JP6917055B2 - 発泡性粉末状浴用剤 - Google Patents
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一方、これらの発泡性浴用剤に起泡性界面活性剤を含有させ浴湯面で発泡することが可能なバブルバスタイプの入浴剤も知られている。
また、粒子径の小さい発泡性粉末状浴用剤において、有機酸と炭酸塩および起泡性界面活性剤を混合すると保存中にこれらの成分が反応し、密封した包装容器が炭酸ガスで膨張あるいは破裂するとともに使用時の発泡性能が低下し、商品価値が著しく低下するという問題があった。
しかし、これらは浴用剤としての保管中の経時的な発泡反応を抑制できるものの、使用時の微細な炭酸ガス発泡が充分でなかった。
しかしながら、いわゆるバブルバス様の泡質、泡の持続性には劣り、使用形態に応じた改良が望まれていた。
次の成分(A)並びに(B):
有機酸(a1)に、水溶性バインダーとして起泡性界面活性剤(a2)を担持させ、更に水溶性表面処理成分として無水中性ピロリン酸のアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩(a3)を固着させた表面処理有機酸粉体、
並びに
炭酸塩
を含有し、
前記起泡性界面活性剤(a2)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミドから選択される一種又は二種以上であることを特徴とする。
前記発泡性粉末状浴用剤において、成分(a3)の無水中性ピロリン酸のアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩が、無水中性ピロリン酸ナトリウム、無水中性ピロリン酸カリウム、無水酸性ピロリン酸ナトリウム、無水酸性ピロリン酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上であることが好適である。
前記発泡性粉末状浴用剤において、無水中性ピロリン酸塩の配合量は、表面処理有機酸粉体全量中30〜70質量%であることが好適である。
前記発泡性粉末状浴用剤において、さらに無水酸性ピロリン酸ナトリウム、無水酸性ピロリン酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好適である。
前記発泡性粉末状浴用剤において、成分(a1)中の有機酸が、コハク酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる1種又は2種以上であることが好適である。
前記発泡性粉末状浴用剤において、有機酸の配合量が、表面処理有機酸粉体全量中20〜69質量%であることが好適である。
前記発泡性浴用剤において、成分(B)の炭酸塩が炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムであることが好適である。
本発明の発泡性粉末状浴用剤に含まれる成分(A)は、有機酸に水溶性バインダーを担持させ、特定の水溶性表面処理成分を固着させた表面処理有機酸粉体である。
本発明に用いる有機酸は、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸など浴用剤に公知で用いられるカルボン酸基を2つ有する有機酸である。発泡の持続性の観点より、コハク酸、フマル酸が好ましいく、より好ましくはコハク酸である。また、これらの有機酸は1又は2以上の有機酸を含むことができる。
本発明で用いる水溶性バインダーは、(a1)成分である有機酸に、(a3)成分を固着させ、更に起泡成分として作用させる目的である。また、有機酸が水溶性バインダーによって被覆されることで、有機酸と炭酸塩が接触して、包装内での保存中に反応することが抑制され、炭酸ガスの発生により包装容器が膨張することが防止できる。また、お湯の肌触りを滑らかにするとともに、有機酸中の微粒子による刺激臭も抑制することができる。
発泡性および持続性、お湯の肌触りを滑らかにする観点からポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
また、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
10質量%を超えると、余剰の水溶性バインダーによって表面処理有機酸粉体粒子同士の塊粒化が生じたり、水溶性表面処理成分粒子のみの塊粒化のために有機酸コア粒子への表面処理の進行を阻害する可能性がある点で好ましくない。また、水溶性表面処理成分がハードシェル化するため、経時安定性に優れるが、水への溶解速度が遅くなるため、発泡反応が遅くなり炭酸ガスの発泡力が低下するとともに、浴湯面全体に広がる泡の起泡性が劣る場合がある点で好ましくない。
有機酸に水溶性バインダーを担持させ、水溶性表面処理成分を均一に固着し被覆することで、保存中に表面処理有機酸粉体とそれ以外に存在する炭酸塩とが接触して反応することを抑制することにより、炭酸ガスの発生により包装容器が膨張する等の問題が発生するのを防止するとともに浴湯面全体に広がる泡の起泡性、その持続性を向上させることができる。
