下記の実施形態等において説明する図1〜図17は、模式的な図であり、図1〜図17中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
本実施形態に係る吊下型電気器具100は、例えば、建物の部屋の天井又は建物の屋外に設けられている屋根に固定された配線ダクト80に、取り付けられて使用される。吊下型電気器具100が使用される建物は、例えば工場、学校、店舗、病院及びオフィス等の非住宅であってもよいし、戸建住宅、及び集合住宅等の住宅であってもよい。
吊下型電気器具100は、図1〜図5に示すように、配線ダクト80に取り付けられて配線ダクト80から電力が供給される第1ユニット10と、第1ユニット10に取り外し可能に接続されて第1ユニット10から吊り下げられる第2ユニット20と、を備える。
第1ユニット10は、第2ユニット20を取り外し可能に接続するための専用の接続部11を備える。また、第1ユニット10は、取付部12と、第1ユニット側ケーブル(第1ケーブル部)13と、を更に備える。取付部12は、配線ダクト80に取り付けられ、配線ダクト80の導体81に電気的に接続される。第1ユニット側ケーブル13は、接続部11と取付部12とを接続する。第1ユニット側ケーブル13は、内部に電線を有しており、取付部12と接続部11とが第1ユニット側ケーブル13の電線を介して電気的に接続される。すなわち、第1ユニット側ケーブル13は、取付部12から接続部11への電力の供給経路となる。
第2ユニット20は、配線ダクト80から第1ユニット10の接続部11を介して電力が供給される。第2ユニット20は、入力部21と、機能部22と、を備える。また、第2ユニット20は、第2ユニット側ケーブル(第2ケーブル部)23を更に備える。入力部21は、第1ユニット10の接続部11に取り外し可能に接続される。第2ユニット側ケーブル23は、入力部21と機能部22とを接続する。第2ユニット側ケーブル23は、内部に電線を有しており、入力部21と機能部22とが第2ユニット側ケーブル23の電線を介して電気的に接続される。すなわち、第2ユニット側ケーブル23は、入力部21から機能部22への電力の供給経路となる。
機能部22には、第1ユニット10(取付部12、第1ユニット側ケーブル13及び接続部11)、入力部21及び第2ユニット側ケーブル23を介して、配線ダクト80の導体81に接続された電力源から、電力が供給される。機能部22は、入力部21を介して受け取った電力を用いて、所定の機能を実現する。
本実施形態の機能部22は、電気機器301(図4参照)のプラグ(接続対象)が接続されるコンセント本体220を備えており、コンセント本体220に接続された電気機器301への電力供給を行うコンセント(Outlet)の機能を有している。ここでは、コンセント本体220は、接地極付きの交流100V用であって、2個のプラグを同時に接続可能な2個口タイプのコンセント(接続対称であるプラグを接続するための接続口2220を、2個有するコンセント)である。コンセント本体220に接続される電気機器301は特に限定されず、例えば、ポータブルコンピュータ等の可搬型の電気機器301であってもよいし、建物に据え付けられた電動式の工具、家電製品、実験器具等の持ち運び困難な電気機器301であってもよい。すなわち、本実施形態の吊下型電気器具100は、コンセント本体220に接続された電気機器301へ電力供給を行う吊下型コンセントである。
このような吊下型電気器具(吊下型コンセント)100では、機能部22(コンセント本体220)の使用時(接続口2220に、電気機器301のプラグを接続するとき)には、使用者は、第2ユニット20の入力部21を第1ユニットの接続部11に接続する。これにより、機能部22を、第1ユニット10の取付部12から吊り下げた状態とでき、例えば、電気機器301が設置される使用面300の近くに機能部22(コンセント本体220)を位置させることが可能となる(図4参照)。
また、機能部22の非使用時(コンセント本体220の接続口2220にプラグを接続しないとき)には、使用者は、第2ユニット20の入力部21を、第1ユニット10の接続部11から取り外す。これにより、機能部22(コンセント本体220)の非使用時には、使用時に第2ユニット20によって占められる空間から第2ユニット20をなくすことができ、吊下型電気器具100が人の行動範囲を制限する要因となりにくくなる。また、この空間を有効利用することが可能となる(図5参照)。
なお、図1等では、配線ダクト80に吊下型電気器具100が1個のみ取り付けられる例を示しているが、配線ダクト80に2個以上の吊下型電気器具100が取り付けられてもよい。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る吊下型電気器具100について、図1〜図5を参照して詳しく説明する。
本実施形態に係る吊下型電気器具100は、上記のように、第1ユニット10と第2ユニット20とを備えている。
以下の説明では、配線ダクト80に第1ユニット10が取り付けられ、第1ユニット10に第2ユニット20が接続された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。ただし、これらの方向は吊下型電気器具100の使用態様を限定する趣旨ではない。
(2.1)配線ダクト
まず、図3を参照して、配線ダクト80について説明する。配線ダクト80は、例えば、建物の部屋の天井に、長手方向が天井面に沿うように固定される。
配線ダクト80は、上記の導体81に加えて、ダクト本体82を備えている。
ダクト本体82は、アルミニウムなどの金属により両端が開口したへん平な角筒状に形成され、表面が絶縁性の合成樹脂でコーティングされている。ダクト本体82は、直線状に形成されて下方に開放した溝状の接続凹部821を有している。ダクト本体82の幅方向において互いに対向するダクト本体82の一対の内面の下端からは、リップ部822が、それぞれ接続凹部821の内側へ突出している。すなわち、ダクト本体82の接続凹部821は、いわゆるリップ溝となっている。
より具体的には、ダクト本体82は、接続凹部821の上側の壁を構成する上壁823と、上壁823の幅方向の両端からそれぞれ下方へ突出し、接続凹部821の幅方向の両側の壁を構成する2個の側壁824と、を有する。接続凹部821は、ダクト本体82の下側と長手方向の両側とにそれぞれ開放されており、溝として見た場合の接続凹部821の深さ方向は上下方向となり深さ方向の奥側は上側となる。各リップ部822は、対応する側壁824の下端から、接続凹部821の内側に向かって、上壁823と平行に突出している。
さらに、接続凹部821の内面(2個の側壁824の互いに対向する面)において、リップ部822の上側(接続凹部821の深さ方向の奥側)の部分からは、それぞれ、ダクト本体82の長手方向に延長された一対の導体保持部825が突出している。一対の導体保持部825において互いに対向する面(各導体保持部825において、ダクト本体82の幅方向における一面)には、導体保持部825の長手方向に延長された溝状の凹部826が設けられている。各凹部826内に、上記の導体81が収納及び保持されている。
なお、吊下型電気器具100が取り付けられる配線ダクト80の構造は、図示されたものに限られない。例えば、吊下型電気器具100は、3つ以上の導体を備えた配線ダクト等、任意の配線ダクトに取り付け可能である。
