JP6915625B2 - 化学強化ガラス板 - Google Patents

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Description

本発明は、化学強化ガラス板に関する。
ガラス板の強度を向上させるために、ガラス板の主面に圧縮応力、内部に引張応力を形成した強化ガラス板が知られている。強化ガラスには、ガラス板を加熱した後に急冷し主面と内部とに温度差を形成することで得られる物理強化ガラスと、ガラス板を溶融塩に浸漬して主面側のイオン半径の小さなイオンと溶融塩側のイオン半径の大きいイオンとのイオン交換による化学強化ガラスとがある。
化学強化ガラス板は、主面に形成される圧縮応力が物理強化ガラス板に比べて大きいため、突発的な衝撃に強いことから、古くは腕時計のカバーガラス、近年ではスマートフォン等のカバーガラスに用いられてきている。また、特許文献1には、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓として用いられる化学強化ガラス板が提案されている。
国際公開第2014/168246号
しかし、化学強化ガラスは、表面に傷が付くと、風等により表面に外力が加わったときに、傷を起点として割れてしまうおそれがある。また、化学強化ガラスは、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓等の各種用途に用いるために大面積であることが求められており、風等により表面に外力が加わったときには一層割れやすくなる。
本発明は、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくい、大面積の化学強化ガラス板の提供を目的とする。
本発明の一態様の化学強化ガラス板は、第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
前記化学強化ガラス板の4辺を単純支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、式(1)を満たし、
前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
前記化学強化ガラス板の4辺が単純支持されていることを特徴とする。
0.30×CS(1)+11.3×DOL(1)−241≧β×q×a×10−6/t 式(1)
ここで、CS(1)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(1)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、aは前記化学強化ガラス板の短辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
βは、前記化学強化ガラス板の長辺の長さをb(単位:mm)としたときに、b/aが5以下の場合式(2)で表され、b/aが5超の場合0.748である。
β=−0.0009×(b/a)+0.0098×(b/a)−0.014×(b/a)−0.1918×(b/a)+0.8866×(b/a)−0.4187 式(2)
本発明の他の態様の化学強化ガラス板は、第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
前記化学強化ガラス板の対向する2辺を単純支持し、他の2辺を支持させずに、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、式(3)を満たし、
前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
前記化学強化ガラス板の2辺が単純支持されていることを特徴とする。
0.30×CS(3)+11.3×DOL(3)−241≧γ×q×c×10−6/t 式(3)
ここで、CS(3)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(3)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、cは前記化学強化ガラス板の支持されていない辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
γは、前記化学強化ガラス板の単純支持された辺の長さをd(単位:mm)としたときに、d/cが3以下の場合式(4)で表され、d/cが3超の場合0.791である。
γ=0.0028×(d/c)−0.0224×(d/c)+0.0577×(d/c)+0.7422 式(4)
本発明の他の態様の化学強化ガラス板は、第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、4点を点支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、式(5)を満たし、
前記4点は、前記第1の主面又は前記第2の主面の4つの頂点それぞれから長辺方向に
200mm以内および短辺方向に200mm以内の領域に1点ずつあり、
前記4点は、点同士を直線で結ぶことにより矩形を形成し、
前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
前記4点が点支持されていることを特徴とする。
0.30×CS(5)+11.3×DOL(5)−241≧δ×q×e×10−6/t 式(5)
ここで、CS(5)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値CS(単位:N/mm)、DOL(5)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、eは前記4点で形成される矩形の短辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
δは、前記4点で形成される矩形の長辺の長さをf(単位:mm)としたときに、式(6)に示す値である。
δ=0.7464×(f/e)+0.0198×(f/e)+0.1634 式(6)
本発明の化学強化ガラス板は、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくく、大面積である。
