JP6915364B2 - 燃圧モデル波形算出装置 - Google Patents

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本発明は、インジェクタにより、一燃焼サイクル中に燃料噴射を複数回行う多段噴射を実行させたときの、2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する燃圧モデル波形算出装置に関する。
例えば、特許文献1には、燃圧センサが検出する燃圧波形をモデル式により表したモデル波形の実燃圧波形に対する近似度を高めるべく、モデル式に含まれる複数のパラメータの値を学習する学習装置が記載されている。特許文献1のモデル式は、複数の減衰振動方程式を重ね合わせることによって求められる。複数の減衰振動方程式には、燃料噴射によって生じた燃圧脈動が、噴射孔から燃圧センサに伝播する際にインジェクタ内部で減衰する減衰振動を表す第1減衰振動方程式、噴射孔からインジェクタとコモンレールとを繋ぐ高圧配管に設けられたオリフィスにて反射され燃圧センサまで伝播する際の減衰振動を表す第2減衰振動方程式、及び、噴射孔からコモンレールを経由して他のインジェクタの燃圧センサまで伝播する際の減衰振動を表す第3減衰振動方程式が含まれる。これら複数の減衰振動方程式は、方程式の形式は共通であるが、振幅、減衰係数、周波数、位相などのパラメータが異なっている。
そして、特許文献1の学習装置では、燃料噴射を停止させてエンジン回転速度が減速している期間に、微小量の燃料を一燃焼サイクル中に1回だけ噴射する単段微小噴射を実施する。この単段微小噴射に伴って燃圧センサが検出する燃圧波形を学習規範値として、モデル式に含まれる各減衰振動方程式の複数のパラメータの値を学習する。
また、特許文献2には、n段目噴射に起因した燃圧波形を多段噴射時検出波形から高精度に抽出する燃圧波形取得装置について記載されている。この燃圧波形取得装置では、単段の燃料噴射による圧力脈動をうねり波形として、単一の減衰振動方程式からなるモデル式によって表す。そして、噴射開始時燃圧や噴射量等の噴射条件を種々異ならせた各種の態様での単段噴射によるうねり波形のモデル式を取得してECUのメモリに記憶させておく。
特許文献2の装置では、多段噴射が行われたときに、メモリに記憶されているうねり波形のモデル式の中から、n−1段目噴射の噴射開始時燃圧や噴射量等の噴射態様に基づき、その噴射態様に最も近い噴射態様に対応するうねり波形のモデル式を選択し、n−1段目噴射のうねり波形とする。このn−1段目噴射のうねり波形を、n段目噴射時に燃圧センサが検出する燃圧波形から差し引くことにより、n段目噴射に起因した燃圧波形を求める。
特開2010−3004号公報 特開2012−2174号公報
特許文献2におけるうねり波形をより高精度なものとするために、そのうねり波形のモデル式を、特許文献1に記載されたような複数の減衰振動方程式を重ね合わせたモデル式とすることが考えられる。しかし、特許文献2のうねり波形のモデル式として、特許文献1のモデル式を採用した場合、以下に説明するような懸念が生じる虞がある。
すなわち、特許文献2の手法に従うと、うねり波形のモデル式に含まれる第1〜第3減衰振動方程式のそれぞれについて、燃料を噴射するインジェクタにおける噴射開始時燃圧や噴射量等の噴射態様に応じて、メモリから選択することになる。しかしながら、多段噴射が行われているインジェクタにおける燃圧は、燃料の噴射によって大きく変動する。このため、その燃圧変動の影響により、噴射開始時燃圧として、例えば、別のインジェクタに対応して設けられた燃圧センサによって検出される燃圧とは異なる燃圧を検出する可能性を否定できない。
ここで、上記の第1〜第3減衰振動方程式の内、第3減衰振動方程式は、燃料噴射を行ったインジェクタの噴孔から、コモンレールを経由して、他のインジェクタの噴孔までの経路で、繰り返し伝播される圧力脈動を模擬したものである。従って、燃料噴射を行ったインジェクタに対応して設けられた燃圧センサが検出する燃圧が、噴射による燃圧変動の影響を受けている場合、その燃圧は、第3減衰振動方程式が対象とする経路全体から見て、実際の圧力脈動に対応する圧力レベルからずれている可能性がある。そのような場合、選択された第3減衰振動方程式により模擬される圧力脈動と、実際の圧力脈動との間に誤差が生じ、結果として、第1〜第3減衰振動方程式を含むモデル式によって表されるモデル波形の精度が低下してしまう。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、多段噴射の2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形をより高精度に算出することが可能な燃圧モデル波形算出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による燃圧モデル波形算出装置は、内燃機関に搭載されたインジェクタ(20)により、一燃焼サイクル中に燃料噴射を複数回行う多段噴射を実行させたときの、2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出するものであって、
内燃機関は、複数の気筒を有し、
インジェクタは、複数の気筒にそれぞれ設けられ、それら複数のインジェクタには、燃料噴射のために同じコモンレール(12)から高圧燃料が導入され、複数の気筒の燃焼サイクルは相互に位相がずらされており、
複数の前記インジェクタの内の第1インジェクタ(20_1)及び第2インジェクタ(20_2)に対応してそれぞれ設けられ、第1及び第2インジェクタに導入される燃料圧力を個々に検出する第1燃圧センサ(20a_1)及び第2燃圧センサ(20a_2)と、
