以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
図1に示すように、着雪検出装置としても機能する監視装置1は、レーザレーダ装置2、レーザレーダ装置2を制御する制御装置3およびミラー4により構成されている。なお、本実施形態では着雪検出装置をレーザレーダ装置2、制御装置3およびミラー4により構成した例を示しているが、後述する着雪検出処理などの各処理をレーザレーダ装置2側で行うことにより、レーザレーダ装置2およびミラー4により着雪検出装置を構成することもできる。
レーザレーダ装置2は、制御部20、照射部21、回転ミラー22、受光部23および記憶部24などを備えている。これら各構成は、図2に示す筐体25の内部に収容されている。図2にも示すように、筐体25には、レーザ光および反射光を透過させる窓部26が設けられている。レーザレーダ装置2の制御部20は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成されており、記憶部24などに記憶されているコンピュータプログラムを実行することによりレーザレーダ装置2の全体を制御する。
図2に示すように、レーザレーダ装置2は、図示しない取付具などを介して、柱などの設置対象物に取り付けられている。レーザレーダ装置2は、回転ミラー22を回転させることにより、照射部21から照射されたレーザ光を、所定の走査角度、例えば1°ごとに対象エリアに向けて照射する。本実施形態では、照射されるレーザ光の走査の方向(走査方向)は、水平方向に設定されている。なお、以下の説明では、筐体25の設置対象物側をレーザレーダ装置2の後側とし、筐体25の窓部26側をレーザレーダ装置2の前側とする。また、地面に対して水平方向で且つレーザレーダ装置2の前後方向に対して直角となる方向を左右方向とする。
レーザレーダ装置2は、レーザ光を照射してから物体5で反射した反射光が受光部23で受光されるまでの経過時間に基づいて、走査角度ごとに物体までの距離を測定する。レーザレーダ装置2により物体が検出された場合には、検出された物体の走査角度および距離などに基づいて、周知のように侵入検知処理が行われる。なお、侵入検知処理では、例えば音声あるいは信号等により侵入物を検出した旨が報知される。
ミラー4は、照射部21から照射されたレーザ光の一部を、レーザレーダ装置2の設置箇所周辺の地面に向けて反射させるとともに、地面で反射した反射光をレーザレーダ装置2の受光部23に向けて反射させるように、レーザレーダ装置2の外部に設けられている。本実施形態では、ミラー4は、レーザレーダ装置2が地面へとレーザ光を照射するとともに地面からの反射光を受光するようにレーザ光および反射光の光路を変更する光路変更部に相当する。
本実施形態では、レーザレーダ装置2の監視エリアは180°の範囲に設定されている。一方、レーザレーダ装置2の測距可能な範囲は190°となっている。したがって、レーザレーダ装置2の測距可能な範囲のうちの左右両端における各5°の範囲(合計で10°の範囲)は、実際の監視には用いられていない。そこで、本実施形態では、このように、監視に用いられない範囲に照射されるレーザ光を用いて地面までの測距を行うようにしている。
具体的には、図2に示すように、ミラー4は、レーザレーダ装置2が取り付けられた柱から右方向へと延びるように設けられた柱に対し、図示しない取付具などを介して取り付けられている。これにより、ミラー4は、レーザレーダ装置2の右側方に設けられており、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光のうち、右端の5°の範囲にて照射されるレーザ光を地面へと反射させるとともに、地面からの反射光をレーザレーダ装置2へと反射させるようになっている。
制御装置3は、制御部30などを備えている。制御装置3は、いわゆるパソコンで構成されている。図示は省略するが、制御装置3は、レーザレーダ装置2による監視状況やカメラで撮像した画像などを表示する表示部、ユーザに侵入などを報知する報知部およびマウスやキーボードなどのユーザの操作を入力する入力部を備えている。
本実施形態の監視装置1の場合、レーザレーダ装置2側では基本的に物体を検出する処理を行っており、制御装置3側において侵入物の有無の判定や、着雪検出用のプログラムを実行することにより、窓部26への着雪を検出する着雪検出処理、報知処理などを行っている。なお、着雪検出処理には、地面情報算出処理、地面情報判定処理および着雪判定処理が含まれる。
