この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における暖房給湯装置の回路構成を示す図である。図1を参照して、本実施の形態における暖房給湯装置10は、暖房端末16に加熱された被加熱流体を供給する暖房運転と、給湯端末52に加熱された水(湯)を供給する給湯運転とを行なうことが可能な装置である。
暖房給湯装置10は、その回路構成として、ヒートポンプサイクルを構成し、冷媒が循環する冷凍回路21と、暖房端末16に供給される被加熱流体が循環する被加熱流体回路23と、給湯端末52に供給される水が流れる給湯回路25とを有する。
なお、本実施の形態では、暖房端末16に供給される被加熱流体が水である場合について説明するが、被加熱流体は、熱媒体として利用可能な流体であれば、特に限定されるものではない。
暖房給湯装置10は、ヒートポンプユニット12およびタンクユニット14から構成されている。
冷凍回路21には、冷媒が循環されている。冷凍回路21を循環する冷媒としては、たとえば、HC(ハイドロカーボン)やHFC(ハイドロフロオロカーボン)が利用される。
冷凍回路21は、その回路構成として、環状路21mと、バイパス路21pおよびバイパス路21qとを有する。環状路21mは、環状に周回するように設けられている。環状路21mは、ヒートポンプユニット12およびタンクユニット14の間に渡って設けられている。環状路21mの経路上には、水(被加熱流体)−冷媒熱交換器31、圧縮機33、空気−冷媒熱交換器35および膨張弁37が設けられている。
水−冷媒熱交換器31は、タンクユニット14に設けられている。水−冷媒熱交換器31は、冷凍回路21を循環する冷媒と、被加熱流体回路23を流れる水との間で熱交換を行なう。空気−冷媒熱交換器35は、ヒートポンプユニット12に設けられている。空気−冷媒熱交換器35は、冷凍回路21を循環する冷媒と、空気との間で熱交換を行なう。
圧縮機33は、ヒートポンプユニット12に設けられている。圧縮機33は、冷凍回路21の経路上において、空気−冷媒熱交換器35および水−冷媒熱交換器31の間に設けられている。圧縮機33は、空気−冷媒熱交換器35から送られる冷媒を圧縮し、水−冷媒熱交換器31に向けて送り出す。
膨張弁37は、ヒートポンプユニット12に設けられている。膨張弁37は、冷凍回路21の経路上において、水−冷媒熱交換器31および空気−冷媒熱交換器35の間に設けられている。膨張弁37は、冷凍回路21の経路上において、水−冷媒熱交換器31および空気−冷媒熱交換器35を挟んで圧縮機33の反対側に設けられている。膨張弁37は、水−冷媒熱交換器31から送られる冷媒を減圧する減圧装置として設けられている。
冷凍回路21における冷媒の状態変化について説明すると、まず、圧縮機33にて冷媒が断熱圧縮される。圧縮されるに従って冷媒の圧力と温度とが上昇し、高温高圧の過熱蒸気になって、冷媒は圧縮機33から吐出される。圧縮機33から吐出された冷媒は、水−冷媒熱交換器31に供給される。冷媒は、水−冷媒熱交換器31において、被加熱流体回路23を流れる水に放熱する。冷媒は、水−冷媒熱交換器31において冷却されることによって、凝縮(液化)する。水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒は、膨張弁37に向かう。
膨張弁37において、冷媒は絞り膨張され、温度と圧力とが低下して、低温低圧の気液混合状態の湿り蒸気となる。膨張弁37から流出した冷媒は、空気−冷媒熱交換器35に向かう。膨張弁37から送られた気液混合状態の冷媒は、空気−冷媒熱交換器35において空気から吸熱することによって、蒸発する。その後、気相の冷媒は、圧縮機33において再び断熱圧縮される。
冷媒はこのようなサイクルに従って、圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返す。
冷凍回路21の環状路21mの経路上には、冷凍回路21における冷媒流れを切り替えるための四方弁39がさらに設けられている。四方弁39は、空気−冷媒熱交換器35からの冷媒を圧縮機33に送り、圧縮機33からの冷媒を水−冷媒熱交換器31に送る冷媒流れ(図中の実線の矢印102および矢印101に示す冷媒流れ)と、水−冷媒熱交換器31からの冷媒を圧縮機33に送り、圧縮機33からの冷媒を空気−冷媒熱交換器35に送る冷媒流れ(図中の点線の矢印104および矢印103に示す冷媒流れ)とを選択的に形成するように設けられている。
被加熱流体回路23には、被加熱流体としての水が循環されている。被加熱流体回路23は、タンクユニット14に設けられている。被加熱流体回路23は、その回路構成として、環状路23mおよび分岐路23nを有する。環状路23mは、暖房端末16を含んで環状に周回するように設けられている。環状路23mの経路上には、水循環ポンプ45および水−冷媒熱交換器31が設けられている。
