JP6913936B2 - 無枠式造型鋳枠 - Google Patents
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Description
無枠式造型装置では、組み込まれた造型鋳枠の数が少ない分、同じ造型鋳枠の使用頻度が多くなり、摩擦が生じる箇所の磨耗量が多くなる。この磨耗は、均一ではなく一部が偏って多く磨耗する偏磨耗であり、磨耗量が多くなると造型鋳枠より鋳型が抜き出される際に、上下の鋳型に型ずれが発生する。磨耗した造型鋳枠から造型される鋳型は、外周面が太鼓状となり、注湯時に使用する矩形状のジャケット(被せ枠)の内面と鋳型外壁とに隙間が生じて注湯された溶湯の圧力により鋳型が変形し、製品精度の不良を生じる。
本件発明にかかる無枠式造型鋳枠を使用した鋳型造型装置の実施形態を図に基づいて以下に説明する。
鋳型造型装置2は、図1に示すように、基台4、長方形枠状の天フレーム6、および基台4の端部に設けられ天フレーム6を支持する支柱8からなる機枠10と、機枠10に支持されて順に列設された造型ステーションmst、枠セット・型抜きステーションfstおよび枠合せ・枠抜きステーションtstと、を備えている。なお、ステーションmst,fst,tstが並んでいる水平方向をX方向とする。
鋳型造型装置2は、さらに、鋳物砂投入装置26およびスクイズ装置24をX方向に沿って移動させるシャトルシリンダ86と、上鋳枠19(第一、第二上鋳枠191,192)を枠セット・型抜きステーションfstと枠合せ・枠抜きステーションtstとの間で移動させる上部ターンテーブル114と、下鋳枠23(第一、第二下鋳枠231,232)を枠セット・型抜きステーションfstと枠合せ・枠抜きステーションtstとの間で移動させる下部ターンテーブル106と、を備えている。
造型ステーションmstは、図1に示すように、マッチプレート21に重ねられて鋳物砂MSが投入される上鋳枠19および下鋳枠23を上下反転させる反転装置22と、上鋳枠19および下鋳枠23に鋳物砂MSを投入する鋳物砂投入装置26と、鋳物砂MSが投入された上鋳枠19および下鋳枠23の枠内に投入された鋳物砂MSをスクイズするスクイズ装置24と、上鋳枠19、下鋳枠23およびマッチプレート21が重ねられて構成される重合鋳枠20(図2参照)を横移動させる鋳枠横移動装置28と、を備えている。スクイズ装置24が造型ステーションmstに位置決めされている場合において、スクイズ装置24と反転装置22の間の位置が造型位置mspとなる。マッチプレート21の上面21uは、上型用模型Maが配置されて上型用模型定盤に相当し、マッチプレート21の下面21dは、下型用模型Mbが配置されて下型用模型定盤に相当する。
反転装置22は、天フレーム6の両端より所定の間隔をおいて垂下された垂下部材(図略)の下端に夫々2つずつ組として固定された軸受部材(図略)に回動可能に支承される一対の回動軸32と、回動軸32にそれぞれ一体に支持され下部に回動軌跡に沿った円弧縁を有する一対の垂直壁部34と、垂直壁部34の下部に水平に対にして並設された複数のローラ部材36と、対となった垂直壁部34の上部において垂直壁部34間に架設された支持プレート38と、を備えている。
回動軸32には、図略の外歯車が周設され、該外歯車にはラック(図略)が噛合されピニオンラック機構が構成されている。ラックは図略のエアシリンダ装置により駆動される。これらの回動軸32、外歯車、ラックおよびエアシリンダ装置によって回動装置が構成されている。
支持プレート38の中央部には進退装置としてのエアシリンダ40が設けられ、エアシリンダ40の先端部には押えプレート42が設けられている。押えプレート42はエアシリンダ40の前進により対向するローラ部材36方向に移動する。押えプレート42の上面には、支持プレート38側に突出する4本のガイドロッド44が設けられている。各ガイドロッド44は支持プレート38に穿設されたガイド孔(図略)に夫々ガイドされ、押えプレート42を支持プレート38に対して平行に接近離間させる。エアシリンダ40は、図略のエアポンプに連通され、該エアポンプとエアシリンダ40の間に設けられた図略の電磁弁の開閉によりその作動が制御される。押えプレート42の四隅には、上鋳枠支持部材50が取り付けられている。上鋳枠支持部材50は、一方に開口部を有する有底の筒状部材46と、筒状部材46に嵌入されて筒状部材46の開口部から進出退入するロッド部材48とを備えている。
