(1)実施形態
(1−1)概要
まず、本実施形態に係るUSB(Universal Serial Bus)コンセント(Outlet)10の概要について、図1、図2及び図6を参照して説明する。
本実施形態に係るUSBコンセント10は、機器9のUSBコネクタ91を接続可能な装置である(図1参照)。USBコンセント10は、USBコネクタ91が接続された状態で、USBコネクタ91を通して機器9(一例として、スマートフォン等)に電力を供給する装置である。機器9は、USBコンセント10から供給される電力にて、例えば、機器9に含まれている蓄電池92(図6参照)の充電を行う。
本実施形態に係るUSBコンセント10は、例えば、建物の壁等の取付対象物81に設置される配線器具である。このようなUSBコンセント10は、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置(Outlet)と同様に、電源(系統電源等)に対して常時、電気的に接続されており、基本的には、常時、通電状態にある。したがって、ユーザにおいては、USBコンセント10に機器9を接続するだけで、USBコンセント10からUSBコネクタ91経由で機器9に電力を供給することが可能となる。
ここで、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置であれば、例えば、スマートフォン等の機器9を充電する場合、機器9に電力を供給するために交流電圧を直流電圧に変換する電源アダプタを用いる必要がある。これに対して、本実施形態に係るUSBコンセント10であれば、電源アダプタを用いることなく、USBコンセント10に対して機器9のUSBコネクタ91を直接的に接続することで、機器9に電力を供給することが可能である。よって、USBコンセント10によれば、電源アダプタの持ち合わせがなくても、例えば、スマートフォン等の機器9の充電が可能となり、しかも、電源アダプタが不要であるために、USBコンセント10の周辺がすっきりする。
本実施形態に係るUSBコンセント10は、図2に示すように、USBコネクタ91を接続可能な接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)と、接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)へと直流電力を出力する電源回路11と、電源回路11を収容する筐体3とを備える。更に、USBコンセント10は、接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)と電源回路11とを電気的に接続するケーブル5(第1ケーブル51及び第2ケーブル52)を備える。筐体3は、電源回路11を収容し、取付対象物81に設置される主筐体31と、主筐体31とは別体であり、接続部2(21,22)を収容する副筐体32(321,322)とを含む。主筐体31は、副筐体32(321,322)を取り外し可能に保持する保持部311(3111,3112)を有する。
この構成によれば、接続部2がケーブル5で電源回路11に電気的に接続されている。そのため、機器9とUSBコンセント10の筐体3との間に距離があっても、機器9のUSBコネクタ91をUSBコンセント10の接続部2に接続することが可能となる。したがって、機器9をUSBコンセント10に接続するために、機器9をUSBコンセント10の筐体3に近付けたり、延長ケーブル等の接続機器を利用したりする必要がなくなる。また、必要な時だけ接続部2を主筐体31から引き出して使用することができる。結果的に、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント10を提供することができる。
(1−2)詳細
以下、本実施形態に係るUSBコンセント10の詳細な構成について、図1〜図8を参照して説明する。
(1−2−1)前提
本開示でいう「USB」は、シリアルバス規格の1つであるUSB(Universal Serial Bus)の規格を意味する。本開示において、「USB」は、例えば、USB1.0、USB1.1、USB2.0、USB3.0、USB3.1、USB3.2、及びUSB4といった様々な世代(転送速度の規格)のUSBを含む。また、本開示において、USBの端子形状(接続部2の形状、及びUSBコネクタ91の形状)は、様々な形状を含む。USBの端子形状は、例えば、A端子(Type-A)、B端子(Type-B)及びC端子(Type-C)、並びに、ミニUSB(mini USB)及びマイクロUSB(micro USB)等、更にはこれらの組み合わせを含む。つまり、USBの端子形状は、一例として、ミニUSBのA端子(mini USB Type-A)、及びマイクロUSBのB端子(micro USB Type-B)等を含む。本実施形態では特に断りが無い限り、USBの端子形状がA端子(USB Type-A)である場合を例に説明する。本開示では、USBの端子形状の仕様を「USBコネクタ規格」ということもある。また、USBの転送速度の規格を「USB転送規格」ということもある。
