JP6914152B2 - 溶融金属収集用部材及び金属マグネシウムの製造方法 - Google Patents

溶融金属収集用部材及び金属マグネシウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩化マグネシウムの溶融塩を電気分解して、金属マグネシウムを得る金属マグネシウムの製造方法及びそれに用いられる溶融金属収集用部材に関する。
金属チタンは、工業的にはクロール法によって製造されたスポンジチタンをもとに製造されている。そして、このクロール法によるスポンジチタン製造工程は、塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程の四工程に大別される。
これらの工程の一つである電解工程は、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元してスポンジチタンを製造する還元工程の副生成物である塩化マグネシウムを、溶融塩電気分解して、金属マグネシウムを再生する工程である。
電解工程において用いられる溶融塩電解槽としては、例えば、特許文献1には、内側に角柱状の空間を有する陰極と、該陰極の内側に配置される角柱状の陽極と、該陰極と該陽極の間に配置される1以上の複極と、が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属が保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなる溶融塩電解槽が開示されている。
また、特許文献2には、内側に円柱状の空間を有する陰極と、該陰極の内側に配置される円柱状の陽極と、該陰極と該陽極の間に配置される1以上の複極と、が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属が保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなる溶融塩電解槽が開示されている。
特許文献3には、平板状陰極と、該陰極と並行に設置された平板状陽極と、該陰極と該陽極の間に配置される1以上の複極と、が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属が保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなる溶融塩電解槽が開示されている。
WO2017/018441 A1 WO1996/033297 特開2001−355089
しかしながら、スポンジチタンの製造においては、金属マグネシウム中の不純物は、四塩化チタンの還元時にスポンジチタン中にトラップされてしまうことがあるため、電解工程には、ただ単に金属マグネシウムを再利用することでだけでなく、高純度の金属マグネシウムを製造することが要求される。
ところが、特許文献1〜3に開示されている溶融塩電解槽では、電解槽を構成しているレンガに由来する不純物が、生成する金属マグネシウムに混入してしまうという問題があった。
また、高純度の金属を製造するために、複雑な方法を講じると、金属の製造コストが高くなってしまう。
従って、本発明の目的は、高純度の金属マグネシウムを、安価に製造することができる溶融塩電解槽を提供することにある。
上記課題は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体であり、
成形体内部に成形体体積の18〜30%に相当する中空部を有し、
平均密度が1.03〜1.50g/cmであり、
内側に溶融金属保持空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材を提供するものである。
また、本発明(2)は、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体であり、
成形体内部に成形体体積の40〜55%に相当する中空部を有し、
平均密度が1.56〜1.66g/cmであり、
内側に溶融金属保持空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材を提供するものである。
また、本発明(3)は、気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体と、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせからなり、
メタル回収室の溶融塩の上に配置され、該多孔質カーボンの成形体の気孔に溶融塩が浸み込んだときの平均密度が1.56〜1.66g/cmとなり、
内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材を提供するものである。
また、本発明(4)は、耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
(1)又は(3)の溶融金属収集用部材を該メタル回収室の溶融塩の上に配置して、該溶融金属収集用部材の成形体内部の気孔に該溶融塩を浸み込ませることにより、該溶融金属収集用部材の平均密度を1.56〜1.66g/cmにして、該メタル回収室の溶融塩の上に、該溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
を特徴とする金属マグネシウムの製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
該メタル回収室の溶融塩の上に、(2)の溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
を特徴とする金属マグネシウムの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、高純度の金属マグネシウムを、安価に製造することができる溶融塩電解槽を提供することができる。
本発明の金属マグネシウムの製造方法に用いる溶融塩電解槽の形態例を示す模式的な斜視図である。 図1中の溶融塩電解槽の溶融塩流入経路及び金属マグネシウム流入経路を示す図である。 図1中の溶融塩電解槽を垂直な面で切った端面図である。 本発明の溶融金属収集用部材の形態例を示す模式図である。 図1に示す溶融塩電解槽を用いて溶融塩の電気分解を行っている様子を示す端面図である。 本発明の溶融金属収集用部材の形態例を示す模式図である。 本発明の溶融金属収集用部材の形態例を示す模式図である。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体であり、
成形体内部に成形体体積の18〜30%に相当する中空部を有し、
平均密度が1.03〜1.50g/cmであり、
内側に溶融金属保持空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体であり、
成形体内部に成形体体積の40〜55%に相当する中空部を有し、
平均密度が1.56〜1.66g/cmであり、
内側に溶融金属保持空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体と、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせからなり、
メタル回収室の溶融塩の上に配置され、該多孔質カーボンの成形体の気孔に溶融塩が浸み込んだときの平均密度が1.56〜1.66g/cmとなり、