押えプレート42にはガイド穴(図略)が設けられ、ガイド穴(図略)の周縁に筒状部材46が開口部において固定されている。ロッド部材48の基端部側にはフランジ部(図略)が周設され、フランジ部がガイド穴の周縁に当接することによりロッド部材48の前進端が規制される。筒状部材46には筒状部材46の底面に一端が当接する金属ばね(図略)が収容され、金属ばねの他端はロッド部材48に設けられたフランジ部に当接する。これによって、ロッド部材48を前進する方向に向かって付勢する。ロッド部材48はガイド穴により摺動可能にガイドされ、ロッド部材48に設けられた先端テーパ部(図略)は上鋳枠19の端縁部に形成されたテーパ穴(図略)に係合し、ロッド部材48が上鋳枠19の端縁部に当接したときに、上鋳枠19の水平方向の位置決めを行う。押えプレート42の下面中央部には砂押えプレート54が設けられ、砂押えプレート54は上鋳枠19の内周に嵌入可能な断面四角形状(断面方形状)に形成されている。
スクイズ装置24は、前記天フレーム6の上面でX方向に延在する搬送レール(図略)上を移動する車輪(図略)を下部四隅に備え、立体矩形状に形成された支持フレーム60を有している。支持フレーム60の上部中央には、昇降装置としてのスクイズシリンダ62が取付けブラケット64を介して図略のボルト等により固定されている。スクイズシリンダ62には下方に突出するピストン部66を備え、ピストン部66の下端部には下鋳枠23の内周に嵌入するスクイズプレート(スクイズ部材)68が保持プレート(図略)を介して設けられている。スクイズシリンダ62の両側には、支持フレーム60に取付けブラケット64により固定され上下方向に延在する一対のガイド(図略)が設けられている。スクイズシリンダ62は、図略のエアポンプに連通され、該エアポンプとスクイズシリンダ62間に設けられた図略の電磁弁の開閉によってその作動が制御される。
鋳物砂投入装置26は、図1に示すように、一度に成型する鋳型造型に必要な鋳物砂MSを1単位として収納し、上下鋳枠19,23のいずれかの上面に当接して造型空間BS(UBS,DBS)および開口空間OS(UOS,DOS)内に鋳物砂MSを投入するホッパー74を備えている。ホッパー74は、上下鋳枠19,23の上面に当接するシューター部76を有し、シューター部76の上方の外周壁78には外周壁78の内部を上下に仕切る複数枚のゲート板80が支承されている。ゲート板80の上方は鋳物砂MSを貯留する砂計量部82となっている。砂計量部82には図略のコンベヤ装置により鋳物砂MSが搬送されて貯留される。
ゲート板80は図略の回動装置により水平軸線回りに夫々回動され、ゲート板80が水平位置に位置決めされると外周壁78の内部中央が上下に仕切られて鋳物砂MSが貯留可能となり、ゲート板80が回動されて垂直位置に位置決めされると、貯留された鋳物砂MSが落下して上鋳枠19または下鋳枠23が構成する造型空間BS(UBS,DBS)に投入される。ホッパー74は支持フレーム60より延在する横フレーム84に固定され、横フレーム84には搬送レール上を転動する車輪(図略)が設けられている。ホッパー74およびスクイズ装置24は、天フレーム6の端部(図1において右端部)に設けられたシャトルシリンダ86の駆動により造型ステーションmstと枠セット・型抜きステーションfstとの間を移動して所定位置に位置決めされる。シャトルシリンダ86は図略のエアポンプに連通され、該エアポンプとシャトルシリンダ86の間に設けられた図略の電磁弁の開閉によりその作動が制御される。
鋳枠横移動装置28は、図1に示すように、X方向に延在する一対のガイドフレーム88を備え、ガイドフレーム88には反転装置22のローラ部材36が下方に位置決めされたときに整列可能になる整列ローラ部90が設けられている。整列ローラ部90の上には重合鋳枠20をクランプ・アンクランプするクランプ台車92が水平移動可能に設けられ、クランプ台車92はガイドフレーム88の一端部に設けられた水平シリンダ94によって駆動される。水平シリンダ94は図略のエアポンプに連通され、該エアポンプと水平シリンダ94との間に設けられた図略の電磁弁の開閉により作動が制御される。クランプ台車92には基端部が支承されたクランプ爪96が設けられ、クランプ爪96の先端部は重合鋳枠20(下鋳枠23)の被係止部(図略)に係脱可能になっている。クランプ台車92は整列ローラ部90およびローラ部材36上を移動可能に設けられ、クランプ台車92はクランプ爪96により係止した重合鋳枠20を造型ステーションmstと枠セット・型抜きステーションfstとの間を移動させる。
