JP6912951B2 - ポリマー改質アスファルト組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、従来よりも低い温度で道路舗装が可能で、特に重交通舗装に求められる強度を発揮させる上で好適なポリマー改質アスファルト組成物に関する。
従来より、アスファルトは道路舗装及び防水等の幅広い分野で使用されている。重交通道路の舗装には、一般的には補強剤としてスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、SBSという。)を使用した、ポリマー改質アスファルトが利用されている。このポリマー改質アスファルトは、製油所で製造したストレートアスファルト等に、SBS等の改質剤を補強材として添加することにより、耐轍掘れ性、耐水性、柔軟性等を向上させることができ、舗設後の道路舗装の高耐久化、高寿命化を図ることが可能となる。このため、ポリマー改質アスファルトは、特に近年において、ライフラインとなる主要幹線を構築する上で必要不可欠な材料として注目をされており、特に激甚な災害の復興用の道路舗装材としても大きく期待されている。
ところで、このポリマー改質アスファルトを骨材と混合する場合、SBS等が含まれているため、ポリマー改質アスファルトが激しく増粘してしまう。そして、このポリマー改質アスファルトの粘度が高くなれば、骨材と十分に混合できず、ひいては、ポリマー改質アスファルトと骨材を混合したアスファルト合材を舗装箇所において道路として舗設する際に、十分に締固めることができない。締固めが不十分な舗装は、舗装内部に過剰な空隙(隙間)が存在するため雨水が侵入しやすく、骨材飛散やポットホールの発生など舗装の耐久性を著しく低下させる。さらにこの締固めが不十分な舗装は、平坦性が十分でなくなり、道路に凹凸が発生しやすくなることから、かかる道路上を走行する車両の乗り心地の悪化や荷崩れによる事故の発生を招く可能性がある。
従って、ポリマー改質アスファルトについては、骨材が十分に混合可能な粘度とするため、一般的には170〜180℃程度まで加熱して低粘度化する。そして、かかる温度下でポリマー改質アスファルトと骨材を混合したアスファルト合材を道路に敷き均した後、150〜160℃程度でローラー等を用いて締め固める。
しかしながら、ポリマー改質アスファルトを170〜180℃程度の高温までに加熱する必要があるため、加熱に使用する燃料等から排出される二酸化炭素(温室効果ガス)の量が多く、地球温暖化の観点から望ましい状態とは言えない。一般にこの温室効果ガスの排出量を低下させるためには、混合温度を従来より20℃乃至30℃程度下げた温度で混合する必要があるが、かかる温度では却ってポリマー改質アスファルトの粘度が高くなって混合処理が困難となり、施工労力も増大し、道路の平坦性が低下してしまう。
特にこのポリマー改質アスファルトにおいて、低温下でも低粘度化を図ることによる、施工可能温度域の低温化に対する社会的な要望は近年において非常に大きくなっている。さらに冬場の舗設工事では、低温下でのアスファルト合材の敷均し作業が必要となるため、施工可能温度域の低温化(以降、施工性改善効果と呼ぶ)が特に求められる。
ポリマー改質アスファルトを用いたアスファルト合材において、施工性改善効果が達成された場合には、上述の冬場の施工において十分に締固められ、高い密度を有する舗装を得ることが可能になるばかりか、遠方までアスファルトを搬送する過程で、アスファルト合材が硬化しないようにすることで、敷均した後のアスファルト舗装の密度を向上させ、舗装の耐久性を延長することができる。さらに舗装表面の平坦性を確保することができるため、振動低減による安全性の向上(荷物落下や、疲労による事故など)や乗り心地の向上も実現できる。このためには、ポリマー改質アスファルトにおいて、低温下の施工においても容易に締固めが可能で、高い密度を実現する配合が必要となる。
図1は、ポリマー改質アスファルトの合材の温度と、アスファルト硬さの一例を示している。一般的には合材温度を上昇させるにつれて、これに含まれるSBS等が低粘度化してアスファルトの硬さが低くなる。このとき、施工可能な硬さが仮に図中の点線Cで示される値であった場合、施工可能な温度域は140℃〜180℃となる。
実際の道路舗装においては、170〜180℃程度でポリマー改質アスファルトと骨材を混合し、アスファルト合材を製造する。その後、施工現場までアスファルト合材を運搬し、敷き均しを行うが、この作業を、アスファルト合材が上述の施工可能な温度域(ここでは140℃が下限となる)において行う必要がある。
その後、アスファルト合材、すなわち合材中のポリマー改質アスファルトの温度を140℃から低下させることにより養生させ、60℃以下において、目標としているアスファルトの硬さDが発現することとなる。
従来においては、140℃よりも低い温度でポリマー改質アスファルトと骨材を混合使用とする場合、60℃以下におけるアスファルトの強度が却って低下してしまう。即ち、舗装後の道路の高硬度化、高耐久化と、施工可能温度域の低温化、すなわち施工性改善効果の両立を図ることは困難であった。
