JP6915379B2 - 複合材料の成形方法および成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複合材料の成形方法および成形装置に関する。
近年、RTM(Resin Transfer Molding)成形法によって製造された成形品が、自動車部品に適用されている。RTM成形法においては、繊維を含有する強化基材が配置されている金型(固定型および可動型)に、樹脂を注入することによって、強化基材に樹脂を含侵させて成形品(複合材料)が成形される。
一方、サイクルタイムの短縮のためには、単位時間当たりの樹脂注入量を増加させることによって、樹脂注入時間を短くする必要がある。しかし、強化基材が流動抵抗となり、単位時間当たりの樹脂注入量を増加させることが困難であった。
そのため、樹脂の注入時における固定型と可動型との間隔を大きくすることで、強化基材の流動抵抗を減少させている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−221642号公報
しかし、固定型と可動型との間隔を、強化基材の大気中での見かけの厚さ以上とする場合、金型に配置されている強化基材の保持力が弱まる。そのため、高圧で注入される樹脂の流動によって、強化基材を構成している繊維が動き、繊維の配向乱れが生じる虞がある。繊維の配向乱れは、成形品の強度や剛性の低下を引き起こし、外観品質が損なわれるため、好ましくない。
一方、強化基材の保持力を確保するため、固定型と可動型との間隔を、強化基材の大気中での見かけの厚さ未満に設定する場合、強化基材の流動抵抗の減少は限定的である。つまり、単位時間当たりの樹脂注入量の増加は、十分ではなかった。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、強化基材を構成している繊維の配向乱れを抑制しながら単位時間当たりの樹脂注入量をより増加させ得る複合材料の成形方法および成形装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一様相は、繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形方法である。前記成形方法においては、固定型と可動型との間隔が強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、押さえ部材によって前記強化基材が押さえ付けられた状態で、樹脂に注入し、前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を後退させる。
上記目的を達成するための本発明の別の一様相は、繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形装置である。前記成形装置の制御装置は、固定型と可動型との間隔が強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、押さえ部材によって前記強化基材が押さえ付けられた状態で、樹脂に注入し、前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を後退させるように構成されている。
本発明の一様相および別の一様相によれば、固定型と可動型との間隔を強化基材の大気中での見かけの厚さ未満に設定する場合に比較し、単位時間当たりの樹脂注入量をより大きくすることが可能である。また、押さえ部材によって強化基材の保持力が確保されるため、高圧で注入される樹脂の流動によって、強化基材を構成している繊維が動くことが妨げられ、これにより、繊維の配向乱れが抑制される。したがって、強化基材を構成している繊維の配向乱れを抑制しながら単位時間当たりの樹脂注入量をより増加させ得る複合材料の成形方法および成形装置を提供することが可能である。
本発明の実施の形態に係る成形装置を説明するための概略図である。 図1に示される押さえ部材の配置を説明するための平面図である。 押さえ部材を説明するための拡大図である。 図3に示される押さえ部材に係るバリを説明するための平面図である。 図3に示される押さえ部材に係るバリを説明するための断面図である。 図1の成形装置が適用される成形方法を説明するためのフローチャートである。 図6に示される型締め工程を説明するための側面図である。 図6に示される押さえ工程を説明するための側面図である。 図6に示される樹脂注入工程を説明するための側面図である。 図6に示される圧縮工程を説明するための側面図である。 図6に示される型開き工程を説明するための側面図である。 本実施の形態に係る変形例1を説明するための断面図である。 本実施の形態に係る変形例2を説明するための断面図である。 図13に示される押さえ部材の押さえ工程での動作を説明するための断面図である。 図13に示される押さえ部材の型開き工程での動作を説明するための断面図である。 本実施の形態に係る変形例3を説明するための概略図である。 図16に示される伸縮性シートの配置を説明するための平面図である。 図16に示される伸縮性シートの押さえ工程での作用を説明するための断面図である。 本実施の形態に係る変形例4を説明するための断面図である。 図19に示される押さえ部材の後退動作を説明するための断面図である。 実施例1〜8および比較例1〜3における樹脂注入速度と配向性との関係を示している性能比較結果のテーブルである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施の形態1に係る成形装置を説明するための概略図、図2は、図1に示される押さえ部材の配置を説明するための平面図、図3は、エジェクタピンを説明するための拡大図、図4および図5は、図3に示される押さえ部材に係るバリを説明するための平面図および断面図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係る成形装置100は、繊維を含有する強化基材に注入樹脂を含侵させて複合材料を成形するために使用され、固定型110、可動型120、第1駆動装置130、エジェクタプレート135、第2駆動装置144、周縁シール部材180、樹脂注入装置185、減圧装置190および制御装置195を有する。