水循環ポンプ45は、タンクユニット14に設けられている。水循環ポンプ45は、その稼働に伴って、被加熱流体回路23に水を循環させる。暖房端末16は、一般的には、室内を暖める装置であり、たとえば、床暖房パネルやパネルヒータ、ファンコンベクターなどである。
分岐路23nは、タンクユニット14に設けられている。分岐路23nは、水−冷媒熱交換器31および暖房端末16の間の環状路23mから分岐して設けられている。分岐路23nの経路上には、貯湯タンク41が設けられている。貯湯タンク41は、被加熱流体回路23を流れる水を貯留することが可能なタンク部として設けられている。
被加熱流体回路23の経路上には、暖房貯湯切り替えバルブ47(第3バルブ)がさらに設けられている。暖房貯湯切り替えバルブ47は、タンクユニット14に設けられている。暖房貯湯切り替えバルブ47は、環状路23mからの分岐路23nの分岐位置に設けられている。暖房貯湯切り替えバルブ47は、水−冷媒熱交換器31において加熱された水(湯)を暖房端末16に送る冷媒流れ(図中の矢印105に示す冷媒流れ)と、水−冷媒熱交換器31において加熱された水(湯)を貯湯タンク41に送る冷媒流れ(図中の矢印106に示す冷媒流れ)とを選択的に形成するように設けられている。
給湯回路25には、水が流通される。給湯回路25は、タンクユニット14に設けられている。給湯回路25の一端(給湯回路25における水流れの上流端)は、水供給源51に接続され、給湯回路25の他端(給湯回路25における水流れの下流端)は、シャワーや浴槽などの給湯端末52に接続されている。
給湯回路25の経路上には、タンク内水−水熱交換器61が設けられている。タンク内水−水熱交換器61は、貯湯タンク41に設けられている。タンク内水−水熱交換器61は、貯湯タンク41内の貯湯空間に設けられている。タンク内水−水熱交換器61は、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、給湯回路25を流れる水との間で熱交換を行なう。
冷凍回路21の環状路21mの経路上には、タンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65がさらに設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65は、貯湯タンク41に設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65は、貯湯タンク41内の貯湯空間に設けられている。
タンク内水−冷媒熱交換器63は、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21に設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器63は、冷凍回路21の経路上において、圧縮機33および水−冷媒熱交換器31の間に設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器63は、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる冷媒との間で熱交換を行なう。
タンク内水−冷媒熱交換器65は、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21に設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器65は、冷凍回路21の経路上において、水−冷媒熱交換器31および膨張弁37の間に設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器65は、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21を流れる冷媒との間で熱交換を行なう。
バイパス路21pおよびバイパス路21qは、タンクユニット14に設けられている。バイパス路21pは、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21において、タンク内水−冷媒熱交換器63をバイパスするように設けられている。すなわち、圧縮機33からの冷媒は、バイパス回路21pを通って水−冷媒熱交換器31に流入する。バイパス路21qは、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21において、タンク内水−冷媒熱交換器65をバイパスするように設けられている。すなわち、水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒は、バイパス回路21qを通って膨張弁37に向かう。