内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
なお、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材、第二の形態の溶融金属収集用部材及び第三の形態の溶融金属収集用部材を総称して、本発明の溶融金属収集用部材とも記載する。
また、本発明の溶融金属収集用部材が用いられる溶融塩電解槽は、耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽である。
本発明の溶融金属収集用部材及び本発明の溶融金属収集用部材が用いられる溶融塩電解槽について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本発明の溶融金属収集用部材が用いられる溶融塩電解槽の形態例を示す模式的な斜視図であり、金属マグネシウムを製造するための溶融塩電解槽である。図2は、図1中溶融塩電解槽の溶融塩流入経路及び金属マグネシウム流入経路を示す図である。図3は、図1中の溶融塩電解槽を垂直な面で切った端面図である。図4は、本発明の溶融金属収集用部材の形態例を示す模式図であり、(A)は斜視図であり、(B)は上から見た図である。図5は、図1中の溶融塩電解槽を用いて、溶融塩電解を行っている様子を示す模式図であり、図3とは別の垂直な面で切った端面図である。
図1〜図3に示すように、溶融塩電解槽1の外側は、側壁2、炉床3及び蓋4で構成されている。側壁2及び炉床3は、耐火レンガで構築されており、また、蓋4は、キャスタブル耐火物で構築されている。また、図示しないが、メタル回収室22の上側部分の蓋4には、マグネシウム保持部14に貯まった金属マグネシウムを、連続的又は一定間隔毎若しくは不定期に、回収するためのマグネシウム回収口及び溶融塩が電気分解により消費されて少なくなったときに、溶融塩電解槽1内に溶融塩を補給するための溶融塩補給口が形成されており、電気分解室21の上側部分の蓋4には、塩素ガスの回収口が形成されており、塩素ガスを外に排出するための塩素ガス排出管が付設されている。
溶融塩電解槽1の内側の上部は、隔壁5により、電気分解室21とメタル回収室22に分離されている。電気分解室21とメタル回収室22の境界部の下部には、メタル回収室22から電気分解室21に溶融塩が流入するための流入経路である溶融塩流入経路8が形成されている。電気分解室21とメタル回収室22の境界部の、溶融塩流入経路8より上の部分には、電気分解室22で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩がメタル回収室22に流入するための経路である金属マグネシウム流入経路7が形成されている。なお、電気分解室21とメタル回収室22の下部とは、それぞれの隔壁5より下側部分を指す。また、電気分解室21とメタル回収室22の境界部とは、横方向に見たときに、隔壁5が設置されている位置近傍から、メタル回収室22側の陰極25が設置されている位置近傍までの範囲を指す。なお、横方向とは、隔壁5の伸長方向に対して垂直な面における左右方向を指す。
電気分解室21の上側には、1対以上の陰極25及び陽極23と、陰極25と陽極23の間に装入される1以上の複極24と、が設置されている。陰極25の形状は、内側に角柱状の空間を有する形状である。陽極23の形状は、角柱状である。陰極25、陽極23及び複極24は、電気分解室21の側壁2側の下部に設けられている電極支持部151と、電気分解室21とメタル回収室22の境界部の下部に設けられている電極支持部152の上に設置されることにより、電気分解室21の上側に設置されている。そのため、電気分解室21は、下側に、溶融塩保持部26を有する。
メタル回収室22の上側には、マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部14を有する。マグネシウム保持部14の形状は、上から見た時の形状が、矩形状であり、立体形状が、四角柱状である。なお、図1に示す形態例では、マグネシウム保持部の形状が、上から見た時の形状が矩形状であり、立体形状が四角柱状であるが、本発明では、それに限定されず、他には、例えば、マグネシウム保持部の形状としては、上から見た時の形状が正方形であり、立体形状が四角柱状のもの、上から見た時の形状が円形であり、立体形状が円柱状のものが挙げられる。また、メタル回収室22の下側には、溶融塩保持部27を有する。
金属マグネシウム流入経路7は、メタル回収室側の陰極25が、隔壁5との間に間隔を開けて配置されることにより、形成されている。
図4に示すように、溶融金属収集用部材6aは、角筒形状であり、内側に、溶融金属が収集される部位である、四角柱状の溶融金属収集空間61を有する。そして、溶融金属収集用部材6aの外形は、上から見たときの形状が、矩形状である。なお、図3及び図4に示す形態例では、溶融金属収集用部材の形状が、上から見た時の外形が矩形状であり、立体形状が角筒状であるが、本発明では、それに限定されず、他には、例えば、溶融金属収集用部材の形状としては、上から見た時の形状が正方形であり、立体形状が角筒状のもの、上から見た時の外形が円形であり、立体形状が円筒状のものが挙げられる。溶融金属収集用部材6aは、内部に気孔を有する多孔質カーボン、窒化ケイ素の焼結物又は炭化ケイ素の焼結物からなる。
図5には、溶融塩電解槽1のマグネシウム保持部14内に、溶融金属収集用部材6aを配置した状態で、溶融塩電解を行っている様子を示す。溶融塩電解を行っているときは、溶融塩電解槽1の電気分解室21の上側にある陰極25、陽極23及び複極24で、塩化マグネシウムを含有する溶融塩11が電気分解される。そのため、溶融塩電解槽1では、電気分解室21の上側にある陰極25、陽極23及び複極24の近傍で溶融塩11が電気分解されて溶融マグネシウムと塩素ガスが生成し、どちらも溶融塩より比重が小さいため、上側に移動する溶融塩の流れが発生し、電気分解室21の下側の溶融塩11が上側に移動し、その溶融塩の移動により、メタル回収室22の下側にある溶融塩11が、溶融塩流入経路8を通って、電気分解室21の下側に移動する溶融塩の流れ111が生じている。そして、電気分解室21の上側で電気分解により生成した金属マグネシウム10および溶融塩が、金属マグネシウム流入経路7を通って、メタル回収室21の上側に移動する金属マグネシウムの流れ101が生じている。
メタル回収室22のマグネシウム保持部14内には、溶融金属収集用部材6aが、メタル回収室22内の溶融塩11の上に浮かんだ状態で配置されている。溶融金属収集用部材6aは、平均密度が、電気分解室21で生成する溶融状態の金属マグネシウムより高く、且つ、溶融状態の溶融塩11より低いので、溶融塩電解槽1内では、溶融金属収集用部材6aは、メタル回収室22内の溶融塩11の上に浮かぶことができる。そして、メタル回収室21の上側に移動した金属マグネシウム10は、マグネシウム保持部14内に配置されている溶融金属収集用部材6aの内側の溶融金属収集空間61に集められて保持される。
なお、溶融金属収集用部材6aが、気孔率が12〜40%のカーボン成形体の場合、すなわち、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の場合、溶融金属収集用部材6aをメタル回収室22内の溶融塩11の上に配置すると、多孔質カーボンの成形体の気孔内に溶融塩11が浸み込む。そのため、溶融金属収集用部材6aを形成する多孔質カーボンの成形体の気孔内に溶融塩11が浸み込むことを考慮して、気孔率、平均密度、中空部の体積等を調節することにより、溶融金属収集用部材6aをメタル回収室22の溶融塩11の上に配置したときの溶融金属収集用部材6aの平均密度が1.56〜1.66g/cmになるように調節し、溶融金属収集用部材6aを、メタル回収室22内の溶融塩11の上に浮かんだ状態で配置させる。