(2.2)第1ユニット
第1ユニット10は、上記のように、接続部11と、取付部12と、第1ユニット側ケーブル13と、を備えている。
図1及び図3に示すように、接続部11は、ハウジング111と、ハウジング111内に収納された一対の接続端子と、を備えている。
ハウジング111は、例えば樹脂材料によって形成され、電気絶縁性を有している。ハウジング111は、円筒状に形成されており、下端にフランジを有し、上底面側に、上方に突出する半球状の突部を有している。ハウジング111の下面には、一対の接続孔112が形成されており、各接続孔112の奥に、対応する接続端子が配置されている。ハウジング111における半球状の突部の上端には、第1ユニット側ケーブル13を通すための孔が形成されている。また、ハウジング111内には、第1結合部110としての磁石が収納されている(図2参照)。
図3に示すように、取付部12は、接続部材121と、キャップ部材122と、を備える。
接続部材121は、筒状体1210と、一対の端子板1211と、一対の突出部1212と、を備えている。筒状体1210は、例えば樹脂材料によって形成されている。筒状体1210は、電気絶縁性を有している。筒状体1210は、筒状(ここでは円筒状)に形成されている。一対の端子板1211は、例えば金属材料によって形成されている。一対の端子板1211は、導電性を有している。一対の端子板1211の各々は、板状に形成されている。一対の端子板1211は、筒状体1210の側面から、筒状体1210の高さ方向(上下方向)と直交する方向において互いに反対向きに突出している。一対の突出部1212は、例えば樹脂材料によって形成されている。一対の突出部1212は、電気絶縁性を有している。一対の突出部1212は、板状に形成されている。一対の突出部1212は、筒状体1210の側面において、端子板1211の下側の部分から、筒状体1210の高さ方向と直交する方向において互いに反対向きに突出している。一対の突出部1212は、一対の端子板1211とそれぞれ平行に突出している。
キャップ部材122は、例えば樹脂材料から、下方に向かって先細りした中空円柱状に形成されている。キャップ部材122の上面に接続部材121が接続されており、キャップ部材122の下面の中央には、第1ユニット側ケーブル13を通すための孔が形成されている。
第1ユニット側ケーブル13は、可撓性を有するコードで構成され、一例として、ビニル丸形コード(VRF、VSRF)にて構成されている。コードは、上記の電線(一対の電源線)と、電線を被覆する絶縁材料からなるシースと、を備えている。第1ユニット側ケーブル13は、第1端131及び第2端132を有している。第1ユニット側ケーブル13の第1端131は、接続部11に接続され、第1ユニット側ケーブル13の第2端132は、取付部12に接続されている。コードの一対の電源線の第1端はそれぞれ、接続部11のハウジング111内で、対応する接続端子に接続されている。コードの一対の電源線の第2端はそれぞれ、取付部12の接続部材121の対応する端子板1211に接続されている。
第1ユニット10では、取付部12が配線ダクト80に取り付けられた状態では、接続部11が、第1ユニット側ケーブル13を介して取付部12から吊り下げられた状態となる。また、取付部12が配線ダクト80に取り付けられた状態では、取付部12の端子板1211が配線ダクト80の導体81に電気的に接続されている。これにより、配線ダクト80の導体81に接続された電力源から、接続部11へ電力の供給が可能となる。
(2.3)第2ユニット
第2ユニット20は、入力部21と、機能部22と、第2ユニット側ケーブル23と、を備えている。
図1及び図3に示すように、入力部21は、ハウジング211と、一対の接続ピン212と、を備えている。
ハウジング211は、例えば樹脂材料によって形成され、電気絶縁性を有している。ハウジング211は、円筒状に形成されており、上端にフランジを有し、下底面側に、下方に突出する半球状の突部を有している。ハウジング211の上面から、一対の接続ピン212が突出している。入力部21の一対の接続ピン212の間の間隔は、第1ユニット10の接続部11の一対の接続孔112の間隔と、略同じである。ハウジング211における半球状の突部の下端には、第2ユニット側ケーブル23を通すための孔が形成されている。また、ハウジング211内には、第1ユニット10の接続部11のハウジング111内に収納された第1結合部110と磁力によって結合可能な、第2結合部210としての磁性体が収納されている(図2参照)。
機能部22は、本実施形態ではコンセント本体220である。コンセント本体220は、ケース221と、ケース221内に収納されるコンセント部222と、を備えている。
ケース221は、合成樹脂製であって、一例としてABS樹脂製である。ケース221は、一方向(図1の上下方向)に長い「縦長」の形状であって、長手方向と直交する面内において一方向(厚さ方向)にへん平な形状である。ケース221は、長手方向の第1端2211で第2ユニット側ケーブル23と接続されている。また、ケース221は、長手方向の第2端2212から第1端2211に近づくに従って、その厚さ寸法及び幅寸法が小さくなるような先細り形状である。ケース221は、第2端2212から第1端2211にかけて、段差無く繋がったような形状、いわゆる「ワンモーションフォルム」を採用している。具体的には、ケース221の外周面は、第2端2212から長手方向の中間部位までは外向きに凸となるように緩やかに湾曲しており、長手方向の中間部位から第1端2211までは内向きに凸となるように緩やかに湾曲している。さらに、ケース221の外周面は、長手方向に平行な方向から見て、全周にかけて段差無く繋がった湾曲面である。ケース221の表面は、シボ加工(エンボス加工)された凹凸面からなる。ここでいう「シボ加工」は、ケース221の成形時において、ケース221の表面に細かい凹凸のしわ模様(シボ)を付ける加工である。
ケース221は、ボディ2213とカバー2214との2つの部材が組み合わされて構成されている。ボディ2213及びカバー2214は、互いに対向する面にそれぞれ開口を有しており、互いの開口を合わせるようにして結合される。これにより、ボディ2213及びカバー2214の間には、コンセント部222等を収納するための内部空間が形成される。ボディ2213とカバー2214とは、例えば、ボディ2213とカバー2214とのうちの一方の開口の内周縁に形成された複数の結合穴に、他方の開口の内周縁から突出する複数の結合爪を引っ掛けることで、互いに仮止めされる。この状態で、複数の結合ねじを、ボディ2213とカバー2214とのうちの一方を通して他方に締め付けることにより、ボディ2213とカバー2214とが結合される。
ケース221の第1端2211には、第2ユニット側ケーブル23を通すための導入孔が形成されている。導入孔は、ケース221の第1端2211の端面に形成された円形の孔である。本実施形態では、ボディ2213とカバー2214とにそれぞれ形成された半円状の一対の切り欠きが合わさって、円形状の導入孔が構成されている。
