JP6913729B2 - pn接合シリコンウェーハ - Google Patents

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Description

本発明は、pn接合シリコンウェーハに関する。
特許文献1には、縦型デバイスに用いるpn接合シリコンウェーハの製造方法として、エピタキシャル成長法が記載されている。具体的には、支持基板の上に、支持基板とは反対の導電型を有するエピタキシャル層を化学蒸着法等によりエピタキシャル成長させて、pn接合シリコンウェーハを得る。ここで、縦型デバイスにおいて高耐圧動作を実現するためには、100μm以上のエピタキシャル層を堆積する必要がある。
特許文献2には、シリコン基板同士を真空常温下で貼り合わせる方法(以下、「真空常温接合法」と称する)として、以下の技術が記載されている。まず、真空常温下で、2枚のシリコン基板の各表面にアルゴン高速原子ビームを照射する活性化処理を施すことにより、上記両方の表面を活性化面とする。引き続き、真空常温下で、上記両方の活性化面を接触させることで、上記両方の活性化面を貼合せ面として2枚のシリコン基板を貼り合わせる。
特開平9−213946号公報 特開平10−92702号公報
しかしながら、特許文献1に記載のエピタキシャル成長法では、100μm以上の層厚のエピタキシャル層を形成するのに長時間かかってしまう。そのため、エピタキシャル成長中にウェーハが熱応力に耐えることができずスリップや転位が発生したり、支持基板中のドーパントがエピタキシャル層へ拡散するという問題が生じることがわかった。
そこで、本発明者らは、エピタキシャル成長法に代わる方法として特許文献2に記載の真空常温接合法を用いてpn接合シリコンウェーハを作製することを考えた。真空常温接合法では、特許文献2に記載の技術のように、アルゴンを照射することにより活性化処理を行うのが一般的である。そこで、本発明者らは、以下の方法によりpn接合シリコンウェーハを作製した。まず、真空常温下でp型単結晶シリコン基板の片面とn型単結晶シリコン基板の片面にアルゴンをプラズマ雰囲気でイオン化して生成したアルゴンイオンを照射することにより、上記両方の片面を活性化面とした。引き続き、真空常温下で、上記両方の活性化面を接触させることで、上記両方の活性化面を貼合せ面として、p型単結晶シリコン基板とn型単結晶シリコン基板とを貼り合わせて、pn接合シリコンウェーハを得た。
しかしながら、このようにして得たpn接合シリコンウェーハを用いて作製した縦型デバイスに電圧を印加した場合、リーク電流を抑制しきれず、デバイス特性の観点から改善の余地があることがわかった。
本発明は、上記課題に鑑み、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができるpn接合シリコンウェーハを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべくpn接合シリコンウェーハの貼合せ面近傍に着目し、これについて分析を行った。その結果、貼合せ面近傍には酸素が存在しており、これがリーク電流の発生源となっていることがわかった。そして、本発明者らは更なる検討を進めたところ、この酸素は、p型単結晶シリコン基板やn型単結晶シリコン基板の表層に形成された厚さ5〜20Åの自然酸化膜に由来するものであることがわかった。すなわち、一般的に非酸化性雰囲気に保持されないp型単結晶シリコン基板やn型単結晶シリコン基板の表層には、厚さ5〜20Åの自然酸化膜が形成されている。この自然酸化膜中の酸素は、アルゴンイオンの照射によって、自然酸化膜が存在する領域よりも深い領域に押し込まれてしまう(以下「ノックオン」と称する)。そして、酸素がノックオンされたp型単結晶シリコン基板とn型単結晶シリコン基板とを貼り合わせてpn接合シリコンウェーハを作製すると、貼合せ面近傍に酸素が残存し、リーク電流の発生源となる。
そこで、本発明者らは、貼合せ面近傍に酸素が残存するのを抑制することができる真空常温接合法について検討したところ、自然酸化膜中の酸素やノックオンされた酸素の量は、フッ素イオンのエッチング作用により抑制することができるという新たな着想を得た。この着想に基づいて、照射イオンをアルゴンイオンに代えてフッ素イオンとすることにより、貼合せ面近傍に酸素が残存するのを抑制することができることを見出した。そして、縦型デバイスにおいてリーク電流を顕著に抑制することができることを確認した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
(1)p型単結晶シリコン基板と、
前記p型単結晶シリコン基板と接するn型単結晶シリコン基板と、
を有するpn接合シリコンウェーハであって、
前記pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、前記p型単結晶シリコン基板と前記n型単結晶シリコン基板との界面にピークを有しないことを特徴とするpn接合シリコンウェーハ。
(2)前記p型単結晶シリコン基板と前記n型単結晶シリコン基板との間に、前記n型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつ、厚さ50μm以下のn型シリコンエピタキシャル層をさらに有し、
前記pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、前記p型単結晶シリコン基板と前記n型単結晶シリコン基板との前記界面に代えて、前記n型シリコンエピタキシャル層と前記n型単結晶シリコン基板との界面にピークを有しない、上記(1)に記載のpn接合シリコンウェーハ。
(3)前記p型単結晶シリコン基板と前記n型単結晶シリコン基板との間に、前記p型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつ、厚さ50μm以下のp型シリコンエピタキシャル層をさらに有し、
前記pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、前記p型単結晶シリコン基板と前記n型単結晶シリコン基板との前記界面に代えて、前記p型シリコンエピタキシャル層と前記p型単結晶シリコン基板との界面にピークを有しない、上記(1)に記載のpn接合シリコンウェーハ。