地面情報算出処理は、光路変更部に相当するミラー4によりレーザ光および反射光の光路が変更された状態におけるレーザレーダ装置2による距離の測定結果に基づいて地面までの距離を算出する処理である。地面情報判定処理は、地面情報算出処理により算出される地面までの距離が基準距離よりも短いか否かの判定を行う処理である。
なお、基準距離は、地面までの距離の通常の値、つまり地面に積雪が無い場合における地面までの距離値に応じて設定される。上記基準距離は、レーザレーダ装置2が設置される際、その設置環境に応じて決定される距離に設定すればよい。あるいは、レーザレーダ装置2が設置された状態で、地面情報算出処理を一度実行させ、それにより算出された地面までの距離を基準距離として設定するようにしてもよい。
着雪判定処理は、地面情報判定処理により地面までの距離が基準距離よりも短いと判定されたという第1条件が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されると、その検出された物体が雪であるとして、窓部26に着雪があると判定する処理である。このように、本実施形態では、制御部30は、上述した各処理を行うものであり、地面情報算出部、地面情報判定部および着雪判定部としての機能を有する。
次に、上記構成の作用について説明する。
まず、レーザレーダ装置2は、周知のように、走査面上に存在する物体までの距離を測定することができる。このとき、窓部26に汚れや付着が無い場合には、例えば図3に示すように、反射光は、窓部26の位置での反射光強度(反射光量)が小さく、物体5での反射光強度が閾値を超えることになる。そして、閾値を超えるまでの時間に基づいて、物体5までの距離が測定される。
これに対して、窓部26に雪6が着雪している場合には、例えば図4に示すように、レーザ光が雪6で反射することで窓部26の位置での反射光強度が高くなる一方、物体5での反射光強度が低くなって閾値を下回る、あるいは、反射光を受光しなくなる。そして、この場合には、物体の検出ができなくなる。
そのため、異常を報知することになるが、窓部26に着雪した場合には、侵入を検知したとして警備員を呼ぶのではなく、清掃員を呼ぶことで対応することができると考えられる。つまり、窓部26に付着した付着物の種類を判別できれば、柔軟な対応を取ることができる。
そこで、監視装置1は、次のようにして、窓部26の位置に検出された物体が自然に付着した着雪であるか否かを判定している。すなわち、窓部26への着雪は、気象現象である降雪により生じると考えられる。降雪があると、図5に示すように、レーザレーダ装置2の窓部26だけでなく、レーザレーダ装置2が設置された設置箇所周辺の地面にも雪6が付着して積雪となる。このような積雪がある場合、地面の上に雪6が積もることから、積雪が無い場合に比べ、レーザレーダ装置2から地面までの距離が短くなる。
このように、レーザレーダ装置2の窓部26に雪が付着する場合、窓部26の位置に物体が検出されるという現象だけでなく、地面までの距離が短くなるという現象が生じると考えられる。一方、窓部26に付着した物体が雪以外の物体である場合、上述したような降雪に伴って生じる現象が生じる可能性は低い。
前述したように、本実施形態の構成では、レーザレーダ装置2が地面までの距離を測定することができるようになっている。このような構成において、レーザレーダ装置2により測定される地面までの距離、つまり地面へとレーザ光を照射してから地面からの反射光を受光するまでの時間(経過時間)は、例えば図6に示す積雪が無いとき(通常時)に比べ、例えば図7に示す積雪があるとき(積雪時)のほうが短くなる。
したがって、本実施形態の構成によれば、通常時と積雪時とにおける地面までの距離の違い、すなわち、積雪の有無を判断することができる。なお、本発明者は、本実施形態の構成を用いて地面までの距離を測定するとともに積雪の有無を判断することが実際に可能であるかどうかを検証するための実験を実施した。
この実験では、図8に示すように、レーザレーダ装置2の設置箇所周辺の地面に相当する床に8cm程度の段差Sを設け、その段差Sの距離が計測できることを確認した。この場合、段差Sの低い部分と高い部分との距離の差が計測できれば、積雪による地面との距離変化、つまり積雪の有無を検出できると考えられる。
図9は、上記実験により得られた走査角度毎の距離値の一部を模式的に表す図であり、その右下の部分が床面までの距離の計測結果に相当する。図9に示すように、段差Sの高い部分の距離L1(積雪時の距離に相当)が、段差Sの低い部分の距離L2(通常時の距離に相当)よりも短い距離値として計測されていることが分かる。このような実験の結果から、本実施形態の構成によって積雪の有無を判断可能であることが明らかとなった。
