JP6846288B2 - 瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラム - Google Patents

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本発明は、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムに関する。
1 心拍変動解析に関する概要
自律神経には、交感神経と迷走神経の二つがある。両自律神経は各臓器などに広く分布し、循環や代謝をはじめとする不随意な身体機能を制御する。多くの場合、両自律神経がひとつの臓器を拮抗的に支配すると言われている。
自律神経活動のひとつである交感神経活動は、暗算負荷などのストレス刺激によって亢進することが知られている。
もう一つの自律神経である迷走神経は、当該神経が支配する各臓器において主に副交換性の神経活動を担うことから、副交感神経活動と同等に理解されることも多い。なお、「迷走神経」とは、厳密には脳神経のひとつである第X神経の名称であり、脳から各臓器などに至る当該神経すべてを指す。このため、支配対象となっている臓器の名称を付記することで、対象臓器における副交感神経活動を示す場合がある(例:心臓迷走神経)。
自律神経が支配する臓器のひとつに心臓がある。心臓は交感神経、迷走神経によって拮抗的に支配されており、両自律神経活動を反映すると言われている(参考文献[i]参照)。
特に、隣接するふたつのR波の間隔である瞬時心拍(RRI:R−R interval)のゆらぎは両自律神経活動によって変化することが知られている。なお、R波とは、心電図計測によって得られる心電波形のひとつであり、心臓の脱分極活動を反映している(参考文献[ii]参照)。図6は、R波と瞬時心拍(RRI)との関係を示す図である。
実環境で自律神経活動を推定する手法として、瞬時心拍変動の周波数スペクトル解析がある。この手法によれば、不等間隔である瞬時心拍を周波数スペクトルで解析した際の低周波成分(以降HRVLF)は交感神経活動と心臓迷走神経活動、高周波成分(以降HRVHF)は心臓迷走神経活動を反映する指標として解釈される(参考文献[i]参照)。
心電図を計測する手段のひとつとして、ホルター心電計などのウェアラブルなデバイスがある。これらのデバイスを用いて取得する心電図は、電極の変形やズレをはじめとする電極異常、あるいは、体動、発汗、静電気など様々な要因によって計測異常が生じる(参考文献[iii]参照)。この計測異常は、心電図では図7に示すようなアーチファクトやノイズという形で確認できる。
計測異常のうち、アーチファクトとして観測される波形はR波と類似しており、ひとつ以上連続して観測される。このため、心電図を解析してR波を抽出するアルゴリズムが、アーチファクトをR波と誤判断して抽出してしまう場合もある(以降では、このようなものを「計測異常R波」、計測異常R波によって誤算出した瞬時心拍を「計測異常瞬時心拍」と表記する)。
HRVLFおよびHRVHFは、解析対象となるすべてのデータが正常な瞬時心拍である場合でのみ、自律神経活動を反映する。ここでいう正常な状態とは、計測対象と計測器両方において異常がない状態を意味する。計測対象の異常とは不整脈などであり、計測器の異常とは心電図で計測異常が生じている状態を指す。
計測異常のひとつであるアーチファクトをR波と誤判断したものは、その発生機序から心臓の脱分極活動を一切反映しない。このため、解析対象となる瞬時心拍を構成するR波のうち、少なくともひとつがアーチファクトをR波と誤判断したものである場合、HRVLFおよびHRVHFのいずれも自律神経活動を反映するとは言えない。
2 心拍の周波数特徴量の算出
心拍特徴量のうち、周波数特徴量を求める際には、不等間隔である瞬時心拍を補間関数によって等間隔なデータにリサンプリングしてからパワースペクトル密度を求める必要がある(参考文献[i]参照)。リサンプリング手法には線形補間やスプライン補間などがあるが、リサンプリング後のデータに心拍と似たゆらぎを残せるスプライン補間が用いられる場合が多い。
出来る限り正常な状態の瞬時心拍のみからリサンプリングデータを生成するため、一般的には補間処理の前に瞬時心拍の異常値除外を行う。瞬時心拍の異常値を除外する手法として、瞬時心拍の時間特徴量を使用するものがある。具体的な例としては、瞬時心拍の下限値・上限値、および前後の瞬時心拍との差分値に閾値を設定し、当該閾値を逸脱したものを除外する手法(参考文献[v]参照)や、瞬時心拍の正規分布から外れたものを除外する手法(参考文献[vi]参照)がある。後者の手法(参考文献[vi]参照)の中では、瞬時心拍の平均±標準偏差による異常値検出が最も簡便なものであり、一般的には2σあるいは3σルールが用いられることが多い。
周波数特徴量は欠損値の影響を受けて大きく変動することが知られている(参考文献[i]参照)。例えば、高周波数成分と低周波数成分の比であるHRVLF/HFは、欠損率6%で1.5倍、12%で2倍近くまで増加する場合があるとの報告がある。
上記のスペクトル分析を行う場合は、各瞬時心拍データを後方のR波の時間的位置にプロットしたタコグラムが必要となる(参考文献[i]参照)。このタコグラムの縦軸は計測した瞬時心拍の値であるが、横軸の取り方は過去の瞬時心拍の累積時間(手法a)を使う場合と、瞬時心拍の生起時間を使う場合(手法b)の二つがある。手法a、bの時間は、計測した瞬時心拍がすべて正常であり、異常値除外もない場合は等しくなる。
3 ウェアラブル心電計を用いた心拍変動解析