本開示でいう「機器のUSBコネクタ」は、機器9に一体に設けられているコネクタであってもよいし、機器9に接続可能なUSBケーブルの先端に設けられているコネクタであってもよい。つまり、機器9のUSBコネクタ91は、機器9とは別体であって、機器9に対してケーブルを介して接続されるコネクタのように、機器9に付帯するコネクタ等を含む。また、本開示でいう「コネクタ」は、レセクタプルに挿入される「プラグ」であってもよいし、プラグが挿入される「レセクタプル」であってもよい。
同様に、本開示でいう「接続部」は、機器9のUSBコネクタ91を電気的に接続可能な構造であればよく、プラグが挿入される「レセクタプル」であってもよいし、レセクタプルに挿入される「プラグ」であってもよい。
本開示でいう「機器」は、USBコンセント10に電気的に接続可能であって、USBコンセント10から電力供給を受ける電気機器(装置、設備及びシステム)である。機器9は、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の情報端末、モバイルバッテリ、携帯電話機、カメラ、扇風機、懐中電灯又はテレビジョン受像機等を含む。USBコンセント10は機器9に対して直流の電圧を印加することで直流電力を供給するので、機器9は直流入力に対応した機器である。この種の機器9のうち、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブル端末等の機器9は、蓄電池92を備え、USBコンセント10から供給される電力を用いて蓄電池92を充電する機能を有する。以下では、蓄電池92を充電する機能を有する機器9を「充電式の機器」と呼ぶこともある。本実施形態では特に断りが無い限り、USBコンセント10に接続される機器9が、充電式の機器9である場合を例に説明する。
本実施形態では、USBコンセント10は、取付対象物81に固定される。本開示でいう「取付対象物」は、USBコンセント10が固定される部材であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。USBコンセント10は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設に設置される。本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具であると仮定する。特に、USBコンセント10は、建物の内部で使用される屋内用の配線器具であると仮定する。
以下、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向をUSBコンセント10の「上下方向」として説明する場合がある。また、USBコンセント10を正面から見て下方をUSBコンセント10の「下方」として説明する場合がある。上下方向と直交し、かつ取付対象物81の表面(壁面)に平行な方向をUSBコンセント10の「左右方向」とし、USBコンセント10を正面から見て右方をUSBコンセント10の「右方」、左方をUSBコンセント10の「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり取付対象物81の表面(壁面)に直交する方向をUSBコンセント10の「前後方向」とし、取付対象物81の裏面側(壁裏側)をUSBコンセント10の「後方」として説明する場合がある。ただし、これらの方向はUSBコンセント10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
また、USBコンセント10における筐体3の前面301は、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態において、基本的には、前方を向くことになる。ただし、筐体3の前面301が前方に向けられることを限定する趣旨ではない。例えば、USBコンセント10が天井に設置される場合には、筐体3の前面301は下方に向けられることになる。
また、本開示において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
(1−2−2)構成
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10の構成について、図1〜図8を参照して説明する。
上述したように、本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具である。つまり、USBコンセント10は、取付対象物81に固定され、取付対象物81の裏側を通した配線L1(図6参照)を接続可能に構成された配線器具である。特に、このUSBコンセント10は、取付対象物81に形成されている施工孔82(図4参照)に、筐体3の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、筐体3が取付対象物81に固定される、埋込型の配線器具である。