監視装置1は、このようなレーザレーダ装置2による地面までの距離の測定結果などを用いて窓部26への着雪を検出する着雪検出処理を繰り返し実行している。この着雪検出処理は、図10に示すような内容の処理であり、制御装置3の制御部30に着雪検出用のプログラムを実行させることにより実現されている。
まず、ステップS101では、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されたか否かが判断される。このような判断は、図3および図4に示したような窓部26の位置に対応する反射光強度に基づいて行うことができる。ここで、窓部26の位置に物体が検出されない場合、ステップS101で「NO」となり、着雪検出処理が終了となる。
一方、窓部26の位置に物体が検出された場合、ステップS101で「YES」となり、ステップS102に進む。ステップS102では、地面までの距離が算出される。このように、ステップS102には、前述した地面情報算出処理が含まれる。ステップS102の実行後は、ステップS103に進む。
ステップS103では、ステップS102において算出された地面までの距離が基準距離より短い否か、つまり地面までの距離が通常時より減少しているか否かが判断される。このような判断は、図6および図7に示したような経過時間に基づいて行うことができる。このように、ステップS103には、前述した地面情報判定処理が含まれる。ここで、地面までの距離が基準距離以上である場合、つまり地面までの距離が減少していない場合、ステップS103で「NO」となり、着雪検出処理が終了となる。
一方、地面までの距離が基準距離より短い場合、つまり地面までの距離が減少している場合、ステップS103で「YES」となり、ステップS104に進む。ステップS104では、地面までの距離が基準距離よりも短いと判定されたという第1条件が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されたとして、窓部26に着雪があると判定される。
このように、ステップS104には、前述した着雪判定処理が含まれる。ステップS104の実行後、着雪検出処理が終了となる。なお、ステップS104に進み、窓部26への着雪があると判定された場合に、その旨を報知する報知処理を実行するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られる。
レーザレーダ装置2の窓部26への着雪は降雪により生じると考えられ、降雪があると、レーザレーダ装置2の設置箇所周辺の地面にも雪が付着して積雪となる。積雪がある場合には、地面の上に雪が積もることから、積雪が無い場合に比べ、レーザレーダ装置2から地面までの距離が短くなる。
したがって、レーザレーダ装置2の窓部26に雪が付着する場合、窓部26の位置に物体が検出されるという現象だけでなく、地面までの距離が短くなるという現象が生じると考えられる。一方、窓部26に付着した物体が雪以外の物体である場合、上述したような降雪に伴って生じる現象が生じる可能性は低い。
このような点を考慮し、本実施形態では、レーザレーダ装置2が、その設置箇所周辺の地面へとレーザ光を照射するとともに地面からの反射光を受光するように、レーザ光および反射光の光路を変更するための構成であるミラー4が設けられている。これにより、レーザレーダ装置2は、地面までの距離の測定を行うことが可能となる。
また、制御装置3は、ミラー4によりレーザ光および反射光の光路が変更された状態におけるレーザレーダ装置2による距離の測定結果に基づいて地面までの距離を算出する地面情報算出部としての機能を有する。これによれば、地面までの距離を取得することができる。さらに、制御装置3は、地面情報算出部により算出される地面までの距離が地面までの距離の通常の値に応じて設定された基準距離よりも短いか否かの判定を行う地面情報判定部としての機能を有する。これによれば、上述した降雪に伴って生じる現象の発生、言い換えれば降雪が生じたことを検出することができる。
そして、制御装置3は、地面情報判定部により地面までの距離が基準距離よりも短いと判定されたという第1条件が満たされるとともに、窓部26の位置に物体が検出されると、その検出された物体が雪であるとして、窓部26に着雪があると判定する着雪判定部としての機能を有する。これによれば、窓部26の位置に物体が付着していることだけでなく、その付着した物体が雪であるのか否かを判別することができる。