図1は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板の斜視図を示す。 図2は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板の平面図を示す。 図3は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板の平面図を示す。 図4は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(1)を満足する、短辺の長さaおよび等分布荷重qの関係を示す。ここで、t=10mm、b/a=1。 図5は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(3)を満足する、支持されていない辺の長さcおよび等分布荷重qの関係を示す。ここで、t=10mm、d/c=2。 図6は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(5)を満足する、矩形の短辺の長さeおよび等分布荷重qの関係を示す。ここで、t=19mm、f/e=2。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板の斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板の平面図である。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第1の主面11aに対向する第2の主面11bを有し、第1の主面11aおよび第2の主面11bに表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、第1の主面11aおよび第2の主面11bはともに矩形であり、第1の主面11aおよび第2の主面11bの面積がともに0.5m以上であり、化学強化ガラス板10の4辺を単純支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、式(1)を満たし、等分布荷重qが1000N/m以上であることを特徴とする。
0.30×CS(1)+11.3×DOL(1)−241≧β×q×a×10−6/t 式(1)
ここで、CS(1)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(1)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、aは化学強化ガラス板10の短辺の長さ(単位:mm)、tは化学強化ガラス板10の板厚(単位:mm)であり、
βは、化学強化ガラス板10の長辺の長さをb(単位:mm)としたときに、b/aが5以下の場合式(2)で表され、b/aが5超の場合0.748である。
β=−0.0009×(b/a)+0.0098×(b/a)−0.014×(b/a)−0.1918×(b/a)+0.8866×(b/a)−0.4187 式(2)
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、例えば、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓として好適に用いられる。建築窓としては、住宅、ビル等の窓が例示される。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bがともに矩形である。矩形であれば、例えば建築窓、外壁、太陽電池カバーガラスとして設置しやすい。ここで、矩形とは、概略直角四辺形であり、任意の1つの辺から対向して位置する辺までの距離を測定した時、長辺、短辺ともに、測定位置による誤差が各々0.3%以内に収まり、コーナー部に曲率や切欠き等がある形状を含む。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bの面積がともに0.5m以上である。面積が0.5m以上であれば、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓等の各種用途に好適に用いられる。化学強化ガラス板10の面積は、0.7m以上であってもよく、1m以上であってもよく、2m以上であってもよく、3m以上であってもよく、5m以上であってもよく、7m以上であってもよい。一方、第1の主面11aおよび第2の主面11bの面積は、12m以下が好ましい。面積が12m以下であれば、化学強化ガラス板の取り扱いが容易になり、例えば化学強化ガラス板の設置時の周辺部材との接触による破損を抑制できる。面積は、10m以下であってもよく、9m以下であってもよく、8m以下であってもよい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bの長辺の長さbが、700mm以上であってもよく、1000mm以上であってもよく、1300mm以上であってもよく、1500mm以上であってもよく、1800mm以上であってもよく、2100mm以上であってもよく、2500mm以上であってもよい。第1の主面11aおよび第2の主面11bの長辺の長さbは、5000mm以下であってもよい。ここで、長辺の長さbとは、図2に示す対向する2つの短辺間の最短距離bである。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bの短辺の長さaが、500mm以上であってもよく、700mm以上であってもよく、800mm以上であってもよく、1300mm以上であってもよく、1500mm以上であってもよく、1800mm以上であってもよく、2100mm以上であってもよい。第1の主面11aおよび第2の主面11bの短辺の長さaは、3000mm以下であってもよい。ここで、短辺の長さaとは、図2に示す対向する2つの長辺間の最短距離aである。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の板厚は、強度やハンドリング性などから2mm以上であってよい。板厚は、3mm以上であってもよく、4mm以上であってもよく、5mm以上であってもよく、6mm以上であってもよい。一方、板厚が20mm以下であれば、軽量であるため好ましい。板厚は15mm以下がより好ましく、13mm以下がさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、主面11a、11bに表面圧縮応力が形成されている。