バイパス路21pの経路上には、流入側切り替えバルブ71(第1バルブ)が設けられている。流入側切り替えバルブ71は、バイパス路21pにおける冷媒流れを許容または規制するように設けられている。流入側切り替えバルブ71が閉状態とされることにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器63に導き、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21に再び戻す冷媒流れ(第1冷媒流れ)が形成され、流入側切り替えバルブ71が開状態とされることにより、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器63を迂回させて水−冷媒熱交換器31に流入させる冷媒流れ(第2冷媒流れ)が形成される。
バイパス路21qの経路上には、流出側切り替えバルブ73(第2バルブ)が設けられている。流出側切り替えバルブ73は、バイパス路21qにおける冷媒流れを許容または規制するように設けられている。流出側切り替えバルブ73が閉状態とされることにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65に導き、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21に再び戻す冷媒流れ(第3冷媒流れ)が形成され、流出側切り替えバルブ73が開状態とされることにより、水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65を迂回させて冷凍回路21に流す冷媒流れ(第4冷媒流れ)が形成される。
本実施の形態における暖房給湯装置10は、暖房運転の単独運転と、給湯運転の単独運転と、暖房運転および給湯運転の同時運転との3つの運転モードを実行可能である。
暖房運転の単独運転時、暖房貯湯切り替えバルブ47を制御することにより、水−冷媒熱交換器31において加熱された水(湯)を暖房端末16に送る冷媒流れ(図中の矢印105に示す冷媒流れ)を形成する。流入側切り替えバルブ71および流出側切り替えバルブ73を開状態とすることにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器63を迂回させ、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65を迂回させる冷媒流れを形成する。
これにより、水−冷媒熱交換器31において冷媒との熱交換により加熱された水(湯)が、環状路23mを通って暖房端末16に供給される。
給湯運転の単独運転時、暖房貯湯切り替えバルブ47を制御することにより、水−冷媒熱交換器31において加熱された水(湯)を貯湯タンク41に送る冷媒流れ(図中の矢印106に示す冷媒流れ)を形成する。流入側切り替えバルブ71および流出側切り替えバルブ73を開状態とすることにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器63を迂回させ、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65を迂回させる冷媒流れを形成する。
これにより、水−冷媒熱交換器31において冷媒との熱交換により加熱された水(湯)が、環状路23mおよび分岐路23nを順に通って貯湯タンク41に貯められる(以下、貯湯運転ともいう)。タンク内水−水熱交換器61において、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、給湯回路25を流れる水との間で熱交換を行なうことにより、給湯回路25を流れる水が加熱される。
暖房運転および給湯運転の同時運転時、暖房貯湯切り替えバルブ47を制御することにより、水−冷媒熱交換器31において加熱された水(湯)を暖房端末16に送る冷媒流れ(図中の矢印105に示す冷媒流れ)を形成する。流入側切り替えバルブ71および流出側切り替えバルブ73を閉状態とすることにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器63に導き、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側において、冷凍回路21を流れる冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65に導く冷媒流れを形成する。
これにより、水−冷媒熱交換器31において冷媒との熱交換により加熱された水(湯)が、環状路23mを通って暖房端末16に供給される。一方、タンク内水−冷媒熱交換器63において、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる冷媒との間で熱交換を行なうことによって、貯湯タンク41に貯留された水(湯)が加熱される。タンク内水−冷媒熱交換器65において、貯湯タンク41に貯留された水(湯)と、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21を流れる冷媒との間で熱交換を行なうことによって、貯湯タンク41に貯留された水(湯)が加熱される。タンク内水−水熱交換器61において、貯湯タンク41内で加熱された水(湯)と、給湯回路25を流れる水との間で熱交換を行なうことにより、給湯回路25を流れる水が加熱される。