第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を実行したとき、第1燃圧センサによって検出される燃料圧力の変化に基づいて、第1インジェクタが実行した燃料噴射における噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率を算出するモデル噴射率算出部(S280)と、
第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に第1燃圧センサによって検出される燃料圧力と、モデル噴射率算出部によって算出されたモデル噴射率とに基づいて、第1インジェクタの噴孔から第1インジェクタの高圧燃料導入孔までの経路で発生する圧力脈動を示す第1減衰波形成分を定める第1設定部(S410)と、
第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に第1燃圧センサによって検出される燃料圧力と、モデル噴射率算出部によって算出されたモデル噴射率とに基づいて、第1インジェクタの噴孔からコモンレールに至るまでの経路で発生する圧力脈動を示す第2減衰波形成分を定める第2設定部(S420)と、
第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に第2燃圧センサによって検出される燃料圧力と、モデル噴射率算出部によって算出されたモデル噴射率とに基づいて、第1インジェクタの噴孔からコモンレールを介して第2インジェクタの噴孔に至るまでの経路で発生する圧力脈動を示す第3減衰波形成分を定める第3設定部(S430)と、
第1減衰波形成分、第2減衰波形成分及び第3減衰波形成分を合成して、多段噴射の2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する燃圧モデル波形算出部(S440)と、を備える。
上述したように、本発明による燃圧モデル波形算出装置においても、特許文献1と同様に、第1〜第3減衰波形成分を合成して(重ね合わせて)、燃圧モデル波形を算出する。
そして、本発明による燃圧モデル波形算出装置では、第1及び第2減衰波形成分は、燃料噴射を実行する第1インジェクタに対応して設けられた第1燃圧センサによって検出される、燃料噴射開始の際の燃料圧力と、その燃料噴射における噴射率変化を示すモデル噴射率とに基づいて、それぞれ設定される。しかしながら、第3減衰波形成分は、燃料を噴射していない第2インジェクタに対応して設けられた第2燃圧センサによって検出される、燃料噴射開始の際の燃料圧力と、上述したモデル噴射率とに基づいて設定される。
第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を実行したときに、第2燃圧センサによって検出される燃料圧力に対する、それ以前の第1インジェクタの燃料噴射による燃料圧力の変動の影響は僅かに留まる。従って、第2の燃圧センサにより、第3減衰波形成分が対象とする経路全体として、第1インジェクタの2段目以降の燃料噴射による実際の圧力脈動に対応するレベルの燃圧を検出することができる。その結果、設定される第3減衰波形成分の精度を高めることができ、ひいては、第1〜第3減衰波形成分から算出される、多段噴射の2段目以降の燃料噴射による燃圧モデル波形の精度を高めることができる。
上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
実施形態による燃圧モデル波形算出装置が適用された燃料噴射制御システムの全体構成を示す構成図である。 第1〜第3減衰波形成分について説明するための説明図である。 第1〜第3減衰波形成分及びそれらの成分から算出される燃圧モデル波形の一例を示す波形図である。 多段噴射が行われたときの、噴射制御対象インジェクタでの燃料圧力の変化と、非噴射制御対象インジェクタでの燃料圧力の変化の様子の一例を示すタイムチャートである。 各インジェクタによる燃料噴射を制御するための処理を示すフローチャートである。 噴射制御対象インジェクタから燃料噴射が行われたときに、対応する燃圧センサによって検出される燃料圧力に基づき、実際に噴射された噴射量を推定するための処理を示すフローチャートである。 以前の燃料噴射に起因する圧力脈動の影響を除去するためのうねり消し処理を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る燃圧モデル波形算出装置の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態による燃圧モデル波形算出装置が適用された燃料噴射制御システムの全体構成を示す構成図である。なお、図1には、本実施形態による燃料噴射制御システム50を4気筒ディーゼルエンジンに適用した場合の構成を示している。また、本実施形態に係る燃料噴射制御システム50は、コモンレール式燃料噴射システムであり、ディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に、直接的に高圧燃料(例えば噴射圧力「1000気圧」以上の軽油)を噴射することが可能なものである。
図1に示すように、本実施形態の燃料噴射制御システム50は、ディーゼルエンジンの各気筒に噴射供給する燃料を高圧に保持(蓄圧)するコモンレール12と、燃料タンク10から吸入した燃料を加圧してコモンレール12内に燃料供給管を介して圧送する燃料ポンプ11と、コモンレール12内の高圧燃料をディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に直接的に噴射供給する複数個(本実施形態では4個)のインジェクタ20と、燃料ポンプ11および複数個のインジェクタ20などを電子制御する電子制御ユニット(以下、ECU)30と、を備えている。