(4)前記p型単結晶シリコン基板および前記n型単結晶シリコン基板が転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハである、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のpn接合シリコンウェーハ。
(5)前記p型単結晶シリコン基板および前記n型単結晶シリコン基板の面方位が同じである、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のpn接合シリコンウェーハ。
本発明によれば、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができるpn接合シリコンウェーハを得ることができる。
本発明の第1の実施形態によるpn接合シリコンウェーハ100の製造方法を説明する模式断面図である。 本発明の第2の実施形態によるpn接合シリコンウェーハ200の製造方法を説明する模式断面図である。 本発明の一実施形態において、真空常温接合を行う際に用いる装置の模式断面図である。 固液界面における温度勾配に対する引き上げ速度の比と単結晶シリコンインゴットの断面図における欠陥分布を示す図である。 比較例によるpn接合シリコンウェーハ300の製造方法を説明する模式断面図である。 (a)発明例および(b)比較例について、pn接合シリコンウェーハの酸素濃度プロファイルを示したグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、再度の説明を省略する。また、図1及び図2では説明の便宜上、実際の厚さの割合とは異なり、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20に対して自然酸化膜12,22,34、及びシリコンエピタキシャル層32の厚さを誇張して示す。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明のpn接合シリコンウェーハの製造方法の第1の実施形態を説明する。
(第1工程)
図1を参照して、非酸化性雰囲気に保持されないp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の表層には、厚さが5〜20Åの自然酸化膜12,22がそれぞれ形成されている。第1工程では、まず、p型単結晶シリコン基板10の片面とn型単結晶シリコン基板20の片面に、真空常温下でフッ素イオンを照射する。フッ素イオンのエッチング作用および活性化作用により、図1に示すように、p型単結晶シリコン基板10の片面とn型単結晶シリコン基板20の片面とがそれぞれエッチング処理され、活性化面10A,20Aとなる。
これらの活性化面10A,20Aにはシリコンが本来有するダングリングボンド(結合の手)が現れている。本発明の特徴的部分は、第1工程における照射イオンとしてフッ素イオンを用いることであり、その技術的意義については後述する。
(第2工程)
次に、図1を参照して、第1工程に引き続き、真空常温下で上記両方の活性化面を接触させる。これにより、上記両方の活性化面に対して瞬時に接合力が働き、上記両方の活性化面を貼合せ面としてp型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とが強固に接合されて一体化し、pn接合シリコンウェーハが得られる。このように真空常温接合法では、両基板の接合が常温下で瞬時かつ強固に行われる。そのため、p型単結晶シリコン基板10中のドーパントがn型単結晶シリコン基板20側に拡散したり、n型単結晶シリコン基板20中のドーパントがp型単結晶シリコン基板10側に拡散したりすることが抑制される。また、支持基板上にエピタキシャル層を長時間かけて成長させてpn接合シリコンウェーハを作製する従来技術と異なり、瞬時かつ強固に両基板を接合することができるので、スリップおよび転位の発生を防止することができる。
以下では、図3を参照して、第1工程および第2工程を実現する装置の一形態を説明する。真空常温接合装置40は、プラズマチャンバー41と、ガス導入口42と、真空ポンプ43と、パルス電圧印加装置44と、ウェーハ固定台45A,45Bと、を有する。
まず、プラズマチャンバー41内のウェーハ固定台45A,45Bにそれぞれp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20を載置および固定する。次に、真空ポンプ43によりプラズマチャンバー41内を減圧し、ついで、ガス導入口42からプラズマチャンバー41内にフッ素源化合物からなる原料ガスを導入する。フッ素源化合物としては、エッチング作用および活性化作用を有するものであれば特に限定されず、具体的にはCF、SF等が挙げられる。
続いて、パルス電圧印加装置44によりウェーハ固定台45A,45B(およびp型単結晶シリコン基板10,n型単結晶シリコン基板20)に正電圧をパルス状に印加する。これにより、原料ガスが分解してプラズマが生成するとともに、生成したプラズマに含まれるフッ素イオン(F)がp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20に向けて加速および照射される。
照射するフッ素イオンのドーズ量は、1×1015atoms/cm以上1×1018atoms/cm以下とすることが好ましい。1×1015atoms/cm以上であれば、エッチング処理および活性化処理を安定して行うことができ、1×1018atoms/cm以下であれば、デバイスプロセスにおける熱処理だけで後述する変質層の結晶性を回復させることができるからである。
以下では、第1工程におけるチャンバー圧力、パルス電圧、及び基板温度の条件について詳細に説明する。
プラズマチャンバー41内のチャンバー圧力は1×10−5Pa以下とすることが好ましい。1×10−5Pa以下とすることで、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20から弾き出されたシリコン等の元素が基板10,20や活性化面10A,20Aに再付着し、ダングリングボンドの形成率が低下するのを防ぐことができるからである。