図2は、ヒートポンプサイクルにおいて、冷媒の比エンタルピーと、冷媒の温度および圧力との関係を示す図である。図中に示す曲線200は、冷媒の飽和蒸気線であり、図中に示す曲線300は、冷媒の飽和液線である。冷媒の比エンタルピーと冷媒の温度との関係を示す上図では、ヒートポンプサイクルの凝縮過程における冷媒の温度変化のみが示されている。
図1および図2を参照して、ヒートポンプサイクルの凝縮過程は、冷媒の比エンタルピーと冷媒の温度との関係を示す下図において、地点V→地点W→地点X→地点Yを順にたどる。この際、地点V→地点Wの間では、冷媒は気相状態であり、温度を徐々に低下させる(温度T1→温度Ta)。地点W→地点Xの間では、冷媒は気液混合状態であり、温度を一定に保ちつつ(温度Ta)、気相と液相との割合を変化させる。地点X→地点Yの間では、冷媒は液相状態であり、温度を徐々に低下させる(温度Ta→温度T2)。
床暖房パネルやパネルヒータ、ファンコンベクターなどの暖房端末16を稼働させながら、シャワーや浴槽などの給湯端末52を用いる場面が想定される。特に北欧などの寒冷地では、暖房端末16を24時間稼働させ続けるため、このような場面が頻繁である。この場面に対応するため、上記貯湯運転により貯湯タンク41に貯留された湯を高温にしようとすると、ヒートポンプサイクルの凝縮温度(温度Ta)を上昇させる必要が生じる。ヒートポンプサイクルの凝縮温度が上昇すると、凝縮圧力(圧力Pa)も上昇するため、加熱温度には、圧縮機33を含む冷凍サイクル部品の設計圧力から決まる一定の限界(たとえば、60℃)がある。また、圧縮機33の圧縮比が増大し、ヒートポンプユニット12のCOP(Coefficient Of Performance)が悪化する懸念がある。
これに対して、本実施の形態では、暖房運転および給湯運転の同時運転時、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる高温高圧の過熱状態の冷媒を、タンク内水−冷媒熱交換器63に導くことにより、冷媒の凝縮圧力を上げることなく、貯湯タンク41に貯留された水(湯)を加熱することができる。
ここで、暖房端末16の特性として、暖房端末16の運転開始時には大エネルギを要するものの、部屋の温度が目標温度に達した後など、運転開始から時間が経過すると、大エネルギを要さないという特性がある。このため、長時間の暖房運転中、一時的に給湯運転を同時に行なうことになっても、水−冷媒熱交換器31における暖房能力が不足するということがない。
また別に、使用する暖房端末16の種類や必要となる暖房能力によっては、被加熱流体回路23において暖房端末16から水−冷媒熱交換器31に戻る水の温度が高温となる場合がある。この場合、水−冷媒熱交換器31における冷媒から水への放熱量が減少するため、ヒートポンプユニット12のCOPが悪化する懸念がある。
これに対して、本実施の形態では、暖房運転および給湯運転の同時運転時、水−冷媒熱交換器31の冷媒流出側の冷凍回路21を流れる中温高圧の冷媒を、タンク内水−冷媒熱交換器65に導くことにより、貯湯タンク41に貯留された水(湯)を加熱する。これにより、ヒートポンプサイクル上で利用される熱量を増大させて、ヒートポンプユニット12のCOPを向上させることができる。
なお、本実施の形態では、タンク内水−水熱交換器61を挟んでその上下に、それぞれ、タンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65が設けられているが、これら熱交換器は、貯湯タンク41内において別の態様で配置されてもよい。また、タンク内水−冷媒熱交換器63は、タンク内水−水熱交換器61およびタンク内水−冷媒熱交換器65よりも上方に設けられることが好ましい。温度が比較的高い水が貯湯タンク内の上方に集まるため、この場合、タンク内水−冷媒熱交換器63における冷媒および水間の熱交換によって暖房端末16における暖房能力が大幅に低下することを防止できる。
続いて、暖房運転および給湯運転の同時運転時における流入側切り替えバルブ71および流出側切り替えバルブ73の制御方法について説明する。
図1を参照して、まず、流入側切り替えバルブ71の制御方法について説明すると、ヒートポンプユニット12には、冷媒吐出温度検出センサ81(第1温度検出部)が設けられている。冷媒吐出温度検出センサ81は、圧縮機33から吐出された冷媒の温度を検出する。流入側切り替えバルブ71は、暖房運転および給湯運転の同時運転時、冷媒吐出温度検出センサ81により検出された冷媒の温度に基づいて、図示しない制御部からの指令により開閉制御される。
より具体的には、冷媒吐出温度検出センサ81により検出された冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合に、流入側切り替えバルブ71は、開状態とされる。これにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる冷媒が、タンク内水−冷媒熱交換器63を迂回して水−冷媒熱交換器31に直接、導かれる。
