JP3567775B2 - 地山改良体の出来上り形状の推定方法 - Google Patents

地山改良体の出来上り形状の推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地山中に造成された改良体の出来上り形状を推定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地山改良やトンネル先受けなどを目的として、地山中に改良体を造成することがある。この種の地山改良体は、例えば、軟弱地山を改良する地山改良工法においては、噴射ノズルを回転させながら、セメントミルクなどの硬化剤を地山中に高圧噴射することにより、硬化剤を地山中に注入するとともに、その噴射エネルギーで地山の切削並びに地山との混合攪拌を行う高圧噴射攪拌工法により造成される。
【0003】
このような工法によれば、硬化剤を硬化させることにより、軟弱地山中にパイル状の地山改良体を造成することができる。また、山岳トンネル工法においては、トンネルの掘削に先立って、掘削すべきトンネル外周にアーチ状に地山改良体を造成するトンネル先受け工法(フォアパイリング工法)が知られており、かかる工法によれば、パイル状の地山改良体により、切羽前方の地山を補強することが可能になる。
【0004】
ところで、このような工法により地山ないしは地山の改良を行った後に、造成された改良体の出来上り形状を推定ないしは確認することは、工事の成否を判断する上で極めて重要な管理事項である。
【0005】
ところが、このような方法として、従来は、実際の工事に先立って、試験工事を行い、この試験工事で造成された改良体を掘り起こして、その出来上り形状を確認して、実際の工事における改良体の出来上り形状を推定していた。
【0006】
しかしながら、このような改良体の出来上り形状の推定方法には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前述した試験工事に基づく改良体の出来上り形状の推定方法では、弾性波,超音波などを用いた現場測定方法よりも、出来上り形状の信頼性が高いが、試験工事を行うために、工期や工費の面で不利になるという問題があった。
【0008】
また、施工現場に余裕がなく、試験工事が現場で行えない場合には、試験工事の個所と施工現場との地質とが一致するとは限らないので、精度の低い推定しか行うことができなかった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、試験工事を行うことなく、信頼性の高い推定情報が得られる地山改良体の出来上り形状の推定方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、地山中に造成された改良体の長手方向に沿って設置される電極取付体と、前記電極取付体の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて取付けられた一対の電流電極と、この電流電極間に所定の間隔を隔てて設置された一対の電位電極と、前記電流電極間に所定の電流を流したときに、前記電位電極間の電位差を検出して、前記改良体の単位長さ当たりの実測抵抗値を求める演算手段とを備え、複数種の地山および模擬改良体のそれぞれの比抵抗に基づいて、二次元軸対称有限要素法により、前記比抵抗の比をファクターとして、前記模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値と直径との関係を予め求め、前記地山および改良体の実測比抵抗から前記ファクターを選定し、前記実測抵抗値を、前記模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値と直径との関係に照合することにより、造成された前記改良体の直径を推定するようにした。
このように構成した地山改良体の出来上り形状の推定方法によれば、後述する原理説明や実証実験などから明らかなように、試験工事を行うことなく、信頼性の高い情報が得られる。
本発明の推定方法においては、前記改良体は、その長さと直径との比が、0.07〜0.16の範囲内にあることが望ましい。
改良体の形状がこのような範囲内にあると、所定の電流を電流電極間に流す電極が免状でなくても、電流密度が一様になると考えられるので、高精度の推定が可能になる。