したがって、本実施形態によれば、レーザレーダ装置2の窓部26への着雪を検出することができる。また、本実施形態では、地面までの距離に基づいて降雪の有無を判定する手法を採用していることから、地面に積もった雪の上に例えば落ち葉などの低反射物体が堆積した場合でも着雪の検出を検出することができる。
窓部26への着雪を検出することができれば、次のような効果が得られる。すなわち、着雪の場合、泥や砂などの汚れとは異なり、風で飛んだり蒸発したりするなど、人が除去をしなくても対応可能な場合が多い。そのため、実際にレーザレーダ装置2を運用する場合には、着雪であるか否かを検出することができれば、人を派遣すべきか否かの判断をすることができ、運用および保守のコストを下げることができるようになる。また、侵入を検知したとして警備員を呼ぶのではなく、清掃員を呼ぶことで対応することができるなどの柔軟な対応をユーザが取ることができる。
本実施形態では、レーザ光を地面に向けて反射させるとともに反射光をレーザレーダ装置2に向けて反射させるようにレーザレーダ装置2の外部に設けられたミラー4により光路変更部が構成されている。そのため、レーザレーダ装置2としては、一般的な構成のものを採用することができる。したがって、本実施形態によれば、既存のレーザレーダ装置を用いて、地面までの距離の測定、ひいては窓部26への着雪を検出することができる。
また、この場合、ミラー4は、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光の一部、具体的には、実際の監視に用いられていない範囲(右端における5°の範囲)に照射されるレーザ光を地面に向けて反射させるように設けられている。そのため、この場合、地面についての測距は、実際の監視に用いられないレーザ光を利用して行われることになる。このようにすれば、レーザレーダ装置2は、監視エリアについての測距を通常通り行いつつ、地面についての測距を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、レーザレーダ装置2の本来の機能を妨げることなく、窓部26への着雪を検出することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図11〜図13を参照して説明する。
第2実施形態では、着雪検出処理の内容が第1実施形態と異なっている。なお、監視装置1の構成は、第1実施形態と共通する。
本実施形態では、次のようにして、窓部26の位置に検出された物体が自然に付着した着雪であるか否かを判定している。すなわち、降雪があると、図5に示したように、レーザレーダ装置2の窓部26だけでなく、レーザレーダ装置2が設置された設置箇所周辺の地面にも雪6が付着して積雪となる。このような積雪がある場合、地面の上に積もった雪6の反射率が地面を構成する土やアスファルトなどの反射率に比べて高いことから、積雪が無い場合に比べ、地面の反射率が高くなる。
このように、レーザレーダ装置2の窓部26に雪が付着する場合、窓部26の位置に物体が検出されるという現象だけでなく、地面の反射率が高くなるという現象が生じると考えられる。一方、窓部26に付着した物体が雪以外の物体である場合、上述したような降雪に伴って生じる現象が生じる可能性は低い。
前述したように、本実施形態のレーザレーダ装置2は、地面までの距離を測定することができるようになっており、その測距の結果に基づいて地面の反射率を算出することができる。すなわち、地面からの反射光の受光強度(反射光量)は、例えば図11に示す積雪が無いとき(通常時)に比べ、例えば図12に示す積雪があるとき(積雪時)のほうが大きくなる。したがって、このような地面からの反射光量に基づいて、地面の反射率を算出することができる。
そこで、この場合、地面情報算出処理は、光路変更部に相当するミラー4によりレーザ光および反射光の光路が変更された状態におけるレーザレーダ装置2による距離の測定結果に基づいて地面の反射率を算出する処理となっている。また、地面情報判定処理は、地面情報算出処理により算出される地面の反射率が基準反射率よりも高いか否かの判定を行う処理となっている。
なお、基準反射率は、地面の反射率の通常の値、つまり地面に積雪が無い場合における地面の反射率に応じて設定される。上記基準反射率は、レーザレーダ装置2が設置される際、その設置環境に応じて決定される反射率に設定すればよい。あるいは、レーザレーダ装置2が設置された状態で、地面情報算出処理を一度実行させ、それにより算出された地面の反射率を基準反射率として設定するようにしてもよい。
