JP6911691B2 - 瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムに関する。
1 心拍変動解析に関する概要
自律神経には、交感神経と迷走神経の二つがある。両自律神経は各臓器などに広く分布し、循環や代謝をはじめとする不随意な身体機能を制御する。多くの場合、両自律神経がひとつの臓器を拮抗的に支配すると言われている。
自律神経活動のひとつである交感神経活動は、暗算負荷などのストレス刺激によって亢進することが知られている。
もう一つの自律神経である迷走神経は、当該神経が支配する各臓器において主に副交換性の神経活動を担うことから、副交感神経活動と同等に理解されることも多い。なお、「迷走神経」とは、厳密には脳神経のひとつである第X神経の名称であり、脳から各臓器などに至る当該神経すべてを指す。このため、支配対象となっている臓器の名称を付記することで、対象臓器における副交感神経活動を示す場合がある(例:心臓迷走神経)。
自律神経が支配する臓器のひとつに心臓がある。心臓は交感神経、迷走神経によって拮抗的に支配されており、両自律神経活動を反映すると言われている(参考文献[i]参照)。
特に、隣接する二つのR波の間隔である瞬時心拍(RRI:R−R interval)のゆらぎは両自律神経活動によって変化することが知られている。なお、R波とは、心電図計測によって得られる心電波形のひとつであり、心臓の脱分極活動を反映している(参考文献[ii]参照)。図10は、R波と瞬時心拍(RRI)との関係を示す図である。
実環境で自律神経活動を推定する手法として、瞬時心拍変動の周波数スペクトル解析がある。この手法によれば、不等間隔である瞬時心拍を周波数スペクトルで解析した際の低周波数成分(以降HRVLF)は交感神経活動と心臓迷走神経活動、高周波数成分(以降HRVHF)は心臓迷走神経活動を反映する指標として解釈される(参考文献[i]参照)。
心電図を計測する手段のひとつとして、ホルター心電計などのウェアラブルなデバイスがある。これらのデバイスを用いて取得する心電図は、電極の変形やズレをはじめとする電極異常、あるいは、体動、発汗、静電気など様々な要因によって計測異常が生じる(参考文献[iii]参照)。この計測異常は、心電図では図11に示すようなアーチファクトやノイズという形で確認できる。
計測異常のうち、アーチファクトとして観測される波形はR波と類似しており、ひとつ以上連続して観測される。このため、心電図を解析してR波を抽出するアルゴリズムが、アーチファクトをR波と誤判断して抽出してしまう場合もある(以降では、このようなものを「計測異常R波」、計測異常R波によって誤算出した瞬時心拍を「計測異常瞬時心拍」と表記する)。
HRVLFおよびHRVHFは、解析対象となるすべてのデータが正常な瞬時心拍である場合でのみ、自律神経活動を反映する。ここでいう正常な状態とは、計測対象と計測器両方において異常がない状態を意味する。計測対象の異常とは不整脈などであり、計測器の異常とは心電図で計測異常が生じている状態を指す。
ノイズやアーチファクトをR波と誤判断したものは、その発生機序から心臓の脱分極活動を一切反映しない。このため、解析対象となる瞬時心拍を構成するR波のうち、少なくともひとつがアーチファクトをR波と誤判断したものである場合、HRVLFおよびHRVHFのいずれも自律神経活動を反映するとは言えない。
2 心拍の周波数特徴量の算出
心拍特徴量のうち、周波数特徴量を求める際には、不等間隔である瞬時心拍を補間関数によって等間隔なデータにリサンプリングしてからパワースペクトル密度を求める必要がある(参考文献[i]参照)。リサンプリング手法には線形補間やスプライン補間などがあるが、リサンプリング後のデータに心拍と似たゆらぎを残せるスプライン補間が用いられる場合が多い。
なお、スプライン補間においては、心拍のゆらぎである心拍変動から心拍特徴量を計算するため、一般に3次スプライン関数が用いられる。すなわち、スプライン関数を用いた補間そのものとしては、例えば平滑化スプライン関数など他の手法を使うことも手段としては考えられる。しかし、平滑化スプライン関数は、全計測データと補間関数との間の誤差が最も少なくなるように補間関数を決定するため、補間関数が実際の計測データを通らない場合がある。このような場合、平滑化スプライン関数によって求まった補間関数は心拍変動を正しく反映しているとはいえないため、心拍特徴量の算出には3次スプライン関数が好まれる傾向にある。
出来る限り正常な状態の瞬時心拍のみからリサンプリングデータを生成するため、一般的には、補間処理の前に、計測異常瞬時心拍つまり瞬時心拍の異常値の除外を行う。瞬時心拍の異常値を除外する手法として、瞬時心拍の時間特徴量を使用するものがある。具体的な例としては、瞬時心拍の下限値・上限値、および前後の瞬時心拍との差分値に閾値を設定し、当該閾値を逸脱したものを除外する手法(参考文献[iv]参照)や、瞬時心拍の正規分布から外れたものを除外する手法(参考文献[v]参照)がある。後者の手法(参考文献[v]参照)の中では、瞬時心拍の平均±標準偏差による異常値検出が最も簡便なものであり、一般的には2σあるいは3σルールが用いられることが多い。
周波数特徴量は欠損値の影響を受けて大きく変動することが知られている(参考文献[i]参照)。例えば、高周波数成分と低周波数成分の比であるHRVLF/HFは、欠損率6%で1.5倍、12%で2倍近くまで増加する場合があるとの報告がある。
上記のスペクトル解析を行う場合は、各瞬時心拍データを後方のR波の時間的位置にプロットしたタコグラムが必要となる(参考文献[i]参照)。このタコグラムの縦軸は計測した瞬時心拍の値であるが、横軸の取り方は過去の瞬時心拍の累積時間(手法a)を使う場合と、瞬時心拍の生起時間を使う場合(手法b)の二つがある。手法a、bの時間は、計測した瞬時心拍がすべて正常であり、異常値除外もない場合は等しくなる。
すなわち、異常値除外が生じ得る状況において、RRIタコグラムを上記手法aに基づいて作成すると、本来解析対象とすべきタコグラムを得られなくなる恐れがある。このため、基本的には、理論通りのタコグラムを得ることが可能な上記手法bが用いられる場合が多い。
3 ウェアラブル心電計を用いた心拍変動解析
ウェアラブル心電計を用いる場合、一般には長時間に及ぶ心拍変動解析を行う場合が多い。このような場合には、一定長の解析窓幅と解析シフト幅を設定し、対象データを時間経過に応じて変更しながら解析を行う。
従来、参考文献[iv]に示した手法や参考文献[v]に示した手法で瞬時心拍の異常値除外を行なったデータをスプライン補間してパワースペクトル密度を算出する方法がある(非特許文献1)。
さらに別の従来手法として、参考文献[iv]に示した手法や参考文献[v]に示した手法で瞬時心拍の異常値除外を行った後、データの補間処理をする前に、正常に計測できた瞬時心拍の平均値を用いて欠損区間を補完する方法がある(非特許文献2、非特許文献3)。
神田尚子、佐久間大輝、吉永努、入江英嗣,色彩環境下での心拍変動と作業能率との相関に関する検討,インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ,pp.231−232,2012 青木良輔、江口佳那、島内末廣、千葉昭宏、武田十季,日常環境における人の内部状態推定のための着衣型ウェアラブル心電計のデザイン検討,信学技報,Vol.117,No.109,pp.127−132,2017(公知日2017年6月16日、発表日2017年6月24日) 江口佳那、青木良輔、吉田和広、山田智広,ウェアラブル心電計から計測された心拍の周波数特徴量解析を対象とした欠損RRIの補完手法,マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウム,pp.888−897,2017(公知日2017年6月21日、発表日2017年6月29日) K. Eguchi、R. Aoki、S. Shimauchi、K. Yoshida、T. Yamada,R-R Interval Outlier Processing for Heart Rate Variability Analysis using Wearable ECG Devices,日本生体医工学シンポジウム2017,pp.132,2017(公知日2017年9月15日、発表日2017年9月16日)