p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20に印加するパルス電圧は、基板10,20に対するフッ素イオン(F)の加速エネルギーが100eV以上5keV以下となるように設定する。100eV以上であれば、フッ素イオンが基板10,20や活性化面10A,20Aに堆積することを防止でき、シリコン原子をスパッタすることによりダングリングボンドを形成でき、5keV以下であれば、フッ素イオンが基板の内部に注入されるのを防止できるからである。
パルス電圧の周波数は、10Hz以上10kHz以下とすることが好ましい。10Hz以上であれば、フッ素イオンの照射ばらつきを吸収できるので、イオン照射量が安定し、10kHz以下であれば、グロー放電によるプラズマ形成が安定するからである。
パルス電圧のパルス幅は、1μ秒以上10m秒以下とすることが好ましい。1μ秒以上であれば、安定してフッ素イオンを基板10,20や活性化面10A,20Aに照射でき、10m秒以下であれば、グロー放電によるプラズマ形成が安定するからである。
p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20は加熱されず、その温度は常温(通常、30℃〜90℃)となる。
上記の条件を満たす範囲で、チャンバー圧力、パルス電圧、及び基板温度を設定することで、第1工程を実現することができる。その後、第2工程では、ウェーハ固定台45A,45B同士を近づけることにより、上記両方の活性化面が接触する。これにより、p型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とが一体化し、pn接合シリコンウェーハが得られる。
以上の方法により、真空常温接合装置40を用いて、第1工程および第2工程を実現することができる。しかしながら、本発明による方法はこれに限定されず、第1工程におけるエッチング処理と活性化処理とで、チャンバー圧力、パルス電圧、及び基板温度の条件をそれぞれ別々に設定してもよい。
第1工程におけるエッチング処理では、プラズマチャンバー41内のチャンバー圧力が1×10−3Pa以下であってもよい。1×10−3Pa以下であれば、各基板の片面をエッチングできるからである。
また、第1工程における活性化処理では、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20に印加するパルス電圧は、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の表面に対するフッ素イオン(F)の加速エネルギーが100eV以上5keV以下となるように設定してもよい。100eV以上であれば、フッ素イオンが基板10,20や活性化面10A,20Aに堆積することを防止でき、シリコン原子をスパッタすることによりダングリングボンドを形成でき、5keV以下であれば、フッ素イオンが基板の内部に注入されるのを防止できるからである。
(pn接合シリコンウェーハの研削および研磨)
第2工程の後、pn接合シリコンウェーハを構成するp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の少なくとも一方を研削および研磨する工程をさらに有してもよい。これにより、所望の厚さのpn接合シリコンウェーハ100を得ることができる。なお、上記研削および研磨する工程では、公知または任意の研削および研磨法を好適に用いることができ、具体的には平面研削および鏡面研磨法が挙げられる。
本発明の特徴的部分は、照射イオンとして、エッチング作用および活性化作用を有するフッ素イオン(F)を用いることである。以下では、この技術的意義を作用効果とともに説明する。
図5を参照して、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の各表層には、一般的に、厚さが5〜20Åの自然酸化膜12,22が形成されている。そのため、p型単結晶シリコン基板10の片面とn型単結晶シリコン基板20の片面に、従来のようにアルゴンイオン(Ar)を照射する活性化処理を施すと、自然酸化膜12,22中の酸素が、自然酸化膜12,22が存在する領域よりも深い領域にノックオンされてしまう。そして、このp型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とを貼り合わせてpn接合シリコンウェーハを作製すると、貼合せ面近傍には酸素が残存してしまう。そして、残存した酸素は、リーク電流の発生源となってしまう。
これに対して、本発明者らは、アルゴンイオンに代えてフッ素イオンを照射すると、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができることを見出した。本発明者らは、その作用効果を以下のように考えている。
図1を参照して、p型単結晶シリコン基板10の片面とn型単結晶シリコン基板20の片面にフッ素イオンを照射する場合であっても、自然酸化膜12,22中の酸素は、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の各表面から20Åより深い位置にノックオンされる。しかしながら、フッ素イオンは、エッチング作用と活性化作用とを有するイオンである。そのため、フッ素イオンのエッチング作用により、自然酸化膜12,22を除去することができ、さらには、酸素がノックオンした領域も除去することができる。そして、フッ素の活性化作用により、エッチング処理されたp型単結晶シリコン基板10の片面とn型単結晶シリコン基板の片面とがそれぞれ活性化面10A,20Aとなる。このように、フッ素イオンのエッチング作用と活性化作用とを利用することで、貼合せ面近傍に残存する酸素の量を抑制することができる真空常温接合法を実現することができ、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができるのである。