また、本発明の推定方法においては、前記地山および改良体の比抵抗の比が、50倍以上あることが望ましい。
地山の比抵抗と改良体の比抵抗とが、このように大きく異なると、後述する説明から明らかなように、高精度の推定が可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明にかかる地山改良体の出来上り形状の推定方法の一実施例を示している。
【0012】
同図に示した推定方法は、トンネル先受けを目的に、切羽前方の地山10中にあって、斜め上方を指向するようにして、ほぼ円筒状に形成された改良体12(フォアパイル造成体)の直径Dxを推定する際に適用した場合を例示している。
【0013】
改良体12の直径Dxを推定する際には、改良体12が硬化する前に、電極取付体14をその内部に挿入設置する。この電極取付体14は、図2にその詳細を示すように、棒状の本体14aと、この本体14aの長手方向に沿って、所定の間隔を隔てて設置された一対の電流電極Pと、この電流電極P間にあって、本体14aの長手方向に沿って、所定の間隔Lを隔てて設置された一対の電位電極Pとを備えている。
【0014】
本体14aは、内部が中空な塩化ビニールパイプなどの電気絶縁体で構成され、その外周に環状の金属リングなどからなる電流電極Pと電位電極Pとが固設されている。
【0015】
電流電極Pと電位電極Pとには、それぞれリード線の一端側が接続されていて、電流電極P側のリード線の他端は、直流電源16に接続され、電位電極P側のリード線の他端は、電圧計18にそれぞれ接続されている。
【0016】
直流電源16,電圧計18は、マイコンなどで構成された演算手段20によりその作動がコントロールされ、演算手段20は、直流電源16を介して、電流電極P間に所定の電流Iを流したときの、電位電極P間の電位差Vを電圧計18から読み取り、V/(I×L)の演算を行い、改良体12の単位長さ当たりの実測抵抗値Rreal(Ω/m)を求める。
【0017】
一方、本発明の推定方法では、予め、複数種の模擬改良体の比抵抗ρと、複数種の地山の比抵抗ρとが選定され、二次元軸対称有限要素法により、これらの比抵抗ρ,ρの比をファクターとして、模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値Rと直径Dとの関係が求められる。この関係は、例えば、演算手段20のメモリにテーブルとして記憶しておくことができる。
【0018】
そして、実際に形成する改良体12の実測比抵抗ρrealと、地山10の実測比抵抗ρrealとが、後述する電気ポテンシャル測定法やウェンナー法などにより測定される。
【0019】
そして、実測比抵抗ρrealと、地山10の実測比抵抗ρrealとが得られると、これらの比を演算して、まず、二次元軸対称有限要素法で求めた関係の比抵抗ρ,ρの比であるファクターが選定される。
【0020】
このファクターが選定されると、模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値Rと直径Dとの関係が特定されるので、この関係に、実測抵抗値Rreal(Ω/m)を照合すると、改良体12の直径Dxを推定することができる。
【0021】
このようにして行われる本発明の推定方法の推定原理やその有効性を確認するために行った実証実験などにより、以下に本発明の内容をより詳細に説明する。
【0022】
▲1▼本発明の推定方法における基礎原理
本発明にかかる推定方法では、電気ポテンシャル法をその基礎的な原理としている。一般に、地下媒質などに電流を流した場合、媒質中の電流密度が一様でないときでも、オームの法則を一般化した基本的な以下の関係(拡張されたオームの法則)が成り立つことが知られている。
【0023】
E=ρi (1)
ここで、
E:電界の強さで荷電粒子が受ける力の方向の単位長さ当りの電位差に等しい
i:電界方向の電流密度
ρ:比抵抗(物質固有の抵抗)
【0024】
無限媒体内の微少な立方体dxdydzを考え、立方体に入る電流のx、y、z方向の電流密度を各々i、i、iとし、電位をV、x、y、z方向の電界の強さをE、E、Eとすると式(1)より、
=−(∂V/∂x)=ρ