鋳物砂MSが充填されて鋳型MD(上鋳型MDa,下鋳型MDb)(図8、図17参照)が形成される重合鋳枠20は、図2に示すように、下端においてマッチプレート21の上面21u(上型用模型定盤)に重ねられる方形筒状の上鋳枠19と、上端においてマッチプレート21の下面21d(下型用模型定盤)に重ねられる方形筒状の下鋳枠23とを備えている。本件明細書および特許請求の範囲において「方形」とは、正方形および長方形を含む四角形を言うものとする。無枠式造型鋳枠1は、上鋳枠19、マッチプレート21および下鋳枠23から主に構成され、これらが重ね合わされたものが重合鋳枠20となる。
上鋳枠19は、図2に示すように、例えば、鉄製部材より略方形筒状に形成され、上端より所定幅で設けられ上部の直方体状の開口空間UOSを形成するための四つの上鋳枠長方形状内壁面部19aを備えている。上鋳枠長方形状内壁面部19aは、上鋳枠本体19mの上部内壁面19mvと後述する上鋳枠用長方形状の内貼板19cとを含むものである。本件明細書および特許請求の範囲において「直方体」とは、立方体を含み、「長方形」とは、「正方形」を含むものである。
また、上鋳枠19は、上鋳枠長方形状内壁面部19aに連続して設けられ下方に向って拡大する四角垂台形状の造型空間UBSを形成するための四つの上鋳枠台形状内壁面部19bを備えている。上鋳枠台形状内壁面部19bは、上鋳枠本体19mの下部の傾斜内壁面19msと後述する上鋳枠用台形状の内貼板19dとを含むものである。本件明細書および特許請求の範囲において「造型空間UBSを形成するための」とは、造型空間BSを直接仕切るものに限定されず、造型空間BS(UBS,DBS)を形成するための基礎面を構築するものを含む。開口空間OS(UOS,DOS)についても同様である。
例えば、一枚の上鋳枠用長方形状の内貼板19cが正規の寸法より短い場合に、短く形成された上鋳枠用長方形状の内貼板19cの鋳型形成面19c3が、隣接する上鋳枠用長方形状の内貼板19cの端面19c4に当接可能な範囲で、短い長さの誤差を吸収して上鋳枠用長方形状の内貼板19cを上鋳枠長方形状内壁面部19aに貼着することができる。そして隣接する上鋳枠用長方形状の内貼板19c同士で形成する隅部19c1には、隙間が生じていない。
上鋳枠用台形状の内貼板19dは、図3および図5に示すように、皿穴加工によって、皿頭ボルト195の頭195aが鋳型形成面19d3側に突出しないようになっている。
例えば、一枚の上鋳枠用台形状の内貼板19dが正規寸法より長く形成されていた場合、長く形成された上鋳枠用台形状の内貼板19dは、鋳型形成面19d3が当接する隣接の上鋳枠用台形状の内貼板19dの端面19d4よりも外側に誤差分だけ突出する。この突出した誤差分の長さを上鋳枠用台形状の内貼板逃し溝19fdで吸収して、上鋳枠用台形状の内貼板19dを上鋳枠台形状内壁面部19bに正しく貼着することができる。
下鋳枠23は、例えば鉄製部材より略方形筒状に形成され、図2および図6に示すように、上鋳枠19の下方に重ね合わされた状態で、下鋳枠23の上端より下方に向って広大する四角錐台形の造型空間DBSを形成するための四つの下鋳枠台形状内壁面部23bを備えている。下鋳枠台形状内壁面部23bは、下鋳枠本体23mの上部の傾斜内壁面23msと後述する下鋳枠用台形状の内貼板23dとを含むものである。
下鋳枠23は、下鋳枠台形状内壁面部23bに連続し、直方体状の開口空間DOSを下鋳枠23の下端まで形成するための四つの下鋳枠長方形状内壁面部23aを備えている。下鋳枠長方形状内壁面部23aは、下鋳枠本体23mの下部内壁面23mvと後述する下鋳枠用長方形状の内貼板23cとを含むものである。
下鋳枠用台形状の内貼板23dは、皿穴加工によって、皿頭ボルト195の頭195aが鋳型形成面23d3側に突出しないようになっている。
下鋳枠用長方形状の内貼板23cは、皿穴加工によって、皿頭ボルト195の頭195aが鋳型形成面23c3側に突出しないようになっている。
マッチプレート21は、図2に示すように、上型用模型Maが配置され上鋳枠19が上面に重ね合わされる上型用模型定盤(マッチプレート21の上面21u)と、下型用模型Mbが配置され下鋳枠23が下面に重ね合わされる下型用模型定盤(マッチプレート21の下面21d)とが背中合わせに接合されて一体に形成されたものである。中央に穴部が形成された矩形状の支持枠(図略)と、支持枠の穴部に沿って形成された係止縁に係止された模型保持板(図略)とを有している。