図6に示すように、USBコンセント10は、複数(ここでは2つ)の接続部2と、電源回路11と、端子部12と、複数(ここでは2つ)のケーブル5とを備える。更に、USBコンセント10は、図2に示すように、複数(ここでは2つ)の巻き取り装置6と、複数(ここでは2つ)の移動部7とを備える。更に、USBコンセント10は、図2に示すように、筐体3を備える。
複数の接続部2は、USBコネクタを接続可能である。複数の接続部2は、各々、機器9のUSBコネクタ91を電気的かつ機械的に接続するために用いられる。複数の接続部2は、各々、金属製のシェル及びコンタクト等を含む。複数の接続部2は、同じUSBコネクタ規格、又は、互いに異なる複数のUSBコネクタ規格にそれぞれ準拠し得る。本実施形態では、複数の接続部2は同じUSBコネクタ規格に準拠している。複数の接続部2の各々は、レセプタクルとプラグのいずれであってもよい。本実施形態では、複数の接続部2は、第1接続部21と第2接続部22とを含む。ここで、第1接続部21及び第2接続部22は、同じA端子のUSBコネクタの規格に準拠している。ただし、第1接続部21は、USBプラグを接続可能なレセプタクル(USBレセプタクル)であり、第2接続部22は、USBレセプタクルを接続可能なプラグ(USBプラグ)である。
端子部12は、配線L1を接続するために用いられる。例えば、壁(取付対象物81)内に引き回された配線L1が端子部12に接続されることで、USBコンセント10が配線L1を介して系統電源等の電源に電気的に接続される。配線L1は、電源(系統電源等)に対して、直接的に接続されてもよいし、分電盤等を介して間接的に接続されてもよい。端子部12は、端子板等を含み、端子孔に配線L1の先端部(心線)が差し込まれると、配線L1の先端部(心線)を機械的に保持し、かつ配線L1と電気的に接続される。本実施形態では一例として、端子部12は、端子孔から配線L1を差し込むだけで配線L1が接続される、差込式のいわゆる速結端子である。
本実施形態では一例として、USBコンセント10は、端子部12に配線L1が接続されることにより、配線L1を介して、単相100V、60Hzの商用の交流電源(系統電源)に電気的に接続される。ここで、USBコンセント10は、分電盤を介して交流電源(系統電源)に接続されており、分電盤のブレーカ(主幹ブレーカ及び分岐ブレーカ)が導通状態にあれば、常時、通電状態にある。そのため、USBコンセント10は、基本的には、常時、機器9に対して電力を供給可能な状態にある。
電源回路11は、接続部2へと直流電力を出力する。電源回路11は、回路基板(プリント配線板)と、回路基板に実装された種々の電子部品と、を有している。電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部12に印加される交流電圧を、直流電圧に変換し、直流電圧をケーブル5を通じて接続部2に出力する。これにより、電源回路11は、接続部2から機器9に電力を供給する。電源回路11は、回路基板を1枚だけ含んでいてもよいし、複数枚の回路基板を含んでいてもよい。本実施形態では、電源回路11は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換回路を含んでいる。電源回路11は、端子部12と接続部2との間に挿入されており、端子部12から入力される交流電圧を直流電圧に変換して接続部2に出力する。ここでは一例として、電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部12に印加される100Vの交流電圧を5Vの直流電圧に変換する。これにより、端子部12に入力される100Vの交流電圧は電源回路11にて5Vの直流電圧に変換されて、接続部2に5Vの直流電圧が供給される。
本実施形態では、1つの電源回路11に対して、複数(ここでは2つ)の接続部2(第1接続部21及び第2接続部22)が接続されている。つまり、電源回路11から出力される直流電圧は、第1接続部21及び第2接続部22の両方に印加される。これにより、電源回路11の出力を、複数(ここでは2つ)の接続部2から、機器9のUSBコネクタ91に対して出力することが可能である。そのため、USBコンセント10は、複数の機器9のUSBコネクタ91が接続された状態で、これら複数の機器9に対して同時に電力供給することが可能である。
このような構成においては、複数の接続部2から機器9に出力される電流(及び電力)の合計が、1つの電源回路11の出力電流となる。そのため、例えば、複数の接続部2の定格出力(電流又は電力)は、複数の接続部2の出力電流(又は出力電力)の合計値で規定される。本開示でいう「定格出力」は、電流及び/又は電力の定格値であって、定格電流及び定格電流の少なくとも一方である。すなわち、電源回路11の定格出力(電流又は電力)によって、複数の接続部2の合計出力(電流又は電力)の定格値が決定されることになる。一例として、電源回路11の定格出力が4Aであるとすれば、複数(ここでは2つ)の接続部2の出力電流の合計が4Aで定格となる。
