JP6914080B2 - リング精紡交撚糸、該リング精紡交撚糸を含む織編物、及び該リング精紡交撚糸の製造方法 - Google Patents

リング精紡交撚糸、該リング精紡交撚糸を含む織編物、及び該リング精紡交撚糸の製造方法 Download PDF

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本発明は、均整度の高いリング精紡交撚糸、該リング精紡交撚糸を含む織編物及び該リング精紡交撚糸の製造方法に関するものである。
従来からリング精紡交撚糸は、主としてリング精紡機のドラフト域へ2本の粗糸を供給して、所定の倍率でドラフトした後、交撚する製法で製造されている。これにより、高価な双糸とほぼ同等のソフトな風合と優れた光沢を出すことができ、また、強度面も向上する。なお、双糸とは、2本の単糸を合せて交撚したものである。しかし、紡績糸において、糸の均整度をさらに上げ、また、製品にしたときの光沢をさらに上げることが望まれている。
特許文献1には、均整度の高いリング精紡交撚糸を得るために、少なくとも2本の粗糸をバックローラーに導入し、フロントローラーを通過せしめた直後に撚り合わせて合撚糸とするに際し、合撚糸と水平方向の角度及び合撚点の位置を特定の範囲とする紡績糸の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、3種類の素材からなる各々の粗糸をリング精紡機のバックローラーより間隔を隔てて供給しドラフトした後、フロントローラーを通過せしめた直後に、3本の粗糸の間隔を各々1〜2mm離れた状態で送り出した後、3本の粗糸を合わせて撚係数3.8〜4.2の範囲にて加撚して巻取ることを特徴とする複合糸の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、特定の原綿から得られた3本の粗糸を、トランペットに備えられた等間隔の穴を通して並列に供給し、並列に供給された3本の粗糸を、最低上下3対のローラーを含むドラフト装置でドラフトし、ドラフト装置から供給される3本の粗糸にリング精紡により撚りを与えつつ同一方向に交撚する精紡交撚糸の製造方法が開示されている。
加えて、特許文献4には、並列に供給された3本の粗糸をドラフトし、ドラフトされた3本の粗糸の移動方向に対して横の方向に流れる空気流を発生して、ドラフトされた3本の粗糸を前記空気流の中を通し、前記空気流の中を通る3本の粗糸に撚りを与えつつ同一方向に交撚して、1本の糸を得、得られた糸を精紡ボビンに巻き取る精紡方法が開示されている。
特開昭62−257431号公報 特開平6−184835号公報 特許第3967622号明細書 特開2006−83476号公報
特許文献1及び特許文献2に開示された方法は、複数本の粗糸のフロントローラー通過後の合撚条件を最適化することにより、得られる精紡交撚糸の均整度を向上させる取り組みであるが、本発明者らの検討によると、英式綿番手30番手よりも太い精紡交撚糸の均整度は向上するものの、該30番手よりも細い精紡交撚糸の均整度の向上にはつながらないものであった。
特許文献3に開示された方法は、特許文献1及び特許文献2に開示された方法とは異なり、粗糸をバックローラーに供給する際に、バックローラー前のトランペットの構造を特定のものとすることにより、精紡交撚糸の均整度をより高めようとするものである。本発明者らの検討によると、この手法は、英式綿番手30番手よりも太い精紡交撚糸の均整度は向上するものの、該30番手よりも細い精紡交撚糸の均整度の向上にはつながらず、安定して精紡交撚糸を得ることができないことが分かった。
本発明者らは、前述の細番手の精紡交撚糸を安定して得ることができない理由について検討を進めたところ、該トランペットの形状に問題があることを発見した。詳細は以下の通りである。
すなわち、一般的にリング精紡機から得られるリング精紡交撚糸は、精紡工程において粗紡工程で得られた粗糸を精紡機に供給し、これを所定の倍率でドラフトした後、加撚し、ボビンに巻き取ることでリング精紡交撚糸を得る。この場合、細番手の精紡交撚糸を製造しようとすると、精紡機のドラフト率は50倍程度が上限である為、さらに細番手の精紡交撚糸を得るためには、供給する粗糸の供給ゲレンを下げる必要がある。特に、本発明のように3本の粗糸から構成される精紡交撚糸においては、1本または2本の粗糸を供給する精紡交撚糸と比較すると、供給する粗糸のゲレンをよりいっそう下げることが必要になる。
