以下、実施例に係る給湯暖房システム2について説明する。図1に示すように、本実施例に係る給湯暖房システム2は、タンクユニット4(給湯装置の一例)と、ヒートポンプユニット6と、熱源機ユニット8と、制御装置100を備えている。
ヒートポンプユニット6は、ヒートポンプ50と、給湯用水循環ポンプ22(流量調整手段の一例)を備えている。ヒートポンプ50は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、R744といったCO2冷媒)を循環させるための冷媒循環路52と、空気熱交換器54(蒸発器の一例)と、ファン56と、圧縮機62と、三流体熱交換器58(凝縮器の一例)と、膨張弁60(減圧機構の一例)と、冷媒バイパス路64と、開閉弁66を備えている。
空気熱交換器54は、ファン56によって送風された外気(自然環境の一例)と冷媒循環路52内の冷媒との間で熱交換させる。後で説明するように、空気熱交換器54には、膨張弁60を通過後の低圧低温の液体状態にある冷媒が供給される。空気熱交換器54は、冷媒と外気とを熱交換させることによって、冷媒を加熱する。冷媒は、加熱されることにより気化し、比較的高温で低圧の気体状態となる。
圧縮機62には、空気熱交換器54を通過後の冷媒が供給される。即ち、圧縮機62には、比較的高温で低圧の気体状態の冷媒が供給される。圧縮機62によって冷媒が圧縮されることにより、冷媒は高温高圧の気体状態となる。圧縮機62は、圧縮後の高温高圧の気体状態の冷媒を、三流体熱交換器58に送り出す。
三流体熱交換器58の冷媒循環路52には、圧縮機62から送り出された高温高圧の気体状態の冷媒が供給される。三流体熱交換器58は、冷媒循環路52内の冷媒と、後述のタンク水循環路20内の水(以下では給湯用水ともいう)との間で熱交換を行うことができる。さらに、三流体熱交換器58は、冷媒循環路52内の冷媒と、後述の第2暖房加熱路88内の水(以下では暖房用水ともいう)との間で熱交換を行うことができる。冷媒は、三流体熱交換器58での熱交換の結果、熱を奪われて凝縮する。これにより、冷媒は、比較的低温で高圧の液体状態となる。
膨張弁60には、三流体熱交換器58を通過後の比較的低温で高圧の液体状態の冷媒が供給される。冷媒は、膨張弁60を通過することによって減圧され、低温低圧の液体状態となる。膨張弁60を通過した冷媒は、上記の通り、空気熱交換器54に送られる。
冷媒バイパス路64は、一端が膨張弁60の上流側に接続され、他端が膨張弁60の下流側に接続されている。冷媒バイパス路64内には、開閉弁66が備えられている。
ヒートポンプ50において、開閉弁66を閉じた状態で、圧縮機62を作動させると、冷媒循環路52内の冷媒は、空気熱交換器54、圧縮機62、三流体熱交換器58、膨張弁60の順に循環する。この場合、三流体熱交換器58において、タンク水循環路20内の給湯用水、および/または、第2暖房加熱路88内の暖房用水が加熱される。
三流体熱交換器58は、冷媒の入口521と、冷媒の出口522と、給湯用水の入口201と、給湯用水の出口202と、暖房用水の入口881と、暖房用水の出口882を備えている。三流体熱交換器58には冷媒の入口521から気体状態の冷媒が流入し、冷媒の出口522から液体状態の冷媒が流出する。また、三流体熱交換器58には給湯用水の入口201から給湯用水が流入し、給湯用水の出口202から給湯用水が流出する。また、三流体熱交換器58には暖房用水の入口881から暖房用水が流入し、暖房用水の出口882から暖房用水が流出する。三流体熱交換器58の冷媒の入口521側は、給湯用水の出口202側と暖房用水の出口882側に対応している。また、三流体熱交換器58の冷媒の出口522側は、給湯用水の入口201側と暖房用水の入口881側に対応している。すなわち、三流体熱交換器58において、冷媒と給湯用水は互いに対向流として流れるとともに、冷媒と暖房用水は互いに対向流として流れる。
タンクユニット4は、タンク10を備えている。タンク10は、ヒートポンプ50によって加熱された給湯用水を貯える。本実施例の給湯用水は、水道水である。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで給湯用水が貯留される。タンク10には、サーミスタ12、14、16、18がタンク10の高さ方向に略均等間隔で取り付けられている。例えば、各サーミスタ12、14、16、18は、それぞれ、タンク10の頂部から10L、30L、50L、70Lの位置に取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の給湯用水の温度を測定する。各サーミスタ12、14、16、18の検出温度から、タンク10の蓄熱状態を特定することができる。各サーミスタ12、14、16、18は、タンク10に蓄えられている給湯用水の蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段の一例である。タンク10の蓄熱量は、タンク10の貯湯量に対応している。
タンク水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、ヒートポンプユニット6の三流体熱交換器58を通過して、下流端がタンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20には、ヒートポンプユニット6の給湯用水循環ポンプ22が介装されている。ヒートポンプユニット6において、ヒートポンプ50を作動させて、給湯用水循環ポンプ22を駆動すると、タンク10の下部の給湯用水が三流体熱交換器58に送られて加熱され、加熱された給湯用水がタンク10の上部に戻される。タンク10の内部には、低温の給湯用水の層の上に高温の給湯用水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク水循環路20の三流体熱交換器58よりも下流側には、サーミスタ21が取り付けられている。サーミスタ21は、ヒートポンプ50からタンク10へ送られる給湯用水の温度を検出する。
水道水導入路24は、上流端が給湯暖房システム2の外部の水道水供給源32に接続されている。水道水導入路24の下流側は、第1導入路24aと第2導入路24bに分岐している。第1導入路24aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路24bの下流端は、第1給湯路36の途中に接続されている。第1導入路24aには、逆止弁26が介装されている。第2導入路24bには、逆止弁28が介装されている。