しかも、上記の作用効果に加えて、本発明者らは、以下の作用効果も付加的に得られることを見出した。すなわち、アルゴンイオンを照射する場合、照射したアルゴンイオンは基板中の電子と結合してアルゴン(原子)となる。そして、貼合せ面近傍にて、これらのアルゴンが複数集合して塊状の析出物が複数形成される。これらの析出物もリーク電流の発生源になる。一方で、本発明のように、フッ素イオンを照射する場合、照射したフッ素イオンは、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20を構成するシリコンと反応して、4フッ化珪素(SiF)になりガス化する。従って、本発明によればイオン照射に起因する析出物の発生を抑制することができるので、リーク電流をさらに抑制することができるのである。
リーク電流をさらに抑制する観点から、上記の活性化処理では、ノックオンされた酸素を除去し、p型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板の各ベアシリコン面を露出させてもよい。なお、本明細書における「ベアシリコン面」とは、自然酸化膜が存在せず、かつ、ノックオンされた酸素が存在しないp型単結晶シリコン面、若しくはn型単結晶シリコン面、又は、p型シリコンエピタキシャル面、若しくはn型シリコンエピタキシャル面を意味する。
ここで、pn接合シリコンウェーハの貼合せ面近傍には、第1工程における活性化処理に起因してp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20が本来有する結晶性が乱れた変質層が生じている。しかしながら、変質層の結晶性は、デバイスプロセスに含まれる600℃以上の熱処理によって本来の結晶性に回復する。そのため、変質層に起因するリーク電流は、縦型デバイスにおいて抑制される。
このように、変質層における結晶性の乱れは、デバイスプロセスにおける熱処理によって回復するので、第2工程の後であって、デバイスプロセスの前に再結晶化のための追加の熱処理を行う必要がない。そのため、製造コストを低減することができる。しかしながら、第2工程の後であって、デバイスプロセスの前に、以下に説明する再結晶化のための熱処理を追加的に行ってもよい。
上記再結晶化のための熱処理は、N、ArおよびHから選択される少なくとも一種が含まれる雰囲気中で、200℃以上1300℃以下の温度領域で30分以上2時間以下とすることが好ましい。例えば、1000℃以上の温度領域で1〜2時間の熱処理を行う場合、昇温および降温速度が速いマイクロ波アニール処理を採用することがより好ましい。マイクロ波アニール処理では、広義のマイクロ波と呼ばれる周波数300MHz以上3THz以下の電磁波をpn接合シリコンウェーハに照射して、pn接合シリコンウェーハを効率よく加熱することができる。なお、外部ヒーター源を用いて加熱する一般的な熱処理(例えば、ファーネス炉による熱処理)では、昇温および降温に数十分かかってしまう。そのため、昇温および降温中に基板中のドーパントが拡散するという問題が生じ、デバイス特性に影響を及ぼす。
本工程は、市販のマイクロ波アニール装置を用いて行うことができる。本工程では、電磁波をpn接合シリコンウェーハに10分以上1時間以下照射することにより、pn接合シリコンウェーハを50℃以上1300℃以下の温度に加熱することができる。また、マイクロ波アニール処理では、pn接合シリコンウェーハを急速に昇降温させることが可能であり、昇降温レートは、50℃/min以上200℃/min以下とすることが好ましい。50℃/min以上であれば、昇降温中に基板中のドーパントが拡散するおそれがなく、200℃/min以下であれば、昇降温中にウェーハにかかる熱応力を抑制することができるので、スリップや転位が発生しない。また、照射する電磁波の周波数は、300MHz以上300GHz以下とすることが好ましく、照射する電磁波の出力は、500W以上4kW以下とすることが好ましい。
(第2の実施形態)
図2を参照して、本発明のpn接合シリコンウェーハの製造方法の第2の実施形態を説明する。
(n型シリコンエピタキシャル層の形成)
図2を参照してまず、p型単結晶シリコン基板10の片面に、n型単結晶シリコン基板20のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつ、厚さ50μm以下のn型シリコンエピタキシャル層32を形成する。n型シリコンエピタキシャル層32の厚さが50μmを超えると、エピタキシャル成長に長時間かかってしまう。そのため、ウェーハが熱応力に耐えることができず、スリップや転位が発生したり、p型単結晶シリコン基板10中のドーパントがn型シリコンエピタキシャル層32へ拡散するという問題が生じる。
n型単結晶シリコン基板20のドーパント濃度は、8.4×1012atoms/cm以上9.0×1014atoms/cm以下とすることが好ましく、n型シリコンエピタキシャル層32のドーパント濃度は、n型単結晶シリコン基板20のドーパント濃度の10倍以上1000倍以下とすることが好ましい。10倍以上とすることで、後述する空乏層領域の縦方向の広がりを抑制することができる。また、1000倍以下とすることで、デバイス特性に影響を及ぼす電界集中を抑制することができる。
n型シリコンエピタキシャル層32の形成には、公知または任意の方法を好適に用いることができ、例えば枚葉式エピタキシャル成長装置を用いることができる。なお、エピタキシャル成長により形成したn型シリコンエピタキシャル層32の表面にも、図2に示すように厚さ5〜20Åの自然酸化膜34が形成されている。
(第1工程)
次に、図2を参照して、n型シリコンエピタキシャル層32の表面と、n型単結晶シリコン基板20の片面に、真空常温下でフッ素イオンを照射する。フッ素イオンのエッチング作用および活性化作用により、図2に示すように、n型シリコンエピタキシャル層の表面とn型単結晶シリコン基板20の片面とがそれぞれエッチング処理され、活性化面32A,20Aとなる。ここで、これら活性化面32A,20Aには、シリコンが本来有するダングリングボンドが現れている。
(第2工程)
次に、図2を参照して、第1工程に引き続き、真空常温下で上記両方の活性化面を接触させる。これにより、上記両方の活性化面に対して瞬時に接合力が働き、上記両方の活性化面を貼合せ面としてp型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とが強固に接合されて一体化し、pn接合シリコンウェーハが得られる。