30番手よりも太い精紡交撚糸を得るために、3本の太い粗糸を供給した精紡交撚糸の製造において、特許文献3の図1で開示されている、3つの円形状の穴が一列に等間隔に設けられており、穴の形状は入口側が広く、しだいに狭くなり、出口側では狭いが同じ幅の溝となっているトランペットを使用したところ、120ゲレン/30ヤードの粗糸(3本精紡交撚糸換算で30番手相当)の安定供給が可能であった。しかし、本発明者らがさらに検討したところ、30番手より細い精紡交撚糸を得るために前述のトランペットを同様に使用した場合、供給された30〜100ゲレン/30ヤードの粗糸(3本精紡交撚糸換算で40〜75番手相当)がトランペットを通過する際の挙動が安定せず、これが引き続く図1のフロントローラーから紡出された後のフリースが安定して3つに分散されないことにつながり、結果として安定して精紡交撚糸を得ることができないことがわかった。
さらに、特許文献3では図2、図3に開示されているコレクターによる収束によって、該フロントローラーからでたフリースを安定させている。しかし、本発明者らがさらに検討した結果、30番手よりも細番手となる、3本の粗糸を供給した精紡交撚糸の製造において、エプロンとフロントローラー間の繊維束がより薄くなる為、コレクターを通過したフリースが安定せずに糸斑を誘発するため、安定供給につながらないことを発見した。
また、特許文献4に開示された方法は、並列に供給された3本の粗糸をドラフトし、ドラフトされた3本の粗糸の移動方向に対して横の方向に流れる空気流を発生して、ドラフトされた3本の粗糸を前記空気流の中を通し、前記空気流の中を通る3本の粗糸に撚りを与えつつ同一方向に交撚する空気精紡方法(いわゆる、コンパクトスピニング法)である。該方法は、空気精紡機に限定される精紡交撚方法であるが、空気精紡機の構造上の観点から、用いられる粗糸は30番手より太い糸に限定されるか、または得られた精紡糸の強力が弱いという問題があった。
本発明の目的は、均整度が高い細番手のリング精紡交撚糸、該リング精紡交撚糸を含む織編物、及び空気精紡機(コンパクトスピニング)のような特殊な精紡機を用いずに、毛羽が少なく均整度が高い細番手の精紡交撚糸が得られる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、リング精紡交燃糸を得るに際し、バックローラーに粗糸を導くためのトランペットの形状が、特許文献3に開示されているような、複数の円形状の穴が一列に等間隔に設けられており、穴の形状は入口側が広く、しだいに狭くなり、出口側では狭いが同じ幅の溝となっているトランペットではなく、特定の櫛形形状とすることで細番手であっても毛羽が少なく均整度の高い精紡交撚糸を得ることができるという事実を見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(4)の通りである。
(1)3本以上の粗糸から構成された英式綿番手30番手〜70番手のリング精紡交燃糸であって、JISのL−1095 9.22.2B法に従って求められる、前記リング精紡交撚糸10m当たりの毛羽の個数が、毛羽長3mmで53.個以下であり、且つ、毛羽長5mで5個以下であることを特徴とするリング精紡交撚糸。
(2)前記精紡交燃糸を構成する短繊維が、有効繊維長33.6mm以上、且つ、マイクロネヤ繊度の平均繊度が3.7μg/2.54cm以下の短繊維であることを特徴とする
(1)記載のリング精紡交撚糸。
(3)(1)または(2)記載のリング精紡交撚糸を含む織編物。
(4)1本当たりの粗糸質量が40〜80ゲレン/30ydである粗糸3本以上を、櫛歯を4本以上有し、櫛歯と櫛歯の間の溝の間隔が1.0〜2.5mmである櫛型のトランペットの櫛歯と櫛歯の間の溝を通過させて並列に供給し、最低上下3対のローラーを含むドラフト装置でドラフトした後に交撚されることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のリング精紡交撚糸の製造方法。