第1給湯路36は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、第1給湯路36の途中には、水道水導入路24の第2導入路24bが接続されている。第1給湯路36と第2導入路24bの接続部には、混合弁30が介装されている。混合弁30は、タンク10の上部から第1給湯路36へ流入する高温の給湯用水の流量と、第2導入路24bから第1給湯路36へ流入する低温の水道水の流量の割合を調整する。第2導入路24bとの接続部より下流側の第1給湯路36は、熱源機ユニット8の給湯加熱路37を通過して、第2給湯路39へ接続している。第1給湯路36と第2給湯路39の間は、熱源機バイパス路33によって接続されている。熱源機バイパス路33にはバイパス弁34が介装されている。第2給湯路39の下流端は給湯栓38に接続されている。
熱源機ユニット8は、シスターン70と、暖房用バーナ82(補助熱源機の一例)と、給湯用バーナ81を備えている。シスターン70は、上部が開放されている容器であり、内部に暖房用水を貯留している。本実施例の暖房用水は例えば不凍液である。シスターン70には、暖房往路72の上流端が接続されている。暖房往路72には、暖房用水循環ポンプ74が介装されている。暖房用水循環ポンプ74を駆動すると、シスターン70内の暖房用水が暖房往路72に流れ込む。
暖房往路72の下流端は、第1暖房加熱路73と、低温暖房循環路75に分岐している。低温暖房循環路75には、低温暖房機78が取り付けられる。本実施例の低温暖房機78は、例えば床暖房機である。低温暖房機78は、供給される暖房用水の熱を利用して暖房する。第1暖房加熱路73には、暖房用バーナ82が介装されている。暖房用バーナ82は、第1暖房加熱路73内の暖房用水を加熱する。第1暖房加熱路73の下流端は、高温暖房循環路77と追い焚き循環路79に分岐している。高温暖房循環路77には、高温暖房機76(暖房装置の一例)が取り付けられる。本実施例の高温暖房機76は、例えば浴室暖房乾燥機である。高温暖房機76は、供給される暖房用水の熱を利用して暖房する。低温暖房循環路75と高温暖房循環路77は、それぞれの下流端で合流して、第1暖房復路84の上流端へ接続している。
第1暖房復路84の下流端は、タンクユニット4において、第2暖房加熱路88とHPバイパス路94に分岐している。第1暖房復路84の下流端には、暖房用水調整弁90が設けられている。暖房用水調整弁90は、その開度を変化させることによって、第1暖房復路84から第2暖房加熱路88へ流れる暖房用水の流量と、第1暖房復路84からHPバイパス路94へ流れる暖房用水の流量の割合を変化させることができる。本実施例の暖房用水調整弁90には、例えば三方弁が用いられる。第2暖房加熱路88は、ヒートポンプユニット6の三流体熱交換器58を通過して、第2暖房復路96の上流端へ接続している。第2暖房加熱路88の三流体熱交換器58よりも下流側には、サーミスタ89(温度検出手段の一例)が取り付けられている。サーミスタ89は、三流体熱交換器58を通過した暖房用水の温度を検出する。HPバイパス路94は、ヒートポンプユニット6の三流体熱交換器58を通過することなく、第2暖房復路96の上流端へ接続している。第2暖房復路96は、下流端が熱源機ユニット8のシスターン70に接続している。
追い焚き循環路79には、追い焚き熱動弁83と、追い焚き熱交換器97が介装されている。追い焚き熱動弁83は、追い焚き循環路79を開閉する。追い焚き熱交換器97では、追い焚き循環路79を流れる暖房用水と、浴槽水循環路91を流れる浴槽水の間で熱交換が行われる。追い焚き循環路79の下流端は、第2暖房復路96に接続している。
浴槽水循環路91の上流端は、浴槽98の底部に接続している。浴槽水循環路91の下流端は、浴槽98の側部に接続している。浴槽水循環路91には、浴槽水循環ポンプ99が介装されている。浴槽水循環ポンプ99が駆動すると、浴槽98の底部から吸い出された浴槽水が、追い焚き熱交換器97を通過して、浴槽98の側部へ戻される。
給湯加熱路37には、給湯用バーナ81が介装されている。給湯加熱路37の給湯用バーナ81よりも下流側から、浴槽注湯路40が分岐している。浴槽注湯路40には、浴槽注湯路40を開閉する注湯電磁弁42が介装されている。浴槽注湯路40の下流端は、浴槽水循環ポンプ99に接続している。
制御装置100は、タンクユニット4、ヒートポンプユニット6、熱源機ユニット8の各構成要素の動作を制御する。
(給湯暖房システムの動作)
次いで、本実施例の給湯暖房システム2の動作について説明する。以下では、給湯暖房システム2が実施する、給湯加熱運転、給湯運転および暖房加熱運転について順に説明する。
(給湯加熱運転)
給湯加熱運転では、タンク10内の給湯用水をヒートポンプ50で加熱し、高温となった給湯用水をタンク10に戻す。給湯加熱運転を実行する際には、制御装置100は圧縮機62およびファン56を駆動してヒートポンプ50を作動させるとともに、給湯用水循環ポンプ22を駆動する。この際、ヒートポンプ50では、開閉弁66を閉じた状態で圧縮機62を駆動する。
圧縮機62の駆動により、冷媒循環路52内の冷媒は、空気熱交換器54、圧縮機62、三流体熱交換器58、膨張弁60の順に循環する。この場合、三流体熱交換器58を通過する冷媒循環路52内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、給湯用水循環ポンプ22の駆動により、タンク水循環路20内をタンク10内の給湯用水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する給湯用水がタンク水循環路20内に導入され、導入された給湯用水が三流体熱交換器58を通過する際に、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱され、加熱された給湯用水がタンク10の上部に戻される。この際、サーミスタ21で検出される給湯用水の温度が、沸上げ設定温度となるように、ヒートポンプ50の動作が制御される。給湯加熱運転における沸上げ設定温度は例えば47℃である。サーミスタ21によって検出される給湯用水の温度が沸上げ設定温度(例えば47℃)になるように給湯用水が加熱される。これにより、タンク10に高温の給湯用水が貯められる。タンク10の内部が高温の給湯用水で満たされた満蓄状態となると、給湯加熱運転を終了する。
