JP6912832B2 - ネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物及びそれを電着塗装してなる塗膜 - Google Patents

ネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物及びそれを電着塗装してなる塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、ネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物及びそれを電着塗装してなる塗膜に関する。
従来、プリント配線板におけるスルーホールのような三次元形状を有する電子回路基板において、アニオン性又はカチオン性の電着特性を有するネガ型やポジ型の電着フォトレジストが、微細加工用途、エッチング用途及びめっきマスク用途等に用いられてきている(特許文献1〜7)。
電着フォトレジストのタイプは使用する用途により使い分けられているが、電子回路基板のさらなる微細化に伴い、高感度であって、しかも耐薬品性をさらに高めた電着フォトレジストが要望されており、これまで種々の検討がなされてきている。
特定の粘性挙動を有するネガ型電着フォトレジストは、エッジ部の露出が少ないため良好なレジスト特性を有するが、耐薬品性では不十分であり、現状ではその性能を確保するためには塗膜厚を厚くする対策が必要である。
例えば、アクリル樹脂に置換基としてフッ素を有する共重合体を共重合したものを用いたネガ型電着フォトレジストは、塗膜の不粘着性に優れており、そのため、露光時でのフォトマスクの貼り付きがなく、さらに耐薬品性にも優れている。
しかしながら、耐薬品性を向上させるためには塗膜の密着性を上げる必要があるが、一方で、露光現像後のめっき処理やエッチング処理後の塗膜のレジスト剥離性の良好な特性も求められている。
以上のように、耐薬品性が良好で、かつレジスト剥離性の良好な電着フォトレジスト組成物はこれまで提供されていなかった。
特開昭61−080240号公報 特開昭61−247090号公報 特開平1−191799号公報 特開平1−279251号公報 特開平4−116181号公報 特開2003−330188号公報 特開2007−248617号公報
本発明は、前記したような従来技術における問題を解決したものであり、耐薬品性が良好なレジスト膜を形成できるネガ型カチオン性電着フォトレジスト組成物及びそれを電着塗装してなる塗膜に関する。
上記問題に対して、鋭意研究の結果、本発明者らは、特定のネガ型カチオン性電着樹脂液により電着塗装を行なうことで、その問題を克服できることを知見し本発明に至った。
具体的には、共重合単量体の置換基としてアミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体を含む水分散性ビニル系共重合体、架橋剤として多官能アクリレート、密着性付与
剤、光重合開始剤を含むことを特徴とするネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物から製造したネガ型カチオン性電着樹脂液により電着塗装を行なうことで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)以下の(a)及び(b)成分からなる水溶性又は水分散性ビニル系共重合体 49.0〜94.98重量部、
(a)アミノアルキル置換基を有する共重合性ビニル系単量体 3.0〜16.0重量部、
(b)上記以外の共重合性ビニル系単量体 84.0〜97.0重量部、
(B)1分子中にビニル基を3個以上有する多官能アクリレート 5.0〜50.0重量部、
(C)密着性付与剤 0.02〜1.0重量部、
(D)光重合開始剤 (A)〜(C)の合計100重量部に対し1.0〜12.0重量部を含有することを特徴とするネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物及び該樹脂組成物に基づく電着塗膜を要旨とするものである。
本発明のネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物は、塗料安定性に優れ、これを用いて構成した電着塗料並びにこれにより形成されたネガ型カチオン性電着フォトレジスト塗膜は、優れた密着性により耐薬品性を有し、後工程での電解めっき処理やエッチング処理後の塗膜の剥離性も優れており、産業上極めて有用である。
本発明について更に詳しく説明する。
本発明においては、(A)水溶性または水分散性ビニル系共重合体、(B)1分子中にビニル基を3個以上有する多官能アクリレート、(C)密着性付与剤、(D)光重合開始剤の各成分は、電着塗膜および電着塗料用樹脂液を得るための必須構成成分である。
(A)成分の水溶性または水分散性ビニル系共重合体を構成するビニル系単量体のうち、(a)置換基としてアミノアルキル基を含有する単量体としては、炭素数1〜4のジアルキルアミノ基を有するアクリル系単量体を好適に用いることができる。
具体的には、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジエチルアミノメチル、アクリル酸ジプロピルアミノメチル、アクリル酸ジイソプロピルアミノメチル、アクリル酸ジブチルアミノメチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジプロピルアミノエチル、アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、アクリル酸ジブチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、アクリル酸ジプロピルアミノプロピル、アクリル酸ジイソプロピルアミノプロピル、アクリル酸ジブチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノメチル、メタクリル酸ジプロピルアミノメチル、メタクリル酸ジイソプロピルアミノメチル、メタクリル酸ジブチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジプロピルアミノエチル、メタクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、メタクリル酸ジブチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジプロピルアミノプロピル、メタクリル酸ジイソプロピルアミノプロピル、メタクリル酸ジブチルアミノプロピル等がある。
なかでもアクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルが好適に使用できる。
(A)成分の水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を構成するビニル系単量体のうち(b
)(a)以外の共重合性ビニル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、ノルマルヘプチルアクリレート、ノルマルヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等の炭素数約20までのアルキル基を有する同様な共重合性ビニルエステルやシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの置換基として脂環式炭化水素基を有する共重合性ビニルエステル系単量体、及び、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族基を有するビニル系単量体が使用できる。
しかし、側鎖のアルキル基の炭素数が多い単量体を使用すると、(A)水溶性または水分散性ビニル系共重合体のTgを下げる傾向にあり、それにより未露光時の塗膜の粘着性が増加して実用性が低下するため配合割合の制限がある。
また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート等の置換基として水酸基を有するものが使用できる。
さらにアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類やアクリロニトリル、酢酸ビニル等を使用することも出来る。
(B)1分子中にビニル基を3個以上有する多官能化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオール誘導体の多官能(メタ)アクリレート類、市販品としてはアロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060(いずれも東亞合成(株)製)、EO変性多官能アクリレート、PO変性多官能アクリレートなどのポリエーテル(メタ)アクリレート類、市販品としてはPETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、OTA480、EBECRYL12、EBECRYL40、EBECRYL140、DPHA(いずれもダイセル・サイテック(株)製)、アロニックスM−305、アロニックスM−309、アロニックスM−310、M−315、M−320、アロニックスM−350、アロニックスM−360、アロニックスM−370、アロニックスM−400、アロニックスM−402、アロニックスM−408、アロニックスM−450、(いずれも東亞合成(株)製)、ネオマーTA−401、TA−505、EA−301、DA−600(いずれも三洋化成工業(株)製)、NKエステルA−TMPT、NKエステルAD−TMP、NKエステルA−TMPT−3EO、NKエステルA−TMPT−9EO、NKエステルA−TM−4E、NKエステルA−TM−4P、NKエステルTMPT−9EO、NKエステルA−DPH、NKエステルA−TMMT、NKエステルA−9550、NKエステルATM−35E、NKエステルTMPT(いずれも新中村化学工業(株)製)などが使用できる。更に、ペンタエリスリトー
ルトリアリレート、ペンタエリスリトールテトラアリレート、トリメチロールプロパントリアリレート等の多官能アリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、ウレタンアクリレート、デンドリティックアクリレート等が用いることが出来るがこれらに限定されない。なかでもポリオール誘導体の多官能(メタ)アクリレート類、ポリエーテル(メタ)アクリレート類が好適に使用できる。また、上記の一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(C)の密着性付与剤としては、アミノ基を有する複素環式化合物が適用できる。例示すると、2,4−ジアミノ−1,3,5-トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5-トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ヒドロキシ−1,3,5-トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン等の1級アミノ基を持つトリアジン誘導体、アルキルエーテル化イミノ型メラミン、メチロールイミノ型メラミン、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン、メチロール化ベンゾグアナミン等の2級アミノ基を有するトリアジン誘導体、3−アミノチオフェン、2−アセチル−3−アミノチオフェン、2−(2−アミノエチル)チオフェン等のアミノ基を有するチオフェン誘導体、フルフリルアミン、2,5−ビスアミノメチルフラン等のアミノ基を有するフラン誘導体等が使用できる。
中でも活性水素を有するアミノ基を持つ複素環式化合物に密着性向上効果があり、特に、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンのような1級アミノ基とトリアジン骨格を有する複素環式化合物の方が、2級アミノ基を有する複素環式化合物を持つ化合物より効果は大きい。上記のアミノ基を持つ化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
