報を、リークが検知された開閉弁102a〜102cを特定する情報とともに基板処理システム1のディスプレイ等に出力して、開閉弁102a〜102cの交換を促すようにしてもよい。
なお、ここでは、測定部107として電流計を用いて第4配線部105dに流れる電流を測定する場合の例について説明するが、液供給装置100は、測定部107として電圧計を用いてもよい。電圧計を用いる場合、電源108は、電流供給能力の低いものを用いることが好ましい。電源108の電流供給能力が低い場合、配線部105により形成される回路に電流を流すと電圧を保てなくなる。制御部18は、電圧計によって測定された電圧の値の減少量が閾値を超えた場合に、処理液のリークを検知することができる。また、液供給装置100は、測定部107として抵抗計を用いてもよい。この場合、制御部18は、抵抗計によって測定された抵抗の値が閾値以下である場合に、処理液のリークを検知する。なお、抵抗計に電源が内蔵されている場合、電源108は不要である。電圧計および抵抗計は、測定部107の一例である。
また、ここでは、1回のプロセス処理につき、リーク検知処理を1回行う場合の例を示したが、制御部18は、プロセス処理が指定された回数実行された場合にリーク検知処理を行うようにしてもよい。また、制御部18は、指定された時間が到来した場合にリーク検知処理を行うようにしてもよい。
〔6.リーク検知処理以外の処理〕
液供給装置100は、図6に示す構成を利用して、リーク検知処理以外の処理を行ってもよい。
(動作チェック処理)
たとえば、液供給装置100は、図6に示す構成を利用して、第1〜第3開閉弁102a〜102cが制御部18からの指示に従って適切に開くか否かの動作チェックを行うことが可能である。この点について図11Aおよび図11Bを参照して説明する。図11Aおよび図11Bは、第1〜第3開閉弁102a〜102cの動作チェック処理の動作例を示す図である。
なお、図11Aおよび図11Bに示す動作チェック処理は、第1〜第3開閉弁102a〜102cの各弁体121に傷がない、すなわち、第1〜第3開閉弁102a〜102cにおいて処理液のリークが発生しないことを前提としている。
図11Aに示すように、第1開閉弁102aの動作チェックを行う場合、制御部18は、第1開閉弁102aに対して開動作を指示し、第2開閉弁102bおよび第3開閉弁102cに対して閉動作を指示する。また、制御部18は、第1スイッチ106aおよび第4スイッチ106dをオンし、第2スイッチ106bおよび第3スイッチ106cをオフする。
制御部18からの指示によって第1開閉弁102aが正常に開いていれば、第1流路101aの一次側と二次側とが処理液で満たされ且つ電気的に接続された状態となる。この場合、第4配線部105dに電流が流れ、測定部107によって測定される電流の値は閾値を超えることとなる。制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値を超えた場合、第1開閉弁102aは正常に動作すると判定する。
一方、たとえば、第1開閉弁102aにエアを供給するエア配管と第2開閉弁102bにエアを供給するエア配管とが入れ違いになっている場合、図11Bに示すように、第1開閉弁102aを開こうとしたにもかかわらず、第2開閉弁102bが開くこととなる。この場合、第1開閉弁102aの一次側と二次側とは電気的に接続されないため、第4配線部105dに電流は流れず、測定部107によって測定される電流の値は閾値を超えない。制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が閾値以下である場合、第1開閉弁102aは正常に動作しないと判定する。
このように、液供給装置100は、第1スイッチ106aと第4スイッチ106dとをオンした状態で、第1開閉弁102aに対して開動作を指示した場合における測定部107の測定結果に基づき、第1開閉弁102aの動作異常を検出することができる。第2開閉弁102bおよび第3開閉弁102cについても同様である。
(フラッシング完了検出処理)
第1〜第3開閉弁102a〜102cを新品に交換する際、第1〜第3開閉弁102a〜102cを取り外す前に、流路101や第1〜第3開閉弁102a〜102cの内部に残留する処理液をDIW(純水)に置換するフラッシング処理が行われる場合がある。液供給装置100は、第1〜第4導電部104a〜104d、第1〜第4配線部105a〜105d、測定部107および電源108等を用いて、フラッシング処理の完了を検出するフラッシング完了検出処理を行ってもよい。
ここで、フラッシング完了検出処理について図12Aおよび図12Bを参照して説明する。図12Aは、フラッシング完了検出処理の動作例を示す図である。また、図12Bは、フラッシング処理を開始してからフラッシング処理が終了するまでの間における測定部107による電流の測定結果を示すグラフである。