特許文献1の開示技術では、90〜160℃という中温域で骨材と混合して製造することができるように、アスファルト組成物と、ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーと、石油系配合油及び/又は潤滑油とを主成分としたアスファルト組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、バインダに潤滑油等を加えることにより粘度を下げることができる反面、アスファルト組成物が軟化し、強度が出なくなってしまい、舗装後の道路の高強度化と、施工性改善効果の両立は依然として実現することが困難であった。
また特許文献2及び特許文献3の各開示技術では、いずれもバインダの低粘度化手法としてワックスを使用する技術が開示されているが、かかる方法によれば、このワックスの軟化点以上の温度においては低粘度化させることができるものの、軟化点以下の温度域においては、著しく粘度が上昇してしまい、施工時の温度管理が非常に難しくなる。また、ワックス含有量が増加するため、アスファルト組成物中の熱可塑性エラストマーの相溶性が悪化し、貯蔵安定性が悪くなるという問題もある。
特開2001−072862号公報 特表2002−538231号公報 特開2002−302905号公報
即ち、従来ではSBSで補強された改質アスファルトにおいて、施工可能温度域を140℃よりも低く設定した場合に60℃以下におけるアスファルトの強度が却って低下してしまう。即ち、舗装後の道路の高強度化、高耐久化と、施工可能温度域の低温化の両立を図ることは困難であった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、舗装後の道路の高強度化、高耐久化と、施工性改善効果の両立を図ることが可能であり、舗装施工を容易にし、道路舗装の品質を向上させることが可能なポリマー改質アスファルト組成物を提供することにある。
第1発明に係るポリマー改質アスファルト組成物は、上述した課題を解決するために、何れも重量%で、ベースアスファルト:93.0〜96.7%、SBS:3〜5%、炭素数12〜22の飽和脂肪酸:0.3〜2.0%を含有し、上記飽和脂肪酸は、パルミチン酸(炭素数16)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、アラキジン酸(炭素数20)、ベヘン酸、(炭素数22)の何れかであることを特徴とする。
第2発明に係るポリマー改質アスファルト組成物は、第1発明において、上記ベースアスファルトは、ストレートアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト、芳香族系重質鉱油のいずれか一つ以上を含有することを特徴とする。
第3発明に係るポリマー改質アスファルト組成物の製造方法は、第1発明又は第2発明に係るポリマー改質アスファルト組成物の製造方法であって、溶融した状態の上記ベースアスファルトに対して、上記SBSを混合し、更に上記飽和脂肪酸を添加した後、撹拌する工程を有することを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、道路舗装(例えば重交通舗装)に求められる十分な耐わだち掘れ性能、すなわち、耐久性の指標としての動的安定度(Dynamic Stability。以降、DSと呼ぶ)を保ちながら、施工性改善効果を発現することが可能となる。
ポリマー改質アスファルトの合材の温度と、アスファルト硬さの一例を示す図である。 DSの測定方法の詳細について説明するための図である。 DSの測定試験開始時刻を起点としたときの試験時間(分)に対する沈下量(mm)の例を示す図である。
以下、本発明を適用したポリマー改質アスファルト組成物の実施の形態について詳細に説明する。
本発明を適用したポリマー改質アスファルト組成物は、何れもポリマー改質アスファルト組成物全重量に対する重量%で、ベースアスファルト:93.0〜96.7%、SBS:3〜5%、炭素数12〜22の飽和脂肪酸:0.3〜2.0%を含有する。以下、ポリマー改質アスファルト組成物中の成分組成の含有量はポリマー改質アスファルト組成物全重量に対する重量%で表すこととし、その重量%を表すときには単に%と記載して表すこととする。
ベースアスファルト:93.0〜96.7%
ベースアスファルトは、例えばストレートアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト、芳香族系重質鉱油のいずれか一つ以上を含有する。
ストレートアスファルトは、JIS K 2207に定められるアスファルト又はこれらの混合物を使用することができる。本発明においてこのストレートアスファルトは針入度グレード40/60〜200/300相当品まで使用することができる。