さらに、着雪判定処理は、地面情報判定処理により地面の反射率が基準反射率よりも高いと判定されたという第2条件が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されると、その検出された物体が雪であるとして、窓部26に着雪があると判定する処理となっている。
本実施形態の着雪検出処理は、具体的には、図13に示すような内容となっている。すなわち、本実施形態の着雪検出処理は、図10に示した第1実施形態の着雪検出処理に対し、ステップS102〜S104に代えてステップS202〜S204が設けられている。この場合、窓部26の位置に物体が検出されたとき、つまりステップS101で「YES」と判断されたときにステップS202に進む。
ステップS202では、地面の反射率が算出される。このように、ステップS202には、前述した地面情報算出処理が含まれる。ステップS202の実行後は、ステップS203に進む。ステップS203では、ステップS202において算出された地面の反射率が基準反射率より高い否か、つまり地面の反射率が通常時より増加しているか否かが判断される。このような判断は、図11および図12に示したような反射光強度に基づいて行うことができる。このように、ステップS203には、前述した地面情報判定処理が含まれる。
ここで、地面の反射率が基準反射率以上である場合、つまり地面の反射率が増加していない場合、ステップS203で「NO」となり、着雪検出処理が終了となる。一方、地面の反射率が基準反射率より高い場合、つまり地面の反射率が増加している場合、ステップS203で「YES」となり、ステップS204に進む。ステップS204では、地面の反射率が基準反射率よりも高いと判定されたという第2条件が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されたとして、窓部26に着雪があると判定される。
このように、ステップS204には、前述した着雪判定処理が含まれる。ステップS204の実行後、着雪検出処理が終了となる。なお、ステップS204に進み、窓部26への着雪があると判定された場合に、その旨を報知する報知処理を実行するようにしてもよい。また、ステップS102およびS103と、ステップS202およびS203との実行順を入れ替えてもよい。すなわち、ステップS101で「YES」の場合にステップS202に進み、ステップS203で「YES」の場合にステップS102に進み、ステップS103で「YES」の場合にステップS304に進むようにしてもよい。
以上説明した本実施形態によっても、第1実施形態と同様、降雪に伴って生じる現象の発生、言い換えれば降雪が生じたことを検出することができるため、窓部26の位置に物体が付着していることだけでなく、その付着した物体が雪であるのか否かを判別することができる。したがって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様、レーザレーダ装置2の窓部26への着雪を検出することができる。また、本実施形態では、地面の反射率に基づいて降雪の有無を判定する手法を採用していることから、積雪量が比較的少ない場合でも着雪を検出することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図14を参照して説明する。
第3実施形態では、着雪検出処理の内容が第1実施形態と異なっている。なお、監視装置1の構成は、第1実施形態と共通する。
第1実施形態および第2実施形態の各着雪検出処理には、それぞれ次のような特徴がある。すなわち、地面までの距離に基づく第1実施形態の着雪検出処理によれば、積雪量が比較的少ない場合には着雪を検出できない可能性があるものの、地面に積もった雪の上に例えば落ち葉などの低反射物体が堆積した場合でも着雪を検出することができる。一方、地面の反射率に基づく第2実施形態の着雪検出処理によれば、地面に積もった雪の上に低反射物体が堆積した場合には着雪を検出できない可能性があるものの、積雪量が比較的少ない場合でも着雪を検出することができる。
このように、第1実施形態および第2実施形態の各着雪検出処理には、それぞれデメリットが存在し、上述したような特定のケースにおいて着雪を検出することができない可能性がある。そこで、本実施形態では、これら第1実施形態および第2実施形態の各着雪検出処理を次のように組み合わせることにより、着雪の検出性能を向上させるようになっている。