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板は、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓等の各種用途に単板のガラスとして使用できる。また、別の実施形態では、2枚以上のガラス板を中間層フィルムで貼り合わせた合わせガラスとして使用できる。さらに別の実施形態では、間隔を開けて2枚以上のガラス板を配置し、複層ガラスとして使用できる。さらに別の実施形態では、ガラス板表面にコーティングをして使用できる。合わせガラスや複層ガラスの構成では、少なくとも1枚以上に本発明の化学強化ガラス板を使用できる。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、化学強化ガラス板10の4辺を単純支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、式(1)を満たす。
0.30×CS(1)+11.3×DOL(1)−241≧β×q×a×10−6/t 式(1)
ここで、CS(1)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(1)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、aは化学強化ガラス板10の短辺の長さ(単位:mm)、tは化学強化ガラス板10の板厚(単位:mm)であり、
βは、化学強化ガラス板10の長辺の長さをb(単位:mm)としたときに、b/aが5以下の場合式(2)で表され、b/aが5超の場合0.748である。
β=−0.0009×(b/a)+0.0098×(b/a)−0.014×(b/a)−0.1918×(b/a)+0.8866×(b/a)−0.4187 式(2)
ここで、中央部とは、第1の主面11a又は第2の主面11bにおいて、第1の主面11a又は第2の主面11bの重心から50mm以内の領域をいう。
式(1)の左辺は、化学強化ガラスの加傷面強度試験(同心円曲げ試験)の結果から算出した化学強化ガラス破壊応力の近似式である。上記面強度試験の供試体は、フロートガラスに化学強化処理をし、実際に建築窓として20年以上使用されたガラス板の主表面に生じた傷深さの最大値と同等の深さの傷が付く荷重で加傷した化学強化ガラスである。
また、式(1)の右辺は、化学強化ガラス板10の4辺を単純支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに化学強化ガラス板10に発生する最大応力(N/mm)を表す。ここで、「4辺を単純支持する」とは、4辺全てに支持材がある化学強化ガラス板10が支持材の中で回転自由に支持されている状態をいう。例えば、化学強化ガラス板10が窓枠にはめ込まれた状態が想定される。
化学強化ガラス板10が式(1)を満たせば、化学強化ガラス板10の表面に傷が付いても、等分布荷重qを印加したときに化学強化ガラス板10に発生する最大応力が破壊応力を超えないことを意味する。つまり、式(1)を満たす化学強化ガラス板は、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくい。
図4は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(1)を満足する、短辺の長さaおよび等分布荷重qの範囲を示したものである。ここで、t=10mm、b/a=1である。図4の範囲を満足する化学強化ガラス板10は、外力として等分布荷重qが表面に加わっても割れにくい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、等分布荷重qが1000N/m以上である。化学強化ガラス板10は、qが1000N/m以上であっても、式(1)を満足するために、強い外力を受けても割れにくい。qが1600N/m以上であっても式(1)を満足することが好ましく、qが2000N/m以上であっても式(1)を満足することがより好ましく、qが2500N/m以上であっても式(1)を満足することがより好ましく、qが3000N/m以上であっても式(1)を満足することがさらに好ましく、qが3500N/m以上であっても式(1)を満足することが特に好ましく、qが4000N/m以上であっても式(1)を満足することが特に好ましく、qが4500N/m以上であっても式(1)を満足することが最も好ましい。
ここで、CS(表面圧縮応力値)およびDOL(圧縮応力層の板厚方向の深さ)は、表面応力計により測定できる。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、CSは250MPa以上が好ましい。CSが250MPa以上であれば、化学強化ガラス板の機械的強度は高い。CSは、300MPa以上が好ましく、350MPa以上がより好ましく、380MPa以上がさらに好ましい。
一方、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、CSは500MPa以下が好ましい。CSが500MPa以下であれば、応力分布を小さく保持できる。さらに、内部引っ張り応力が極端に高くなりにくい。また、化学強化処理工程が高温の溶融塩への短時間浸漬であってもよく、化学強化ガラス板10を得るのが容易である。さらに、化学強化ガラス板10を切断するときに、ホイールカッターによる切込み線の形成が容易になる。CSは480MPa以下がより好ましく、460MPa以下がさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、DOLは15μm以上が好ましい。DOLが15μm以上であれば、充分な強度が得られ、外力に耐えられる。DOLは、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましく、28μm以上が特に好ましく、30μm以上が特に好ましい。一方、DOLは、100μm以下が好ましい。DOLが100μm以下であれば、溶融塩への浸漬が短時間であってもよく、化学強化ガラス板10を得るのが容易である。