たとえば、第2開閉弁102bを交換する場合、制御部18は、第2開閉弁102bと第3開閉弁102cとを開き、第1開閉弁102aを閉じる。また、制御部18は、第3流路101cの下流側から上流側へ向けてDIWを供給する。第3流路101cに供給されたDIWは、第1流路101a、第2流路101bおよび第2開閉弁102bを通って外部へ排出される。これにより、第1流路101a、第2流路101bおよび第2開閉弁102b内に残留していた処理液がDIWへ置換される。なお、制御部18は、DIWを連続的に供給するものとするが、間欠的に供給するなどして置換効率を高めることとしてもよい。
制御部18は、フラッシング処理の開始後、第2スイッチ106bおよび第4スイッチ106dをオンし、第1スイッチ106aおよび第3スイッチ106cをオフする。すると、図12Bに示すように、測定部107によって測定される電流の値は、処理液からDIWへの置換が進むにつれて徐々に変化(ここでは低下)していく。
制御部18は、測定部107によって測定される電流の値が置換完了閾値以下となった場合に、処理液からDIWへの置換が完了したと判定する。その後、制御部18は、置換が完了したと判定した時点から時間ΔTが経過した場合に、DIWの供給を停止してフラッシング処理を終了する。
このように、制御部18は、弁体121を開いた状態で流路101に純水を供給することによって流路101に残留する処理液を純水に置換するフラッシング処理中において、測定部107によって測定される電流の値が置換完了閾値以下となった場合に、流路101に残留する処理液の純水への置換が完了したと判定する。これにより、液供給装置100によれば、フラッシング処理を適切なタイミングで終了することができる。
なお、制御部18は、処理液からDIWへの置換が完了したと判定した時点でフラッシング処理を終了してもよい。また、制御部18は、フラッシング処理が終了した旨を基板処理システム1の図示しない表示部等に表示することにより、フラッシング処理が終了したことを作業者等に報知してもよい。
(液質チェック処理)
液供給装置100は、測定部107によって測定される電流の値に基づき、流路101を流れる処理液の液質が正常か否かをチェックする液質チェック処理を行ってもよい。液質とは、たとえば処理液の濃度や混合比等のことをいう。
ここで、液質チェック処理について図13を参照して説明する。図13は、液質チェック処理の動作例を示す図である。
たとえば、第2処理液供給源103bから供給される処理液の液質をチェックする場合、図13に示すように、制御部18は、第2開閉弁102bおよび第3開閉弁102cを開き、第1開閉弁102aを閉じる。これにより、第2処理液供給源103bから供給される処理液は、第2流路101b、第1流路101aおよび第3流路101cを通って外部に排出される。
また、制御部18は、第2スイッチ106bおよび第4スイッチ106dをオンし、第1スイッチ106aおよび第3スイッチ106cをオフする。このとき、第2開閉弁102bは開状態であり、第2開閉弁102bの一次側と二次側とは電気的に接続されているため、第4配線部105dに電流が流れることとなる。
ここで、第4配線部105dに流れる電流の値は流路101を流れる処理液の液質によって変化する。そこで、制御部18は、処理液の液質が正常である場合に第4配線部105dに流れる電流の値として予め記憶しておいた値と、測定部107によって測定される電流の値とを比較する。そして、これらの差が閾値を超えた場合、制御部18は、第2処理液供給源103bから供給される処理液の液質が異常であると判定する。
このように、液供給装置100は、測定部107によって測定される電流の値に基づき、流路101を流れる処理液の液質が正常であるか否かを判定することができる。
〔7.変形例〕
上述した第1の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。そこで、以下では、第1の実施形態に係る液供給装置100の変形例について説明する。
(第1の変形例)
図14に示すように、基板処理システム1Aは、複数の液供給装置100Aを備える。各液供給装置100Aは、たとえば、図6に示す液供給装置100から、測定部107、電源108、第4スイッチ106d、第5配線部105eおよび第5スイッチ106eを除外し、第4配線部105dに第6スイッチ106fを設けた構成を有する。なお、図14では、1つの液供給装置100Aの構成のみを示し、他の液供給装置100Aの構成については省略している。