市販品としては、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5-トリアジン(商品名:キュアゾールVT 四国化成工業(株)製)、2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン(商品名:キュアゾール2MZ−A、四国化成工業(株)製)、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン(東京化成工業(株)製)、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(商品名:ベンゾグアナミン 日本触媒製)等の1級アミンを持つトリアジン誘導体やサイメル211(オルネクスジャパン(株)製)、サイメル250(オルネクスジャパン(株)製)、サイメル254(オルネクスジャパン(株)製)、サイメルNF−2000(オルネクスジャパン(株)製)等の2級アミノ基を有するトリアジン誘導体、等があげられるがこれらに限定されない。
(D)光重合開始剤としては、電着フォトレジストの特性上、非水溶性のものが好ましい。例示すると、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、2−(4−メチル)ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名:EsacureKIP150、EsacureONE等Lamberti社製)等の分子量300以上のα−ヒドロキシケトン類、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、高分子チオキサントン(商品名:GENOPOL TX、RAHN社製)等のチオキサントン類、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルフォニル]プロパン−
1−オン等のケトスルフォン類が使用できる。なかでも、α−アミノケトン類、チオキサントン類、ケトスルフォン類が好ましい。
上記の光重合開始剤においては、1種、または、2種以上組み合わせて使用することができる。また、アミン等の光増感剤を併用することもできる。
本発明における(A)成分の水溶性または水分散性ビニル系共重合体のアミノアルキル基を中和するのに用いることのできる酸成分としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、2−エチルブタン酸、オクチル酸などの有機酸、又は硫酸、リン酸等が挙げられる。中でも酢酸、乳酸等が好適に使用できる。酸成分は、(A)成分中のアミノアルキル基に対して、モル比が0.3〜0.9となるように添加すればよい。
また、本発明においては、密着性付与剤が粉末状のものについてはプロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤に溶解したものを使用しても良い。また必要に応じ、重合禁止剤、顔料、染料、界面活性剤、増粘剤、添加剤等を特性に悪影響しない範囲で使用することができる。
本発明のネガ型電着フォトレジスト用樹脂組成物において、各成分の配合割合は、上記成分水溶性、または、水分散性ビニル系共重合体(A)49.0〜94.98重量部、1分子中にビニル基を3個以上有する多官能アクリレート(B)5.0〜50.0重量部、密着性向上剤(C)0.02〜1.0重量部、A〜Cの合計100重量部に対し、光重合開始剤(D)1.0〜12.0重量部であることが必要である。さらに(A)は(a)アミノアルキル基を側鎖に有する共重合性ビニル系単量体を3.0〜16.0重量部、(b)アミノアルキル基を側鎖に有しない共重合性ビニル系単量体を、84.0〜97.0重量部を含む。
特に好ましい配合割合は、成分(A)64.5〜84.95重量部、成分(B)15.0〜35.0重量部、成分(C)0.05〜0.5重量部、A〜Cの合計100重量部に対し、成分(D)3.0〜10.0重量部の範囲である。この時、(A)は(a)アミノアルキル基を側鎖に有する共重合性ビニル系単量体を5.0〜13.0、重量部、(b)アミノアルキル基を側鎖に有しない共重合性ビニル系単量体を、87.0〜95.0重量部を含む。
これに対して、(A)が49.0重量部未満の場合、電着液の水溶性が低下し電着液の安定性が低下することがある。また、94.98重量部を超えると塗膜の露光感度が落ちることがある。
さらに、(A)を構成する(a)が3.0重量部未満の場合、電着塗膜の水溶性が低下して、現像が困難になることがあり、また、16.0重量部を超えると、電着塗膜の耐水性が落ち、耐めっき液性が悪くなることがある。
(B)が、5.0重量部未満では架橋密度が低くなり、現像時に塗膜が溶解することがある。また、50.0重量部を超えると露光前の塗膜に粘着性が出てくるといった問題が生じることがある。
(C)が0.02重量部未満の場合、塗膜の密着性が低下し、耐薬品性が悪くなり、1.0重量部を超えると電着時にピンホール発生の問題が生じることがある。
(D)が1.0重量部未満の時、塗膜の露光感度が落ちることがある。但し、12.0重量部を超えても露光感度は向上しない。
本発明の電着条件としては、通電工程において、被塗物を陰極とし、印加電圧を15〜250V、好ましくは60〜180Vとし、通電時間を5〜180秒、好ましくは10〜60秒とし、浴温を25〜50℃、好ましくは30〜45℃とする。印加電圧は通電と同時に設定電圧をかけるハードスタート、あるいは徐々に設定電圧まで上げていくソフトスタートのいずれでもかまわない。
塗膜厚は7μm〜12μmで処理される。
電着塗装された被塗装物は水洗され、次いで乾燥し、塗膜中の水分、溶剤成分を除去した後 紫外線を照射し露光される。紫外線光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LEDのいずれでもかまわない。露光のための光量は50mJ/cm〜800mJ/cmで、生産性向上の観点から、望ましくは50〜150mJ/cmである。露光はマスクパターン越しに行い、所定のパターンを塗膜に焼き付ける。また、パターンの解像度を上げるために、マスクパターンは直接塗膜に接触させる方が好ましい。