流入側切り替えバルブ71の別の制御方法について説明すると、ヒートポンプユニット12には、上記の冷媒吐出温度検出センサ81が設けられ、タンクユニット14には、タンク内水温検出センサ82(第3温度検出部)が設けられている。タンク内水温検出センサ82は、貯湯タンク41内の水の温度を検出する。タンク内水温検出センサ82は、タンク内水−冷媒熱交換器63と同じ高さに設けられることが好ましい。流入側切り替えバルブ71は、暖房運転および給湯運転の同時運転時、冷媒吐出温度検出センサ81およびタンク内水温検出センサ82によりそれぞれ検出された冷媒の温度および水の温度に基づいて、図示しない制御部からの指令により開閉制御される。
より具体的には、タンク内水温検出センサ82で検出された水の温度が第1温度検出部で検出された冷媒の温度よりも高い場合に、流入側切り替えバルブ71は、開状態とされる。これにより、水−冷媒熱交換器31の冷媒流入側の冷凍回路21を流れる冷媒が、タンク内水−冷媒熱交換器63を迂回して水−冷媒熱交換器31に直接、導かれる。
これらの流入側切り替えバルブ71の制御方法では、圧縮機33からの吐出冷媒の温度が所定値よりも低かったり、貯湯タンク41内の水温が圧縮機33からの吐出冷媒の温度よりも高い場合に、水−冷媒熱交換器31における暖房能力を優先させる。これにより、タンク内水−冷媒熱交換器63において、冷媒から水への放熱量が少なくなったり、水から冷媒に吸熱することを防止できる。
次に、流出側切り替えバルブ73の制御方法について説明すると、ヒートポンプユニット12には、冷媒流出側温度検出センサ84(第2温度検出部)が設けられている。冷媒流出側温度検出センサ84は、水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒の温度を検出する。流出側切り替えバルブ73は、暖房運転および給湯運転の同時運転時、冷媒流出側温度検出センサ84により検出された冷媒の温度に基づいて、図示しない制御部からの指令により開閉制御される。
より具体的には、冷媒流出側温度検出センサ84により検出された冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合に、流出側切り替えバルブ73は、開状態とされる。これにより、水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒が、タンク内水−冷媒熱交換器65を迂回して直接、冷凍回路21に導かれる。
流出側切り替えバルブ73の別の制御方法について説明すると、ヒートポンプユニット12には、上記の冷媒流出側温度検出センサ84が設けられ、タンクユニット14には、タンク内水温検出センサ83(第3温度検出部)が設けられている。タンク内水温検出センサ83は、貯湯タンク41内の水の温度を検出する。タンク内水温検出センサ83は、タンク内水−冷媒熱交換器65と同じ高さに設けられることが好ましい。流出側切り替えバルブ73は、暖房運転および給湯運転の同時運転時、冷媒流出側温度検出センサ84およびタンク内水温検出センサ83によりそれぞれ検出された冷媒の温度および水の温度に基づいて、図示しない制御部からの指令により開閉制御される。
より具体的には、タンク内水温検出センサ83で検出された水の温度が冷媒流出側温度検出センサ84で検出された冷媒の温度よりも高い場合に、流出側切り替えバルブ73は、開状態とされる。これにより、水−冷媒熱交換器31から流出した冷媒が、タンク内水−冷媒熱交換器65を迂回して直接、冷凍回路21に導かれる。
これらの流出側切り替えバルブ73の制御方法では、水−冷媒熱交換器31からの流出冷媒温度が所定値よりも低かったり、貯湯タンク41内の水温が水−冷媒熱交換器31からの流出冷媒温度よりも高い場合に、冷媒をタンク内水−冷媒熱交換器65をバイパスさせる。これにより、タンク内水−冷媒熱交換器65において、冷媒から水への放熱量が少なくなったり、水から冷媒に吸熱することを防止できる。
このように構成された、この発明の実施の形態1における暖房給湯装置10によれば、暖房端末16への加熱された水の供給と、貯湯タンク41に貯留された水の加熱とを同時に実行可能な暖房給湯装置を実現することができる。
(実施の形態2)
図3は、この発明の実施の形態2における暖房給湯装置の回路構成を示す図である。本実施の形態における暖房給湯装置は、実施の形態1における暖房給湯装置10と比較して、基本的には同様の構造を有する。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図3を参照して、本実施の形態における暖房給湯装置では、実施の形態1におけるタンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65のうちタンク内水−冷媒熱交換器63のみが設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器63に対応して、流入側切り替えバルブ71、冷媒吐出温度検出センサ81およびタンク内水温検出センサ82が、実施の形態1と同様の態様で設けられている。