ウェアラブル心電計を用いる場合、一般には長時間に及ぶ心拍変動解析を行う場合が多い。このような場合には、一定長の解析窓幅と解析シフト幅を設定し、対象データを時間経過に応じて変更しながら解析を行う。
従来、参考文献[v]に示した手法や参考文献[vi]に示した手法で瞬時心拍の異常値除外を行なったデータをスプライン補間してパワースペクトル密度を算出する方法がある(非特許文献1)。
神田尚子、佐久間大輝、吉永努、入江英嗣、色彩環境下での心拍変動と作業能率との相関に関する検討、インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ、pp.231−232、2012
従来手法で瞬時心拍の異常値除外を行った上で、RRIタコグラムを手法aに基づいて作成する場合、異常値除外を行ってから算出したタコグラムと、異常値除外が全く生じていないタコグラムとを区別することが出来ない。したがって、異常値除外を行ってから算出したタコグラムは、異常値除外を行った時間分短いデータのみを解析対象としたタコグラムとまったく同じになるため、欠損区間の心拍の活動を適切に扱うことが出来ない。
上記課題を回避するために、手法bでRRIタコグラムを作成し、従来手法のあと欠損値がある状態でスプライン補間を行う場合、欠損区間の長さによってはスプライン曲線が生理的に取りえない値となってしまう場合がある(例えば、250[msec]以下の値や負値など)。このようなリサンプリングデータから得たパワースペクトル密度は、本来取得し得ないタコグラムから算出されたものであるため、心臓の活動を正しく反映しているとは言えない。
さらに、ウェアラブル心電計で取得した瞬時心拍には、計測異常瞬時心拍が含まれることもある。このような計測異常瞬時心拍を異常値として除外すると、瞬時心拍の時間特徴量のみに基づく異常値除外よりも多くの瞬時心拍を異常値として除外することになる。したがって、通常の計測機器以上に解析対象データに欠損値が含まれる可能性が高いと考えられる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、計測異常などによって生じた欠損区間のある瞬時心拍データであっても、適切なスペクトル解析を実現することができる、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、瞬時心拍の時系列データの補完装置として、欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出する補完値算出部と、前記欠損区間の時間を算出する欠損区間時間算出部と、前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完する補完処理部とを具備し、前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、前記補完処理部は、前記算出された欠損区間の時間が前記補完時間未満、又は前記算出された欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が前記補完対象時間未満である場合、前記欠損区間に対する補完行なわない、ようにしたものである。
本発明の第2の態様は、瞬時心拍の時系列データの補完装置として、欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出する補完値算出部と、前記欠損区間の時間を算出する欠損区間時間算出部と、前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完する補完処理部とを具備し、前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、前記補完値は、解析対象区間における瞬時心拍の平均値である、ようにしたものである。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様において、前記補完対象時間は、前記補完時間の1.25倍である。
本発明の第4の態様によれば、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、正常計測状態と判別された残りのR波のみを用いて、隣接する2つのR波で前記瞬時心拍を構成する瞬時心拍再計算部をさらに具備する。
本発明の第5の態様は、瞬時心拍の時系列データの補完方法として、瞬時心拍の時系列データの補完装置に適用される方法であって、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完値算出部が、欠損区間を有する前記瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出し、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の欠損区間時間算出部が、前記欠損区間の時間を算出し、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部が、前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完し、前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、前記算出された欠損区間の時間が前記補完時間未満、又は前記算出された欠損区間から前記補完値を差し引いた時間が前記補完対象時間未満である場合、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部による前記欠損区間に対する補完は行なわれない、ようにしたものである。