枠セット・型抜きステーションfstは、図1に示すように、基台4に昇降可能にガイドされる昇降ローラ台98と、昇降ローラ台を基台に摺動自在に支持する昇降支持シリンダ100と、を備えている。昇降ローラ台98の上方には、下部ターンテーブル106の一端、マッチプレート21が搬入される搬送ローラ110、および上部ターンテーブル114の一端が、枠セット・型抜き位置fspとして位置決めされている。
なお、対向する支持壁117は、昇降ローラ台98および後述する鋳型テーブル120がその間を通過可能に構成されている。また、回動周壁113は図略のベアリングを介して回動支持軸116に支承され、図略の減速装置およびモータにより回動支持軸116に対して回動し、回動周壁113が回動することで、下部ターンテーブル106および上部ターンテーブル114は同期して回動する。そして夫々の支持腕115に係合された下鋳枠23または上鋳枠19を、枠セット・型抜きステーションfstと枠合せ・枠抜きステーションtstとの間で回転移動させる。
枠合せ・枠抜きステーションtstは、鋳型MDを載置する鋳型テーブル120と鋳型テーブルを昇降可能に支持する昇降軸シリンダ119とを備えた鋳型合わせ装置118を備えている。鋳型テーブル120の上方には、下部ターンテーブル106の他端、および上部ターンテーブル114の他端が枠合せ・枠抜き位置tspとして位置決めされている。
上鋳枠19の上鋳枠台形状内壁面部19bに貼着された上鋳枠用台形状の内貼板19dの表面、マッチプレート21の上面21uおよび該上面21uに取付られた上型用模型Maの表面により上鋳型MDa(図8および図16参照)を造型する造型空間UBSが形成され(図2参照)、下鋳枠23の下鋳枠台形状内壁面部23bに貼着された下鋳枠用台形状の内貼板23dの表面、マッチプレート21の下面21dおよび該下面21dに取付けられた下型用模型Mbの表面により下鋳型MDbを造型する造型空間DBSが形成される(図2参照)。
上鋳枠長方形状内壁面部19aに貼着された上鋳枠用長方形状の内貼板19cが囲う直方体の空間により上鋳枠19の開口空間UOSが形成され、下鋳枠長方形状内壁面部23aに貼着された下鋳枠用長方形状の内貼板23cが囲う直方体の空間により下鋳枠23の開口空間DOSが形成される。
次に、上記構成の無枠式造型鋳枠1を使用した作動について、図に基づいて以下に説明する。
本実施形態の無枠式造型鋳枠1を構成する上鋳枠19および下鋳枠23は、図1において枠セット・型抜きステーションfstに配置されている第一上鋳枠191および第一下鋳枠231と、枠合わせ・枠抜きステーションtstに配置されている第二上鋳枠192および第二下鋳枠232との2セットが用意されている。これらの第一、第二上鋳枠191,192は、同じ種類の上鋳枠19であり、第一、第二下鋳枠231,232は、同じ種類の下鋳枠23である。これらの第一、第二上鋳枠191,192および第一、第二下鋳枠231,232は、交互に繰り返して造型に使用される。マッチプレート21は、複数のマッチプレート21が搬送ローラ110上に配置され、枠セット・型抜き位置fspに対応する位置に位置決めされたマッチプレート21が上鋳枠19および下鋳枠23と枠合わせされて造型に使用される。原則的に、予定の鋳型生産数が終了するまで同じマッチプレート21が使用される。
枠合わせ・枠抜きステーションtstに配置されている第二上鋳枠192および第二下鋳枠232は、先行して造型された上鋳型MDaおよび下鋳型MDbが夫々保持された状態で待機している。
更に、昇降ローラ台98を上昇させ、昇降ローラ台98の上昇端においてマッチプレート21の上面が第一上鋳枠191の下端に当接することで、第一上鋳枠191と上部ターンテーブル114との係合が解除され、マッチプレート21に第一上鋳枠191を重ね合わせる。
このようにして、第一上鋳枠191、マッチプレート21および第一下鋳枠231を重ね合わせて重合鋳枠20(図2参照)を形成する。そして、鋳物砂投入装置26のゲート板80が回動されて垂直位置に位置決めされ、砂計量部82に貯留されていた鋳物砂MSを自然落下させて第一上鋳枠191の内面とマッチプレート21の上面21uおよび上型用模型Maの表面が形成する造型空間UBSおよび開口空間UOSに充填させる。このときに、整列しているローラ部材36および整列ローラ部90にローラ片104を整列させる。そしてクランプ台車92のクランプ爪96を回動させることでその先端を第一下鋳枠231(重合鋳枠20)の被係止部に係止させる。