上記手法bでRRIタコグラムを作成し、従来手法のあと欠損値がある状態でスプライン補間を行う場合、欠損区間の長さによってはスプライン曲線が生理的に取りえない値となってしまう場合がある(例えば、250[msec]以下の値や負値など)。このようなリサンプリングデータから得たパワースペクトル密度は、本来取得し得ないタコグラムから算出されたものであるため、心臓の活動を正しく反映しているとは言えない。
さらに、ウェアラブル心電計で取得した瞬時心拍には、計測異常瞬時心拍が含まれることもある。このような計測異常瞬時心拍を異常値として除外すると、瞬時心拍の時間特徴量のみに基づく異常値除外よりも多くの瞬時心拍を異常値として除外することになる。したがって、通常の計測機器以上に解析対象データに欠損値が含まれる可能性が高いと考えられる。
また、上記非特許文献2、3に記載の手法によれば、上述のようなスプライン曲線が生理的に取りえない値域に発振することを防ぐことができる。しかし、上記非特許文献2、3に記載の手法では、補完に用いる値が一定であり、正常に計測した瞬時心拍が持つゆらぎ成分がないため、補完後の瞬時心拍を解析して得られる周波数特徴量が、本来取るべき値から乖離する場合がある。
また,上記非特許文献4に記載の手法によれば、瞬時心拍のゆらぎ成分を反映しながら、上述のようなスプライン曲線が生理的に取り得ない値域に発振することを防ぐことができる。しかし、上記非特許文献4に記載の手法は、フーリエ変換やケプストラム解析を実行可能な計算資源を必要とするため、限られた計算資源においては適切な補完処理を行えない場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、計測異常などによって生じた欠損区間のある瞬時心拍データであっても、適切なスペクトル解析を実現することができる、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、被験者の心電を計測する心電計測手段から出力される信号に基づいて算出される、時系列で隣接する2つのR波の間隔である瞬時心拍の内、正常な値と判断した複数の瞬時心拍からなる時系列データを入力とし、前記入力された前記時系列データにおいて瞬時心拍が欠損した欠損区間の瞬時心拍を補完する瞬時心拍補完部を具備し、前記瞬時心拍補完部は、全ての欠損区間に対して、任意の時刻または設定されたウィンドウ起点時刻からウィンドウ基準時間長に基づいて設定されたウィンドウにおいて、予め設定された瞬時心拍の分布における存在確率が正常に計測したデータによりプロットされた瞬時心拍の値よりも低いものを瞬時心拍の補完値候補として算出し、前記ウィンドウのスライド時間長を、任意の時刻または前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定されたスライド基準時間長に基づいて設定し、前記ウィンドウ起点時刻は、前記スライド時間長に基づいて設定し、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を、前記補完値候補が全て揃うまで再帰的に行い、算出した前記補完値候補の組合せと予め設定した分布との乖離が最も小さくなる前記補完値候補の組合せを、前記欠損区間の瞬時心拍として選択するようにしたものである。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、前記瞬時心拍補完部は、前記ウィンドウとして、前記任意の時刻または前記設定された前記ウィンドウ起点時刻から、予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかを設定し、前記スライド時間長として、前記任意の時刻または前記前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかを設定し、前記ウィンドウ起点時刻として、初回は、前記任意の時刻を設定し、2回目以降は、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
のいずれかを設定する。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様において、前記瞬時心拍補完部は、前記補完値候補が全て揃ったことを、前記欠損区間の最初から最後まで、即ち前記欠損区間内に亘り、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を行ったか否かによって判断する。
本発明の第4の態様によれば、被験者の心電を計測する心電計測手段から出力される信号に基づいて算出される、時系列で隣接する2つのR波の間隔である瞬時心拍の内、正常な値と判断した複数の瞬時心拍からなる時系列データを入力し、前記入力した前記時系列データにおいて瞬時心拍が欠損した欠損区間の瞬時心拍を補完する、瞬時心拍の時系列データの補完方法として、任意の時刻または設定されたウィンドウ起点時刻からウィンドウ基準時間長に基づいて設定されたウィンドウにおいて、予め設定された瞬時心拍の分布における存在確率が正常に計測したデータによりプロットされた瞬時心拍の値よりも低いものを瞬時心拍の補完値候補として算出し、前記ウィンドウのスライド時間長を、任意の時刻または前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定されたスライド基準時間長に基づいて設定し、前記ウィンドウ起点時刻は、前記スライド時間長に基づいて設定し、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を、前記補完値候補が全て揃うまで再帰的に行い、算出した前記補完値候補の組合せと予め設定した分布との乖離が最も小さくなる前記補完値候補の組合せを、前記欠損区間の瞬時心拍として選択する、ことを全ての欠損区間に対して行うようにしたものである。
本発明の第5の態様によれば、第4の態様において、前記ウィンドウとして、前記任意の時刻または前記設定された前記ウィンドウ起点時刻から、予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかを設定し、前記スライド時間長として、前記任意の時刻または前記前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかを設定し、前記ウィンドウ起点時刻として、初回は、前記任意の時刻を設定し、2回目以降は、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、のいずれかを設定する。
本発明の第6の態様によれば、第4または第5の態様において、前記補完値候補が全て揃ったことを、前記欠損区間の最初から最後まで、即ち前記欠損区間内に亘り、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を行ったか否かによって判断する。
本発明の第7の態様によれば、コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータを、第1の態様乃至第3の態様のいずれか一つの態様の前記瞬時心拍の時系列データの補完装置として機能させるためのプログラムである。