各液供給装置100Aが備える複数の第4配線部105dは、他端部において1つに合流してグランドに接続される。複数の第4配線部105dの合流部とグランドとの間には、測定部107と電源108と第4スイッチ106dとが設けられる。
このように、基板処理システム1Aは、複数の液供給装置100Aで測定部107、電源108および第4スイッチ106dを共用する構成であってもよい。かかる構成とすることで、上述した第1の実施形態に係る液供給装置100のように、液供給装置100ごとに測定部107および電源108を設ける場合と比較してコストを抑えることができる。
なお、かかる基板処理システム1Aにおいてリーク検知処理等を行う場合には、対象とする液供給装置100Aの第6スイッチ106fをオンし、他の液供給装置100Aの第6スイッチ106fをオフすればよい。
(第2の変形例)
たとえば、処理液の導電率が低い場合、測定部107を用いて電流を測定することが困難となるおそれがある。また、処理液の種類によっては、安全性の面等から高電圧を印加することが好ましくない場合もある。そこで、このような場合には、事前に、処理液を置換する処理を行ったうえで、リーク検知処理等を行うこととしてもよい。かかる場合の例について図15を参照して説明する。図15は、第1の実施形態における第2の変形例に係る液供給装置100Bの構成の一例を示す図である。
図15に示すように、第2の変形例に係る液供給装置100Bは、置換用開閉弁111a〜111dと、置換用流路112a,112bとを備える。置換用開閉弁111aは、第1流路101aのうち第1導電部104aと第1処理液供給源103aとの間に設けられる。置換用開閉弁111bは、第2流路101bのうち第2導電部104bと第2処理液供給源103bとの間に設けられる。
置換用流路112aは、第1流路101aのうち第1導電部104aと置換用開閉弁111aとの間に接続される。置換用流路112aは、置換用開閉弁111cを介してリーク検知用処理液供給源114に接続される。置換用流路112bは、第2流路101bのうち第2導電部104bと置換用開閉弁111bとの間に接続される。置換用流路112bは、置換用開閉弁111dを介してリーク検知用処理液供給源114に接続される。リーク検知用処理液供給源114から供給されるリーク検知用処理液は、たとえばDIWである。
かかる液供給装置100Bにおいて、制御部18は、たとえばリーク検知処理を行う前に、第1〜第3開閉弁102a〜102cおよび置換用開閉弁111c,111dを開き、置換用開閉弁111a,111bを閉じる。これにより、流路101内の処理液がリーク検知用処理液に置換される。その後、制御部18は、上述したリーク検知処理を行う。
このように、制御部18は、リーク検知処理に先立ち、流路101内の処理液を該処理液よりも導電率の高いリーク検知用処理液に置換する処理を行ってもよい。これにより、導電率の低い処理液で流路101が満たされた状態でリーク検知処理を行う場合と比較して、処理液のリークの検知精度を高めることができる。
同様に、制御部18は、リーク検知処理に先立ち、流路101内の処理液をDIW以外の処理液からDIWに置換する処理を行ってもよい。これにより、たとえば、処理ユニット16に供給する処理液が、電圧を印加することが好ましくない処理液である場合であってもリーク検知処理を行うことができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る液供給装置100,100A,100Bは、処理液を用いてウェハW(基板の一例)を処理する処理ユニット16に対して処理液を供給する液供給装置であって、流路101と、第1〜第3開閉弁102a〜102cと、制御部18とを備える。流路101は、絶縁性を有し、処理液を流通させる。第1〜第3開閉弁102a〜102cは、絶縁性の弁体121を用いて流路101を開閉する。制御部18は、流路101が弁体121によって閉じられた状態における第1〜第3開閉弁102a〜102cの一次側と二次側との電気的な接続状態に基づき、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。
したがって、第1の実施形態に係る液供給装置100,100A,100Bによれば、たとえば流量計を用いて処理液のリークを検知する場合と比較して、弁体121の傷による微少なリークを精度良く検知することができる。また、第1の実施形態に係る液供給装置100,100A,100Bによれば、第1〜第3開閉弁102a〜102cの一次側と二次側に差圧がない状況においても処理液のリークを検出することが可能である。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、弁体121に隙間が生じた場合に、一次側と二次側とが電気的に接続されることに着目し、一次側と二次側との電気的な接続状態に基づいて処理液のリークを検知することとした。しかしながら、リーク検知処理は、これに限定されない。