このように構成された、この発明の実施の形態2における暖房給湯装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
(実施の形態3)
図4は、この発明の実施の形態3における暖房給湯装置の回路構成を示す図である。本実施の形態における暖房給湯装置は、実施の形態1における暖房給湯装置10と比較して、基本的には同様の構造を有する。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図4を参照して、本実施の形態における暖房給湯装置では、実施の形態1におけるタンク内水−冷媒熱交換器63およびタンク内水−冷媒熱交換器65のうちタンク内水−冷媒熱交換器65のみが設けられている。タンク内水−冷媒熱交換器65に対応して、流出側切り替えバルブ73、冷媒流出側温度検出センサ84およびタンク内水温検出センサ83が、実施の形態1と同様の態様で設けられている。
このように構成された、この発明の実施の形態3における暖房給湯装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
本発明の構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下のとおりである。なお、発明の構成に実施の形態に記載の参照番号を付すが、これは一例である。
この発明に従った暖房給湯装置は、ヒートポンプサイクルを構成し、冷媒が循環する冷凍回路(21)と、暖房端末(16)に供給される被加熱流体が循環する被加熱流体回路(23)と、給湯端末(52)に供給される水が流れる給湯回路(25)と、冷凍回路(21)を流れる冷媒と、被加熱流体回路(23)を流れる被加熱流体との間で熱交換を行なうことにより、被加熱流体を加熱する第1熱交換器(31)と、被加熱流体回路(23)を流れる被加熱流体を貯留するタンク部(41)と、タンク部(41)に設けられ、タンク部(41)に貯留された被加熱流体と、給湯回路(25)を流れる水との間で熱交換を行なう第2熱交換器(61)と、第3熱交換器(63)および第4熱交換器(65)の少なくともいずれか一方とを備える。第3熱交換器(63)は、タンク部(41)に貯留された被加熱流体と、第1熱交換器(31)の冷媒流入側の冷凍回路(21)を流れる冷媒との間で熱交換を行なう。第4熱交換器(65)は、タンク部(41)に貯留された被加熱流体と、第1熱交換器(31)の冷媒流出側の冷凍回路(21)を流れる冷媒との間で熱交換を行なう。
このように構成された暖房給湯装置によれば、第1熱交換器において、冷凍回路を流れる冷媒と、被加熱流体回路を流れる被加熱流体との間で熱交換を行ないつつ、第3熱交換器および第4熱交換器の少なくともいずれか一方において、タンク部に貯留された被加熱流体と、冷凍回路を流れる冷媒との間で熱交換を行なうことによって、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給と、タンク部に貯留された被加熱流体の加熱とを同時に実行することができる。
また好ましくは、暖房給湯装置は、第1熱交換器(31)の冷媒流入側の冷凍回路(21)を流れる冷媒を第3熱交換器(63)に導き、第1熱交換器(31)の冷媒流入側の冷凍回路(21)に再び戻す第1冷媒流れと、冷凍回路(21)を流れる冷媒を第3熱交換器(63)を迂回させて第1熱交換器(31)に流入させる第2冷媒流れとを選択的に形成する第1バルブ(71)をさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、第1バルブの制御により、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給と、タンク部に貯留された被加熱流体の加熱との同時実行時に、第1冷媒流れを選択的に形成し、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給の単独実行時に、第2冷媒流れを選択的に形成することができる。
また好ましくは、暖房給湯装置は、冷凍回路(21)の経路上に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機(33)と、圧縮機(33)から吐出された冷媒の温度を検出する第1温度検出部(81)と、第1温度検出部(81)で検出された冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合に、第2冷媒流れが形成されるように第1バルブ(71)を制御する制御部とをさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、圧縮機から吐出された冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合には、第3熱交換器における冷媒から被加熱流体への放熱が滞ることを回避するため、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給を単独で実行する。