固定型110は、プリフォーム10が配置されるキャビティ面112を有する。プリフォーム10は、シート状の繊維からなる(繊維を含有する)強化基材であり、キャビティ面112の形状に沿うように事前のプリフォーミングされている。必要に応じて、プリフォーム10は、複数の強化基材が接着剤を介して積層された構成を適用することも可能である。
強化基材は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維であり、繊維を縦横に組み合わせた織物の構造を有する。強化基材を積層するための接着剤は、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂である。熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等である。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等である。
可動型120は、固定型110に対して近接離間可能に構成され、キャビティ面122を有する。キャビティ面122は、樹脂注入口124、複数の開口部126、および、吸入口128を有する。なお、可動型120のキャビティ面122と固定型110のキャビティ面112とは、一体として、製造される複合材料の形状を規定している。
第1駆動装置130は、例えば、電動シリンダーあるいは油圧シリンダーを有しており、可動型120を駆動し、固定型110に対する可動型120の位置を変更できるように構成されている。
エジェクタプレート135は、複数の押さえ部材140を有する。押さえ部材140は、金属製であり、エジェクタピンを兼ねており、可動型120のキャビティ面122の開口部126から突出自在に構成される。押さえ部材140(および開口部126)は、図2に示されるように、可動型120のキャビティ面122の樹脂注入口124の周りを取り囲むように位置決めされている。
押さえ部材140の外周と開口部126の内周との間には、図3に示されるように、環状シール部材142が配置されている。環状シール部材142は、フッ素ゴムから形成され、押さえ部材140と開口部126の内周との接触面(摺動面)に注入樹脂20が流入しないように構成されている。環状シール部材142の材質は、フッ素ゴムに限定されず、その他の良好な耐薬品性および耐久性を有するゴムを適用することも可能である。
押さえ部材140における突出側の端部141は、面取りされており、端部141の外周と開口部126の内周との間に、隙間Cを形成する。隙間Cは、注入樹脂20が流入することによって、図4および図5に示されるように、隙間Cに対応するバリFが、製造される複合材料30に形成される。バリFは、検査基準や接着目印に利用することが可能である。
第2駆動装置144は、例えば、電動シリンダーあるいは油圧シリンダーを有しており、エジェクタプレート135を駆動し、可動型120に対するエジェクタプレート135の位置を変更できるように構成されている。つまり、第2駆動装置144は、エジェクタプレート135を介して押さえ部材140を開口部126から突出させ、また、開口部126に後退させるために使用される。必要に応じ、押さえ部材140毎に駆動装置を設けることによって、エジェクタプレート135を省略することも可能である。
周縁シール部材180は、可動型120のキャビティ面122の周りを取り囲むように配置されており、型締めの際に固定型110と可動型120との間を密閉するように構成される。周縁シール部材180は、例えば、ゴム等の弾性材料から形成される。
樹脂注入装置185は、注入樹脂20を保持しており、可動型120のキャビティ面122の樹脂注入口124に連通している。注入樹脂20は、例えば、2液タイプのエポキシ樹脂であり、主剤と硬化剤とを混合して使用される。主剤は、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、硬化剤はアミン系である。
注入樹脂20は、上記形態に限定されず、その他のエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を適用することが可能である。また、注入樹脂20は、必要に応じて、熱可塑性樹脂を適用することも可能である。さらに、注入樹脂20は、離型材を含有させることも可能である。
減圧装置190は、例えば、真空ポンプを有しており、可動型120のキャビティ面122の吸入口128に連通されている。
制御装置195は、プログラムにしたがって各部の制御や各種の演算処理を実施するマイクロプロセッサー等から構成される制御回路197を有し、第1駆動装置130、第2駆動装置144、樹脂注入装置185および減圧装置190に接続されている。成形装置100の各機能は、それに対応するプログラムを制御装置195が実行することにより発揮される。