筐体3は、図2に示すように、主筐体31と、複数(ここでは2つ)の副筐体32とを含む。主筐体31は、電源回路11と、端子部12と、複数の巻き取り装置6と、複数の移動部7とを収容する。複数の副筐体32は、それぞれ、複数の接続部2を収容する。本実施形態では、複数の副筐体32は、第1副筐体321と、第2副筐体322とを含む。ここでは第1副筐体321が第1接続部21を収容する。また、第2副筐体322が第2接続部22を収容する。
主筐体31は、取付対象物81に設置される。主筐体31は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。主筐体31は、直方体状であって、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。主筐体31は、主筐体31が取付対象物81に取り付けられた状態で前方に露出する前面310を有する。ここでは、主筐体31の前面310は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。また、主筐体31の前面310が、筐体3の前面301を構成する。
主筐体31は、図2に示すように、複数(ここでは2つ)の保持部311を有する。複数の保持部311は前面310で上下に並ぶ。本実施形態では、複数の保持部311は、第1保持部3111と、第2保持部3112とを含む。ここで、第1保持部3111は、第2保持部3112より上方にある。
複数の保持部311は、複数の副筐体32をそれぞれ取り外し可能に保持するために形成されている。保持部311は、副筐体32を収容する収容空間311aを有している。収容空間311aは、主筐体31の前面310にある。具体的には、収容空間311aは、副筐体32が嵌る凹部である。保持部311は、接続部2が主筐体31の前面310に露出するように副筐体32を保持する。本実施形態では、図3〜図6に示すように、収容空間311aは、副筐体32の全体を収容する大きさの凹部である。ただし、収容空間311aは、副筐体32を収容空間311a内に収容した際に、副筐体32が収容空間311aに嵌るように、寸法が設計されている。本実施形態では、第1保持部3111は、第1副筐体321を取り外し可能に保持する。また、第2保持部3112は、第2副筐体322を取り外し可能に保持する。また、図2に示すように、収容空間311aの底面には、第1貫通孔312と、一対の第2貫通孔313が形成されている。ここで、第1貫通孔312は、主筐体31の幅方向において、一対の第2貫通孔313の間にある。また、第1貫通孔312は、ケーブル5を通す大きさである。
また、主筐体31は、図2に示すように、複数(ここでは2つ)の操作孔314を有する。複数の操作孔314は前面310で上下に並ぶ。複数の操作孔314は、複数の保持部311の近傍にある。本実施形態では、2つの操作孔314は、2つの操作孔314の間に2つの保持部311が位置するように、主筐体31の前面310にある。
また、上述したように、端子部12は、主筐体31内に収容されている。ここで、主筐体31の背面には、配線L1を接続するための端子孔が形成されている。端子部12は、主筐体31内において端子孔に対応する位置に配置されている。
複数の副筐体32(第1副筐体321及び第2副筐体322)は、主筐体31とは別体である。第1副筐体321及び第2副筐体322は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。図2に示すように、第1副筐体321は、直方体状であって、主筐体31の第1保持部3111の収容空間311aに収まる大きさである。また、第2副筐体322は、直方体状であって、主筐体31の第2保持部3112の収容空間311aに収まる大きさである。副筐体32(第1副筐体321、第2副筐体322)は、上述したように、接続部2(第1接続部21、第2接続部22)を収容する。
副筐体32は、図2に示すように、その前面320に開口4を有する。開口4は、接続部2を露出させる。よって、接続部2は、副筐体32の前面320にある。そして、副筐体32は、図3〜図5に示すように、副筐体32の前面320が主筐体31の前面310と面一となる位置で、保持部311に保持される。言い換えれば、保持部311は、副筐体32の前面320が主筐体31の前面310と面一となる位置で副筐体32を保持する。特に、第1副筐体321の開口4は、第1接続部21を露出させる。本実施形態では、第1接続部21は、A端子のUSBコネクタの規格に準拠するUSBレセプタクルである。したがって、第1副筐体321の開口4は、第1接続部21にA端子のUSBプラグを接続可能な大きさの孔である。また、第2副筐体322の開口4は、第2接続部22を露出させる。本実施形態では、第2接続部22は、A端子のUSBコネクタの規格に準拠するUSBプラグである。したがって、第2副筐体322の開口4は、第2接続部22を外部に突出可能な大きさの孔である。また、副筐体32は、その背面に、ケーブル5を通す大きさの貫通孔を有する。