そして、エアシリンダ40を前進する方向に駆動させることで、砂押えプレート54を第一上鋳枠191(重合鋳枠20)の内周部に嵌入させて内部に充填された鋳物砂MSの上面に当接させる。このとき、上鋳枠支持部材50のロッド部材48の先端部は第一上鋳枠191の上端部に当接させる。このとき、ロッド部材48の先端テーパ部を第一上鋳枠191のテーパ穴に嵌入させる。エアシリンダ40には、砂押えプレート54が第一上鋳枠191の内周から外れない程度の軽い圧力が負荷されて維持される。第一上鋳枠191の上端部は上鋳枠支持部材50に当接し、第一下鋳枠231はローラ部材36に載置されているので、重合鋳枠20(第一上鋳枠191)、マッチプレート21および第一下鋳枠231は、造型位置mspにおいてエアシリンダ40の圧力で上下から挟持された状態となる。
また、並行してホッパー74のゲート板80が回動されて水平位置に位置決めされ、砂計量部82には第一下鋳枠231が構成する造型空間DBSおよび開口空間DOSに投入される量の鋳物砂MSが図略のコンベヤ装置により搬送されて貯留される。
そして、ゲート板80を回動させて垂直位置に位置決めさせることで、鋳物砂MSを砂計量部82より自然落下させて第一下鋳枠231が構成する造型空間DBSおよび開口空間DOSに投入する。
このとき、スクイズの圧力により、第一下鋳枠231内の鋳物砂MSが圧縮されるとともに鋳物砂MSと第一下鋳枠231の内面との摩擦によって重合鋳枠20を下方に移動させる力が働く。この下方への力によって重合鋳枠20は金属ばねの撥力に抗して下方に移動し、反転装置22の押えプレート42は上鋳枠支持部材50を介して下方に移動する力が働いて下方移動して、押えプレート42に突設されたガイドロッド44が規制部材55に当接する。
そして、下方に移動して当接した規制部材55によりガイドロッド44が反力を受け、その反力がガイドロッド44を介して押えプレート42に伝達される。押えプレート42には砂押えプレート54が固定されているので、第一上鋳枠191の鋳物砂MSに当接された砂押えプレート54は、重合鋳枠20の下方移動によって第一上鋳枠191の中にさらに嵌入(進入)して上鋳枠19内の鋳物砂MSをスクイズする。
このように、スクイズプレート68で第一下鋳枠231内部の鋳物砂MSをスクイズすることで、第一上鋳枠191内部の鋳物砂MSを同時にスクイズすることができる。このように、同時にスクイズすることで、マッチプレート21の一方の面だけに負荷される圧力が偏らず、マッチプレート21の変形・破損を防止することができる。
一方、枠合せ・枠抜きステーションtstにおいて、以下の工程が並行して行われる。昇降軸シリンダ119を前進する方向に駆動させることで、鋳型テーブル120を上昇させて下部ターンテーブル106より第二下鋳枠232を受承する。鋳型テーブル120は、第二下鋳枠232の内周に嵌入されて鋳型MDbの下面に当接する。更に第二下鋳枠232が載置された鋳型テーブル120を上昇させることで、上部ターンテーブル114に置かれた第二上鋳枠192に第二下鋳枠232を重ね合わせる。そして、鋳型抜きヘッド122の押し抜きプレート124を第二上鋳枠192内周に嵌入させ、上鋳型MDaと下鋳型MDbを合わせる鋳型合せをおこなう。
一方、枠合せ・枠抜きステーションtstにおいて、以下の工程が並行して行われる。鋳型テーブル120を下降させて、上部ターンテーブル114に係合した第二上鋳枠192から上鋳型MDaを抜き出して枠抜きする。上鋳型MDa、第二下鋳枠232および下鋳型MDbが載置された鋳型テーブル120を更に降下させることで、下部ターンテーブル106の位置において、第二下鋳枠232から下鋳型MDbを抜きだし枠抜きして、上下の鋳型MDa、MDbが重ねられた鋳型MDを完成させる。そして、完成した鋳型MDを図略のコンベヤにより収納倉庫に搬出する。
水平シリンダ94を前進する方向に駆動させてクランプ台車92をローラ部材36に移動させることにより、重合鋳枠20を枠セット・型抜きステーションfstの枠セット・型抜き位置fspに移動させる。そのとき、第一上鋳枠191を対向する支持壁117の間に進入させる。そして、昇降ローラ台98を上昇端より下降させることで、第一上鋳枠191の被係合部を上部ターンテーブル114の支持壁117の係合突起に係合させ、上部ターンテーブル114に第一上鋳枠191を固定する。
なお、搬送ローラ110に載置されたマッチプレート21は、予定される鋳型MDの生産数が終了するまで、続けて枠セット位置に置かれて繰り返し使用される。そして、予定される生産数の鋳型MDの生産が終了した場合、図略の収納庫に搬出され、搬送ローラ110の枠セット位置には新たな模型Mがセットされたマッチプレート21が搬入される。