本発明のリング精紡交撚糸は、毛羽が少なく均整度が高い英式綿番手30番手〜75番手の細番手の精紡交燃糸である。本発明のリング精紡交撚糸は、3本以上の粗糸をリング精紡交燃しているため、3回回転対称以上の精紡交燃糸となり、従来の2本の粗糸を交撚した紡績糸に比べると真円に近い形状となる。そのため、本発明のリング精紡交撚糸から得られた織編物は、糸の乱反射が少なくなり、生地面に光沢が生まれ、また、はりこしが得られる。
本発明の製造方法に用いられる、1.5mm間隔の溝を有する櫛形のトランペットの写真である。 従来の精紡交撚に用いられる精紡交撚機の概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリング精紡交撚糸は、3本以上の粗糸から構成されたリング精紡交撚糸である。本発明のリング精紡交撚糸を構成する粗糸の本数は特に限定されないが、3〜10本が好ましく、3〜8本がより好ましく、3〜6本がよりいっそう好ましく、3〜4本が特に好ましい。粗糸の本数が3本以上であることから、従来の2本の粗糸を交撚した紡績糸に比べるとより真円に近いリング精紡交撚糸となるため、該織編物は、糸の乱反射がいっそう少なくなり、生地面に光沢が生まれたり、はりこしが得られるものとなる。
本発明のリング精紡交撚糸は、英式綿番手30番手〜75番手であり、英式綿番手40番手〜70番手が好ましく、英式綿番手45番手〜65番手がより好ましく、英式綿番手45番手〜60番手が特に好ましい。本発明のリング精紡交撚糸においては、例えば、後述する特定の櫛形形状のトランペットを用いリング精紡交撚するため、英式綿番手30番手以上の細番手であっても、さらには、英式綿番手40番手以上のより細番手のリング精紡交撚糸であっても、糸むらが低くなり均整度が高いものとすることができる。
本発明のリング精紡交撚糸は特に限定されないが、セルロース系繊維が好ましい。前記セルロース系繊維の種類(素材)としては、綿、麻、リヨセル、レーヨン、キュプラなどがあげられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。中でも綿が特に好ましい。本発明では、セルロース繊維以外の繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンなどが好適に用いられる。
本発明のリング精紡交燃糸を構成する単繊維は、有効繊維長33.6mm以上、且つ、マイクロネヤ繊度の平均繊度が3.7μg/2.54cm以下の短繊維が好ましい。該有効繊維長は、34.6〜45.0mmがより好ましく、36.0〜42.0mmがよりいっそう好ましい。該マイクロネヤ繊度の平均繊度は、2.5〜3.7μg/2.54cmがより好ましく、2.5〜3.6μg/2.54cmがよりいっそう好ましい。
マイクロネヤ繊度の平均繊度は、JIS L1019 7.4.1(マイクロネヤによる方法)に基づいて測定する。また、有効繊維長は、JIS L1019 7.2.1(ソータによる方法)に基づいて測定する。
紡績糸の原料での繊度及び繊維長を調整することは、例えば綿等の天然繊維であれば、細く長い繊維を多く含む原綿を選べばよい。例えば、紡績における最初の工程である混打綿工程に先立ち、原綿の種類、品種、ロット等を十分確認するなどして所定品質のものを選ぶとよい。一方、リヨセル等の再生繊維であれば、まず原料を選別し、湿式又は乾湿式紡糸の条件(紡糸液の組成、吐出、凝固条件等)を最適化するなどして繊維を採取することが好ましい。この場合、原料としては漂白されたユーカリ、ブナノキなどの硫酸塩パルプが好適であり、また紡糸液の溶媒としては、N−メチルモルフォリン−N−オキシド等の水溶性第三アミンオキシドが好適である。紡糸後は、繊維を所定の長さに切断すればよい。
本発明の糸むらは、JISのL−1095の9.20.2のB法に従って測定されるものであり、糸速度200m/min、測定時間2分間で5回試験を行い、THIN(太むら、+50%) THICK(細むら、−50%)について糸長さ1km当たりの個数を求めたものである。