ここで、pn接合シリコンウェーハの貼合せ面近傍には、第2工程における活性化処理に起因してn型単結晶シリコン基板20及びn型単結晶シリコンエピタキシャル層32が本来有する結晶性が乱れた変質層が生じている。これらの変質層も、第1の実施形態と同様にデバイスプロセスにおける熱処理により再結晶化される。従って、これらの変質層に起因するリーク電流は、縦型デバイスにおいて抑制される。
(pn接合シリコンウェーハの研削および研磨)
第2工程の後、pn接合シリコンウェーハを構成するp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の少なくとも一方を研削および研磨する工程をさらに有してもよい。これにより、所望の厚さのpn接合シリコンウェーハ200を得ることができる。なお、上記研削および研磨する工程では、第1の実施形態にて説明した方法と同様の方法を用いることができる。
以上、図2を参照して、第2の実施形態について説明したが、第2の実施形態において第1工程および第2工程を採用することにより得られる作用効果については、第1の実施形態の説明を援用する。以下では、図2を参照して、第2の実施形態により付加的に得られる作用効果について詳細に説明する。
図2を参照して、第2の実施形態では、第1工程に先立ち、p型単結晶シリコン基板10の片面に、n型シリコンエピタキシャル層32を形成しておくことで、pn接合面と貼合せ面とをずらすことができる。このようにpn接合面と貼合せ面とをずらし、さらに、n型シリコンエピタキシャル層32のドーパント濃度をn型単結晶シリコン基板20のドーパント濃度よりも高濃度とする技術的意義を以下では作用効果とともに説明する。
縦型デバイスは、pn接合シリコンウェーハ200を作製した後に、デバイスプロセスを経て作製される。このデバイスプロセスには、窒素または酸素雰囲気中で、600℃以上1300℃以下、10分以上20時間以下の熱処理が含まれる。また、デバイス作動時、縦型デバイスを構成するpn接合シリコンウェーハには、500V以上1500V以下の高電圧がかかる。
ここで、pn接合面には、キャリアがほとんど存在しない空乏層と呼ばれる領域が存在する。この空乏層領域は、電圧がかかると縦型デバイスの縦方向に広がる性質を有する。また、pn接合シリコンウェーハ200の貼合せ面には、pn接合シリコンウェーハを作製した直後には顕在化していないが、上記デバイスプロセスにおける熱処理によって顕在化する微小欠陥が存在する。このような微小欠陥が存在する領域と空乏層領域とが重複すると、逆リーク電流が生じ、結果として、ダイオードのスイッチング特性等のデバイス特性に影響を及ぼす。
そこで、pn接合面と貼合せ面とをずらすことにより、微小欠陥が存在する領域と空乏層領域との重複を抑制することができる。さらに、n型シリコンエピタキシャル層のドーパント濃度をn型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高濃度とすることにより、デバイス作動時に高電圧がかかっても、空乏層領域の縦方向の広がりを抑制することができる。そのため、微小欠陥が存在する領域と空乏層領域との重複を抑制することができ、逆リーク電流が抑制されるため、ダイオードのスイッチング特性等のデバイス特性がより向上する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態では、p型単結晶シリコン基板はそのままとし、n型単結晶シリコン基板の片面に、p型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつp型シリコンエピタキシャル層を形成する以外は、第2の実施形態と同様である。
(p型単結晶シリコンウェーハ及びn型単結晶シリコンウェーハ)
以下では、本発明の第1〜第3の実施形態において用いることのできるp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20について説明する。
p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20としては、シリコン単結晶からなる単結晶シリコンウェーハを用いることができる。単結晶シリコンウェーハは、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。ここで、所望の厚さのpn接合シリコンウェーハ100,200を縦型デバイスに用いる場合、デバイス形成領域の縦方向のいずれかの領域において欠陥が存在していると、この欠陥を介してpn接合間でリーク電流が発生してしまうので、デバイス特性に影響を及ぼす。従って、より良好なデバイス特性を得る観点からは、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20を転位クラスターおよび空孔凝集欠陥(COP:Crystal Originated Particle)を含まないシリコンウェーハとすることが好ましい。以下では、図4を参照して、転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハの製造方法を説明する。
シリコンウェーハの素材である単結晶シリコンインゴットの製造方法として代表的なものの1つとして、CZ法を挙げることができる。このCZ法による単結晶シリコンインゴットの製造では、石英ルツボ内に供給されたシリコン融液に種結晶を浸漬し、石英ルツボおよび種結晶を回転させながら種結晶を引き上げることにより、種結晶の下方に単結晶シリコンインゴットが育成される。
こうして育成された単結晶シリコンインゴットには、デバイスプロセスで問題となる様々の種類のGrown−in欠陥が生じることが知られている。その代表的なものは、低速な引き上げ条件での育成により格子間シリコンが優勢な領域(以下、「I領域」ともいう)に発生する転位クラスター、および高速な引き上げ条件での育成により空孔が優勢な領域(以下、「V領域」ともいう)に発生するCOPである。また、I領域とV領域との境界付近には酸化誘起積層欠陥(OSF:Oxidation induced Stacking Fault)と呼ばれるリング状に分布する欠陥が存在する。