DOLは、80μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましく、40μm以下が特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、例えば、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓に用いられる場合、主面11a、11bのうち、式(1)を満たす主面が屋外に配置されると、屋外側から傷が付いても外力に耐えられるため好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bの両方が式(1)を満たすと、両面が、傷が付いても外力に耐えられるため好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、重量が1000kg以下であることが好ましい。重量が1000kg以下であれば、軽量であるため好ましい。重量は500kg以下がより好ましい。また、重量は、強度などの観点から2kg以上が好ましい。重量は、5kg以上がより好ましく、10kg以上がさらに好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bの一方または両方に、熱線反射膜や防汚膜等の機能膜を形成してもよい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、主面11a、11bとともに端面12にも圧縮応力層が形成されていてもよい。化学強化後に所望の形状にガラス板を切断する場合には、端面12に圧縮応力層を有さない場合もある。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10のガラス転移点Tgは、530℃以上が好ましい。これによって、イオン交換時の表面圧縮応力の緩和を抑止できる。540℃以上がより好ましく、550℃以上がさらに好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の粘度が10dPa・sとなる温度T2は、1550℃以下が好ましく、1490℃以下がより好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の粘度が10dPa・sとなる温度T4は、1050℃以下が好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の比重は、2.45〜2.55が好ましい。
上記した数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10のヤング率は、65GPa以上が好ましい。これによって、剛性や破壊強度が充分となる。ヤング率は70GPa以上であってもよい。一方、ヤング率が90GPa以下であれば、化学強化ガラス板が脆くなる事を抑制し、化学強化ガラス板の切削、ダイシング時の欠けを抑制できる。ヤング率は85GPa以下であってもよく、80GPa以下であってもよい。
ここで、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを56〜75%、Alを0〜20%、NaOを8〜22%、KOを0〜10%、MgOを0〜14%、ZrOを0〜5%、CaOを2〜12%含有することが好ましい。以降、百分率表示は、特に断らない限り、酸化物基準のモル百分率表示含有量を示す。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10において、ガラス組成を上記範囲に限定した理由を以下に説明する。
SiOは、ガラス微細構造の中で網目構造を形成する成分であり、ガラスを構成する主要成分である。SiOの含有量は、56%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、66%以上がさらに好ましく、68%以上が特に好ましい。また、SiOの含有量は、75%以下が好ましく、73%以下がより好ましく、72%以下がさらに好ましい。SiOの含有量が56%以上であるとガラスとしての安定性や耐候性の点で優位である。一方、SiOの含有量が75%以下であると熔解性および成形性の点で優位である。
Alは、必須ではないが、化学強化におけるイオン交換性能を向上させる作用があり、特にCSを大きくする作用が大きいため含有させてもよい。また、ガラスの耐候性を向上する。さらに、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑制する作用がある。Alを含有する場合は、0.4%以上が好ましく、0.6%以上がより好ましく、0.8%以上がさらに好ましい。また、Alの含有量が20%以下であると、ガラスの粘性が高い場合でも失透温度が大きくは上昇しないため、ソーダライムガラス生産ラインでの熔解、成形の点で優位である。Alの含有量は、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下が特に好ましく、2%以下が最も好ましい。
SiOおよびAlの含有量の合計SiO+Alは、80%以下が好ましい。80%以下では高温でのガラスの粘性が低下し、溶融が容易となる。76%以下がより好ましく、74%以下がさらに好ましい。また、SiO+Alは、68%以上が好ましい。68%以上では圧痕がついた時のクラック耐性が向上し、より好ましくは70%以上である。
NaOは、イオン交換により表面圧縮応力層を形成させる成分であり、DOLを深くする作用がある。またガラスの高温粘性と失透温度を下げ、ガラスの熔解性、成形性を向上させる成分である。NaOの含有量は、8%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上がさらに好ましい。また、NaOの含有量は、22%以下が好ましく、16%以下がより好ましく、14%以下がさらに好ましい。NaOの含有量が8%以上であると、イオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成しやすい。一方、NaOの含有量が22%以下であると、充分な耐候性が得られる。
Oは、イオン交換速度を増大しDOLを深くする効果があるため含有してもよい。一方、KOが多くなりすぎると充分なCSが得られなくなる。KOを含有する場合は、10%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。KOの含有量が10%以下であると、充分なCSが得られる。