ただし、無水酸性ピロリン酸塩自体は、炭酸ガス発泡の大きさや持続性の点で本発明の目的を達し得ない。
よって、無水酸性ピロリン酸塩を本発明の水溶性表面処理成分として単品で用いることはできない。しかし、無水酸性ピロリン酸塩は、無水中性ピロリン酸塩全量に対して90質量%以下であれば用いることができる。
水溶性表面処理成分の粒子が有機酸の粒子径より大きいと、有機酸をコア粒子とする表面処理とならず、逆に水溶性表面処理成分がコア粒子となる可能性があり、本発明の特徴とする機能を損ねる場合がある。
有機酸に水溶性表面処理成分を形成させる工程に使用する装置は、攪拌羽根を有するミキサーや容器が振動、回転するなど、本発明の表面処理有機酸粉体の記述の構造や特性を得られる装置であれば、特に限定されない。
このうち、スーパーミキサーまたはヘンシェルミキサーが好適である。これらは、高速回転する撹拌羽根によって容器内の粉体を強力に流動させ、本発明の有機酸に水溶性表面処理成分を形成する目的に有用な製造装置である。
以下は、上記製造装置のうち、スーパーミキサーおよび振動フルイを使用した製造条件および方法について説明する。
なお、ここに説明する製造条件および方法は本発明による代表例であり、これらに限定されるものではない。
有機酸粉体の塊粒を解きほぐし、均一化することが目的である。
スーパーミキサーへの投入量は本装置の一般的な投入量に準じればよい。具体的には、投入体積で、ミキサー内容積の10〜80体積%が良く、品質と経済性の観点からは、35〜65体積%が好ましい。
撹拌羽根の形状、枚数も特に指定は無く、スーパーミキサーの標準仕様として付属する撹拌羽根でよい。
加熱することによって、表面処理中の環境水分の吸着を抑制し、以下の水溶性バインダーおよび水溶性表面処理成分を固着させる一連の表面処理をより効果的に行うことができる。
次工程での水溶性表面処理成分を固着させるための下地調整が目的であり、有機酸粒子に水溶性バインダーを均一に付着させる撹拌条件が必要である。
水溶性バインダー投入時は、有機酸粉塵の飛散を防止するために撹拌を適宜弱めるか、停止しても良い。
撹拌羽根の回転速度は周速5〜30m/秒、撹拌時間は3〜30分であるが、特に限定されない。
温度に関する基本的な考え方は、水溶性バインダーが有機酸粒子に均一に付着させる点で水溶性バインダーの融点以上が好ましく、一方、水溶性バインダーの熱による変質などの可能性を考慮して加熱しすぎないことが必要である。
なお、水溶性バインダーを有機溶媒等に溶解して投入する場合は、その有機溶媒の蒸発量を制御するための温度や撹拌時間を設定する必要がある
粉体の水溶性表面処理成分を投入、撹拌して、水溶性バインダーを介在して有機酸に水溶性表面処理成分を固着させる。
水溶性バインダーが付着した有機酸粒子に水溶性被覆層形成材料粒子が付着し、かつ粒子同士の衝突、摩擦によって均一に表面処理される撹拌条件が必要である。
水溶性表面処理成分の投入時は、粉塵の飛散を防止するために撹拌を適宜弱めるか、停止しても良い。
撹拌羽根の回転速度は周速5〜30m/秒、撹拌時間は3〜30分であるが、特に限定されない。
温度は、前工程の水溶性バインダー撹拌混合時と同じ40〜80℃を維持することで良く、特に限定されない。
表面処理後は、必要に応じて、撹拌を弱めて冷却する。
撹拌羽根の回転速度は周速2〜5m/秒で良く、特に限定されないが、表面処理が崩壊・脱落しないような回転速度や冷却時間とする必要がある。
到達温度は40℃以下が好ましいが、取り出した粉体が熱によるブロッキングを生じなければ良く、特に限定されない。
冷却はミキサー容器のジャケットに冷却水を流すか、容器内に冷風を送気するなど特に方法は限定されないが、取り出す雰囲気に対して必要以上に冷却して吸湿あるいは結露しないよう注意を要する。
ミキサーより粉体を排出したら、振動フルイで粗大粒子を除去する。また、必要に応じて、微粒子を除去する。フルイの目開きは特に限定されず、目的物を選択的に高収率で回収することができればよい。
一例を示すと、粗大粒子は目開き2000μmフルイ上を除去、微粒子は目開き100μmフルイ通過粉を除去というように目開きの異なるフルイを2段階で通過させる。フルイ線材質は金属製、合成繊維製いずれも用いることができる。
関連して、分級においても、振動フルイ上に粒子が滞留しないよう、過剰な投入は避けるべきである。フルイ上に滞留したまま振動を受けると、表面処理を崩壊・脱落させる可能性が考えられるからである。
(A)と、(B)とその他の各種浴用剤成分とを混合することで、発泡性粉末状浴用剤が製造ができる。
混合する装置は、混合時に強い剪断力を与えて成分(A)の表面処理状態に影響がない装置であれば特に限定はされない。例えば、V型ブレンダー(パウレックス製)、ダブルコーンミキサー(特寿工作所製)、リボンブレンダー(ホソカワミクロン製)等が挙げられる。これらのうち、ダブルコーンミキサーまたはリボンブレンダーが好ましい。
〈微細発泡性〉