=−(∂V/∂y)=ρ
=−(∂V/∂z)=ρ (2)
となり、流出する電流密度i’、i’、i’は各々つぎのようになる。
【0025】
’=i+(∂i/∂x)dx
’=i+(∂i/∂y)dy
’=i+(∂i/∂z)dz (3)
【0026】
従って、各々の方向における電流の差、Δi、Δi、Δiは、
Δi=i’dydz−idydz=(∂i/∂x)dxdydz
Δi=(∂i/∂y)dxdydz
Δi=(∂i/∂z)dxdydz (4)
となる。ここで、立方体に流入する電流と流出する電流は等しいので、
Δi+Δi+Δi=0 (5)
【0027】
したがって、
(∂i/∂x)+(∂i/∂y)+(∂i/∂z)=0 (6)
となる。比抵抗ρ、ρ、ρが一様でρに等しい場合、すなわち等方性均質媒質では、式(2)を式(6)に代入することによって、式(7)が得られる。
(∂V/∂x)+(∂V/∂y)+(∂V/∂z)=0 (7)
【0028】
この関係式が地下媒質などの構造を解析する電気ポテンシャル法の基礎となる方程式で、電位Vに関するラプラスの方程式となり、実際の問題では与えられた境界条件を満足するように式(7)を解くことになる。
▲2▼物質の比抵抗
【0029】
地山(地山)を構成する物質の比抵抗値は、広範囲にわたり、良導体(ρ<10−5Ω・m)、半導体(10−5≦ρ≦10Ω・m)及び不良導体(絶縁体)(ρ>10Ω・m)に大別される。
【0030】
代表的な造岩鉱物である石英や長石の結晶は絶縁物であるが、これら絶縁物の粒子で構成されている岩石や砂の比抵抗は、鉱物粒子間の結合物質や亀裂や間隙に存在している水分などによって低下する。
【0031】
通常、岩石等の比抵抗は図3に示すような値であるが、岩石中の亀裂や間隙が多くなるにつれて比抵抗は低下してくる。また、地下水の比抵抗は、周りの物質にくらべて低く、海水は0.3Ω・mとして扱われている。
【0032】
ここで、図4に示すように、断面積S(m)、長さL(m)の物質を考え、その電流密度iを一様とし、その物質の両端の電位差をV(V)、印加電流をI(A)とすると、
E=V/L (8)
i=I/S (9)
とが成り立ち、
V=(ρL/S)I=RI (10)
となる。ここで、Rは抵抗(Ω)で、ρは単位体積当りの物質の抵抗に相当し、単位はΩ・mとなる。
【0033】
式(10)より、周囲が絶縁体である場合には、
R=ρL/S (11)
が成り立ち、物質のρが一定であると次式より、物質の抵抗を測定して、その勾配を求めることにより物質の断面積が得られることになる。
S=ρ/(R/L) (12)
【0034】
▲3▼施工中の改良体の比抵抗と地山の比抵抗
電流密度が一定な場合、つまり電流源が面である場合には、式(12)により、物質の断面積を求めることができ、円筒形であれば直径を求めることができる。
【0035】
しかしながら、図1,2示したように、施工中のフォアパイル造成体などの改良体12の場合は、改良体12の周囲地山10が絶縁体ではないため、改良体12の端部近傍を電流源として測定したときに、地山10側に流出する電流があり、改良体12の出来上がり形状改良(断面積)は、改良体12の混合物(硬化材と土砂)の比抵抗ρ、周辺地山10の比抵抗ρおよび抵抗の勾配R/Lの関数と考える必要がある。
【0036】
したがって、改良体(硬化材と土砂)12の比抵抗ρrealと地山10の比抵抗ρrealを測定する必要があり、改良体12の比抵抗ρrealは、後述の実験装置(図6)により測定した電位から式(11)を用いて求めることとなる。
【0037】
一方、地山10の比抵抗ρrealは、図3に一部が示してあるように、同種地山10でも比抵抗値の分布範囲は広いので、実際の周辺地山10を採取して実際に測定する必要がある。
【0038】
地山10の比抵抗ρrealを測定する方法は、例えば、地山10の比抵抗ρrealは、現地の地表面で測定する方法があって、図5に示す電流電極(C1,2)と、電位電極(P1,2)を、測定位置を中心にして、C1,P1間、P1,2間、P2,C2間の電極間隔が等しくaとなるように対称に配置するウェンナー法により求めることができる。このときの地山10の比抵抗ρrealは、次式で表される。
ρreal=G(V/I) (13)
ここで、G=2πaである。
【0039】