プロパン脱瀝アスファルトは、減圧蒸留残油から溶剤脱瀝油(高粘度潤滑油留分)を抽出した残渣分に相当する(「新石油辞典」,石油学会編,1982年,p.308 参照)。特に溶剤としてプロパンを用いた場合に、プロパン脱瀝アスファルトと呼ぶ。このプロパン脱瀝アスファルトは、JIS K2207の下で25℃における針入度が3〜20(1/10mm)、軟化点が55〜70℃、15℃における密度が1020〜1065kg/m3である。
なお、プロパン脱瀝アスファルトについて、上述した物性の範囲に限定されるものではなく、いかなる範囲であってもよい。
本発明を適用したポリマー改質アスファルト組成物全体に対するプロパン脱瀝アスファルの含有量は、特に限定されるものではなく、本発明の組成物の針入度を40以上に調整する配合量であればよい。
本発明に適用される芳香族系重質鉱油としては、原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱瀝して得られた溶剤脱瀝油を、更にフルフラール等の極性溶剤を用いて溶剤抽出することにより、ブライトストック(重質潤滑油)を得る際の溶剤抽出油、すなわち、エキストラクトが使用できる。特に本発明においては、芳香族重質鉱油としてエキストラクトを添加することが好ましい。
本発明におけるエキストラクトの役割は、熱可塑性エラストマーのアスファルトへの溶解性を高め、貯蔵安定性において分離の発生を防ぐものある。また、熱可塑性エラストマーの添加量に対して必要以上のエキストラクトを添加するとアスファルト組成物の弾性率が低下する。
アスファルト組成物全体に対するエキストラクトの含有量は、針入度、軟化点、貯蔵安定性、強度を示す複素弾性率とホイールトラッキング試験における動的安定度(DS)、及び、低温性状を示す曲げ仕事量と曲げスティフネスを考慮して決められるが、本発明で検討した範囲では、アスファルト組成物全体に対するエキストラクトの含有量は6%以下とされていることが望ましいが、当該エキストラクトが含有されていることは特段必須にはならず、含有されていなくてもよい。
なおベースアスファルトが93.0%未満である場合には、アスファルト組成物の粘度が高くなりすぎ、施工性改善効果が得られないという問題点が生じる。またベースアスファルトの上限は、96.7%を超えてしまう場合には、SBSによる補強が期待できず、耐わだち掘れ性能が低下するという問題点が生じる。
SBS:3〜5%
SBSは、補強材として添加される熱可塑性エラストマーである。SBSの性能は、主にその分子量およびスチレン含有量から推定される。ここでいうスチレン含有量とは、SBS中に含まれているスチレンの重量%である。
現在、工業的に入手が容易なSBSの分子量は、12万〜25万とされている。SBSは、スチレン含有量がSBS全体の25〜35重量%であり、好ましくは27〜33重量%である。
上記以外にも、分子量およびスチレン含有量の異なるSBSが入手可能で、それらのSBSの分子量は、8万〜9万とされている。さらにスチレン含有量がSBS全体の25〜50重量%である。
SBSの含有量が3%未満の場合は、ポリマー改質アスファルト組成物の強度を発現することができなくなり、骨材と混合した後のアスファルト混合物のDSが小さくなる。
またSBSの含有量が5%超では、得られるポリマー改質アスファルト組成物の粘度が高くなり施工性が低下するばかりでなく、高価なSBSの添加量が増加することによる原料コストの上昇が著しくなるという問題が生じる。このため、SBSの含有量は、3〜5%とされていることが望ましい。本発明によれば、1種類のSBSのみを混合するようにしてもよいし、特定の分子構造を有する2種類以上のSBSを選択して混合するようにしてもよい。1種類のSBSのみを混合する場合には、2種類以上のSBSを選択して混合する煩雑さを解消することができ、製造労力の低減を図ることが可能となるため、望ましい。
炭素数12〜22の飽和脂肪酸:0.3〜2.0%
本発明では、アスファルト組成物の施工性改善効果を確保させるために、炭素数12〜22の飽和脂肪酸を添加することが好ましい。
飽和脂肪酸の具体例としては、たとえばラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)、アラキジン酸(炭素数20)、ベヘン酸、(炭素数22)を挙げることができる。
これら飽和脂肪酸は、植物油脂由来、動物油脂由来、並びに合成された油脂のいずれを用いてもよい。これら飽和脂肪酸をそれぞれ精製して単独で使用するようにしてもよい。なお飽和脂肪酸としては、特にその炭素数を限定することはないが、植物由来で工業的に入手しやすい、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)が好ましい。
たとえばラウリン酸(炭素数12)およびミリスチン酸(炭素数14)は、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)にくらべ分子量が小さいことから、アスファルト組成物を骨材と混合する道路舗設作業の温度である170〜180℃において揮発しやすい。
またアラキジン酸(炭素数20)およびベヘン酸(炭素数22)は、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)にくらべ、同じ添加量における施工性改善効果が劣る。