また、ケース221の第2端2212には、コンセント部222を露出させるための開口部2216が形成されている。開口部2216は、ケース221の第2端2212側の壁を貫通する孔であって、ケース221の幅方向に長い矩形状に形成されている。なお、開口部216は、例えばケース21の側面に形成されていてもよい。
また、ケース221は、ボディ2213におけるカバー2214とは反対側の面から突出する一対のフック2217(図1、図3では一つのみ図示)を更に有している。一対のフック2217は、電気機器301のプラグから延びる電源コードを引っ掛けるための構造である。これにより、吊下型電気器具100は、コンセント本体220にプラグが接続された状態で、電源コード等の自重によりプラグに対して掛かる荷重を、フック2217にて受けることができる。
コンセント部222は、合成樹脂製のハウジング2221と、ハウジング2221内に収納される刃受部材等の内蔵部品と、を有している。コンセント部222は、ハウジング2221の一面(接続面)2222が開口部2216から露出するように、ケース221に収納される。接続面2222には、プラグの栓刃(又はピン)を挿入するための2つの接続口2220が形成されている。コンセント部222は、プラグを回転させることによってプラグの栓刃(又はピン)の抜け止めを行う抜け止め機構を有している。
第2ユニット側ケーブル23は、可撓性を有するコードで構成され、一例として、ビニル丸形コードにて構成されている。コードは、上記の電線(一対の電源線)と、電線を被覆する絶縁材料からなるシースと、を備えている。第2ユニット側ケーブル23は、第1端231及び第2端232を有している。第2ユニット側ケーブル23の第1端231は、機能部22(コンセント本体220)に接続され、第2ユニット側ケーブル23の第2端232は、入力部21に接続されている。コードの第1端は、導入孔を通ってコンセント本体220のケース221内に導入され、ケース221内で2つの分岐コードに分岐されている。各分岐コードは、2つの接続口2220のうちの対応する接続口2220の端子部(いわゆる速結端子)に接続される。コードの(一対の電源線の)第2端は、入力部21のハウジング211内で、接続ピン212と接続されている。
(2.4)配線ダクトへの第1ユニットの取り付け
図1に示すように、取付部12を配線ダクト80に取り付けることで、第1ユニット10が配線ダクト80に取り付けられる。
例えば、まず、接続部材121の一対の突出部1212の突出方向が、接続凹部821の長手方向(ダクト本体82の長手方向)に揃うように、取付部12を配線ダクト80の下方に位置させる。そして、一対の突出部1212を、下方から接続凹部821内に挿入し、筒状体1210の軸を中心として90度回転させる。これにより、ダクト本体82のリップ部822と導体保持部825との間の隙間に突出部1212が挿入されて、突出部1212がリップ部822と導体保持部825との間に保持される。また、導体保持部825の凹部826に端子板1211が挿入されて、端子板1211が導体81に接続される。このような手順で、配線ダクト80の長手方向の任意の位置に、第1ユニット10を取り付けることができる。
なお、配線ダクト80への取付部12の取り付けを容易にするために、取付部12は、ボタン操作又はレバー操作等に応じて、(筒状体1210の軸を中心として)キャップ部材122に対して接続部材121を回転させる回転補助機構を備えていてもよい。
第1ユニット10を配線ダクト80から取り外すときは、取り付けの際の手順とは逆に、筒状体1210の軸を中心として取付部12を90度回転させてリップ部822と導体保持部825との間から突出部1212を外し、取付部12を接続凹部821から引き抜けばよい。
(2.5)第1ユニットへの第2ユニットの接続
本実施形態の吊下型電気器具100では、接続部11の一対の接続孔112に、入力部21の一対の接続ピン212を差し込むことで、入力部21の一対の接続ピン212が、接続部11の一対の接続端子に接続される。これにより、第2ユニット20(の入力部21)が第1ユニット10(の接続部11)に電気的に接続される(図2参照)。このとき、接続部11の第1結合部110(磁石)と入力部21の第2結合部210(磁性体)とが、磁力によって互いに結合されて、第1ユニット10と第2ユニット20との間の位置関係が磁力によって保持される。
接続部11は、第2ユニット20の入力部21(のみ)が専用に、電気的かつ機械的に接続されるように構成されている。
例えば、接続部11は、汎用のプラグ(JIC C 8303プラグ、NEMA1−15プラグ、NEMA5−15プラグ、BS1363プラグ、CPCS−CCCプラグ又はAS/NZS3112プラグ、BS546プラグ、BS4573プラグ、CEE7/4プラグ、CEE7/5プラグ、CEE7/17プラグ、107−2−D1プラグ、CEI23−16/VIIプラグ、SEV1011プラグ、IEC60906−1プラグ、TIS166−2549プラグ、CEE7/4プラグ、AS/NZS3112プラグ等)が接続できない構造を有している。例えば、接続孔112の形状が、プラグの雄コネクタ(栓刃又はピン)の形状と異なっていてもよいし、一対の接続孔112の間隔が、プラグの一対の雄コネクタの間隔と異なっていてもよい。また、ハウジング111の下面(接続孔112)と接続端子との間の距離が、汎用のプラグの雄コネクタの長さよりも大きくてもよい。また、接続部11のハウジング111の下面及び入力部21のハウジング211の上面に、接続ピン212を接続孔112に差し込んだときに互いに嵌まり合う凹凸構造が形成されていてもよい。
(2.6)使用例
上述のように、第1ユニット10は、取付部12を配線ダクト80に取り付けることで、配線ダクト80に取り付けられる。また、第2ユニット20は、第1ユニット10の接続部11に入力部21を接続することによって、第1ユニット10に接続される。このとき、機能部22(コンセント本体220)は、第1ユニット10、入力部21及び第2ユニット側ケーブル23を介して、配線ダクト80の導体81に電気的に接続される。すなわち、配線ダクト80に接続された電力源(例えば商用電源)から、機能部22に対して、電力の供給が可能となる。本実施形態では、コンセント本体220の接続口2220に接続された電気機器301に対して、電力の供給が可能となる(図4参照)。
機能部22(第2ユニット20)を使用しない場合、使用者は、入力部21を接続部11から取り外しておく。これにより、機能部22を使用しないときに、吊下型電気器具100が人の行動範囲を制限する要因となりにくい。また、使用者は、第2ユニット20が第1ユニット10に接続されている場合に第2ユニット20が占める空間を、自由に使用することが可能となる(図5参照)。
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下では、上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例及び基本例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)第1変形例
第1変形例の吊下型電気器具100について、図6A、6Bを参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、主としてロック機構3を更に備える点で、基本例の吊下型電気器具100と相違する。ロック機構3は、接続部11を介して入力部21に電力が供給されるように第1ユニット10と第2ユニット20とを機械的に結合した状態を保持するロック状態と、結合した状態を解除可能な解除状態と、を切替可能な機構である。