燃料ポンプ11は、燃料フィルタ10bが設けられた配管10aを介して、燃料タンク10に接続されている。燃料ポンプ11は、高圧ポンプ11aと、高圧ポンプ11aのフィードポンプとして機能する低圧ポンプ11bとを有している。低圧ポンプ11bは、燃料タンク10から燃料を汲み上げ、その汲み上げられた燃料を高圧ポンプ11aに圧送する。高圧ポンプ11aは、低圧ポンプ11bによって圧送された燃料をさらに加圧して、吐出する。なお、高圧ポンプ11a及び低圧ポンプ11bは、ともに、ディーゼルエンジンにより駆動されて回転する駆動軸11dによって駆動される。
燃料ポンプ11の燃料吸入側には、ECU30によって開度が制御される吸入調整弁(SCV:Suction Control Valve)11cが設けられている。この吸入調整弁11cにより、燃料ポンプ11に吸入される燃料量が調整される。それにより、低圧ポンプ11bから高圧ポンプ11aへの燃料の圧送量、ひいては燃料ポンプ11の燃料吐出量が調量される。従って、ECU30は、吸入調整弁11cの開度制御を通じて、コモンレール12に蓄圧される高圧燃料の圧力を目標とする圧力に一致するように制御することができる。
燃料ポンプ11を構成する2種のポンプのうち、低圧ポンプ11bは、例えばトロコイド式のフィードポンプとして構成され得る。これに対し、高圧ポンプ11aは、例えばプランジャポンプからなり、図示しない偏心カムにてプランジャを軸方向に往復動させることにより、加圧室に導入された燃料を加圧して圧送する。この結果、コモンレール12内の燃料圧力は、高圧ポンプ11aから燃料の圧送が行われるごとに、徐々に上昇することになる。
コモンレール12は、高圧状態で蓄えた燃料を、気筒毎に設けられた高圧配管14を通じて、第1気筒(#1)〜第4気筒(#4)の各インジェクタ20_1〜20_4へ供給する。以後の説明では、それぞれのインジェクタ20_1〜20_4に共通する事項を説明する場合、単に、インジェクタ20と表記する。
コモンレール12と各高圧配管14との間には、それぞれ、コモンレール12から高圧配管14へ伝播する燃料の圧力脈動を減衰させるオリフィス12aが設けられている。さらに、コモンレール12には、コモンレール12内に蓄圧された燃料圧力を測定するための燃料圧センサ(図示せず)が設けられている。
それぞれのインジェクタ20は、ディーゼルエンジンの各気筒のシリンダヘッドに取り付けられている。各インジェクタ20は、ECU30からの駆動信号(噴射指令パルス信号)に応じて各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射する、電磁弁を備えた電磁式燃料噴射弁である。これらのインジェクタ20からの燃料噴射は、例えば、電磁弁が開弁している間、コモンレール12に蓄圧された高圧燃料が噴射供給されることで成される。この場合、インジェクタ20の電磁弁の開弁時間が長い程、噴射される燃料量が多くなり、電磁弁の開弁時間が短い程、噴射される燃料量が少なくなる。
各インジェクタ20は、高圧配管14と接続された燃料流入口側に燃圧センサ20aをそれぞれ備えている。燃料流入口の近傍には、フィルタが設けられており、各インジェクタ20内部への異物の流入を防止している。また、各インジェクタ20は燃料排出口21を有し、それら燃料排出口21は、燃料タンク10に接続された配管18と繋がっている。
各インジェクタ20に設けられた燃圧センサ20aは、インジェクタ20内に導入されている燃料圧力に応じた検出圧力信号を出力する。燃圧センサ20aの設置位置については、例えば、図1に示すように、インジェクタ20の燃料流入口22と高圧配管14とを治具で連結させつつ、この治具に燃圧センサ20aを設けることができる。ただし、燃圧センサ20aは、インジェクタ20の内部に設けても良いし、オリフィス12aよりもインジェクタ20側の高圧配管14に設けても良い。いずれの位置であっても、インジェクタ20の噴射動作に伴う燃料圧力の変動が高い精度で検出可能なためである。
図1に示した燃料噴射制御システム50は、燃圧センサ20aの他に、ディーゼルエンジンのクランク位置や回転数を検出するクランク角センサ43、アクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサ44、燃料を噴射する対象となる気筒を判別するための気筒判別センサ、コモンレール12内の燃料圧を検出する燃料圧センサ、車速センサ、冷却水温センサ等、ディーゼルエンジンの運転状態を検出する各種センサを備えている。
なお、クランク角センサ43は、ディーゼルエンジンのクランクシャフトに対応して回転するシグナルロータ(クランクシャフトが1回転する間に1回転する回転体)41と、シグナルロータ41の外周に形成された突起の接近と離間に応じた信号を出力する電磁ピックアップ42とを有している。シグナルロータ41の外周には、クランク角検出用の歯(突起部)が多数(例えば、36歯)形成されている。これらの歯の接近と離間によって、電磁ピックアップ42は、シグナルロータ41が1回転(クランクシャフトが1回転)する間に複数のクランク角信号を出力する。なお、特定のクランク角信号は、#1〜#4気筒のピストンの上死点(TDC)の位置に対応している。そして、ECU30は、クランク角信号の間隔時間を計測することによってエンジン回転速度を検出する。
気筒判別センサも、クランク角センサ43と同様に、ディーゼルエンジンのカムシャフトに対応して回転するシグナルロータ(クランクシャフトが2回転する間に1回転する回転体)と、シグナルロータの外周に形成された突起の接近と離間に応じた信号を出力する電磁ピックアップとを有している。シグナルロータの外周には、各気筒に対応した気筒歯(突起部)が形成されている。電磁ピックアップは、これらの気筒歯の接近と離間によって気筒判別信号を出力する。