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の給湯用水を給湯栓38に供給する運転である。給湯運転は、上記の給湯加熱運転と並行して行うこともできる。給湯栓38が開かれると、水道水供給源32からの水圧によって、水道水導入路24(第1導入路24a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の給湯用水が、第1給湯路36を介して給湯栓38に供給される。
制御装置100は、タンク10から第1給湯路36に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁30を駆動して第2導入路24bから第1給湯路36に水道水を導入する。従って、タンク10から供給された給湯用水と第2導入路24bから供給された水道水とが、第1給湯路36内で混合される。制御装置100は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁30の開度を調整する。一方、制御装置100は、タンク10から第1給湯路36に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、給湯用バーナ81によって給湯加熱路37を通過する給湯用水を加熱する。制御装置100は、給湯栓38に供給される給湯用水の温度が、給湯設定温度と一致するように、給湯用バーナ81の出力を制御する。
(暖房加熱運転)
暖房加熱運転は、ヒートポンプ50によって暖房用水を加熱し、高温となった暖房用水を用いて低温暖房機78や高温暖房機76によって暖房する運転である。利用者によって暖房加熱運転の実行が指示されると、制御装置100は、暖房用水調整弁90の開度を低温暖房機78や高温暖房機76の負荷に応じて調整し、暖房用水循環ポンプ74を回転させる。さらに、制御装置100は、開閉弁66を閉じた状態で圧縮機62およびファン56を駆動する。これによって、三流体熱交換器58で加熱された暖房用水が、シスターン70を経て、低温暖房機78や高温暖房機76に供給される。さらに、制御装置100は、必要に応じて暖房用バーナ82を作動する。これにより、高温暖房機76には、暖房用バーナ82での加熱によってさらに高温となった暖房用水が供給される。暖房運転においては、低温暖房機78に供給される暖房用水の温度が低温暖房設定温度となるように、また高温暖房機76に供給される暖房用水の温度が高温暖房設定温度となるように、暖房用水調整弁90の開度や、ヒートポンプ50の動作や、暖房用バーナ82の出力が調整される。
(給湯加熱運転と暖房加熱運転の同時実行)
給湯暖房システム2において、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行されると、ヒートポンプ50の三流体熱交換器58では、給湯用水の加熱と暖房用水の加熱が同時に行われる。
給湯暖房システム2では、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行される場合に、制御装置100が、暖房用バーナ82の点火/消火処理を行う。また、制御装置100が、タンク水循環路20を流れる給湯用水の増減処理を行う。これらの処理について以下に説明する。
(暖房用バーナ82の点火/消火処理)
暖房用バーナ82の点火/消火処理について説明する。図2に示すように、この処理のステップS101では、制御装置100が、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度を監視し、検出される暖房用水の温度が所定の点火基準温度(図3参照)以下であるか否かを判断する。ステップS101における点火基準温度は例えば36℃である。暖房用水の温度が点火基準温度(36℃)以下である場合は、ステップS101で制御装置100がYESと判断してステップS102に進む。一方、暖房用水の温度が点火基準温度(36℃)以下でない場合は、制御装置100がNOと判断して温度の監視を続ける。
続いてステップS102では、制御装置100が、第1暖房加熱路73に介装されている暖房用バーナ82を点火させる。暖房用バーナ82が点火すると、第1暖房加熱路73内の暖房用水が補助加熱されて暖房用水の温度が上昇する。
図3に示すように、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度は、暖房用水の加熱状況によって変化する。暖房用水が加熱されると温度が上昇し、暖房用水が加熱されなくなると温度が低下する。
図2に示すように、続いてステップS103では、制御装置100が、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度を再び監視し、検出される暖房用水の温度が所定の消火基準温度(図3参照)以上であるか否かを判断する。ステップS103における消火基準温度は例えば45℃である。暖房用水の温度が消火基準温度(45℃)以上である場合は、ステップS103で制御装置100がYESと判断してステップS104に進む。一方、暖房用水の温度が消火基準温度(45℃)以上でない場合は、制御装置100がNOと判断して温度の監視を続ける。
続いてステップS104では、制御装置100が、第1暖房加熱路73に介装されている暖房用バーナ82を消火させる。暖房用バーナ82が消火すると、第1暖房加熱路73内の暖房用水が補助加熱されなくなる。ステップS104の処理が終了すると、再びステップS101の処理に戻る。
(給湯用水の第1増減処理)
次に給湯用水の第1増減処理について説明する。図4に示すように、この処理のステップS111では、制御装置100が、暖房用バーナ82が点火しているか否かを判断する。暖房用バーナ82が点火している場合は、ステップS111で制御装置100がYESと判断してステップS112に進む。一方、暖房用バーナ82が点火していない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS121に進む。