したがって、本発明で用いる飽和脂肪酸としては、アスファルト組成物の施工性改善効果を確保させるために、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)を添加することが好ましく、更に同じ添加量での施工性改善効果の高いパルミチン酸(炭素数16)を用いることがより好ましい。
なおカプリン酸(炭素数10)よりも炭素数の少ない飽和脂肪酸は、融点が30℃程度以下と取扱いが難しく、さらに天然油脂として入手しにくいことから、本発明の組成物を得るためには、ラウリン酸(炭素数12)からベヘン酸(炭素数22)に至る飽和脂肪酸が好適である。
仮にこの飽和脂肪酸の含有量が0.3%未満では、飽和脂肪酸の効果が充分ではなく、最終生成物としての施工性改善効果の向上を図ることができない。これに対して、この飽和脂肪酸の含有量が2.0%を超えてしまうと、この施工性改善効果の向上という効果が飽和してしまうばかりでなく、高価な飽和脂肪酸の添加量が増加することによる原料コストの上昇が著しくなるという問題が生じる。さらに耐流動性の低下が発生する。
即ち、飽和脂肪酸の含有量2.0%を超えて添加しても、施工性改善効果の向上はこれ以上大幅に向上するものではなく、却って原料コストの面等において不利となる。このため、炭素数12〜22の飽和脂肪酸の含有量は、0.3〜2.0%とされ、より好ましくは0.3〜1.5%、更に好ましくは0.3〜1.0%とされている。
なお、本発明では、上述した炭素数の範囲にある飽和脂肪酸を複数種に亘り混合するようにしてもよいが、その合計の含有量は、0.3〜2.0%とされ、より好ましくは0.3〜1.5%、更に好ましくは0.3〜1.0%とされている。
次に本発明を適用した改質アスファルトの性状について説明する。以下に、本発明で使用した試験方法、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の例において単に%のみ記載されている場合は、改質アスファルト組成物全重量に対する重量%を示すものとする。
本発明では、実験的検討を行うために得たサンプルについて、表1に示すように、針入度(25℃)、軟化点、粘度(180℃)、動的安定度(DS)、マーシャル供試体密度からなる性能試験を行う。以下、詳細な試験方法について説明をする。
針入度(25℃)は、JIS K 2207「石油アスファルト−針入度試験方法」で測定した。この値は40(0.1mm)以上が好ましい。
軟化点は、JIS K 2207「石油アスファルト−軟化点試験方法」で測定した。この値は56℃以上が好ましい。
粘度(180℃)は、JPI−5S−54−99「アスファルト−回転粘度計による粘度試験方法」の条件の下、測定温度180℃、使用スピンドルSC4−21、スピンドル回転数20回転/分で測定した。
動的安定度(DS)は、アスファルト組成物の強度を知る手段として、アスファルトと骨材を混合したアスファルト合材の性能評価として実施した。具体的には、舗装評価・試験法便覧(公益社団法人 日本道路協会編)に記載されている「B003ホイールトラッキング試験方法」に基づいて実施した。このDSは、道路舗装体の強度を測定する指標として専ら使用されるものであるが、アスファルト組成物を防水材、粘着材の用途等に適用する際においても、同様に強度の向上が求められる場合があることから、結果的にDSを介してこれを評価することも十分に考えられる。このため、本件に関しては、DSを評価指標としつつも、道路舗装のみならず、防水材、粘着材を始めとしたいかなる用途に適用するようにしてもよい。
以下、このDSを測定する方法について説明をする。DSは、高温時のアスファルト組成物の耐流動性(わだち掘れしにくさ)を評価する指標であり、ホイールトラッキング試験機を用いて測定を行う。ホイールトラッキング試験は、夏場の路面を想定して60℃で実施する。アスファルト組成物を後述する表1に記載する所定の粒度に調整した骨材(岩石を砕いた石)と混合した供試体を作製し、60℃で5時間以上養生し、車輪を1時間走行させる。例えば図2に示すように、30×30×5cmからなる供試体5を養生した。
次に、この供試体5に対して、車輪11により686Nの下向きの荷重を負荷しつつ、図中矢印方向に向けて42回/分のペースで往復走行させる。ちなみに、この車輪11による走行位置は、ずらすことなく同一の走行路とする。
図3は、DSの測定試験開始時刻を起点としたときの試験時間(分)に対する沈下量(mm)の例を示している。試験開始時刻を起点として試験時間が増加するにつれて、車輪11の往復走行による沈下量が増加する。この沈下量は、供試体5の表面から深さ方向への沈下深さ(mm)である。
DSを測定する際には、最初の試験開始時点から45分経過前までの沈下量は考慮に入れない。その理由として、最初の試験開始時点から45分経過前までは、添加した骨材との噛み合わせ等の要因に基づいて沈下量が決まるため、本来的な意味での耐流動性を評価することができなくなるためである。