育成された単結晶シリコンインゴットにおけるこれらの欠陥の分布は、2つの要因、すなわち、結晶の引き上げ速度Vと固液界面の温度勾配Gに依存することが知られている。図4は、固液界面における温度勾配Gに対する引き上げ速度Vの比V/Gと単結晶シリコンインゴットを構成する結晶領域との関係を示す図である。図4に示すように、単結晶シリコンインゴットは、V/Gが大きい場合には、COPが検出される結晶領域であるCOP発生領域51に支配され、V/Gが小さくなると、特定の酸化熱処理を施すとリング状のOSF領域として顕在化するOSF潜在核領域52が形成され、このOSF領域52ではCOPは検出されない。また、高速引き上げ条件で育成した単結晶シリコンインゴットから採取されたシリコンウェーハは、ウェーハの多くをCOP発生領域51が占めるため、結晶径方向のほぼ全域に亘ってCOPが発生することになる。
また、OSF潜在核領域52の内側には、酸素の析出が起きやすくCOPが検出されない結晶領域である酸素析出促進領域(以下、「Pv(1)領域」ともいう)53が形成される。
V/Gを小さくしていくと、OSF潜在核領域52の外側には、酸素析出物が存在しCOPが検出されない結晶領域である酸素析出促進領域(以下、「Pv(2)領域」ともいう)54が形成される。
引き続き、V/Gを小さくしていくと、酸素の析出が起きにくくCOPが検出されない結晶領域である酸素析出抑制領域(以下、「Pi領域」ともいう)55が形成され、転位クラスターが検出される結晶領域である転位クラスター領域56が形成される。
引き上げ速度に応じてこのような欠陥分布を示す単結晶シリコンインゴットから採取されるシリコンウェーハにおいて、COP発生領域51および転位クラスター領域56以外の結晶領域は、一般的には欠陥のない無欠陥領域と見なされる結晶領域であり、これらの結晶領域からなる単結晶シリコンインゴットから採取されるシリコンウェーハは、転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハとなる。そこで、本発明においては、COP発生領域51および転位クラスター領域56以外の結晶領域、すなわち、OSF潜在核領域52、Pv(1)領域53、Pv(2)領域54、および酸素析出抑制領域(Pi領域)55の結晶領域のいずれか、あるいはそれらの組み合わせからなる単結晶シリコンインゴットから採取されるシリコンウェーハを、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20として使用する。
ここで、本発明における「COPを含まないシリコンウェーハ」とは、以下に説明する観察評価により、COPが検出されないシリコンウェーハを意味するものとする。すなわち、まず、CZ法により育成された単結晶シリコンインゴットから切り出し加工されたシリコンウェーハに対して、SC−1洗浄(すなわち、アンモニア水と過酸化水素水と超純水とを1:1:15で混合した混合液による洗浄)を行い、洗浄後のシリコンウェーハ表面を、表面欠陥検査装置としてKLA−Tencor社製:Surfscan SP−2を用いて観察評価し、表面ピットと推定される輝点欠陥(LPD:Light Point Defect)を特定する。その際、観察モードはObliqueモード(斜め入射モード)とし、表面ピットの推定は、Wide Narrowチャンネルの検出サイズ比に基づいて行うものとする。こうして特定されたLPDに対して、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、COPか否かを評価する。この観察評価により、COPが観察されないシリコンウェーハを「COPを含まないシリコンウェーハ」とする。
一方、転位クラスターは、過剰な格子間シリコンの凝集体として形成されるサイズの大きな(10μm程度)の欠陥(転位ループ)であり、セコエッチングなどのエッチング処理を施したり、Cuデコレーションして顕在化させることにより、目視レベルで転位クラスターの有無を簡単に確認することができる。転位クラスターを含むシリコンウェーハを採用した場合には、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20に転位クラスターを起点とする欠陥(積層欠陥など)が多量に発生してしまうため、欠陥を介してpn接合間でリーク電流が発生し、デバイス特性に影響を及ぼす。
上記単結晶シリコンインゴットを育成する際に、酸素濃度が高すぎる場合には、酸素析出物に起因する欠陥が発生しやすく、OSF潜在核領域52を含む結晶領域のウェーハの場合、この欠陥のため活性化処理の際にダングリングボンドを形成することができない場合がある。これを抑制するためには、酸素濃度を低くすることが有効であり、具体的には,酸素濃度が6×1017atoms/cm以下(ASTM F121-1979)とすることが好ましい。また、デバイスプロセスにおける熱処理の際のウェーハの熱応力耐性の観点からは、1×1016atoms/cm以上とすることが好ましい。
また、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の面方位は同じであることが好ましい。具体的には、結晶方位<100>や<110>が挙げられる。p型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20との面方位が異なる場合、真空常温接合法によりp型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とを貼り合わせることはできるものの、その後の熱処理の際にpn接合シリコンウェーハを構成するp型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とが互いにずれることにより、pn接合シリコンウェーハの貼合せ界面近傍に微小欠陥が生じてしまい、この微小欠陥を起因とするリーク電流が生じるためデバイス特性に影響するからである。
以上、第1〜第3の実施形態につき、本発明によるpn接合シリコンウェーハの製造方法について説明した。しかしながら、本発明によるpn接合シリコンウェーハの製造方法についてはこれに限定されない。
(pn接合シリコンウェーハ)