内貼板19c,19d,23c,23dは、上鋳枠19および下鋳枠23に鋳物砂MSを投入した後にスクイズ装置24で行われるスクイズ時に(図15参照)、内貼板19c,19d,23c,23dと鋳物砂MSとの間の高圧力による接触により磨耗する。
また、内貼板19c,19d,23c,23dは、枠合せ・枠抜きステーションtstで、上鋳型MDaおよび下鋳型MDbを型合せ後、同時に上鋳枠19および下鋳枠23から抜き出す作業において(図16および図17参照)、上鋳型MDaおよび下鋳型MDb表面の鋳物砂MSと内貼板19c,19d,23c,23dとが擦れて磨耗する。
交換作業を行なう作業者は、磨耗したいずれかの内貼板19c,19d,23c,23dのみを、ボルト195・ナット196による締結を解除して上鋳枠19または下鋳枠23から取り外し、対応する新たな内貼板19c,19d,23c,23dと交換して、ボルト195・ナット196で締結する。内貼板19c,19d,23c,23dは、均一な厚みの規格鋼板であるため、低単価の内貼板19c,19d,23c,23dを簡単に交換することができる。
上鋳枠19(191,192)は、直方体状の開口空間OS(UOS)を上鋳枠19の上端より所定幅で形成するための四つの上鋳枠長方形状内壁面部19aと、上鋳枠長方形状内壁面部19aに連続して設けられ下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間BS(UBS)を形成するための四つの上鋳枠台形状内壁面部19bとを、備えている。
下鋳枠23(231,232)は、上鋳枠19の下方に重ね合された状態において、下鋳枠23の上端より下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間BS(DBS)を形成するための四つの下鋳枠台形状内壁面部23bと、下鋳枠台形状内壁面部23bに連続し直方体状の開口空間OS(DOS)を下鋳枠23の下端まで形成するための四つの下鋳枠長方形状内壁面部23aとを、備えている。
各上鋳枠台形状内壁面部19bには、台形板状に形成され均一な厚みの上鋳枠用台形状の内貼板19dが、夫々着脱可能に貼着され、各下鋳枠台形状内壁面部23bには、台形板状に形成され均一な厚みの下鋳枠用台形状の内貼板23dが、夫々着脱可能に貼着され、上・下鋳枠用台形状の内貼板19d,23dによって形成される造型空間BS(UBS,DBS)の周方向の各隅部19d1,23d1は、隣接する内貼板19d,23d同士が夫々相互に隙間なく当接している。
2πtθ/360=T・・・(式1)
そして、0.5mm以下の隙間Tであれば、鋳物砂MSが侵入しないことが、経験上知られている。そのため、隙間TについてT≦0.5mmが条件となる場合について、下鋳枠用台形状の内貼板23dの厚みtと、下鋳枠用台形状の内貼板23dの傾斜角度θとは、以下の条件で適用されるのが望ましい。
例えば、下鋳枠用台形状の内貼板23dに9mmの厚みのものを使用したとすると、式1より、下鋳枠台形状内壁面部23bの垂直面に対する傾斜角度θは、3.18°以下が望ましい。
例えば、下鋳枠台形状内壁面部23bの垂直面に対する傾斜角度θが5°とすると、式1より、下鋳枠用台形状の内貼板23dの厚みtは、5.73mm以下が望ましい。
これによって、内貼板19d,23dの寸法誤差を吸収して、隣接する内貼板19d,23d間において隙間のない隅部19d1,23d1を容易に形成することができる。
これによると、上・下鋳枠用長方形状の内貼板19c,23cは、上・下鋳枠長方形状壁面部19a,23aの形状に対応した均一の厚みの板材である。これにより、使用による磨耗により取り替えることが必要となった内貼板19c,23cを、従来のようにテーパ状に加工する必要なく安価な製造コストで交換することができる。開口空間UOS,DOSの周方向の各隅部19c1,23c1は、鋳物砂MSが隣接する内貼板19c,23cの隙間に入り込むことがなく、潤滑にスクイズすることができる。
これによると、長方形状の内貼板19c,23cは、上鋳枠長方形状内壁面部19aおよび下鋳枠長方形状内壁面部23aの形状に合せて規格鋼板を長方形に切断加工するだけであるので、製造コストを削減することができる。
これによると、内貼板19c,23cに寸法誤差(内貼板の長短)が生じていた場合でも、当接した片方の端面19c4,23c4の反対側の端末部(鋳型形成面19c3,23c3)では、当該内貼板19c,23cの鋳型形成面19c3,23c3に隣接する内貼板19c,23cの端面19c4,23c4が直角方向から当接さえすれば隣接する内貼板19c,23c間の隙間がなくなる。
