JP6913972B2 - 地下構造物用蓋受枠セット - Google Patents

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Description

本発明は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋および受枠を備えた地下構造物用蓋受枠セットに関する。
下水道や上水道、あるいは電力、ガス、通信等における地下埋設物や地下施設等の地下構造物が地上につながる箇所には、地下構造物につながる開口を画定する受枠と、この受枠に嵌合した状態で開口を塞ぐ地下構造物用蓋とを備えた地下構造物用蓋受枠セットが設置される場合がある。
ここで、地下構造物が下水道の場合には、集中豪雨や下水道内への津波の逆流などにより流下能力以上の水が下水管渠に流入すると、マンホール内の空気圧や水圧(内圧)が急激に上昇し、地下構造物用蓋が飛散してしまう場合があるといった問題が指摘されている。特に、社会環境として、異常時における構造物の破損を回避するため受枠と地下構造物用蓋との嵌合を外れやすくする傾向が見られ、地下構造物用蓋の飛散を防止するための対策が強く求められている。そこで、マンホールの内圧を解放する工夫を施し、集中豪雨等により大量の水が下水管渠に流入しても、地下構造物用蓋の飛散を防止しようと試みた地下構造物用蓋受枠セットが提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2等参照)。
これら特許文献1や特許文献2に記載された地下構造物用蓋受枠セットは、地下構造物用蓋が、その側面に、下方へ向かうにつれて内側に傾斜した嵌合面と、係合突起とを備えている。また、受枠が、その内周面に、下方へ向かうにつれて内側に傾斜し地下構造物用蓋の嵌合面が嵌合するテーパ部と、地下構造物用蓋が所定高さ浮上すると、地下構造物用蓋の係合突起が係合する係合凹部とを備えている。これら地下構造物用蓋受枠セットが設置されたマンホールにおいて、内圧が上昇し、この上昇した内圧が地下構造物用蓋の浮上に要する圧力を上回ると地下構造物用蓋が浮上し、地下構造物用蓋の係合突起が内枠の係合凹部に係合する。地下構造物用蓋が浮上した状態では、地下構造物用蓋の嵌合面と受枠のテーパ部との間に隙間が生じるため、この隙間から上方に向けて流体(気体や液体)を排出して内圧を解放しようとするものである。なお、地下構造物用蓋が浮上することによる不具合も考えられるが、地下構造物用蓋が飛散した場合の危険性とを比較し、ここでは、地下構造物用蓋の浮上高さをできるだけ抑えつつも、地下構造物用蓋の浮上をある程度許容する考え方を採用している。
特開2001−26938号公報 特開2003−328379号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された地下構造物用蓋受枠セットでは、地下構造物用蓋の浮上高さを抑えようとすると、地下構造物用蓋の嵌合面と受枠のテーパ部との間に十分な隙間を確保することが難しい。このため、流体の排出が不十分になり、この結果、内圧を十分に解放できずに地下構造物用蓋の飛散を防ぎきれない場合がある。また、特許文献1や特許文献2に記載された地下構造物用蓋受枠セットでは、上方に向けて排出された流体によって地下構造物用蓋の飛散が助長されてしまう虞もある。
本発明は上記事情に鑑み、流体の排出量を確保することによって内圧を効率的に解放し、地下構造物用蓋の飛散を抑えることができる地下構造物用蓋受枠セットを提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋受枠セットは、上端面が地上に露出した状態で埋設される受枠と、
前記受枠の内周面に嵌合する嵌合部が設けられた側面を有する地下構造物用蓋とを備え、
前記地下構造物用蓋の側面は、上部が塞がれ、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられたものであり、
前記地下構造物用蓋は、下方と内側が開放され、前記内圧解放口につながった解放流路を有するものであることを特徴とする。