また、溶融金属収集用部材6aが、気孔率が0.1〜10%且つ平均密度が1.56〜1.66g/cmの窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の場合、すなわち、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の場合、溶融金属収集用部材6aをメタル回収室22内の溶融塩11の上に配置しても、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の気孔内には溶融塩11は浸み込まない。そのため、溶融金属収集用部材6aの平均密度を1.56〜1.66g/cmに調節し、溶融金属収集用部材6aを、メタル回収室22内の溶融塩11の上に浮かんだ状態で配置させる。
また、溶融金属収集用部材6aが、気孔率が12〜40%のカーボン成形体と、気孔率が0.1〜10%の窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせの場合、すなわち、本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材の場合、溶融金属収集用部材6aをメタル回収室22内の溶融塩11の上に配置すると、多孔質カーボンの成形体の気孔内に溶融塩11が浸み込む。そのため、溶融金属収集用部材6aを形成する多孔質カーボンの成形体の気孔内に溶融塩11が浸み込むことを考慮して、気孔率、平均密度、中空部の体積等を調節することにより、溶融金属収集用部材6aをメタル回収室22の溶融塩11の上に配置したときの溶融金属収集用部材6aの平均密度が1.56〜1.66g/cmになるように調節し、溶融金属収集用部材6aを、メタル回収室22内の溶融塩11の上に浮かんだ状態で配置させる。
また、溶融塩11の電気分解により金属マグネシウム10と共に塩素ガス12が発生し、発生した塩素ガス12は、金属マグネシウムから脱泡して、浴面9から上部空間に移動し、図示しない蓋4に形成されている塩素ガス回収口及び塩素ガス排出管により、外に排出される。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が12〜40%であるカーボンの成形体であり、
成形体内部に成形体体積の18〜30%に相当する中空部を有し、
平均密度が1.03〜1.50g/cmであり、
内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体であり、
成形体内部に成形体体積の40〜55%に相当する中空部を有し
平均密度が1.56〜1.66g/cmであり、
内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体と、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせからなり、
メタル回収室の溶融塩の上に配置され、該多孔質カーボンの成形体の気孔に溶融塩が浸み込んだときの平均密度が1.56〜1.66g/cmとなり、
内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
を特徴とする溶融金属収集用部材である。
本発明の溶融金属収集用部材(本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材及び本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材)は、溶融塩を電気分解して金属マグネシウムを製造する溶融塩電解槽のメタル回収室の上部に、隔壁を設けることにより、区画されているマグネシウム保持部内に配置される部材である。そして、本発明の溶融金属収集用部材は、メタル回収室の溶融塩に浮かんだ状態で、マグネシウム保持部内に配置されることで、電気分解室から移動してくる溶融状態の金属マグネシウムを、内側の溶融金属収集空間に収集して保持する部材である。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の材質は、カーボンである。本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、多孔質カーボンの成形体である。本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材を形成している多孔質カーボンの気孔率は、12〜40%、好ましくは16〜32%である。
また、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、成形体内部に平均密度調節用の中空部を有する。多孔質カーボンの成形体内部に形成されている中空部の体積は、多孔質カーボン成形体の体積の18〜30%、好ましくは21〜29%である。なお、多孔質カーボン成形体の体積とは、成形体内部の気孔も含めた体積、すなわち、多孔質カーボン成形体の見掛け体積を指す。多孔質カーボンの成形体内部に形成されている中空部としては、成形体内部を切削等して作られた空間、中空の金属球や金属配管等の中空金属部材が成形体内部に埋め込まれることにより作られた空間などが挙げられる。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材としては、例えば、(1)内部に気孔を有する多孔構造のカーボンを所定の形状に成形した多孔構造の成形体や、(2)カーボンを所定の形状に成形し、更に、成形体の構成材料内部を切削して、成形体の材料内部に平均密度調製用の空間を形成したものや、(3)カーボンを所定の形状に成形し、更に、成形体の構成材料内部に、平均密度調節用の空間形成用の中空金属部材の埋め込み空間を作成し、その空間に、中空金属部材を埋め込んだものや、(4)内部に気孔を有する多孔構造のカーボンを所定の形状に成形した多孔構造の成形体の構成材料内部に平均密度調製用の空間を形成したものや、(5)内部に気孔を有する多孔構造のカーボンを所定の形状に成形した多孔構造の成形体の構成材料内部に中空金属部材を埋め込んだもの等が挙げられる。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、1.03〜1.50g/cm、好ましくは1.16〜1.44g/cmである。なお、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材を形成する多孔質カーボン成形体内部の気孔と中空部を含めた体積、すなわち、多孔質カーボン成形体の見掛け体積で、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の質量を除した値(溶融金属収集用部材の質量(g)/成形体内部の空間も含めた見かけ体積(cm))である。また、上記の本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の平均密度とは、溶融塩が浸み込む前の溶融塩金属収集用部材の平均密度を指す。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材が、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されると、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材を形成する多孔質カーボンの気孔内に、溶融塩が浸み込む。