MgOは、必須ではないが、ガラスを安定化させる成分である。MgOを含有する場合は、2%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましい。また、MgOの含有量は、14%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。MgOの含有量が2%以上であると、ガラスの耐薬品性が良好になる。高温での熔解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、MgOの含有量が14%以下であると、失透の起こりにくさが維持され、充分なイオン交換速度が得られる。
ZrOは、化学強化でのCSを大きくする作用がある。しかし、少量のZrOを含有してもコスト増加の割には、その効果は大きくない。したがって、コストが許す範囲で任意の割合のZrOを含有できる。含有する場合は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
CaOは、ガラスを安定化させる成分である。CaOはアルカリイオンの交換を阻害する傾向があるため、特にDOLを大きくしたい場合は含有量を減らすことが好ましい。一方、耐薬品性を向上させるためには、CaOの含有量は、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましい。CaOを含有する場合の量は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9%以下がさらに好ましい。CaOの含有量が12%以下であると、充分なイオン交換速度が保たれ、所望のDOLが得られる。
SrOは、必須ではないが、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で含有してもよい。SrOは、イオン交換効率を低下させる作用があるため、特にDOLを大きくしたい場合は含有しないことが好ましい。含有する場合のSrO量は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
BaOは、必須ではないが、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で含有してもよい。BaOは、ガラスの比重を重くする作用があるため、軽量化を意図する場合には含有しないことが好ましい。含有する場合のBaO量は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
この他、ガラスの熔融の清澄剤として、硫酸塩、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。
本発明のガラスは、本質的に以上で説明した成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合、それら成分の含有量の合計は5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下、典型的には1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
ZnOは、ガラスの高温での熔融性を向上するために、たとえば2%まで含有してもよい。しかし、フロート法で製造する場合には、フロートバスで還元され製品欠点となるので含有しないことが好ましい。
は、高温での熔融性またはガラス強度の向上のために、1%未満の範囲で含有してもよい。一般的には、NaOまたはKOのアルカリ成分とBを同時に含有すると揮散が激しくなり、煉瓦を著しく浸食するので、Bは実質的に含有しないことが好ましい。なお、本明細書において「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
LiOは、歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果、安定した表面圧縮応力層を得られなくする成分であるので含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は、1%以下が好ましく、0.05%以下がより好ましく、0.01%以下が特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、化学強化ガラス板10の対向する2辺を単純支持し、他の2辺を支持させずに、等分布荷重q(N/mm)を印加したときに、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、式(3)を満たし、等分布荷重qが1000N/m以上であることを特徴とする。
0.30×CS(3)+11.3×DOL(3)−241≧γ×q×c×10−6/t 式(3)
ここで、CS(3)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(3)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、cは化学強化ガラス板10の支持されていない辺の長さ(単位:mm)、tは化学強化ガラス板10の板厚(単位:mm)であり、
γは、化学強化ガラス板10の単純支持された辺の長さをd(単位:mm)としたときに、d/cが3以下の場合式(4)で表され、d/cが3超の場合0.791である。
γ=0.0028×(d/c)−0.0224×(d/c)+0.0577×(d/c)+0.7422 式(4)
ここで、中央部とは、第1の主面11a又は第2の主面11bにおいて、第1の主面11a又は第2の主面11bの重心から50mm以内の領域をいう。
式(3)の左辺は、化学強化ガラスの加傷面強度試験(同心円曲げ試験)の結果から算出した化学強化ガラス破壊応力の近似式である。上記面強度試験の供試体は、フロートガラスに化学強化処理をし、実際に建築窓として20年以上使用されたガラス板の主表面に生じた傷深さの最大値と同等の深さの傷が付く荷重で加傷した化学強化ガラスである。
また、式(3)の右辺は、化学強化ガラス板10の対向する2辺を単純支持し、他の2辺を支持させずに、等分布荷重q(N/m)を印加したときに化学強化ガラス板20に発生する最大応力(N/mm)を表す。