また、前記内圧解放口が、前記側面の周方向に間隔をあけて180度対向する位置にそれぞれ設けられ、該間隔よりも狭い幅の開口であってもよい。
さらに、前記地下構造物用蓋は、円盤状の円盤部と、該円盤部から下方に突出し井桁状に配置された井桁状リブと、該井桁状リブとは別に形成され前記解放流路を周方向に挟んで下方へ突出した一対の補強リブとを有するものであってもよい。
本発明によれば、流体の排出量を確保することによって内圧を効率的に解放し、地下構造物用蓋の飛散を抑えることができる地下構造物用蓋受枠セットを提供することができる。
(a)は、本発明の一実施形態である地下構造物用蓋受枠セットの断面図であり、(b)は、(a)に示す地下構造物用蓋受枠セットの平面図である。 図1(b)に示すマンホール蓋の背面図である。 マンホールの内圧が上昇し、図1(a)に示すマンホール蓋が浮上した様子を示す図である。 (a)は、図1(b)のB−B線断面図であり、(b)は、マンホールの内圧が上昇し、(a)に示すマンホール蓋が、限界浮上位置まで浮上した様子を示す図である。 (a)は、図1(b)のC−C線断面図であり、(b)は、(a)のD部を拡大して示す拡大図であり、(c)は、(b)に示すマンホール蓋が、同じく限界浮上位置まで浮上した様子を示す図である。 マンホール蓋の側面を、内圧解放口の正面から見た図である。 図1(b)のE−E線断面図である。 (a)は、蓋受枠セットの第1変形例を示し、(b)は、蓋受枠セットの第2変形例を示している。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態である地下構造物用蓋受枠セットの断面図であり、図1(b)は、同図(a)に示す地下構造物用蓋受枠セットの平面図である。なお、図1(a)に示す断面図は、同図(b)のA−A線断面図である。以下、地下構造物用蓋受枠セットを、蓋受枠セットと略称する場合がある。また、図1(a)では、地面Gを示しているが、図面を簡略化するため、同図(b)等のように地面Gを省略する場合がある。
図1には、本発明の地下構造物用蓋の一実施形態に相当するマンホール蓋2と、そのマンホール蓋2を支持する筒状の受枠3とを備えた蓋受枠セット10が示されている。地下埋設物である下水道用排水管は地表から所定の深さの位置に埋設されており、その下水道用排水管の途中に、地下施設として、マンホールが設けられている。下水道用排水管もマンホールも地下構造物に相当する。マンホールは、既製のコンクリート成型品を積み上げた躯体によって、下水道用排水管から地表へ向かう縦穴として形成されている。受枠3は、その躯体の上に設けられたものであり、地下構造物であるマンホールにつながる開口Hを画定している。
マンホール蓋2は、地下構造物であるマンホールにつながる開口Hを開閉自在に塞ぐ平面視で円形のものであり、図1に示すマンホール蓋2は、受枠3に嵌合することで開口Hを塞いでいる。以下、受枠3に嵌合し、開口Hを塞いだマンホール蓋2の図1に示す状態を、嵌合状態と称することがある。図1に示すマンホール蓋2は、鋳造によって成形された鋳鉄製のものである。なお、マンホール蓋2は、鋳鉄以外の鉄製であってもよく、鉄以外の金属、樹脂もしくはコンクリート製であってもよい。
図2は、図1(b)に示すマンホール蓋2の背面図である。この図2では、図1(b)に示すA−A線に対応する線を、A’−A’線として示している。
図1および図2に示すように、マンホール蓋2は、円盤状の円盤部21と、その円盤部21の外周部分に設けられた側面22(図2参照)と、円盤部21から下方に突出し井桁状に配置されたリブ23とを備えている。なお、円盤部21は、地上側になる上面21aと、地下側になる下面21bを有している。リブ23は、マンホール蓋2の強度を高める目的で、マンホール蓋2の鋳造時に円盤部21および側面22と一体成形されたものである。側面22については、後に詳述する。
受枠3は、鋳造によって成形された鋳鉄製のものであり、内周面31と上端面32とを有する平面視で環状に形成された筒状のものである。この受枠3は、図1(a)に示すように、上端面32が地面Gに露出した状態で埋設されている。また、受枠3の内周面31の一端側(図では右側)には、蝶番座311が形成され、内周面31の他端側(図では左側)には、係止片312が形成されている。