上述した各種センサの検出結果は、燃料噴射制御システム50のECU30に取り込まれる。ECU30には、演算処理を行うCPU、CPUが演算処理を行う上で必要となるデータを一時的に保存するRAM、及び各種プログラムやデータを保存するROMなどを備えたマイコン、ECU30内の各部に動作電圧を供給する電源回路、インジェクタ20に対して噴射指令パルス信号を出力するインジェクタ駆動回路等が設けられている。さらに、ECU30は、A/D変換器を含み、燃圧センサ20aからの検出圧力信号や、その他の各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後に、ECU30に内蔵されたマイコンに入力される。
ECU30は、各種センサの検出結果に基づき、燃料ポンプ11やインジェクタ20等、ディーゼルエンジンの各種アクチュエータを操作するための処理を実行する。例えば、ECU30は、エンジン回転速度、アクセル開度、エンジン負荷等のエンジン運転情報から目標燃料噴射圧力を算出する。そして、ECU30は、コモンレール12内の燃料圧力が目標燃料噴射圧力となるように、燃料ポンプ11の駆動状態を制御する。
また、ECU30は、各気筒のインジェクタ20から噴射される燃料噴射量をそれぞれ制御する。本実施形態では、燃料噴射制御システムが、4気筒を有するディーゼルエンジンに適用されており、このディーゼルエンジンの4気筒の燃焼サイクルは相互に180CAずつ位相がずれている。このため、噴射制御の対象となるインジェクタ20は、クランク角度が180CA進むごとに切り替えられる。
ここで、本実施形態の燃料噴射制御システム50では、ECU30が、各気筒のインジェクタ20を、吸入、圧縮、爆発、排気からなる1燃焼サイクル中に、燃料を複数回噴射するように駆動可能に構成されている(多段噴射)。例えば、多段噴射には、燃料の噴射量が最も大きく設定されたメイン噴射と、メイン噴射より前のタイミングで少量の燃料を噴射するパイロット噴射とが含まれる。メイン噴射やパイロット噴射は、それぞれ分割噴射として複数回行われることもある。さらに、メイン噴射の後に、少量の燃料を噴射するアフター噴射が行われる場合もある。パイロット噴射に係るパイロット燃焼により、NOx低減を図ることができ、アフター噴射に係るアフター燃焼により、黒煙排出量の低減を図ることができる。
ECU30は、噴射制御の対象となっているインジェクタ20により多段噴射を実行させるため、エンジン回転数やエンジン負荷などに基づき、燃料の噴射状態制御量に関する各種目標値を算出する。噴射状態制御量には、噴射時期、噴射量、多段噴射の回数およびインターバルが含まれる。例えば、噴射時期の目標値は、以下のようにして算出することができる。まず、エンジン回転数およびエンジン負荷と、噴射時期の最適値との関係を試験を通じて取得し、その取得した最適値を、エンジン回転数及びエンジン負荷と関連付けてマップ化する。そして、そのマップ(噴射時期マップ)を、ECU30のメモリに記憶させておく。ECU30は、各時点でのエンジン回転数及びエンジン負荷に対応する噴射時期の最適値を噴射時期マップから取得し、目標噴射時期として設定する。同様にして、ECU30は、噴射量、多段噴射の回数およびインターバルの目標値を設定し、それらの目標値に基づいて、駆動信号である噴射指令パルス信号を生成する。
さらに、ECU30は、噴射制御の対象となっているインジェクタ20から燃料噴射が行われたときに、そのインジェクタ20に対応して設けられた燃圧センサ20aによって検出される燃料圧力に基づいて、インジェクタ20から噴射された実際の噴射量を推定する。この際、ECU30は、図4に示すように、燃圧センサ20aによって検出される燃料圧力の変化に基づいて、インジェクタ20が実行した燃料噴射における噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率を算出する。そして、ECU30は、例えば経年劣化などによって、目標とする噴射量と実際の噴射量とにずれが生じたことを検出した場合、そのずれを小さくするための補正データ(補正量、補正係数など)を算出し、その算出した補正データにより目標噴射量を補正する。
ここで、図2に示すように、4つのインジェクタ20の内、第1インジェクタ20_1が、多段噴射における2段目以降の燃料噴射を行った場合、その第1インジェクタ20_1に対応して設けられた第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力は、それ以前の燃料噴射による圧力脈動の影響を受けることになる。例えば、2段目の噴射が行われた場合、第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力は、1段目の噴射による圧力脈動の影響を受ける。また、3段目の噴射が行われた場合には、第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力は、1段目の噴射及び2段目の噴射による圧力脈動の影響を受ける。この前段以前の噴射による圧力脈動を模擬した燃圧モデル波形は、特許文献1と同様に、以下の第1〜第3減衰波形成分によって表される波形を重ね合わせることにより、高い精度で求めることができる。
第1減衰波形成分は、図2において、噴射を行った第1インジェクタ20_1の噴孔から、第1インジェクタ20_1の高圧燃料導入孔までの経路(図2のAの範囲)で発生する圧力脈動を示すものである。第1インジェクタ20_1の噴孔が開いた状態から閉じた状態に変化すると、高圧燃料の流れが遮断されるため、いわゆるウオーターハンマー現象により、第1インジェクタ20_1の噴孔付近の燃料圧力が上昇する。この上昇した燃料圧力は、第1インジェクタ20_1の内部を通じて高圧燃料導入孔まで伝播する。上述したように、第1インジェクタ20_1の高圧燃料導入孔には、フィルタが設けられている。また、高圧配管14と第1インジェクタ20_1の内部の燃料通路とは通路径が相違している。これらの理由により、伝播した圧力は高圧燃料導入孔にて反射される。その結果、インジェクタ20の噴孔から高圧燃料導入孔までの経路で、圧力脈動が発生する。この圧力脈動を示す第1減衰波形成分は、図3に示すように、以下の数式1によって表すことができる。