本発明によれば、計測異常などによって生じた欠損区間のある瞬時心拍データであっても、適切なスペクトル解析を実現することができる、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12を適用した補完システム10の構成を示す図である。 補完装置12の瞬時心拍評価部25による瞬時心拍評価及び異常値除外と瞬時心拍再計算部26による瞬時心拍再計算の一例を示す図である。 補完システム10の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。 S5における瞬時心拍補完部27の補完処理を説明するためのフローチャートである。 S52におけるラベリングした欠損区間に対する補完処理を説明するためのフローチャートを示す図である。 S523における対象データの設定方法を説明するための図である。 S523における二回目以降の候補選出処理ウィンドウの設定方法を説明するための図である。 変形例におけるラベリングした欠損区間に対する補完処理を説明するためのフローチャートを示す図である。 次の瞬時心拍との時間間隔が短くなる場合に補完値を内挿しないことを説明するための図である。 図10は、R波と瞬時心拍(RRI)との関係を示す図である。 図11は、心電図における計測異常(アーチファクト、ノイズ)の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置を適用した補完システムについて説明する。
図1は、瞬時心拍の時系列データの補完システム10の構成を示す図である。瞬時心拍の時系列データの補完システム10は、心電計測部11と、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12と、を具備する。
一例として、瞬時心拍の補完システム10は、心電計測部11を被験者(ユーザ)に装着可能なウェアラブルデバイスとし、瞬時心拍の時系列データの補完装置12をスマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータデバイスとしたシステムにより実現される。例えば、コンピュータデバイスは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、プロセッサに接続されるメモリと、心電計測部11と(例えば無線で)通信するための通信インタフェースと、を備える。
なお、瞬時心拍の補完システム10の実現形態は、この例に限定されるものではない。
例えば、瞬時心拍の補完システム10は1つのデバイスとして実現されても良い。また、心電計測部11は瞬時心拍の補完システム10の外部に設けられても良い。言い換えると、瞬時心拍の補完システム10は、心電計測部11に相当する外部の心電計測装置から被験者の心電を計測した結果を取得しても良い。
心電計測部11は、被験者の心電を計測し、計測結果をR波抽出部21に送る。心電は、循環器系の生体信号であり、例えば、心室の収縮と同期した周期的な信号を含む。心電計測部11は、少なくとも2極の電極によって心電の計測を行う。計測結果は、心電図におけるR波相当の心電を抽出可能な時系列データを含む。
例えば、計測結果は心電図の時系列データを含む。心電計測部11は、R波相当の心電を計測することができれば良く、その実現形態は問わない。例えば、心電計測部11はホルター心電計からなる。
瞬時心拍の時系列データの補完装置12は、R波抽出部21、R波関連情報記録部22、瞬時心拍算出部23、瞬時心拍記録部24、瞬時心拍評価部25、瞬時心拍再計算部26、瞬時心拍補完部27及びスペクトル解析処理部28を具備する。これらR波抽出部21、R波関連情報記録部22、瞬時心拍算出部23、瞬時心拍記録部24、瞬時心拍評価部25、瞬時心拍再計算部26、瞬時心拍補完部27及びスペクトル解析処理部28の機能は、例えば、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、これらの機能の一部または全部は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの回路によって実現されても良い。
R波抽出部21は、心電計測部11によって計測された心電の時系列データを解析し、R波を抽出する。実施形態では、具体的なR波の抽出方法は問わない。後続処理で必要がある場合については、抽出したR波に関連する情報を、R波関連情報記録部22に記録する。
R波関連情報記録部22は、瞬時心拍評価部25において、公知の技術によって瞬時心拍以外の異常値除外処理を行う場合などにおいて、R波抽出部21で抽出したR波に関する情報を記録する。実施形態では、具体的な記録方法については特に指定しない。
瞬時心拍算出部23は、R波抽出部21で抽出したR波に基づき、瞬時心拍を算出し、算出した瞬時心拍情報を瞬時心拍記録部24に保存する。
瞬時心拍記録部24は、瞬時心拍算出部23で算出した瞬時心拍を記録する。具体的な記録形式については特に指定しないが、例えば、瞬時心拍の行列や、瞬時心拍を構成する1つ目のR波の時刻情報と瞬時心拍の二つから構成されるデータ行列が考えられる。なお、本機能は実施形態において必須の機能ではない。R波の電位情報に加え、瞬時心拍の時間情報も考慮して瞬時心拍を評価する場合のみ必要となる。
瞬時心拍評価部25は、R波関連情報記録部22の情報を基に、瞬時心拍算出部23で算出した瞬時心拍を評価し、異常値除外処理を行う。実施形態では具体的な処理内容については規定しない。例えば、参考文献[iv]、[v]の手法ように、瞬時心拍の時間特徴のみに基づく異常値除外処理のみでも良い。
また、瞬時心拍再計算部26は、実施形態においては任意の処理であるが、例えば、以下の処理が含まれる。
具体的には、瞬時心拍再計算部26は、瞬時心拍評価部25による評価及び異常値除外処理の結果に基づいて瞬時心拍の再計算を行う。図2は本発明の実施形態における補完装置12の瞬時心拍評価部25による瞬時心拍評価及び異常値除外と瞬時心拍再計算部26による瞬時心拍再計算の一例を示す図である。
例えば、瞬時心拍評価部25は、表1で示す#2、#3および#4のいずれかに該当すると評価された瞬時心拍を除去し、このような異常値除外処理を行った瞬時心拍の時系列データを瞬時心拍補完部27に出力する。また、瞬時心拍再計算部26へは、評価結果を出力する。瞬時心拍再計算部26は、この瞬時心拍評価部25による評価結果に基づいて、瞬時心拍評価部25によって除去された瞬時心拍を構成する、隣接する2つのR波における、アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、残りの正常計測状態と判別されたR波のみを用いて、隣接する2つのR波である瞬時心拍を構成する。
Figure 0006911691
図2に示した例では、再計算前のR波は、時系列に沿って、R波番号「1」、「2」の「R(正常計測状態)」、R波番号「3」の「A(アーチファクト)」、R波番号「4」の「R」、R波番号「5」、「6」、「7」の「A」、R波番号「8」、「9」の「R」と判別されたR波である。
これに対し、瞬時心拍再計算部26は、瞬時心拍評価部25によってR波番号「3」、「5」、「6」、「7」の「A」と判別されたR波を棄却し、残りのR波番号「1」、「2」、「4」、「8」、「9」の「R」と判別されたR波を用いて、1つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「1」、「2」に対応する2つのR波で構成)、2つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「2」、「4」に対応する2つのR波で構成)、3つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「4」、「8」に対応する2つのR波で構成)、4つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「8」、「9」に対応する2つのR波で構成)を構成する。これら再計算後の、瞬時心拍評価部25による、瞬時心拍の計測状態の評価は、表1に示す「#1(2つとも正常計測状態)」のみとなる。
