以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る吸引装置1を搭載した吸引車2の概略構成を示す側面図である。図2は、図1の吸引車2の平面図である。図3は、図1の吸引装置1の配管図である。図4は、図1の吸引装置1に設けたブロワ25、キャッチャタンク35等を拡大して示す側面図である。図5は、図1の吸引装置1に設けたブロワ25、キャッチャタンク35等を拡大して示す平面図である。図6は、図1の吸引装置1に設けたキャッチャタンク35等を拡大して示す正面図である。
[吸引車の外観説明]
まず、吸引装置1を搭載した吸引車2の概略構成について、図1、図2を参照して説明する。図1、図2に示すように、吸引車2においては、車両のシャーシフレーム(車台)3上にサブフレーム4が設置されている。サブフレーム4上には、後部に、回収対象物を回収するレシーバタンク5が搭載されている。回収対象物は、例えば汚泥、土砂、廃液等である。
レシーバタンク5は、後端開口を有するタンク本体5aと、この後端開口を開閉するテールゲート5cとを備えている。テールゲート5cは、タンク本体5aの上部後端部にヒンジピン5bを介して回動自在に軸支されている。タンク本体5aとテールゲート5cとの間には、開閉シリンダ5dが配設されている。開閉シリンダ5dを伸縮作動させることによって、テールゲート5cがタンク本体5aの後端開口を開閉する。
レシーバタンク5のタンク本体5aの上部には、タンク加減圧配管7が接続されている。テールゲート5cの下部には、回収対象物の吸引口となる開閉弁付きの吸引口8と、回収対象物の排出口となる開閉弁付きの排出口9とが設けられている。
レシーバタンク5は、サブフレーム4に対し、傾動ピン10を介して傾倒自在に軸支されており、サブフレーム4とレシーバタンク5との間には、傾倒シリンダ11が配設されている。傾倒シリンダ11を伸縮作動させることによって、レシーバタンク5が傾動ピン10回りに起立回動または倒伏回動する。なお、タンク加減圧配管7は、レシーバタンク5の回動動作に対応するため、その一部がフレキシブルホース等の可撓材料で構成されている。
吸引車2がそのレシーバタンク5内に回収対象物を吸引、回収する場合、レシーバタンク5内の減圧及び空気の流れにより、吸引口8に接続した図示しない吸引ホースを通じて外部からレシーバタンク5内に回収対象物を吸引する。一方、吸引車2がレシーバタンク5内の回収対象物を所定の場所(例えば、汚泥処理場等)へ排出する場合、レシーバタンク5内の空気を加圧し、排出口9に接続した図示しない排出ホースを通じてレシーバタンク5内の回収対象物を外部へ排出する。また、テールゲート5cを開き、レシーバタンク5を起立回動させることによって、レシーバタンク5内の回収対象物を排出することも可能になっている。
運転室13とレシーバタンク5との間には、レシーバタンク5内の空気を加減圧及び空気の流れを発生させるためのブロワ25、ブロワ25に供給する冷却水を貯溜するための給水タンク16、各種のバルブや、配管、機器類が搭載されている。ブロワ25は、吸引車2の動力取出し装置(PTO)のドライブシャフト14を介して連結された図示しないエンジンの駆動力によって回転駆動されるようになっている。また、吸引車2の左右方向一側面(車両左側)には、メータ類、スイッチ類、操作レバー等を集中配置した操作パネル15が設けられている。操作パネル15には、温度警告ブザー、温度警告灯、操作パネル照明としてのパネル灯等も設けられている。
[配管図]
次に、吸引車2に搭載される吸引装置1について、図3〜図6を参照して説明する。
図3〜図6に示すように、吸引装置1には、レシーバタンク5、上流側キャッチャ(上流側集塵装置)23、ブロワ25、サイレンサ28、下流側キャッチャ(下流側集塵装置)31、キャッチャタンク(支持部材)35等が備えられており、これらが各種の配管を介して接続されている。
レシーバタンク5には、このレシーバタンク5内の空気を加減圧する際に、空気を送給または吸引するためのタンク加減圧配管7が接続されている。タンク加減圧配管7は、途中位置で吸引配管21と加圧配管22とに分岐されている。吸引配管21の途中位置には、管路を開閉するバルブV1が介設されており、吸引装置1の側面(車両左側)に配置された操作レバーLV1(図4参照)を操作することによって、バルブV1の開弁状態と閉弁状態とが切り換えられる。加圧配管22の途中位置には、管路を開閉するバルブV2が介設されており、吸引装置1の側面(車両左側)に配置された操作レバーLV2(図4参照)を操作することによって、バルブV2の開弁状態と閉弁状態とが切り換えられる。