本願発明者は、弁体121に隙間が生じた場合に、かかる隙間を処理液が流れることで静電気が発生することを発見した。具体的には、弁体121に隙間が生じた場合、弁体121を閉じると、弁体121の一次側がマイナスに帯電し、二次側がプラスに帯電することを発見した。
この原因の1つとしては、弁体121の材質であるフッ素樹脂が持つ電気陰性度の影響によって処理液中のマイナスイオンが弁体121に引き寄せられることで、弁体121の隙間をマイナスイオンが通り抜け難くなるためと考えられる。すなわち、処理液中のプラスイオンおよびマイナスイオンのうちプラスイオンだけが選択的に上記隙間を通り抜ける結果、弁体121の一次側においてマイナスイオンが相対的に多くなり、二次側においてプラスイオンが相対的に多くなることで、一次側がマイナスに帯電し、二次側がプラスに帯電すると考えられる。
また、この原因の1つとしては、フッ素樹脂製の弁体121とイオン性の処理液とが接触した状態で処理液が流れた場合に、流動帯電が発生して処理液が帯電するためとも考えられる。
このように、弁体121の一次側および二次側がイオン性の処理液で満たされ、且つ、一次側および二次側に差圧が存在する状態において、弁体121を閉じると、弁体121の隙間を処理液が流れることで、弁体121の一次側は徐々にマイナスに帯電していき、二次側は徐々にプラスに帯電されていくこととなる。
そこで、第2の実施形態に係るリーク検知処理では、流路101が弁体121によって閉じられた後における処理液の帯電状態の変化に基づいて処理液のリークを検知することとした。これにより、第1の実施形態に係るリーク検知処理と同様、流量計により検知することが困難な弁体121の傷による微少なリークを精度良く検知することができる。
次に、第2の実施形態に係る液供給装置100Cの構成について図16を参照して説明する。図16は、第2の実施形態に係る液供給装置100Cの構成の一例を示す図である。
図16に示すように、第2の実施形態に係る液供給装置100Cは、流路101と、開閉弁102と、一次側導電部104Pと、二次側導電部104Sと、一次側配線部105Pと、二次側配線部105Sと、測定部107Cと、制御部18とを備える。
流路101は、処理ユニット16へ供給する処理液を流通させる。たとえば、流路101は、一端部が処理液供給源に接続され、他端部が処理ユニット16のノズル41に接続される。なお、流路101を流通する処理液は、イオン性の処理液であるものとする。
開閉弁102は、絶縁性の弁体121を用いて流路101を開閉する。弁体121は、たとえば、フッ素樹脂により形成される。
一次側導電部104Pは、流路101のうち開閉弁102の一次側(上流側)に設けられ、二次側導電部104Sは、流路101のうち開閉弁102の二次側(下流側)に設けられる。一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sは、流路101内の処理液に接するように設けられる。たとえば、一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sは、複数の導電層が長手方向に沿ってストライプ状に形成された樹脂製のチューブであり、樹脂性の継手141を介して絶縁性の流路101と接続される。
なお、一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sは、先端部を流路101の内部に配置させたプローブであってもよし、金属製の配管や継手等であってもよい。
一次側導電部104Pには、一次側配線部105Pが接続される。一次側配線部105Pは、一次側スイッチ106Pを介してグランドに接続される。
二次側導電部104Sには、二次側配線部105Sが接続される。二次側配線部105Sは、二次側スイッチ106Sを介してグランドに接続される。なお、一次側スイッチ106Pおよび二次側スイッチ106Sとしては、B接点を用いることが好ましい。B接点を用いることで、通常時において流路101を常にグランドに接続させておくことができる。また、通常時に通電しておく必要がない。なお、一次側スイッチ106Pおよび二次側スイッチ106Sは、A接点であってもよい。
測定部107Cは、開閉弁102の二次側に存在する処理液の帯電状態を二次側導電部104Sを介して測定する。たとえば、測定部107Cは、二次側導電部104Sの表面電位を測定する表面電位計である。ここでは、測定部107Cが非接触式の表面電位計であるものとするが、接触式の表面電位計であってもよい。測定部107Cによって測定された表面電位の値は、たとえばアンプによって増幅された後で制御部18へ入力される。