本発明の糸むら(太むら)は、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がよりいっそう好ましく、30以下が特に好ましい。本発明の糸むら(細むら)は、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、15以下がよりいっそう好ましく、5以下が特に好ましい。
本発明のリング精紡交撚糸のウースター斑(U%)は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。該ウースター斑は、KET80−V/B試験機(計測器工業社製)を使用し、JISのL−1095の9.20.1A法に基づいて測定する。
本発明のリング精紡交撚糸の強力変動率は、9%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、7%以下が特に好ましい。本発明のリング精紡交撚糸においては、例えば、後述する特定の櫛形形状のトランペットを用いリング精紡交撚するため、糸の均整度が高いものとなり、好ましくは細番手の紡績糸であっても強力変動率を低くすることができる。
強力変動率の算出には、まずJIS L1095.9.5.1に基づいて紡績糸の引張強度(cN)を測定する。具体的には、定速緊張型引張試験機(シキボウ社製、ST200A等)を使用し、つかみ間隔50cm、引張速度30cm/分±2cm/分の条件にて、ランダムにサンプリングした試料50本について測定し、その平均値(X)を求める。次に、各測定値(xi)と平均値(X)との差(偏差)を二乗し、各値を合計した偏差平方和を求める。そして、偏差平方和の値を、自由度を持った平均値(n−1)で除することで分散を求め、さらに、変数と同次元で示すべく、分散を平方根でくくった標準偏差を求める。その後、標準偏差を平均値で除し百分率で表せば、強力変動率が算出できる。すなわち、強力変動率(%)=(SUM(xi−X)/(n−1))1/2/X×100なる式により算出する。
本発明のリング精紡交撚糸を含む織編物は、本発明のリング精紡交撚糸を用いて、製織または製編することにより織編物(織物と編物を含む総称)が得られる。本発明のリング精紡交撚糸は、糸の均整度に優れ、さらに3本以上の粗糸を撚り合わした3回対称以上の対称性の高い糸であるため、本発明のリング精紡交撚糸を含む織編物は、これを反映して製品の風合いや光沢感がよくなっている。
次に、本発明のリング精紡交撚糸の製造方法について、以下に例示する。
本発明の製造方法は、リング精紡機を用いて紡績糸を製造する。具体的には、粗紡工程で得られた粗糸を3本以上並列に供給し、それらを合わせて精紡交撚糸とする。
リング精紡機として、図2に示す従来のリング精紡機において、トランペット16を櫛形に置き換えて使用する場合について具体的に説明する。リング精紡機は、バックローラー18、20からフロントローラー32、34までのドラフト装置と、スネルワイヤー38からトラベラー40までの加撚巻取装置からなる。ドラフト装置は、粗糸をドラフトし、巻取装置は、ドラフトされた粗糸に撚りを与えつつ同一方向に交撚し、得られた糸をボビンに巻き取る。
さらに詳細に説明すると、図示しないボビンから3本の粗糸10,12,14が、3本の粗糸の繊維束を分散する櫛形のトランペット16(図1)を通して供給されると、粗糸10,12,14をそれぞれ上下のバックローラー18、20の間に導入して所定速度で通過させる。
図1に示した櫛形のトランペット16の形状は、本発明の均整度の高いリング精紡交撚糸を得るために非常に重要である。一般にリング精紡機から得られるリング精紡交撚糸は、精紡工程において粗紡工程で得られた粗糸を精紡機に供給し、これを所定の倍率でドラフトした後、加撚し、ボビンに巻き取ることでリング精紡交撚糸を得るが、精紡機のドラフト率は50倍程度が上限である為、細番手の精紡交撚糸を得るためには、供給する粗糸の供給ゲレンを下げる必要がある。特に、本発明のように3本以上の粗糸から構成される精紡交撚糸においては、1本または2本の粗糸から構成される精紡交撚糸と比較すると、供給する粗糸のゲレンをよりいっそう下げることが必要になる。