ブロワ25は、冷却水が内部に封入される湿式のルーツブロワとして構成されている。ブロワ25の内部には、キャッチャタンク35の内部の空間に貯溜された冷却水が、図示しない冷却水供給配管を通じて供給されるようになっている。なお、キャッチャタンク35の内部の空間には、給水タンク16(図1参照)から冷却水が供給される。本実施形態では、ブロワ25は、第1段ブロワ25A及び第2段ブロワ25B(図4、図5参照)を備えた2段式のブロワとして構成されており、例えば特開2010−59872号公報に示されるような公知の構成とされる。
ブロワ25が駆動されると、吸引時、詳細には後述するように、第1段ブロワ25Aの吸入口25aから空気が吸入され、第1段ブロワ25Aで圧縮された空気が吐出口25eから吐出される。第1段ブロワ25Aの吐出口25eから吐出された空気は、配管33を通じて、第2段ブロワ25Bの吸入口25fから吸入され、第2段ブロワ25Bで圧縮された空気が、吐出口25bから配管27へ吐出される。一方、加圧時、第1段ブロワ25Aの吐出口25eから吐出された空気の一部が、配管29からチェック弁28eを介して外部に排出され、残りの空気が第2段ブロワ25Bの吸入口25fから吸入され、第2段ブロワ25Bの吐出口25bから配管27へ吐出される。このように、第1段ブロワ25Aの吐出口25eから吐出された空気の一部が、第2段ブロワ25Bを経由せずに、配管29へ排出される。つまり、第1段ブロワ25Aの吐出側に設けられたチェック弁28eによって、第1段ブロワ25Aから吐出された空気が、第2段ブロワ25B及び配管29に分配して送られる。
吸引配管21は、下流端において、上流側キャッチャ23の吸入口23aに接続されている。上流側キャッチャ23の排出口23bは、配管24を介してブロワ25(第1段ブロワ25A)の吸入口25aに接続されている。ブロワ25(第2段ブロワ25B)の吐出口25bは、配管27を介してサイレンサ28の第1空気入口28cに接続されている。配管27の途中位置には、管路を開閉するバルブV3が介設されており、吸引装置1の側面(車両左側)に配置された操作レバーLV3(図4参照)を操作することによって、バルブV3の開弁状態と閉弁状態とが切り換えられる。また、バルブV3をバイパスするように、リリーフ配管32が接続されている。このリリーフ配管32の途中位置には、ブロワ25の吐出圧の異常圧力から保護するためのリリーフ弁V5が設けられている。
サイレンサ28の空気出口28fは、配管30を介して下流側キャッチャ31の吸入口31aに接続されている。下流側キャッチャ31の上面に設けられた排出口31bは、大気に解放されている。
ブロワ25(第1段ブロワ25A)の吸入口25aに接続された配管24の途中位置には、配管34が接続されている。配管34の上流端には、吸入口37aが接続されており、この吸入口37aが外気(大気)を取り込むための外気取込部37に接続されている。配管34の途中位置には、管路を開閉するバルブV4が介設されている。バルブV4は、ブロワ25の吸入口25aを大気に接続可能な負荷開放弁になっており、吸引装置1の側面(車両左側)に配置された操作レバーLV4(図4参照)を操作することによって、バルブV4の開弁状態と閉弁状態とが切り換えられる。
また、加圧配管22の上流端は、ブロワ25(第2段ブロワ25B)の吐出口25bに接続された配管27の途中位置であって、バルブV3とブロワ25の吐出口25bとの間の位置に接続されている。加圧配管22の途中位置には、異常発生時等にレシーバタンク5の内圧を解放するための安全弁V6が設けられている。
また、ブロワ25(第2段ブロワ25B)には、空気導入口25c,25dが設けられている。空気導入口25c,25dからブロワ25(第2段ブロワ25B)の内部に空気を供給することによって、ブロワ25の排気温度の上昇が抑制されるようになっている。空気導入口25c,25dは、空気導入配管26a,26bを通じて、外気取込部37に接続されている。空気導入配管26a,26bの途中位置には、チェック弁26c,26dが介設されている。チェック弁26c,26dによって、外気取込部37側から空気導入口25c,25d側への空気の流通のみが許容され、空気導入口25c,25d側から外気取込部37側への空気の流通は規制される。