(数1)
第1減衰波形成分=Aexp(−kt)sin(ωt+θ
なお、数式1において、Aは減衰波形の振幅、kは減衰係数、ωは周波数、θは位相を示すパラメータであり、tは経過時間を示している。
数式1における各パラメータは、第1インジェクタ20_1が実行した燃料噴射における噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率と、第1インジェクタ20_1が燃料噴射を開始する際に第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力(噴射開始時燃圧)とに基づいて定めることができる。例えば、モデル噴射率と噴射開始時燃圧との種々の組合せに対してどのような圧力脈動が発生するかを事前に測定し、その測定した圧力脈動に対応する各パラメータを決定して、ECU30内のメモリに保存しておく。これにより、ECU30は、算出したモデル噴射率と、測定した噴射開始時燃圧とに基づいて、第1インジェクタ20_1の噴孔から高圧燃料導入孔までの経路で発生する圧力脈動を模擬する第1減衰波形成分を決定することができる。
第2減衰波形成分は、図2において、噴射を行った第1インジェクタ20_1の噴孔から、コモンレール12に至るまでの経路(図2のBの範囲)で発生する圧力脈動を示すものである。上述したように、コモンレール12から分岐する高圧配管14には、その分岐点にオリフィス12aが設けられている。このため、第1インジェクタ20_1の噴孔から伝播した圧力はオリフィス12aで反射される。その結果、第1インジェクタ20_1の噴孔からコモンレール12に至るまでの経路で、圧力脈動が発生する。この圧力脈動を示す第2減衰波形成分は、図3に示すように、以下の数式2によって表すことができる。
(数2)
第2減衰波形成分=Aexp(−kt)sin(ωt+θ
この第2減衰波形成分における各パラメータも、第1減衰波形成分の各パラメータと同様に、第1インジェクタ20_1が実行した燃料噴射に対応するモデル噴射率と、第1燃圧センサ20a_1によって検出される噴射開始時燃圧とに基づいて定めることができる。
第3減衰波形成分は、図2において、噴射を行った第1インジェクタ20_1の噴孔から、コモンレール12を介して第2インジェクタ20_2の噴孔に至るまでの経路(図2のCの範囲)で発生する圧力脈動を示すものである。第1インジェクタ20_1が噴射制御の対象となっているとき、第2インジェクタ20_2の噴孔は閉じられている。そのため、第1インジェクタ20_1の噴孔から伝播した圧力は、第2インジェクタ20_2の噴孔にてすべて反射される。この結果、インジェクタ20_1の噴孔から、コモンレール12を介して第2インジェクタ20_2の噴孔に至るまでの経路で、圧力脈動が発生する。
なお、この第3減衰波形成分は、図3に示すように、第1インジェクタ20_1が燃料噴射を行った場合に、その燃料噴射に起因する燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する上で、無視できない程度の大きさを示す。これは、第3減衰波形成分が、第2インジェクタ20_2だけでなく、その他の第3インジェクタ20_3や第4インジェクタ20_4の噴孔にて反射される圧力の影響も受けていることも一因と考えられる。
第3波形成分は、図3に示すように、以下の数式3によって表すことができる。
(数3)
第3減衰波形成分=Aexp(−kt)sin(ωt+θ
この第3減衰波形成分の各パラメータは、第1減衰波形成分及び第2減衰波形成分とは異なり、第1インジェクタ20_1が実行した燃料噴射に対応するモデル噴射率と、第2インジェクタ20_2に対応して設けられた第2燃圧センサ20a_2によって検出される噴射開始時燃圧とに基づいて定める。
第1インジェクタ20_1が多段噴射を行うと、図4に示すように、2段目噴射以降、燃料噴射を行った第1インジェクタ20_1に対応する第1燃圧センサ20a_1が検出する燃圧は、それ以前の噴射による燃圧変動の影響を受ける。そのため、第1燃圧センサ20a_1が検出する燃圧が、必ずしも、第3減衰波形成分が対象とする経路全体から見て、実際の圧力脈動に対応する圧力レベルに合致していない可能性がある。一方、図4に示すように、第1インジェクタ20_1が多段噴射の2段目以降の燃料噴射を実行したときに、第2燃圧センサ20a_2によって検出される燃料圧力に対する、それ以前の第1インジェクタ20_1の燃料噴射による燃料圧力の変動の影響は僅かに留まる。
そのため、本実施形態では、噴射制御の対象とはなっていない第2インジェクタ20_2に対応して設けられた第2燃圧センサ20a_2によって検出される噴射開始時燃圧を用いて、第3減衰波形成分の各パラメータを定めることとした。これにより、第3減衰波形成分が対象とする経路全体として、第1インジェクタ20_1の2段目以降の燃料噴射による実際の圧力脈動に対応するレベルの燃圧を精度良く検出することができる。従って、設定される第3減衰波形成分の精度を高めることができる。
そして、ECU30は、図3に示すように、第1減衰波形成分、第2減衰波形成分及び第3減衰波形成分を合成して(重ね合わせて)、多段噴射の2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する。さらに、ECU30は、算出した燃圧モデル波形を、多段噴射における次の(3段目以降の)燃料噴射に対応するモデル噴射率を算出する際に、第1燃圧センサ20a_1によって検出された燃料圧力の変化から差し引く。これにより、以前の燃料噴射による圧力脈動の影響を低減することができるので、第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力の変化に基づいて、3段目以降の燃料噴射に対応するモデル噴射率を精度良く算出することができる。
