JP6914885B2 - 掘削形状確認装置および掘削形状確認方法 - Google Patents

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本発明は、既製杭が埋設される掘削孔の掘削形状を確認する掘削形状確認装置および掘削形状確認方法に関する。
上部構造物を施工する際には、その上部構造物の荷重をコンクリート杭等の既製杭を通じて支持層の広範囲へ伝達するために、杭の最深部に根固め部が形成される。
根固め部は、より大きな支持力を確保するために、杭の外径より一回り大きく掘削され、その杭と掘削孔における根固め部を構成する部分との間にソイルセメントが充填される。
このような根固め部は、杭を埋設するための掘削孔の最深部に位置するため、施工途中にその掘削形状を直接目視で確認することはできない。
そして、掘削孔において根固め部を構成する部分の掘削形状を確認するには、特許文献1に示すように、地中を掘削する掘削機械の先端部に取り付けられた掘削ヘッドの掘削翼を展開(拡大)し、回転させた状態にて掘削機械のモータに生じる負荷電流値が大きくなったことによって、掘削形状の拡大を確認する方法が知られている。
また、特許文献2に示すように、ボアホールソナーを用いて弾性波を水平方向に発生させることにより、地盤と根固め部(ソイルセメント)との境界部からの反射を読み取り、根固め部の形状等を推定する方法が知られている。
特開2002−348868号公報 特開2001−153638号公報
しかしながら、上述の特許文献1のような方法は、工程管理によって根固め部が存在しているか否かを確認できるだけであり、掘削孔における根固め部を構成する部分である拡大掘削部の形状を確認することはできない。
また、特許文献2のような方法では、ソイルセメントの硬化後(杭の施工から2〜4週間後)に実施する必要があり作業に時間を要するとともに、ボアホールソナーを有する装置を設置するためにボーリング孔を設ける必要があるため、作業費用も上昇してしまう。さらに、杭の施工から時間が経過しているため、その確認作業によって不備が発見された場合には、杭を再施工する必要がある。
したがって、時間的にも費用的にも効率的に掘削孔の形状を確認できる技術が求められていた。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、効率的に掘削孔の形状を確認できる掘削形状確認装置および掘削形状確認方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載された掘削形状確認装置は、既製杭が埋設される掘削孔を掘削する掘削装置に設けられ、掘削孔の掘削形状を確認するための掘削形状確認装置であって、前記掘削装置の地中への掘削進行とともに地中を進行する電極部を備え、前記電極部は、電流を流す電流電極と、電圧を測定する電圧電極とを有する電極ユニットを有し、前記電極ユニットは、前記電流電極および前記電圧電極がそれぞれ等間隔で配置されており、前記掘削孔の所定位置において、前記電流電極に電流を流すことで前記電圧電極に印加される電圧の値を測定し、前記電流の値および電圧の値に基づいて、前記電極ユニットからの所定距離の領域における比抵抗を算出し、前記比抵抗の変化に基づいて地層の境界部分を検出することにより、前記掘削孔の掘削形状を確認するものである。
請求項2に記載された掘削形状確認装置は、請求項1記載の掘削形状確認装置において、電極部は、複数の電極ユニットを有し、各電極ユニット同士は、それぞれの電流電極および電圧電極の配置間隔が異なるものである。
請求項3に記載された掘削形状確認装置は、請求項1記載の掘削形状確認装置において、掘削部は、掘削部本体と、この掘削部本体に対して先端部が接離するように回動可能に設けられた掘削翼とを有し、前記掘削翼に電極ユニットが設けられているものである。
請求項4に記載された掘削形状確認方法は、既製杭が埋設される掘削孔の掘削形状を確認するための掘削形状確認方法であって、それぞれ等間隔に配置された電流電極および電圧電極を有する電極ユニットによって、掘削孔の所定位置において、前記電流電極に所定値の電流を流すことで電圧電極に印加される電圧の値を測定し、前記電流の値と電圧の値と電流電極および電圧電極の電極間隔とに基づいて、前記電極ユニットからの所定距離の領域における比抵抗を算出し、その比抵抗の変化に基づいて地層の境界部分を検出するものである。
