JP3447676B2 - 列車運行の模擬装置 - Google Patents

列車運行の模擬装置

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JP3447676B2 JP2000227779A JP2000227779A JP3447676B2 JP 3447676 B2 JP3447676 B2 JP 3447676B2 JP 2000227779 A JP2000227779 A JP 2000227779A JP 2000227779 A JP2000227779 A JP 2000227779A JP 3447676 B2 JP3447676 B2 JP 3447676B2
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真明 平山
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和夫 森本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道の列車運行の
模擬装置に関する。
【0002】
【従来の技術】典型的な先行技術は、(i)「第28回
鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム論
文集1991年11月」第185頁〜189頁「列車制
御シミュレータ(UTRAS)」、および(ii)「第
30回鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジ
ウム論文集1993年11月」第211頁〜第215頁
「鉄道総合シミュレータNew Jumps」である。これらの
先行技術(i),(ii)はいずれも、鉄道システムの
各構成要素を時間をベースとする連続系で記述し、時間
ステップを進めながら、模擬を行う構成を開示する。こ
のような時間連続系の処理において、各構成要素の挙動
は時間の関数として記述されているか、時間を陽に含ま
ない関数として記述され、列車の運動方程式を解くのに
適した処理方法である。このような問題を処理する汎用
の問題向き言語としてIBM社製のCSMPがある。一
方、信号の現示変化や列車の駅停車、さらには乗客の駅
への到着といった時間的に連続しない、すなわち離散的
に発生する事象を取扱うための汎用的な問題向き言語と
してGPSSが有名である。列車運行に関わる問題を計
算しようとする場合、時間に依存した連続系の処理と、
事象により駆動される離散系の処理を同時に実行する必
要がある。
【0003】これらの先行技術では、事象の発生するタ
イミングが連続系の時間ステップに一致しないことに起
因する計算誤差の発生が避けられない。また、計算誤差
の発生を防ぐために、時間ステップを小さくすると時間
間隔が長くなり、或るまとまった時間の模擬を行うため
に、大きな演算量を必要とし、したがって汎用計算機お
よびワークステーションを必要とし、しかも多くの演算
のために多くの時間を必要とする。また、時間ステップ
を短くしてもタイミングが一致しないという問題を根本
的に解決したわけではなく、依然として計算誤差が発生
する。
【0004】他の先行技術は、(iii)「第28回鉄
道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム論文
集1991年11月」第195頁〜第199頁「列車群
制御シミュレータの開発」であり、この先行技術(ii
i)は、部分シミュレーションをユーザと対話しながら
繰り返し進めてゆくのに適しており、列車の群制御方式
などを検討するために開発された構成であって、目的が
限定されている。この先行技術(iii)には、運行管
理の進路制御機能および進路に関する連動の機能などは
含まれておらず、列車運行に関わる広範囲な計算はでき
ないし、前述した連続系と離散系の混在する問題を解決
する手段を与えていない。
【0005】さらに他の先行技術は、(iv)「東芝レ
ビュー1995 Vol.50 No.7」1995年
7月、第536頁〜第538頁「列車運行システム開発
のためのシミュレーション技術」であり、この先行技術
(iv)は、連続系と離散系との両者のシミュレーショ
ンを行う構成を開示し、線路上の各列車の挙動を調べる
ために、離散系とし、近似的に模擬することによって、
前述の先行技術(i)に開示された連続系シミュレーシ
ョンによる長時間にわたる演算を必要とするという問題