例えば、制御装置195は、可動型120の位置、押さえ部材140の突出量および樹脂注入装置185による樹脂注入を、制御する。つまり、制御装置195は、後述するように、可動型120を移動させて、固定型110と可動型120との間隔が、プリフォーム10の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、型締めの状態で、押さえ部材140を、プリフォーム10を押圧するまで開口部126から突出させ、プリフォーム10が押さえ付けられた状態で、樹脂172を注入させ、樹脂172の注入の完了後、押さえ部材140を開口部126に後退させるように構成されている。
次に、成形装置100が適用される成形方法を説明する。
図6は、図1の成形装置が適用される成形方法を説明するためのフローチャート、図7、図8、図9、図10および図11は、図6に示される型締め工程、押さえ工程を、樹脂注入工程、圧縮工程および型開き工程を説明するための側面図である。なお、図7〜図11においては、環状シール部材142、第1駆動装置130、第2駆動装置144、樹脂注入装置185、減圧装置190および制御装置195は、省略されている。
本成形方法は、プリフォーム10に樹脂20を含侵させて複合材料30を成形するために使用され、図6に示されるように、基材配置工程、型締め工程、押さえ工程、樹脂注入工程、圧縮工程および型開き工程を、概して有する。
基材配置工程においては、可動型120を固定型110から離間させた状態で、固定型110のキャビティ面112に、プリフォーム10が配置される(図1参照)。
型締め工程においては、第1駆動装置が制御され、図7に示されるように、固定型110に対する可動型120の位置が変更される。可動型120は、固定型110に近接するように移動して、型締めされる。これにより、固定型110、可動型120および周縁シール部材180によって密閉空間Sが形成される。なお、固定型110と可動型120との間隔Dは、プリフォーム10の大気中での見かけの厚さT以上の状態で維持される。
押さえ工程においては、型締めの状態で第2駆動装置が制御され、図8に示されるように、可動型120に対する押さえ部材140の位置が変更される。押さえ部材140は、樹脂注入口124の周りを取り囲むように位置決めされている開口部126から突出し、プリフォーム10を押さえ付ける。これにより、固定型110と可動型120との間隔Dが、プリフォーム10の大気中での見かけの厚さT以上であるが、プリフォーム10の保持力が確保される。
樹脂注入工程においては、押さえ部材によってプリフォームが押さえ付けられた状態で、樹脂注入装置および減圧装置が制御される。これにより、図9に示されるように、密閉空間Sが減圧された状態で、注入樹脂20は、可動型120のキャビティ面122の樹脂注入口124から密閉空間Sに導入される。導入された注入樹脂20は、密閉空間Sの全体を満たし、プリフォーム10に含浸される。
この際、固定型110と可動型120との間隔Dが、プリフォーム10の大気中での見かけの厚さT以上あるため、見かけの厚さT未満である場合に比較し、単位時間当たりの樹脂注入量をより大きくすることが可能である。また、押さえ部材140によってプリフォーム10の保持力が確保されているため、高圧で注入される樹脂20の流動によって、プリフォーム10を構成している繊維が動くことが妨げられ、これにより、繊維の配向乱れが抑制される。また、押さえ部材140は、繊維の乱れが発生し易い樹脂注入口124の周囲を押さえているため、繊維の配向乱れが効率的に抑制される。
樹脂20の注入の完了後、第2駆動装置が制御されて、押さえ部材140が開口部126に後退させられる。これにより、押さえ部材140による成形への干渉が抑制される。
環状シール部材142は、押さえ部材140の外周と開口部126の内周との接触面(摺動面)に、注入樹脂20が流入することを抑制する(図3参照)。したがって、注入樹脂20が、接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止されるため、押さえ部材140は、開口部126に容易に後退することが可能である。
圧縮工程においては、第1駆動装置が制御され、図10に示されるように、可動型120が、固定型110にさらに近接するように移動させられる。これにより、固定型110と可動型120との間隔Dは、プリフォーム10の大気中での見かけの厚さT以上から、予め設定された複合材料(成形品)の厚みTまで狭められる。
そして、この状態は、プリフォーム10に含侵した注入樹脂20の硬化(複合材料30の成形)が完了するまで、維持される。なお、注入樹脂20が熱硬化性樹脂の場合、例えば、固定型110および/又は可動型120は、ヒーター等の加熱装置によって昇温される。また、符号10Aは、注入樹脂が含侵したプリフォームを示している。
型開き工程においては、第1駆動装置および第2駆動装置が制御され、図11に示されるように、固定型110に対する可動型120の位置および可動型120に対する押さえ部材140の位置が変更される。これにより、可動型120は、固定型110から離間するように移動して型開きされる。一方、押さえ部材140は、エジェクタピンとして機能する。つまり、開口部126から突出する押さえ部材140によって、可動型120に付着している成形品である複合材料30が、剥離(脱型)される。