次に、図1及び図2を参照して、上記製造方法により得られるpn接合シリコンウェーハ100,200について説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、pn接合シリコンウェーハ100は、p型単結晶シリコン基板10と、p型単結晶シリコン基板10と接するn型単結晶シリコン基板20とを有する。そして、pn接合シリコンウェーハ100の深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、p型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20との界面にピークを有しないことを特徴とする。
本実施形態のpn接合シリコンウェーハ100によれば、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができる。この理由については、既述の説明を援用する。
(第2の実施形態)
図2を参照して、pn接合シリコンウェーハ200は、p型単結晶シリコン基板10と、p型単結晶シリコン基板10と接し、かつ、n型単結晶シリコン基板20のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつ、厚さ50μm以下のn型シリコンエピタキシャル層32と、n型シリコンエピタキシャル層32と接するn型単結晶シリコン基板20と、を有する。そして、pn接合シリコンウェーハ200の深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、n型シリコンエピタキシャル層32とn型単結晶シリコン基板20との界面にピークを有しないことを特徴とする。
本実施形態のpn接合シリコンウェーハ200によれば、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができ、さらに、ダイオードのスイッチング特性等のデバイス特性がより向上する。これらの理由については、既述の説明を援用する。
p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20は、転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハであることが好ましい。また、p型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20の面方位は、同じであることが好ましい。これらの理由については、既述の説明を援用する。
以上、本発明によるpn接合シリコンウェーハの第1及び第2の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、pn接合シリコンウェーハは、n型単結晶シリコン基板と、n型単結晶シリコン基板と接し、かつ、p型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度をもつ、厚さ50μm以下のp型シリコンエピタキシャル層と、p型シリコンエピタキシャル層と接するp型単結晶シリコン基と、を有してもよい。この場合、pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、p型シリコンエピタキシャル層とp型単結晶シリコン基板との界面にピークを有しないことを特徴とする。なお、本実施形態の作用効果については、第2の実施形態の説明を援用する。
(発明例)
図4中のCOP発生領域51および転位クラスター領域56を含まないようにV/Gの値を公知の方法で制御して、転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハを切り出し、p型単結晶シリコン基板として、結晶方位<100>、直径200mm、ドーパントであるボロンの濃度が4.4×1014atoms/cm、酸素濃度(ASTM F121-1979)が4.0×1017atoms/cmである転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハを用意した。また、同様に転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハを切り出し、n型単結晶シリコン基板として、結晶方位<100>、直径200mm、ドーパントであるリンの濃度が1.4×1014atoms/cm、酸素濃度(ASTM F121-1979)が5.0×1017atoms/cmである転位クラスターおよびCOPを含まないシリコンウェーハを用意した。ここで、p型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板の各表層には、厚さ20Åの自然酸化膜が形成されていた。
次に、図1に示す方法に従って、発明例によるpn接合シリコンウェーハを作製した。まず、25℃、1×10−5Pa未満の真空チャンバー内に原料ガスCFを流してプラズマを発生させ、p型単結晶シリコン基板の片面と、n型単結晶シリコン基板の片面に、加速電圧で300eVにてFを照射した。ここで、フッ素イオンのドーズ量は、2×1016atoms/cmとした。これにより、p型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板の各片面をエッチング処理し、活性化面とした。なお、このエッチング処理により、p型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板の各表面から20Åおよび酸素がノックオンした領域を除去した。
引き続き真空常温下で上記両方の活性化面を接触させることで、p型単結晶シリコン基板とn型単結晶シリコン基板とを貼り合わせて、pn接合シリコンウェーハを得た。
続いて、pn接合シリコンウェーハを構成するp型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板を研削および研磨し、p型単結晶シリコン基板の厚さが100μmであり、n型単結晶シリコン基板の厚さが625μmであり、厚さが725μmのpn接合シリコンウェーハを得た。
(比較例)
まず、p型単結晶シリコン基板およびn型単結晶シリコン基板としては、発明例と同じものを用意した。次に、図5に示す方法に従って、比較例によるpn接合シリコンウェーハ300を作製した。