そして、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、多孔質カーボンの気孔率、成形体内部に形成される中空部の体積割合及び平均密度が、上記範囲で調節されることにより、溶融塩が浸み込んだ状態での平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmに調節される。つまり、溶融塩が浸み込んだ状態での本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、溶融塩電解槽で生成する溶融金属マグネシウムより高く、且つ、メタル回収室内の溶融塩より低く調節されている。そのため、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されると、溶融塩電解槽に固定されなくても、マグネシウム保持部内に入れるだけで、溶融塩に浮かんだ状態で、マグネシウム保持部内に配置されることが可能である。
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材は、多孔質カーボンの気孔率、成形体内部に形成される中空部の体積割合及び平均密度が、上記範囲で調節されていることにより、メタル回収室の溶融塩の上に設置されて、溶融塩が浸み込んだときに、溶融塩が浸み込んだ状態での平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmとなる。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の材質は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素である。本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、窒化ケイ素粒子又は炭化ケイ素粒子の焼結物の成形体である。本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材を形成している窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の気孔率は、0.1〜10%、好ましくは1〜8%である。
また、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、成形体内部に平均密度調節用の中空部を有する。窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体内部に形成されている中空部の体積は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の体積の40〜55%、好ましくは47〜52%、特に好ましくは49〜52%である。なお、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の体積とは、成形体内部の気孔も含めた体積、すなわち、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の見掛け体積を指す。窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体内部に形成されている中空部としては、成形体内部を切削等して作られた空間、中空の金属球や金属配管等の中空金属部材が成形体内部に埋め込まれることにより作られた空間などが挙げられる。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmである。なお、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材を形成する窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体内部の気孔と中空部を含めた体積、すなわち、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の見掛け体積で、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の質量を除した値(溶融金属収集用部材の質量(g)/成形体内部の空間も含めた見かけ体積(cm))である。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材としては、例えば、内部に気孔を有する多孔構造の窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体が挙げられる。本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材としては、例えば、(1)内部に気孔を有する多孔構造の窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物を所定の形状に成形した多孔構造の成形体や、(2)窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物を所定の形状に成形し、更に、成形体の構成材料内部を切削して、成形体の材料内部に平均密度調製用の空間を形成したものや、(3)窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物所定の形状に成形し、更に、成形体の構成材料内部に、平均密度調節用の空間形成用の中空金属部材の埋め込み空間を作成し、その空間に、中空金属部材を埋め込んだものや、(4)内部に気孔を有する多孔構造の窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物を所定の形状に成形した多孔構造の成形体の構成材料内部に平均密度調製用の空間を形成したものや、(5)内部に気孔を有する多孔構造の窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物を所定の形状に成形した多孔構造の成形体の構成材料内部に中空金属部材を埋め込んだもの等が挙げられる。
本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材が、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されても、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材を形成する窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の気孔内には、溶融塩は浸み込まない。そして、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の気孔率及び中空部の体積割合が、上記範囲で調節されることにより、平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmに調節される。つまり、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、溶融塩電解槽で生成する溶融金属マグネシウムより高く、且つ、メタル回収室内の溶融塩より低く調節されている。そのため、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材は、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されると、溶融塩電解槽に固定されなくても、マグネシウム保持部内に入れるだけで、溶融塩に浮かんだ状態で、マグネシウム保持部内に配置されることが可能である。