本変形例のロック機構3は、接続部11のハウジング111に回転可能に取り付けられた保持板部材31を備える。保持板部材31は、矩形板状の第1板部311と、第1板部311から第1板部311の厚さ方向に突出する第2板部312と、第1板部311をハウジング111に対して回転可能に保持する軸部313と、を備える。
第1板部311は、例えば樹脂材料から一方向に長い矩形板状に形成されている。第1板部311は、その第1端に、軸方向が第1板部311の幅方向(短手方向)に沿った円筒状の軸受部を備えている。第2板部312は、第1板部311の第2端から、第1板部311の厚さ方向に(第1板部311の長手方向及び幅方向と垂直な方向に)突出している。保持板部材31は、第1板部311と第2板部312とで、側面視L字状に形成されている。第2板部312の突出端の中央部は、U字状に切り欠かれてケーブル受け部314を構成している。軸部313は、第1板部311の軸受部を、その軸方向を中心として回転可能に保持している。ここで、接続部11のハウジング111は、その側面の下側の部分に、鉛直面と平行な平面部113を有している。軸部313は、軸方向が平面部113および水平面と沿うように、平面部113に固定されている。保持板部材31は、第1板部311の長手方向が円筒状のハウジング111の軸方向と交差する(平面部113と交差する)第1状態と、第1板部311の長手方向がハウジング111の軸方向に沿う(平面部113に沿う)第2状態と、の間で遷移可能である。
また、入力部21のハウジング211は、その側面に、鉛直面と平行な平面部213を有している。
図6Aの矢印に示すように、一対の接続ピン212を一対の接続孔112に差し込み、保持板部材31が第2状態となるように保持板部材31を回転させれば、保持板部材31のケーブル受け部314内に第2ユニット側ケーブル23の第2端232が差し込まれる。このとき、第2板部312の上面(第1板部311側の面)は、ハウジング211の下部(ハウジング211の突部の先端)に接触する。すなわち、保持板部材31の第2板部312によって、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態(ロック状態)が保持される(図6B参照)。一方、保持板部材31が第1状態となるように保持板部材31を回転させれば、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態が解除される(解除状態)。
本変形例の吊下型電気器具100は、ロック機構3を備えるので、第2ユニット20が不用意に第1ユニット10から外れてしまう可能性を低減することができる。
また、図6Aに示すように、接続部11のハウジング111の下底面と入力部21のハウジング211のハウジングの上底面とのうちの一方に突条315を形成し、他方に凹溝316を形成してもよい。突条315は、接続ピン212を接続孔112に差し込んだときに、凹溝316に嵌まる形状である。この構造によれば、接続ピン212を接続孔112に差し込んだときに、接続部11に対する入力部21の回転(円筒状のハウジング211の軸方向を中心とする回転)が抑えられ、接続部11と入力部21との機械的結合をより強固にすることが可能となる。
本変形例において、保持板部材31は、入力部21のハウジング211に設けられていてもよい。
(3.2)第2変形例
第2変形例の吊下型電気器具100について、図7を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、ロック機構3の構造が異なる点で、第1変形例の吊下型電気器具100と相違する。
本変形例のロック機構3は、スナップフィット構造32を備える。スナップフィット構造32は、接続部11に設けられた雄ハーフ321と、入力部21に設けられた雌ハーフ322と、を備える。
接続部11のハウジング111の側面の下側の部分には、一対の平面部113が形成されており、各平面部113には、例えば革製の可撓性を有する可変プレート114が取り付けられている。雄ハーフ321は、可変プレート114に設けられている。また、入力部21のハウジング211の側面の上側の部分には、一対の平面部213が形成されており、雌ハーフ322は、各平面部213に設けられている。
図7の実線で示すように、一対の接続ピン212を一対の接続孔112に差し込んだ状態で、雄ハーフ321と雌ハーフ322とを互いに結合すれば、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態(ロック状態)が保持される。一方、図7の点線で示すように、雄ハーフ321と雌ハーフ322との結合状態を解除すれば、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態が解除される(解除状態)。
本変形例の吊下型電気器具100も、ロック機構3を備えているので、第2ユニット20が不用意に第1ユニット10から外れてしまう可能性を低減することができる。
本変形例において、接続部11のハウジング111に雌ハーフ322を設け、入力部21のハウジング211に、雄ハーフ321を備えた可変プレートを設けてもよい。可変プレートに雌ハーフを設け、ハウジングに雄ハーフを設けてもよい。スナップフィット構造32は、雄ハーフと雌ハーフとの組を2組備えているが、1組または3組以上備えていてもよい。
(3.3)第3変形例
第3変形例の吊下型電気器具100について、図8を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、ロック機構3の構造が異なる点で、第1変形例の吊下型電気器具100と相違する。
本変形例のロック機構3は、接続部11の接続端子の刃受115に設けられた係合突部33を備えている。
図8に示すように、本変形例では、接続部11の一対の接続孔112は、それぞれ円弧状に形成されている。そして、円弧状の各接続孔112において、時計回り方向の先端縁におけるハウジング111の奥の位置に、一対の刃受115が互いに対向するように配置されている。一対の刃受115にはそれぞれ、長手方向の中間がV字状に折曲げられて係止された係合突部33が設けられている。一対の刃受115の係合突部33は、互いに対向する向きに突出している。
本変形例では、一対の接続孔112に一対の接続ピン212を差し込み、入力部21を時計回りに回転させることで、一対の刃受115の間隔を押し広げながら接続ピン212が係合突部33を乗り越える。これにより、ハウジング111における接続孔112の縁部と一対の係合突部33とで囲まれた空間内に、接続ピン212が入り込み、接続孔112の縁部と一対の係合突部33とで、接続ピン212が弾性的に保持される。
本変形例の吊下型電気器具100も、ロック機構3を備えるので、第2ユニット20が不用意に第1ユニット10から外れてしまう可能性を低減することができる。
本変形例において、ロック機構3は、いわゆる抜け止めコンセントの構造と同様に、接続ピン212を一径方向に貫通する貫通孔と、刃受115に設けられており接続ピン212の貫通孔に係合する突部と、で構成されてもよい。