すなわち、この場合、地面情報算出処理は、光路変更部に相当するミラー4によりレーザ光および反射光の光路が変更された状態におけるレーザレーダ装置2による距離の測定結果に基づいて地面までの距離および地面の反射率の双方を算出する処理となっている。また、地面情報判定処理は、地面情報算出処理により算出される地面までの距離が基準距離よりも短いか否かの判定および地面情報算出処理により算出される地面の反射率が基準反射率よりも高いか否かの判定の双方を行う処理となっている。
さらに、着雪判定処理は、第1条件および第2条件の双方が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されると、その検出された物体が雪であるとして、窓部26に着雪があると判定する処理となっている。
本実施形態の着雪検出処理は、具体的には、図14に示すような内容となっている。すなわち、本実施形態の着雪検出処理は、図10に示した第1実施形態の着雪検出処理に対し、図14に示した第2実施形態の着雪検出処理におけるステップS202およびS203が追加されている点、ステップS104に代えてステップS304が設けられている点などが異なる。
この場合、地面までの距離が減少していると判断されたとき、つまりステップS103で「YES」と判断されたのときにステップS202に進み、第2実施形態と同様にステップS202およびS203が実行される。そして、地面の反射率が増加していると判断されたとき、つまりステップS203で「YES」と判断されたときにステップS304に進む。
ステップS304では、地面までの距離が基準距離よりも短いと判定されたという第1条件および地面の反射率が基準反射率よりも高いと判定されたという第2条件が満たされるとともに、レーザレーダ装置2の窓部26の位置に物体が検出されたとして、窓部26に着雪があると判定される。このように、ステップS304には、前述した着雪判定処理が含まれる。ステップS304の実行後、着雪検出処理が終了となる。なお、ステップS304に進み、窓部26への着雪があると判定された場合に、その旨を報知する報知処理を実行するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の着雪検出処理では、地面までの距離が基準距離よりも短いと判定されたという第1条件および地面の反射率が基準反射率よりも高いと判定されたという第2条件の双方が満たされるとともに、窓部26の位置に物体が検出されると、その検出された物体が雪であるとして、窓部26に着雪があると判定するようになっている。このようにすれば、積雪量が比較的少ない場合、地面に積もった雪の上に落ち葉などの低反射物体が堆積した場合などの特定のケースにおいても着雪を検出することができる。したがって、本実施形態によれば、着雪の検出性能を向上させることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について図15〜図17を参照して説明する。
図15に示すように、本実施形態の監視装置41は、第1実施形態の監視装置1が備える構成に加え、ミラー42を備えている。つまり、監視装置41は、複数のミラー4、42を備えている。ミラー42は、ミラー4と同様、レーザレーダ装置2が地面へとレーザ光を照射するとともに地面からの反射光を受光するようにレーザ光および反射光の光路を変更する光路変更部に相当する。
この場合、ミラー42は、レーザレーダ装置2が取り付けられた柱から左方向へと延びるように設けられた柱に対し、図示しない取付具などを介して取り付けられている。これにより、ミラー42は、レーザレーダ装置2の左側方に設けられており、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光のうち、左端の5°の範囲にて照射されるレーザ光を地面へと反射させるとともに、地面からの反射光をレーザレーダ装置2へと反射させるようになっている。
上記構成の監視装置41は、上記各実施形態において説明した着雪検出処理のいずれかを繰り返し実行するようになっている。また、上記構成の監視装置41は、ミラー4により反射される右端の5°の範囲に照射されるレーザ光の反射光に基づいて地面までの測距を行うか、ミラー42により反射される左端の5°の範囲に照射されるレーザ光の反射光に基づいて地面までの測距を行うか、を選択することが可能となっている。監視装置41は、このような選択を行うためのミラー選択処理を繰り返し実行するようになっている。
このミラー選択処理は、図16に示すような内容の処理となっている。まず、ステップS401では、ミラー4、42のうち一方のミラーが選択される。ステップS401の実行後は、ステップS402に進む。ステップS402では、ステップS401で選択されたミラーにより反射されるレーザ光の反射光に基づいて地面の測距が可能であるか否か、つまり地面の測距結果を取得可能であるか否かが判断される。