▲4▼電流源が面状でなく、周囲が絶縁されている場合の室内実験
(1)概要
壁面が絶縁された円筒に水を満たし、それを模擬フォアパイルとみなして図に示した実験装置を用いて、各電極間の電気ポテンシャルを測定した。
【0040】
このとき、電流源が面状とならないため、図のように、電極間に流れる電流密度は、各断面において一様とならない。したがって、式(12)がそのまま成立するとは考えられない。そこで、この方法により測定される比抵抗を見掛けの比抵抗ρ’と考え、以下の式(14)が成り立つかどうか確認した。
(R/L)・S=ρ’(一定)
【0041】
(2)実験方法と手順
実験は、図6に示した装置を用い、以下の手順で実施した。
a)塩化ビニルの円筒を準備し、一端を水がもれないように塞ぎ、内部に水を充填して模擬改良体とした。
b)電極(電流電極C,C、電圧電極P,P)が、図のように配置された電極棒を円筒の中に入れ、電流電極Cから同Cに1mAの直流電流を流した。
c)電気ポテンシャル測定用の電位電極P,Pにより電極間の電気ポテンシャル(電位差)を測定した。なお、電位電極P,Pの間隔は5cmとした。
また、水の深さを60cmとした場合には、円筒直径を4cm、5cmおよび6.5cmとし、水の深さを40cmとした場合には、円筒直径を5cm、6.5cmおよび34cmとした。
【0042】
(3)実験結果
測定した抵抗の単位長さ当りの値と模擬フォアパイル長手方向の電気ポテンシャル測定位置との関係を図8,9に示す。なお、各図において、縦軸は、単位長さ当りの抵抗(Ω/m)、横軸は、電極Cからの測定位置までの距離(m)を表している。
【0043】
図8,9から、単位長さ当りの抵抗は、測定位置つまりCからの距離に関係なくほぼ一定であることが分かる。また、円筒の直径(模擬改良体の直径)が大きくなるほど単位長さ当りの抵抗は小さくなっている。
【0044】
ここで、単位長さ当りの抵抗R/Lと円筒(模擬改良体)の断面積Sの積として得られる見掛けの比抵抗ρ’が円筒の直径によってどのように変化するか調べた。
【0045】
その結果を図10,11に示している。同図では、縦軸が単位長さ当りの抵抗R/L(Ω・m)×円筒(模擬改良体)の断面積Sを、横軸は円筒の直径(cm)を表している。
【0046】
図から分かるように、水深60cm(電極Cと電極Cの間隔が60cm)の場合と水深40cm(電極Cと電極Cの間隔が40cm)で円筒直径5cmおよび6.5cmの場合では、単位長さ当りの抵抗R/Lと円筒(模擬改良体)の断面積Sとの積、つまり見掛けの比抵抗ρ’は、ほぼ一定となっている。一方、水深40cmで円筒直径34cmの場合には、見掛け比抵抗ρ’が極端に大きくなっている。
【0047】
このときの円筒の直径Dと水深(電極Cと電極Cの間隔)Hの比を考えると、前者の場合は、D/H=0.07〜0.16、後者の場合はD/H=0.88となっている。
【0048】
後者の場合、直径が極端に大きくなると、点電流源の状態となり、電流密度が円筒状の模擬フォアパイルの中で大きく異なると同時に、外側に回り込む電流が小さくなるため抵抗Rが大きく測定されたものと考えられる。
【0049】
以上の実験結果より、周囲が絶縁体の場合には、電流源が面状でなくても電流密度がほぼ一様になると考えられる範囲、つまり、前述のD/H=0.07〜0.16が満足される状態においては、式(14)は、成立し、見掛け比抵抗ρ’は、比抵抗ρに一致し、電気ポテンシャルの測定から得られる抵抗値Rと測定電極間隔Lおよび改良体12を構成する硬化材と土砂との混合物の比抵抗ρrealより円筒形の改良体12の直径Dxが推定可能であることが分かる。
【0050】
▲5▼軸対称有限要素法による電気ポテンシャル解析
(1)はじめに
改良体12の周囲が絶縁体である場合には、式(14)から円筒形の改良体12の直径Dxが推定可能である。しかしながら、実際の改良体12の周辺地山10は、絶縁体でないため、改良体12の出来上がり形状は、改良体12中の混合物(硬化材と土砂)の比抵抗ρreal、周辺地山10の比抵抗ρrealおよび抵抗の勾配R/Lに影響をうける以下の関数と考える必要がある。
S=F(R/L,ρ/ρ) (15)
【0051】
そこで、本発明では、改良体12を半無限媒体中に鉛直に埋められた円柱としてモデル化し、二次元軸対称有限要素法による数値解析を行い、その関係を調べた。