図1(a)に示すように、マンホール蓋2の円盤部21における一端側(図では右側)の周縁部には、蝶番部材4が回動自在に連結されている。この蝶番部材4は、その中間部分に形成された鉤状突起41と、その下端部分に形成された抜止突起42とを備えている。受枠3の内周面31に形成された蝶番座311には、蝶番部材4が上下方向に貫通する貫通孔311aと、被係止部311bとが設けられている。この被係止部311bは、蝶番部材4の鉤状突起41が係止する部分である。なお、抜止突起42は、マンホール蓋2を持ち上げると蝶番座311に当接するものであり、マンホール蓋2は、抜止突起42が蝶番座311に当接するまで持ち上げることができる。
一方、円盤部21の他端側周縁部には、鍵穴211が設けられている。また、円盤部21の下面における他端側には、ロック部材5が回動軸51を中心に回動可能に設けられている。ロック部材5は、弁体52と係止爪53を有する。ロック部材5は、スプリング54によって図では時計回りの方向に付勢されている。図1(a)に示すロック部材5の姿勢では、弁体52が鍵穴211内に入り込み、鍵穴211を塞いでいる。なお、これら蝶番部材4やロック部材5等は、図2では省略している。
図1に示す、開口Hを塞いだマンホール蓋2を開くには、不図示の棒状の開閉工具を用いる。まず、弁体52によって塞がれている鍵穴211にその開閉工具の先端部分を挿入する。開閉工具の先端部分によって弁体52が押され、スプリング54の付勢力に抗してロック部材5は、係止爪53が係止片312から離れる方向(図1(a)では反時計回りの方向)に回動軸51を中心に回動する。次いで、棒状の開閉工具の先端部分を、円盤部21の下面21bにおける、鍵穴211の縁部分に係合させ、開閉工具を引き上げる。すると、係止爪53が係止片312に係止することなく、マンホール蓋2の他端側は持ち上げられ、マンホール蓋2は、蝶番部材4を支点にして蝶番部材4とともに回転可能になる。すなわち、マンホール蓋2は蝶番部材4を支点にして略水平方向に旋回可能になる。
また、図1に示す嵌合状態、すなわちマンホール蓋2によって開口Hが塞がれた状態において、集中豪雨などにより流下能力以上の水が下水管渠に流入すると、マンホール内の空気圧や水圧(内圧)が上昇する。
一方、図3は、マンホールの内圧が上昇し、図1(a)に示すマンホール蓋2が浮上した様子を示している。
マンホールの内圧が上昇すると、図3において矢印で示すようにマンホール蓋2を浮上させようとする圧力が作用する。図3では、マンホール蓋2が浮上して、蝶番部材4の鉤状突起41が、蝶番座311の被係止部311bに係止し、ロック部材5の係止爪53が、受枠3の係止片312に係止した状態を示している。この状態は、蝶番部材4の鉤状突起41と蝶番座311の被係止部311bとの係止や、ロック部材5の係止爪53と受枠3の係止片312との係止が解除されない限り、マンホール蓋2がこれ以上浮上することができない状態である。以下、この図3に示すマンホール蓋2の浮上位置を限界浮上位置と称することがあり、図3に示すマンホール蓋2の浮上高さhを、限界浮上高さhと称することがある。なお、本実施形態では、限界浮上高さhが、例えば15mm程度に設定されている。
図4(a)は、図1(b)のB−B線断面図である。なお、図2では、図1(b)のB−B線に対応する線をB’−B’線として示している。図4(b)は、マンホールの内圧が上昇し、同図(a)に示すマンホール蓋2が、図3に示すマンホール蓋2と同じく限界浮上位置まで浮上した様子を示している。なお、図4、および後述する図7では、マンホール蓋2のリブ23を省略している。