浴槽に40℃200Lのお湯を入れ、表1,2の発泡性粉末状浴用剤をそれぞれ40g投入し、直後から3分までに発生する炭酸ガスの発泡状態の変化を目視により判定した。
判定基準○:浴槽全体が強い白濁状態で覆われ浴槽底部が見えない。
判定基準△:浴槽全体が弱い白濁状態で覆われ浴槽底部がわずかに見える。
判定基準×:浴槽全体が弱い白濁状態で覆われ浴槽底部が見える。
浴槽に、40℃200Lのお湯を入れ、発泡性粉末状浴用剤をそれぞれ40g投入し、直後から20分後の浴湯面の泡の状態の変化を目視により判定した。
判定基準◎:浴湯面全体が泡で覆われている。
判定基準〇:浴湯面の9割が泡で覆われている。
判定基準△:浴湯面の7割が泡で覆われている。
判定基準×:浴湯面の5割以下が泡で覆われている。
発泡性粉末状浴用剤を、それぞれアルミニウムラミネートフィルムに40g充填包装し、50℃条件下に1ケ月保存後の包装パックの膨張性を目視により判定した。
判定基準○:包装パックの膨張なし。
判定基準△:包装パックの膨張ややあり。
判定基準×:包装パックの膨張あり。
*2 イオネットT-80V:三洋化成工業製
*3 エマルミンNL−70:三洋化成工業製
*4 ユニオックスHC−60:日油製
*5 NIKKOL TMGO−15:日光ケミカルズ製
*6 プロファイン128エキストラ:三洋化成工業製
*7 イオネットS−60:三洋化成工業製
*8 PEG−1000:日油製
*9 ピロリン酸四ナトリウム(無水):太洋化学工業製
*10 炭酸ナトリウム:トクヤマ社製
*11 塩化ナトリウム:日本精塩社製
特にポリオキシアルキレン系非イオン界面活性剤が泡持続性の観点から好ましく、この中でもポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは泡の感触もよいものであった。
また、比較例3より、水溶性バインダーを含まない場合は、保存安定性が劣る。また、比較例4より、水溶性バインダーの配合量が少なすぎる場合も、直後の泡立ち性・持続性および保存安定性に劣る。
また、比較例5より、水溶性バインダーの配合量が多い場合は、保存安定性に優れるが、水への溶解速度が遅くなるのできめ細かな泡の発泡速度が劣り、また、発泡の持続性も得られなかった。
さらに、比較例6を参照すると、無水硫酸ナトリウムを有機酸粉体の被覆に用いた場合には、前記モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンをバインダーとして用いても泡立ち性、泡持続性、保存安定性が満足いくものとはならず、特定の水溶性バインダーを特定の無水ピロリン酸塩とともに用いた場合にのみ、特異的に得られる効果であることが理解される。
Claims (5)
- 次の成分(A)並びに(B):
(A)粒径が150〜1000μmである有機酸(a1)に、水溶性バインダーとして起泡性界面活性剤(a2)を担持させ、更に水溶性表面処理成分として無水中性ピロリン酸のアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩(a3)を固着させ、前記有機酸は表面処理有機酸粉体全量中20〜60質量%である表面処理有機酸粉体、
並びに
(B)炭酸塩
を含有し、
前記起泡性界面活性剤(a2)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミドから選択される一種又は二種以上からなり、且つ前記表面処理有機酸粉体全量中1〜10質量%であり、
前記水溶性表面処理成分は、表面処理有機酸粉体全量中30〜70質量%であり、且つフルイ分級による重量測定にて100μm以下の粒子が水溶性表面処理成分中60質量%以上であることを特徴とする発泡性粉末状浴用剤。 - 請求項1記載の浴用剤において、成分(a3)の無水中性ピロリン酸のアルカリ金属塩またはそのアルカリ土類金属塩が、無水中性ピロリン酸ナトリウム、無水中性ピロリン酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする発泡性粉末状浴用剤。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の浴用剤において、さらに無水酸性ピロリン酸ナトリウム、無水酸性ピロリン酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする発泡性粉末状浴用剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の浴用剤において、成分(a1)中の有機酸が、コハク酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする発泡性粉末状浴用剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の浴用剤において、成分(B)の炭酸塩が炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする発泡性粉末状浴用剤。
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