ここで、地面の測距結果を取得できる場合、ステップS402で「YES」となり、ミラー選択処理が終了となる。一方、地面の測距結果を取得できない場合、ステップS402で「NO」となり、ステップS403に進む。ステップS403では、ミラー4、42のうち他方、つまりステップS401で選択されたミラーとは異なるミラーが選択されるように切り替えが行われる。ステップS403の実行後、ミラー選択処理が終了となる。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られる。
第1実施形態の監視装置1のように1つのミラー4を備える構成の場合、レーザレーダ装置2の窓部26のうちミラー4に向けてレーザ光を照射する部分に着雪があると、地面までの距離の測定が不可能となり、その着雪を検出することができない。つまり、ミラーが1つである場合、窓部26に着雪した際、その着雪の位置によっては、着雪を検出できなくなるおそれがある。
これに対し、本実施形態の監視装置41のように、複数のミラー4、42を備えた構成の場合、ミラー4、42のうち一方に向けてレーザ光を照射する部分に着雪したとしても、図16に示したミラー選択処理によって地面の測距に用いられるミラーが他方のミラーへと切り替えられるため、地面の測距を行うことが可能となり、その着雪を検出することができる。
具体的には、本実施形態では、例えば図17に示すように窓部26の左側半分を覆うように着雪があった場合でも、ミラー選択処理によってミラー4を用いて地面の測距が行われるように切り替えられるため、その着雪を検出することができる。このように、本実施形態によれば、ミラー4、42のうち一方に向けてレーザ光を照射する部分に着雪したとしても、その着雪を検出することができる。したがって、本実施形態によれば、着雪の検出性能を一層向上させることができる。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について図18〜図22を参照して説明する。
図18に示すように、本実施形態の監視装置51は、第1実施形態の監視装置1に対し、制御装置3に代えて制御装置52を備えている点、ミラー4に代えて回転機構53を備えている点などが異なる。制御装置52は、制御装置3と概ね同様の構成であるが、その制御部54は、回転機構53の制御も行うようになっている。
回転機構53は、レーザレーダ装置2の走査の方向が地面に交わる方向となるようにレーザレーダ装置2を回転させるための機構であり、光路変更部に相当する。図示は省略するが、回転機構53は、例えば、レーザレーダ装置2の筐体の後側の面(背面)と設置対象物との間に設けられた防水仕様の回転テーブルなどにより構成されている。
このような構成により、レーザレーダ装置2は、図19に示すような通常の向きである第1の向きに加え、図20に示すような窓部26の右端の部分が地面に対向するように90°回転された第2の向き、図21に示すような窓部26の左端の部分が地面に対向するように90°回転された第3の向きなどに切り替えることが可能となる。
レーザレーダ装置2が図19に示すような第1の向きであるとき、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光の全てが監視エリアに向けて照射され、その反射光がレーザレーダ装置2により受光される。したがって、上記構成のレーザレーダ装置2は、第1の向きである場合に通常の監視動作を行うことができる。
レーザレーダ装置2が図20に示すような第2の向きであるとき、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光のうち、窓部26の左端の所定の範囲を介して照射されるレーザ光が地面へと照射されるとともに、その反射光がレーザレーダ装置2により受光される。また、レーザレーダ装置2が図21に示すような第3の向きであるとき、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光のうち、窓部26の右端の所定の範囲を介して照射されるレーザ光が地面へと照射されるとともに、その反射光がレーザレーダ装置2により受光される。したがって、上記構成のレーザレーダ装置2は、第2の向きまたは第3の向きである場合に地面の測距を行うことができる。
上記構成の監視装置51は、上記各実施形態において説明した着雪検出処理のいずれかを繰り返し実行するようになっている。また、上記構成の監視装置51は、装置の起動時にレーザレーダ装置2を第1の向きに設定し、その後、図22に示すような内容の回転制御処理を繰り返し実行している。