複数のケーブル5は、図6に示すように、複数の接続部2と電源回路11とを電気的に接続する。ケーブル5は、絶縁被覆電線である。ケーブル5は、可撓性を有している。ケーブル5の長さは、特には限定されない。ケーブル5の長さは、一例として、10cm〜5mの範囲であってよい。本実施形態では、複数のケーブル5は、第1ケーブル51と第2ケーブル52とを含む。ここで、第1ケーブル51は、第1接続部21と電源回路11とを電気的に接続する。より詳細には、第1ケーブル51の第1端は、第1副筐体321の背面の貫通孔を利用して第1副筐体321内に配置され、第1接続部21に電気的に接続される。また、第1ケーブル51の第2端は、第1保持部3111の第1貫通孔312を利用して、主筐体31内に配置され、電源回路11に電気的に接続される。第2ケーブル52は、第2接続部22と電源回路11とを電気的に接続する。より詳細には、第2ケーブル52の第1端は、第2副筐体322の背面の貫通孔を利用して第2副筐体322内に配置され、第2接続部22に電気的に接続される。また、第2ケーブル52の第2端は、第2保持部3112の第1貫通孔312を利用して、主筐体31内に配置され、電源回路11に電気的に接続される。
複数の巻き取り装置6は、それぞれケーブル5を巻き取る装置である。各巻き取り装置6は、ケーブル5が巻かれる筒体と、筒体をその中心軸の周りに回転させてケーブル5を巻き取る回転装置を備える。回転装置は、ケーブル5が主筐体31から所定長さ以上引き出された際にケーブル5の巻き取りを開始するように構成され得る。本実施形態では、複数の巻き取り装置6は、主筐体31に収容される。複数の巻き取り装置6は、第1巻き取り装置61と第2巻き取り装置62とを含む。第1巻き取り装置61は、第1ケーブル51に対応する。第2巻き取り装置62は、第2ケーブル52に対応する。
複数の移動部7は、それぞれ副筐体32を収容空間311aから外方に移動させる装置である。各移動部7は、操作ボタン701と、一対のアーム702と、駆動機構とを備える。操作ボタン701は、主筐体31の操作孔314を通じて押し操作可能に配置される。一対のアーム702は、保持部311の一対の第2貫通孔313を通して収容空間311a内に突出可能に配置される。つまり、アーム702は、収容空間311aに第2貫通孔313を通して突出しない第1位置(図7参照)と、収容空間311aに第2貫通孔313を通して突出する第2位置(図8参照)との間で移動可能である。駆動機構は、操作ボタン701の押し操作時に、一対のアーム702のそれぞれを第1位置から第2位置へ移動させる。これによって、図7及び図8に示すように、移動部7は、アーム702で副筐体32を押圧して、副筐体32を収容空間311aから外方へ移動させる。駆動機構は、操作ボタン701の押し操作に応じてアーム702が第1位置から第2位置まで移動させた後は、自動的に、アーム702を第2位置から第1位置に戻してよい。あるいは、駆動機構は、アーム702が第2位置から第1位置まで移動させられた際に、アーム702を第1位置で保持してよい。本実施形態では、複数の移動部7は、第1移動部71と第2移動部72とを含む。第1移動部71は、第1副筐体321に対応する。第2移動部72は、第2副筐体322に対応する。つまり、第1保持部3111の近傍にある第1移動部71の操作ボタン701を押し操作すると、第1移動部71のアーム702が第1副筐体321を第1保持部3111の収容空間311aから外方へ押し出す。また、第2保持部3112の近傍にある第2移動部72の操作ボタン701を押し操作すると、第2移動部72のアーム702が第2副筐体322を第2保持部3112の収容空間311aから外方へ押し出す。このように、移動部7によれば、副筐体32の収容空間311aからの取り出しが容易になる。このような移動部7は、電力を利用して副筐体32を移動させる構成であってよい。この場合、移動部7は、電源回路11から出力される直流電力を利用して、副筐体32を移動させてよい。また、移動部7は、ユーザが加える力を利用して副筐体32を移動させる構成であってもよい。
本実施形態では、筐体3は、図4に示すように、筐体3を取付対象物81に固定するための取付枠84に対して、取外し可能に取り付けられている。さらに、取付枠84には、図3に示すように、コンセントプレート8が取り付けられる。ここで、本実施形態では、取付枠84及びコンセントプレート8を、USBコンセント10の構成要素に含まないこととする。ただし、取付枠84及びコンセントプレート8が、USBコンセント10の構成要素に含まれないことは必須でなく、取付枠84及びコンセントプレート8の少なくとも一方は、USBコンセント10の構成要素に含まれてもよい。