ここで、「2辺を単純支持する」とは、2辺に支持材があり、他の2辺には支持材がなく、化学強化ガラス板10が支持材の中で回転自由に支持されている状態をいう。例えば、複数枚の化学強化ガラス板が短辺同士を隣接されて繋がる連層窓において、化学強化ガラス板の長辺が窓枠に支持され、短辺は構造的に支持されず、隣接する化学強化ガラス板の短辺間にシリコーンシーラント等のシール材を打設した状態が想定される。
化学強化ガラス板10が式(3)を満たせば、化学強化ガラス板10の表面に傷が付いても、等分布荷重qを印加したときに化学強化ガラス板10に発生する最大発生応力が化学強化ガラス板10の破壊応力を超えないことを意味する。つまり、式(3)を満たす化学強化ガラス板10は、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくい。
図5は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(3)を満足する、支持されていない辺の長さcおよび等分布荷重qの範囲を示したものである。ここで、t=10mm、d/c=2である。図5の範囲を満足する化学強化ガラス板10は、外力として等分布荷重qが表面に加わっても割れにくい。
図3は、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の平面図である。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10は、第1の主面11aおよび第2の主面11bのうち少なくとも一方の主面において、4点V、W、X、Yを点支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、式(5)を満たし、4点V、W、X、Yは、第1の主面11a又は第2の主面11bの4つの頂点R、S、T、Uそれぞれから長辺方向に200mm以内および短辺方向に200mm以内の領域に1点ずつあり、4点V、W、X、Yは、点同士を直線で結ぶことにより矩形を形成し、等分布荷重qが1000N/m以上であることを特徴とする。
0.30×CS(5)+11.3×DOL(5)−241≧δ×q×e×10−6/t 式(5)
ここで、CS(5)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(5)は第1の主面11aおよび第2の主面11bの中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、eは4点V、W、X、Yで形成される矩形の短辺の長さ(単位:mm)、tは化学強化ガラス板10の板厚(単位:mm)であり、δは、4点V、W、X、Yで形成される矩形の長辺の長さをf(単位:mm)としたときに、式(6)に示す値である。
δ=0.1634+0.0198×(f/e)+0.7464×(f/e) 式(6)
4点V、W、X、Yは、VとW、WとY、YとX、およびXとVを直線で結んだ時に矩形が形成される位置にある。
式(5)の左辺は、化学強化ガラスの加傷面強度試験(同心円曲げ試験)の結果から算出した化学強化ガラス破壊応力の近似式である。上記面強度試験の供試体は、フロートガラスに化学強化処理をし、実際に建築窓として20年以上使用されたガラス板の主表面に生じた傷深さの最大値と同等の深さの傷が付く荷重で加傷した化学強化ガラスである。
また、式(5)の右辺は、化学強化ガラス板10の第1の主面11a又は第2の主面11bの4点V、W、X、Yを点支持し、等分布荷重q(N/m)を作用させたときに化学強化ガラス板10に発生する最大応力(N/mm)を表す。
化学強化ガラス板10が式(5)を満たせば、化学強化ガラス板10の表面に傷が付いても、等分布荷重qを印加したときに化学強化ガラス板10に発生する最大発生応力が化学強化ガラス板10の破壊応力を超えないことを意味する。つまり、式(5)を満たす化学強化ガラス板10は、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくい。
図6は、等分布荷重qが1000N/m以上であり、式(5)を満足する、矩形の短辺の長さeおよび等分布荷重qの範囲を示したものである。ここで、t=19mm、f/e=2である。図6の範囲を満足する化学強化ガラス板10は、外力として等分布荷重qが表面に加わっても割れにくい。
次に、本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10の製造方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る化学強化ガラス板10を製造する場合、ガラス板製造工程、化学強化処理工程を経る。
ガラス板製造工程では、例えば種々の原料を適量調合し、約1400〜1800℃に加熱し溶融した後、脱泡、攪拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法、ロールアウト法、プレス法などによって板状に成形し、徐冷後所望のサイズに切断してガラス板が製造される。
化学強化処理工程では、得られたガラス板に所望の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を形成する。化学強化処理工程は、予熱工程、化学強化工程、徐冷工程を経る。
予熱工程では、化学強化処理を行う前に、ガラス板を予熱する。予熱は、例えば常温の電気炉にガラス板を入れ、電気炉を予熱温度まで昇温し、一定時間保持することにより行われる。化学強化工程でのサーマルショックによる割れを防ぐ為、昇温終了後にガラス板を予熱温度にて一定時間保持するとよい。この保持時間は、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましく、40分以上が特に好ましい。
化学強化工程では、予熱されたガラス板を、例えば加熱された硝酸カリウム溶融塩に浸漬し、ガラス表層のNaと溶融塩中のKとをイオン交換する。NaとKとをイオン交換できるものであればいずれの方法でもよい。なお、本発明において硝酸カリウム溶融塩または硝酸カリウム塩は、KNOの他、KNOと10質量%以下のNaNOを含有するものなどを含む。
ガラス板に所望の表面圧縮応力を有する圧縮応力層を形成するための化学強化処理条件は、ガラス板の板厚などによっても異なるが、350〜550℃の硝酸カリウム溶融塩に2〜50時間、ガラス板を浸漬させる条件が典型的である。経済的な観点からは、350〜500℃、2〜40時間、ガラス板を浸漬させる条件が好ましく、より好ましい浸漬時間は、2〜30時間である。