点を解決する。この先行技術(iv)は、離散系のモデ
ルに入力するデータとして続行する2列車間の関係は、
前述の先行技術(i)の連続系シミュレータで、条件を
変化させて予め求めておく必要があるという問題があ
り、したがって合計の演算時間は、依然として、長い。
【0006】本発明のさらに他の先行技術(v)は、特
開平5−278613である。この先行技術(v)で
は、シミュレーションを行う実行プログラムを、各種の
部品プログラム、たとえば鉄道システムのモデルに関す
る部品プログラム、シミュレーション結果データを記録
・保管する部品プログラム、結果データを端末画面に表
示する部品プログラムなどに分割し、これによって特定
の鉄道会社、路線などのシミュレーション対象に依存す
ることなく、各種の鉄道システムに対応的に用いること
ができるプログラムを実現する構成を開示する。この先
行技術(v)でもまた、連続系と離散系が混在すること
に関して、計算精度の低下や計算量の増大に対する工夫
はみられない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鉄道
システムの無駄な模擬のプログラム記述を省き、簡略化
した判りやすいプログラムを用い、開発効率および保守
性を向上し、さらに模擬の実行時間が短く、計算精度の
高い列車運行の模擬装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)連続系
処理手段であって、演算指令と管理用処理信号とに応答
し、列車に関する時間経過に伴って連続して変化する線
路データ5と、車両特性データ6とに基づいて、列車走
行の模擬7の演算処理を行う連続系処理手段と、 (b)離散系処理手段であって、旅客流動に関するデー
タ10と、列車ダイヤのデータ9と、信号設備データ1
6とに基づいて、旅客流動に関するデータ10によっ
て、旅客流動の模擬11の演算処理を行ない、列車ダイ
ヤのデータ9と、旅客流動の模擬11によって得られた
データと、信号設備の模擬17によって得られたデータ
とによって、列車ダイヤに基づく時刻を事象とする運行
管理の模擬12の演算処理を行ない、信号設備に関する
データ16によって、しきい値交差事象である信号設備
の模擬17の演算処理を行ない、この信号設備の模擬1
7によって得られるデータは、前記運行管理の模擬12
のために与えられ、かつ連続系処理手段に、列車運行の
模擬7のために前記管理用処理信号として与えられ、前
記旅客流動の模擬11と、前記運行管理の模擬12と、
前記信号設備の模擬17との各演算処理を実行した結
果、次に発生すべき事象があれば、その事象発生条件を
発生する離散系処理手段と、 (c)管理用処理手段であって、連続系処理手段からの
演算処理されたデータと、離散系処理手段から発生され
た事象発生条件の出力とに応答し、予め定める時間間隔
Δt毎に、連続系処理手段に前記演算指令を与え、かつ
シミュレーション上の現在時刻を更新し、タイマ事象が
発生した時刻が、更新時刻よりも早い場合、その発生時
刻を現在時刻として設定し、設定された時刻における連
続系の数値積分の誤差が第1の許容範囲を超えていると
き、前記時間間隔Δtを調整し、その誤差が第1許容範
囲内であれば、前記しきい値交差事象の連続変数が、条
件の成立を判定するしきい値を超えているかを判定し、
その条件が成立している場合、前記連続変数としきい値
の偏差が第2許容範囲を超えているとき、前記時間間隔
Δtを調整し、その偏差が第2許容範囲内であるとき、
発生している事象に対応した模擬演算処理を、離散系処
理手段によって、実行させる管理用処理手段とを含むこ
とを特徴とする列車運行の模擬装置である。
【0009】また本発明は、前記列車運行の模擬7は、
列車の走行運動である速度および軌道上の位置ならびに
消費電力の模擬であり、旅客流動の模擬11は、各駅の
乗降人数および乗降時間の模擬であり、運行管理の模擬
12は、進路制御、出発制御、運転整理の機能を含み、
運行管理の模擬12によって実績ダイヤ13と時隔曲線
14と遅延曲線15とを求め、信号設備の模擬17は、
列車検知装置TD、自動列車制御装置ATC、連動装置
および分岐器の動作の模擬であることを特徴とする。
【0010】離散系処理手段や連続系処理手段、管理用
処理手段の1つの典型的な実現としては離散系処理プロ
グラムや連続系処理プログラム、管理用処理プログラム
である。ただし、ソフトウェアでなくASICに代表さ
れるファームウェアもしくはこれらの組合わせであって
