以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生体信号処理システム1の構成例を示すブロック図である。
まず、図1に関して説明する前に、図2乃至図9を参照して、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態は、ウェアラブルデバイスを用いて取得される生体信号の解析等の処理をするための技術に関するものである。
非特許文献1のような従来技術では、ウェアラブルデバイスに設けられた生体信号を取得するために用いられる電極の移動やその電極が外れることにより生じるアーチファクトが想定されていないため、例えば、後述するR波等の生体信号の特徴量(以下、単に「特徴量」と称す。)の抽出の精度が低い場合がある。なお、アーチファクトについては、図2等を参照して後述する。
本実施形態では、生体信号にアーチファクトまたはノイズが混入しているか否かを判定する処理(以下、「生体信号判定処理」と称す。)を行うことによって、ウェアラブルデバイスを用いた特徴量の抽出の精度を向上させる。そして、アーチファクトまたはノイズが生じることにより正確と思われる特徴量を抽出できない場合、不正確な値である恐れのある特徴量、あるいは該当する生体信号の破棄、または特徴量の補完を行うことによって、例えば、ウェアラブルデバイスの利用者が計測された生体信号の特徴量を見た場合に生じる違和感等を低減することができる。
より詳細には、ウェアラブルデバイスで計測された時間的な周期性を有する生体信号に対して、アーチファクトおよびノイズを考慮して、例えば、生体信号の任意の期間において、ウェアラブルデバイスの利用者に提供するサービス形態に応じて、特徴量の抽出の精度が低下しないように、アーチファクトまたはノイズが混入していると判定された期間、例えば特徴量の抽出が困難な期間、における生体信号を破棄または特徴量を補完する。
例えば、対象となる生体信号の電位に基づき、アーチファクトまたはノイズが混入しているか否か判定する。また、生体信号の任意の期間のうちの、アーチファクトおよびノイズが混入していない期間のように、アーチファクトおよびノイズの影響が少ない期間における特徴量を抽出対象とすることによって、特徴量の抽出の精度を向上させる。
ここで、図2を参照して、本実施形態の対象となる生体信号の波形の一例について説明する。
図2は、所定期間における生体信号の波形のグラフ40を示している。図2の横軸は、時間を示しており、図2の縦軸は、生体信号の成分の1つである電位を示している。
グラフ40は、アーチファクトを含む領域42a、ノイズを含む領域42b、および、アーチファクトおよびノイズを含まない正常な領域42cを有する。
アーチファクトを含む領域42aは、電位の振幅がほぼゼロである領域42a−1、および、電位の振幅が所定の閾値Thを一定期間超えている領域42a−2を含む。
なお、本実施形態における領域とは、生体信号の時間的な期間に対応する生体信号の波形の領域を意味する。
ここで、アーチファクトについて説明する。
アーチファクトは、時間的な周期性を有する正常な生体信号に対して、ノイズと同様に、異常な信号である。また、アーチファクトは、領域42a−1に対応する期間の信号(以下、「振幅ゼロアーチファクト」と称す。)および領域42a−2に対応する期間の信号(以下、「振幅大アーチファクト」と称す。)、の2つに分類される。
具体的には、振幅ゼロアーチファクトは、生体信号の任意の期間に、生体信号の成分が一定期間含まれない期間に対応する信号であり、電極の外れ等の外部要因によって生じ、電極が外れるため、計測される電位、すなわち計測電位、がゼロである信号である。そのため、振幅ゼロアーチファクトを含む期間における計測電位から生体信号の成分を取り出すことは困難である。
一方、振幅大アーチファクトは、生体信号の成分が所定の閾値Thを超える期間に対応する信号であり、電極の移動等の外部要因によって生じ、計測電位が平常時の計測電位よりも著しく高い値を取る信号である。そのため、振幅大アーチファクトを含む期間における計測電位から生体信号の成分を取り出すことは困難である。なお、平常時の計測電位は、例えば、後述する正常な領域42cに対応する正常な信号の計測電位である。
次に、ノイズを含む領域42bについて説明する。
図2は、領域42bを拡大したグラフ46も示している。グラフ46は、ノイズの影響により、生体信号の基線変動が生じている生体信号を示している。
本実施形態におけるノイズは、アーチファクトと異なり且つ生体信号の特徴量の抽出を阻害する信号である。
図3は、アーチファクトまたはノイズの要因と、その要因に対応するアーチファクトまたはノイズの種類を示す対応表である(非特許文献4を参照して作成)。
ノイズの計測電位は、アーチファクトほど大きくはないが、グラフ46では、図3に示すような様々な外部要因によって、基線変動を生じるノイズが生体信号に混入していることが分かる。そのため、計測電位から生体信号の成分を取り出せるか否かは、ノイズの混入状態に依存する。