図4(a)に示すように、受枠3の内周面31には、上端面32側から地下側にかけて、テーパ部313、枠側延在部314および停止部315が記載順に設けられている。テーパ部313は、上方に向かうにつれて外側に傾斜し上端面32に接続したテーパ状の内周面である。枠側延在部314は、テーパ部313の下端部分に接続し、受枠3の上端面32を結ぶ線に直交する方向に延在する円筒状の内周面である。なお、上端面32から停止部315までの部分全てをテーパ部313で構成し、枠側延在部314を省略する態様としてもよい。停止部315は、枠側延在部314よりも下方位置から、受枠3の内側にリング状に突出した部分であり、繰り返しの車重によりマンホール蓋2が受枠3内に落ちないよう停止させるものである。
マンホール蓋2の側面22には、嵌合部221と、この嵌合部221から下方に延在した蓋側延在部222が設けられている。嵌合部221は、上方に向かうにつれて外側に傾斜し上面21aに接続したテーパ状の外周面である。蓋側延在部222は、マンホール蓋2の上面21aに直交する方向に延在する外周面である。なお、マンホール蓋2の側面22を嵌合部221のみで構成し、蓋側延在部222を省略する態様としてもよい。図4(a)に示す嵌合状態のマンホール蓋2は、その嵌合部221が受枠3のテーパ部313に嵌合している。なお、嵌合状態では、嵌合部221は、その全体が受枠3に嵌合していてもよいし、その一部が受枠3から離れていてもよい。また、嵌合部221における、受枠3と嵌合する部分は、マンホール蓋2の、嵌合力や耐久性によって変化する場合がある。
枠側延在部314と蓋側延在部222は、1つ目の効果として、マンホールの内圧が急激に上昇する場合、対向する枠側延在部314と蓋側延在部222が規制し合い、マンホール蓋2を略水平な姿勢で浮上させることができる。2つ目の効果として、枠側延在部314および蓋側延在部222によって、マンホール蓋2が規制、収束され、マンホール蓋2と受枠3の上端面を合わせることができ、正しい嵌合構造を保つことができる。3つ目の効果として、ずり上がりを防止することができる。ここで、ずり上がりとは、マンホール蓋2の周縁部分に局所的に荷重がかかった場合に、マンホール蓋2の、荷重がかかった部分が下がる一方、荷重がかかった部分の反対側部分が上がってしまう状態のことをいう。
マンホールの内圧が上昇し、図4(b)に示すように、マンホール蓋2が限界浮上位置まで浮上すると、マンホール蓋2の嵌合部221と受枠3のテーパ部313との嵌合が外れ、マンホール蓋2の側面22と、受枠3の内周面31との間には隙間が生じる。しかしながら、この隙間は微小な空間であるため、この隙間から排出される流体はほんのわずかな量にとどまる。
ここで、マンホール蓋2が限界浮上位置まで浮上した後も内圧が十分に開放されず、内圧の上昇が続くと、やがてロック部材5や蝶番部材4等が破損し、マンホール蓋2が飛散してしまう場合がある。本発明は、マンホール蓋2が内圧によって浮上すると、気体や液体等の流体を排出する内圧解放口を設け、この内圧解放口から流体を排出することによって内圧を解放しマンホール蓋2の飛散を抑えようとするものである。その内圧解放口の一例を図2に示している。
図2に示すように、マンホール蓋2の側面22には、周方向に間隔をあけて複数の内圧解放部7が設けられており、これら内圧解放部7それぞれには、内圧解放口7aが設けらている。本実施形態では、6つの内圧解放部7が設けられている。これら6つの内圧解放部7は、鍵穴211と蝶番設置部212とを含めて周方向に等間隔(45度間隔)に配置され、内圧解放口7aは、180度対向する位置にそれぞれ設けられている。また、マンホール蓋2における、図2では左側に設けられた3つの内圧解放口7aは、周方向に等間隔(45度間隔)で設けられ、図2では右側に設けられた3つの内圧解放口7aも、周方向に等間隔(45度間隔)で設けられている。すなわち、本実施形態では、内圧解放口7aが、マンホール蓋2の中心点Oに対して点対象の位置にそれぞれ設けられ、また、複数の内圧解放口7aの中には、周方向の間隔が等しくなるように配置された3つの内圧解放口7aが2セット含まれている。なお、図2の一点鎖線で示すように内圧解放口7aの配置を変更し、6つの内圧解放口7aを、周方向に等間隔(60度間隔)で設ける態様を採用することもできる。