(3.4)第4変形例
第4変形例の吊下型電気器具100について、図9A〜図9Cを参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、ロック機構3の構造が異なる点で、第1変形例の吊下型電気器具100と相違する。
本変形例のロック機構3は、円筒状のキャップ34を備える。キャップ34は、内径が接続部11のハウジング111の外径よりも僅かに大きな円筒状であり、上側に半球状の底面を有し下側に開口を有している。キャップ34の上側の底面には、第1ユニット側ケーブル13を通すための孔が形成されている。キャップ34は、上側の底面の孔に第1ユニット側ケーブル13が通され、開口が接続部11側を向き、底面が取付部12側を向くように、接続部11と取付部12との間に配置されている。キャップ34は、第1ユニット側ケーブル13に沿って、第1ユニット側ケーブル13の第1端131と第2端132(図1参照)との間で移動可能である。
図9Aに示すように、キャップ34の内側面には、螺旋状の凹溝341が形成されている。図9A及び図9Bに示すように、接続部11のハウジング111の側面、及び入力部21のハウジング211の側面には、接続ピン212を接続孔112に差し込んだ状態で連続するように、螺旋状の突条342、343がそれぞれ形成されている。
図9Aの矢印に示すように一対の接続ピン212を一対の接続孔112に差し込み、図9Bの矢印に示すようにキャップ34を下側に押し込みながら回転させれば、凹溝341が螺旋状の突条342、343に沿いながら、キャップ34が徐々に下方に移動する。すなわち、キャップ34の螺旋状の凹溝341に入力部21の螺旋状の突条343が嵌まり込むことで、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態(ロック状態)が保持される(図9C参照)。一方、結合するときとは反対向きにキャップ34を回転させれば、第1ユニット10と第2ユニット20とが機械的に結合された状態が解除される(解除状態)。
本変形例の吊下型電気器具100も、ロック機構3を備えるので、第2ユニット20が不用意に第1ユニット10から外れてしまう可能性を低減することができる。
本変形例において、各突条342、343は、連続した1つの突条でなくてもよく、螺旋状の仮想線に沿って形成された複数の突部から形成されていてもよい。キャップ34は、第2ユニット20側に設けられていてもよい。
(3.5)第5変形例
第5変形例の吊下型電気器具100について、図10を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、主として、取付部12の構成が異なる点、第1ユニット10が第1ユニット側ケーブル13の代わりに接続ケーブル(接続ケーブル部)14を備えている点で、基本例の吊下型電気器具100と相違する。
本変形例の吊下型電気器具100では、取付部12は、キャップ部材122の代わりに横回転部材123を備えている。
横回転部材123は、回転体1230と、第1支持体1231と、第2支持体1232と、を備える。回転体1230は、例えば樹脂材料から円筒状に形成されている。第1支持体1231は、例えば樹脂材料から有底円筒状に形成され、底面が上側となるように回転体1230の上側に配置される。第1支持体1231の底面(上面)に、接続部材121が接続されている。第2支持体1232は、例えば樹脂材料から有底円筒状に形成され、底面が下側となるように回転体1230の下側に配置される。第1支持体1231と第2支持体1232とは、上下方向において回転体1230を間に挟んで回転体1230の上下に配置されている。第1支持体1231と第2支持体1232とは、互いに固定されている。第1支持体1231と第2支持体1232とは、円筒状の回転体1230の軸を中心として回転体1230が回転可能となるように、回転体1230を保持している。図10のドットハッチングされた矢印は、回転体1230の回転方向を示している。ただし、回転体1230の回転範囲は、ドットハッチングされた矢印の範囲に限られず、回転体1230の軸を中心として任意の角度に回転可能(すなわち、回転体1230の可動範囲が360°)であってもよい。
接続ケーブル14は、回転体1230に接続(保持)されており、回転体1230と一緒に回転する。接続ケーブル14は、回転体1230の側面から、回転体1230の一径方向に突出するように回転体1230に保持されている。すなわち、横回転部材123は、第2ユニット20が第1ユニット10から吊り下げられる吊下げ方向(上下方向)と直交する面内に位置するように、接続ケーブル14の第1端141を保持している。そして、回転体1230が回転することで、吊下げ方向と直交する面内で接続ケーブル14が回転する。接続部11は、接続ケーブル14の第2端142に接続されている。
また、本変形例において、接続ケーブル14は、外郭140を備えている。外郭140は、第1外郭1401及び第2外郭1402を備えている。第1外郭1401及び第2外郭1402の各々は、例えばステンレス等の金属製のパイプであり、表面が絶縁性の合成樹脂でコーティングされている。第1外郭1401及び第2外郭1402の各々は、少なくとも接続部11を上記面内で支持可能な程度の剛性を有する。第1外郭1401及び第2外郭1402の各々は、円筒状である。第2外郭1402の外径は、第1外郭1401の内径よりも僅かに小さい。第1外郭1401は外郭140の第1端141側に位置し、第2外郭1402は外郭140の第2端142側に位置している。第2外郭1402の一部が第1外郭1401内に挿入されることで、外郭140が一本のパイプ状に構成されている。本変形例では、第2外郭1402の第1外郭1401内への挿入量を変化させることで、外郭140の長さ(接続ケーブル14の長さ)を調整することが可能である。また、接続ケーブル14は、第1外郭1401と第2外郭1402との相対位置を固定するための固定具143を更に備えている。固定具143は、ここでは蝶ねじである。第1外郭1401における第2外郭1402側の端部には、ねじ孔が設けられている。固定具143をこのねじ孔にねじ込んで、固定具143の先端を第2外郭1402に接触させることで、第1外郭1401と第2外郭1402との相対位置を固定することが可能である。
本変形例では、第1外郭1401、第2外郭1402及び固定具143が、接続ケーブル14の長さを調整するための長さ調整機構を構成する。
接続ケーブル14の外郭140内には、電線を含むコードが通されている。コードの一対の電線の第1端はそれぞれ、接続部11のハウジング111内で、対応する接続端子に接続されている。コードの一対の電線はそれぞれ、接続ケーブル14の外郭140及び回転体1230内を通って、その第2端が接続部材121の対応する端子板1211に接続されている。
本変形例の吊下型電気器具100では、回転体1230を第1支持体1231及び第2支持体1232に対して回転させることで、吊下げ方向と直交する面内(水平面内)での接続部11の位置を調整することが可能となる。すなわち、吊下げ方向と直交する面内(水平面内)において、接続部11に接続される第2ユニット20の機能部22の位置を、調整することが可能となる。