なおこのとき、再計算後の瞬時心拍が洞調律の範囲以下(例えば1500ms以下)であることを、再計算結果を以降の処理において使用する最低条件としても良い。すなわち、瞬時心拍再計算部26は、R波とR波の間に瞬発的に生じた異常のみを再計算対象とし、それ以上の値については計測異常として除外する。
瞬時心拍補完部27は、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の異常値除外処理を行った或いは、瞬時心拍再計算部26で再計算が行なわれた瞬時心拍の時系列データを対象として補完処理を行う。具体的な手法については後述する。
スペクトル解析処理部28は、瞬時心拍補完部27で補完処理を行った瞬時心拍の時系列データを対象としてスペクトル解析を行う。実施形態では具体的な処理については特に指定しないが、例えば参考文献[i]に記載のように、スプライン補間によってリサンプリングデータを取得した後、自己回帰モデルによってパワースペクトル密度を求める処理などが考えられる。
次に、実施形態に係る瞬時心拍の補完システムの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、実施形態では、参考文献[iv]、[v]の手法に基づく瞬時心拍評価のみを行なう場合を仮定する。
まず、心電計測部11は、被験者の心電を計測して、被験者の心電図のための時系列の心電データをR波抽出部21に送る(S1)。R波抽出部21は、心電計測部11にて計測された時系列の心電データからR波を抽出する(S2)。
瞬時心拍算出部23は、R波抽出部21で取得したR波に基づき、隣接する2つのR波から瞬時心拍を算出する(S3)。実施形態では、参考文献[iv]、[v]の手法により、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の時間情報を用いた評価を行うため、算出した瞬時心拍に関する情報を瞬時心拍記録部24に記録するが、瞬時心拍の時間情報を異常値除外処理に用いない場合は記録しなくても良い。
瞬時心拍評価部25は、R波関連情報記録部22に保存したR波の情報や、瞬時心拍記録部24の時間情報に基づいて、瞬時心拍を評価する(S4)。実施形態では、R波関連情報記録部22の情報を基に,表1の#1に示す2つとも正常計測状態の場合以外を異常値として除外した後、参考文献[iv]、[v]の手法に基づき250[msec]未満あるいは1500[msec]を越える瞬時心拍を除外し、さらに、平均±3×標準偏差の範囲から外れた瞬時心拍を異常値として除外する。
瞬時心拍補完部27は、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の異常値除外処理を行った或いは、瞬時心拍再計算部26で再計算が行なわれた瞬時心拍の時系列データを対象として、正常な値と判断された複数の瞬時心拍からなる時系列データ、すなわち正常に計測した瞬時心拍、の変化傾向に基づいて補完処理を行う(S5)。なお、この補完処理の対象となるのは、瞬時心拍評価部25で異常値除外の結果として生じる瞬時心拍の欠損区間である。本実施形態においては,瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の異常値除外処理を行った時系列データを用いる場合について説明する。具体的な瞬時心拍の時系列データに対する補完処理の例は、後述する。
その後、スペクトル解析処理部28により、所定の条件のもとに補完処理が行なわれた瞬時心拍の時系列データに対してスペクトル解析が行なわれる(S6)。
図4は、S5における欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データに対する補完処理を説明するためのフローチャートである。
同図に示すように、まず、欠損区間となった箇所を補完処理の対象とするために、欠損区間のラベリングを実施する(S51)。ここで、欠損区間とは、瞬時心拍評価部25での異常値除外処理の結果または瞬時心拍再計算部26での再計算処理の結果として生じる瞬時心拍の欠損を連続して一つ以上含み、欠損部分に隣接する正常に計測したRRIの両端に対応する時間区間である。欠損区間の例外として、計測データの最初または最後のRRIが欠損した場合には、計測開始時刻と最初の正常に計測したRRIとに対応する時間区間または最後の正常に計測したRRIと計測終了時刻とに対応する時間区間を欠損区間とする。このラベリング処理は、異常値除外処理を行った欠損区間それぞれを一意に特定するために、瞬時心拍評価部25において各欠損区間にラベルを付与する処理である。なお、瞬時心拍再計算部26で再計算が行われ、欠損区間に変更があった場合には、瞬時心拍再計算部26において、このラベルが更新される。
その後、それらラベリングした欠損区間に対する補完処理を実行する(S52)。具体的な欠損区間に対する補完処理の例は、後述する。
そして、この欠損区間に対する補完処理が終了したならば、瞬時心拍補完部27は、ラベリングされた欠損区間の全てに対して補完を行ったか否かを確認する(S53)。未だ全ての欠損区間に対して補完を行っていなければ、S52に戻る。こうして、全ての欠損区間に対して補完を行ったならば、このS5における欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データに対する補完処理を終了する。
図5は、S52におけるラベリングした欠損区間に対する補完処理を説明するためのフローチャートである。
同図に示すように、瞬時心拍補完部27は、まず、ラベリングされた欠損区間の中から、処理対象とする欠損区間を一つ以上、選出・決定する(S521)。
本実施形態においては、瞬時心拍補完部27は、欠損区間を、正常に計測した瞬時心拍の変化傾向に基づいて補完する。本実施形態では、瞬時心拍の各データが任意の分布に従うと仮定する。ここで、ある一定時間を候補選出処理ウィンドウと呼び、候補選出処理ウィンドウ内における瞬時心拍の値に着目するとき、欠損区間が取り得る瞬時心拍の値は、候補選出処理ウィンドウ内の正常に計測したデータを任意の分布にプロットした際に、存在確率が低かったものである可能性が高いと仮定する。なお、仮定する分布については特に規定しないが、一例として、本実施形態では、正規分布を仮定する。正規分布以外の分布として、例えば、瞬時心拍との関連性が指摘されているガウス分布を用いても良いし、カイ二乗分布をはじめとするその他の分布を用いても良い。
瞬時心拍そのものが不等間隔であるため、候補選出処理ウィンドウおよび、この候補選出処理ウィンドウのスライド秒を厳密に一定値に定めることは、原理的に不可能である。そこで、本実施形態では、以下のような処理を行う。
まず、瞬時心拍補完部27は、欠損区間に対して、予め設定されている候補値算出条件に基づいて、候補選出処理ウィンドウのウィンドウ幅(ウィンドウ基準時間長)とスライド幅(スライド基準時間)を設定する(S522)。ここで、ウィンドウ幅とスライド幅は、欠損区間の時間長などを参考に設定する。なお、これらウィンドウ幅およびスライド幅の条件設定時に、併せて探索方向を決定しても良い。探索方向は、時間軸で見て順方向あるいは逆方向(スライド幅の符号がマイナス)のいずれとしても良い。