徐冷工程では、溶融塩から取り出されたガラス板を徐冷する。溶融塩から取り出されたガラス板は、直ちに徐冷するのではなく、ガラス板の主面に温度分布が生じにくくするために、一定時間、均一な温度で保持されることが好ましい。保持温度は、溶融塩の温度との差が100℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましく、10℃以下が特に好ましい。また、保持時間は、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。
溶融塩から取り出されたガラス板は、ガラス板が100℃となるまでの徐冷速度が300℃/時以下となるように徐冷することが好ましい。徐冷速度は200℃/時以下がより好ましく、100℃/時以下がさらに好ましい。
以上説明した本実施形態の化学強化ガラス板にあっては、表面に傷が付いても、表面に外力が加わったときに割れにくく、大面積である。
本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は本発明に含まれる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
例1〜9は実施例であり、例10〜11は比較例である。
表1に示すガラス組成になるように、珪砂等の各種のガラス原料を調合し、1400〜1500℃の温度で溶融し、得られた溶融ガラスをフロート法で板状に成形し、表2に示す大きさの矩形のガラス板を得た。得られたガラス板のガラス転移点Tg(単位:℃)、T2(単位:℃)、T4(単位:℃)、比重、ヤング率(単位:GPa)を測定した。その結果を表1に示す。
次に、得られたガラス板を、100℃/時以下の速度で昇温し、昇温後に400℃で30分間保持した後、450℃の硝酸カリウム溶融塩に30時間浸漬させ、溶融塩から取り出した後、400℃で30分間保持し、徐冷速度100℃/時以下で徐冷し、化学強化ガラス板を得た。得られた化学強化ガラス板の短辺の長さa(単位:mm)、長辺の長さb(単位:mm)、面積(単位:m)、中央部のCS(単位:N/mm)およびDOL(単位:μm)を測定した。その結果を表2に示す。
また、得られた化学強化ガラス板の4辺を単純支持(4辺支持)し、等分布荷重q(N/m)を印加したときの上記式(1)の左辺および右辺の値、化学強化ガラス板における2辺(短辺)を単純支持(2辺支持)し、他の2辺を支持させずに等分布荷重q(N/m)を印加したときの上記式(3)の左辺および右辺の値、並びに化学強化ガラス板の4つの頂点からそれぞれ長辺方向に75mm、短辺方向に75mmにある点を支持(4点支持)し、等分布荷重q(N/m)を印加したときの上記式(5)の左辺および右辺の値を求めた。その結果を表2に示す。
以下に各物性の測定方法を示す。
(ガラス転移点Tg)
JIS R3103−3(2001年)に規定されている方法に従い、TMAを用いて測定した。
(T
回転粘度計を用いて粘度を測定し、10d・Pa・sとなるときの温度T2(℃)を測定した。
(T
回転粘度計を用いて粘度を測定し、10d・Pa・sとなるときの温度T4(℃)を測定した。
(比重)
泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
(ヤング率)
超音波パルス法により測定した。
(CS、DOL)
表面応力計(折原製作所製:FSM−7000H)を用いて観察される干渉縞の本数とその間隔から算出した。算出に当たり、化学強化ガラス板の屈折率を1.518、光学弾性定数を27.1[(nm/cm)/MPa]とした。
(辺の長さa、b)
鋼製巻尺により測定した。
(厚さt)
マイクロメーターにより測定した。
Figure 0006915625
Figure 0006915625
例1〜9の本発明の化学強化ガラス板は、上述した式(1)を満足するため、外力により割れにくい。特に、4辺支持したときに外力により割れにくい。
さらに、例4〜9の化学強化ガラス板は、上述した式(3)、式(5)を満足するため、2辺支持したとき及び4点支持したときにおいても外力により割れにくい。
比較例である例10〜11の化学強化ガラス板は、式(1)、式(3)および式(5)のいずれも満足せず、外力により割れやすい。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2016年10月21日付けで出願された日本特許出願(特願2016−206933)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明の化学強化ガラス板は、例えば、建築窓、外壁、太陽電池カバーガラス、車両窓として好適に用いられる。
10 化学強化ガラス板
11a 第1の主面
11b 第2の主面
12 端面
R、S、T、U 頂点

Claims (10)

  1. 第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
    前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
    前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
    前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
    前記化学強化ガラス板の4辺を単純支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、式(1)を満たし、
    前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
    前記化学強化ガラス板の4辺が単純支持されていることを特徴とする化学強化ガラス板。
    0.30×CS(1)+11.3×DOL(1)−241≧β×q×a×10−6/t 式(1)
    ここで、CS(1)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(1)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、aは前記化学強化ガラス板の短辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