図2では、一つの内圧解放部7を円で囲んで拡大して示している。円内に拡大して示すように、内圧解放部7は、側面22に開口した内圧解放口7aと、この内圧解放口7aにつながった解放流路7bと、この解放流路7bを挟んで設けられた一対の第1補強リブ72,72と、一対の第1補強リブ72,72の外側に設けられた一対の第2補強リブ73,73を備えている。
解放流路7bは、円盤部21の半径方向に延在したものであり、この解放流路7bの上側を画定する上側確定面71は、円盤部21の外周側の部分が内圧解放口7aに向かうに従い突出した湾曲面で構成されている(図5(b)等参照)。一対の第1補強リブ72,72と一対の第2補強リブ73,73それぞれは、下方へ突出したものであり、内側の第1補強リブ72の方が、外側の第2補強リブ73よりも突出量が大きく設定されている。なお、これら第1補強リブ72および第2補強リブ73は、内圧解放口7aを設けることによる側面22の強度低下を補うためのものである。
図5(a)は、図1(b)のC−C線断面図である。なお、図2では、図1(b)のC−C線に対応する線をC’−C’線として示しており、この位置関係から分かるように、図5(a)では、180度対向する位置にそれぞれ設けられた一対の内圧解放口7aを結ぶ線で断面した様子を示している。図5(b)は、同図(a)のD部を拡大して示す拡大図である。
図5(b)に示すように、側面22における、内圧解放口7aが設けられた部分では、内圧解放口7aの上に位置する幅狭嵌合部221aが受枠3のテーパ部313に嵌合している。内圧解放口7aは、上部が塞がれており、図5(b)に示す嵌合状態では、内圧解放口7a全体が受枠3の内周面31に向かって開口しているが、マンホール蓋2の側面22と、受枠3の内周面31との間には隙間は生じていない。
図6は、マンホール蓋2の側面22を、内圧解放口7aの正面から見た図である。図6に示すように、内圧解放口7aは、側面22の下端から切欠かれて略長方形状に開口している。本実施形態では、内圧解放口7aが、蓋側延在部222から嵌合部221にかけて設けられている。また、図5(b)および図6に示すように、内圧解放口7aの開口高さt2は、マンホール蓋2の側面22の厚さtの3/4程度に設定され、幅狭嵌合部221aの厚さt1は、マンホール蓋2の側面22の厚さtの1/4程度に設定されている。具体的には、マンホール蓋2の側面22の厚さtを40mm程度とした場合、幅狭嵌合部221aの厚さt1を10mm程度、内圧解放口7aの開口高さt2を30mm程度に設定している。なお、幅狭嵌合部221aの厚さt1は、5mm以上20mm未満の範囲で適宜調整することができる。また、内圧解放口7aの形状は特に限定されるものではなく、例えば、図6の二点鎖線で示すように台形状に形成してもよいし、図6の一点鎖線で示すように、上端部分を半円状に形成してもよい。
図5(c)は、同図(b)に示すマンホール蓋2が、図3と同じく限界浮上位置まで浮上した様子を示している。また、図6では、マンホール蓋2が限界浮上位置まで浮上したときの、受枠3の上端面32の位置を太い二点鎖線で示し、内圧解放口7aにおいて、受枠3の上端面32よりも上方に位置する開口部分を網掛けで示している。
前述したように、解放流路7bの上側を画定する上側確定面71は、円盤部21の外周側の部分が内圧解放口7aに向かうに従い突出した湾曲面で構成されている。このため、マンホール蓋2が浮上し、内圧解放口7aが受枠3の上端面32よりも上方に位置する状態では、気体や液体が排出される開口部分となる、嵌合部221と、受枠3のテーパ部313との間隔よりも、上側確定面71と、受枠3のテーパ部313との間隔が大きくなり、さらに、上側確定面71と、受枠3のテーパ部313との間隔は、下方に向かうほど大きくなる。これにより、内圧解放口7aにつながる空間を十分に確保でき、マンホール蓋2まで上昇してきた気体や液体を内圧解放口7aからスムーズに排出することができる。