次に、瞬時心拍補完部27は、候補選出処理ウィンドウを設定する(S523)。これは、予め設定されたウィンドウ起点・終点の指定方法の条件に基づいて、一つ以上の欠損区間を含み、正常に計測したRRIまたは任意の時間を起点・終点とする。基本的には、正常に計測したRRIを用いることとし、任意時間を用いるのは、データ計測時刻の最初あるいは最後のRRIが計測異常値であって欠損区間であることを想定する。候補選出処理ウィンドウの起点・終点の時間設定の組み合わせについては細かく規定しないが、正常に計測したRRIの変動特性を用いる場合には、起点・終点ともに正常に計測したRRIとする必要がある。
S522の直後に行う、このS523での初回処理においては、例えば、候補選出処理ウィンドウの起点または終点のいずれかを決定した後に、まだ決定していない端点について、S522で設定されたウィンドウ幅から求めることなどが考えられる。
例えば、瞬時心拍補完部27は、正常に計測したRRIの時刻を起点とするとき、起点から候補選出処理ウィンドウのために設定したウィンドウ基準時間長に最も近い時刻で計測したRRIまでを、候補選出処理ウィンドウとして設定し、この候補選出処理ウィンドウに含まれる正常に計測したRRIをある一回の候補選出処理における対象データとして設定する。具体例を用いて説明すれば、例えば、図6に示すように、瞬時心拍評価部25または瞬時心拍再計算部26の処理で正常な値と判断された複数の瞬時心拍からなる時系列データにおいて、一方の端点として設定された開始時刻であるウィンドウ起点時刻Wから設定したウィンドウ幅であるウィンドウ基準時間長T経過後の終了時刻Wの前後に2つの瞬時心拍RRI,RRIが存在する。瞬時心拍補完部27は、終了時刻Wと瞬時心拍RRIとの時間間隔Tと終了時刻Wと瞬時心拍RRIとの時間間隔Tとを比較する。そして、値が小さい方の瞬時心拍、この場合は瞬時心拍RRIを候補選出処理ウィンドウの他方の端点として採用し、候補選出処理ウィンドウの両端点間の瞬時心拍RRI〜RRIのデータを、ある一回の処理における対象データとして設定する。
なお、この対象データの設定方法は一例であり、別の手段によって動的に変更しても良い。例えば、候補選出処理ウィンドウのウィンドウ幅として設定したウィンドウ基準時間長Tを越える最も短い時刻に観測した瞬時心拍(図5の例では瞬時心拍RRI)までとしても良いし、ウィンドウ基準時間Tよりも短い時間の中で最も設定時間に近い時刻(終了時刻W)に観測した瞬時心拍(図6の例では瞬時心拍RRI)までとしても良い。
次に、瞬時心拍補完部27は、少なくとも一つの欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データにおける、S521において処理対象として選出・決定されたある一つ以上の欠損区間に対し、候補選出処理ウィンドウを適用して、瞬時心拍の補完値候補を列挙する(S524)。すなわち、瞬時心拍補完部27は、図7(A)に示すように、例えばS521において、ラベリングされた欠損区間RRI〜RRIが処理対象の欠損区間として決定された場合、S522で設定されたウィンドウ幅に応じて、S521で決定した処理対象の少なくとも一つの欠損区間全体がウィンドウに含まれるように、計測された瞬時心拍の一つを候補選出処理ウィンドウの起点として適用して、S523で設定した対象データに基づいて瞬時心拍の補完値候補を列挙すなわち算出する。算出結果は、瞬時心拍補完部27の内部又は外部に設けた、図示しないメモリに記憶しておく。
そして、瞬時心拍補完部27は、設定されたウィンドウ幅とスライド幅で、処理対象として決定した欠損区間のうち、新しく補完値候補が全て出揃った欠損区間があるか否かを確認する(S525)。具体的には、欠損区間の始まりである計測された瞬時心拍をウィンドウ起点とした処理が終了したか否かを確認する。これは、あくまでも、S521で処理対象として決定した個々の欠損区間について、設定されたウィンドウ幅とスライド幅で補完値候補が出揃ったかどうかの判別を行うものである。例えば、ある一つの欠損区間についての、本候補選出処理ウィンドウでの補完値列挙処理の完了条件は、探索方向が時間軸に対して順方向かつ正常に計測したRRIを起点とする場合、当該候補選出処理ウィンドウの起点が、判定対象の欠損区間の起点と同じ場合に、当該欠損区間の最初から最後まで補完値候補の算出(列挙)が行われていることとなる。探索方向が時間軸に対して逆方向かつ正常に計測したRRIを終点とする場合には、ある一つの欠損区間についての本候補選出処理ウィンドウでの補完値列挙処理の完了条件は、当該候補選出処理ウィンドウの終点と判定対象の欠損区間の終点が同じ場合に、当該欠損区間の最初から最後まで補完値候補の算出(列挙)が行われていることとなる。なお欠損区間やウィンドウを正常に計測したRRIに変えて、任意の時刻で指定する場合も、同様に判定する。
判定条件である、ウィンドウ幅、スライド幅、ウィンドウ起点・終点条件などで、当該欠損区間に対する候補値が全て出揃った場合は、S526へと遷移する。なお、ウィンドウ処理が途中(処理対象に複数の欠損区間が含まれる場合が該当する)であっても、ここからウィンドウ処理を再開できるようウィンドウ処理状況(ウィンドウ起点・終点、処理対象、ウィンドウ幅、スライド幅、等)を一度保存した上で、S526へと遷移する。
一方、S521で対象に定めた欠損区間のうちの補完処理が完了していない欠損区間について、新たに補完値候補が全て出揃った欠損区間がなければ、ウィンドウ起点・終点条件を変えるために、二回目以降のS523の処理へと移行し、候補選出処理ウィンドウの再設定を行う。
この二回目以降のS523の処理において、初回処理と同じウィンドウ幅とスライド幅で処理を行う場合には、初回処理のウィンドウ起点時刻を予め記録しておき、当該ウィンドウ起点時刻からスライド幅として設定されたスライド基準時間長を経過した時刻に候補選出処理ウィンドウの起点時刻を設定する。すなわち、瞬時心拍補完部27は、次の候補選出処理ウィンドウの起点(ウィンドウ起点時刻)として、スライド基準時間長に応じてスライドの終点になる瞬時心拍を設定し、そのスライドの終点となる瞬時心拍の時刻を設定する。これにより、候補選出処理ウィンドウは、初回処理の起点時刻から、スライド基準時間長が経過した時刻に最も近い時刻で計測した瞬時心拍までを、実際のスライド秒つまりスライド時間長としてスライドする。
例えば、図7(A)に示すように、瞬時心拍RRIとRRIの間に、瞬時心拍が欠損した欠損区間を含む時系列データを例にとると、初回のS523では、ある計測された瞬時心拍の時刻(ウィンドウ起点時刻)Wからの候補選出処理ウィンドウが設定され、S524では、この候補選出処理ウィンドウに関して、当該ウィンドウ内のデータに基づいて、欠損区間の瞬時心拍の補完値候補C、C、C、Cが算出される。
その後の二回目のS523では、初回の候補選出処理ウィンドウのウィンドウ起点時刻Wから、スライド幅として設定したスライド基準時間長Sが経過した時刻(時刻WSm)に最も近い時刻で計測した瞬時心拍は、瞬時心拍RRIとなる。よって、二回目のS523では、図7(B)に示すように、この瞬時心拍RRIまでを、スライド秒としてスキップする。これにより、実際のスライド秒は、設定されたスライド基準時間長Sから最も近い時刻で計測した瞬時心拍に応じたスライド時間長S’となり、スライドされた候補選出処理ウィンドウの起点時刻は瞬時心拍RRIの時刻であるWSm’となる。このとき、候補選出処理ウィンドウの終了時刻WEmについては、ウィンドウの起点から候補選出処理ウィンドウのウィンドウ幅として設定したウィンドウ基準時間長Tに最も近い時刻で計測した瞬時心拍(この場合は、計測した瞬時心拍RRI)の時刻に相当する時刻WEm’とされ、よって、候補選出処理ウィンドウのウィンドウ基準時間長は、TWmとなる。そして、瞬時心拍補完部27は、この候補選出処理ウィンドウに関して、当該ウィンドウ内のデータに基づいて、欠損区間の瞬時心拍の補完値候補C、C、C、Cを算出することになる。