本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材は、気孔率が、12〜40%、好ましくは16〜32%である多孔質カーボンの成形体と、気孔率が、0.1〜10%、好ましくは1〜8%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせである。つまり、本発明の三の形態の溶融金属収集用部材は、多孔質カーボンの成形体と窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体とを、内側に溶融金属収集空間が形成されるように組み合わせて構成されたものである。
本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材が、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されると、本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材を形成する多孔質カーボンの気孔内に、溶融塩が浸み込む。そして、本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材は、多孔質カーボンの気孔率、成形体内部に形成される中空部の体積割合及び平均密度と、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の気孔率、成形体内部に形成される中空部の体積割合及び平均密度と、を選択することにより、溶融塩が浸み込んだ状態での平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmとなるように調節されている。つまり、溶融塩が浸み込んだ状態での本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材の平均密度は、溶融塩電解槽で生成する溶融金属マグネシウムより高く、且つ、メタル回収室内の溶融塩より低く調節されている。そのため、本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材は、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置されると、溶融塩電解槽に固定されなくても、マグネシウム保持部内に入れるだけで、溶融塩に浮かんだ状態で、マグネシウム保持部内に配置されることが可能である。
本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材において、溶融塩が浸み込んだ状態での平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmとなるように調節する方法としては、例えば、多孔質カーボン成形体の気孔率を12〜40%の範囲内で調節すること、成形体内部に成形体体積の18〜30%に相当する範囲内で中空部を形成させること、平均密度を1.03〜1.50g/cmの範囲内で調節すること、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体の気孔率を0.1〜10%の範囲内で調節すること、成形体内部に成形体体積の40〜55%に相当する範囲で中空部を形成させること、平均密度を1.56〜1.66g/cmの範囲内で調節すること等が挙げられる。
本発明の溶融金属収集用部材は、マグネシウム保持部の内側に入る形状である。例えば、マグネシウム保持部の内側を上から見たときの形状が円形の場合、本発明の溶融金属収集用部材の形状としては、上から見た時の外形が円形である円筒形状が挙げられ、また、マグネシウム保持部の内側を上から見たときの形状が矩形の場合、本発明の溶融金属収集用部材の形状としては、上から見た時の外形が矩形である角筒形状が挙げられる。本発明の溶融金属収集用部材が円筒形状の場合、内側に円柱状の溶融金属収集空間を有することが好ましい。また、本発明の溶融金属収集用部材が角柱形状の場合、内側に四角柱状の溶融金属収集空間を有することが好ましい。
本発明の溶融金属収集用部材の外側の立体形状は、本発明の溶融金属収集用部材が配置される溶融塩電解槽内のマグネシウム保持部の立体形状や、本発明の溶融金属収集用部材の配置方式等により、適宜選択される。
例えば、通常、溶融塩電解槽内のマグネシウム保持部の形状は、四角柱状であるので、本発明の溶融金属収集用部材の外側の形状としては、上から見たときの外形が、マグネシウム保持部の内側の形状と同じ形状、又はマグネシウム保持部内での上下移動が可能な程度の隙間分だけ、マグネシウム保持部の内側の形状より一回り小さい矩形状である、角筒状の形状が挙げられる。つまり、本発明の溶融金属収集用部材としては、外側の輪郭が角柱状であり、内側に角柱状の溶融金属収集空間が形成されているものが挙げられる。
また、本発明の溶融金属収集用部材の形状としては、図6に示す形態例が挙げられる。図6中、溶融金属収集用部材6bは、円筒状の形状であり、上から見たときの外形が円形であり、内側に円柱状の溶融金属収集空間62を有する。つまり、本発明の溶融金属収集用部材としては、外側の輪郭が円柱状であり、内側に円柱状の溶融金属収集空間が形成されているものが挙げられる。このような円筒形状の溶融金属収集用部材は、例えば、溶融塩電解槽内のマグネシウム保持部の形状が、円柱状である場合に用いられる。
また、本発明の溶融金属収集用部材としては、図7(A)に示す形態例のように、外側の輪郭が角柱状であり、内側に円柱状の溶融金属収集空間が形成されているものが挙げられる。また、本発明の溶融金属収集用部材としては、図7(B)に示す形態例のように、溶融金属収集空間が2以上に区画されているものが挙げられる。
本発明の第一の形態の金属マグネシウムの製造方法は、耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材又は本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材を該メタル回収室の溶融塩の上に配置して、該溶融金属収集用部材の成形体内部の気孔に該溶融塩を浸み込ませることにより、該溶融金属収集用部材の平均密度を1.56〜1.66g/cmにして、該メタル回収室の溶融塩の上に、該溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
を特徴とする金属マグネシウムの製造方法である。
本発明の第二の形態の金属マグネシウムの製造方法は、耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
該メタル回収室の溶融塩の上に、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
を特徴とする金属マグネシウムの製造方法である。
なお、本発明の第一の形態の金属マグネシウムの製造方法及び本発明の第二の形態の金属マグネシウムの製造方法を総称して、本発明の金属マグネシウムの製造方法とも記載する。