本発明の第6の態様は、瞬時心拍の時系列データの補完方法として、瞬時心拍の時系列データの補完装置に適用される方法であって、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完値算出部が、欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出し、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の欠損区間時間算出部が、前記欠損区間の時間を算出し、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部が、前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完し、前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、前記補完値は、解析対象区間における瞬時心拍の平均値である、ようにしたものである。
本発明の第7の態様によれば、第5または第6の態様において、前記補完対象時間は、前記補完時間の1.25倍である。
本発明の第8の態様によれば、第5乃至第7の態様のいずれか1つにおいて、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の瞬時心拍再計算部が、アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、正常計測状態と判別された残りのR波のみを用いて、隣接する2つのR波で前記瞬時心拍を構成する。
本発明の第の態様第5乃至第7の態様のいずれか1つの瞬時心拍の時系列データの補完方法を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、計測異常などによって生じた欠損区間のある瞬時心拍データであっても、適切なスペクトル解析を実現することができる、瞬時心拍の時系列データの補完装置、補完方法及びそのプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完システム10の構成を示す図である。 本発明の実施形態における補完装置12の瞬時心拍再計算部26による瞬時心拍再計算の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完システム10の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。 S5における瞬時心拍補完部27の瞬時心拍の時系列データに対する補完処理を説明するためのフローチャートである。 瞬時心拍位の時系列データと内挿された補完値との関係を示す図である。 図6は、R波と瞬時心拍(RRI)との関係を示す図である。 図7は、心電図における計測異常(アーチファクト、ノイズ)の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る瞬時心拍の時系列データの補完システム10の構成を示す図である。瞬時心拍の時系列データの補完システム10は、心電図計測部11と瞬時心拍の時系列データの補完装置12とを具備する。
一例として、瞬時心拍の補完システム10は、心電計測部11を被験者(ユーザ)に装着可能なウェアラブルデバイスとし、瞬時心拍の時系列データの補完装置12をスマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータデバイスとしたシステムにより実現される。例えば、コンピュータデバイスは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、プロセッサに接続されるメモリと、心電計測部11と(例えば無線で)通信するための通信インタフェースと、を備える。
なお、瞬時心拍の補完システム10の実現形態は、この例に限定されるものではない。例えば、瞬時心拍の補完システム10は1つのデバイスとして実現されてもよい。また、心電計測部11は瞬時心拍の補完システム10の外部に設けられてもよい。言い換えると、瞬時心拍の補完システム10は、心電計測部11に相当する外部の心電計測装置から被験者の心電を計測した結果を取得してもよい。
心電計測部11は、被験者の心電を計測し、計測結果をR波抽出部21に送る。心電は、循環器系の生体信号であり、例えば、心室の収縮と同期した周期的な信号を含む。心電計測部11は、少なくとも2極の電極によって心電の計測を行う。計測結果は、心電図におけるR波相当の心電を抽出可能な時系列データを含む。
例えば、計測結果は心電図の時系列データを含む。心電計測部11は、R波相当の心電を計測することができればよく、その実現形態は問わない。例えば、心電計測部11はホルター心電計からなる。
瞬時心拍の時系列データの補完装置12は、R波抽出部21、R波関連情報記録部22、瞬時心拍算出部23、瞬時心拍記録部24、瞬時心拍評価部25、瞬時心拍再計算部26、瞬時心拍補完部27及びスペクトル解析処理部28を具備する。これらR波抽出部21、R波関連情報記録部22、瞬時心拍算出部23、瞬時心拍記録部24、瞬時心拍評価部25、瞬時心拍再計算部26、瞬時心拍補完部27及びスペクトル解析処理部28の機能は、例えば、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、これらの機能の一部または全部は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの回路によって実現されてもよい。