なお、樹脂注入工程あるいは圧縮工程において、押さえ部材140の面取りされた端部141と開口部126の内周との間に形成される隙間C(図3参照)には、注入樹脂20が流入するため、複合材料30は、隙間Cに対応するバリFを有する(図4および図5参照)。
次に、変形例1を説明する。
図12は、本実施の形態に係る変形例1を説明するための断面図である。
変形例1に係る押さえ部材140は、図12に示されるように、樹脂材料によって構成されている。樹脂材料は、例えば、フッ素樹脂や硬質ゴムである。
押さえ部材140は、注入樹脂20からの伝熱に基づいて熱膨張する一方、樹脂材料の熱膨張率は、概して金属の熱膨張率より大きい。そのため、押さえ部材140が樹脂材料によって構成される場合、熱膨張率の差異に基づき、金属によって構成される場合に比較し、押さえ部材140の外周と開口部126の内周との間のシール性を向上させることが可能であり、また、環状シール部材142を適宜省略することも可能である。つまり、押さえ部材140の材料は、注入樹脂20からの伝熱に基づいて熱膨張することによって、押さえ部材140の外周と開口部126の内周との間のシール性を向上させ得る樹脂材料から選択されることが好ましい。
押さえ部材140は、全体が樹脂材料あるは金属によって構成される形態に限定されず、例えば、開口部126の内周と接する部位およびその近傍のみを樹脂材料によって構成することが可能である。また、押さえ部材140は、金属芯材の周囲を樹脂材料によって被覆して構成することも可能である。
次に、変形例2を説明する。
図13は、本実施の形態に係る変形例2を説明するための断面図、図14および図15は、図13に示される押さえ部材の押さえ工程および型開き工程での動作を説明するための断面図である。
変形例2に係る押さえ部材140は、図13に示されるように、スリーブ部150、ピン部152および伸縮性膜154を有する。スリーブ部150は、略円筒状の金属部材であり、可動型120のキャビティ面122の開口部126から突出自在に構成される。ピン部152は、中実の金属部材であり、スリーブ部150の貫通孔151に配置され、スリーブ部150から突出自在に構成される。伸縮性膜154は、例えば、フッ素ゴムからなり、貫通孔151を密閉している。
伸縮性膜154は、開口部126の周囲と伸縮性膜154とが面一となっている(伸縮性膜154が開口部126から突出していない)状態で、貫通孔151から突出するピン部152によって弾性変形し、ピン部152が、伸縮性膜154を介してプリフォーム10を押さえ付けることを許容するように構成されている。
したがって、押さえ工程においては、図14に示されるように、スリーブ部150の貫通孔151は、伸縮性膜154によって密閉されているため(注入樹脂と直接接触ないため)、ピン部152の外周とスリーブ部150の内周との間への注入樹脂の流入は確実に排除される。そのため、注入樹脂が、ピン部152の外周とスリーブ部150の内周との接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止され、ピン部152は、スリーブ部150の貫通孔151に容易に後退することが可能である。
なお、型開き工程においては、図15に示されるように、スリーブ部150、ピン部152および伸縮性膜154は、一体として、開口部126から突出し、可動型120から複合材料30を剥離する。また、押さえ工程のように、スリーブ部150を開口部126から突出させず、スリーブ部150の貫通孔151から突出するピン部152によって複合材料30を剥離することも可能である。
ピン部152の材質は、金属に限定されず、伸縮性膜154を弾性変形させ得る剛性を有していれば特に限定されない。伸縮性膜154は、プリフォーム10に到達し得る弾性変形能を有していれば、フッ素ゴムに限定されず、その他の良好な耐薬品性および耐久性を有するゴムを適用することも可能である。
次に、変形例3を説明する。
図16は、本実施の形態に係る変形例3を説明するための概略図、図17は、図16に示される伸縮性シートの配置を説明するための平面図、図18は、図16に示される伸縮性シートの押さえ工程での作用を説明するための断面図である。なお、図16においては、第1駆動装置130、第2駆動装置144、樹脂注入装置185、減圧装置190および制御装置195は、省略されている。
変形例3に係る成形装置は、図16および図17に示されるように、伸縮性シート材160を有する。伸縮性シート材160は、例えば、フッ素ゴムからなり、注入樹脂の注入および減圧に干渉しないように樹脂注入口124および吸入口128を除き、可動型120のキャビティ面122全面を覆うように配置される。
伸縮性シート材160は、可動型120のキャビティ面122の開口部126から突出する押さえ部材140によって弾性変形し、押さえ部材140が、伸縮性シート材160を介してプリフォーム10を押さえ付けることを許容するように、構成されている。
したがって、押さえ工程においては、図18に示されるように、押さえ部材140が突出する開口部126は、伸縮性シート材160によって覆われているため(注入樹脂と直接接触ないため)、押さえ部材140の外周と開口部126の内周との間への注入樹脂の流入は確実に排除される。したがって、流入した注入樹脂が、押さえ部材140の外周と開口部126の内周との接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止され、押さえ部材140は、開口部126に容易に後退することが可能である。