なお、測定部107Cとして表面電位計を用いる場合、測定面は平坦であることが望ましい。そこで、表面電位計としての測定部107Cによる測定精度を高めるため、チューブ状の二次側導電部104Sに平板状の導電性部材を取り付けてもよい。
また、液供給装置100Cは、少なくとも二次側導電部104S、二次側配線部105Sおよび測定部107Cを覆う導電性の筐体111と、筐体111をグランド接続する筐体用配線部112とを備える。このように、筐体111を用いて静電遮蔽することで、他の部分の静電気の影響を受けにくくなる。したがって、静電遮蔽を行わない場合と比較し、弁体121の二次側における処理液の帯電状態をより精度良く測定することができる。なお、筐体111は、たとえばステンレス等の金属、導電性樹脂、導電成膜をコーティングした材料などで構成される。また、筐体111の設置環境に応じて、筐体111内部の雰囲気をパージする機構を設けてもよい。
次に、第2の実施形態に係るリーク検知処理の手順について図17を参照して説明する。図17は、第2の実施形態に係るリーク検知処理の手順の一例を示す図である。
図17に示すように、リーク検知処理開始前において、一次側スイッチ106Pはオンされ、二次側スイッチ106Sはオフされた状態となっている。制御部18は、リーク検知処理を開始すると、まず、二次側スイッチ106Sをオンすることにより、二次側導電部104Sの表面電位、言い換えれば、二次側の処理液の電位をリセットする。流路101内の処理液は、たとえば、プロセス処理においてノズル41から処理液を吐出することによって帯電する場合がある。したがって、リーク検知処理に先立ち、流路101内の処理液の帯電状態をリセットしておくことで、開閉弁102からの処理液のリークの誤検知等を防止することができる。
つづいて、制御部18は、二次側スイッチ106Sをオンしてから予め決められた時間が経過した後で、二次側スイッチ106Sをオフする。ここで、上述したように、弁体121に隙間が生じていると、かかる隙間を処理液が流れることによって静電気が発生して、二次側がプラスに帯電する。制御部18は、二次側スイッチ106Sがオフされてからの予め決められた判定期間において、測定部107Cによって測定される表面電位の値が閾値を超えたか否かを判定する。そして、制御部18は、測定部107Cによって測定される表面電位の値が閾値を超えた場合、開閉弁102からの処理液のリークが発生していると判定する。
ここでは、リーク検知処理中において、一次側スイッチ106Pを常時オンしておくこととした。このように、一次側をグランドに接続しておくことにより、一次側をグランドに接続しない場合と比較して、二次側の電位を高くすることができる。したがって、一次側をグランドに接続しない場合と比較して、弁体121の二次側における処理液の帯電状態をより精度良く測定することができる。なお、一次側スイッチ106Pは、必ずしもオンされることを要しない。すなわち、弁体121の二次側において処理液の帯電状態を測定する場合、液供給装置100Cは、一次側導電部104Pおよび一次側スイッチ106Pは、必ずしも備えることを要しない。
また、ここでは、測定部107Cを用いて二次側の処理液の帯電状態を測定することとしたが、液供給装置100Cは、測定部107Cを用いて一次側の処理液の帯電状態を測定してもよい。この場合、測定部107Cは、開閉弁102の一次側に存在する処理液の帯電状態を一次側導電部104Pを介して測定すればよい。
また、表面電位計は、測定器の特性上、電位が時間とともに変動するため、より正確な測定を行う場合には、定期的にゼロリセットを行うことが好ましい。たとえば、液供給装置100Cは、二次側スイッチ106Sをオンしてからオフするまでの期間にゼロリセットを行ってもよい。
また、ここでは、測定部107Cとして表面電位計を用いることとしたが、測定部107Cは、たとえば、箔検電器、クーロンメータ等の表面電位計以外の静電気測定器であってもよい。
また、液供給装置100Cは、複数の開閉弁102を備えていてもよい。この場合、液供給装置100Cは、たとえば、図6に示す液供給装置100の構成から測定部107および電源108を除外し、第4導電部104dの表面電位を測定する位置に測定部107Cを配置し、少なくとも第4導電部104d、第4配線部105d、第4スイッチ106dおよび測定部107Cを導電性の筐体111で覆った構成とすることができる。
(変形例)
上述した第2の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。そこで、以下では、第2の実施形態に係る液供給装置100Cの変形例について説明する。図18Aおよび図18Bは、第2の実施形態における変形例に係る液供給装置100Dの構成の一例を示す図である。