本変形例の吊下型電気器具100において、図11に示すように、第1ユニット側ケーブル13を更に備えていてもよい。この場合、接続ケーブル14の第2端142と接続部11との間に、第1ユニット側ケーブル13が設けられている。第1ユニット側ケーブル13の第1端131は、接続部11に接続され、第2端132は、接続ケーブル14の第2端142に接続されている。例えば、第1ユニット側ケーブル13は、接続ケーブル14の外郭140内に通されている上記のコードの一部である。外郭40内に、上記のコードが通されている。コードの電線は、シースによって、外郭40から電気的に絶縁されている。この場合でも、吊下げ方向と直交する面内(水平面内)において、接続部11に接続される第2ユニット20の機能部22の位置を、調整することが可能となる。なお、図11のドットハッチングされた矢印は、回転体1230の回転方向を示している。ただし、回転体1230の回転範囲は、ドットハッチングされた矢印の範囲に限られず、回転体1230の軸を中心として任意の角度に回転可能(すなわち、回転体1230の可動範囲が360°)であってもよい。第1ユニット側ケーブル13が、接続ケーブル14と同様に外郭を備えてもよく、長さ調整機構(第1外郭、第2外郭、固定具)を備えてもよい。
本変形例において、横回転部材123は、所定の角度間隔(例えば5°間隔)で回転体1230の回転位置を固定可能な仮位置固定機構(歯車機構、例えばラチェット機構)を備えていてもよい。
(3.6)第6変形例
第6変形例の吊下型電気器具100について、図12を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、主として、取付部12の構成が基本例の吊下型電気器具100と相違する。
本変形例の吊下型電気器具100では、取付部12は、キャップ部材122の代わりに巻取部材124を備えている。巻取部材124は、例えば、ハウジング1241と、リールと、ぜんまいばねである巻取ばねと、解除ボタン1242と、を備えている。
ハウジング1241は、例えば樹脂材料から、内部に収納空間1240を有する円筒状に形成されている。ハウジング1241は、円筒状の側面の一部(上部)に、平面状の平面部を有しており、この部分に接続部材121が接続されている。また、円筒状のハウジング1241の側面において、平面部から離れた部分には、第1ユニット側ケーブル13を通すための挿通孔1243が形成されている。リールは、ハウジング1241内に収納されている。第1ユニット側ケーブル13の取付部12側の一部(第2端132の部分)は、ハウジング1241の収納空間1240内に、リールによって巻き取り可能に収納されている。
リールは、ラチェット機構により、第1ユニット側ケーブル13の繰り出しのみが可能となるように回転の向きが制限されており、第1ユニット側ケーブル13を引っ張ればハウジング1241の収納空間1240から第1ユニット側ケーブル13が引き出される。そして、第1ユニット側ケーブル13が引き出された状態で解除ボタン1242が操作されると、ラチェット機構による制限が解除されて、巻取ばねからリールに作用する復元力により、第1ユニット側ケーブル13を巻き取る向きにリールが回転する。
すなわち、本変形例では、取付部12は、第1ユニット側ケーブル13における取付部12側の一部を出し入れ可能に収納するための収納空間1240を有している。
本変形例によれば、第1ユニット側ケーブル13における取付部12側の一部が、巻取部材124のハウジング1241の収納空間1240内に収納可能である。したがって、機能部22を使用しないときに、第1ユニット側ケーブル13の長さを短くすることが可能となり、機能部22(第2ユニット20)を使用しないときに吊下型電気器具100が人の行動範囲を制限する可能性を更に低減することが可能となる。
本変形例において、リール、巻取ばね及び解除ボタン(及びラチェット機構、収納空間)は、機能部22(コンセント本体220)に設けられていてもよい。
(3.7)第7変形例
第7変形例の吊下型電気器具100について、図13を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、主として、取付部12及び第1ユニット側ケーブル13の構成が異なる点、及び保持体9を更に備えている点で基本例の吊下型電気器具100と相違する。
図13に示すように、本変形例では、第1ユニット側ケーブル13は、外郭130を備えている。
外郭130は、例えばステンレス等の金属製のパイプであり、表面が絶縁性の合成樹脂でコーティングされている。外郭130は、円筒状である。外郭130は、規定値以上の剛性を有する。例えば、外郭130は、第1ユニット10を保持体9で保持したときに撓まない程度の剛性を有している。外郭130は、曲げ剛性及びねじり剛性が大きいことが好ましい。外郭130内に、電線及びシースを備えたコードが通されている。コードの電線は、シースによって、外郭130から電気的に絶縁されている。
取付部12は、キャップ部材122の代わりにアーム部材125を備えている。
アーム部材125は、第1アーム1251と、第2アーム1252と、アーム側ケーブル1253と、第1ばね1254と、第2ばね1255と、を備える。
第1アーム1251は、例えば金属材料によって形成されている。第1アーム1251は、一対の側板(第1アーム側板)と天板とで、側面視で逆U字状に形成されている。天板は、中央にアーム側ケーブル1253を通すための孔が開いた矩形板状であり、接続部材121の筒状体1210(図3参照)の下面に結合されている。一対の側板は、それぞれ先端が半円状の矩形板状であり、互いに対向するように、天板の厚さ方向に突出している。一対の側板の先端部分には、それぞれ挿通孔(第1挿通孔)が形成されている。一対の側板の基端部分(天板側の部分)には、半円板状の支持板部が側板の幅方向にそれぞれ突出して形成されており、支持板部から、円柱状の引掛部(第1引掛部)がそれぞれ外側に突出している。
第2アーム1252は、例えば金属材料によって形成されている。第2アーム1252は、一対の側板(第2アーム側板)と底板とで、側面視でU字状に形成されている。底板は、矩形板状であり、下面が第1ユニット側ケーブル13の第2端132に結合されており、その中央に形成された孔に、第1ユニット側ケーブル13のコードが通されている。一対の側板は、それぞれ先端が半円状の矩形板状であり、互いに対向するように、底板の厚さ方向に突出している。一対の側板の先端部分には、それぞれ挿通孔(第2挿通孔)が形成されている。一対の側板の基端部分(底板側の部分)から、円柱状の引掛部(第2引掛部)がそれぞれ外側に突出している。
アーム側ケーブル1253は、上記のコードの一部である。アーム側ケーブル1253の一対の電源線はそれぞれ、接続部材121の筒状体1210内で対応する端子板1211に接続されている。
第1アーム側板と第2アーム側板とは、第1及び第2挿通孔を重ね合わせ、第1及び第2挿通孔にブッシュを通し、ブッシュにボルトを通してナットを結合することで、第1及び第2挿通孔の中心を回転軸として相対的に回転可能に結合される。すなわち、アーム部材125は、第1アーム1251の長手方向と第2アーム1252の長手方向とが揃う第1状態(図13の二点鎖線参照)と、第1アーム1251の長手方向と第2アーム1252の長手方向とが交差する第2状態(図13の実線参照)との間で遷移可能である。アーム部材125による第1アーム1251に対する第2アーム1252の回転方向は、接続部材121の一対の突出部1212の突出方向(一対の端子板1211の突出方向)を回転軸とする方向である。すなわち、アーム部材125は、第1ユニット側ケーブル13が上下方向に沿う姿勢(図13の二点鎖線参照)と水平方向に沿う姿勢(図13の実線参照)との間で回転可能となるように第1ユニット側ケーブル13を保持する、縦回転機構を構成する。