まず、ステップS501では、着雪検出処理の実行タイミングであるか否かが判断される。ここで、着雪検出処理の実行タイミングではない場合、ステップS501で「NO」となり、回転制御処理が終了となる。一方、着雪検出処理の実行タイミングである場合、ステップS501で「YES」となり、ステップS502に進む。ステップS502では、窓部26の2つの端の少なくとも一方が測距可能であるか否かが判断される。なお、測距可能であるか否かの判断は、図3および図4に示した反射光強度に基づいて行うことができる。
窓部26の2つの端の両方が測距不可能である場合、ステップS502で「NO」となり、ステップS503に進む。この場合、地面の測距が不可能であることから着雪検出処理を実施することができない。したがって、ステップS503では、着雪検出処理を実行することができないと判断され、回転制御処理が終了となる。この場合、着雪検出処理の実行が中止されることになる。
一方、窓部26の2つの端の少なくとも一方が測距可能である場合、ステップS502で「YES」となり、ステップS504に進む。ステップS504では、窓部26の両端のうち測距可能であると判断された端の部分が地面に対向する向き、つまり第2の向きまたは第3の向きとなるように、レーザレーダ装置2が回転される。ステップS504の実行後は、ステップS505に進む。
ステップS505では、地面の測距が行われる。ステップS505の実行後は、ステップS506に進む。ステップS506では、レーザレーダ装置2が第1の向きとなるように回転される、つまりレーザレーダ装置2の向きが元に戻るように回転される。ステップS506の実行後は、回転制御処理が終了となる。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果が得られる。
本実施形態の監視装置51は、レーザレーダ装置2の走査の方向が地面に交わる方向となるようにレーザレーダ装置2を回転させる回転機構53を備える。このような構成では、回転機構53によって走査の方向が地面に交わる方向となるようにレーザレーダ装置2を回転させれば、レーザレーダ装置2から照射されるレーザ光を地面へと照射するとともに、地面からの反射光をレーザレーダ装置で受光することができ、地面までの距離の測定が可能となる。そして、この場合、レーザレーダ装置2としては、一般的な構成のものを採用することができる。したがって、本実施形態によれば、既存のレーザレーダ装置を用いて、地面までの距離の測定、ひいては窓部26への着雪を検出することができる。
具体的には、本実施形態では、例えば図20に示すように、窓部26の左側半分を覆うように雪6が付着した場合でも、回転制御処理が実行されることによりレーザレーダ装置2の向きが第2の向きとなるように回転されるため、窓部26の右端から照射されるレーザ光を用いて地面の測距が可能となり、その着雪を検出することができる。
また、本実施形態では、例えば図21に示すように、窓部26の右側半分を覆うように雪6が付着した場合でも、回転制御処理が実行されることによりレーザレーダ装置2の向きが第3の向きとなるように回転されるため、窓部26の左端から照射されるレーザ光を用いて地面の測距が可能となり、その着雪を検出することができる。したがって、本実施形態によれば、着雪の検出性能を一層向上させることができる。
また、この場合、レーザレーダ装置2は、通常時はレーザ光の全てが監視エリアに照射される第1の向きに設定され、着雪検出処理が実行されるタイミングにおいて第2の向きまたは第3の向きに設定されるようになっている。このようにすれば、レーザレーダ装置2は、監視エリアについての測距を通常通り行いつつ、地面についての測距を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、レーザレーダ装置2の本来の機能を妨げることなく、窓部26への着雪を検出することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
上記各実施形態では制御装置3の制御部30により地面情報算出部、地面情報判定部、着雪判定部などを構成する例を示したが、レーザレーダ装置2の制御部20で着雪検出用のプログラムを実行することにより地面情報算出処理、地面情報判定処理、着雪判定処理などを行ってもよい。すなわち、レーザレーダ装置2の制御部20により地面情報算出部、地面情報判定部、着雪判定部などを構成してもよい。