JP6916020B2 - 車両走行シミュレータおよびプログラム - Google Patents
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Description
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、実際に列車を走行させることなく定位置停止装置を動作させた時の列車の挙動を模擬して定位置停止プログラムのパラメータの微調整を行うことができ、それによって列車を所定位置で停止させるための調整に要する時間と労力を低減することができる車両走行シミュレータおよびプログラムを提供することにある。
操作入力部と、表示部と、記憶部と、シミュレーション実行部とを備え、前記記憶部に記憶されている定位置停止プログラムによる車両停止制御を模擬するための車両走行シミュレータにおいて、
前記シミュレーション実行部は、
シミュレーションの条件を設定するための条件設定手段と、
前記操作入力部からの力行指令またはブレーキ指令の入力を判定可能な指令入力判定手段と、
前記指令入力判定手段により判定された指令または前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるノッチの値に基づいて車両の加減速度を算出する加減速度算出手段と、
前記加減速度算出手段によって算出された加減速度に基づいて車両の走行速度を算出する走行速度算出手段と、
前記走行速度算出手段によって算出された走行速度に基づいて車両の走行距離を算出する走行距離算出手段と、
前記加減速度算出手段によって算出された加減速度の変化、前記走行速度算出手段によって算出された走行速度の変化、前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるブレーキノッチの値の変化を、前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記加減速度算出手段は、運転台からブレーキ装置へ指令信号が到達するまでの伝送路上の遅延時間およびノッチ変化に伴い車両の実減速度が目標の減速度に到達するまでの遅れ時間を付加して車両の減速度を算出するようにしたものである。
前記定位置停止プログラムは、前記データ列を受け取ると該データ列に対応した速度照査パターンを設定し、該速度照査パターンに従って車両のブレーキ制御を実行する機能を有するように構成する。
かかる構成によれば、任意のタイミングで外部からシミュレータに対して地上子を通過したのと同等の情報を与え、それに基いて所定の定位置停止プログラムが停止パターンを設定してブレーキ制御を実行し、それに伴う車両の挙動を模擬することができる。
実際の車両走行においては、運転台のマスターコントローラのノッチが変化しても直ちに走行モータやブレーキ装置が反応することはなく、若干の遅れをもって反応し、その間に車両は惰行で走行することとなる。そのため、上記のような構成によれば、より実際の制御動作に即した車両の挙動を模擬することができる。
前記加減速度算出手段は、前記操作入力部より外乱付与指令が入力された場合に前記減速度の変動率に応じた変動量を加算または減算して車両の加減速度を算出するように構成する。
かかる構成によれば、車両の制御動作中に滑走や再粘着といった一過性の外乱が生じた際の車両の挙動を模擬することができる。
前記加減速度算出手段は、前記操作入力部より変動付与指令が入力された場合に前記減速度の変動周期および変動率に応じた変動を付与して車両の加減速度を算出するように構成する。
実際の車両走行においては、車両の加減速度に周期的な変動が生じるが、上記のような構成によれば、そのような周期的変動を加味して車両の挙動を模擬することができる。
図1は、実施形態のTASCシミュレータ(シミュレーション装置)の構成を機能ブロックとして示したものである。
図1に示すように、本実施形態のTASCシミュレータは、キーボードやマウスなどの操作機器からなる操作入力部11と、液晶表示パネルのような表示装置からなる表示部12と、ハードディスクドライバなどの記憶装置からなるデータ記憶部13と、シミュレーションのための演算やシーケンス処理等を実行するシミュレーション実行部20を備えている。
なお、本実施例では、一過性の外乱と周期的な変動を共通の外乱・変動生成部25によって付与するように構成されているが、外乱生成部と変動生成部のように別々の機能部として構成することも可能である。
なお、本実施形態においては、1つの停止区間に対して傾き(減速度)の異なる2つの速度照査パターンが用意されており、ブレーキ制御開始直後は傾きの大きな速度照査パターンを参照し、途中から傾きの小さな速度照査パターンを参照するように切り替えることで、より乗り心地の良いブレーキ制御が行なえるようになっている。
なお、テーブルを参照して目標加減速度を設定する際に、上記ステップS3で、マスコンの入力による「ブレーキ」ボタンB2で算出した目標減速度の方が低い(絶対値が大きい)場合には、マスコン入力の減速度を目標加減速度として設定する「高位ブレーキ優先論理」を適用して設定するようにしても良い。
その後、TASCシミュレータは、ステップS12へ進み、図2の画面における設定入力表示領域A2の「減速度の周期変動」が有効にされているか否か判定し、有効(Yes)と判定した場合にはステップS13へ進んで、入力されている変動周期および変動率に基づいて現在の減速度を加減算して正弦波状に変動させる周期的減速度変動処理を実行する。また、ステップS12で「減速度の周期変動」が無効(No)と判定した場合にはステップS13をスキップしてステップS14へ進む。
続いて、TASCシミュレータは、ステップS14で算出した現在速度から10ms当たりの走行距離を算出し、算出した走行距離を累積して累積走行距離を算出する(ステップS15)。
上記のような手順に従った処理をシミュレータが実行することで、実際に車両を走行させることなく、TASCプログラムによる定位置停止制御動作を模擬することができ、モニタ領域A1の表示を見て停止位置を確認し、所望の位置で停止できなかった場合には、TASCプログラムのパラメータを調整することで、ブレーキ制御の調整を実施することができるようになる。
図5の演算シーケンスにおいては、目標減速度から現在の減速度を差し引いた値をトルク立上げ遅れ時間(例えば2.6sec)で除して、トルク立上げ遅れ分のジャーク減速度(減速度の変化率)を求める。また、目標減速度から所定時間(例えば0.4sec)前の減速度を差し引いた値にオーバーシュート係数(例えば0.2〜0.3)を掛けたオーバーシュート分のジャーク減速度(減速度の変化率)を求める。そして、現在の減速度にトルク立上げ遅れ分のジャーク減速度とオーバーシュート分のジャーク減速度を加算したものを新たな現在減速度とする。このような演算を、トルク立上げ処理(ステップS8)で実行する。