マンホールの内圧が上昇し、マンホール蓋2が図1に示す閉鎖状態から浮上すると、図5(c)の矢印で示すように、このマンホール蓋2まで上昇してきた気体や液体が、上側確定面71に沿って解放流路7bを流れ、内圧解放口7aから側方に排出される。これにより、マンホールの内圧を解放することができる。また、前述したように、本実施形態では、複数の内圧解放口7aは、180度対向する位置にそれぞれ設けられている。これにより、各内圧解放口7aから流体が排出されると、浮上したマンホール蓋2の平行バランスが保たれ、傾きが抑えられる。この結果、マンホール蓋2が傾いて流体の排出が困難になってしまう、といった不具合を回避することができる。また、マンホール蓋2が傾いて、ロック部材5の係止爪53や蝶番部材4の鉤状突起41への負担が大きくなってしまう、といった不具合も回避することができる。
本実施形態では、マンホールの内圧の上昇が比較的緩やかな場合などには、マンホール蓋2と受枠3との嵌合力により嵌合が保持される。一方、集中豪雨等によって、マンホールの内圧が急激に上昇する場合などには、マンホール蓋2が限界浮上位置まで浮上し、内圧解放口7aからより多くの流体を排出することで、より速やかに内圧を解放することができる。
ここで、限界浮上高さhを高くするほど、流体の排出量を増加させる点では有利になる。一方、安全性の面等を考えると、限界浮上高さhを高くすることは好ましくない。本実施形態によれば、内圧解放口7aの一部を、受枠3の上端面32よりも上方に開口させ、この開口した部分から流体を排出することができる。これにより、マンホール蓋2の浮上高さを抑えた場合であっても、地下構造物用蓋の嵌合面と受枠のテーパ部との隙間から流出させる従来の態様と比べ、流体を効率的に排出することができる。さらに、内圧解放口7aは、上部が塞がれているため、内圧解放口7aから排出した流体が上方に向かいにくく、マンホール蓋2の飛散を助長する虞も少ない。
また、限界浮上高さhが一定の場合、幅狭嵌合部221aの厚さt1を小さくするほど、内圧解放口7aの表出高さt3が大きくなり、より多くの流体を排出することができる。一方、幅狭嵌合部221aの厚さt1を小さくするほど、マンホール蓋2と受枠3との嵌合面積が減少し、マンホール蓋2と受枠3との嵌合力が不十分になってしまう場合があり、マンホール内の臭気が外部に排出されてしまう虞も高くなる。このため、マンホール蓋2と受枠3との嵌合を確保するとともに外部への臭気の排出を抑えつつ、流体をより効率的に排出するためには、幅狭嵌合部221aの厚さt1は、限界浮上高さhの1/5以上3/4以下に設定することが好ましい。
図7は、図1(b)のE−E線断面図である。なお、図2では、図1(b)のE−E線に対応する線をE’−E’線として示している。図1に示すように、マンホール蓋2には、こじり孔213が2つ設けられており、図7は、このうちの1つのこじり孔213を通過する線で断面した様子を示している。
2つのこじり孔213,213は、マンホール蓋2が長期間開かれず、錆付きや車両の通過などの繰り返し荷重によりマンホール蓋2の嵌合部221と受枠3のテーパ部313とがきつく嵌合されること等によりマンホール蓋2が開きにくくなっている場合などに、不図示の棒状の開閉工具を挿入してこじるための孔である。
従来のこじり孔は、マンホール蓋2の円盤部21を貫通する貫通孔で形成されているものもあり、マンホール内の臭気等が外部に排出されてしまう原因の一つにもなっている。
図7に示すように、本実施形態のこじり孔213は、底壁部2131によって底側部分が袋状に囲われている。このため、マンホール内の臭気等が外部に排出されてしまうことを防ぐこともできる。
次いで、これまで説明してきた蓋受枠セット10の変形例について説明する。以下の変形例の説明では、図1〜図7に示す実施形態との相違点を中心に説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
図8(a)は、蓋受枠セット10の第1変形例を示し、同図(b)は、蓋受枠セット10の第2変形例を示している。また、図8は、図5(c)に対応した部分を示し、マンホール蓋2は、限界浮上位置まで浮上した様子を示している。
図8(a)に示すように、第1変形例では、図5に示す実施形態と比べ、内圧解放部7の上側確定面71における、内圧解放口7a側の部分を切り欠いて、内圧解放口7aに向かう解放流路7bを大きく形成している。図6を用いて、内圧解放口7aの形状の様々な態様を説明したように、上側確定面71の形状も限定されるものではない。例えば、図8(a)の一点鎖線で示すように、上方に凹んだ曲面形状に形成してもよいし、二点鎖線で示すように、下方に突出した曲面形状に形成してもよい。