伸縮性シート材160の材質は、プリフォーム10に到達し得る弾性変形能を有していれば、フッ素ゴムに限定されず、その他の良好な耐薬品性および耐久性を有するゴムを適用することも可能である。また、伸縮性シート材160は、少なくとも全ての開口部126を塞いでいれば、可動型120のキャビティ面122全面を覆う形態に限定されない。
次に、変形例4を説明する。
図19は、本実施の形態に係る変形例4を説明するための断面図、図20は、図19に示される押さえ部材の後退動作を説明するための断面図である。
変形例4に係る成形装置は、図19に示されるように、圧力調整装置178をさらに有し、かつ、押さえ部材140は、可動型120のキャビティ面122の開口部126を密閉する中空構造体170から構成される。なお、開口部126は、円筒状本体部127Aおよびリング状部127Bを有する。円筒状本体部127Aは、一端がキャビティ面側に位置し、他端が、リング状部127Bに連結されている。リング状部127Bは、圧力調整装置178に連通しており、その径は、円筒状本体部127Aの径より大きい。
圧力調整装置178は、制御装置195(図1参照)に接続されており、流体(ガスあるいは液体)を、開口部126のリング状部127Bを経由して、中空構造体170の内部に導入することにより、中空構造体170の内部の圧力を調整可能に構成されている。
中空構造体170は、例えば、フッ素ゴムからなり、流体が導入されて内部が正圧にされると(昇圧すると)拡張してプリフォーム10を押さえ付けるまで開口部126から突出し、そして、図20に示されるように、流体が排出されて内部が負圧にされると(減圧されると)収縮して開口部126に後退するように、構成されている。
詳述すると、中空構造体170は、互いに連通している基部172、フランジ部174および突出部176を有する。基部172は、円筒状であり、開口部126の円筒状本体部127Aの内周に密着するように構成される。フランジ部174は、基部172の一端から側方に延長し、開口部126のリング状部127Bの内部に配置されて固定される。突出部176は、基部172から隆起するように設けられている中空体であり、その径は、基部172の径より小さく、中空構造体170の内部が負圧にされると収縮して、円筒状本体部127Aに収容されるように構成されている。
したがって、中空構造体170は、開口部126から突出する場合および開口部126に後退する場合、開口部126の内周と摺動しないため、中空構造体170の外周と開口部126の内周との間に流入した注入樹脂による中空構造体170の後退への干渉が抑制される(中空構造体170は、開口部126に容易に後退することが可能である)。
なお、突出時の中空構造体170の内圧は、プリフォーム10を押さえ付ける力を考慮して設定され、後退時の中空構造体170の内圧は、突出部176を変形させる力を考慮して設定される。また、中空構造体170の材質は、突出部176が基部172に収容され得る変形能を有していれば、フッ素ゴムに限定されず、その他の良好な耐薬品性および耐久性を有するゴムを適用することも可能である。
次に、実施例1〜8の性能比較結果を説明する。
図21は、実施例1〜8および比較例1〜3における樹脂注入速度と配向性との関係を示している性能比較結果のテーブルである。
実施例1〜8は、型締め時にける固定型と可動型との間隔Dが、プリフォームの大気中の見かけの厚みT以上である。樹脂注入速度[mm/s]は、実施例1、3、5、7は、100であり、実施例2、4、6、8は、150である。
一方、比較例1〜3は、型締め時にける固定型と可動型との間隔Dが、プリフォームの大気中の見かけの厚みT未満かつ予め設定された成形品の厚みTより大きくなるように設定されている。樹脂注入速度[mm/s]は、比較例1、2、3は、30、50、80である。なお、樹脂注入速度は、単位時間当たりの樹脂注入量に比例する。
なお、実施例1および2は、図3に示される構成に対応し、実施例3および4は、図13に示される構成に対応し、実施例5および6は、図16に示される構成に対応し、実施例7および8は、図19に示される構成に対応している。
性能評価は目視で行い、プリフォームを構成している繊維の配向乱れがない場合をA、繊維の配向乱れが若干存在する場合をB、繊維の配向乱れが顕著に存在する場合をCで示している。
図21に示されるように、比較例1は、良好な配向性を有しており、Aの評価であるが、樹脂注入速度が30[mm/s]であり、タイムサイクルを短縮化することが困難である。また、比較例1に比較して樹脂注入速度を増加させた比較例2の場合は、繊維の配向乱れが生じており、Bの評価である。さらに、比較例2に比較して樹脂注入速度を増加させた比較例3の場合、顕著な繊維の配向乱れが生じており、Cの評価であった。つまり、比較例1〜3は、繊維の配向乱れを抑制しながら樹脂注入速度を増加させることが困難である。
一方、実施例1〜8は、大幅なタイムサイクルの短縮化が可能である樹脂注入速度(100[mm/s]および150[mm/s])において、Aの評価であり、プリフォームを構成している繊維の配向乱れはなく、良好な配向性を有する。つまり、実施例1〜8は、比較例1〜3と異なり、繊維の配向乱れを抑制しながら樹脂注入速度(単位時間当たりの樹脂注入量)をより増加させてサイクルタイムを向上させることが可能である。