第1ばね1254及び第2ばね1255の各々は、コイルばね(引張コイルばね)である。第1ばね1254及び第2ばね1255の各々は、一端が第1アーム側板の第1引掛部に引っ掛けられ、他端が第2アーム側板の第2引掛部に引っ掛けられている。第1ばね1254及び第2ばね1255の自然長は、アーム部材125が第2状態にあるときの、第1引掛部と第2引掛部との間隔と同程度である。
第1ばね1254及び第2ばね1255は、アーム部材125が第2状態から第1状態へ遷移するときに、第1引掛部と第2引掛部との間隔が広がることで、伸ばされる。そして、第1ばね1254及び第2ばね1255は、伸ばされたことにより生じる復元力によって、アーム部材125の第2状態から第1状態への遷移速度を減速させる。すなわち、本実施形態では、第1ばね1254及び第2ばね1255は減速機構を構成する。減速機構は、縦回転機構(アーム部材125)によって第1ユニット10が水平方向に沿う姿勢から上下方向に沿う姿勢に向かって回転するときの、第1ユニット側ケーブル13の回転速度を減速させる。
保持体9は、第1ユニット10を配線ダクト80に沿った姿勢で保持するための部材である。保持体9は、例えば配線ダクト80に取り付けられる。
保持体9は、図13に示すように、保持体本体90と、一対の取付板91(図13には一つのみ図示)と、フック92と、を備える。
保持体本体90は、樹脂材料から直方体状に形成されており、一面側(上面側)に円板状の天板を有している。一対の取付板91は、樹脂材料からそれぞれ板状に形成されており、保持体本体90の天板の上面から上方に突出する柱状の柱状部の先端から、天板と間隔を開けて天板と平行に互いに反対方向に突出している。フック92は、保持体本体90の底面(天板側とは反対の面)に設けられている。
フック92は、第1ユニット側ケーブル13が引っ掛けられる大きさに形成されている。すなわち、保持体9は、第1ユニット側ケーブル13の一部を引っ掛けるためのフック92を備えている。保持体9は、取付部12から離れた位置で第1ユニット側ケーブル13の外郭130を保持することが可能である。
本変形例によれば、機能部22を使用しないとき(接続部11に、入力部21を接続しないとき)に、保持体9によって第1ユニット10を配線ダクト80に沿った姿勢で保持することが可能となる。よって、機能部22(第2ユニット20)を使用しないときに、吊下型電気器具100が人の行動範囲を制限する可能性を更に低減することが可能となる。
(3.8)第8変形例
第8変形例の吊下型電気器具100について、図14を参照して説明する。本変形例の吊下型電気器具100は、主として、接続部11の構成が異なる点、及び保持体9を更に備えている点で基本例の吊下型電気器具100と相違する。なお、本変形例の保持体9の基本構造は、第7変形例の保持体9の基本構造と同じであるが、フック92の代わりに第4結合部93(磁石)を備えている点で相違する。
本変形例の吊下型電気器具100では、接続部11のハウジング111内に、強磁性体材料からなる第3結合部116としての磁性体が収納されている。また、保持体9の保持体本体90内に、第3結合部と磁力によって互いに結合する、第4結合部93としての磁石が収納されている。第3結合部116と第4結合部93とが、磁力によって互いに結合されることで、接続部11が保持体9に保持される。
第7変形例の吊下型電気器具100と同様、本変形例の吊下型電気器具100でも、機能部22を使用しないとき(接続部11に、入力部21を接続しないとき)に、保持体9によって第1ユニット10を配線ダクト80に沿った姿勢で保持することが可能となる。よって、第2ユニット20を使用しないときに、吊下型電気器具100が人の行動範囲を制限する可能性を更に低減することが可能となる。
本変形例において、第3結合部が磁石であって第4結合部が磁性体であってもよいし、第3結合部と第4結合部の両方が磁石であってもよい。接続部11のハウジング111内に収納される第1結合部110と第3結合部116とは、一つの磁石又は一つの磁性体で兼用することが可能である。
(3.9)第9変形例
本変形例の吊下型電気器具100は、第2ユニット20が、異なる機能を有する複数の第2ユニット20から選択される点で、基本例の吊下型電気器具100と相違する。すなわち、変形例の吊下型電気器具100は、コンセント本体220とは異なる機能部22を備えた別の第2ユニット20(20A〜20C:図15〜図17参照)と交換可能である。
第2ユニット20A〜20Cは、基本例の第2ユニット20と同様に、入力部21と、機能部22と、第2ユニット側ケーブル23と、を備えている。第2ユニット20A〜20Cの入力部21は、基本例の第2ユニット20の入力部21と同様の構造である。第2ユニット20A〜20Cの機能部22(22A〜22C)は、入力部21を介して第1ユニット10から受け取った電力を用いて、コンセント本体220とは異なる機能を実現する。
第2ユニット20Aは、図15に示すように、機能部22Aとして、光源と点灯装置とセード221Aとを備えた照明器具を備えている。点灯装置は、第2ユニット側ケーブル23から供給される交流電力を、光源に適した電圧の直流電力に変換する。光源は、点灯装置から供給される直流電力により点灯する。
第2ユニット20Bは、図16に示すように、機能部22Bとして、スピーカを備えている。機能部22Bには、例えば、HD−PLC(登録商標)等のPLC(Power Line Communication)技術によって、第2ユニット側ケーブル23の電源線に重畳された音声信号が入力される。機能部22Bは、入力された音声信号を音に変換して、メッシュ状の透孔が形成されたハウジング221Bを通して外部に出力する。
第2ユニット20Cは、図17に示すように、機能部22Cとして、マグネットコンセントのソケットを備えている。機能部22Cは、ハウジング221Cと、ハウジング221Cに設けられたコンタクト222Cと、ハウジング221C内に設けられた磁性体と、を備える。機能部22Cには、マグネットコンセントのプラグが接続可能である。
本変形例では、第2ユニット20を、異なる機能を有する別の第2ユニット20(20A〜20C)と交換可能である。よって、吊下型電気器具100の使い勝手が向上する。
本変形例において、第2ユニット20の機能部22は、上記の照明器具、スピーカ、マグネットコンセントのソケットに限られず、例えば電動式のファン等、入力部21を介して受け取った電力を用いて所定の機能を実現する構成であればよい。また、機能部22は、複数の機能(例えば、コンセントの機能と照明器具の機能)を実現する構成であってもよい。
(3.10)その他の変形例
第1ユニット10及び第2ユニット20は、第1結合部110(磁石)及び第2結合部210(磁性体)を備えていなくてもよい。第1結合部110が磁性体で第2結合部210が磁石であってもよく、第1結合部110及び第2結合部210の両方が磁石であってもよい。