露光された塗膜は、有機酸系の現像液により現像し、未露光部分を溶解除去する。この現像液は、ギ酸、酢酸、乳酸等の有機酸を0.5〜3%程度の水溶液にしたものを室温から50℃の範囲で、好ましくは35〜45℃の範囲で使用する。また、必要であれば、ノニオン性界面活性剤を添加して現像時間を短縮することも出来る。
現像後に、被塗装物をめっき処理 又はエッチング処理を行う。その後、電着塗膜が不要であれば、剥離液で塗膜を剥離除去する。
本発明が適用できる被塗装物としては、プリント基板、リードフレーム、コネクター端子等の微細加工用途の電子部品のみでなく 導電性を有する微細加工用途のものであれば特に限定されることなくめっきレジスト、エッチングレジストとして使用できる。
例えば、ポリイミド等のフィルム上に金属蒸着やめっき処理した基材や透明性と導電性とを同時に付与することができるITO(Indium Tin Oxide)を蒸着したガラス板上でもかまわない。
また、本発明電着液の使用に関して、用途によりこれ以外の電着液とブレンド使用しても構わない。
本発明について、製造例、実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
なお、製造例、実施例および比較例中の部は、特に断りのない限り重量部を意味する。
(製造例1)
水溶性又は水分散性のビニル系共重合体の製造
撹拌装置、還流装置及び窒素導入管を備えた3リットル4つ口フラスコに、重量部でイソプロピルアルコール30部を仕込み、80℃に昇温した。別にイソプロピルアルコール10部、ジエチルアミノエチルメタクリレート10部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、2−エチルヘキシルメタクリレート5部、エチルアクリレート5部、ブチルアクリレート18部、メチルメタクリレート57部、アゾビスイソブチロニトリル1部の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。滴下終了後、さらに、イソプロピルアルコール3部、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を、30分毎に3回添加した後、さらに90℃で180分反応を続けた。
得られた共重合体は、アミン価29.5mgKOH/gの水分散性ビニル共重合体(加熱残分66.0%)であった。
(実施例1)
製造例1で得られたビニル系共重合体151.5部にジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亜合成(株)製多官能型共重合性ビニル系単量体、アロニックスM−400)23部、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)0.02部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、BASF(株)製光重合開始剤)5部、2,4−ジエチルチオキサントン(カヤキュアDETX−S、日本化
薬(株)製光重合開始剤)2部、プロピレングリコールモノメチルエーテル16部、80%乳酸3.0部を加えて十分撹拌した後、脱イオン水1124.5部を加えて加熱残分10%の電着液を作製した。
(実施例2)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)の添加量を0.08部に変更した以外は、実施例1と同様な方法で電着液を作製した。
(実施例3)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)の添加量を1.0部に変更した以外は、実施例1と同様な方法で電着液を作製した。
(実施例4)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)をメトキシメチル化ブトキシメチル化イミノ型メラミン(サイメル254、オルネックス社製)0.2部に変更した以外は、実施例1と同様な方法で電着液を作製した。
(実施例5)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)を2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン(キュアゾール2MZ−A、四国化成工業(株)製)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様な方法で電着液を作製した。
(実施例6)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)を2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン(商品名:キュアゾールVT 四国化成工業(株)製)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様な方法で電着液を作製した。
(比較例1)
製造例1で得られたビニル系共重合体151.5部にジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亜合成(株)製多官能型共重合性ビニル系単量体、アロニックスM−400)25部、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)0.01部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン(BASF(株)製光重合開始剤、イルガキュア907)5部、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製光重合開始剤、カヤキュアDETX−S)2部、プロピレングリコールモノメチルエーテル16部、80%乳酸3.0部を加えて十分撹拌した後、脱イオン水1124.5部を加えて加熱残分10%の電着液を作製した。