以上のように、本実施の形態においては、固定型と可動型との間隔が強化基材(プリフォーム)の大気中での見かけの厚さ以上であるため、見かけの厚さ未満である場合に比較し、単位時間当たりの樹脂注入量をより大きくすることが可能である。また、可動型のキャビティ面の開口部から突出する押さえ部材によって強化基材の保持力が確保されるため、高圧で注入される注入樹脂の流動によって、強化基材を構成している繊維が動くことが妨げられ、これにより、繊維の配向乱れが抑制される。したがって、強化基材を構成している繊維の配向乱れを抑制しながら単位時間当たりの樹脂注入量をより増加させ得る複合材料の成形方法および成形装置を提供することが可能である。
押さえ部材の外周と開口部の内周との間に、環状シール部材を配置して、注入樹脂の流入を抑制する場合、注入樹脂が、押さえ部材の外周と開口部の内周との接触面(摺動面)に、損傷を与えることが防止され、押さえ部材は、開口部に容易に後退することが可能である。
押さえ部材における突出側の端部が、面取りされており、前記端部の外周と開口部の内周との間に形成される隙間に、注入樹脂を流入させ、前記隙間に対応するバリを複合材料に形成する場合、検査基準や接着目印に利用されるバリを、効率的に形成することが可能である。
押さえ部材において少なくとも開口部の内周と接する部位を、注入樹脂からの伝熱に基づいて熱膨張することによって、前記部位の外周と開口部の内周との間のシール性を向上させ得る樹脂材料から構成する場合、注入樹脂が押さえ部材の外周と開口部の内周との間に流入して接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止され、また、押さえ部材が開口部に後退することを妨げることが抑制される。
押さえ部材を、スリーブ部、中実のピン部および伸縮性膜によって構成し、スリーブ部の貫通孔からピン部を突出させ、貫通孔を密閉している伸縮性膜を弾性変形させ、伸縮性膜を介して強化基材を押さえ付ける場合、スリーブ部の貫通孔は、伸縮性膜によって密閉されているため(注入樹脂と直接接触ないため)、ピン部の外周とスリーブ部の内周との間への注入樹脂の流入は確実に排除される。したがって、注入された注入樹脂が、ピン部の外周とスリーブ部の内周との接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止され、ピン部は、スリーブ部の貫通孔に容易に後退することが可能である。
伸縮性シート材を、開口部から突出する押さえ部材によって弾性変形させて、伸縮性シート材を介して強化基材を押さえ付ける場合、開口部は、伸縮性シート材によって覆われているため(注入樹脂と直接接触ないため)、押さえ部材の外周と開口部の内周との間への注入樹脂の流入は確実に排除される。したがって、流入した注入樹脂が、押さえ部材の外周と開口部の内周との接触面(摺動面)に損傷を与えることが防止され、押さえ部材は、開口部に容易に後退することが可能である。
押さえ部材を、開口部を密閉する中空の構造体から構成する場合、押さえ部材は、摺動しないため、押さえ部材の外周とキャビティ面の開口部の内周との間に流入した注入樹脂による押さえ部材の後退への干渉が抑制される(押さえ部材は、開口部に容易に後退することが可能である)。
押さえ部材が突出する開口部を、樹脂注入口の周りを取り囲むように配置する場合、強化基材を構成している繊維の乱れが発生し易い注入樹脂の注入口の周囲が押さえ部材によって押さえ付けられるため、繊維の配向乱れを効率的に抑制することが可能である。
押さえ部材がエジェクタピンを兼ねる場合、部品点数の増加を抑制することが可能である。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。
例えば、プリフォームおよび複合材料(成形品)の形状は、上記形態に限定されず、自動車の車体に使用されるフロントサイドメンバーやピラー等の骨格部品、ルーフ等の外板部品に適用される場合、それらに対応したより複雑な形状を呈することとなる。また、押さえ部材は、エジェクタピンを兼ねる形態に限定されず、独立して設けることも可能である。
10 プリフォーム(強化基材)、
10A 注入樹脂が含侵したプリフォーム、
20 注入樹脂、
30 複合材料(成形品)、
100 成形装置、
110 固定型、
112 キャビティ面、
120 可動型、
122 キャビティ面、
124 樹脂注入口、
126 開口部、
127A 円筒状本体部、
127B リング状部、
128 吸入口、
130 第1駆動装置、
135 エジェクタプレート、
140 押さえ部材(エジェクタピン)、
141 端部、
142 環状シール部材、
144 第2駆動装置、
150 スリーブ部、
151 貫通孔、
152 ピン部、
154 伸縮性膜、
160 伸縮性シート材、
170 中空構造体(押さえ部材)、
172 基部、
174 フランジ部、
176 突出部、
178 圧力調整装置、
180 周縁シール部材、
185 樹脂注入装置、
190 減圧装置、
195 制御装置、
197 制御回路、
C 隙間、
D 固定型と可動型との間隔、
F バリ、
S 密閉空間、
予め設定された複合材料の厚み、
プリフォームの大気中での見かけの厚み。

Claims (14)

  1. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形方法であって、
    可動型を移動させ、前記強化基材が配置された固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記可動型のキャビティ面に形成された開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂注入し、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させてなり、