続いてステップS112では、制御装置100が、タンク10の貯湯量が所定の貯湯量(例えば30L)以上であるか否かを判断する。制御装置100は、タンク10に取り付けられている各サーミスタ12、14、16、18の検出温度に基づいてタンク10の貯湯量を特定する。タンク10の貯湯量が所定の貯湯量(例えば30L)以上である場合は、ステップS112で制御装置100がYESと判断してステップS113に進む。一方、タンク10の貯湯量が所定の貯湯量以上でない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS121に進む。
タンク10の貯湯量は、タンク10に蓄えられている給湯用水の蓄熱量に対応している。蓄熱量が多い場合は貯湯量が多く、蓄熱量が少ない場合は貯湯量が少なくなる。したがって、ステップS112では、制御装置100が、貯湯量の判断によって、タンク10の蓄熱量が所定の蓄熱量(例えば30Lの貯湯量に対応する第1基準蓄熱量)以上であるか否かを判断することができる。蓄熱量が所定の蓄熱量(第1基準蓄熱量)以上である場合は、ステップS112で制御装置100がYESと判断してステップS113に進む。一方、蓄熱量が所定の蓄熱量(第1基準蓄熱量)に満たない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS121に進む。
続いてステップS113では、制御装置100が、暖房用水の目標温度を高温目標温度(例えば45℃)に設定する。高温目標温度(例えば45℃)は、後述する通常目標温度(例えば40℃)より高い温度である。なお、給湯用水の目標温度は、上述した沸上げ設定温度(例えば47℃)である。暖房用水の高温目標温度(例えば45℃)は、給湯用水の沸上げ設定温度(例えば47℃)より低い温度である。
続いてステップS114では、制御装置100が、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行する。具体的には、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させる。制御装置100は、給湯用水の流量を例えば1.0L/minから0.2L/minに減少させる。
ステップS114の後に行うステップS115では、制御装置100は、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が上記のステップS113で設定した高温目標温度(例えば45℃)となり、サーミスタ21で検出される給湯用水の温度が沸上げ設定温度(例えば47℃)となるように、ヒートポンプ50の動作を制御する。具体的には、制御装置100が、ヒートポンプ50における膨張弁60の開度を調整する、および/または、圧縮機62の回転数を調整する。これによって、三流体熱交換器58で加熱された後の暖房用水の温度が上昇する。
一方、上記のステップS111又はS112でNOと判断された後のステップS121では、制御装置100が、暖房用水の目標温度を通常目標温度(例えば40℃)に設定する。通常目標温度(例えば40℃)は、上述した高温目標温度(例えば45℃)より低い温度である。
続いてステップS122では、制御装置100が、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を通常の流量にする。制御装置100は、給湯用水の流量が既に通常の流量である場合は、その流量を維持する。一方、制御装置100は、給湯用水の流量が減少している場合(上記のステップS114参照)は、給湯用水の流量を増大させる増大処理を実行する。具体的には、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を増大させる。制御装置100は、給湯用水の流量を例えば0.2L/minから1.0L/minに増大させる。制御装置100は、給湯用水の流量を増大させて通常の流量に戻す。このステップS122では、給湯用水の流量を減少させる減少処理は禁止される。
ステップS122の後に行うステップS115では、制御装置100は、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が上記のS121で設定した通常目標温度(例えば40℃)となり、サーミスタ21で検出される給湯用水の温度が沸上げ設定温度(例えば47℃)となるように、ヒートポンプ50の動作を制御する。具体的には、制御装置100が、ヒートポンプ50における膨張弁60の開度を調整する、および/または、圧縮機62の回転数を調整する。これによって、三流体熱交換器58で加熱された後の暖房用水の温度が低下する。
(給湯用水の第2増減処理)
次に給湯用水の第2増減処理について説明する。この処理では、暖房用バーナ82が常に消火している(点火していない)。図5に示すように、この処理のステップS131では、制御装置100が、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度を監視し、検出される暖房用水の温度が所定の第1基準温度(例えば40℃)以下であるか否かを判断する。暖房用水の温度が第1基準温度(例えば40℃)以下である場合は、ステップS131で制御装置100がYESと判断してステップS132に進む。一方、暖房用水の温度が第1基準温度以下でない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS141に進む。
ステップS131では、制御装置100が、暖房用水の温度が所定の第1基準時間にわたって所定の第1基準温度以下であるか否かを判断してもよい。ステップS131における第1基準時間は例えば1分である。暖房用水の温度が第1基準時間(1分)にわたって第1基準温度(40℃)以下である場合は、ステップS131で制御装置100がYESと判断してステップS132に進む。そうでない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS141に進む。
続いてステップS132では、制御装置100が、タンク10の貯湯量が所定の貯湯量(例えば30L)以上であるか否かを判断する。制御装置100は、タンク10に取り付けられている各サーミスタ12、14、16、18の検出温度に基づいてタンク10の貯湯量を特定する。タンク10の貯湯量が所定の貯湯量(例えば30L)以上である場合は、ステップS132で制御装置100がYESと判断してステップS133に進む。一方、タンク10の貯湯量が所定の貯湯量以上でない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS141に進む。