DSを測定する際には、あくまで試験開始時刻を起点とし、45分経過後から60分経過後までの、15分間におけるアスファルト組成物の変形量d(mm)に着目する。このdは、試験開始時刻を起点として60分経過時における沈下量と、試験開始時刻を起点として45分経過時における沈下量との差を求めることにより算出することができる。DSは、下記の式(2)から求めることができる。
DS(回/mm)=45分経過時〜60分経過時までのタイヤ走行回数(回)/d(mm)・・・・・・・・・・(2)
から求めることができる。車輪11による往復頻度が、42(回/分)である場合、(2)式を変形すると以下の(2)´式に書き換えることができる。
DS(回/mm)=630(回)/d(mm)・・・・・・・・・・(2)´
この(2)´式の分子は、42(回/分)×15(分)=630(回)を意味する。即ち、このDSは、d(mm)に対する、15分間のタイヤ走行回数で求めることが可能となる。このDSが高いほど、アスファルト組成物自体の変形量が少なく、わだち掘れに強い材料となり、強度が高いことを意味している。
なおDSは、アスファルト組成物のみを用いて試験するのではなく、実際の道路舗装と同様に、表2に示すような骨材(砕石、石灰岩粉など)と、アスファルト組成物を後述する所定の条件で混合し、成型した供試体を用いて測定する。
このDSが高いほど、アスファルトの強度が高く、わだち掘れに強い舗装材料、すなわち耐久性の高い舗装材料、を提供できることを意味している。前記の舗装調査・試験法便覧にはDSが6000回/mm以上となった場合は、DSが6000回/mm以上と報告することになっているが、本発明では実際に得られたDSを用いた。望ましいDSは3000回/mm以上、好ましくは5000回/mm以上とし、更に好ましくは6000回/mm以上とした。
本発明アスファルト組成物を用いてDSを測定するための、供試体の具体的な作製方法について以下に示す。
骨材としては、硬質砂岩からなる砕石を使用し、細粒分(粒子径の小さい構成成分)の配合調製には石灰岩を粉砕した石粉を使用し、供試体を作製する。なお海砂や回収ダストなど、前記の砕石および石粉以外の材料は、DS変動の要因となるので使用しない。
骨材の粒度を調整するために使用する石灰岩を粉砕した石粉は、JIS A 5008「舗装用石灰石粉」に適合する、通過質量百分率がふるい目600μmで100%、150μmで90〜100%、75μmで70〜100%であり、水分が1%以下であるものを使用する。
石粉以外の骨材は硬質砂岩からなる砕石を使用し、以下(1)〜(6)に示す性状を満足するものを使用する。
(1)吸水率1.5%未満、望ましくは1.0%未満。(JIS A 1110)
ここでは吸水率0.64%の砕石を使用している。骨材の吸水率が高いと、被覆されたアスファルトを骨材が吸収し、結果的に混合物中のアスファルト量が少ない配合となる。また吸水率の高い骨材は、使用時の湿度や表面の湿潤状態によってアスファルトの吸収量が大きく変化し、結果として混合物中のアスファルト量が変動することになる。
従って、混合物中のアスファルト量を一定に保つために、吸水率は1.5%未満、望ましくは1.0%未満とする必要がある。
(2)見掛密度2.60g/cm3以上、2.70g/cm3以下(JIS A 1110)
ここでは見掛密度2.66g/cm3の砕石を使用した。
(3)安定性6%以下、望ましくは3%以下(JIS A 1122)
ここでは安定性2.4%の砕石を使用した。ここでいう安定性とは、凍結融解に対する安定性を規定したものである。この安定性の数値が小さいほど、凍結融解時の骨材破壊が少ない。舗装設計施工指針では12%以下と規定しているが、骨材の性状のばらつきを抑制するために、当該指針の規定の半分としている。
(4)すり減り減量20%以下、望ましくは15%以下(JIS A 1121)
ここではすり減り減量12.6%の砕石を使用した。すり減り減量試験は、骨材の硬さおよびすり減りに対する抵抗、すなわち骨材の耐久性を評価する試験である。すり減り減量が20%を越えるとわだち掘れが大きくなるので、ここではすり減り減量を20%以下、望ましくは15%以下とした。
(5)軟石量5.0%以下、望ましくは3.0%以下(JIS A 1126)
ここでは軟石量2.5%の砕石を使用した。軟石量は、黄銅の棒(モース硬度3〜4)によりひっかき跡が付くかを判定する試験で、骨材が黄銅よりも硬いか、軟らかいかを判定する試験である。軟石量はすり減り減量試験と同様に、骨材の硬さおよびすり減りに対する抵抗、すなわち骨材の耐久性を評価する試験である。軟石量は一般的に5%以下である必要がある。(舗装調査・試験法便覧A008参照。)
(6)細長,あるいは扁平な石片の含有量10.0%以下、望ましくは5.0%以下(舗装設計施工指針(規制値)および舗装調査・試験法便覧A008(試験法))