また、オーバーシュート(アンダーシュート)に関しては、目標減速度の絶対値が減少すなわちノッチが変化したか否か判定して、ノッチが下がったときはオーバーシュート(ノッチが下がったときはアンダーシュート)が発生するものとして、オーバーシュート率(例えば10%)を100%に加算(アンダーシュートのときは減算)した値を、目標減速度に掛け合わせてオーバーシュート(アンダーシュート)の目標減速度として算出し、ノッチ変化がなかった場合には前の周期で使用した目標減速度をそのまま使用するようにしている。
上記のような処理を行うことによって、より実走行に見合ったTACSプログラムのシミュレーションを実行することができるようになる。
さらに、上記実施形態では、本発明を鉄道車両の定位置停止プログラムによる列車停止制御動作を模擬するための列車走行シミュレータに適用した場合を説明したが、本発明は鉄道車両に限定されず例えばバス専用道路を走行するバスの自動停止プログラムによる停止制御動作を模擬するためのシミュレータにも利用することができる。
12 表示部
13 データ記憶部
20 シミュレーション実行部
21 シーケンス制御部
22 シミュレーション条件設定部
23 マスコン入力判定部
24 電文作成部(疑似地上子)
25 外乱・変動生成部
26 加減速度算出部
27 車両速度算出部
28 走行距離算出部
29 表示制御部
30 停止パターン設定部
31 ブレーキノッチ出力部
Claims (6)
- 操作入力部と、表示部と、記憶部と、シミュレーション実行部とを備え、前記記憶部に記憶されている定位置停止プログラムによる車両停止制御を模擬するための車両走行シミュレータであって、
前記シミュレーション実行部は、
シミュレーションの条件を設定するための条件設定手段と、
前記操作入力部からの力行指令またはブレーキ指令の入力を判定可能な指令入力判定手段と、
前記指令入力判定手段により判定された指令または前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるノッチの値に基づいて車両の加減速度を算出する加減速度算出手段と、
前記加減速度算出手段によって算出された加減速度に基づいて車両の走行速度を算出する走行速度算出手段と、
前記走行速度算出手段によって算出された走行速度に基づいて車両の走行距離を算出する走行距離算出手段と、
前記加減速度算出手段によって算出された加減速度の変化、前記走行速度算出手段によって算出された走行速度の変化、前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるブレーキノッチの値の変化を、前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記加減速度算出手段は、運転台からブレーキ装置へ指令信号が到達するまでの伝送路上の遅延時間およびノッチ変化に伴い車両の実減速度が目標の減速度に到達するまでの遅れ時間を付加して車両の減速度を算出することを特徴とする車両走行シミュレータ。 - 前記シミュレーション実行部は、前記操作入力部より入力された疑似地上子通過情報に基づいて停止位置までの距離情報を含むデータ列を作成して前記定位置停止プログラムへ渡し、
前記定位置停止プログラムは、前記データ列を受け取ると該データ列に対応した速度照査パターンを設定し、該速度照査パターンに従って車両のブレーキ制御を実行する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の車両走行シミュレータ。 - 前記加減速度算出手段は、さらにノッチが0から1以上へ変化した際に一定時間加減速度が0のまま車両が惰行する時間を付加して車両の加減速度を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の車両走行シミュレータ。
- 前記シミュレーション実行部は、前記操作入力部より入力された外乱付与指令に応じて減速度の変動率を設定する外乱生成手段を備え、
前記加減速度算出手段は、前記操作入力部より外乱付与指令が入力された場合に前記減速度の変動率に応じた変動量を加算または減算して車両の加減速度を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両走行シミュレータ。 - 前記シミュレーション実行部は、前記操作入力部より入力された変動付与指令に応じて減速度の変動周期および変動率を読み込んで設定する変動生成手段を備え、
前記加減速度算出手段は、前記操作入力部より変動付与指令が入力された場合に前記減速度の変動周期および変動率に応じた変動を付与して車両の加減速度を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両走行シミュレータ。 - 入力装置と、表示装置と、記憶装置と、演算制御装置とを備えたコンピュータに搭載され、前記記憶装置に記憶されている定位置停止プログラムによる車両停止制御を模擬するための車両走行シミュレーション用プログラムであって、
シミュレーションの条件を設定するための条件設定機能と、
前記入力装置からの力行指令またはブレーキ指令の入力を判定可能な指令入力判定機能と、
前記指令入力判定機能により判定された指令または前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるノッチの値に基づいて車両の加減速度を算出する加減速度算出機能と、
前記加減速度算出機能によって算出された加減速度に基づいて車両の走行速度を算出する走行速度算出機能と、
前記走行速度算出機能によって算出された走行速度に基づいて車両の走行距離を算出する走行距離算出機能と、
前記加減速度算出機能によって算出された加減速度の変化、前記走行速度算出機能によって算出された走行速度の変化、前記定位置停止プログラムにより生成され出力されるブレーキノッチの値の変化を、前記表示装置に表示させる表示制御機能と、を備え、
前記加減速度算出機能は、運転台からブレーキ装置へ指令信号が到達するまでの伝送路上の遅延時間およびノッチ変化に伴い車両の実減速度が目標の減速度に到達するまでの遅れ時間を付加して車両の減速度を算出することを特徴とする車両走行シミュレーション用プログラム。
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