R波抽出部21は、心電計測部11によって計測された心電の時系列データを解析し、R波を抽出する。実施形態では、具体的なR波の抽出方法は問わない。後続処理で必要がある場合については、抽出したR波に関連する情報を、R波関連情報記録部22に記録する。
R波関連情報記録部22は、瞬時心拍評価部25において、公知の技術によって瞬時心拍以外の異常値除外処理を行う場合などにおいて、R波抽出部21で抽出したR波に関する情報を記録する。実施形態では、具体的な記録方法については特に指定しない。
瞬時心拍算出部23は、R波抽出部21で抽出したR波に基づき、瞬時心拍を算出し、算出した瞬時心拍情報を瞬時心拍記録部24に保存する。
瞬時心拍記録部24は、瞬時心拍算出部23で算出した瞬時心拍を記録する。具体的な記録形式については特に指定しないが、例えば、瞬時心拍の行列や、瞬時心拍を構成する1つ目のR波の時刻情報と瞬時心拍の二つから構成されるデータ行列が考えられる。なお、本機能は実施形態において必須の機能ではない。R波の電位情報に加え、瞬時心拍の時間情報も考慮して瞬時心拍を評価する場合のみ必要となる。
瞬時心拍評価部25は、R波関連情報記録部22の情報を基に、瞬時心拍算出部23で算出した瞬時心拍を評価し、異常値除外処理を行う。実施形態では具体的な処理内容については規定しない。例えば、参考文献[v]、[vi]の手法ように、瞬時心拍の時間特徴のみに基づく異常値除外処理のみでも良い。
瞬時心拍再計算部26は、実施形態においては任意の処理であるが、例えば、以下の処理が含まれる。
具体的には、瞬時心拍再計算部26は、瞬時心拍評価部25による評価の結果に基づいて瞬時心拍の再計算を行う。図2は本発明の実施形態における補完装置12の瞬時心拍再計算部26による瞬時心拍再計算の一例を示す図である。
また、瞬時心拍再計算部26は、表1で示す#2、#3および#4のいずれかに該当すると評価された瞬時心拍を構成する、隣接する2つのR波における、アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、残りの正常計測状態と判別されたR波のみを用いて、隣接する2つのR波である瞬時心拍を構成する。
Figure 0006846288
図2に示した例では、再計算前のR波は、時系列に沿って、R波番号「1」、「2」の「R(正常計測状態)」、R波番号「3」の「A(アーチファクト)」、R波番号「4」の「R」、R波番号「5」、「6」、「7」の「A」、R波番号「8」、「9」の「R」と判別されたR波である。
これに対し、瞬時心拍再計算部26は、R波番号「3」、「5」、「6」、「7」の「A」と判別されたR波を棄却し、残りのR波番号「1」、「2」、「4」、「8」、「9」の「R」と判別されたR波を用いて、1つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「1」、「2」に対応する2つのR波で構成)、2つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「2」、「4」に対応する2つのR波で構成)、3つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「4」、「8」に対応する2つのR波で構成)、4つ目の瞬時心拍(隣接する、R波番号「8」、「9」に対応する2つのR波で構成)を構成する。これら再計算後の、瞬時心拍評価部25による、瞬時心拍の計測状態の評価は、表1に示す「#1(2つとも正常計測状態)」のみとなる。
瞬時心拍補完部27は、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の異常値除外処理或いは、瞬時心拍再計算部26で再計算が行なわれた瞬時心拍の時系列データを対象として補完処理を行う。具体的な手法については後述する。
スペクトル解析処理部28は、瞬時心拍補完部27で補完処理を行った瞬時心拍の時系列データを対象としてスペクトル解析を行う。実施形態では具体的な処理については特に指定しないが、例えば参考文献[i]に記載のように、スプライン補間によってリサンプリングデータを取得した後、自己回帰モデルによってパワースペクトル密度を求める処理などが考えられる。
次に、実施形態に係る瞬時心拍の補完システムの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、実施形態では、参考文献[v]、[vi]の手法に基づく瞬時心拍評価のみを行なう場合を仮定する。
まず、心電計測部11は、被験者の心電を計測して、被験者の心電図のための時系列の心電データをR波抽出部21に送る(S1)。R波抽出部21は、心電計測部11にて計測された時系列の心電データからR波を抽出する(S2)。
瞬時心拍算出部23は、R波抽出部21で取得したR波に基づき、隣接する2つのR波から瞬時心拍を算出する(S3)。実施形態では、参考文献[v]、[vi]の手法により、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の時間情報を用いた評価を行うため、算出した瞬時心拍に関する情報を瞬時心拍記録部24に記録するが、瞬時心拍の時間情報を異常値除外処理に用いない場合は記録しなくても良い。
瞬時心拍評価部25は、R波関連情報記録部22に保存したR波の情報や、瞬時心拍記録部24の時間情報に基づいて、瞬時心拍を評価する(S4)。実施形態では、参考文献[v]、[vi]の手法に基づき250[msec]未満あるいは1500[msec]を越える瞬時心拍を除外した後、平均±3×標準偏差の範囲から外れた瞬時心拍を異常値として除外する。