次に、ECU30において実行される詳細な制御処理を、図5〜図7のフローチャートを参照して説明する。なお、以下においては、説明の便宜のため、第1インジェクタ20_1が制御対象となったものとして説明する。
図5は、各インジェクタ20による燃料噴射を制御するための処理を示すフローチャートである。この図5のフローチャートに示す処理は、制御対象となるインジェクタ20が切り換えられるごとに実行される。
まず、最初のステップS100では、ディーゼルエンジンの運転状態を検出する各種センサからの検出信号を入力する。続くステップS110では、入力した各種センサの検出信号から把握されるエンジン回転数及びエンジン負荷などに基づき、マップを参照して、燃料の噴射状態制御量に関する各種目標値を算出する。そして、ステップS120において、算出した噴射状態制御量の各種目標値に従って噴射指令パルス信号を生成し、制御対象となっている第1インジェクタ20_1に対して出力する。
図6は、噴射制御の対象となっている第1インジェクタ20_1から燃料噴射が行われたときに、対応する第1燃圧センサ20a_1によって検出される燃料圧力(燃圧検出値)に基づき、実際に噴射された噴射量を推定するための処理を示すフローチャートである。
ステップS200では、第1燃圧センサ20a_1の燃圧検出値を取り込む。この燃圧検出値の取り込みは、例えば、第1インジェクタ20_1による各段の燃料噴射が終了するまで継続的に行われる。また、取り込んだ燃圧検出値に対して、高周波ノイズ等を除去するフィルタ処理を施すことが望ましい。続くステップS210では、第1インジェクタ20_1によって行われた燃料噴射の段数mが1よりも大きいか否かを判定する。噴射段数mが1よりも大きい、すなわち、2段目以降の燃料噴射であると判定した場合には、ステップS220に進んで、それ以前の燃料噴射に起因する圧力脈動の影響を除去するためのうねり消し処理を実行する。このうねり消し処理については、後に、図7のフローチャートに基づき詳細に説明する。うねり消し処理の実行後、ステップS230の処理に進む。一方、噴射段数mが1よりも大きくない、すなわち、1段目の燃料噴射であると判定した場合には、直接、ステップS230の処理に進む。
ステップS230では、1段目の燃料噴射であると判定されている場合、ステップS200で取得した燃圧検出値(燃圧波形)を微分演算することにより、燃圧検出値の微分値を算出する。2段目以降の燃料噴射の場合には、ステップS220にてうねり消し処理が施された後の燃圧検出値(燃圧波形)を対象として、微分演算が行われる。
ここで、図4に示すように、第1インジェクタ20_1によって燃料噴射が行われると、その燃料噴射によって噴射された燃料の分だけ、第1インジェクタ20_1内に導入されている燃料圧力は低下する。つまり、第1インジェクタ20_1による燃料の噴射率の変化と、第1燃圧センサ20a_1による燃圧検出値の変化とは相関している。このため、燃圧検出値の微分値を演算することにより、インジェクタ20_1による燃料の噴射率の変化点、すなわち、噴射率の上昇開始時点(噴射開始時期)、最大噴射率到達時期、噴射率下降開始時期、及び噴射率下降終了時点(噴射終了時期)を特定することができる。ステップS240〜S260では、燃圧検出値の微分結果から、これらの噴射率の変化点をそれぞれ算出する。すなわち、ステップS240では、噴射率の上昇開始時点、すなわち噴射開始時期を算出する。ステップS250では、噴射率下降終了時点、すなわち噴射終了時期を算出する。そして、ステップS260では、最大噴射率到達時期及び噴射率下降開始時期を算出する。さらに、ステップS270では、第1燃圧センサ20a_1によって検出される、噴射開始時期から最大噴射率到達時期までの燃圧低下の大きさに基づいて、最大噴射率を算出する。
最後に、ステップS280において、ステップS240〜S270にて算出した、噴射開始時期、噴射終了時期、最大噴射率到達時期、噴射率下降開始時期、及び最大噴射率に基づいて、図4に示すように、噴射開始から終了までの噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率を算出する。そして、算出したモデル噴射率に対して積分演算を施すことにより、実際の噴射量に相当する噴射量を算出する。これにより、ECU30は、算出した噴射量に基づき、目標通りの噴射量を噴射できているかどうかを検証することができる。
次に、うねり消し処理について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップ300では、噴射段数mが2よりも大きいか否かを判定する。噴射段数mが2よりも大きくない、すなわち、2段目の燃料噴射であると判定した場合には、ステップS310の処理に進み、噴射段数mが2よりも大きい、すなわち、3段目以降の燃料噴射であると判定した場合には、ステップS380に進む。
ステップS310では、1段目の噴射の噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率Qを取得する。つまり、1段目の噴射が行われて、前述した図6のフローチャートに示す処理が実行されることで、ステップS280において1段目の噴射のモデル噴射率Qが算出されている。ステップS310では、そのモデル噴射率Qを取得する。