請求項5に記載された掘削形状確認方法は、請求項4記載の掘削形状確認方法において、掘削孔内の所定位置において、電極間隔を変化させることにより比抵抗の変化を検知するものである。
請求項6に記載された掘削形状確認方法は、請求項4記載の掘削形状確認方法において、掘削孔内の所定位置において、電流電極および電圧電極の掘削孔内における径方向の位置を変化させることにより比抵抗の変化を検知するものである。
本発明によれば、比抵抗の変化を検知することにより、掘削孔とその外側の地盤との境界部分を検出するため、効率的に掘削孔の形状を確認できる。
本発明の一実施の形態に係る掘削形状確認装置が設けられた掘削装置の構成を模式的に示す側面図である。 (a)は、掘削装置が地中を掘削している状態を示す模式図であり、(b)は、掘削形状確認装置によって掘削孔の形状を確認している状態を示す模式図であり、(c)は、掘削装置が掘削孔から引き抜かれた状態を示す模式図であり、(d)は、掘削孔にコンクリート杭が埋設された状態を示す模式図である。 同上掘削形状確認装置の電極ユニットによる比抵抗値の測定方法を示す説明図である。 同上掘削形状確認方法によって算出した比抵抗の変化を示すグラフである。 同上掘削形状確認方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、1は掘削形状確認装置であり、この掘削形状確認装置1は、地中を支持層まで掘削しながらセメントミルク等の根固め液を注入可能なオーガ等の掘削装置2に適用される。
掘削装置2は、地中を進行方向に向かって掘削する掘削部本体としての掘削ヘッド3と、この掘削ヘッド3とともに地中を掘削可能な掘削翼4とを有している。
掘削翼4は、先端部が掘削ヘッド3に対して接離するように回動可能に設けられている。すなわち、掘削翼4は、基端部側が掘削ヘッド3に回動可能に軸支され、その軸支された部分を中心に先端部が回動可能である。
そして、掘削装置2は、掘削翼4が掘削ヘッド3に接近した通常状態、および、掘削翼4が掘削ヘッド3から外側へ離間した拡大状態のいずれの状態でも地中を掘削可能である。すなわち、掘削装置2は、図2に示すように、通常状態で掘削ヘッド3および掘削翼4にて所定深さ(支持層)まで地中を掘削することで、掘削孔5における上側掘削部6を形成する。また、支持層に達した後に、拡大状態で掘削することで、掘削孔5における拡大掘削部7を形成する。
掘削形状確認装置1は、掘削装置2の地中への掘削進行にともなって地中を進行する電極部8とを備え、電極部8は、掘削翼4の先端部に設けられた電極ユニット9を有している。
電極ユニット9は、電流を流す1組(2つ)の電流電極11と、電圧を測定する1組(2つ)の電圧電極12とを有している。
これら電流電極11および電圧電極12は、それぞれ1列で等間隔(電極間隔a)で配置され、1組の電流電極11の内側に1組の電圧電極12が配置されている。
そして、掘削装置2により地中を掘削し、電極ユニット9が地層内に位置した状態にて電流電極11に所定値の電流Iを流すことで、電圧電極12にて電位差(電圧)Vを測定できる。
また、それら電流Iおよび電圧Vに基づいて、電極ユニット9が配置された地層に関して、その地層を構成する物質特有の抵抗Rを求めることができる。
さらに、電流電極11および電圧電極12が1列で等間隔の電極間隔aで配置されているため、抵抗Rの値と電極間隔aの値とに基づいて、その地層における電極ユニット9からの電極間隔aと等しい範囲の領域の比抵抗ρを求めることができる。
すなわち、図3に示すように、一の電極ユニット9における電流電極11および電圧電極12の電極間隔をaとし、電流電極11に所定値の電流Iを流すことで電圧電極12にて測定される電圧Vによって、抵抗R(Ω)=電圧V(V)/電流I(A)の式から抵抗Rが算出される。また、抵抗Rおよび電極間隔aに基づいて、電流電極11および電圧電極12から電極間隔aと等しい距離の領域における比抵抗ρが、ρ(Ω・m)=2πaRの式から算出される。
この比抵抗ρは、地層を構成する物質の組成が同じであれば一定値となり、地層を構成する物質の組成が異なると変化する。