    前記押さえ部材の外周と前記開口部の内周との間に配置される環状シール部材によって、前記樹脂の流入を抑制し、
    前記押さえ部材における面取りされている突出側の端部の外周と前記開口部の内周との間に形成される隙間に、前記樹脂を流入させ、前記隙間に対応するバリを前記複合材料に形成することを特徴とする成形方法。
  2. 前記押さえ部材において少なくとも前記開口部の内周と接する部位を、樹脂材料から構成し、前記部位を前記樹脂からの伝熱に基づいて熱膨張させることによって、前記部位の外周と前記開口部の内周との間のシール性を向上させることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
  3. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形方法であって、
    可動型を移動させ、前記強化基材が配置された固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記可動型のキャビティ面に形成された開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入し、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させてなり、
    前記押さえ部材は、スリーブ部、中実のピン部および伸縮性膜を有しており、
    前記スリーブ部の貫通孔から前記ピン部を突出させ、前記貫通孔を密閉している前記伸縮性膜を弾性変形させ、前記伸縮性膜を介して前記強化基材を押さえ付けることを特徴とする成形方法
  4. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形方法であって、
    可動型を移動させ、前記強化基材が配置された固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記可動型のキャビティ面に形成された開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入し、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させてなり、
    前記キャビティ面に少なくとも前記開口部を覆うように配置される伸縮性シート材を、前記開口部から突出する前記押さえ部材によって弾性変形させて、前記伸縮性シート材を介して前記強化基材を押さえ付けることを特徴とする成形方法
  5. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形方法であって、
    可動型を移動させ、前記強化基材が配置された固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記可動型のキャビティ面に形成された開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入し、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させてなり、
    前記押さえ部材は、前記開口部を密閉する中空の構造体から構成されており、
    前記押さえ部材による前記強化基材の押圧は、前記構造体の内部を正圧にして拡張させて、前記開口部から突出させることによって実行され、
    前記押さえ部材の前記開口部への後退は、前記構造体の内部を負圧にして収縮させることによって実行されることを特徴とする成形方法
  6. 前記押さえ部材による前記強化基材の押圧は、
    前記キャビティ面に配置される前記樹脂の注入口の周りを取り囲むように位置決めされている複数の前記開口部から、複数の前記押さえ部材を突出させることによって実行されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形方法。
  7. 型開きの際、前記押さえ部材を、前記開口部から突出させることによって、成形された前記複合材料を、前記可動型から脱型させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形方法。
  8. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形装置であって、
    前記強化基材が配置される固定型と、
    開口部が形成されたキャビティ面を有し、かつ、前記固定型に対して近接離間可能に構成される可動型と、
    前記開口部から突出自在に構成される押さえ部材と、
    前記樹脂を注入するための樹脂注入装置と、
    前記可動型の位置、前記押さえ部材の突出量および前記樹脂注入装置による樹脂注入を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、
    前記可動型を移動させて、前記固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、前記押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入させ、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させるように構成されてなり、
    前記押さえ部材の外周と前記開口部の内周との間に、環状シール部材が配置され、