もよい。以下では、各手段はソフトウェアであるプログ
ラムで実現するものとして説明する。
【0011】本発明に従えば、鉄道システムにおける列
車運行に関する各構成要素を、連続系と離散系のそれぞ
れに適した部分2,3に振り分けて、模擬のプログラム
を記述し、連続系処理プログラム2と離散系処理プログ
ラム3とを個別的に実行する。これによって鉄道システ
ムの列車運行に関する各構成要素を連続系または離散系
のいずれか一方のプログラムの実行によって模擬する先
行技術に比べて、プログラムの無駄な模擬の記述を省く
ことができ、したがって簡略化された判りやすいプログ
ラムを記述することができる。したがって、開発効率と
保守性が向上する。また、無駄な模擬プログラムの実行
を省くことができるので、プログラム実行時間を短縮す
ることができる。さらに、計算の精度を向上させること
ができる。
【0012】このようにして、本発明では、列車の運行
に関する模擬を行うにあたり、連続系の処理が適切なプ
ログラムと、離散系の処理が適切なプログラムとに分け
て、プログラムを記述し、連続系処理プログラムと離散
系処理プログラムの両者を統合して模擬を実行する。こ
うして上述のように判りやすく効率的な模擬プログラム
の開発が可能になる。
【0013】連続系処理手段では、列車に関する時間経
過に伴って変化するデータを演算して列車運行の模擬を
行う。離散系処理手段は、時間経過に伴って離散的に発
生する列車に関する予め定める1つ以上の事象、すなわ
ちイベントによる列車運行の模擬を行うとともに、次に
発生すべき事象があれば、その事象発生条件を出力し、
管理用処理手段に与える。管理用処理手段は、連続系処
理手段を実行させるとともに、連続系処理手段で演算さ
れたデータが、事象発生条件を満足するとき、事象発生
を離散系処理手段に知らせる。離散系処理手段は、管理
用処理手段からの事象発生を受けて前述の列車運行の離
散的処理による模擬を行い、さらに次に発生すべき事象
発生条件があれば、それを管理用処理手段に与える。こ
のような動作が繰り返される。
【0014】
【0015】管理用処理手段では、予め定められた時間
間隔Δtを変更する機能を有しており、実行状況に応じ
てその値を調整する。具体的には、列車の運動方程式を
解く場合に必要となる積分計算において、ルンゲクッタ
法を用いるとき、計算誤差の予測をして誤差が許容範囲
に収まるよう時間間隔Δtを加減する。詳しくは、たと
えば培風館刊行の数理科学シリーズ1の“電子計算機の
ための数値計算法1”の第127頁に詳しい。これによ
り、精度よい計算が短い実行時間で実現できる。
【0016】管理用処理手段から連続系処理手段には、
予め定める時間間隔Δt毎に演算指令を発生し、連続系
処理手段は、その演算指令に同期し連続系処理プログラ
ムによる列車運行の模擬を行う。こうして管理用処理手
段によって連続系処理手段の動作の制御を行うことがで
きる。
【0017】
【0018】離散系処理手段の事象は、タイマ事象であ
ってもよく、もしくは、しきい値交差事象であってもよ
く、もしくは、状態変化事象であってもよく、これらの
組合わせであってもよく、本発明の実施のさらに他の形
態では、そのほかの事象であってもよい。
【0019】タイマ事象の場合、当該時刻において連続
系処理手段を実行させて、離散系処理手段との処理の同
期をとる。しきい値交差事象の場合、事象発生の条件は
満たしたが、変数値としきい値との偏差が許容範囲を超
えているときは、前述と同様に連続系処理手段を実行す
る時間間隔Δtを調整して許容範囲に入るように再計算
を行う。これにより、事象が発生した時点での状態で離
散系処理手段を実行することができる。このようにする
ことにより、連続系の計算と離散系の計算を同期させる
ことができ、計算の精度が向上する。このような工夫を
することにより、たとえば、列車が停止した瞬間に速度
と加速度をゼロにすることができ、ブレーキ力による間
違った後進運動の計算を避けることができる。
【0020】
【0021】
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
列車運行の模擬装置1において実行される3つのプログ
ラムを説明するための図である。3つのプログラムとい
うのは、連続系処理プログラム2と、離散系処理プログ
ラム3と、管理プログラム4である。本発明では、列車
運行の模擬にかかわる処理において、連続系の処理が適
切な連続系処理プログラム2と、離散系の処理が適切な
離散系処理プログラム3とに分けてプログラムを記述