ここでは細長、あるいは扁平な石片の含有量2.8%の砕石を使用した。ここでいう石片は、一般には長軸/短軸比が3以上のものを細長、あるいは扁平な石片として使用する。細長,あるいは扁平な石片が混入すると、舗装もしくは試験用の供試体が、ある方向からの荷重に対して、変形しやすくなる可能性がある。すなわち細長,あるいは扁平な石片が多く混入していると、それらが向きを揃えて配向し、その向きと平行な荷重に対しては、垂直な荷重に対するよりも変形しやすくなる。
従って、耐わだち掘れ性能であるDSを測定する際には、細長あるいは扁平な石片の混入量を制限しないと、得られる値が大きく変動することとなる。
これらの性状を満足する砕石、および石粉を骨材として使用し、また表1に示す骨材配合を調整し、表2に示す条件で供試体を作製した。
実際に供試体の作製は、大きく分類してアスファルト組成物と骨材との混合、転圧の2段階からなる。混合に関しては、175℃に加熱されているアスファルト組成物を574g、185℃に加熱されてなるとともに上述した粒度に合成した(以下、その調整した粒度を合成粒度という。)骨材を10456g準備する。
まず骨材をミキサーに入れ、骨材のみを60秒間混合し、均一にした。混合を一時止め、574gのアスファルト組成物をミキサーに投入した後、これらアスファルト組成物と骨材とを120秒に亘って混合した。
混合終了後のアスファルト組成物と骨材を、ホイールトラッキング試験用型枠(内寸 縦30.0cm,横30.0cm、深さ5.0cm)に入れ、転圧した。
転圧に関しては、下記表2の転圧温度の下で、半径460mmの円柱状ローラを転がすことにより、混合後のアスファルトに転圧を負荷する。この転圧に関しては、一次転圧、二次転圧の2段階に亘り行う。その後8時間に亘り乾燥させる。
Figure 0006912951
Figure 0006912951
マーシャル供試体密度は、施工性改善効果を確認するために測定した。マーシャル供試体の密度は、舗装評価・試験法便覧(公益社団法人 日本道路協会編、平成19年6月)に記載されている「B001マーシャル安定度試験方法」に基づいて、所定形状の円柱形のマーシャル供試体を作製し、その後に、マーシャル供試体の密度を舗装評価・試験法便覧(公益社団法人 日本道路協会編、平成19年6月)に記載されている「B008アスファルト混合物の密度試験方法」に基づいて測定した。
ここで、マーシャル供試体の作製温度(以降、締め固め温度と呼ぶ)を変化させ、温度変化による密度の変化を観測した。この際、供試体を作製する温度を低下させても、密度が低下しにくい供試体、換言すれば密度が高い供試体について、施工性が良好であるとした。
すなわち、供試体の作製温度が低下することに伴い、供試体中のアスファルトは増粘し、所定の形状のマーシャル供試体が作製しにくくなる。具体的には、マーシャル供試体は円筒形の型枠を用いて、上方から所定重量の重りを所定距離、所定回数落下させ作製するため、作製温度の低下に伴い、円柱の高さが高くなり、結果として供試体の密度が低下する。
実際の道路舗設においては、専用の工場で骨材とアスファルトを約160〜180℃で混合し、ダンプトラックに積みこみ舗設現場まで運搬し、専用機械(フィニッシャーと呼ぶ)ならびにローラーを用いて平坦に敷きならす。
特に冬期の夜間工事においては、アスファルト合材の温度が100〜120℃程度まで低下する箇所が存在する。このような施工箇所においても、十分な混合物の密度を確保することで、平坦な路面を得ることができ、さらに水密性や耐わだち掘れ性能を向上させることができる。
したがって、マーシャル供試体の作製にあたり、同一の骨材配合を用い、様々なアスファルト配合を用いることにより、アスファルト配合の違いによる供試体の密度差を確認することが可能となる。すなわち、施工性改善効果の有無、ないし優劣を判別することが可能となる。
具体的に、マーシャル供試体密度を用いて施工性改善効果の有無を確認するために、ある温度で締め固めたマーシャル供試体密度と、基準となる密度との比を求めることとした。
ここで基準となる密度(以下、基準密度という)として、ストレートアスファルト60〜80と、表1に示す骨材を用いて表3に示す条件で作製したマーシャル供試体の密度を用いた。なお、骨材とストレートアスファルトとを混合する温度(以下、混合温度という)は155℃、締め固め温度は140℃とした。
Figure 0006912951
また評価するアスファルト配合(本願の実施例および比較例の配合)については、混合温度を175℃、締め固め温度を165℃、150℃、135℃、120℃と順に低下させて、表3に示す条件でマーシャル供試体を作製し、その密度を測定した。そして、先の基準密度と同じ密度を得るために必要な締め固め温度(以降、締固め度100%となる温度、と呼ぶ)を求め、施工性改善効果の指標とした。
すなわち、締固め度100%となる温度が低いアスファルト配合のほうが、その温度が高いアスファルト配合よりも、施工性改善効果が高いか、又は優れるということになる。
以下、本発明を適用した改質アスファルト組成物において、効果を検証するための実施例と比較例について、詳細に説明をする。