サイレンサ28は、筒体28aを有する膨張式のサイレンサとして構成されており、この筒体28a内の空間が、サイレンサ28の膨張室28bになっている。膨張室28bは、断面積が拡大する部分を有しており、この膨張室28b内に入った空気が、膨張室28b内で膨張することによってブロワ25の駆動音が低減されるようになっている。
筒体28aの上部には、膨張室28bに連通される第1空気入口28c及び空気出口28fが設けられている。また、筒体28aの下部には、第2空気入口28dが設けられている。第2空気入口28dは、配管27と並列に配置された配管29に接続されている。第2空気入口28dには、チェック弁28eが設けられており、チェック弁28eを介して、膨張室28bに配管29が連通されている。チェック弁28eによって、配管29側から膨張室28b側への空気の流通のみが許容され、膨張室28b側から配管29側への空気の流通は規制される。また、筒体28aの底部(底板)28gには、図示しない複数の開口部が形成されており、これらの開口部を介して、膨張室28bがキャッチャタンク35の内部の空間に連通されている。
上流側キャッチャ23及び下流側キャッチャ31は、共通の支持部材としてのキャッチャタンク(集塵タンク)35に一体的に搭載されている。キャッチャタンク35内には、隔壁36が設けられており、この隔壁36によってキャッチャタンク35の内部の空間が、上流側キャッチャ23側の空間35aと、下流側キャッチャ31側の空間35bとに仕切られている。このため、上流側キャッチャ23及び下流側キャッチャ31がそれぞれ収集した異物(粉塵、水滴等)が別々に蓄積される。キャッチャタンク35の下流側キャッチャ31側の空間35bには、給水タンク16からの冷却水も供給されるようになっている。
ここで、上流側キャッチャ23は、筒体を有するサイクロン式の集塵機として構成されている。具体的には、上流側キャッチャ23は、円筒状の円筒室23eと、この円筒室23eの下方に連続した略円錐形状の円錐室23fとからなる処理チャンバ23cを備えている。この上流側キャッチャ23に異物(粉塵等)を含む空気が、吸入口23aから吸入されると、処理チャンバ23cの内壁面に沿って螺旋気流が発生する。これにより、空気に含まれる異物(粉塵等)が分離され、大部分の異物が、処理チャンバ23c(円錐室23f)の下端開口23dから下方へ落下し、キャッチャタンク35内に堆積(蓄積)することでキャッチャタンク35内に回収される。一方、上流側キャッチャ23において、異物が分離された空気は、螺旋気流の中心を上昇して処理チャンバ23c内の上側に設けられた排出口(排出筒)23bから配管24へ排出されるようになっている。
同様に、下流側キャッチャ31も、筒体を有するサイクロン式の集塵機として構成されている。つまり、下流側キャッチャ31は、円筒状の円筒室31eと、この円筒室31eの下方に連続した略円錐形状の円錐室31fとからなる処理チャンバ31cを備えている。この下流側キャッチャ31に異物(粉塵、冷却水等)を含む空気が、吸入口31aから吸入されると、処理チャンバ31cの内壁面に沿って螺旋気流が発生する。これにより、空気に含まれる異物(粉塵、冷却水等)が分離され、大部分の異物が、処理チャンバ31c(円錐室31f)の下端開口31dから下方へ落下し、キャッチャタンク35内に回収される。一方、下流側キャッチャ31において、異物が分離された空気は、螺旋気流の中心を上昇して処理チャンバ31c内の上側に設けられた排出口(排出筒)31bから大気へ排出されるようになっている。
本実施形態では、図6に示すように、上流側キャッチャ23及び下流側キャッチャ31に加え、サイレンサ28がキャッチャタンク35に一体的に支持されている。つまり、キャッチャタンク35は、上流側キャッチャ23と下流側キャッチャ31とサイレンサ28とを支持する共通の支持部材になっている。
具体的には、キャッチャタンク35は、タンク状の部材によって形成されており、上述したように、上流側キャッチャ23及び下流側キャッチャ31によって空気から分離された異物が、当該キャッチャタンク35の内部に蓄積される構成になっている。上流側キャッチャ23と、下流側キャッチャ31と、サイレンサ28のそれぞれの上部は、キャッチャタンク35の上面35cから突出(露出)されている。一方、上流側キャッチャ23と、下流側キャッチャ31と、サイレンサ28のそれぞれの下部は、キャッチャタンク35の内部に挿入(収納)されている。