し、これら2つのプログラム2,3を統合して模擬を行
う。また、これらのプログラムは、判りやすいように機
能単位などにより分割したサブプログラム群で構成して
もよい。
【0023】図2は、連続系処理プログラム2と離散系
処理プログラム3とを用いて列車運行の模擬を行う全体
の構成を示す図であり、代表的な処理内容、入力デー
タ、出力データを示している。連続系処理プログラム2
では、線路データ5と車両特性データ6などに基づき、
列車走行の模擬7の演算処理を行い、これによって運転
曲線8を作成することができる。このような連続系処理
プログラム2の実行によって、列車に関する時間経過に
伴って連続して変化するデータを演算し、前述の列車走
行の模擬7を行う。このような列車走行の模擬7は、
(a)列車の走行運動である速度および軌道上の位置な
らびに消費電力などの模擬と、(b)列車に備えた力行
/制動制御装置、信号保安装置(たとえば自動列車制御
装置など)、定位置停止制御装置などの模擬を行うこと
ができる。
【0024】離散系処理プログラム3は、時間経過に伴
って離散的に発生する列車に関する予め定める1つ以上
の事象に対応した列車運行の模擬を行う。この離散系処
理プログラム3の実行にあたり、列車ダイヤのデータ9
と、旅客流動に関するデータ10と、信号設備データ1
6などを用いる。データ10によって、旅客流動模擬1
1を行い、各駅の乗降人数および乗降時間などの模擬演
算を行う。列車ダイヤのデータ9と旅客流動模擬11に
よって得られたデータなどを用い、運行管理の模擬12
を行う。この運行管理模擬12は、進路制御、出発制
御、運転整理などの機能を含む。運行管理の模擬12に
よって、実績ダイヤ13と時隔曲線14と遅延曲線15
などを求めることができる。
【0025】信号設備に関するデータ16を用いて、信
号設備の模擬17を行うことができる。信号設備の模擬
17は、TD(すなわち列車検知装置)、ATC(すな
わち自動列車制御装置)、連動装置、および分岐器など
の動作の模擬を行うことができる。このような信号設備
の模擬17によって得られるデータは、列車走行の模擬
7および運行管理の模擬12のために与えられるととも
に、信号設備の模擬17のために、前述の模擬7,12
からのデータが与えられる。
【0026】離散系処理プログラム3の実行によれば、
(c)タイマ事象に対する処理と、(d)しきい値交差
事象に対する処理と、(e)状態変化事象に対する処理
が行われる。タイマ事象に対する処理(c)は、(c
1)列車の車庫からの出庫および入庫、停車場に停止後
の出発処理などの列車ダイヤに基づく時刻を事象とする
運行管理装置の模擬と、(c2)連動装置の時素を事象
とする模擬と、(c3)転てつ器の定位/反位転換時間
を事象とする模擬と、(c4)列車のブレーキの作動遅
れ時間を事象とする模擬などを含む。しきい値交差事象
に対する処理(d)は、(d1)列車の軌道回路への進
入および進出を事象とする列車検知装置、自動列車制御
装置などの信号保安装置、運行管理装置の模擬と、(d
2)列車の速度がゼロになった列車停止を事象とする運
行管理装置および旅客流動の模擬と、(d3)軌道に設
けられた地上子の列車通過を事象とする列車および地上
に備えた各種信号設備の模擬などを含む。状態変化事象
に対する処理(e)は、(e1)信号設備故障等の各種
模擬故障設定による出発遅延発生の模擬などを含む。
【0027】図3は、図1および図2に示される本発明
の実施の一形態の電気的構成を示すブロック図である。
模擬装置1は、コンピュータなどによって実現されるも
ので、プログラムの実行を行う処理回路21とプログラ
ムをストアするメモリM1と、計算されたデータなどを
ストアするメモリM2とを含む。メモリM1には、連続
系処理プログラム2と離散系処理プログラム3、管理プ
ログラム4がストアされる。メモリM2には、図2に示
されるデータ5,6,9,10,16がストアされるほ
か、シミュレーションの開始時刻や終了時刻、演算時間
の基本刻み幅(時間間隔)Δt、演算誤差の許容値など
のデータ、連続系処理プログラムや離散系処理プログラ
ムにより実行される前述の処理(a),(b),
(c),(d),(e)の結果データなどがストアされ
る。
【0028】図4は、連続系処理プログラム2の動作を
説明するためのフローチャートである。このプログラム
は、管理プログラム4から演算時間間隔毎に呼び出され
て実行される。ステップr1では、連続系の処理に必要
なデータをメモリM2から入力する。ステップr2で