まず、25℃、1×10−5Pa未満の真空チャンバー内にArを流してプラズマを発生させ、表面に自然酸化膜12が形成されたp型単結晶シリコン基板10と、表面に自然酸化膜22が形成されたn型単結晶シリコン基板20とに対して、各自然酸化膜12,22側から加速電圧600eVにてArを照射する活性化処理を行い、上記両方の表面を活性化面とした。その後、引き続き真空常温下で上記両方の活性化面を接触させることで、p型単結晶シリコン基板10とn型単結晶シリコン基板20とを貼り合わせて、pn接合シリコンウェーハを得た。
続いて、pn接合シリコンウェーハを構成するp型単結晶シリコン基板10およびn型単結晶シリコン基板20を研削および研磨し、p型単結晶シリコン基板の厚さが100μmであり、n型単結晶シリコン基板の厚さが625μmであり、厚さが725μmのpn接合シリコンウェーハ300を得た。
(評価方法)
発明例および比較例において、以下の評価を行った。
<酸素の濃度分布(SIMS測定)>
まず、発明例および比較例において、pn接合シリコンウェーハの接合界面近傍の酸素の濃度分布を二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定した。測定結果を図6に示す。
引き続き、発明例および比較例によるpn接合シリコンウェーハに対して、デバイスプロセスに含まれる熱処理に相当する熱処理を施した後に、pn接合リーク測定を行った。ここで、デバイスプロセスに含まれる熱処理に相当する熱処理は、窒素雰囲気中で、1100℃、2時間とした。
<pn接合リーク測定>
発明例および比較例において、pn接合シリコンウェーハの表面にpn接合リーク測定用の電極を形成した。その後、p型単結晶シリコン基板側の表面の電圧を0Vとして、n型単結晶シリコン基板側の表面に500Vの電圧を印加して、pn接合リーク測定を行った。なお、500Vは、デバイス作動時にpn接合シリコンウェーハにかかる電圧(逆バイアス)に相当する。測定結果を表1に示す。
Figure 0006913729
(評価結果の説明)
まず、比較例では、図6(b)に示すように、貼合せ面近傍において酸素濃度プロファイルにピークが存在していた。このピークは、自然酸化膜中の酸素がpn接合シリコンウェーハに残存していることを示す。そのため、表1に示すように、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができなかった。一方、発明例では、図6(a)に示すように、貼合せ面近傍において酸素濃度プロファイルにピークが存在していなかった。これは、フッ素イオンのエッチング作用により、自然酸化膜中の酸素がpn接合シリコンウェーハから除去されたことに起因する。このとき、表1に示すように、縦型デバイスにおいてリーク電流が顕著に抑制された。
本発明によれば、縦型デバイスにおいてリーク電流を抑制することができるpn接合シリコンウェーハを得ることができる。
100,200 pn接合シリコンウェーハ
10 p型単結晶シリコン基板
10A 活性化面
12 p型単結晶シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜
20 n型単結晶シリコン基板
20A 活性化面
22 n型単結晶シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜
32 n型シリコンエピタキシャル層
32A 活性化面
34 n型シリコンエピタキシャル層の表面に形成された自然酸化膜
40 真空常温接合装置
41 プラズマチャンバー
42 ガス導入口
43 真空ポンプ
44 パルス電圧印加装置
45A,45B ウェーハ固定台
51 COP発生領域
52 OSF潜在核領域
53 酸素析出促進領域(Pv(1)領域)
54 酸素析出促進領域(Pv(2)領域)
55 酸素析出抑制領域(Pi領域)
56 転位クラスター領域

Claims (4)

  1. 活性層用p型単結晶シリコン基板と、
    前記活性層用p型単結晶シリコン基板の表面上に形成された厚さ50μm以下のn型シリコンエピタキシャル層と
    支持基板用n型単結晶シリコン基板とを有し、
    前記n型シリコンエピタキシャル層と前記支持基板用n型単結晶シリコン基板とが接合されたpn接合構造を有するシリコンウェーハであって、
    前記n型シリコンエピタキシャル層は前記支持基板用n型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高く、かつ
    前記pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、前記n型シリコンエピタキシャル層と前記支持基板用n型単結晶シリコン基板との接合界面にピークを有しないことを特徴とするpn接合シリコンウェーハ。
  2. 支持基板用n型単結晶シリコン基板と、
    前記支持基板用n型単結晶シリコン基板の表面上に形成された厚さ50μm以下のp型シリコンエピタキシャル層と
    活性層用p型単結晶シリコン基板とを有し、
    前記p型シリコンエピタキシャル層と前記活性層用p型単結晶シリコン基板とが接合されたpn接合構造を有するシリコンウェーハであって、
    前記p型シリコンエピタキシャル層は前記活性層用p型単結晶シリコン基板のドーパント濃度よりも高く、かつ
    前記pn接合シリコンウェーハの深さ方向の酸素濃度プロファイルにおいて、前記p型シリコンエピタキシャル層と前記活性層用p型単結晶シリコン基板との接合界面にピークを有しないことを特徴とするpn接合シリコンウェーハ。
  3. 前記支持基板用n型単結晶シリコン基板のドーパント濃度は、8.4×10 12 atoms/cm 以上9.0×10 14 atoms/cm 以下である、請求項1または2記載のpn接合シリコンウェーハ。
  4. 前記n型シリコンエピタキシャル層のドーパント濃度は前記支持基板用n型単結晶シリコン基板のドーパント濃度の10倍以上1000倍以下である、請求項1に記載のpn接合シリコンウェーハ。
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