これによって、内貼板19c,23cの寸法誤差を吸収して、隣接する内貼板19c,23c間において隙間のない隅部19c1,23c1を容易に形成することができる。
これによると、長方形状の内貼板19c,23cの設定寸法より大きくなる寸法誤差や組立誤差が生じた場合にも、上鋳枠用長方形状の内貼板逃し溝19fcおよび下鋳枠用長方形状の内貼板逃し溝23fcで誤差を吸収して、隣接する長方形状の内貼板19c,23c間において隙間なく当接することができる。
これによると、上鋳枠19および下鋳枠23の合わせ面側に生じる磨耗を、簡単な形状の上鋳枠端面板19gおよび下鋳枠端面板23gにより防止することができ、磨耗が生じた場合には、磨耗した上鋳枠端面板19gまたは下鋳枠端面板23gを交換して、磨耗前の状態に容易に復帰させることができる。
また、上鋳枠長方形状内壁面部19aに上鋳枠用長方形状の内貼板19cを貼着し、上鋳枠台形状内壁面部19bに上鋳枠用台形状の内貼板19dを貼着し、下鋳枠台形状内壁面部23bに下鋳枠用台形状の内貼板23dを貼着し、下鋳枠長方形状内壁面部23aに下鋳枠用長方形状の内貼板23cを貼着するものとしたが、これに限定されない。例えば、上鋳枠台形状内壁面部19bと下鋳枠台形状内壁面部23bとにのみ、夫々台形状の内貼板19d,23dを貼着するものでもよい。
また、上鋳枠端面板19gおよび下鋳枠端面板23gは、夫々四枚の短冊状薄板を組み合わせて方形枠状に配置したものとしたが、これに限定されず、例えば一体の方形枠状の薄板でもよい。
例えば、図21および図22に示すように、上下逆さに配置した下鋳枠23と上鋳枠19とを、スクイズテーブル228上で横に並べた下型用模型定盤221d(パターンプレート)と上型用模型定盤221u(パターンプレート)との上に夫々配し、下鋳枠23および上鋳枠19のスクイズを同時に行う無枠式鋳枠にも使用することができる。この鋳型造型装置222において、シャトルシリンダ86により、鋳物砂投入装置26とスクイズ装置24とがスライドして入れ替わるように構成されている。ターンテーブル230上には、二組の上下鋳枠19,23がセットされ、交互に繰り返し使用される。これらの上鋳枠19と下鋳枠23とは、鋳物砂投入装置26で鋳物砂MSを投入後、横に並べられた位置でスクイズ装置24により同時にスクイズされる。そして、夫々模型定盤221d,221uが取り外された後、ターンテーブル230で移送され別工程で下鋳枠23を上下反転させ、反転させた下鋳枠23に上鋳枠19を重ね合わせる。そして、下鋳枠23が上鋳枠19の下方に重ね合わされた状態で枠抜きされ、いずれも図略の上鋳型と下鋳型とが重ね合わされた鋳型が完成する。
Claims (6)
- 方形筒状に形成され上型用模型定盤に重ねられて上鋳型を造型するための上鋳枠と、方形筒状に形成され下型用模型定盤に重ねられて下鋳型を造型するための下鋳枠と、を備えた無枠式造型鋳枠であって、
前記上鋳枠は、直方体状の開口空間を前記上鋳枠の上端より所定幅で形成するための四つの上鋳枠長方形状内壁面部と、前記上鋳枠長方形状内壁面部に連続して設けられ下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの上鋳枠台形状内壁面部とを、備え、
前記下鋳枠は、前記上鋳枠の下方に重ね合わされた状態において、前記下鋳枠の上端より下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの下鋳枠台形状内壁面部と、前記下鋳枠台形状内壁面部に連続し直方体状の開口空間を前記下鋳枠の下端まで形成するための四つの下鋳枠長方形状内壁面部とを、備え、
前記各上鋳枠台形状内壁面部には、台形板状に形成され均一な厚みの上鋳枠用台形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記各下鋳枠台形状内壁面部には、台形板状に形成され均一な厚みの下鋳枠用台形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記上鋳枠台形状内壁面部および前記下鋳枠台形状内壁面部の傾斜角度は、垂直面に対して3〜5度であり、
前記各内貼板は、厚みが4〜9mmであり、
前記上・下鋳枠用台形状の内貼板によって形成される前記造型空間の周方向の各隅部は、隣接する前記内貼板同士が夫々相互に隙間なく当接しており、