は、入力したデータをもとに前述の処理(a)および
(b)を実行する。ステップr3では、実行した計算結
果をメモリM2に出力する。なお、連続系の積分方法に
よっては連続系処理プログラム2は単位時間あたりに複
数回呼ばれることもあり、演算時間間隔も演算誤差等に
よっては調整されることもある。この一連の処理によ
り、当該時刻における連続系の模擬演算が行われる。
【0029】図5は、離散系処理プログラム3の動作を
説明するためのフローチャートである。このプログラム
は、管理プログラム4から予め登録された事象発生条件
が満足されて事象が発生したときに呼び出されて実行さ
れる。ステップs1では、管理プログラム4から通知さ
れる事象識別番号の情報から発生している事象を識別す
る。ステップs2では、識別した事象に対応した離散系
の処理に必要なデータをメモリM2から入力する。ステ
ップs3では、入力したデータをもとに前述の処理
(c),(d)および(e)の中から識別した事象に対
応した処理を実行する。ステップs4では、実行した計
算結果をメモリM2に出力する。ステップs5では、新
たな事象発生条件の登録の必要性があるか否かを判断
し、必要がある場合は、ステップs6で事象発生条件を
管理プログラム4に通知して登録する。この一連の処理
により、離散的に発生した事象に対応した模擬演算が行
われる。
【0030】図6は、管理プログラム4の動作を説明す
るためのフローチャートである。ステップu1では、シ
ミュレーションのための各種データ5,6,9,10,
16などを入力してメモリM2に設定するとともに、シ
ミュレーションの開始時刻や終了時刻、演算時間の基本
刻み幅(Δt)、演算誤差の許容値、その他の実行条件
データなどの初期設定を行う。また、離散系処理プログ
ラム3を実行させるタイマ事象やしきい値交差事象、シ
ステムの状態変化事象などの事象発生条件の登録も行
う。事象管理テーブルを用意しておき、それぞれの事象
についてタイマやしきい値交差、システム状態変化など
の事象の種別、個々の事象を識別する識別番号、時刻や
しきい値、ブール代数などの事象発生条件に関する情報
を格納し管理してもよい。ステップu2では、通常は演
算の基本時間間隔Δtによってシミュレーション上の現
在時刻を更新するが、タイマ事象が登録されており、そ
の発生時刻がこの更新時刻よりも早い場合は、発生時刻
を現在時刻として設定する。また、ステップu7により
調整された時間間隔にも対応して時刻設定を行う。
【0031】ステップu3では、連続系処理プログラム
2を呼び出し、設定された時刻における連続系の模擬が
行われてその結果がメモリM2に反映される。なお、連
続系の積分方法によっては連続系処理プログラム2は単
位時間あたりに複数回呼ばれることもある。ステップu
4では、数値積分の誤差が第1許容範囲内に入っている
か否かを判定する。範囲内であれば、ステップu5でし
きい値交差事象として登録されているものに関して、そ
の条件が成立しているか(すなわち連続変数が、しきい
値を越えたか)否かを判定する。条件が成立している場
合は、ステップu6で連続変数としきい値の偏差が第2
許容範囲内か否かを判定する。ステップu6での偏差が
第2許容範囲を超えている場合やステップu4での誤差
が第1許容範囲を超えている場合は、ステップu7で演
算の時間間隔調整を行い、ステップu2に戻って再計算
を行う。
【0032】ステップu5で条件が成立していない場合
は、ステップu8でこの演算サイクルがタイマ事象によ
るものか否か(すなわちステップu2での時刻設定がタ
イマ事象によるものか否か)を判定し、タイマ事象によ
る場合、およびステップu6での偏差が許容範囲内の場
合は、ステップu9で離散系処理プログラム3を呼び出
す。このとき、発生している事象の識別番号も同時に離
散系処理プログラム3に通知する。これにより発生して
いる事象に対応した離散系の模擬が行われて、その結果
がメモリM2に反映される。離散系処理プログラム3の
実行によって新たな事象発生条件の登録要求があるか否
かの判断をステップu10で行い、ある場合はステップ
u11でタイマ事象やしきい値交差事象などの事象発生
条件の登録処理を行う。
【0033】ステップu12では、複数の事象が同時刻
に発生しているときに、全ての事象に対する処理が終わ
ったかを判定し、残っている事象についてはステップu
9からステップu11を繰り返す。ステップu13で
は、シミュレーション時刻が初期設定で設定された終了