図18Aに示すように、開閉弁102は、弁体121と連動して上下動する突起部122を備える。具体的には、突起部122は、弁体121の閉動作に伴って下方に移動し、弁体121の開動作に伴って上方に移動する。
変形例に係る液供給装置100Dは、突起部122を検出する検出部113を備える。検出部113は、たとえば近接センサである。検出部113は、突起部122が下方に移動した状態においては突起部122を検出せず、突起部122が上方に移動した状態において突起部122を検出する。
図18Bに示すように、液供給装置100Dは、筐体111の内部に、カウンタ115と、CPU(Central Processing Unit)116とを備える。
検出部113は、突起部122を検出している間、弁体121が開いていることを示す開信号を出力する。開信号は、カウンタ115、CPU116および外部(たとえば、制御部18等)に出力される。
カウンタ115は、検出部113から開信号が入力された回数を計測する。すなわち、カウンタ115は、弁体121が開いた回数を計測する。カウンタ115の計測結果は、CPU116に出力される。CPU116は、制御部の一例であり、カウンタ115から取得した計測結果を外部(たとえば、制御部18等)に出力する。その他、CPU116は、制御部18からの指示に従って、二次側スイッチ106Sの開閉制御を行ったりする。
また、液供給装置100Dは、筐体111の内部に、アンプ117と、判定回路118と、ゲート回路119とをさらに備える。
アンプ117は、測定部107Cの測定結果を増幅する。アンプ117によって増幅された測定部107Cの測定結果は、判定回路118および外部(たとえば、制御部18等)に出力される。
判定回路118は、アンプ117から入力される測定部107Cの測定結果を閾値と比較する。判定回路118は、アンプ117から入力される測定部107Cの測定結果が閾値を超えた場合に、ゲート回路119に対してリーク検知信号を出力する。
ゲート回路119は、検出部113からの開信号を反転した信号(すなわち、閉信号)および判定回路118からのリーク検知信号の両方が入力された場合に、異常信号を出力する。異常信号は、CPU116および外部(たとえば、制御部18等)に出力される。
このように、変形例に係る液供給装置100Dは、カウンタ115を用いて弁体121の動作回数を計測することとした。これにより、たとえば、開閉弁102からの処理液のリークが検知された場合に、リークの原因が、弁体121の傷であるのか、開閉弁102の寿命であるのかを切り分けるための判断材料を作業者等に提供することができる。
なお、液供給装置100Dは、開閉弁102からの処理液のリークを検知した場合に、カウンタ115の計測結果、すなわち、弁体121の動作回数と閾値とを比較してもよい。この場合において、液供給装置100Dは、弁体121の動作回数が閾値以下である場合には、リークの原因が弁体121の傷であると判定し、弁体121に傷が生じた可能性がある旨の情報を基板処理システム1のディスプレイ等に出力してもよい。また、液供給装置100Dは、弁体121の動作回数が閾値を超えている場合には、リークの原因が開閉弁102の寿命であると判定し、開閉弁102が寿命である旨の情報を基板処理システム1のディスプレイ等に出力してもよい。
上述してきたように、第2の実施形態に係る液供給装置100C,100Dは、処理液を用いてウェハW(基板の一例)を処理する処理ユニット16に対して処理液を供給する液供給装置であって、流路101と、開閉弁102と、制御部18とを備える。流路101は、絶縁性を有し、処理液を流通させる。開閉弁102は、絶縁性の弁体121を用いて流路101を開閉する。制御部18は、流路101が弁体121によって閉じられた後における開閉弁102の一次側または二次側における処理液の帯電状態の変化に基づき、開閉弁102からの処理液のリークを検知する。
したがって、第2の実施形態に係る液供給装置100C,100Dによれば、たとえば流量計を用いて処理液のリークを検知する場合と比較して、弁体121の傷による微少なリークを精度良く検知することができる。
また、第2の実施形態に係る液供給装置100C,100Dによれば、一次側導電部104Pおよび二次側導電部104Sをグランドに接続することで、流路101内の処理液を除電することができる。これにより、たとえば、帯電した処理液がウェハWに供給されてウェハW上で放電することを未然に防ぐことができる。したがって、プロセス処理を安定して行うことが可能となる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。