本発明の第一の形態の金属マグネシウムの製造方法と本発明の第二の形態の金属マグネシウムの製造方法とでは、本発明の第一の形態の金属マグネシウムの製造方法が、溶融金属収集用部材として、本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材又は本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材を用い、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置して、溶融金属収集用部材を形成する多孔質カーボンの気孔内に溶融塩を浸み込ませることにより、溶融金属収集用部材の平均密度を、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmに調節して、メタル回収室の溶融塩の上に浮かべるのに対し、本発明の第二の形態の金属マグネシウムの製造方法が、溶融金属収集用部材として、平均密度が、1.56〜1.66g/cm、好ましくは1.58〜1.64g/cmに調節されている本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材を用い、溶融塩電解槽のメタル回収室の溶融塩の上に配置して、溶融金属収集用部材を形成する窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の気孔内には、溶融塩は浸み込ませないで、メタル回収室の溶融塩の上に浮かべる点で異なるものの、他は同様である。
本発明の金属マグネシウムの製造方法に係る溶融塩電解槽は、耐火レンガで構築されている。例えば、溶融塩電解槽の側壁、炉床、電気分解室とメタル回収室の隔壁、電極の支持部材等は、耐火レンガで形成されている。耐火レンガは、650〜800℃の温度に対して耐熱性を有し、溶融塩及び生成金属マグネシウムに対して耐食性を有するものであればよく、耐火レンガの材質としては、通常、溶融塩電解槽の構築材料として用いられているものであれば、特に制限されない、耐火レンガの材質としては、例えば、Alレンガ、SiOレンガ、MgOレンガ等が挙げられる。
溶融塩電解槽の側壁及び炉床は、内側を耐火レンガで構築し、外側を断熱レンガで構築する二重構造であってもよい。断熱レンガの材質としては、通常、溶融塩電解槽の構築材料として用いられているものであれば、特に制限されず、例えば、Alレンガ、SiOレンガ、MgOレンガ等が挙げられる。
蓋は、キャスタブル耐火物で構築されている。キャスタブル耐火物の材質としては、通常、溶融塩電解槽の構築材料として用いられているものであれば、特に制限されず、例えば、Alキャスタブル、SiOキャスタブル等が挙げられる。蓋のうち、電気分解室の上を塞ぐ部分には、塩素ガスの回収口が形成されており、塩素ガスの回収管が付設されている。また、蓋のうち、メタル回収室の上を塞ぐ部分には、金属マグネシウム回収口及び溶融塩補給口が形成されている。
溶融塩電解槽の内側の上部は、隔壁により、電気分解室とメタル回収室に分離されている。電気分解室とメタル回収室の境界部の下部には、メタル回収室から電気分解室に溶融塩が流入するための流入経路である溶融塩流入経路が形成されている。電気分解室とメタル回収室の境界部の、溶融塩流入経路より上の部分には、電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩がメタル回収室に流入するための経路である金属マグネシウム流入経路が形成されている。なお、電気分解室の下部とは、隔壁より下側の電気分解室の部分を指し、メタル回収室の下部とは、隔壁より下側のメタル回収室の部分を指す。また、電気分解室とメタル回収室の境界部とは、横方向に見たときに、隔壁が設置されている位置近傍から、メタル回収室側の陰極が設置されている位置近傍までの範囲を指す。
電気分解室の上側には、1対以上の電極が設置されている。電極の形状は、特に制限されず、平板状の形状、角柱状の形状、円柱状の形状が挙げられる。電極は、陰極と陽極が設置されている。陰極と陽極の間には、1以上の複極が装入されて設置されている。陰極の材質及び陽極の材質は、電気伝導性に優れ、塩素ガスや高温の溶融塩に対する化学的耐久性があれば、特に制限されず、また、陰極の材質と陽極の材質の組み合わせも、特に制限されない。陽極の材質としては、例えば、黒鉛等が挙げられる。また、陰極の材質としては、例えば、鉄、グラファイト等が挙げられる。複極の材質は、電気伝導性に優れ、塩素ガスや高温の溶融塩に対する化学的耐久性があれば、特に制限されず、例えば、黒鉛等が挙げられる。
陰極、陽極及び複極は、支持部材等の適切な支持部で、電気分解室の上側に支持される。そのため、電気分解室は、下側に、溶融塩保持部を有する。
メタル回収室は、上部に、溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有する。マグネシウム保持部は、金属マグネシウム流入経路の出口の位置より上のメタル回収室に形成される。マグネシウム保持部の形状としては、例えば、上から見たときの形状が円形で、立体形状が円柱状の形状、上から見たときの形状が矩形で、立体形状が角柱状の形状、上から見たときの形状が正方形で、立体形状が角柱状の形状等が挙げられる。また、メタル回収室は、下側に、溶融塩保持部を有する。
本発明の金属マグネシウムの製造方法において、本発明の金属マグネシウムの製造方法に係る溶融塩電解槽を用いて、溶融塩電解を行っているときは、溶融塩電解槽の電気分解室の上側にある陰極、陽極及び複極で、溶融塩が電気分解される。そのため、溶融塩電解槽では、電気分解室の上側にある陰極、陽極及び複極の近傍で溶融塩が電気分解されて、溶融マグネシウムと塩素ガスが生成し、どちらも溶融塩より比重が小さいため、上側に移動する溶融塩の流れが発生し、電気分解室の下側の溶融塩が上側に移動し、その溶融塩の移動により、メタル回収室の下側にある溶融塩が、溶融塩流入経路を通って、電気分解室の下側に移動する溶融塩の流れが生じている。そして、溶融塩電解槽では、このような溶融塩の流れに同調して、電気分解室の上側で電気分解により生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が、金属マグネシウム流入経路を通って、メタル回収室の上側に移動する金属マグネシウムの流れが生じている。
そして、本発明の金属マグネシウムの製造方法では、メタル回収室の溶融塩の上に、本発明の溶融金属収集用部材(本発明の第一の形態の溶融金属収集用部材、本発明の第二の形態の溶融金属収集用部材又は本発明の第三の形態の溶融金属収集用部材)を浮かべて配置し、溶融塩の電気分解により生成し、金属マグネシウム流入経路を通って、メタル回収室の上側に移動してくる金属マグネシウムを、溶融金属収集用部材の内側に収集する。溶融金属収集用部材の内側に収集された金属マグネシウムは、連続的に、一定間隔毎又は不定期に、外気に触れないようにして、溶融塩電解槽の外に回収される。
また、メタル回収室の上側に移動した金属マグネシウムは、メタル回収室の上部のマグネシウム保持部内の溶融金属収集用部材の内側に保持される。また、溶融塩の電気分解により金属マグネシウムと共に塩素ガスが発生し、発生した塩素ガスは、金属から脱泡して、浴面から上部空間に移動し、蓋に形成されている塩素ガス回収口及び塩素ガス排出管により、外に排出される。
本発明の金属マグネシウムの製造方法に係る溶融塩としては、電圧の印加により電気分解されて、金属マグネシウムを生成する溶融塩であればよく、塩化マグネシウムを含有する溶融塩である。つまり、本発明の金属マグネシウムの製造方法に係る溶融塩電解槽は、塩化マグネシウムを含有する溶融塩を電気分解して金属マグネシウムを製造する金属マグネシウムの製造用の溶融塩電解槽である。