本実施形態では、USBコンセント10は、上述したように埋込型の配線器具であるので、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材83を用いて取付対象物81(ここでは壁)に取り付けられる。すなわち、取付対象物81には施工孔82が形成されており、取付対象物81の裏側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材83に対して、USBコンセント10が施工孔82を通して取り付けられる。
取付枠84は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。具体的には、取付枠84は、正面視において矩形枠状に形成されている。この取付枠84の内側に筐体3が位置するように、筐体3が取付枠84に装着されている。
取付枠84は、一例として、合成樹脂製である。取付枠84には、一対の取付孔841と、一対のプレート固定孔842と、が形成されている。一対の取付孔841を通して、一対の取付ねじ843がスイッチボックス等の取付部材83に締め付けられることで、取付枠84は、取付対象物81に取り付けられる。
コンセントプレート8は、化粧プレート85と、固定プレート86と、を有している。つまり、本実施形態では、コンセントプレート8は、化粧プレート85及び固定プレート86の2部材で構成されている。コンセントプレート8(化粧プレート85及び固定プレート86)は、一例として、合成樹脂製である。
固定プレート86は、取付枠84に固定される。化粧プレート85は、固定プレート86の前面を覆うように、固定プレート86に取り付けられる。このように、化粧プレート85は、筐体3が取り付けられている取付枠84に対し、固定プレート86を介して間接的に固定される。化粧プレート85には窓孔801が形成されており、コンセントプレート8が取付枠84に取り付けられた状態では、窓孔801から筐体3の前面301が露出することになる。
つまり、コンセントプレート8は、窓孔801を有する枠状の部材であって、その窓孔801から筐体3の前面301を露出させるように、取付枠84と組み合わされる。言い換えれば、取付枠84とコンセントプレート8とが組み合われた状態では、正面視において、コンセントプレート8(化粧プレート85)の内側(窓孔801内)に筐体3の前面301が位置する。これにより、図5に示すように、コンセントプレート8が筐体3と共に取付対象物81に取り付けられた状態で、筐体3の周囲をコンセントプレート8が覆うことになり、取付枠84及び施工孔82等が露出せずに見映えがよくなる。
より詳細には、化粧プレート85は、正面視において矩形枠状に形成されている。化粧プレート85の中央部には、化粧プレート85を前後方向に貫通する窓孔801が形成されている。化粧プレート85は、スナップフィット構造により、取外し可能な状態で、固定プレート86と機械的に結合される。すなわち、化粧プレート85及び固定プレート86は、化粧プレート85と固定プレート86との少なくとも一方の弾性を利用して、化粧プレート85及び固定プレート86一方の爪を、他方の孔に引っ掛けることにより、機械的に結合される。
また、固定プレート86は、正面視において矩形枠状に形成されている。さらに、固定プレート86には、一対の透孔861が形成されている。一対の透孔861を通して、一対の固定ねじ844が取付枠84の一対のプレート固定孔842に締め付けられることで、固定プレート86は、取付枠84に取り付けられる。
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、上記実施形態に係るUSBコンセント10と同等の機能は、方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施形態では、複数の接続部2は、いずれもA端子のUSBコネクタの規格に対応する。一変形例では、複数の接続部2は、いずれもC端子のUSBコネクタの規格に対応してもよいし、複数のUSBコネクタ規格に対応してもよい。複数のUSBコネクタ規格は、例えば、A端子(Type-A)、B端子(Type-B)及びC端子(Type-C)、並びに、ミニUSB(mini USB)及びマイクロUSB(micro USB)等から適宜選択され得る。
上記実施形態では、複数の接続部2は、レセプタクルとプラグとを含む。しかしながら、複数の接続部2は、いずれもレセプタクルであってもよいし、いずれもプラグであってもよい。複数の接続部2の各々は、プラグとレセプタクルとから選択され得る。
一変形例では、接続部2の数は、2つに限定されない。USBコンセント10は、少なくとも一つの接続部2を有していてよい。
上記実施形態では、筐体3の主筐体31が3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であるが、2個モジュール寸法又は1個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であってもよい。また、上記実施形態では、接続部2は、副筐体32が主筐体31の保持部311に保持された状態において、横向き(横長)に配置されているが、一変形例では、縦向き(縦長)に配置されていてもよい。すなわち、接続部2の向きは、特に限定されない。