第2変形例では、円盤部21の半径方向に延在し、図8(b)に示すように、側面22の、嵌合部221から蓋側延在部222にかけて開口した流通孔74が設けられている。この開口が、第2変形例では、内圧解放口7aになり、また、流通孔74で画定された空間が解放流路7bになる。なお、図8(b)の二点鎖線で示すように、側面22の嵌合部221に開口した流通孔74を設ける態様としてもよい。
以上説明したマンホール蓋2およびこれを備えた蓋受枠セット10によれば、流体の排出量を確保することによって内圧を効率的に解放し、マンホール蓋2の飛散を抑えることができる
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、内圧解放口7aが、側方に向けて開口した態様を例にあげて説明しているが、内圧解放口7aが、斜め上方に向かって開口したものであってもよい。
以上説明した地下構造物用蓋は、地下構造物につながる開口を塞ぐ、地上側になる上面と、
上端面が地上に露出した状態で埋設された受枠の内周面に嵌合する嵌合部が設けられた側面とを備え、
前記側面は、上部が塞がれ、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられたものであることを特徴とする。
ここで、前記側面は、前記嵌合部から下方に延在した延在部を有するものであってもよく、前記内圧解放口は、前記延在部に設けられたものであってもよいし、前記嵌合部に設けられたものであってもよいし、前記延在部から前記嵌合部にかけて設けられたものであってもよい。また、前記内圧解放口が、斜め上方に向かって開口したものであってもよい。さらに、前記受枠は、筒状のものであってもよい。
この地下構造物用蓋によれば、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する前記内圧解放口を備えているため、該地下構造物用蓋が浮上した状態で、該内圧解放口から例えば側方に向けて流体を排出することができる。これにより、前記地下構造物用蓋の浮上高さを抑えた場合であっても、地下構造物用蓋の嵌合面と受枠のテーパ部との隙間から流出させる従来の態様と比べ、流体の排出量が確保され、内圧を効率的に解放することができる。この結果、地下構造物用蓋の飛散を抑えることができる。また、前記内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられることで、該内圧解放口
から排出した流体が上方に向かいにくい。このため、前記地下構造物用蓋の飛散を助長する虞も少ない。
また、この地下構造物用蓋において、前記内圧解放口は、前記側面の下端が切り欠かれたものであってもよい。
さらに、この地下構造物用蓋において、前記内圧解放口が、前記側面における、この地下構造物用蓋の中心点に対して点対称の位置にそれぞれ設けられたものであってもよい。
すなわち、前記内圧解放口は、180度対向する位置にそれぞれ設けられたものである。また、前記内圧解放口が、前記側面の周方向に間隔をあけて複数設けられたものであり、複数の内圧解放口の中には、前記間隔が等しくなるように配置された内圧解放口が含まれていてもよい。
前記内圧解放口が、前記側面における、この地下構造物用蓋の中心点に対して点対称の位置にそれぞれ設けられた態様によれば、各内圧解放口から流体を排出することで浮上した該地下構造物用蓋の傾きが抑えられる。この結果、浮上した前記地下構造物用蓋が傾いて一部の内圧解放口からの流体の排出が困難になってしまう、といった不具合を回避することができる。
また、この地下構造物用蓋において、下方へ突出した一対のリブの間に形成され、前記内圧解放口につながった解放流路を備えたものであってもよい。
ここで、前記解放流路は、溝であってもよいし、孔であってもよい。
前記解放流路を備えることで、該解放流路から流体を効率的に排出することが可能になる。