また好ましくは、暖房給湯装置は、冷凍回路(21)の経路上に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機(33)と、圧縮機(33)から吐出された冷媒の温度を検出する第1温度検出部(81)と、タンク部(41)に貯留された被加熱流体の温度を検出する第3温度検出部(82)と、第3温度検出部(82)で検出された被加熱流体の温度が第1温度検出部(81)で検出された冷媒の温度よりも高い場合に、第2冷媒流れが形成されるように第1バルブ(71)を制御する制御部とをさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、タンク部に貯留された被加熱流体の温度が圧縮機から吐出された冷媒の温度よりも高い場合には、第3熱交換器における冷媒から被加熱流体への放熱が滞ることを回避するため、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給を単独で実行する。
また好ましくは、暖房給湯装置は、第1熱交換器(31)の冷媒流出側の冷凍回路(21)を流れる冷媒を第4熱交換器(65)に導き、第1熱交換器(31)の冷媒流出側の冷凍回路(21)に再び戻す第3冷媒流れと、第1熱交換器(31)から流出した冷媒を第4熱交換器(65)を迂回させて冷凍回路(21)に流す第4冷媒流れとを選択的に形成する第2バルブ(73)をさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、第2バルブの制御により、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給と、タンク部に貯留された被加熱流体の加熱との同時実行時に、第3冷媒流れを選択的に形成し、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給の単独実行時に、第4冷媒流れを選択的に形成することができる。
また好ましくは、暖房給湯装置は、第1熱交換器(31)から流出した冷媒の温度を検出する第2温度検出部(84)と、第2温度検出部(84)で検出された冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合に、第4冷媒流れが形成されるように第2バルブ(73)を制御する制御部とをさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、第1熱交換器から流出した冷媒の温度が予め定められた所定値よりも低い場合には、第4熱交換器における冷媒から被加熱流体への放熱が滞ることを回避するため、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給を単独で実行する。
また好ましくは、暖房給湯装置は、タンク部(41)に貯留された被加熱流体の温度を検出する第3温度検出部(83)と、第1熱交換器(31)から流出した冷媒の温度を検出する第2温度検出部(84)と、第3温度検出部(83)で検出された被加熱流体の温度が第2温度検出部(84)で検出された冷媒の温度よりも高い場合に、第4冷媒流れが形成されるように第2バルブ(73)を制御する制御部とをさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、タンク部に貯留された被加熱流体の温度が第1熱交換器から流出した冷媒の温度よりも高い場合には、第4熱交換器における冷媒から被加熱流体への放熱が滞ることを回避するため、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給を単独で実行する。
また好ましくは、暖房給湯装置は、第1熱交換器(31)において加熱された被加熱流体を、暖房端末(16)およびタンク部(41)のいずれか一方に向けて選択的に流す第3バルブをさらに備える。
このように構成された暖房給湯装置によれば、第3バルブの制御により、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給と、タンク部に貯留された被加熱流体の加熱との同時実行時、および、暖房端末への加熱された被加熱流体の供給の単独実行時に、第1熱交換器において加熱された被加熱流体を暖房端末に向けて流し、タンク部に貯留された被加熱流体の加熱の単独実行時に、第1熱交換器において加熱された被加熱流体をタンク部に流すことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。