さらに、USBコンセント10は、筐体3が2個モジュール寸法又は1個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であれば、付加装置とともに取付枠84にて取付対象物81に取り付けられてもよい。付加装置の例としては、コンセント装置、及び、センサ装置が挙げられる。コンセント装置は、例えば、100Vの交流電圧を出力するコンセント装置であってよい。また、センサ装置の例としては、人感センサ、明るさセンサ、振動センサ、近接センサ若しくは音センサ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。USBコンセント10は、センサ装置の出力に基づいて動作してもよい。例えば、センサ装置が人感センサである場合には、USBコンセント10は、周辺に人が存在しなければ、接続部2への通電をオフとする。
また、副筐体32の形状も上記実施形態に限定されない。例えば、図9に示すように、副筐体32Aは、突出部320aを有していてよい。突出部320aは、副筐体32Aの前面320の周縁から側方に突出している。突出部320aは、保持部311の収容空間311aより大きい。よって、突出部320aは、保持部311の収容空間311a内には入らないようになっている。よって、突出部320aを、副筐体32Aを主筐体31の保持部311の収容空間311aから引き出すために利用でき得る。また、副筐体32は、必ずしも直方体状である必要はなく、円形や多角形の箱状であり得る。
上記実施形態では、USBコンセント10は、屋内用に限らず屋外用であってもよい。屋外用のUSBコンセントにおいては、防雨(防滴)構造等が適宜採用される。
上記実施形態では、機器9が、充電式の機器である場合を例に説明したが、この例に限らず、USBコンセント10には、充電式でない機器(充電式の機器以外の機器)を接続することも可能である。
上記実施形態では、USBコンセント10は、埋込型の配線器具に限らない。すなわち、USBコンセント10は、その全体が壁等の取付対象物81の表面から露出するように配置される「露出型」の配線器具であってもよい。この場合、USBコンセント10は、埋込型ではなく露出型のスイッチボックスを用いて取付対象物81に取り付けられる。また、USBコンセント10は、例えば、挟み金具等の、スイッチボックス以外の取付部材を用いて取付対象物81に取り付けられてもよい。
上記実施形態では、筐体3が取付枠84に取り付けられることは、USBコンセント10に必須の構成ではなく、例えば、筐体3は取付枠84と一体化されていてもよい。さらに、取付枠84に、コンセントプレート8が取り付けられることも、USBコンセント10に必須の構成ではなく、コンセントプレート8は適宜省略されてもよい。
上記実施形態では、1つの電源回路11に対して、複数の接続部2が接続されているが、この構成はUSBコンセント10に必須の構成ではなく、複数の接続部2の各々に対して個別の電源回路11が設けられていてもよい。つまり、USBコンセント10は、複数の接続部2と、複数の接続部2に一対一に対応する複数の電源回路11と、を備えていてもよい。この場合、複数の接続部2には、それぞれ個別の電源回路11から電力が供給されるので、定格出力(電流又は電力)に関しても、各接続部2について個別に規定される。
上記実施形態において、保持部311の収容空間311aは、必ずしも、副筐体32が嵌る凹部でなくてもよく、副筐体32を収容できる空間であってよい。つまり、副筐体32は、単に収容空間311aに配置されるだけであってよい。また、保持部311は、収容空間311aに加えて、収容空間311aを閉じる扉を有していてもよい。
上記実施形態において、保持部311は、必ずしも、収容空間311aを有している必要はない。保持部311は、副筐体32に設けた突起が嵌る凹部であってよい。逆に、保持部311は、副筐体32に設けた凹部に嵌る突起であってもよい。また、保持部311は、永久磁石や粘着剤等によって、副筐体32を保持してもよい。
上記実施形態では、保持部311は、副筐体32の前面320が主筐体31の前面310と面一となる位置で副筐体32を保持するが、当該位置より後方で副筐体32を保持してもよい。上記実施形態では、保持部3111は、接続部21が収容空間311aよりも外方に出ないように副筐体321を保持する。一変形例では、同様に、保持部3112は、接続部22が収容空間311aよりも外方に出ないように副筐体322を保持してよい。つまり、保持部3112は、接続部22の先端が収容空間311a内にあるように、副筐体322を保持してよい。
巻き取り装置6は、上記実施形態の構成に限定されず、ケーブル5の巻き取りが可能な構成であればよく、従来周知の構成を採用可能である。また、巻き取り装置6は、必須ではない。つまり、ケーブル5は、常時露出した状態であってよく、必ずしも、主筐体31内に収納可能でなくてもよい。
移動部7は、上記実施形態の構成に限定されず、副筐体32を収容空間311aから外部に移動させることが可能な構成であればよく、従来周知の構成を採用可能である。また、移動部7は、必須ではない。