表4の実施例1〜21、並びに比較例1〜7に示す配合比率からなる、ストレートアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト、芳香族系重質鉱油、SBS、飽和脂肪酸、その他からなる試料を準備した。
Figure 0006912951
ストレートアスファルトの性状は、例えば、25℃における針入度が65(1/10mm)、軟化点が48.5℃、15℃における密度が1034kg/m3であるのものである。
使用したプロパン脱瀝アスファルトの性状は、代表的な性状が針入度が13(1/10mm)、軟化点が61.5℃、15℃における密度が1066kg/m3であるものである。
また、使用した芳香族系重質鉱油は、代表的な性状が100℃における動粘度が61.2mm2/s、40℃における動粘度が3970mm2/s、15℃における密度が976.4kg/m3であるエキストラクトである。
使用したSBS1は、分子量が150,000であり、スチレン含有比率が30%である。使用したSBS2は、分子量が80,000であり、スチレン含有比率が45%である。使用したSBS3は、分子量が90,000であり、スチレン含有比率が30%である。
使用した飽和脂肪酸は、炭素数12の化合物として、ラウリン酸含有量99.8%、酸価281(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価0.04(mgKOH/g:JIS K0070)のものを使用した。
また炭素数14の飽和脂肪酸として、ミリスチン酸含有量99.6%、酸価245(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価0.08(mgKOH/g:JIS K0070)のものを使用した。
また炭素数16の飽和脂肪酸として、パルミチン酸含有量99.2%、酸価219(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価0.04(mgKOH/g:JIS K0070)のものを使用した。
また炭素数18の飽和脂肪酸として、ステアリン酸含有量65.0%(35.0%はパルミチン酸)、酸価205(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価0.1(mgKOH/g:JIS K0070)のものを使用した。
炭素数22の飽和脂肪酸として、べヘン酸含有量99.2%、酸価164(mgKOH/g:JIS K0070)、ヨウ素価0.04(mgKOH/g:JIS K0070)のものを使用した。
使用した比較例用の不飽和脂肪酸としては、炭素数18で二重結合を分子中に1つ有するオレイン酸について、その純度88%、酸価199(mgKOH/g:JIS K0070)、のものを使用した。
さらに酸価156(mgKOH/g:JIS K0070)、軟化点77.0℃(JIS K2207)の不均化ガムロジンを比較例用に使用した。
なおこのガムロジンは、採取した生松脂をろ過して不純物を除去し、その後、蒸留することにより、低沸点成分のテレピン油を分離して得られるロジンである。
また炭素数36で酸価195(mgKOH/g:JIS K0070)である、樹脂酸の2量体であるダイマー酸を比較例用に使用した。また炭素数36で軟化点142.0℃である、エチレンビスステアリン酸アマイドを使用した。
上述した構成からなる実施例1〜21、比較例1〜7からなるポリマー改質アスファルト組成物の製造方法について以下で述べる。
ストレートアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト、芳香族系重質鉱油を、製造後のアスファルト組成物の針入度が44〜58となるように、180℃程度の温度で溶融した状態で混合し、SBSを所定量添加し、更に、上述した飽和脂肪酸、もしくはその他の添加剤を添加する。混合はホモミキサーを用いて行い、回転数を1500〜5000回転/分として3〜5時間程度、混合並びに攪拌した。混合終了時のアスファルトの温度は200〜205℃に調整した。また製造量はいずれも1.0kgとした。
作製した実施例1〜21、比較例1〜7についてそれぞれ測定した物性を表4に示す。
物性の測定項目は、性状試験と、混合物性能試験に大別される。性状試験では、針入度(0.1mm)、軟化点(℃)、180℃における粘度(mPa・s)の各項目について試験を行っている。また混合物性能試験では、DS、および施工性改善効果(締固め度100%となる温度)について評価を行っている。
これら測定する各物性値において、本発明で好ましい範囲は以下に示すとおりである。
針入度(25℃)及び軟化点は、一般社団法人日本改質アスファルト協会の定めるポリマー改質アスファルトI型の品質規格のうち、針入度(25℃)は、40以上とし、44以上、60以下がより好ましい。軟化点は、50.0℃以上とする。
粘度(180℃)は、240mPa.s以下とする。この値を超えてしまうと、粘度が高すぎて、施工が困難になる。
夏期のわだち掘れのしにくさの指標として、ホイールトラッキング試験結果より得られるDSが3000回/mm以上とした。重交通道路の舗装として十分な値であり、これを下回る場合は轍掘れが発生する恐れがあることを示唆する。なおDSは、5000回/mm以上がより好ましく、更に6000回/mm以上が好ましい。