【0052】
(2)軸対称有限要素法解析
静電界のポテンシャル場を扱う場合、その支配方程式は、境界面(z軸および地表面)において、
1/ρ(∂V/∂x+∂V/∂y)=−i (16)
と与えられ、スカラーポテンシャルVに対するポアソン方程式を解くことになる。なお、軸対称解析の場合、式(16)は、以下のポアソン方程式となる。
1/ρ(∂V/∂r+1/r∂V/∂r+∂V/∂z)+i=0 (17)
ここで、ρは比抵抗、Vは電位(スカラーポテンシャル)、iは電流密度である。
【0053】
有限要素法を用いて式(17)を数値解析するときの電位Vに関する境界条件は、
∂V/∂n=0 (6.18)
となり、このときnは境界面の単位法線ベクトルである。
【0054】
(3)シュミレーションモデルと数値解析
図12に示すシュミレーションモデルを考え、軸対称の解析面で図13に示すように要素分割をし、有限要素法により、電位(電位ポテンシャル)分布を求めた。
【0055】
ここで、ρは、模擬改良体の比抵抗、ρは、周辺地山の比抵抗、rは、電極の半径、rは、模擬改良体の半径、rは、周辺地山の半径である。
【0056】
解析は、図12に示すように、周辺地山に模擬改良体が鉛直に造成されている状態を想定して行った。
【0057】
このとき、模擬改良体の比抵抗は、1Ω・mとし、周辺地山の比抵抗を10、20、50、100、∞Ω・mと変化させた。電流は、1mAとし模擬改良体の底部の電極から地表部の電極に流し、その間に配置した電位測定電極で電位差を求めることとした。
なお、模擬改良体の電流電極間の間隔は、1.2mとした。
【0058】
(4)数値解析結果
図14は、横軸に模擬改良体の直径Dm(m)を、縦軸に単位長さ当りの抵抗(Ω/m)をとり、模擬改良体と周辺地山の比抵抗比ρ,ρをパラメータとしてプロットしたものである。
【0059】
同図から、模擬改良体の比抵抗ρにくらべ周辺地山の比抵抗ρが大きければ大きいほど単位長さ当りの抵抗(抵抗の勾配)の値が大きくなっているのが分かる。
【0060】
このことから、周辺地山の比抵抗値とフォアパイルの比抵抗値が大きく異なるほど、改良体12の出来上がり形状がより正確に推定することができるものと考えられる。
【0061】
以上の室内実験および数値解析結果から、予め模擬改良体の比抵抗ρと地山の比抵抗ρとに基づいて、二次元軸対称有限要素法により、これらの比抵抗ρ,ρの比をファクターとして、図14に示すような、模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値Rと直径Dとの関係を求めておき、改良体12の実測比抵抗ρreal、周辺地山10の実測比抵抗ρrealおよび改良体12の単位長さ当たりの実測抵抗値Rreal(Ω/m)をそれぞれ測定し、実測比抵抗ρrealと実測比抵抗ρrealとの比から、図14のファクターを選定して、いずれかの曲線を特定し、実測抵抗値Rreal(Ω/m)をこの曲線の縦軸に当てはめ、横軸の部分を参照すると、改良体12の断面積(直径Dx )の推定ができることが判る。
【0062】
このような推定によれば、試験工事を行うことなく、信頼性の高い情報が得られる。
【0063】
このとき、改良体12は、その長さと直径との比が、0.07〜0.16の範囲内にあることが望ましい。改良体12の形状がこのような範囲内にあると、所定の電流Iを流す電流電極Pが面状でなくても、電流密度が一様になると考えられるので、高精度の推定が可能になる。
【0064】
また、地山10および改良体12の実測比抵抗ρreal、ρrealの比が、50倍以上あることが望ましい。実測比抵抗ρrealと実測比抵抗ρrealとが、このように大きく異なると、高精度の推定が可能になる。
【0065】
すなわち、図14で模擬改良体の直径が40cmの場合と、60cmの場合を比較すると、後者ではρ/ρの値が変化しても単位長さ当りの抵抗値がほとんど変化せず、実際的に改良体12の直径が60cmを超えると、単位長さ当りの抵抗値Rrealから改良体12の直径Dx を推定することが困難となる。
【0066】
また、ρ/ρ=10の場合で分かるように、模擬改良体の比抵抗ρと周辺地山の比抵抗ρがあまり違わない場合には、模擬改良体の直径が変化しても単位長さ当りの比抵抗の変化が小さくなり、改良体12の直径Dx を精度よく測定することはできなくなる。