タンク10の貯湯量は、タンク10に蓄えられている給湯用水の蓄熱量に対応している。蓄熱量が多い場合は貯湯量が多く、蓄熱量が少ない場合は貯湯量が少なくなる。したがって、ステップS132では、制御装置100が、貯湯量の判断によって、タンク10の蓄熱量が所定の蓄熱量(例えば30Lの貯湯量に対応する第2基準蓄熱量)以上であるか否かを判断することができる。蓄熱量が所定の蓄熱量(第2基準蓄熱量)以上である場合は、ステップS132で制御装置100がYESと判断してステップS133に進む。一方、蓄熱量が所定の蓄熱量(第2基準蓄熱量)に満たない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS141に進む。
続いてステップS133では、制御装置100が、暖房用水の目標温度を高温目標温度(例えば45℃)に設定する。高温目標温度(例えば45℃)は、後述する通常目標温度(例えば40℃)より高い温度である。なお、給湯用水の目標温度は、上述した沸上げ設定温度(例えば47℃)である。暖房用水の高温目標温度(例えば45℃)は、給湯用水の沸上げ設定温度(例えば47℃)より低い温度である。
続いてステップS134では、制御装置100が、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行する。具体的には、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させる。制御装置100は、給湯用水の流量を例えば1.0L/minから0.2L/minに減少させる。
ステップS134の後に行うステップS135では、制御装置100は、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が上記のステップS133で設定した高温目標温度(例えば45℃)となり、サーミスタ21で検出される給湯用水の温度が沸上げ設定温度(例えば47℃)となるように、ヒートポンプ50の動作を制御する。具体的には、制御装置100が、ヒートポンプ50における膨張弁60の開度を調整する、および/または、圧縮機62の回転数を調整する。これによって、三流体熱交換器58で加熱された後の暖房用水の温度が上昇する。
一方、上記のステップS131又はS132でNOと判断された後のステップS141では、制御装置100が、暖房用水の目標温度を通常目標温度(例えば40℃)に設定する。通常目標温度(例えば40℃)は、上述した高温目標温度(例えば45℃)より低い温度である。
続いてステップS142では、制御装置100が、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を通常の流量にする。制御装置100は、給湯用水の流量が既に通常の流量である場合は、その流量を維持する。一方、制御装置100は、給湯用水の流量が減少している場合(上記のステップS134参照)は、給湯用水の流量を増大させる増大処理を実行する。具体的には、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を増大させる。制御装置100は、給湯用水の流量を例えば0.2L/minから1.0L/minに増大させる。制御装置100は、給湯用水の流量を増大させて通常の流量に戻す。このステップS142では、給湯用水の流量を減少させる減少処理は禁止される。
ステップS142の後に行うステップS135では、制御装置100は、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が上記のS141で設定した通常目標温度(例えば40℃)となり、サーミスタ21で検出される給湯用水の温度が沸上げ設定温度(例えば47℃)となるように、ヒートポンプ50の動作を制御する。具体的には、制御装置100が、ヒートポンプ50における膨張弁60の開度を調整する、および/または、圧縮機62の回転数を調整する。これによって、三流体熱交換器58で加熱された後の暖房用水の温度が低下する。
以上、実施例に係る給湯暖房システム2について説明した。上記の説明から明らかなように、給湯暖房システム2は、ヒートポンプ50と暖房用バーナ82とタンク10を備えている。ヒートポンプ50は、冷媒を加圧する圧縮機62と、冷媒と給湯用水の間で熱交換させるとともに、冷媒と暖房用水の間で熱交換させることで、冷媒を凝縮させる三流体熱交換器58と、冷媒を減圧する膨張弁60と、冷媒と自然環境の間で熱交換させることで、冷媒を蒸発させる空気熱交換器54を備えている。暖房用バーナ82は、暖房用水を燃料の燃焼によって加熱する。タンク10は、ヒートポンプ50によって加熱された給湯用水を蓄える。また、給湯暖房システム2は、給湯用水を利用して給湯するタンクユニット4と、暖房用水を利用して暖房する高温暖房機76および低温暖房機78と、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を調整する給湯用水循環ポンプ22と、制御装置100を備えている。この給湯暖房システム2では、ヒートポンプ50によって給湯用水を加熱する給湯加熱運転と、ヒートポンプ50によって暖房用水を加熱する暖房加熱運転と、暖房用バーナ82によって暖房用水を加熱する補助加熱運転を実行可能である。給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されている場合に、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行する(ステップS114参照)。
この構成によれば、給湯用水と暖房用水がヒートポンプ50によって同時に加熱され、暖房用水が暖房用バーナ82によって加熱される場合に、給湯用水の温度を低下させることなく、暖房用水の温度を高めることができる。このメカニズムについては後述する。なお、上記の給湯暖房システム2において制御装置100が給湯用水の流量を減少させる減少処理には、給湯用水の循環を停止させて給湯用水の流量をゼロにする処理も含まれる。
また、上記の給湯暖房システム2は、タンク10に蓄えられている給湯用水の蓄熱量を検出するサーミスタ12、14、16、18を更に備えている。サーミスタ12、14、16、18によって検出される蓄熱量が所定の第1基準蓄熱量(例えば30Lの貯湯量に対応する蓄熱量)に満たない場合に、制御装置100が減少処理を禁止する(ステップS112、S122参照)。