また、以上説明した地下構造物用蓋受枠セットは、上端面が地上に露出した状態で埋設される受枠と、
前記受枠の内周面に嵌合する嵌合部が設けられた側面を有する地下構造物用蓋とを備え、
前記地下構造物用蓋の側面は、上部が塞がれ、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられたものであることを特徴とする。
ここで、前記受枠の内周面が、下方へ向かうにつれて内側へ傾斜したテーパ部と該テーパ部から下方に続く延在部とを有するものであり、
前記内圧解放口が、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では、前記延在部に向かって開口したものであってもよく、前記テーパ部に向かって開口したものであってもよく、前記延在部から前記テーパ部にかけて開口したものであってもよい。
この地下構造物用蓋受枠セットによれば、流体を効率的に排出することができ、また、前記内圧解放口から排出した流体が前記地下構造物用蓋の飛散を助長する虞も少ない。
さらに、以上説明した地下構造物用蓋受枠セットは、端面が地上に露出した状態で埋設される受枠と、
上方に向かうにつれて外側に傾斜し前記受枠の内周面に嵌合する嵌合部と、該嵌合部から下方に延在した蓋側延在部とが設けられた側面を有する地下構造物用蓋とを備え、
前記地下構造物用蓋の側面は、上部が塞がれ、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられたものであり、
前記受枠の内周面は、上方に向かうにつれて外側に傾斜し前記嵌合部が嵌合するテーパ状のテーパ部と、該テーパ部の下端部分に接続し、前記受枠の上端面を結ぶ線に直交する方向に延在する枠側延在部とを有するものであり、
前記蓋側延在部は、前記地下構造物用蓋の上面に直交する方向に延在し、前記枠側延在部と対向するものであることを特徴とする。
前記内圧解放口は、前記側面の下端が切り欠かれたものであってもよい。
また、前記地下構造物用蓋は、下方と内側が開放され、前記内圧解放口につながった解放流路を有するものであってもよい。
さらに、前記地下構造物用蓋は、円盤状の円盤部と、該円盤部から下方に突出し井桁状に配置された井桁状リブと、該井桁状リブとは別に形成され周方向に前記解放流路を挟んで下方へ突出した一対の補強リブとを有するものであってもよい。
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、実施形態や他の変形例に適用してもよい。
10 蓋受枠セット
2 マンホール蓋
21 円盤部
21a 上面
22 側面
221 嵌合部
221a 幅狭嵌合部
222 蓋側延在部
3 受枠
31 内周面
313 テーパ部
314 枠側延在部
7 内圧解放部
7a 内圧解放口
7b 解放流路
71 上側確定面
H 開口
h 限界浮上高さ
t3 表出高さ

Claims (3)

  1. 上端面が地上に露出した状態で埋設される受枠と、
    前記受枠の内周面に嵌合する嵌合部が設けられた側面を有する地下構造物用蓋とを備え、
    前記地下構造物用蓋の側面は、上部が塞がれ、前記嵌合部が前記受枠の内周面に嵌合した状態では該内周面に向かって開口する内圧解放口が設けられたものであり、
    前記地下構造物用蓋は、下方と内側が開放され、前記内圧解放口につながった解放流路を有するものであることを特徴とする地下構造物用蓋受枠セット。
  2. 前記内圧解放口が、前記側面の周方向に間隔をあけて180度対向する位置にそれぞれ設けられ、該間隔よりも狭い幅の開口であることを特徴とする請求項1記載の地下構造物用蓋受枠セット。
  3. 前記地下構造物用蓋は、円盤状の円盤部と、該円盤部から下方に突出し井桁状に配置された井桁状リブと、該井桁状リブとは別に形成され前記解放流路を周方向に挟んで下方へ突出した一対の補強リブとを有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の地下構造物用蓋受枠セット。
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