ノイズの混入状態とは、例えば、後述する図1に記載されているノイズ除去・低減処理部16aによって除去または低減可能なノイズが混入している状態である。この場合、ノイズを除去または低減することによって、計測電位から生体信号の成分を取り出すことができる。このように、本実施形態におけるノイズは、除去または低減することによって生体信号の成分を取り出すことができるノイズである。
次に、アーチファクトおよびノイズを含まない正常な領域42cについて説明する。
図2は、領域42cを拡大したグラフ44も示している。グラフ44は、正常な生体信号を示している。正常な生体信号とは、アーチファクトおよびノイズが混入していない信号、または、グラフ44のように時間的な周期性を有する信号である。また、正常な生体信号は、後述するR波のように予め分かっている波形パタンを含む信号である。
次に、図3および図4を参照して、アーチファクトおよびノイズについてより詳細に説明する。
図3は、前述したように、非特許文献4を参照して作成した、アーチファクトまたはノイズの要因と、その要因に対応するアーチファクトまたはノイズの種類を示す対応表である。
図4は、非特許文献5から引用した、生体信号の1つである心電に含まれるノイズについて説明するための図である。
要因は、例えば、電極が移動すること(電極移動)、電極が外れること(電極外れ)、呼吸または体動による分極電圧の変動、心電への筋電ノイズの混入等により生じる類似周波数の生体信号、および静電気である。
そして、これらの各要因に対応するアーチファクトまたはノイズの種類は、振幅大アーチファクトに対応し生体信号の波形の乱れとして生じるアーチファクト、振幅ゼロアーチファクトに対応し生体信号の波形の乱れとして生じるアーチファクト、基線の変動として生じるノイズ、生体信号の波形の乱れとして生じるノイズ、および、インパルス性のノイズである。
なお、図3の電極外れに対応するアーチファクトの計測電位は、例えば、ウェアラブルデバイスに設けられたグラウンドと電極がともに、生体信号が計測される被検体から外れた場合、ゼロになることがある。なお、被検体は、例えば、ウェアラブルデバイスを装着等しているユーザである。
次に、図4を参照して、生体信号の1つである心電に含まれるノイズについて説明する。
図4に示す心電の波形には、領域42dに、電極移動を要因として生じる振幅大アーチファクトを含んでいることがわかる。
次に、図5乃至図7を参照して、心電についてより詳細に説明する。
図5は、非特許文献6から引用した、心臓の拍動と心電との関係を示す波形である。図5の波形の横軸は時間を示しており、縦軸は心電の電圧を示している。
図6は、非特許文献6から引用した、心臓の拍動の速さと心拍間隔の関係を示す波形である。また、図6は、複数の隣接するR波を示している。
図7は、非特許文献2,3から引用した図5に示した心電の各波形を説明するための図である。
心電は、循環器系の生体信号であり、心室の収縮と同期した周期的な信号を含む。
また、心電は、例えば、図5の「P」、「Q」、「R」、「S」、および「T」で示される各波形に基づき、図7を参照して後述するP波、QRS群50に対応する波、ST部分に対応する波、T波、およびU波、に分類される。
なお、本実施形態では、QRS群50に対応する波をR波と称す。R波は、本実施形態における特徴的な波形パタンの1つであり、1つの心拍に含まれる波形に相当する。また、本実施形態における特徴量は、後述するRRIだけでなく、R波のような波形パタンも含まれる。
また、心電は、1つの心拍に含まれる波形およびその持続時間の正常範囲は医学的に定義されている。そのため、アーチファクトやノイズが全く混入しない理想的な状態であれば、心電は、この1つの心拍に含まれる波形の形状の繰り返しとして記録される。また、心電は、例えば、この1つの心拍に含まれる波形を1周期とする電気信号でもある。
心電の特徴量の1つとして、隣接するR波の間隔、すなわち心拍間隔、に相当するRRI値と呼ばれる指標がある。このRRI値を用いて、例えば、自律神経の活動の推定を行うことができる。
具体的には、心臓の拍動が速い場合、RRI値は、図6の(a)のRRI1−1およびRRI1−2のように、図6の(b)のRRI2よりも、大きくなる。つまり、心拍間隔が長くなる。一方、心臓の拍動が遅い場合、RRI値は、図6の(b)のRRI2のように、RRI1−1およびRRI1−2よりも、大きくなる。つまり、心拍間隔が短くなる。
また、例えば、隣接するRRI値、すなわちRRI1−1とRRI1−2とを比較することによって、RRI値のゆらぎを算出できる。また、RRI値の逆数に基づき、心拍数を算出することもできる。
このように、R波やRRI値は、医療における治療等だけでなく、例えば被検体の健康状態等を確認するためにも用いることができるため、生体信号の重要な特徴量の1つである。
次に、図7を参照して、図5に示した心電の各波形について説明する(非特許文献2,3参照)。
図7に示すように、波形は、例えば、図5の「P」に相当するP波、本実施形態におけるR波であり図5の「Q」,「R」,「S」に相当するQRS群50に対応する波、図5の「S」および「T」に相当するST部分(STセグメント)に対応する波、図5の「T」に相当するT波、および、図5には図示されていないU波、である。なお、U波は、例えば、図5におけるT波およびP波との間に見られる波形である。