タンク10の蓄熱量が所定の第1基準蓄熱量に満たない場合には蓄熱量を速やかに増大させることが望ましい。この場合には、ヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量を減少させることは望ましくない。したがって、この場合には制御装置100が減少処理を禁止する。この構成によれば、ヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量を維持することができ、給湯用水の流量が減少しない分だけ多くの給湯用水を加熱することができ、タンク10の蓄熱量を速やかに増大させることができる。
また、上記の給湯暖房システム2では、減少処理が実行された後に、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない場合に、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を増大させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を増大させる増大処理を実行する(ステップS134、S142参照)。
減少処理が実行された後に、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない場合には、暖房用水の温度が十分に高くなっていると考えられるので、暖房用水の加熱に利用される熱量を減少させてもよい。また、減少処理が実行された後の給湯暖房システム2では、タンク10への蓄熱に長時間を必要とするので、給湯暖房システム2の動作を通常の動作に復帰させることが好ましい。そのため、この場合には、制御装置100が増大処理を実行する。この構成によれば、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行されている状態でヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量が増大するので、給湯用水の加熱に利用される熱量が相対的に増大し、暖房用水の加熱に利用される熱量が相対的に減少する。また、給湯暖房システム2の動作を通常の動作に復帰させることができる。
上記の給湯暖房システム2において、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行される場合に、制御装置100が給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行すると、三流体熱交換器58から流出する給湯用水の温度が変化することなく、三流体熱交換器58から流出する暖房用水の温度が上昇する。このメカニズムについて図面を参照して説明する。
図6と図7は、ヒートポンプ50における冷媒のモリエル線図である。図6と図7において、縦軸が冷媒の温度(℃)であり、横軸が冷媒の比エンタルピー(kJ/kg)である。また、図6と図7において、A−B間は冷媒の加圧過程であり、B−C間は冷媒の凝縮過程であり、C−D間は冷媒の減圧過程であり、D−A間は冷媒の蒸発過程である。また、B−C間の冷媒の凝縮過程のうち、特にJ−C間は冷媒の過冷却領域を示している。図6は、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる前の状態の図である。図7は、タンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させた後の状態の図である。
図6と図7のC点は、冷媒の凝縮過程が終了した後の三流体熱交換器58の冷媒の出口522における冷媒の状態を示している。図6と図7のC点を比較すると、給湯用水の流量の減少後(図7)の冷媒の温度が、給湯用水の流量の減少前(図6)の冷媒の温度よりも高くなっている。給湯用水の流量の減少前(図6)では、冷媒の出口522における冷媒の温度(C点)は20℃である。給湯用水の流量の減少後(図7)では、冷媒の出口522における冷媒の温度(C点)は30℃である。このときの冷媒は過冷却液の状態である。図6および図7から明らかなように、給湯用水の流量の減少後では、減少前よりも、給湯用水に奪われる冷媒の熱量が少なくなるので、冷媒の過冷却領域(J−C間の領域)が短くなり、三流体熱交換器58の冷媒の出口522における冷媒の温度が高くなる。なお、冷媒の入口521における冷媒の温度(B点)は、給湯用水の流量の減少後も、減少前も、80℃で変化しない。このときの冷媒は過熱蒸気の状態である。また、冷媒の凝縮温度(J点)は43℃である。
図6と図7のE点は、三流体熱交換器58の暖房用水の入口881における暖房用水の温度を示している。図6および図7では、暖房用水の入口881における暖房用水の温度(E点)は34℃としている。暖房用水は暖房のために循環している暖かい水なので、暖房用水の入口881における暖房用水の温度(E点)は、給湯用水の入口201における給湯用水の温度(G点)と比較して高温である。図6と図7のL1線は、暖房用水が三流体熱交換器58を通過する過程(すなわち、冷媒の凝縮過程)における暖房用水の温度を示している。図6と図7のF点は、三流体熱交換器58の暖房用水の出口882における暖房用水の温度を示している。暖房用水は、三流体熱交換器58を通過する過程で冷媒との熱交換によって加熱される。その一方で冷媒が凝縮する。
図6と図7に示すように、三流体熱交換器58の暖房用水の入口881における暖房用水の温度(E点)は、冷媒の出口522における冷媒の温度(C点)よりも高温である。また、図1に示すように、三流体熱交換器58の暖房用水の入口881側は、冷媒の出口522側に対応している。そのため、三流体熱交換器58の暖房用水の入口881側(冷媒の出口522側)では、高温の暖房用水の熱が低温の冷媒に移動する。その結果、図6と図7のL1線のように、暖房用水の温度が一時的に低下する。
図6と図7のL1線を比較すると、給湯用水の流量の減少後(図7)では、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、暖房用水の温度の低下が比較的小さくなっている。上述したように、給湯用水の流量の減少後(図7)では、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、冷媒の過冷却領域(J−C間の領域)が短くなり、三流体熱交換器58の冷媒の出口522における冷媒の温度(C点)が高くなる。そのため、L1線で示すように、給湯用水の流量の減少後(図7)では、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、暖房用水から冷媒への熱移動が小さくなるので、暖房用水の温度低下が比較的小さくなる。