    前記押さえ部材における突出側の端部は、面取りされていることを特徴とする成形装置。
  9. 前記押さえ部材において少なくとも前記開口部の内周と接する部位は、前記樹脂からの伝熱に基づいて熱膨張することによって、前記部位の外周と前記開口部の内周との間のシール性を向上させ得る樹脂材料から構成されていることを特徴とする請求項8に記載の成形装置。
  10. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形装置であって、
    前記強化基材が配置される固定型と、
    開口部が形成されたキャビティ面を有し、かつ、前記固定型に対して近接離間可能に構成される可動型と、
    前記開口部から突出自在に構成される押さえ部材と、
    前記樹脂を注入するための樹脂注入装置と、
    前記可動型の位置、前記押さえ部材の突出量および前記樹脂注入装置による樹脂注入を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、
    前記可動型を移動させて、前記固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、前記押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入させ、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させるように構成されてなり、
    前記押さえ部材は、前記開口部から突出自在に構成されるスリーブ部と、前記スリーブ部の貫通孔に配置され、前記スリーブ部から突出自在に構成される中実のピン部と、前記貫通孔を密閉している伸縮性膜と、を有し、
    前記伸縮性膜は、前記貫通孔から突出する前記ピン部によって弾性変形し、前記ピン部が、前記伸縮性膜を介して前記強化基材を押さえ付けることを許容するように構成されていることを特徴とする成形装置
  11. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形装置であって、
    前記強化基材が配置される固定型と、
    開口部が形成されたキャビティ面を有し、かつ、前記固定型に対して近接離間可能に構成される可動型と、
    前記開口部から突出自在に構成される押さえ部材と、
    前記樹脂を注入するための樹脂注入装置と、
    前記可動型の位置、前記押さえ部材の突出量および前記樹脂注入装置による樹脂注入を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、
    前記可動型を移動させて、前記固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、前記押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入させ、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させるように構成されてなり、
    前記キャビティ面に少なくとも前記開口部を覆うように配置される伸縮性シート材を、さらに有しており、
    前記伸縮性シート材は、前記開口部から突出する前記押さえ部材によって弾性変形し、前記押さえ部材が、前記伸縮性シート材を介して前記強化基材を押さえ付けることを許容するように、構成されていることを特徴とする成形装置
  12. 繊維を含有する強化基材に樹脂を含侵させて複合材料を成形する成形装置であって、
    前記強化基材が配置される固定型と、
    開口部が形成されたキャビティ面を有し、かつ、前記固定型に対して近接離間可能に構成される可動型と、
    前記開口部から突出自在に構成される押さえ部材と、
    前記樹脂を注入するための樹脂注入装置と、
    前記可動型の位置、前記押さえ部材の突出量および前記樹脂注入装置による樹脂注入を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、
    前記可動型を移動させて、前記固定型と前記可動型との間隔が、前記強化基材の大気中での見かけの厚さ以上の状態で型締めし、
    前記型締めの状態で、前記押さえ部材を、前記強化基材を押さえ付けるまで前記開口部から突出させ、
    前記強化基材が押さえ付けられた状態で、前記樹脂を注入させ、
    前記樹脂の注入の完了後、前記押さえ部材を前記開口部に後退させるように構成されてなり、
    前記押さえ部材は、前記開口部を密閉する中空の構造体から構成されており、
    前記構造体は、前記構造体の内部が正圧にされると拡張して前記強化基材を押さえ付けるまで前記開口部から突出し、前記構造体の内部が負圧にされると収縮して前記開口部に後退するように、構成されていることを特徴とする成形装置
  13. 前記開口部および前記押さえ部材は、複数配置され、
    前記キャビティ面は、前記樹脂の注入口を有しており、
    複数の前記開口部は、前記注入口の周りを取り囲むように位置決めされていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の成形装置。
  14. 前記押さえ部材は、エジェクタピンを兼ねていることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の成形装置。
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