そして、電極間隔aを変化させていくか、または、電流電極11および電圧電極12の拡大掘削部7内における径方向の位置を変化させていくことによって、比抵抗ρを測定する位置を変化させていき、比抵抗ρが急激に変化した箇所は、異なる地層同士の境界部分Bであると判断できる。言い換えると、電極ユニット9が一の地層に配置された状態にて、電極間隔aが電極ユニット9から他の地層との境界部分Bまでの距離bと等しくなると、他の地層の影響によって比抵抗ρが変化する。
したがって、地中を掘削し根固め液を注入し、土砂と根固め液と混合撹拌してソイルセメント13を構成した後に、比抵抗ρを測定しながら掘削翼4を拡大させていき、比抵抗ρの変化を検知することで、掘削孔5においてソイルセメント13が行きわたっている拡大掘削部7(根固め部)と、その外側の地層(地盤)との境界部分Bを検出できる。
なお、図1に示すように、掘削ヘッド3の中心から掘削翼4の先端部までの距離をLとし、掘削ヘッド3に対する掘削翼4の角度をθとし、掘削翼4の長さをlとすると、L=lsinθとなり、比抵抗ρをY軸とし、拡大掘削部7の径方向における電極ユニット9の位置に相当する掘削装置2の中心から掘削翼4の先端部までの距離LをX軸とすると、比抵抗ρを測定しながら掘削翼4を回動させて掘削翼4の先端部までの距離Lを変化させることで、例えば図4のグラフが得られる。
そして、図4に示すように、掘削翼4を回動させて距離Lが一定の長さ以上になると、比抵抗ρが急激に変化するため、この比抵抗ρが変化した距離Lと、電極間隔aとの和によって、拡大掘削部7において電極ユニット9が位置する深さの断面上における地層の境界部分Bを検出できる。
また、掘削装置2を拡大掘削部7において鉛直方向に移動させながら所定深さの断面毎に境界部分Bを検出していくことで、掘削孔5における拡大掘削部7の掘削形状を特定できる。
次に、上記掘削形状確認装置による掘削孔5の形成および形状確認方法について図5を参照しながら説明する。
まず、掘削翼4に電極ユニット9を取り付ける(ステップ1)。
図2(a)に示すように、通常状態の掘削装置2によって、所定の深度(支持層)まで地中を掘り進める(ステップ2)。
掘削が支持層に達した後、掘削装置2を拡大状態にして拡大掘削部7を掘削し、予めミキシングプラントで練り混ぜた根固め液を注入する(ステップ3)。
また、掘削孔5内において、注入した根固め液と掘削した土砂とを掘削翼4によって混合撹拌して、ソイルセメント13を構成する(ステップ4)。
図2(b)に示すように、電流電極11に所定値の電流Iを流して、電極間隔aおよび電圧電極12で測定した電圧Vに基づいて比抵抗ρを算出しながら、掘削翼4を徐々に拡大させることで、掘削拡大部7において電極ユニット9が存在する断面上における地層の境界部分を検出する(ステップ5)。
また、鉛直方向に計測を繰り返して所定深さの断面毎に比抵抗を算出し(ステップ6)、掘削孔5において根固め部を構成する拡大掘削部7の形状を特定する。
その特定した拡大掘削部7の形状が予め根固め部として設計された規定値を満たすか確認する(ステップ7)。
規定値を満たしていない場合には、ステップ2へ戻って再度掘削を行う。
一方、規定値を満たしている場合には、図2(c)に示すように、掘削形状確認装置1を掘削孔5から引き上げ(ステップ8)、その後、図2(d)に示すように、既製杭としてのコンクリート杭14をその掘削孔5に埋設する。
次に、上記一実施の形態における作用および効果を説明する。
上記一実施の形態によれば、電極部8によって比抵抗ρの変化を検知することにより、根固め部とその外側の地盤との地層の境界部分Bを検出できるため、コンクリート杭14の施工作業に伴って掘削孔における拡大掘削部7の掘削形状を確認できる。また、掘削中または掘削直後の根固め液が固化していない状態にて、掘削形状を確認できるため、コストおよび作業時間を抑えることができる。したがって、効率的に掘削孔の形状を確認できる。また、確認の結果、不備が発見され場合であっても、再施工による是正が比較的容易である。
電極ユニット9をオーガ等の既存の掘削装置2に取り付けることにより構成できるため、専用の掘削装置を製造する必要がなく、大規模な改造も不要である。
また、既知のコンクリート杭工法に容易に適用できるため、汎用性が良好であり、容易に実施できる。