より詳細には、上流側キャッチャ23の筒体としての処理チャンバ23cが、キャッチャタンク35の上面35cに形成された円形の開口部35dに、軸心が略鉛直方向に沿った縦置きの状態で挿入されている。そして、例えば溶接等の固定手段によって、処理チャンバ23cの外周面が、キャッチャタンク35の上面35cに固定されている。この場合、処理チャンバ23cの上部に設けられた円筒室23eが、キャッチャタンク35の上面35cから突出されている。また、処理チャンバ23cの下部に設けられた円錐室23fの一部分(下部分)が、キャッチャタンク35の内部に挿入されている。
同様に、下流側キャッチャ31の筒体としての処理チャンバ31cが、キャッチャタンク35の上面35cに形成された円形の開口部35eに、軸心が略鉛直方向に沿った縦置きの状態で挿入されている。そして、例えば溶接等の固定手段によって、処理チャンバ31cの外周面が、キャッチャタンク35の上面35cに固定されている。この場合、処理チャンバ31cの上部に設けられた円筒室31eが、キャッチャタンク35の上面35cから突出されている。また、処理チャンバ31cの下部に設けられた円錐室31fの一部分(下部分)が、キャッチャタンク35の内部に挿入されている。
さらに、サイレンサ28の筒体28aが、キャッチャタンク35の上面35cに形成された円形の開口部35fに、軸心が略鉛直方向に沿った縦置きの状態で挿入されている。そして、例えば溶接等の固定手段によって、筒体28aの外周面が、キャッチャタンク35の上面35cに固定されている。この場合、筒体28aの上部が、キャッチャタンク35の上面35cから突出され、筒体28aの下部が、キャッチャタンク35の内部に挿入されている。
このように、キャッチャタンク35の上面35cから、3つの筒体(処理チャンバ23c,31c、及び筒体28a)が上方に向けて突出された構造のタンクアッセンブリが、一体的に形成されている。これら3つの筒体を互いに近づけて配置することによって、上流側キャッチャ23と、下流側キャッチャ31と、サイレンサ28とをキャッチャタンク35に集中的に配置したコンパクトな構造のタンクアッセンブリが得られる。
このようなタンクアッセンブリにおいて、正面視で、上流側キャッチャ23の筒体(処理チャンバ23c)と、下流側キャッチャ31の筒体(処理チャンバ31c)と、サイレンサ28の筒体28aとがキャッチャタンク35の長手方向に並んで配置されている。キャッチャタンク35の略中央部には、下流側キャッチャ31が配置されている。下流側キャッチャ31に対し、キャッチャタンク35の長手方向一方側(車両左側)に上流側キャッチャ23が配置され、長手方向他方側(車両右側)にサイレンサ28が配置されている。また、上流側キャッチャ23の吸入口23aと、下流側キャッチャ31の吸入口31aと、サイレンサ28の空気出口28fとが略同じ高さ位置に設けられている。
さらに、図5に示すように、平面視で、キャッチャタンク35の後部に凹部35gが形成されており、上流側キャッチャ23と、下流側キャッチャ31と、サイレンサ28とが、凹部35gの周囲に配置されている。また、平面視で、キャッチャタンク35の凹部35g内にブロワ25の一部(先端部)が配置されるようになっている。
また、キャッチャタンク35には、上述した外気取込部37が一体的に設けられている。外気取込部37は、キャッチャタンク35の後部に形成された凹部35g(図5参照)において外気(大気)に開放されている。この外気取込部37において、ブロワ25(第1段ブロワ25A)の吸入口25aに接続される配管34と、ブロワ25(第2段ブロワ25B)の空気導入口25c,25dに接続される空気導入配管26a,26bとが集合されている。そして、共通の外気取込部37から取り込まれた外気が、配管34と、空気導入配管26a,26bとに分配されるようになっている。外気取込部37には、多数の開口を有する図示しないサイレンサ部が一体に設けられており、このサイレンサ部によって、バルブV4を開弁状態に操作してブロワ25を大気開放した際に発生する騒音が低減されるようになっている。なお、外気取込部37は、キャッチャタンク35内の空間とは連通していない状態で設けられている。