第1ユニット10は、第1ユニット側ケーブル13を備えていなくてもよい。第2ユニット20は、第2ユニット側ケーブル23を備えていなくてもよい。
機能部22のコンセント本体220に接続される接続対象は、電気機器301のプラグのみに限られない。すなわち、コンセント本体220は、電気機器301のプラグが接続される差込口以外の接続口を、備えていてもよい。例えば、コンセント本体220は、LAN(Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルのコネクタを接続するための接続口を備えていてもよい。なお、HD−PLC(登録商標)等のPLC技術を用いて、電源線を通信回線として利用してもよい。
コンセント本体220が備える接続口2220の数は、2個に限られず、1個でも3個以上であってもよい。
接続部11と入力部21との間の電気的な接続構造は、基本例の構造に限られない。例えば、接続部11が接続ピンを備え、入力部21が接続孔及び接続端子を備えていてもよい。接続部11及び入力部21の各々が、一つの接続孔及び接続端子と、一つの接続ピンと、を備えていてもよい。
ロック機構3は、第1〜第4変形例の構造に限られない。上記のロック状態と解除状態とを切替可能であれば、ロック機構3として任意の構造を使用可能である。
(4)態様
以上説明した基本例及び変形例から明らかなように、第1の態様の吊下型電気器具(100)は、第1ユニット(10)と第2ユニット(20)と、を備える。第1ユニット(10)は、配線ダクト(80)に取り付けられて配線ダクト(80)から電力が供給される。第2ユニット(20)は、第1ユニット(10)に接続されて第1ユニット(10)から吊り下げられる。第1ユニット(10)は、第2ユニット(20)を取り外し可能に接続するための専用の接続部(11)を有する。第2ユニット(20)は、配線ダクト(80)から第1ユニット(10)の接続部(11)を介して電力が供給される。
この構成によれば、第2ユニット(20)を使用しない場合、第2ユニット(20)を第1ユニット(10)から取り外すことができる。これにより、第2ユニット(20)を使用しない場合に、吊下型電気器具(100)が人の行動範囲を制限する要因となりにくくなり、空間を有効に利用することが可能となる。
第2の態様の吊下型電気器具(100)は、第1の態様において、第2ユニット(20)は、入力部(21)と、機能部(22)と、を有する。入力部(21)は、接続部(11)に取り外し可能に接続される。機能部(22)は、入力部(21)を介して受け取った電力を用いて所定の機能を実現する。
この構成によれば、配線ダクト(80)に接続された電力源から、第1ユニット(10)を介して受け取った電力を用いて、機能部(22)により所定の機能を実現させることができる。
第3の態様の吊下型電気器具(100)は、第2の態様において、第2ユニット(20)は、入力部(21)と機能部(22)とを接続する第2ユニット側ケーブル(23)を更に有する。機能部(22)は、入力部(21)と第2ユニット側ケーブル(23)とを介して電力が供給される。
この構成によれば、第2ユニット側ケーブル(23)によって、機能部(22)を配線ダクト(80)の高さよりも低い高さに位置させることができる。これにより、吊下型電気器具(100)の使い勝手が向上する。また、例えば第1ユニット(10)が第1ユニット側ケーブル(13)を備えていなくても、機能部(22)を配線ダクト(80)の高さよりも低い高さに位置させることができる。したがって、第2ユニット(20)を第1ユニット(10)から取り外したときに、第1ユニット(10)によって占められる空間が小さくなり、吊下型電気器具(100)(第1ユニット(10))が人の行動範囲を制限する要因となりにくくなる。
第4の態様の吊下型電気器具(100)は、第2又は第3の態様において、第1ユニット(10)は、第1結合部(110)を備え、第2ユニット(20)は、第2結合部(210)を備える。第1結合部(110)と第2結合部(210)とは、接続部(11)を介して入力部(21)に電力が供給されるように、磁力によって互いに結合される。
この構成によれば、第1ユニット(10)と第2ユニット(20)とを、磁力によって結合させることが可能となる。
第5の態様の吊下型電気器具(100)は、第2〜第4の何れかの態様において、ロック機構(3)を更に備える。ロック機構(3)は、接続部(11)を介して入力部(21)に電力が供給されるように第1ユニット(10)と第2ユニット(20)とを機械的に結合した状態を保持するロック状態と、結合した状態を解除可能な解除状態と、を切替可能である。
この構成によれば、第2ユニット(20)が第1ユニット(10)から不用意に外れる可能性を低減することが可能となる。
第6の態様の吊下型電気器具(100)は、第1〜第5の何れかの態様において、第1ユニット(10)は、取付部(12)と、接続ケーブル(14)と、を更に有する。取付部(12)は、配線ダクト(80)に取り付けられる。接続ケーブル(14)は、所定値以上の剛性を有する外郭(140)を備えており、取付部(12)と接続部(11)とを接続する。取付部(12)は、横回転機構(横回転部材123)を備える。横回転機構は、第2ユニット(20)が第1ユニット(10)から吊り下げられる吊下げ方向と直交する面内に位置するように接続ケーブル(14)を保持して、接続ケーブル(14)をこの面内で回転させる。
この構成によれば、吊下げ方向と直交する面内での機能部(22)の位置を調整することが可能となる。
第7の態様の吊下型電気器具(100)は、第6の態様において、接続ケーブル(14)の長さを調整するための長さ調整機構(第1外郭1401、第2外郭1402)を更に備える。
この構成によれば、吊下げ方向と直交する面内での機能部(22)の位置を調整することが可能となる。
第8の態様の吊下型電気器具(100)は、第1〜第5の何れかの態様において、第1ユニット(10)は、取付部(12)と、第1ユニット側ケーブル(13)と、を更に有する。取付部(12)は、配線ダクト(80)に取り付けられる。第1ユニット側ケーブル(13)は、取付部(12)と接続部(11)とを接続する。取付部(12)は、第1ユニット側ケーブル(13)における取付部(12)側の一部を出し入れ可能に収納するための収納空間を有する。
この構成によれば、第2ユニット(20)を使用しないときに、第1ユニット側ケーブル(13)の長さを短くすることが可能となり、非使用時に吊下型電気器具(100)が人の行動範囲を制限する可能性が更に低減される。
第9の態様の吊下型電気器具(100)は、第1〜第8の何れかの態様において、第1ユニット(10)を配線ダクト(80)に沿った姿勢で保持するための、保持体(9)を更に備える。
この構成によれば、第2ユニット(20)を使用しないときに、第1ユニット側ケーブル(13)を配線ダクト(80)に沿った姿勢で保持させることが可能となり、非使用時に吊下型電気器具(100)が人の行動範囲を制限する可能性が更に低減される。
第10の態様の吊下型電気器具(100)は、第1〜第9の何れかの態様において、第2ユニット(20)は、異なる機能を有する別の第2ユニット(20A〜20C)と交換可能である。
この構成によれば、吊下型電気器具(100)に様々な機能を実現させることが可能となる。