また、暖房用水は、三流体熱交換器58を通過する過程で冷媒との熱交換によって加熱される。その結果、暖房用水の温度が上昇する。図6と図7のF点を比較すると、給湯用水の流量の減少後(図7)では、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、三流体熱交換器58の暖房用水の出口882における暖房用水の温度が高くなっている。上述したように、給湯用水の流量の減少後(図7)では、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、三流体熱交換器58の暖房用水の入口881側(冷媒の出口522側)での暖房用水の温度の一時的な低下が比較的小さかったので、その分、三流体熱交換器58の暖房用水の出口882における暖房用水の温度が比較的高くなる。給湯用水の流量の減少前(図6)では、暖房用水の出口882における暖房用水の温度(F点)は40℃である。給湯用水の流量の減少後(図7)では、暖房用水の出口882における暖房用水の温度(F点)は45℃である。
次に、給湯用水の温度について説明する。図6と図7のG点は、三流体熱交換器58の給湯用水の入口201における給湯用水の温度を示している。給湯用水はタンク10の下部から供給される冷たい水なので、給湯用水の入口201における給湯用水の温度(G点)は、暖房用水の入口881における暖房用水の温度(E点)と比較して低温である。図6と図7のL2線は、給湯用水が三流体熱交換器58を通過する過程(すなわち、冷媒の凝縮過程)における給湯用水の温度を示している。図6と図7のH点は、三流体熱交換器58の給湯用水の出口202における給湯用水の温度を示している。給湯用水は、三流体熱交換器58を通過する過程で冷媒との熱交換によって加熱される。給湯用水と暖房用水が三流体熱交換器58で同時に加熱される。給湯用水の入口201における給湯用水の温度(G点)は9℃である。給湯用水の出口202における給湯用水の温度(H点)は47℃である。
図6と図7に示すように、三流体熱交換器58の給湯用水の入口201における給湯用水の温度(G点)は、冷媒の出口522における冷媒の温度(C点)よりも低温である。また、図1に示すように、三流体熱交換器58の給湯用水の入口201側は、冷媒の出口522側に対応している。そのため、三流体熱交換器58の給湯用水の入口201側(冷媒の出口522側)では、高温の冷媒の熱が低温の給湯用水に移動する。その結果、図6と図7のL2線のように、給湯用水の温度は、暖房用水の温度と異なり、一時的に低下しない。
給湯用水は、三流体熱交換器58を通過する過程で冷媒との熱交換によって加熱される。その結果、給湯用水の温度が上昇する。給湯用水の温度は、図6と図7のL2線のように、一時的に低下せずに常に上昇する。三流体熱交換器58では給湯用水の熱が冷媒に移動することがないので、給湯用水の温度が一時的に低下せずに上昇する。三流体熱交換器58の給湯用水の出口202側(冷媒の入口521側)では、給湯用水の温度(H点)は、暖房用水の温度(F点)より高くなる。また、給湯用水の温度(H点)は、給湯用水の流量の減少前(図6)と流量の減少後(図7)でほぼ同じ温度にできる。三流体熱交換器58で給湯用水の熱が奪われないので、給湯用水の温度(H点)は、給湯用水の流量の減少前(図6)と流量の減少後(図7)でほぼ同じ温度にできる。暖房用水の温度(F点)は、上述したように、給湯用水の流量の減少前(図6)よりも、暖房用水の温度の一時的な低下が比較的小さい給湯用水の流量の減少後(図7)の方が高くなる。
以上のようなメカニズムにより、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行される場合に、制御装置100が給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行すると、三流体熱交換器58から流出する給湯用水の温度が変化することなく、三流体熱交換器58から流出する暖房用水の温度が上昇する。そのため、給湯用水の流量の減少後(図7)では、三流体熱交換器58から流出する給湯用水の温度を低下させることなく、三流体熱交換器58から流出する暖房用水の温度(F点)を消火基準温度(45℃)まで高めることができる。その結果、暖房用バーナ82を消火することができ、暖房用バーナ82における燃料の燃焼を抑制してエネルギー効率を高めることができる。
また、上記の給湯暖房システム2は、ヒートポンプ50によって加熱された暖房用水の温度を検出するサーミスタ89を備えている。この給湯暖房システム2では、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない状態で、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が所定の第1基準温度(例えば40℃)以下である場合に、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を減少させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させる減少処理を実行する(ステップS131、S134参照)。
この構成によれば、上記と同様のメカニズムにより、制御装置100がタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を減少させると、三流体熱交換器58から流出する給湯用水の温度を低下させることなく、三流体熱交換器58から流出する暖房用水の温度を高めることができる。そのため、給湯用水の流量の減少後(図7)では、暖房用水の温度(F点)を点火基準温度(36℃)以上に維持することができ、暖房用バーナ82が消火している状態を維持することができる。その結果、暖房用バーナ82における燃料の燃焼を抑制してエネルギー効率を高めることができる。