施工性改善効果(締固め度100%となる温度)の好ましい範囲は、150℃以下とする。
以下、本発明を適用した改質アスファルト組成物において、効果を検証するための実施例と比較例について、詳細に説明をする。
実施例1〜21は、何れもベースアスファルト、SBS、飽和脂肪酸が、本発明において規定した成分組成の範囲内にある。このため、針入度、軟化点、粘度(180℃)が何れも好ましい範囲内にあり、耐わだち掘れ性についてもDSも3000回/mm以上であり、締固め度100%となる温度は何れも150℃以下であった。このため、実施例1〜21は、舗装後の道路の高強度化、高耐久化と、施工性改善効果の両立を図ることが可能となることが分かる。また特定の分子構造を有する2種類のSBS1、SBS2の組み合わせを選択することを不要とし、1種類のSBS1のみを混合することで上述した効果を発現させることができ、製造の際の労力も削減させることが可能となる。
また実施例18〜21に示す通り、異なる分子構造を有する2種類以上のSBSの組み合わせにおいても、特定の分子構造を選択することなく、さらに特定の比率で組み合わせることなく、SBSの合計の配合量、飽和脂肪酸の配合量が、本発明において規定した成分組成の範囲内であれば、上述した効果を発現させることができる。
中でも実施例7〜12は、不飽和脂肪酸としてのパルミチン酸(C16)の含有量を0.3〜2.0まで微量ずつ変化させたものである。パルミチン酸の含有量が0.3%〜1%である実施例7〜10は、施工性改善効果、耐久性ともに優れていた。
また実施例13、14は、SBSおよび飽和脂肪酸の量が本発明の範囲内であるため、ベースアスファルト中に比較例1で示した不均化ロジン、ないしアマイドが含まれていても、優れた耐久性、および優れた施工性改善効果を示すことが示されている。
比較例1は、飽和脂肪酸を混合する代わりに、不飽和脂肪酸としての不均化ガムロジンを混合したので、締固め度100%となる温度が150℃を超えてしまい、施工性改善効果が低下していた。
比較例2は、飽和脂肪酸を混合する代わりに、不飽和脂肪酸としてのダイマー酸を混合したので、締固め度100%となる温度が150℃を超えてしまい、施工性改善効果が低下していた。
比較例3は、飽和脂肪酸を混合する代わりに、不飽和脂肪酸としてのオレイン酸を混合したので、混合物性能試験時において油脂特有の臭気が発生していた。不飽和脂肪酸は作業温度(約180℃)において揮発しやすく、その揮発した成分に基づいて臭気が発生したものと考えられる。
比較例4は、飽和脂肪酸の含有量を0%としているため、飽和脂肪酸を添加することによる施工性改善効果を発現させることができないため、締固め度100%となる温度が150℃を超えていた。
比較例5は、パルミチン酸(C16)が2.5%であり、本発明において規定した上限を超えていた。この際、SBSが本発明において規定している範囲であるにも関わらず、DSが2520回/mmとなり3000回/mmを下回わり、耐流動性の低下に伴い耐久性が低下していた。
比較例6は、添加するSBS1が2.5%であり、本発明において規定した下限を下回っていた。またベースアスファルトが97.1%であり、本発明において規定した上限を超えていた。このため、DSが3000回/mm未満となっており、耐久性が低下し、軟化点も低下していた。
比較例7は、添加するSBS1が5.5%であり、本発明において規定した上限を超えていた。このため、粘度が上昇しており、締固め度100%となる温度が150℃を超えてしまい、施工性改善効果が低下していた。
5 供試体
11 車輪

Claims (3)

  1. 何れも重量%で、
    ベースアスファルト:93.0〜96.7%、
    SBS:3〜5%、
    炭素数12〜22の飽和脂肪酸:0.3〜2.0%を含有し、
    上記飽和脂肪酸は、パルミチン酸(炭素数16)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、アラキジン酸(炭素数20)、ベヘン酸、(炭素数22)の何れかであること
    を特徴とするポリマー改質アスファルト組成物。
  2. 上記ベースアスファルトは、
    ストレートアスファルト、プロパン脱瀝アスファルト、芳香族系重質鉱油のいずれか一
    つ以上を含有すること
    を特徴とする請求項1記載のポリマー改質アスファルト組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリマー改質アスファルト組成物の製造方法であっ
    て、
    溶融した状態の上記ベースアスファルトに対して、上記SBSを混合し、更に上記飽和
    脂肪酸を添加した後、撹拌する工程を有すること
    を特徴とするポリマー改質アスファルト組成物の製造方法。
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