本発明者らの検討によると、30番手よりも太い3本精紡交撚糸を得るために、特許文献3の図1で開示されている従来のトランペットを使用したところ、特許文献3で推奨されている穴の間隔2〜3mmを採用しても、該トランペットを通過する際の低ゲレンの粗糸の挙動が安定せず、これが引き続く図1のフロントローラーから紡出された後のフリースが安定して3つに分散されないことにつながり、結果として安定して精紡交撚糸を得ることができないことが分かった。また、特許文献3では、コレクターによる収束によって該フロントローラーから出たフリースを安定させることが示唆されているが、本発明者らの検討によると、30番手よりも細番手となる、3本の粗糸を供給した精紡交撚糸の製造においては、該コレクターを用いても、エプロンとフロントローラー間の繊維束がより薄くなる為、コレクターを通過したフリースが安定せずに糸斑を誘発するため、安定供給につながらないことを発見した。そこで、本発明者らは、トランペットの形状を従来形状の範疇を超えて種々鋭意検討したところ、1.0〜2.5mmの間隔の溝が備え付けられた櫛型のトランペットとすることにより、英式綿番手30番手以上の細番手の精紡交撚糸であってもフリースの形成が安定したものとなり、得られる精紡交撚糸の、糸むらが低くなり均整度が高いものとすることを発見した。すなわち、本発明の製造方法におけるトランペットの形状は、1.0〜2.5mmの間隔の溝が備え付けられた櫛型のトランペットであり、前記トランペットの溝の間隔は、1.2〜2.0mmが好ましく、1.5〜1.8mmがより好ましい。また、櫛形のトランペットの溝の数は特に限定されないが、3〜10個が好ましく、3〜8個がより好ましく、3〜6個が特に好ましい。
次に、粗糸を上下のエプロンを有するセカンドローラー(すなわち、セカンドローラー22、24およびそれと共に動作する上下のエプロン26、28)の間を通す。ここで繊維束をしっかりと把持して加重をかけ、ドラフトむらのないように制御しながらドラフトする。
次に、3本の粗糸を上下のフロントローラー32、34の間を通過させてドラフトして、薄い層状のフリース36を形成する。
フロントローラー32、34から出てきたフリース36は、次に、スネルワイヤー38を通過させる。次いでリング精紡により、トラベラー40によって、トラベラー1回転で1回の割合で撚りをかけ、得られた糸(精紡管糸)を管糸ボビン42に巻き取る。
このようにして3本以上の粗糸より得られたリング精紡交撚糸は、1本の粗糸からなる紡績糸または2本の粗糸からなる精紡交撚糸に比べて、毛羽の数が少なくなり、糸の均整度がさらにあがる。また、粗糸の本数が多いほど長手方向にさらに糸の丸みがでてきて、太さのばらつきが減る。このため、本発明の精紡交撚糸を用い製織または製編して得られた織編物は、いっそう糸の乱反射がなくなり、生地面がいっそうきれいになり、また、いっそうハリコシがある。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、本発明は以下に示す実施例には限定されない。なお、実施例、比較例における本発明のリング精紡交撚糸、織物の評価方法は下記の通りである。
(1)単糸強力
単糸強力は、JISのL−1095の9.5.1に従って定速伸長型試験機にて50 回の試験を繰り返し、その平均値を求めた。
(2)糸の太さむら
A.IPI
太さむら(IPI)の測定は、JISのL−1095の9.20.2のB法に従って、糸速度200m/min、測定時間2分間で5回試験を行い、THIN(太むら、+50%) THICK(細むら、−50%)について糸長さ1km当たりの個数を求めた。
B.U%
糸の太さむら(U%)は、JISのL−1095の9.20.1のA法に従って糸速度200m/min、測定時間2分間で5回試験を行い評価した。なお、U%は、平均むらの偏差の百分率である。
C.毛羽
毛羽は、JISのL−1095の9.22.2のB法に従って、3 mm、5 mmの長さの毛羽の個数(10m当たり)を求めた。
(3)風合い、光沢感
精紡交撚糸を用いて織物を作成し、風合い、光沢感を、◎(優)、○(良)、△(並)、×(劣)の4段階で官能評価した。
<実施例1>