時刻に到達したかを判断し、到達していない場合は、ス
テップu2に戻って次の演算サイクルを実行する。終了
時刻に到達した場合は、ステップu14でシミュレーシ
ョン結果の各種出力8,13,14,15などを出力
し、シミュレーションの実行を終了する。
【0034】こうして本発明の上述の実施の形態によれ
ば、列車の運行に関する模擬を行うにあたり、連続系の
処理が適切な連続系処理プログラム2と、離散系の処理
が適切な離散系処理プログラム3とに分けて、プログラ
ムを記述し、これらの両プログラム2,3を統合して模
擬を行うようにしたので、無駄な模擬のためのプログラ
ムの記述を省くことができ、簡略化された分かりやすい
プログラムを実現することができ、開発効率および保守
性が向上するとともに、無駄なプログラムの実行を省く
ことができるので、実行時間の短縮を図ることができ、
計算精度も向上させることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、鉄道の列車の運行に関
する模擬において、連続系の処理が適切な模擬と、離散
系の処理が適切な模擬とに分けて、プログラムを記述
し、これらの連続系処理プログラムと離散系処理プログ
ラムとを統合して模擬を行う。これによって無駄な模擬
のプログラムの記述を省くことができ、簡略化された判
りやすいプログラムを実現することができ、開発効率お
よび保守性が向上する。またプログラムの無駄な実行が
省かれるので、その実行時間の短縮を図ることができ、
模擬結果を迅速に得ることができる。さらに列車の運行
に関する模擬において、対象とする路線、制御方式など
が変わっても、データおよびプログラムの変更を容易に
行い、柔軟に対応することができる汎用性がある模擬装
置が実現される。
【0036】本発明によれば、管理用処理手段からの時
間間隔Δt毎の演算指令を連続系処理手段に与えてデー
タの演算を同期的に行うことができ、連続系処理手段の
制御、管理を、管理用処理手段で行うことができ、制御
が容易である。また、時間間隔は計算誤差の低減や離散
系の事象との同期処理などの実行状況に応じて変化させ
ることができ、計算精度の向上を図ることができる。
【0037】本発明によれば、離散系処理手段の事象
は、指定した時間の経過や、指定した時刻の到来によっ
て発生する事象であってもよく、システムの状態変化に
よって発生する事象であってもよく、列車に関する連続
的に変化する変数が、予め定めるしきい値を交差したと
きに発生する事象であってもよく、もしくはこれらの組
合わせ、さらにそのほかの事象であってもよく、このよ
うな各種の離散系の事象に対する模擬を、離散系処理手
段において実行することができる。
【0038】本発明によれば、連続系処理手段は、管理
用処理手段の予め定める時間間隔Δt毎に列車運行の模
擬を行ない、この時間間隔Δt毎によって管理用処理手
段はシミュレーション上の現在時刻を更新し、タイマ事
象が発生する時刻が、更新時刻よりも早い場合、発生時
刻を現在時刻として設定し、設定された時刻における連
続系の数値積分の誤差が第1許容範囲を超えている場
合、およびしきい値交差事象の連続変数がしきい値を超
えて、その偏差が第2許容範囲を超えている場合、前記
時間間隔Δtを調整する。これによって計算精度の向上
を図ることができるという優れた効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の列車運行の模擬装置1
において実行される3つのプログラムを説明するための
図である。
【図2】連続系処理プログラム2と離散系処理プログラ
ム3とを用いて列車運行の模擬を行う全体の構成を示す
図である。
【図3】図1および図2に示される本発明の実施の一形
態の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】連続系処理プログラム2の動作を説明するため
のフローチャートである。
【図5】離散系処理プログラム3の動作を説明するため
のフローチャートである。