また、上記の給湯暖房システム2では、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない状態で、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が所定の第1基準時間(例えば1分)にわたって所定の第1基準温度(例えば40℃)以下である場合に、制御装置100が、減少処理を実行してもよい(ステップS131、S134参照)。
この構成によれば、暖房用水の温度が第1基準温度以下であるか否かを制御装置100が判断する際に第1基準時間の猶予がある。そのため、暖房用水の温度が短時間のうちに突発的に変化したとしても、猶予期間(第1基準時間)内での温度変化であれば、減少処理が実行されない。したがって、暖房用水の温度が突発的に変化したとしても、それによって給湯用水の流量が減少することがなく、給湯用水の流量を適切に管理することができる。これによって、暖房用水の温度を適切に管理することができる。
また、給湯暖房システム2は、タンク10に蓄えられている給湯用水の蓄熱量を検出するサーミスタ12、14、16、18を備えている。サーミスタ12、14、16、18によって検出される蓄熱量が所定の第2基準蓄熱量(例えば30Lの貯湯量に対応する蓄熱量)に満たない場合に、制御装置100が、減少処理を禁止する(ステップS132、S142参照)。
タンク10の蓄熱量が所定の第2基準蓄熱量に満たない場合には蓄熱量を速やかに増大させることが望ましい。この場合には、ヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量を減少させることは望ましくない。したがって、この場合には、制御装置100が減少処理を禁止する。この構成によれば、ヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量を維持することができ、給湯用水の流量が減少しない分だけ多くの給湯用水を加熱することができ、タンク10の蓄熱量を速やかに増大させることができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
他の実施例では、図8に示すように、給湯用水の第2増減処理において、制御装置100がステップS151の処理を実行してもよい。ステップS151は、ステップS133、S134およびS135の後に実行される。ステップS151では、制御装置100が、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度を監視し、検出される暖房用水の温度が所定の第2基準温度(例えば42℃)以上であるか否かを判断する。暖房用水の温度が第2基準温度(例えば42℃)以上である場合は、ステップS151で制御装置100がYESと判断してステップS141に進む。一方、暖房用水の温度が第2基準温度以上でない(未満である)場合は、制御装置100がNOと判断してステップS133に戻る。第2基準温度(例えば42℃)は、上述した第1基準温度(例えば40℃)より高い温度である(図3参照)。
ステップS151では、制御装置100が、暖房用水の温度が所定の第2基準時間にわたって所定の第2基準温度以上であるか否かを判断してもよい。ステップS151における第2基準時間は例えば1分30秒である。暖房用水の温度が第2基準時間(1分30秒)にわたって第2基準温度(42℃)以上である場合は、ステップS151で制御装置100がYESと判断してステップS141に進む。そうでない場合は、制御装置100がNOと判断してステップS133に戻る。なお、ステップS151以外のステップS131〜S142の処理については上述したので詳細な説明を省略する。
上記の給湯暖房システム2では、減少処理が実行された後に、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない状態で、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が所定の第2基準温度(例えば42℃)以上である場合は、制御装置100が、給湯用水循環ポンプ22の回転数を増大させてタンク10とヒートポンプ50の間を循環する給湯用水の流量を増大させる増大処理を実行する(ステップS134、S151、S142参照)。
減少処理が実行された後に、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない状態で、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が所定の第2基準温度以上である場合には、暖房用水の温度が十分に高くなっていると考えられるので、暖房用水の加熱に利用される熱量を減少させてもよい。また、減少処理が実行された後の給湯暖房システム2では、タンク10への蓄熱に長時間を必要とするので、給湯暖房システム2の動作を通常の動作に復帰させることが好ましい。そのため、この場合には、制御装置100が増大処理を実行する。この構成によれば、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行されている状態でヒートポンプ50によって加熱される給湯用水の流量が増大するので、給湯用水の加熱に利用される熱量が相対的に増大し、暖房用水の加熱に利用される熱量が相対的に減少する。また、給湯暖房システム2の動作を通常の動作に復帰させることができる。
また、上記の給湯暖房システム2では、減少処理が実行された後に、給湯加熱運転と暖房加熱運転が同時に実行され、かつ、補助加熱運転が実行されていない状態で、サーミスタ89によって検出される暖房用水の温度が所定の第2基準時間(例えば1分30秒)にわたって所定の第2基準温度(例えば42℃)以上である場合に、制御装置100が増大処理を実行してもよい(ステップS134、S151、S142参照)。
この構成によれば、暖房用水の温度が第2基準温度以上であるか否かを制御装置100が判断する際に第2基準時間の猶予がある。暖房用水の温度が短時間のうちに突発的に変化したとしても、猶予期間(第2基準時間)内での温度変化であれば、増大処理が実行されない。そのため、暖房用水の温度が突発的に変化したとしても、それによって給湯用水の流量が増大することがなく、給湯用水の流量を適切に管理することができる。これによって、暖房用水の温度を適切に管理することができる。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。