有効繊維長40.4mm、マイクロネヤ繊度の平均繊度が2.8μg/2.54cmの原綿100%を、混打綿工程、梳綿工程、精梳綿工程、練条工程を経て練条スライバーとし、練条スライバーを粗紡することで、60gr/30ydの粗糸とした。次いで、図2に示す従来のリング精紡機において、トランペット16を図1に示す櫛形トランペットに置き換えた後、前記60gr/30ydの粗糸3本が前記1.5mm間隔の溝を有する櫛形トランペットの隣接する溝にそれぞれ同時に供給し、39倍でドラフトした後、23.9回/2.54cmの撚りを与えることにより、英式綿番手50番手の精紡交撚糸を得た。
<実施例2>
1.5mm間隔の溝を有する櫛形トランペットにおいて、隣接する溝にそれぞれ粗糸を供給するのではなく、一つ飛ばしの溝(すなわち、粗糸間隔は3.0mm)にぞれぞれの粗糸を供給した以外は、実施例1と同様にして、として、英式綿番手50番手の精紡交撚糸を得た。
<実施例3>
実施例1に用いた原綿を用いて得た40gr/30ydの粗糸を用い、36倍でドラフトした以外は、実施例1と同様にして、英式綿番手70番手の精紡交撚糸を得た。
<実施例4>
1.5mm間隔の溝を有する櫛形トランペットにおいて、隣接する溝にそれぞれ粗糸を供給するのではなく、一つ飛ばしの溝(すなわち、粗糸間隔は3.0mm)にぞれぞれの粗糸を供給した以外は、実施例3と同様にして、として、英式綿番手70番手の精紡交撚糸を得た。
<比較例1>
実施例1に用いた原綿を用いて得た100gr/30ydの粗糸1本を用い、34倍でドラフトし、図2に示した従来精紡機(トランペット形状、穴径1.5mmφ、穴間隔2.5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、英式綿番手80番手の精紡交撚糸を得た。
<比較例2>
50gr/30ydの粗糸2本(トランペット形状、穴径1.5mmφ、穴間隔2.5mm)を用いた以外は、比較例1と同様にして、英式綿番手80番手の精紡交撚糸を得た。
<比較例3>
40gr/30ydの粗糸3本(トランペット形状、穴径1.5mmφ、穴間隔2.5mm)を用い、41倍でドラフトした以外は、比較例1と同様にして、英式綿番手80番手の精紡交撚糸を得た。
<比較例4>
180gr/30ydの粗糸3本(トランペット形状、穴径1.5mmφ、穴間隔2.5mm)を用い、39倍でドラフトした以外は、比較例1と同様にして、英式綿番手50番手の精紡交撚糸を得た。
実施例1〜4、比較例1〜4の精紡条件、得られた精紡交撚糸の評価結果を表1に示す。
Figure 0006914080
実施例1〜4は、従来のトランペット形状に代えて1.0〜2.5mm間隔の溝を有する櫛形トランペットを用いて粗糸3本の精紡交撚を行ったので、得られた精紡交撚糸は、毛羽数も少なく、前記精紡交撚糸を用いた織物は、風合い、光沢に優れたものであった。一方、比較例1〜4は、図2に示す従来形状のトランペットを用いたため、得られた精紡交撚糸は、毛羽数が多く、均整度が劣るものであった。

Claims (4)

  1. 3本以上の粗糸から構成された英式綿番手30番手〜70番手のリング精紡交燃糸であって、JISのL−1095 9.22.2B法に従って求められる、前記リング精紡交撚糸10m当たりの毛羽の個数が、毛羽長3mmで53.個以下であり、且つ、毛羽長5mで5個以下であることを特徴とするリング精紡交撚糸。
  2. 前記精紡交燃糸を構成する短繊維が、有効繊維長33.6mm以上、且つ、マイクロネヤ繊度の平均繊度が3.7μg/2.54cm以下の短繊維であることを特徴とする請求項1記載のリング精紡交撚糸。
  3. 請求項1または2記載のリング精紡交撚糸を含む織編物。
  4. 1本当たりの粗糸質量が40〜80ゲレン/30ydである粗糸3本以上を、櫛歯を4本以上有し、櫛歯と櫛歯の間の溝の間隔が1.0〜2.5mmである櫛型のトランペットの櫛歯と櫛歯の間の溝を通過させて並列に供給し、最低上下3対のローラーを含むドラフト装置でドラフトした後に交撚されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のリング精紡交撚糸の製造方法。


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