続くステップS320では、噴射制御の対象となっている第1インジェクタ20_1に対応する第1燃圧センサ20a_1によって、1段目の噴射の噴射開始時期に検出された噴射開始時燃圧POを取得する。より具体的には、上述した図6のフローチャートに示す処理により、1段目の噴射の噴射開始時期が算出されているため、その噴射開始時期もしくはその前後の所定時期に、第1燃圧センサ20a_1によって検出された燃料圧力を、噴射開始時燃圧POとして取得する。
ステップS330では、取得されたモデル噴射率Qと噴射開始時燃圧POとに基づいて、第1減衰波形成分の各パラメータを定めることにより、第1減衰波形成分を設定する。同様にして、モデル噴射率Qと噴射開始時燃圧POとに基づき、ステップS340では第2減衰波形成分を設定し、ステップS350では第3減衰波形成分を設定する。
1段目の噴射が行われるまでは、圧力脈動は発生していないため、図4に示すように、噴射制御の対象となっている第1インジェクタ20_1における燃料圧力も、噴射制御の対象となっていない他のインジェクタにおける燃圧と同様に、安定した状態を保っている。従って、1段目の噴射に起因する燃圧モデル波形を算出するための第1〜第3減衰波形成分は、第1燃圧センサ20a_1によって検出される噴射開始時燃圧POを用いて、高精度に算出することができる。
ただし、1段目の噴射の場合も、後述する2段目以降の噴射の場合と同様に、第3減衰波形成分に関しては、モデル噴射率Qと、噴射制御の対象となっていない第2インジェクタ20_2に対応する第2燃圧センサ20a_2によって検出される噴射開始時燃圧POとに基づいて設定するようにしても良い。あるいは、1段目の噴射の場合、第1〜第3減衰波形成分の全部を、モデル噴射率Qと、第2燃圧センサ20a_2によって検出される噴射開始時燃圧POとに基づいて設定するようにしても良い。
ステップS360では、第1〜第3減衰波形成分を重ね合わせることにより、1段目の噴射の燃圧モデル波形を算出する。そして、ステップS370において、2段目の噴射が行われたときに、第1燃圧センサ20a_1によって検出された燃圧検出値(燃圧波形)から、算出した1段目の噴射の燃圧モデル波形を減算することにより、2段目の噴射が行われたときの燃圧検出値(燃圧波形)を補正する。これにより、1段目の噴射による圧力脈動の影響を低減することができるので、補正した燃圧検出値から算出される2段目の噴射のモデル噴射率の精度を向上することができる。
一方、噴射段数mが3段目以降の場合に実行されるステップS380では、m−1段目の噴射の噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率Qm−1を取得する。続くステップS390では、噴射制御の対象となっている第1インジェクタ20_1に対応する第1燃圧センサ20a_1によって、m−1段目の噴射の噴射開始時期に検出された噴射開始時燃圧POm−1を取得する。さらに、ステップS400において、噴射制御の対象となっていない第2インジェクタ20_2に対応する第2燃圧センサ20a_2によって、m−1段目の噴射の噴射開始時期に検出された噴射開始時燃圧PNm−1を取得する。
ステップS410では、取得されたモデル噴射率Qm−1と噴射開始時燃圧POm−1とに基づいて、第1減衰波形成分の各パラメータを定めることにより、第1減衰波形成分を設定する。そして、ステップS420において、第1減衰波形成分の設定と同様に、モデル噴射率Qm−1と噴射開始時燃圧POm−1とに基づき、第2減衰波形成分を設定する。
しかし、第3減衰波形成分に関しては、ステップS440において、モデル噴射率Qm−1と、噴射制御の対象となっていない第2インジェクタ20_2に対応する第2燃圧センサ20a_2によって検出される噴射開始時燃圧PNm−1とに基づいて設定する。これにより、設定される第3減衰波形成分の精度を高めることができる。
ステップS440では、第1〜第3減衰波形成分を重ね合わせることにより、m−1段目の噴射の燃圧モデル波形を算出する。そして、ステップS450において、m段目の噴射が行われたときに、第1燃圧センサ20a_1によって検出された燃圧検出値(燃圧波形)から、算出したm−1段目の噴射の燃圧モデル波形を減算することにより、m段目の噴射が行われたときの燃圧検出値(燃圧波形)を補正する。これにより、m−1段目の噴射による圧力脈動の影響を低減することができるので、補正した燃圧検出値から算出されるm段目の噴射のモデル噴射率の精度を向上することができる。なお、m−1段目よりも以前に噴射が行われている場合には、その以前の噴射による燃圧モデル波形も減算して、m段目の噴射が行われたときの燃圧検出値(燃圧波形)を補正するようにしても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
例えば、噴射制御の対象となっている第1インジェクタ20_1以外の任意のインジェクタに対応する燃圧センサを、第2燃圧センサ20a_2としても良いが、第1インジェクタ20_1の次に噴射制御の対象となる予定のインジェクタに対応して設けられた燃圧センサを第2燃圧センサ20a_2とすることが好ましい。第1インジェクタ20_1の次に噴射制御の対象となるインジェクタにおける燃圧は、噴射が終了してから最も時間が経過しているため、最も燃圧波形が安定していると考えられるためである。
また、噴射制御の対象となっていない第2インジェクタ20_2に対応する第2の燃圧センサによって検出される燃圧に基づいて定めされる噴射開始時燃圧PNm−1は、特定のタイミングで検出される燃圧ではなく、m−1段目の燃料噴射を開始する前後の所定期間に渡って第2燃圧センサ20a_2によって検出された燃圧の平均値を用いても良い。
また、上述した実施形態では、燃圧センサ20aをすべてのインジェクタ20に対応してそれぞれ設けた例を説明したが、燃圧センサ20aは、少なくとも2個のインジェクタ20に対応して設けるようにしても良い。