そして、三回目のS523では、瞬時心拍補完部27は、図7(C)に示すように、二回目のウィンドウ起点時刻(この場合は瞬時心拍RRIの時刻であるWSm’)から設定されたスライド基準時間長Sに最も近い時刻で計測した瞬時心拍(この場合は瞬時心拍RRI)の時刻に相当する時刻を、次の候補選出処理ウィンドウのウィンドウ起点時刻WSn’として設定する。つまり、二回目のウィンドウ起点時刻からのスライド時間長は、スライド幅として設定されたスライド基準時間長Sではなく、計測された瞬時心拍RRIとRRIの間の時間S”分だけとなる。このとき、候補選出処理ウィンドウの終了時刻WEnについては、ウィンドウの起点から候補選出処理ウィンドウのウィンドウ基準時間長Tに最も近い時刻で計測した瞬時心拍(この場合は、計測した瞬時心拍RRI)の時刻に相当するWEn’とされ、よって、候補選出処理ウィンドウのウィンドウ基準時間長は、TWnとなる。これにより、瞬時心拍補完部27は、この候補選出処理ウィンドウに関して、当該ウィンドウ内のデータに基づいて、欠損区間の瞬時心拍の補完値候補C10、C11、C12を算出することとなる。
なお、このスライド秒(スライド時間長)の設定方法は一例であり、別の手段によって動的に変更しても良い。例えば、スライド幅として設定したスライド基準時間長を越える最も短い時刻に観測した瞬時心拍までとしても良いし、スライド基準時間長よりも短い時間の中で、最も設定時間に近い時刻に観測した瞬時心拍までとしても良い。但し、このスライド時間長は、対象となるウィンドウの中で一つ以上次の瞬時心拍が起点になるような時間であることが必要である。このスライド時間長が小さければ小さいほど、異なる瞬時心拍を起点として複数の分布を規定できるので、補完値候補が多くなる。逆に、スライド時間長が大きい場合は、補完値候補の数が相対的に少なくなる。このスライド時間長の長短は、用途によって定められるべきであり、本実施形態では細かくは規定しない。
こうして、欠損区間の始まりである計測された瞬時心拍(図6の例では瞬時心拍RRI)をウィンドウ起点とした処理が終了したならば、S525において、処理対象の欠損区間の補完値候補が全て出揃ったと判断される。
このように欠損区間の補完値候補が全て出揃ったならば、瞬時心拍補完部27は、さらに、当該欠損区間に対して、予め設定された候補値を列挙する条件(ウィンドウ幅、スライド幅、探索方向など)に基づいて、いずれかを他の条件に変更するかどうかを判定する(S526)。ここで、スライド幅やウィンドウ幅を変更する場合には、S522に戻って、その条件ごとに、S522からS525までの処理を再帰的に繰り返す。その際に、中断したウィンドウ処理の状態は、その都度、記憶しておく。また、ウィンドウ幅が同じであっても、探索方向を変更(スライド幅の符号を反転)するかどうかも、このS526の判定で行う。
そして、S526において他の条件での補完値候補の算出を行わないと判定したならばすなわち十分な補完値候補が出揃ったならば、瞬時心拍補完部27は、それら補完値候補の中から、仮定した分布との乖離が最も少なくなる組み合わせとなるものを補完値として決定する(S527)。すなわち、算出した補完値候補を全て並べ、仮定した分布との乖離が最も小さくなる3個を欠損区間の瞬時心拍の補完値として決定する。
こうして補完値が決定されたならば、瞬時心拍補完部27は、この算出した補完値で欠損区間を補完(内挿)する(S528)。なお、本実施形態では具体的な内挿間隔については特に規定しないが、RRIタコグラムとして妥当と考えられる値のみを不等間隔で補完しても良い。
その後、瞬時心拍補完部27は、S521で決定した処理対象の欠損区間を全て補完したかどうか確認する(S529)。すなわち、S521で設定した処理対象の欠損区間について、補完値候補列挙の処理が完了する条件は、処理対象に含まれる全ての欠損区間に対して、予め設定されたウィンドウ幅、スライド幅、ウィンドウ起点・終点条件など全ての条件での補完値列挙処理が完了していることと、処理対象に含まれる全ての欠損区間に対して補完処理が完了していることである。本状件を満たしていない場合は、S523に戻って、処理対象の残りの欠損区間全てで、全てのウィンドウ幅、スライド幅条件などで補完値列挙処理および補完処理が完了するまで処理を継続する。なおこの場合、S528で補完した瞬時心拍も、計測した瞬時心拍と同様のものとして扱うことができる。すなわち、欠損区間に対して補完値が決定した場合は、更新された補完値を正常に計測されたRRIとみなして、これ以降の処理に用いても良い。つまり、次の欠損区間に対する処理においては、計測した瞬時心拍に加えて、補完した瞬時心拍の値及び時刻を、対象データ及びウィンドウ起点時刻に利用することができる。
なお、本実施形態では、二回目以降のS523の処理において、候補選出処理ウィンドウの起点として初回処理のウィンドウ起点時刻を用いる場合について述べたが、これは、初回処理のウィンドウの終了時刻など他の条件を設定しても良い。
ただし、S521で設定した処理対象に複数の欠損区間が含まれており、S525において、そのうちのいずれか一つ以上の欠損区間が新たに条件を充足したためにウィンドウ処理を中断してS526以降の処理に移行した場合は、出揃った候補値を用いて当該欠損区間の補完を行った後で、まず保存されたウィンドウ処理状況を読み出して、中断した処理を再開する。ただしこの場合に、欠損区間に対して補完値が決定したならば、更新された補完値を正常に計測されたRRIとみなして処理を行っても良い。
また、S521において複数の欠損区間が対象になっている場合について、本実施形態では候補が出揃うごとに補完処理に進む場合について述べたが、実装としては、先にすべての欠損区間の補完値候補を列挙し、その後ですべての欠損区間を補完するという実現形態も考えられる。
また、S524の設定された候補選出処理ウィンドウに対する補完値列挙処理においては、予めS521で選択したものとは異なる欠損区間がS523で設定した候補選出処理ウィンドウに含まれる場合、瞬時心拍補完部27は、当該候補選出処理ウィンドウから算出される補完値候補の信頼度を調整する機能を別途有しても良い。本実施形態では具体的には規定しないが、例えば、欠損区間の個数あるいは欠損区間の総時間長に応じて、候補値に付与する信頼度を引き下げても良い。
また、例外として、S523において、正常に計測したRRIの変動を用いずに、起点・終点ともに任意時間として、候補選出処理ウィンドウを設定する場合も考えられる。このような場合は、図5に示した処理フローチャート外の処理として、正常区間いずれかを選出し、その平均値あるいは中央値をはじめとする統計的な値を算出する。その上で、当該統計的な値を起点とする任意分布を仮定して欠損区間を補完する。なお、このような場合には、スライド先となる正常に計測したRRIが候補選出処理ウィンドウ内に無いため、二回目以降のS523において候補選出処理ウィンドウをスライドすることは行わず、同様の任意の時間を起点とした処理を行うことになる。
なお、本実施形態では、候補選出処理ウィンドウの設定方法とスライド時間長の設定方法とに、同様の手法を用いる場合について説明したが、この組み合わせ手法は両者の間で一致していなくても良い。例えば、候補選出処理ウィンドウは、起点時刻から候補選出処理ウィンドウとして設定したウィンドウ基準時間長に最も近い時刻で計測した瞬時心拍までと設定し、スライド時間長は、スライド幅として設定したスライド基準時間長を越える最も短い時刻に観測した瞬時心拍までと設定しても良い。
また特に、S528の欠損区間補完(内挿)処理においては、上記非特許文献2や上記非特許文献3に開示されているように、補完した瞬時心拍とその次の瞬時心拍との時間間隔が短くならないようにすることで、結果としてスプライン曲線が生理的に取り得ない値域に発振することを防止することが望ましい。そのため、算出した補完値で、直ちに欠損区間を補完(内挿)するのではなく、以下のような処理を実行してもよい。すなわち、瞬時心拍補完部27は、図8に示すように、S528の処理に代えて、以下のようなS52A〜S52Dの処理をS521で設定した処理対象とする欠損区間毎に実行してもよい。