(3)態様
第1の態様は、USBコンセント(10)であって、USBコネクタ(91)を接続可能な接続部(2,21,22)と、前記接続部(2,21,22)へと直流電力を出力する電源回路(11)と、前記電源回路(11)を収容する筐体(3)とを備える。更に、前記USBコンセント(10)は、前記接続部(2,21,22)と前記電源回路(11)とを電気的に接続するケーブル(5,51,52)を備える。前記筐体(3)は、前記電源回路(11)を収容し、取付対象物(81)に設置される主筐体(31)と、前記主筐体(31)とは別体であり、前記接続部(2,21,22)を収容する副筐体(32,321,322)とを含む。前記主筐体(31)は、前記副筐体(32,321,322)を取り外し可能に保持する保持部(311,3111,3112)を有する。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第2の態様は、第1の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第2の態様では、前記USBコンセント(10)は、前記筐体(3)に収容され、前記ケーブル(5,51,52)を巻き取る巻き取り装置(6、61,62)を更に備える。この態様によれば、ケーブル(5)の長さの調整ができ、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第3の態様では、前記保持部(311,3111,3112)は、前記副筐体(32,321,322)を収容する収容空間(311a)を有する。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第4の態様は、第3の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第4の態様では、前記収容空間(311a)は、前記副筐体(32,321,322)が嵌る凹部である。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第5の態様は、第4の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第5の態様では、前記収容空間(311a)は、前記主筐体(31)の前面(310)にある。前記保持部(311,3111,3112)は、前記接続部(2,21,22)が前記主筐体(31)の前面(310)に露出するように前記副筐体(32,321,322)を保持する。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第6の態様は、第5の態様に基づくUSBコンセント(10)である。第6の態様では、前記接続部(2,21,22)は、前記副筐体(32,321,322)の前面(320)にある。前記保持部(311,3111,3112)は、前記副筐体(32,321,322)の前面(320)が前記主筐体(31)の前面(310)と面一となる位置又は当該位置より後方で前記副筐体(32,321,322)を保持する。この態様によれば、副筐体(32,321,322)が主筐体(31)から意図せず脱落する可能性を低減できる。
第7の態様は、第3〜第6の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10)である。第7の態様では、前記保持部(311,3111,3112)は、前記接続部(2,21,22)が前記収容空間(311a)よりも外方に出ないように前記副筐体(32,321,322)を保持する。この態様によれば、接続部(2,21,22)の保護が図れる。
第8の態様は、第3〜第7の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10)である。第8の態様では、前記USBコンセント(10)は、前記副筐体(32,321,322)を前記収容空間(311a)から外方に移動させる移動部(7,71,72)を更に備える。この態様によれば、副筐体(32,321,322)の主筐体(31)からの取り外しが容易になり得る。
第9の態様は、第1〜第8の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10)である。第9の態様では、前記接続部(22)は、USBプラグである。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第10の態様は、第1〜第8の態様のいずれか一つに基づくUSBコンセント(10)である。第10の態様では、前記接続部(21)は、USBレセプタクルである。この態様によれば、利便性の向上を図りやすいUSBコンセント(10)を提供することができる。
第2〜10の態様に係る構成については、USBコンセント(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。