さらに、上述した実施形態では、本発明による燃圧モデル波形算出装置を、ディーゼルエンジンの燃料噴射制御システムに適用した例について説明したが、本発明による燃圧モデル波形算出装置は、ガソリンエンジンの各気筒に直接噴射する燃料を制御する燃料噴射制御システムに適用することも可能である。
10 :燃料タンク、
11 :燃料ポンプ
12 :コモンレール
12a :オリフィス
20 :インジェクタ
20a :燃圧センサ
30 :ECU
43 :クランク角センサ
44 :アクセルセンサ
50 :燃料噴射制御システム

Claims (5)

  1. 内燃機関に搭載されたインジェクタ(20)により、一燃焼サイクル中に燃料噴射を複数回行う多段噴射を実行させたときの、2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する燃圧モデル波形算出装置であって、
    前記内燃機関は、複数の気筒を有し、
    前記インジェクタは、複数の前記気筒にそれぞれ設けられ、それら複数の前記インジェクタには、燃料噴射のために同じコモンレール(12)から高圧燃料が導入され、複数の前記気筒の燃焼サイクルは相互に位相がずらされており、
    複数の前記インジェクタの内の第1インジェクタ(20_1)及び第2インジェクタ(20_2)に対応してそれぞれ設けられ、前記第1及び第2インジェクタに導入される燃料圧力を個々に検出する第1燃圧センサ(20a_1)及び第2燃圧センサ(20a_2)と、
    前記第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を実行したとき、前記第1燃圧センサによって検出される燃料圧力の変化に基づいて、前記第1インジェクタが実行した燃料噴射における噴射率の変化の推移を示すモデル噴射率を算出するモデル噴射率算出部(S280)と、
    前記第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に前記第1燃圧センサによって検出される燃料圧力と、前記モデル噴射率算出部によって算出された前記モデル噴射率とに基づいて、前記第1インジェクタの噴孔から前記第1インジェクタの高圧燃料導入孔までの経路で発生する圧力脈動を示す第1減衰波形成分を定める第1設定部(S410)と、
    前記第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に前記第1燃圧センサによって検出される燃料圧力と、前記モデル噴射率算出部によって算出された前記モデル噴射率とに基づいて、前記第1インジェクタの噴孔から前記コモンレールに至るまでの経路で発生する圧力脈動を示す第2減衰波形成分を定める第2設定部(S420)と、
    前記第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する際に前記第2燃圧センサによって検出される燃料圧力と、前記モデル噴射率算出部によって算出された前記モデル噴射率とに基づいて、前記第1インジェクタの噴孔から前記コモンレールを介して前記第2インジェクタの噴孔に至るまでの経路で発生する圧力脈動を示す第3減衰波形成分を定める第3設定部(S430)と、
    前記第1減衰波形成分、前記第2減衰波形成分及び前記第3減衰波形成分を合成して、多段噴射の2段目以降の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を算出する燃圧モデル波形算出部(S440)と、を備える燃圧モデル波形算出装置。
  2. 前記モデル噴射率算出部は、多段噴射の3段目以降の燃料噴射に対応する前記モデル噴射率を算出する際に、前記燃圧モデル波形算出部によって算出された、前記モデル噴射率の算出対象となる燃料噴射よりも以前の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す燃圧モデル波形を差し引いた、前記第1燃圧センサによって検出される燃料圧力の変化に基づいて、前記3段目以降の燃料噴射に対応する前記モデル噴射率を算出する請求項1に記載の燃圧モデル波形算出装置。
  3. 多段噴射の1段目の燃料噴射による燃料圧力の変動を示す1段目燃圧モデル波形を算出する1段目燃圧モデル波形算出部を備え、
    前記1段目燃圧モデル波形算出部は、前記第1インジェクタが実行した1段目の燃料噴射における噴射率の変化の推移を示す1段目モデル噴射率と、前記第1インジェクタが1段目の燃料噴射を開始する際に前記第1燃圧センサ又は前記第2燃圧センサによって検出される燃料圧力とに基づいて設定される前記第1〜第3減衰波形成分を合成して1段目燃圧モデル波形を算出するものであり、
    前記モデル噴射率算出部は、多段噴射の2段目の燃料噴射における前記モデル噴射率を算出する際に、前記1段目燃圧モデル波形算出部によって算出された1段目燃圧モデル波形を差し引いた、前記第1燃圧センサによって検出される燃料圧力の変化に基づいて、前記2段目の燃料噴射における前記モデル噴射率を算出する請求項1に記載の燃圧モデル波形算出装置。
  4. 燃圧センサは全ての前記インジェクタに対応して設けられ、
    前記第3設定部は、前記第1インジェクタの次に噴射制御の対象となる予定の前記インジェクタに対応して設けられた前記燃圧センサを、前記第2燃圧センサとして用いる請求項1乃至3のいずれかに記載の燃圧モデル波形算出装置。
  5. 前記第3設定部は、前記第3減衰波形成分を算出する際、前記第1インジェクタが多段噴射の2段目以降の燃料噴射を開始する前後の所定期間に渡って前記第2燃圧センサによって検出された燃料圧力の平均値を用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の燃圧モデル波形算出装置。
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