(比較例2)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)の添加量を2.0部に変更した以外は、比較例1と同様な方法で電着液を作製した。
(比較例3)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)を1,2−ジメチルイミダゾール(東京化成工業(株)製)0.2部に変更した
以外は、比較例1と同様な方法で電着液を作製した。
(比較例4)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、 (日本触媒製)を1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール(キュアゾール2MZ−CN、四国化成工業(株)製)0.2部に変更した以外は、比較例1と同様な方法で電着液を作製した。
(比較例5)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)を2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(チヌビン400、BASF製)0.2部に変更した以外は、比較例1と同様な方法で電着液を作製した。
(比較例6)
2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン、日本触媒製)を1,2,3−ベンゾトリアゾール(東京化成工業(株)製)0.2部に変更した以外は、比較例1と同様な方法で電着液を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜6の密着性付与剤配合割合及びその評価並びに塗膜の評価を表1及び表2に示す。
Figure 0006912832
(樹脂組成物の評価法)
実施例1〜6、比較例1〜6で作製した電着液を使用し、常法に従って陰極に厚さ0.2mmの銅板を、陽極に18−8ステンレス鋼板を用いて、浴温37℃、両極間に直流電圧を14秒間印加した。次いで電着塗布された銅板を取り出して充分に水洗したのち、60℃の温度で90秒間乾燥した。その後、所定のパターンのあるフォトマスク越しにメタルハライドランプにて波長365nmの光の強度を所定量、電着塗膜に露光し、温度42℃乳酸濃度1重量%の水溶液に1分間浸漬して未露光部分の電着塗膜を現像した。その後、シアン化銀めっき液による被塗物へのめっきを50℃、20A/dmにて1分間電解めっきを行いめっきの染み込みを評価した。基材の銅板と現像後の電着塗膜界面における耐銀めっき液性およびピンホールの発生について以下のように評価した。
(1)耐銀めっき液性:
○:銀染み込みなし、
△:銀染み込みわずかに発生、
×:銀染み込み発生。
(2)ピンホール
○:ピンホールなし、
×:ピンホールあり。
Figure 0006912832
本発明のネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物を用いた電着液は、貯蔵安定性、機械的液安定性に優れ、またそれにより形成された電着塗膜も、これまでより優れた密着性により耐薬品性を有し、後工程での電解めっき処理やエッチング処理後の塗膜の剥離性も優れており、産業上極めて有用である。

Claims (2)

  1. (A)水溶性又は水分散性ビニル系共重合体と、
    (B)1分子中にビニル基を3個以上有する多官能アクリレートと、
    (C)密着性付与剤と、
    (D)光重合開始剤と
    を含有する、ネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物であって、
    (A)の含有量は、64.5〜84.95重量部、
    (B)の含有量は、15.0〜35.0重量部、
    (C)の含有量は、0.02〜1.0重量部であり、
    (D)の含有量は、(A)〜(C)の合計100重量部に対し、3.0〜10.0重量部であり、
    (A)は、以下の(a)及び(b)成分から構成され、
    (a)は、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、またはメタクリル酸ジエチルアミノエチルから選択される、ジアルキルアミノ基を有するアクリル系単量体であり、
    (b)は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、ノルマルヘプチルアクリレート、ノルマルヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、またはステアリルメタクリレートから選択される、共重合性ビニル系単量体であり、
    (a)の含有量は、5.0〜13.0重量部、
    (b)の含有量は、87.0〜95.0重量部、
    であり、
    (B)は、ポリオール誘導体の多官能(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、多官能アリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、デンドリティックアクリレートから選択される1種又は2種以上の組み合わせであり、
    (C)は、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、アルキルエーテル化イミノ型メラミン、2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジンから選択される1種単独又は2種以上の組み合わせからなる密着性付与剤であり、
    (D)は、α−アミノケトン類、分子量300以上のα−ヒドロキシケトン類、チオキサントン類、ケトスルフォン類の1種、または、2種以上組み合わせからなる光重合開始剤であること、
    を特徴とするネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のネガ型カチオン性電着フォトレジスト用樹脂組成物から形成されたことを特徴とする電着塗膜。
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