塩化マグネシウムを含有する溶融塩は、密度調整、電気伝導度調整、及び融点調節等のために、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化ナトリウムを含有する。また、塩化マグネシウムを含有する溶融塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの他に、マグネシウムのフッ化物、水酸化物、炭酸塩や硝酸塩等のマグネシウム塩、酸化マグネシウム、金属マグネシウムが含まれていてもよい。
塩化マグネシウムを含有する溶融塩としては、密度、電気伝導度、融点、蒸気圧、粘性の点で、10〜30質量%の塩化マグネシウムと、20〜40質量%の塩化カルシウムと、40〜60質量%の塩化ナトリウムと、を含有する溶融塩が好ましく、20±5質量%の塩化マグネシウムと、30±5質量%の塩化カルシウムと、49±5質量%の塩化ナトリウムと、1±1質量%のフッ化マグネシウムと、を含有する溶融塩が特に好ましい。上記組成の温度670℃時の密度は1.75g/cm程度となる。
本発明の金属マグネシウムの製造方法において、溶融塩を電気分解するときの印加電圧、溶融塩の温度は、溶融塩の組成、電極の構造等により、適宜選択される。
本発明の溶融金属収集用部材が、溶融塩電解槽のマグネシウム保持部の立体形状と同じ又はほぼ同等の形状の場合、マグネシウム保持部の壁面を覆うように、本発明の溶融金属収集用部材が存在するので、本発明の溶融金属収集用部材は、溶融金属がマグネシウム保持部の壁面に接触するのを防ぐことができる。そのため、本発明の溶融金属収集用部材によれば、マグネシウム保持部の壁面が溶融金属と反応することによる、溶融金属への不純物の混入の問題を防ぐことができる。つまり、高純度の金属マグネシウムを製造することができる。
また、本発明の溶融金属収集用部材は、溶融塩に浮かべることで、マグネシウム保持部内に配置されるので、本発明の溶融金属収集用部材を、溶融塩電解槽のマグネシウム保持部に固定ボルト等を用いて固定したり、支持部又は支持部材を設け、設置場所を設ける等をすることなく、マグネシウム保持部に入れるだけで、マグネシウム保持部に配置させることができる。つまり、本発明の溶融金属収集用部材によれば、溶融塩電解槽のマグネシウム保持部に、溶融金属収集用部材を固定又は設置するための手段、例えば、ボルト固定、支持台や支持部の付設等を講じることなく、マグネシウム保持部に入れるだけで、マグネシウム保持部に配置できるので、簡便且つ安価に、溶融金属収集用部材を配置できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(溶融塩電解槽の作製)
図1〜図3に示す構造の溶融塩電解槽であり、以下に示す詳細形状の溶融塩電解槽を作製した。
<溶融塩電解槽の構造>
・耐火レンガ:ロザイ工業社製 HIGH ROZX−98、Alが98.0質量%、SiOが0.5質量%
・モルタル:ロザイ工業社製 HR95モルタル、Alが95.0質量、SiOが3質量%
・電分解室:2m
・メタル回収室:1m
・マグネシウム保持部の内寸:横1600mm×奥行400mm×高さ500mm
・単位電気分解セルの数:2
・陽極の材質:黒鉛
・陰極の材質:鉄
・複極の材質:黒鉛
・陰極と陽極間の複極の数:2
(実施例1)
気孔率20%、嵩密度1.80g/cmの多孔質のカーボン材を、外形が横1590mm×奥行390mm×高さ500mm、溶融金属取集空間の形状が横1530mm×奥行330mm×高さ500mmに成形した。本実施例の嵩密度は、成形前の多孔質のカーボン材の質量を、成形前の多孔質のカーボン材の内部の気孔も含めた体積で除した値である。
次いで、作製したカーボン成形体に、溶融塩がカーボン材に染み込んだときの平均密度が1.60g/cmになるように、SUS304製、直径100mm、肉厚1mmの中空球30個を埋め込み、溶融金属収集用部材を作製した。該溶融金属収集用部材は、成形体内部に成形体体積の26%に相当する中空部を有し、平均密度は1.34g/cmである。なお、埋め込み方法は、以下の通りである。
(SUS製中空球の埋め込み方法)
所定の形状に成形された多孔質のカーボン材の底面に、直径105mm×深さ350mmの穴あけ加工を均等間隔に10点行い、それぞれの穴に、M12、有効ボルト長30mmのボルトが締結できるように、ねじ切り加工を行った。
次いで、それぞれの穴に中空球を3個ずつ挿入して、カーボン製、M12、有効ボルト長30mmのボルトで締結し、中空球を溶融塩金属収集部材内に埋め込んだ。
(実施例2)
上記のようにして作製した溶融塩電解槽に、MgClが20質量%、CaClが30質量%、NaClが49質量%、MgFが1質量%の組成の溶融塩を2900kg投入した。
次いで、マグネシウム保持部に、実施例1で作製した溶融金属収集用部材を入れ、溶融金属収集用部材を、溶融塩の上に浮かべた。8時間後、目視で溶融塩金属収集用部材の上面まで溶融塩が染み込んでいることを確認した。この時の溶融塩金属収集用部材は、下面から高さ450mmまでが溶融塩中に浸漬し、残りの高さ50mmが液面より上に出ている状態であった。
次いで、以下に示す条件で、溶融塩の電気分解を行った。溶融塩の電気分解を継続している間は、金属マグネシウムの生成量に対応した塩化マグネシウムを補給するために、補給溶融塩として、クロール法による副生物の塩化マグネシウムを、電解槽に供給し、溶融塩中の塩化マグネシウムの含有量が15〜25質量%となるように調節した。
溶融塩の電気分解開始から1時間後、金属マグネシウムが溶融金属収集用部材の内側に貯まっているのを確認した。その後、6時間毎に、溶融金属収集用部材の内側の金属マグネシウムを回収した。
このような金属マグネシウムの製造を、120時間継続したが、溶融金属収集用部材の損傷、金属マグネシウムの純度の低下等の問題は発生しなかった。
<溶融塩電解条件>
・溶融塩の温度:平均670℃
・溶融塩の密度:670℃のとき1.75g/cm
・陽極の浸漬長:800mm
・印加電圧:10V
・電流密度:0.48A/cm
・理論Mg生産量:21.8kg/時間
・補給溶融塩:クロール法により副生した塩化マグネシウム
(実施例3)
気孔率4%、嵩密度3.3g/cmの窒化ケイ素の焼結体を、外形が横1590mm×奥行390mm×高さ500mm、溶融金属取集空間の形状が横1530mm×奥行330mm×高さ500mmに成形した。本実施例の嵩密度は、成形前の窒化ケイ素の焼結体の質量を、成形前の窒化ケイ素の焼結体の内部の気孔も含めた体積で除した値である。
次いで、作製した窒化ケイ素焼結体の成形体に、平均密度が1.60g/cmになるように、SUS304製、直径100mm、肉厚1mmの中空球60個を埋め込み、溶融金属収集用部材を作製した。該溶融金属収集用部材は、成形体内部に成形体体積の52%に相当する中空部を有する。なお、埋め込み方法は、以下の通りである。
(SUS製中空球の埋め込み方法)
所定の形状に成形された窒化ケイ素の焼結体の底面に、直径105mm×深さ350mmの穴あけ加工を均等間隔に20点行い、それぞれの穴に、M12、有効ボルト長30mmのボルトが締結できるように、ねじ切り加工を行った。
次いで、それぞれの穴に中空球を3個ずつ挿入して、窒化ケイ素製、M12、有効ボルト長30mmのボルトで締結し、中空球を溶融塩金属収集部材内に埋め込んだ。
(実施例4)