前記下鋳枠用台形状の内貼板は、前記下型用模型定盤に接触する端面と、鋳物砂が接触する鋳型形成面とは、直角に形成されている無枠式造型鋳枠。 - 方形筒状に形成され上型用模型定盤に重ねられて上鋳型を造型するための上鋳枠と、方形筒状に形成され下型用模型定盤に重ねられて下鋳型を造型するための下鋳枠と、を備えた無枠式造型鋳枠であって、
前記上鋳枠は、直方体状の開口空間を前記上鋳枠の上端より所定幅で形成するための四つの上鋳枠長方形状内壁面部と、前記上鋳枠長方形状内壁面部に連続して設けられ下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの上鋳枠台形状内壁面部とを、備え、
前記下鋳枠は、前記上鋳枠の下方に重ね合わされた状態において、前記下鋳枠の上端より下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの下鋳枠台形状内壁面部と、前記下鋳枠台形状内壁面部に連続し直方体状の開口空間を前記下鋳枠の下端まで形成するための四つの下鋳枠長方形状内壁面部とを、備え、
前記各上鋳枠台形状内壁面部には、台形板状に形成され均一な厚みの上鋳枠用台形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記各下鋳枠台形状内壁面部には、台形板状に形成され均一な厚みの下鋳枠用台形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記上・下鋳枠用台形状の内貼板によって形成される前記造型空間の周方向の各隅部は、隣接する前記内貼板同士が夫々相互に隙間なく当接しており、
前記造型空間の周方向の前記各隅部は、前記各台形状の内貼板の両側の端面のうち片方の端面のみが、隣接する前記台形状の内貼板の鋳型形成面に当接している無枠式造型鋳枠。 - 前記上鋳枠において隣接する上鋳枠台形状内壁面部間の上鋳枠隅部には、上鋳枠用台形状の内貼板逃し溝が上下方向に沿って設けられ、
前記下鋳枠において隣接する下鋳枠台形状内壁面部間の各下鋳枠隅部には、下鋳枠用台形状の内貼板逃し溝が上下方向に沿って設けられている請求項2に記載の無枠式造型鋳枠。 - 方形筒状に形成され上型用模型定盤に重ねられて上鋳型を造型するための上鋳枠と、方形筒状に形成され下型用模型定盤に重ねられて下鋳型を造型するための下鋳枠と、を備えた無枠式造型鋳枠であって、
前記上鋳枠は、直方体状の開口空間を前記上鋳枠の上端より所定幅で形成するための四つの上鋳枠長方形状内壁面部と、前記上鋳枠長方形状内壁面部に連続して設けられ下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの上鋳枠台形状内壁面部とを、備え、
前記下鋳枠は、前記上鋳枠の下方に重ね合わされた状態において、前記下鋳枠の上端より下方に向って拡大する四角錐台形状の造型空間を形成するための四つの下鋳枠台形状内壁面部と、前記下鋳枠台形状内壁面部に連続し直方体状の開口空間を前記下鋳枠の下端まで形成するための四つの下鋳枠長方形状内壁面部とを、備え、
前記各上鋳枠長方形状内壁面部には、長方形板状に形成され均一な厚みの上鋳枠用長方形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記各下鋳枠長方形状内壁面部には、長方形板状に形成され均一な厚みの下鋳枠用長方形状の内貼板が、夫々着脱可能に貼着され、
前記長方形板状の内貼板によって形成される前記開口空間の周方向の各隅部は、隣接する前記長方形板状の内貼板同士が、夫々相互に隙間なく当接しており、
前記開口空間の周方向の各隅部は、前記各長方形状の内貼板の両側の端面のうち片方の端面のみが、隣接する前記長方形状の内貼板の鋳型形成面に当接している無枠式造型鋳枠。 - 前記上鋳枠において隣接する上鋳枠長方形状内壁面部間の上鋳枠隅部には、上鋳枠用長方形状の内貼板逃し溝が上下方向に沿って設けられ、
前記下鋳枠において隣接する下鋳枠長方形状内壁面部間の各下鋳枠隅部には、下鋳枠用長方形状の内貼板逃し溝が上下方向に沿って設けられている請求項4に記載の無枠式造型鋳枠。 - 前記上鋳枠には、前記上型用模型定盤に重ねられる合わせ面側に薄板状の上鋳枠端面板が係脱可能に設けられ、
前記下鋳枠には、前記下型用模型定盤に重ねられる合わせ面側に薄板状の下鋳枠端面板が係脱可能に設けられている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の無枠式造型鋳枠。
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