【0067】
従って、この電流電極間距離1.2mでの数値解析結果からは、改良体12の直径Dxが50cm以下、ρ/ρ=50以上であれば有効な測定ができるといえる。
【0068】
このことから、改良体12の直径Dxが、電流電極P間の距離の2/5程度以下で、 ρ/ρ=50以上であれば、この方法で改良体12の出来上がり形状を推定するとこができ、実証実験において測定された水と、模擬改良体の比抵抗比が60以上あることを考えれば、周りの地山が水で飽和されている場合でも施工上の実用的な直径の同定は可能といえる。
【0069】
▲6▼本発明の推定方法の有効性の実証実験
(1)実証実験の概要
a)実証実験日時 1998年4月23日、24日
b)実証実験場所 神戸市長田区蓮池町1−1、阪神高速長田トンネル工事
c)実証実験方法
【0070】
模擬フォアパイルの実測比抵抗ρrealは、地山に削孔した深さ約1.5mの孔に絶縁体である塩化ビニルの管(内径:14.5、24cm)を挿入し、管内部に現場で施工中のフォアパイルから排出されるスライムを充填して測定した。
【0071】
測定方法は、図6に示した方法と同様で、Cから電流を流し、管内部の電位を電極棒の各電極で測定することとした。なお、C、Pは、測定孔の実際の深さにより変化させた。また、地山の実測比抵抗ρrealは、前述したウェンナー法により求めた。
【0072】
実証実験は、地山に呼び径で20cmと30cmの孔を削孔し、その孔に前述のスライムを充填して模擬フォアパイルとし、模擬フォアパイル内部の電位を、図1,2に示した方法と同様の方法で測定した。
【0073】
シュミレーションは、前述した軸対称有限要素法により実施し、地山の比抵抗をパラメータとして単位長さ当りの抵抗と模擬フォアパイルの直径との関係を求めるた。
【0074】
電気ポテンシャルの測定とシュミレーション結果との対比から得られる模擬フォアパイルの直径と、硬化後に掘り出した模擬フォアパイルの出来上がり形状(直径)との比較から、電気ポテンシャル法を応用した出来上がり形状の推定方法の妥当性を検証した。
【0075】
(2)実証実験結果
a)模擬フォアパイルの比抵抗と地山の比抵抗
模擬フォアパイルの比抵抗は、管の直径と電流を変えて測定した電位測定結果から式(11)を用いて求め、ρ=0.9Ω・mであった。
【0076】
一方、地山の実測比抵抗は、前述のウェンナー法の電極間隔aを0.5cmおよび0.55mとして測定した結果、ρ=58Ω・mであった。
b)模擬フォアパイルの電気ポテンシャル(電位)測定結果
【0077】
模擬フォアパイルの実証測定は、削孔の呼び径が20cmと30cmの場合について実施し、その結果得られた単位長さ当りの抵抗値は、呼び径20cmで14.8Ω/m、呼び径30cmで9Ω/mとなった。
【0078】
c)シュミレーション結果
軸対称モデルでの有限要素法によるシュミレーションは、地山の比抵抗をパラメータとして、模擬フォアパイルの直径20cm、30cmおよび40cmの各場合について行った。表1に結果を示すが、このとき模擬フォアパイルの比抵抗は前述の測定より得られた値、ρ=0.9Ω・mを用いた。また、電流は1mAとした。
【0079】
この結果を、地山の比抵抗58Ω・m、300Ω・mおよび∞Ω・mの場合についてフォアパイル直径と単位長さ当りの抵抗との関係を各々プロットすると、図15に示すようになる。
【0080】
【表1】
Figure 0003567775
【0081】
d)模擬フォアパイル掘り出し結果
模擬フォアパイルを硬化後に掘り出し、実際の出来上がり形状を計測した。ここで、呼び径20cmで削孔して造った模擬フォアパイルであるが、電位計測後硬化までの間に口元付近で崩落しており、出来上がり形状の計測の結果をシュミレーション結果と比較することは不適当と判断した。
【0082】
呼び径30cmの2本の模擬フォアパイルの出来形計測結果は、各々表2,3に示しているが、電位計測時から掘り出し時までの間に崩落の可能性がない(電位計測時の出来形と掘り出し時の出来上がり形状が一致する)と考えられる粘土質の地山部分での直径(出来形)は、28〜33cmとなっている。
【0083】
【表2】
Figure 0003567775