まず、瞬時心拍補完部27は、算出した補完値の一つが内挿される欠損区間の時間を算出する(S52A)。
次に、この算出した欠損区間の時間が補完時間以上であるかを判断する(S52B)。S52Bにおいて、欠損区間の時間が補完時間以上であると判断された場合、瞬時心拍補完部27は、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間を算出する。そして、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間(欠損区間の時間−補完時間)が補完対象時間以上であるかを判断する(S52C)。ここで、補完時間<補完対象時間である。
S52Cにおいて、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間(欠損区間の時間−補完時間)が補完対象時間以上であると判断された場合、瞬時心拍補完部27は、欠損区間を補完値で補完(内挿)し(S52D)、S52Aの処理に戻る。なお、実施形態において、補完値の内挿方法は問わない。
こうして、S52A〜S52Dの処理を繰り返すことで、図9に示すように、瞬時心拍の時系列データd1〜d6に、算出された欠損区間dpにおいて補完値dc、dcが内挿されていく。そして、3つめの補完値dcについて、S52Cにおいて、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間が、補完対象時間未満であると判定される。つまり、S527で算出された補完値dcは次の瞬時心拍の時系列データd4との時間間隔が短いとして、この場合には、瞬時心拍補完部27は、その補完値dcでの欠損区間の補完を行わず、処理を終了する。
また、S52Bにおいて、欠損区間の時間が補完時間未満の場合においても、瞬時心拍補完部27は、欠損区間の補完を行わず、補完処理を終了する。
なお、実施形態においては、図8に示したように、欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データを補完する場合と、補完しない場合とがあるが、欠損区間を補完した瞬時心拍の時系列データに対しては、所定の識別子を付しても良い。従って、実施形態の瞬時心拍の時系列データの補完装置によれば、タコグラムの横軸を手法bによって生成し、データに識別子を付加することにより、欠損が生じていないデータと、欠損のあるデータとの区別が可能になる。
また、欠損区間を補完値で内挿することにより、スプライン曲線が生理的に取りえない値域に発振することを防止し、生理的に妥当なパワースペクトル密度関数を算出可能となる。
さらに、欠損区間の補完を行う前に、補完時間と補完対象時間の二つの時間を用いて欠損区間を評価することで、補完した瞬時心拍とその次の瞬時心拍との時間間隔が解析に影響を及ぼすほど短縮してしまうことを防止する。なお、欠損区間の評価を補完時間のみで行った場合、補完した瞬時心拍とその次の瞬時心拍との時間間隔が短くなり、結果としてスプライン曲線が生理的に取り得ない値域に発振する場合がある。
以上のように、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12は、瞬時心拍の特性に基づいて欠損値を補完する際に、予め設定した対象区間長あるいはスライド時間長に近い値を用いて各種分布を算出することで、不等間隔である瞬時心拍の適切な補完処理が可能となり、スプライン補間を用いた心拍変動のスペクトル解析を高精度に実現可能にすることができる。
すなわち、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12によれば、ウィンドウ内の瞬時心拍の分布に応じて存在確率が低いものを欠損瞬時心拍の候補として算出し、スライド時間長だけ候補選出処理ウィンドウを移動させて再帰的に補完値候補を算出し、算出した補完値候補の組合せと分布との乖離が最小の組合せによって補完する。つまり、ウィンドウ内の瞬時心拍は任意の分布に従い、ウィンドウ内の欠損区間の瞬時心拍は存在確率が低いものであるという前提に基づいて瞬時心拍の補完値候補を算出し、前回の処理起点時刻からスライド基準時間長に近い瞬時心拍までをスライド時間長、任意の時刻からウィンドウ基準時間長に最も近い時刻に観測した瞬時心拍までを候補選出処理ウィンドウとして設定して、候補選出処理ウィンドウのスライドと補完値候補算出を再帰的に行い、算出した補完値候補の組合せが任意の分布との乖離が最も小さくなる組合せを選択することによって、適切な欠損区間の補完を可能とする。これにより、スプライン曲線が生理的に取りえない値域に発振することを防止し、生理的に妥当なパワースペクトル密度関数を算出可能となる。
また、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12によれば、任意の時刻または設定されたウィンドウ起点時刻から、予め設定されたウィンドウ基準時間長に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または、予め設定されたウィンドウ基準時間長を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または、予め設定されたウィンドウ基準時間長以下で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかを候補選出処理ウィンドウとして設定する。また、任意の時刻または前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定されたスライド基準時間長に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、または、予め設定されたスライド基準時間長を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、または、予め設定されたスライド基準時間長以下で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、のいずれかをスライド時間長として設定する。さらに、任意の時刻、または、スライド基準時間長に最も近い時刻に観測された瞬時心拍の時刻、または、スライド基準時間長を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍の時刻、または、スライド基準時間長以下で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍の時刻、のいずれかをウィンドウ起点時刻として設定する。こうすることで、不等間隔である瞬時心拍の補完値候補を容易に算出でき、算出した補完値候補を用いて適切な補完処理が可能となる。
また、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完装置12では、補完値候補が全て揃ったことを、当該欠損区間の最初から最後まで候補選出処理ウィンドウにおける補完値候補の算出を行ったか否かによって、容易に判断することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
・ 参考文献
(i) 井上博,循環器疾患と自律神経機能,第2版,医学書院,2001
(ii) 奥出潤,これならわかる!かんたんポイント心電図,第2版,医学書院,2011
(iii) 日本光電,雑音混入のメカニズムと対策:きれいな心電図を記録するポイント 〜ホルター心電図編〜,(2017年3月23日確認),http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/point/holter/mechanism.html