    βは、前記化学強化ガラス板の長辺の長さをb(単位:mm)としたときに、b/aが5以下の場合式(2)で表され、b/aが5超の場合0.748である。
    β=−0.0009×(b/a)+0.0098×(b/a)−0.014×(b/a)−0.1918×(b/a)+0.8866×(b/a)−0.4187 式(2)
  2. 第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
    前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
    前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
    前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
    前記化学強化ガラス板の対向する2辺を単純支持し、他の2辺を支持させずに、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、式(3)を満たし、
    前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
    前記化学強化ガラス板の2辺が単純支持されていることを特徴とする化学強化ガラス板。
    0.30×CS(3)+11.3×DOL(3)−241≧γ×q×c×10−6/t 式(3)
    ここで、CS(3)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値(単位:N/mm)、DOL(3)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、cは前記化学強化ガラス板の支持されていない辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
    γは、前記化学強化ガラス板の単純支持された辺の長さをd(単位:mm)としたときに、d/cが3以下の場合式(4)で表され、d/cが3超の場合0.791である。
    γ=0.0028×(d/c)−0.0224×(d/c)+0.0577×(d/c)+0.7422 式(4)
  3. 第1の主面および前記第1の主面に対向する第2の主面を有し、前記第1の主面および前記第2の主面に表面圧縮応力が形成され、内部に引張応力が形成された化学強化ガラス板であって、
    前記化学強化ガラス板は、Al の含有量が5モル%以下のソーダライムガラスから構成され、
    前記化学強化ガラス板の板厚は2〜15mmであり、
    前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが50μm以下であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面はともに矩形であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに0.5m以上であり、
    前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面において、4点を点支持し、等分布荷重q(N/m)を印加したときに、式(5)を満たし、
    前記4点は、前記第1の主面又は前記第2の主面の4つの頂点それぞれから長辺方向に
    200mm以内および短辺方向に200mm以内の領域に1点ずつあり、
    前記4点は、点同士を直線で結ぶことにより矩形を形成し、
    前記等分布荷重qが1000N/m以上であり、
    前記4点が点支持されていることを特徴とする化学強化ガラス板。
    0.30×CS(5)+11.3×DOL(5)−241≧δ×q×e×10−6/t 式(5)
    ここで、CS(5)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の表面圧縮応力値CS(単位:N/mm)、DOL(5)は前記第1の主面又は前記第2の主面の中央部の圧縮応力層の板厚方向の厚さ(単位:μm)、eは前記4点で形成される矩形の短辺の長さ(単位:mm)、tは前記化学強化ガラス板の板厚(単位:mm)であり、
    δは、前記4点で形成される矩形の長辺の長さをf(単位:mm)としたときに、式(6)に示す値である。
    δ=0.7464×(f/e)+0.0198×(f/e)+0.1634 式(6)
  4. 前記等分布荷重qが3600N/m以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  5. 前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面のCSが250〜500MPaである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  6. 前記第1の主面および前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面におけるDOLが15〜50μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  7. 前記第1の主面および前記第2の主面の面積がともに3m 以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  8. 前記化学強化ガラス板の粘度が10 dPa・sとなる温度は1550℃以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  9. 前記化学強化ガラス板の粘度が10 dPa・sとなる温度は1050℃以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  10. 前記化学強化ガラス板の比重は2.45以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
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