掘削作業に伴って掘削形状を確認できるため、施工する全コンクリート杭14に対して掘削孔5の掘削形状を管理できる。
なお、上記一実施の形態では、掘削孔5における拡大掘削部7の形状を確認する場合に適用する構成としたが、このような構成には限定されず、地層の違いによる境界部分が存在する箇所であれば掘削孔5のいずれの箇所にも適用できる。
掘削装置2は、掘削ヘッド3と掘削翼4とを有する構成としたが、このような構成には限定されず、地中を掘削できるものであれば適用できる。
また、電極ユニット9は、掘削翼4に設置された構成には限定されず、掘削装置2の掘削進行とともに地中を進行できる箇所であれば設置できる。
電極部8は、掘削翼4が回動することにより、比抵抗ρを計測する領域を変化させる構成としたが、このような構成には限定されず、電極間隔aまたは掘削孔5の径方向における電極ユニット9の位置(掘削装置2の中心から掘削翼4の先端部までの距離L)を変化させることによって比抵抗ρを計測する領域を変化させる構成であればよい。すなわち、例えば掘削翼4とは別個に電極ユニット9を拡大掘削部7内において径方向に移動させる機構を設ける構成や、電極ユニット9の電極間隔aを変化させることで、比抵抗ρの変化を検知する構成にしてもよい。なお、電極間隔aを変化させる構成とは、例えば電極部は、複数の電極ユニットを有し、これら各電極ユニット同士で電極距離が異なる構成とし、電流を流す電極ユニット9を選択的に変更させていくことで、比抵抗ρを測定する電極間隔を変化させて、比抵抗ρの変化を検知する。
1 掘削形状確認装置
2 掘削装置
3 掘削部本体としての掘削ヘッド
4 掘削翼
5 掘削孔
8 電極部
9 電極ユニット
11 電流電極
12 電圧電極
14 既製杭としてのコンクリート杭
a 電極間隔
I 電流
V 電圧
ρ 比抵抗
B 境界部分

Claims (6)

  1. 既製杭が埋設される掘削孔を掘削する掘削装置に設けられ、掘削孔の掘削形状を確認するための掘削形状確認装置であって、
    前記掘削装置の地中への掘削進行とともに地中を進行する電極部を備え、
    前記電極部は、電流を流す電流電極と、電圧を測定する電圧電極とを有する電極ユニットを有し、
    前記電極ユニットは、前記電流電極および前記電圧電極がそれぞれ等間隔で配置されており、前記掘削孔の所定位置において、前記電流電極に電流を流すことで前記電圧電極に印加される電圧の値を測定し、前記電流の値および電圧の値に基づいて、前記電極ユニットからの所定距離の領域における比抵抗を算出し、前記比抵抗の変化に基づいて地層の境界部分を検出することにより、前記掘削孔の掘削形状を確認する
    ことを特徴とする掘削形状確認装置。
  2. 電極部は、複数の電極ユニットを有し、各電極ユニット同士は、それぞれの電流電極および電圧電極の配置間隔が異なる
    ことを特徴とする請求項1記載の掘削形状確認装置。
  3. 掘削部は、掘削部本体と、この掘削部本体に対して先端部が接離するように回動可能に設けられた掘削翼とを有し、
    前記掘削翼に電極ユニットが設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の掘削形状確認装置。
  4. 既製杭が埋設される掘削孔の掘削形状を確認するための掘削形状確認方法であって、
    それぞれ等間隔に配置された電流電極および電圧電極を有する電極ユニットによって、掘削孔の所定位置において、前記電流電極に所定値の電流を流すことで電圧電極に印加される電圧の値を測定し、
    前記電流の値と電圧の値と電流電極および電圧電極の電極間隔とに基づいて、前記電極ユニットからの所定距離の領域における比抵抗を算出し、
    その比抵抗の変化に基づいて地層の境界部分を検出する
    ことを特徴とする掘削形状確認方法。
  5. 掘削孔内の所定位置において、電極間隔を変化させることにより比抵抗の変化を検知する
    ことを特徴とする請求項4記載の掘削形状確認方法。
  6. 掘削孔内の所定位置において、電流電極および電圧電極の掘削孔内における径方向の位置を変化させることにより比抵抗の変化を検知する
    ことを特徴とする請求項4記載の掘削形状確認方法。
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