【図6】管理プログラム4の動作を説明するためのフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 模擬装置 2 連続系処理プログラム 3 離散系処理プログラム 4 管理プログラム 21 処理回路 M1,M2 メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 照幸 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (72)発明者 平山 真明 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (72)発明者 王子 修 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (72)発明者 高瀬 義和 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 森本 和夫 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (72)発明者 富澤 幸夫 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番 18号 川崎重工業株式会社 兵庫工場内 (56)参考文献 特開 平11−65637(JP,A) 特開 平8−156793(JP,A) 特開 平10−307807(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B61L 27/00 G06F 17/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)連続系処理手段であって、 演算指令と管理用処理信号とに応答し、 列車に関する時間経過に伴って連続して変化する線路デ
    ータ5と、車両特性データ6とに基づいて、列車走行の
    模擬7の演算処理を行う連続系処理手段と、 (b)離散系処理手段であって、 旅客流動に関するデータ10と、列車ダイヤのデータ9
    と、信号設備データ16とに基づいて、 旅客流動に関するデータ10によって、旅客流動の模擬
    11の演算処理を行ない、 列車ダイヤのデータ9と、旅客流動の模擬11によって
    得られたデータと、信号設備の模擬17によって得られ
    たデータとによって、列車ダイヤに基づく時刻を事象と
    する運行管理の模擬12の演算処理を行ない、 信号設備に関するデータ16によって、しきい値交差事
    象である信号設備の模擬17の演算処理を行ない、 この信号設備の模擬17によって得られるデータは、 前記運行管理の模擬12のために与えられ、かつ連続系
    処理手段に、列車運行の模擬7のために前記管理用処理
    信号として与えられ、 前記旅客流動の模擬11と、前記運行管理の模擬12
    と、前記信号設備の模擬17との各演算処理を実行した
    結果、次に発生すべき事象があれば、その事象発生条件
    を発生する離散系処理手段と、 (c)管理用処理手段であって、 連続系処理手段からの演算処理されたデータと、離散系
    処理手段から発生された事象発生条件の出力とに応答
    し、 予め定める時間間隔Δt毎に、連続系処理手段に前記演
    算指令を与え、かつシミュレーション上の現在時刻を更
    新し、 タイマ事象が発生した時刻が、更新時刻よりも早い場
    合、その発生時刻を現在時刻として設定し、 設定された時刻における連続系の数値積分の誤差が第1
    の許容範囲を超えているとき、前記時間間隔Δtを調整
    し、 その誤差が第1許容範囲内であれば、前記しきい値交差
    事象の連続変数が、条件の成立を判定するしきい値を超
    えているかを判定し、 その条件が成立している場合、 前記連続変数としきい値の偏差が第2許容範囲を超えて
    いるとき、前記時間間隔Δtを調整し、 その偏差が第2許容範囲内であるとき、発生している事
    象に対応した模擬演算処理を、離散系処理手段によっ
    て、実行させる管理用処理手段とを含むことを特徴とす
    る列車運行の模擬装置。
  2. 【請求項2】 前記列車運行の模擬7は、列車の走行運
    動である速度および軌道上の位置ならびに消費電力の模
    擬であり、 旅客流動の模擬11は、各駅の乗降人数および乗降時間
    の模擬であり、 運行管理の模擬12は、進路制御、出発制御、運転整理
    の機能を含み、 運行管理の模擬12によって実績ダイヤ13と時隔曲線
    14と遅延曲線15とを求め、 信号設備の模擬17は、列車検知装置TD、自動列車制
    御装置ATC、連動装置および分岐器の動作の模擬であ
    ることを特徴とする請求項1記載の列車運行の模擬装
    置。
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