(iv) 佐久間大輝ら,座位状態での心拍測定を用いたリアルタイムなストレス緩和システム,マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集,pp.1188−1195、2013
(v) 横田康成ら,心拍変動時系列変化を用いた敗血症の前駆症状モニタリング,第54回自動制御連合講演会,pp.1258−1261,2011
10…瞬時心拍の補完システム、11…心電計測部、12…補完装置、21…R波抽出部、22…R波関連情報記録部、23…瞬時心拍算出部、24…瞬時心拍記録部、25…瞬時心拍評価部、26…瞬時心拍再計算部、27…瞬時心拍補完部、28…スペクトル解析処理部。

Claims (7)

  1. 被験者の心電を計測する心電計測手段から出力される信号に基づいて算出される、時系列で隣接する2つのR波の間隔である瞬時心拍の内、正常な値と判断した複数の瞬時心拍からなる時系列データを入力とし、前記入力された前記時系列データにおいて瞬時心拍が欠損した欠損区間の瞬時心拍を補完する瞬時心拍補完部
    を具備し、
    前記瞬時心拍補完部は、全ての欠損区間に対して、
    任意の時刻または設定されたウィンドウ起点時刻からウィンドウ基準時間長に基づいて設定されたウィンドウにおいて、予め設定された瞬時心拍の分布における存在確率が正常に計測したデータによりプロットされた瞬時心拍の値よりも低いものを瞬時心拍の補完値候補として算出し、
    前記ウィンドウのスライド時間長を、任意の時刻または前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定されたスライド基準時間長に基づいて設定し、
    前記ウィンドウ起点時刻は、前記スライド時間長に基づいて設定し、
    前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を、前記補完値候補が全て揃うまで再帰的に行い、
    算出した前記補完値候補の組合せと予め設定した分布との乖離が最も小さくなる前記補完値候補の組合せを、前記欠損区間の瞬時心拍として選択する、瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  2. 前記瞬時心拍補完部は、
    前記ウィンドウとして、前記任意の時刻または前記設定された前記ウィンドウ起点時刻から、
    予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    のいずれかを設定し、
    前記スライド時間長として、前記任意の時刻または前記前回のウィンドウの起点時刻から、
    予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    のいずれかを設定し、
    前記ウィンドウ起点時刻として、
    初回は、前記任意の時刻を設定し、
    2回目以降は、
    前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    のいずれかを設定する、
    請求項1記載の瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  3. 前記瞬時心拍補完部は、前記補完値候補が全て揃ったことを、前記欠損区間内に亘り、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を行ったか否かによって判断する、請求項1または2記載の瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  4. 被験者の心電を計測する心電計測手段から出力される信号に基づいて算出される、時系列で隣接する2つのR波の間隔である瞬時心拍の内、正常な値と判断した複数の瞬時心拍からなる時系列データを入力し、前記入力した前記時系列データにおいて瞬時心拍が欠損した欠損区間の瞬時心拍を補完する、瞬時心拍の時系列データの補完方法であって、
    任意の時刻または設定されたウィンドウ起点時刻からウィンドウ基準時間長に基づいて設定されたウィンドウにおいて、予め設定された瞬時心拍の分布における存在確率が正常に計測したデータによりプロットされた瞬時心拍の値よりも低いものを瞬時心拍の補完値候補として算出し、
    前記ウィンドウのスライド時間長を、任意の時刻または前回のウィンドウの起点時刻から、予め設定されたスライド基準時間長に基づいて設定し、
    前記ウィンドウ起点時刻は、前記スライド時間長に基づいて設定し、
    前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を、前記補完値候補が全て揃うまで再帰的に行い、
    算出した前記補完値候補の組合せと予め設定した分布との乖離が最も小さくなる前記補完値候補の組合せを、前記欠損区間の瞬時心拍として選択する、
    ことを全ての欠損区間に対して行う、
    瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  5. 前記ウィンドウとして、前記任意の時刻または前記設定された前記ウィンドウ起点時刻から、
    予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記ウィンドウ基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    のいずれかを設定し、
    前記スライド時間長として、前記任意の時刻または前記前回のウィンドウの起点時刻から、
    予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    または予め設定された前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された瞬時心拍まで、
    のいずれかを設定し、
    前記ウィンドウ起点時刻として、
    初回は、前記任意の時刻を設定し、
    2回目以降は、
    前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻の前後で、前記終了の時刻に最も近い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻を超えて最も早い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    または、前回のウィンドウの起点時刻から前記スライド基準時間長の終了の時刻以前で最も遅い時刻に観測された前記瞬時心拍の時刻、
    のいずれかを設定する、
    請求項4記載の瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  6. 前記補完値候補が全て揃ったことを、前記欠損区間内に亘り、前記ウィンドウにおける前記補完値候補の算出を行ったか否かによって判断する、請求項4または5記載の瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  7. コンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータを、請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の前記瞬時心拍の時系列データの補完装置として機能させるためのプログラム。
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