上述したように、ブロワ25は、第1段ブロワ25A及び第2段ブロワ25Bを備えた2段式のブロワとして構成されている。第1段ブロワ25Aでは、配管34に接続された吸入口25aから空気が吸入され、配管29,33に接続された吐出口25eから空気が吐出される。第2段ブロワ25Bでは、配管33に接続された吸入口25fから空気が吸入され、配管27に接続された吐出口25bから空気が吐出される。ブロワ25から吐出される空気の流れが、回収対象物の吸引処理を行う場合(レシーバタンク5内の空気を減圧する場合)と、回収対象物の排出処理を行う場合(レシーバタンク5内の空気を加圧する場合)とで異なっている。以下、この点について説明する。
[回収対象物の吸引処理]
上記の配管構成において、回収対象物の吸引処理を行う場合、レシーバタンク5内の空気を減圧する。この減圧時には、操作レバーLV1〜LV4の操作により、バルブV1及びバルブV3が開放され、バルブV2及びバルブV4が閉鎖される。
上記のバルブ操作後、吸引車2のエンジンの駆動力によりブロワ25が回転駆動されると、図3の実線矢印で示すように、第1段ブロワ25Aの吸入口25aから空気が吸入される。そして、第1段ブロワ25Aで圧縮された空気が、吐出口25eから排出され、配管33を通じて、第2段ブロワ25Bに送られる(実線矢印A1参照)。続いて、吐出口25eから排出された空気の全部が第2段ブロワ25Bの吸入口25fから吸入され、第2段ブロワ25Bで圧縮された空気が、吐出口25bから排出され、配管27を通じて、サイレンサ28に送られる(実線矢印A2参照)。
そして、ブロワ25の駆動により、図3の配管に沿った実線矢印で示すように、レシーバタンク5内の空気は、タンク加減圧配管7、吸引配管21を通じて、上流側キャッチャ23へ送られる。上流側キャッチャ23に異物(粉塵等)を含む空気が吸入されると、上述したように、異物はキャッチャタンク35内に回収される。一方、異物が分離された空気は、排出口23bから排出され、配管24を通じて、吸入口25aからブロワ25に吸入される。このとき、ブロワ25(第1段ブロワ25A及び第2段ブロワ25B)には、上述したように、冷却水が供給され、この冷却水が霧状となって吸入空気中に混入されるようになっている。
ブロワ25から吐出された冷却水を含んだ空気は、配管27、サイレンサ28、配管30を通じて、下流側キャッチャ31へ送られる。下流側キャッチャ31に異物(粉塵、冷却水等)を含む空気が吸入されると、上述したように、異物はキャッチャタンク35内に回収される。一方、異物が分離された空気は、排出口31bから大気へ排出される。
このように、ブロワ25の駆動により、レシーバタンク5内の空気を減圧し、空気の流れによって外部からレシーバタンク5内に回収対象物を吸引することが可能になる。このとき、ブロワ25の下流側に設けられたサイレンサ28によって、ブロワ25の駆動音が低減される。また、空気導入配管26a,26bを介してブロワ25(第2段ブロワ25B)の内部に空気が供給されることによって、ブロワ25の排気温度(吐出口25bから排出された空気の温度)が低減されるようになっている。
[回収対象物の排出処理]
上記の配管構成において、回収対象物の排出処理を行う場合、レシーバタンク5を加圧する。この加圧時には、操作レバーLV1〜LV4の操作により、バルブV1及びバルブV3が閉鎖され、バルブV2及びバルブV4が開放される。
上記のバルブ操作後、吸引車2のエンジンの駆動力によりブロワ25が回転駆動されると、第1段ブロワ25Aの吸入口25aから空気が吸入され、上述した減圧時と同様、第1段ブロワ25Aで圧縮された空気の一部が、吐出口25eから排出され、配管33を通じて、第2段ブロワ25Bに送られる。また、図3の破線矢印で示すように、第1段ブロワ25Aで圧縮された空気が、配管29を通じて、サイレンサ28に送られるとともに(破線矢印B1参照)、第2段ブロワ25Bで圧縮された空気が、配管27を通じて、レシーバタンク5に供給される(破線矢印B2参照)。