上記のようにして作製した溶融塩電解槽に、MgClが20質量%、CaClが30質量%、NaClが49質量%、MgFが1質量%の組成の溶融塩を2900kg投入した。
次いで、マグネシウム保持部に、実施例3で作製した溶融金属収集用部材を入れ、溶融金属収集用部材を、溶融塩の上に浮かべた。この時の溶融塩金属収集用部材は、下面から高さ450mmまでが溶融塩中に浸漬し、残りの高さ50mmが液面より上に出ている状態であった。
次いで、以下に示す条件で、溶融塩の電気分解を行った。溶融塩の電気分解を継続している間は、金属マグネシウムの生成量に対応した塩化マグネシウムを補給するために、補給溶融塩として、クロール法による副生物の塩化マグネシウムを、電解槽に供給し、溶融塩中の塩化マグネシウムの含有量が15〜25質量%となるように調節した。
溶融塩の電気分解開始から1時間後、金属マグネシウムが溶融金属収集用部材の内側に貯まっているのを確認した。その後、6時間毎に、溶融金属収集用部材の内側の金属マグネシウムを回収した。
このような金属マグネシウムの製造を、120時間継続したが、溶融金属収集用部材の損傷、金属マグネシウムの純度の低下等の問題は発生しなかった。
(実施例5)
気孔率2%、嵩密度3.16g/cmの炭化ケイ素の焼結体を、外形が横1590mm×奥行390mm×高さ500mm、溶融金属取集空間の形状が横1530mm×奥行330mm×高さ500mmに成形した。本実施例の嵩密度は、成形前の炭化ケイ素の焼結体の質量を、成形前の炭化ケイ素の焼結体の内部の気孔も含めた体積で除した値である。
次いで、作製した炭化ケイ素焼結体の成形体に、平均密度が1.60g/cmになるように、SUS304製、直径100mm、肉厚1mmの中空球57個を埋め込み、溶融金属収集用部材を作製した。該溶融金属収集用部材は、成形体内部に成形体体積の49%に相当する中空部を有する。なお、埋め込み方法は、以下の通りである。
(SUS製中空球の埋め込み方法)
所定の形状に成形された炭化ケイ素の焼結体の底面に、直径105mm×深さ350mmの穴あけ加工を均等間隔に19点行い、それぞれの穴に、M12、有効ボルト長30mmのボルトが締結できるように、ねじ切り加工を行った。
次いで、それぞれの穴に中空球を3個ずつ挿入して、炭化ケイ素製、M12、有効ボルト長30mmのボルトで締結し、中空球を溶融塩金属収集部材内に埋め込んだ。
(実施例6)
上記のようにして作製した溶融塩電解槽に、MgClが20質量%、CaClが30質量%、NaClが49質量%、MgFが1質量%の組成の溶融塩を2900kg投入した。
次いで、マグネシウム保持部に、実施例5で作製した溶融金属収集用部材を入れ、溶融金属収集用部材を、溶融塩の上に浮かべた。この時の溶融塩金属収集用部材は、下面から高さ450mmまでが溶融塩中に浸漬し、残りの高さ50mmが液面より上に出ている状態であった。
次いで、以下に示す条件で、溶融塩の電気分解を行った。溶融塩の電気分解を継続している間は、金属マグネシウムの生成量に対応した塩化マグネシウムを補給するために、補給溶融塩として、クロール法による副生物の塩化マグネシウムを、電解槽に供給し、溶融塩中の塩化マグネシウムの含有量が15〜25質量%となるように調節した。
溶融塩の電気分解開始から1時間後、金属マグネシウムが溶融金属収集用部材の内側に貯まっているのを確認した。その後、6時間毎に、溶融金属収集用部材の内側の金属マグネシウムを回収した。
このような金属マグネシウムの製造を、120時間継続したが、溶融金属収集用部材の損傷、金属マグネシウムの純度の低下等の問題は発生しなかった。
1 溶融塩電解槽
2 側壁
3 炉床
4 蓋
5 隔壁
6a、6b 溶融金属収取部材
7 金属マグネシウム流入経路
8 溶融塩流入経路
10 金属マグネシウム
11 溶融塩
12 塩素ガス
14 マグネシウム保持部
21 電気分解室
22 メタル回収室
23 陽極
24 複極
25 陰極
26、27 溶融塩保持部
61、62 溶融金属収集空間
101 金属マグネシウムの流れ
111 溶融塩の流れ
151、152 電極支持部

Claims (5)

  1. 気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体であり、
    成形体内部に成形体体積の18〜30%に相当する中空部を有し、
    成形体の平均密度が1.03〜1.50g/cmであり、
    該成形体の気孔に溶融塩が浸み込んだ状態での平均密度が、1.56〜1.66g/cm であり、
    内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
    を特徴とする溶融金属収集用部材。
  2. 気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体であり、
    成形体内部に成形体体積の40〜55%に相当する中空部を有し、
    平均密度が1.56〜1.66g/cmであり、
    内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
    を特徴とする溶融金属収集用部材。
  3. 気孔率が12〜40%である多孔質カーボンの成形体と、気孔率が0.1〜10%である窒化ケイ素又は炭化ケイ素の焼結物の成形体と、の組み合わせからなり、
    メタル回収室の溶融塩の上に配置され、該多孔質カーボンの成形体の気孔に溶融塩が浸み込んだときの平均密度が1.56〜1.66g/cmとなり、
    内側に溶融金属収集空間が形成されていること、
    を特徴とする溶融金属収集用部材。
  4. 耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
    請求項1又は請求項3いずれか1項記載の溶融金属収集用部材を該メタル回収室の溶融塩の上に配置して、該溶融金属収集用部材の成形体内部の気孔に該溶融塩を浸み込ませることにより、該溶融金属収集用部材の平均密度を1.56〜1.66g/cmにして、該メタル回収室の溶融塩の上に、該溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
    を特徴とする金属マグネシウムの製造方法。
  5. 耐火レンガで構築されており、1対以上の電極が設置され、溶融塩が電気分解される電気分解室と、上部に該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムが保持されるマグネシウム保持部を有するメタル回収室と、からなり、該電気分解室と該メタル回収室の上部は、隔壁により分離されており、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の下部には、該メタル回収室から該電気分解室に該溶融塩が流入する溶融塩流入経路が形成されており、且つ、該電気分解室と該メタル回収室の境界部の、該溶融塩流入経路より上には、該電気分解室で生成した金属マグネシウムおよび溶融塩が該メタル回収室に流入する金属マグネシウム流入経路が形成されている溶融塩電解槽で、該溶融塩の電気分解を行う金属マグネシウムの製造方法であって、
    該メタル回収室の溶融塩の上に、請求項2記載の溶融金属収集用部材を該溶融塩に浮かべて配置し、該溶融塩の電気分解により生成する金属マグネシウムを、該溶融金属収集用部材の内側に収集すること、
    を特徴とする金属マグネシウムの製造方法。
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