瞬時心拍補完部27は、瞬時心拍評価部25の処理で欠損値の生じた瞬時心拍の時系列データを対象として、補完処理を行なう(S5)。具体的な補完処理の例は、後述する。
その後、スペクトル解析処理部28により、所定の条件のもとに補完処理が行なわれた瞬時心拍の時系列データに対してスペクトル解析が行なわれる(S6)。
図4は、S5における瞬時心拍補完部27の欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データに対する補完処理を説明するためのフローチャートである。
同図に示すように、瞬時心拍補完部27は、まず、瞬時心拍評価部25で瞬時心拍の異常値除外処理を行った欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データに対して、補完値を算出する(S11)。実施形態では、補完値の具体的な値については規定しないが、例えば、解析対象区間における瞬時心拍の平均値などが考えられる。
瞬時心拍補完部27は、欠損区間の時間を算出する(S12)。
次に、欠損区間の時間が補完時間以上であるかが判断される(S13)。S13において、欠損区間の時間が補完時間以上であると判断された場合、瞬時心拍補完部27は、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間を算出する。そして、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間(欠損区間の時間−補完時間)が補完対象時間以上であるかが判断される(S14)。ここで、補完時間<補完対象時間である。
S14において、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間(欠損区間の時間−補完時間)が補完対象時間以上であると判断された場合、瞬時心拍補完部27は欠損区間を補完値で補完(内挿)し(S15)、S12の処理に戻る。なお、実施形態において、補完値の内挿方法は問わない。図5は、瞬時心拍位の時系列データと内挿された補完値との関係を示す図である。同図においては、瞬時心拍の時系列データd1〜d6に、算出された欠損区間dpにおいて補完値dcが補完された例を示している。
なお、実施形態では、補完対象時間については詳細に規定しないが、例えば、250[msec]未満の値へのスプライン曲線の発振を防止するため、補完時間の1.25倍とすることも考えられる。
S14において、欠損区間の時間から補完時間を差し引いた時間が、補完対象時間未満である場合、瞬時心拍補完部27は欠損区間の補完を行わず、処理を終了する。また、S13において、欠損区間の時間が補完時間未満の場合、瞬時心拍補完部27は欠損区間の補完を行わず、処理を終了する。
実施形態においては、図4に示したように、欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データを補完する場合と、補完しない場合とがあるが、欠損区間を補完した瞬時心拍の時系列データに対しては、所定の識別子を付しても良い。
従って、実施形態の瞬時心拍の時系列データの補完装置によれば、タコグラムの横軸を手法bによって生成し、データに識別子を付加することにより、欠損が生じていないデータと、欠損のあるデータとの区別が可能になる。
また、欠損区間を補完値で内挿することにより、スプライン曲線が生理的に取りえない値域に発振することを防止し、生理的に妥当なパワースペクトル密度関数を算出可能となる。
さらに、欠損区間の補完を行う前に、補完時間と補完対象時間の二つの時間を用いて欠損区間を評価することで、補完した瞬時心拍とその次の瞬時心拍との時間間隔が解析に影響を及ぼすほど短縮してしまうことを防止する。なお、欠損区間の評価を補完時間のみで行った場合、補完した瞬時心拍とその次の瞬時心拍との時間間隔が短くなり、結果としてスプライン曲線が生理的に取り得ない値域に発振する場合がある。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
・ 参考文献
(i) 井上博、循環器疾患と自律神経機能 第2版、医学書院、2001
(ii) 奥出潤、これならわかる!かんたんポイント心電図 第2版、医学書院、2011
(iii) 日本光電、雑音混入のメカニズムと対策:きれいな心電図を記録するポイント 〜ホルター心電図編〜、(2017年3月23日確認)
http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/point/holter/mechanism.html
(iv) 渡辺重行ら、心電図の読み方パーフェクトマニュアル、羊土社、2006
(v) 佐久間大輝ら、座位状態での心拍測定を用いたリアルタイムなストレス緩和システム、マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集、pp.1188−1195、2013
(vi) 横田康成ら、心拍変動時系列変化を用いた敗血症の前駆症状モニタリング、第54回自動制御連合講演会、pp.1258−1261、2011
10…瞬時心拍の補完システム、11…心電計測部、12…補完装置、21…R波抽出部、22…R波関連情報記録部、23…瞬時心拍算出部、24…瞬時心拍記録部、25…瞬時心拍評価部、16…瞬時心拍再計算部、27…瞬時心拍補完部、28…スペクトル解析処理部。

Claims (9)

  1. 欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出する補完値算出部と、
    前記欠損区間の時間を算出する欠損区間時間算出部と、