【0084】
【表3】
Figure 0003567775
【0085】
以上の実証実験結果より、地山の比抵抗を実際の測定値である58Ω・mとしたシュミレーション結果に、電気ポテンシャル測定から得られた呼び径30cmの模擬フォアパイルの単位長さ当りの抵抗値9Ω/mを当てはめると、図15より模擬フォアパイルの直径は、約28cmとなる。
【0086】
一方、掘り出して実測した模擬フォアパイルの直径は、前述したように信頼できる部分での値として28〜33cmであった。
【0087】
この実証実験結果から明らかなように、フォアパイルの比抵抗値および地山の比抵抗値から式(15)を考慮して行った軸対称有限要素法によるシュミレーション結果に、フォアパイルの電位計測結果から得られた単位長さ当りの抵抗値を対比させることにより改良体の出来上り形状を推定するとこは、実際の改良体の形状とほぼ一致しており、本発明の推定方法が有効であるといえる。
【0088】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる地山改良体の出来上り形状の推定方法によれば、試験工事を行うことなく、信頼性の高い推定情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地山改良体の出来上り形状の推定方法が適用される改良体の一例を示す説明図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】岩石などの比抵抗値を示したグラフである。
【図4】電流が物質中を電流密度が均一になるように流れる場合の説明図である。
【図5】ウインナー法により比抵抗を測定する際の説明図である。
【図6】電気ポテンシャル法により比抵抗を測定する際の説明図である。
【図7】電流が物質中を電流密度が不均一になるように流れる場合の説明図である。
【図8】図6の測定結果を示すグラフである。
【図9】図6の測定結果を示すグラフである。
【図10】図6の測定結果を示すグラフである。
【図11】図6の測定結果を示すグラフである。
【図12】二次元軸対称有限要素法のシュミレーションモデルの説明図である。
【図13】図12の展開図である。
【図14】図12に示したモデルの二次元軸対称有限要素法による解析結果を示すグラフである。
【図15】本発明の実証実験における二次元軸対称有限要素法による解析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 地山
12 改良体
14 電極取付体
14a 本体
16 直流電源
18 電圧計
20 演算手段
電流電極
電位電極

Claims (3)

  1. 地山中に造成された改良体の長手方向に沿って設置される電極取付体と、前記電極取付体の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて取付けられた一対の電流電極と、この電流電極間に所定の間隔を隔てて設置された一対の電位電極と、前記電流電極間に所定の電流を流したときに、前記電位電極間の電位差を検出して、前記改良体の単位長さ当たりの実測抵抗値を求める演算手段とを備え、
    複数種の地山および模擬改良体のそれぞれの比抵抗に基づいて、二次元軸対称有限要素法により、前記比抵抗の比をファクターとして、前記模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値と直径との関係を予め求め、
    前記地山および改良体の実測比抵抗から前記ファクターを選定し、前記実測抵抗値を、前記模擬改良体の単位長さ当たりの抵抗値と直径との関係に照合することにより、造成された前記改良体の直径を推定することを特徴とする地山改良体の出来上り形状の推定方法。
  2. 前記改良体の長さと直径との比が、0.07〜0.16の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の地山改良体の出来上り形状の推定方法。
  3. 前記地山および改良体の比抵抗の比が、50倍以上あることを特徴とする請求項1記載の地山改良体の出来上り形状の推定方法。
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