そして、ブロワ25の駆動により、図3の配管に沿った破線矢印で示すように、外気取込部37から空気が吸入され、配管34、配管24を通じて、吸入口25aから空気がブロワ25に吸入される。第1段ブロワ25Aから吐出された空気の一部が、配管29を通じて、サイレンサ28に送られ、配管30を通じて、下流側キャッチャ31へ送られる。下流側キャッチャ31によって浄化された空気が、排出口31bから大気へ排出される。また、第2段ブロワ25Bから吐出された空気が、配管27、加圧配管22、タンク加減圧配管7を通じて、レシーバタンク5内に供給され、レシーバタンク5内の空気が加圧される。このように、ブロワ25の駆動により、レシーバタンク5内の空気を加圧することによって、レシーバタンク5内の回収対象物を外部へ排出することが可能になる。この場合、ブロワ25によってレシーバタンク5内の加圧が行われるが、ブロワ25によって大きな風量をレシーバタンク5に供給する必要はなく、ブロワ25によるレシーバタンク5内の加圧力を一定に保持できればよい。
本実施形態では、上述した従来の構成(図7参照)とは異なり、レシーバタンク5内の加圧時、第2段ブロワ25Bから吐出された空気がレシーバタンク5に供給され、第1段ブロワ25Aから吐出された空気の一部が、下流側キャッチャ31の排出口31bから外部へ排出される。この場合、外部から第1段ブロワ25Aに吸入された空気が、第1段ブロワ25Aから吐出され、サイレンサ28、下流側キャッチャ31を経由して外部へ排出される。このため、外部へ排出される空気に対しては、第1段ブロワ25Aをほとんど負荷のかからない状態で駆動することができる。これにより、第1段ブロワ25Aの駆動負荷を、第1段ブロワ25Aから外部へ排出される空気の量に応じて低減することができ、第1段ブロワ25Aの温度上昇を抑えることができる。したがって、レシーバタンク5内の加圧時、2段式のブロワ25を連続して長時間、駆動したとしても、2段式のブロワ25の温度上昇を全体として抑制することができる。これにより、従来の構成に比べて、2段式のブロワ25の排気温度(ブロワ25から排出された空気の温度)が上昇することを抑制でき、2段式のブロワ25の連続駆動時間を延ばすことができる。また、2段式のブロワ25を駆動するエンジンにかかる負荷も低減でき、エンジンの燃料消費量も低減できる。
また、レシーバタンク5内の加圧時、2段式のブロワ25によってレシーバタンク5に供給される空気量(風量)が低減されるので、ブロワ25の異常圧力を解放するためのリリーフ弁V5のサイズを小さくすることができる。
一方、レシーバタンク5内の減圧時には、第1段ブロワ25Aから吐出された空気が第2段ブロワ25Bに吸入され、第2段ブロワ25Bから吐出された空気が、サイレンサ28、下流側キャッチャ31を経由して外部へ排出される。このように、レシーバタンク5内の減圧時、第1段ブロワ25A及び第2段ブロワ25Bを直列的に用いることによって、レシーバタンク5内の減圧度を高めることができるとともに、レシーバタンク5内の加圧時、2段式のブロワの排気温度の上昇を抑制することができる。
ここで、サイレンサ28に設けられたチェック弁28e、言い換えれば、ブロワ25の吐出口25bと下流側キャッチャ31との間に設けられたチェック弁28eによって、レシーバタンク5内の空気を減圧する場合と、レシーバタンク5内の空気を加圧する場合とで、ブロワ25から吐出される空気の流れを容易に切り替えることが可能になっている。具体的には、レシーバタンク5内の加圧時、チェック弁28eを介して、第1段ブロワ25Aから吐出された空気の一部が、下流側キャッチャ31へ送られる一方、チェック弁28eにより、レシーバタンク5内の減圧時、第1段ブロワ25Aから吐出された空気が下流側キャッチャ31へ送られることが阻止される。
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記実施形態では、ブロワ25として、湿式のルーツブロワを用いたが、レシーバタンク5内の空気を加減圧することが可能であれば、他の形式のブロワ、ポンプ等を用いてもよい。ブロワ25として、例えば、乾式のルーツブロワや、ベーンポンプ等を用いてもよい。
以上では、吸引装置1が吸引車2に搭載されている場合について説明したが、吸引車に搭載されていない吸引装置に対しても本発明を適用することが可能であり、この場合、吸引装置は、吸引車のエンジンとは独立した駆動源によって駆動される。例えば、吸引装置が収容されたコンテナを車両に積載して作業現場まで運搬し、コンテナを所定の場所に積み降ろして、吸引装置を作業現場に設置することが可能である。