    前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完する補完処理部とを具備し、
    前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、
    前記補完処理部は、
    前記算出された欠損区間の時間が前記補完時間未満、又は前記算出された欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が前記補完対象時間未満である場合、前記欠損区間に対する補完行なわない、
    瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  2. 欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出する補完値算出部と、
    前記欠損区間の時間を算出する欠損区間時間算出部と、
    前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完する補完処理部とを具備し、
    前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、
    前記補完値は、解析対象区間における瞬時心拍の平均値である、
    瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  3. 前記補完対象時間は、前記補完時間の1.25倍である、請求項1または請求項2に記載の瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  4. アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、正常計測状態と判別された残りのR波のみを用いて、隣接する2つのR波で前記瞬時心拍を構成する瞬時心拍再計算部をさらに具備する、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の瞬時心拍の時系列データの補完装置。
  5. 瞬時心拍の時系列データの補完装置に適用される方法であって、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完値算出部が、
    欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出し、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の欠損区間時間算出部が、
    前記欠損区間の時間を算出し、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部が、
    前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完し、
    前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、
    前記算出された欠損区間の時間が前記補完時間未満、又は前記算出された欠損区間から前記補完値を差し引いた時間が前記補完対象時間未満である場合、前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部による前記欠損区間に対する補完は行なわれない、
    瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  6. 瞬時心拍の時系列データの補完装置に適用される方法であって、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完値算出部が、
    欠損区間を有する瞬時心拍の時系列データの前記欠損区間に対する補完値を算出し、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の欠損区間時間算出部が、
    前記欠損区間の時間を算出し、
    前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の補完処理部が、
    前記算出された欠損区間の時間が、補完時間以上であり、かつ前記欠損区間の時間から前記補完時間を差し引いた時間が補完対象時間以上である場合、前記欠損区間に前記算出された補完値を補完し、
    前記補完対象時間は、前記補完時間を超える値であって、
    前記補完値は、解析対象区間における瞬時心拍の平均値である、
    瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  7. 前記補完対象時間は、前記補完時間の1.25倍である、請求項5または請求項6に記載の瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  8. 前記瞬時心拍の時系列データの補完装置の瞬時心拍再計算部が、
    アーチファクトとして判別されたR波を棄却し、正常計測状態と判別された残りのR波のみを用いて、隣接する2つのR波で前記瞬時心拍を構成する、
    請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の瞬時心拍の時系列データの補完方法。
  9. コンピュータに、請求項5乃至請求項8いずれか1項に記載の前記瞬時心拍の時系列データの補完方法を実行させるためのプログラム。
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