また、各波形の極性について、P波、T波、およびU波は、陽性波であり、ST部分に対応する波は、極性がない波である。
これらの波形、P波、QRS群50に対応する波、ST部分に対応する波、T波、およびU波、が発生する要因は、それぞれ、例えば、心房の興奮(収縮)、心室の脱分極(収縮)、心室筋の再分極過程、心室の再分極、およびプルキンエ繊維の再分極、である。なお、U波に対応する発生要因は、医学的にも不明であるとされているが、例えば、プルキンエ繊維の再分極である。
次に、図8を参照して、R波について詳細に説明する(非特許文献2,3参照)。
図8は、本実施形態のR波に対応するQRS群50に属する波形の極性とその波形の概要を示している。本実施形態のR波は、厳密には、図8のように定義される。
Q波とS波は、陰性波であり、R波は、陽性波である。
Q波,R波,S波は、図5に示すように、時間的にこの順に観測される。つまり、Q波は、時間的に最初に観測される陰性波である。R波は、Q波が観測された後、観測される陽性波である。そして、S波は、R波が観測された後、観測される陰性波である。
次に、図9を参照して、図5等に示す各波形の正常持続時間について説明する(非特許文献2,3参照)。
図9は、図5に示す各波形の正常持続時間について説明するための図である。
正常持続時間は、例えば、各波形が観測されている時間であり、一般的に知られている時間である。
具体的には、PQ時間は、例えば、P波とQ波との間の正常持続時間であり、P波の立ち上がりの観測が開始されてから、最初の陰性波であるQ波の観測を開始する直前までの期間である。PQ時間は、約0.12(秒)以上から0.2(秒)未満である。
QRS群時間は、例えば、最初の陰性波であるQ波を観測した直前から、その後における最初の陽性波であるR波が観測され、その直後の陰性波であるS波が収束するまでの期間である。QRS群時間は、約0.1(秒)未満である。
QT時間は、例えば、QRS群50の観測が開始されてから、T波が収束するまでの期間であり、心筋の収縮時間に相当する時間である。QT時間は、例えば、T波の終点がRRの中点以下になる時間であり、約0.35(秒)以上から0.44(秒)以下である。
ここまで、本実施形態の概要および生体信号について説明した。本実施形態では、上述したような生体信号を対象として、生体信号判定処理を行う。
本実施形態では、上述した心電のように、図7に示すような各波形が出現する順序が予め分かっている生体信号、すなわちR波のような類似した波形が繰り返し現れる生体信号を対象とする。また、図6等を参照して説明した生体信号から得られるRRI値等の特徴量の値が取りうる範囲は、医学的または生理学的におおよそ予め分かっているものを想定している。
図1のブロック図に戻り、生体信号処理システム1の構成例について説明する。
生体信号処理システム1は、生体信号測定デバイス9、生体信号処理装置10、および生体信号解析処理部30を備える。
生体信号処理システム1は、上述した生体信号判定処理を行うためのシステムであり、特徴量を算出するためのシステムでもある。また、生体信号処理システム1は、上述したような特徴量だけでなく、他の生理指標を検出するためのシステムでもある。
生体信号計測デバイス9は、被検体から生体信号を計測するためのデバイスであり、例えば、被検体に装着可能なホルター心電計等のウェアラブルデバイスである。生体信号計測デバイス9は、被検体から計測された生体信号に関する情報である生体信号情報a0を生体信号処理装置10に送る。
生体信号情報a0は、例えば、心電図等に表示されるような周期性を有する波形を示す心拍、脈拍、呼吸、脳波、または発汗等の生体現象に関する数値等に関する情報を含む。
生体信号処理装置10は、上述したアーチファクトおよびノイズのうちの少なくとも1つを判定し、時間的に周期性を有する生体信号から特徴量を抽出するための装置であり、生体信号取得部12、アーチファクト判定部14、ノイズ混入状況判定部16、特徴量補完要否判定部18、特徴量抽出部20、特徴量記憶部22、および、補完・破棄処理済特徴量記憶部24を備える。
生体信号取得部12は、生体信号計測デバイス9から生体信号情報a0を取得する。そして、生体信号情報a0のうち生体信号判定処理を行う必要がある生体信号情報aを、アーチファクト判定部14に送る。
また、生体信号取得部12は、生体信号情報a0を保持するためのバッファメモリ(図示せず)を備えていてもよい。このバッファメモリに、必要に応じて、例えば、生体信号判定処理を行うために必要な情報量の生体信号情報a0を、保持してもよい。
アーチファクト判定部14は、生体信号情報aに基づき、生体信号にアーチファクトが混入しているか否かを判定する。換言すると、上述した正常な生体信号が計測できているか否かを判定する。
より詳細には、アーチファクト判定部14は、振幅ゼロアーチファクトおよび振幅大アーチファクトの有無を判定する。なお、生体信号は、連続的に記録され得る値であり、ある瞬間の一時点に計測された電位のみに着目した場合、振幅ゼロアーチファクトおよび振幅大アーチファクトを誤判定する恐れがある。そのため、振幅ゼロアーチファクトおよび振幅大アーチファクトの何れについても、例えば、一定期間ごとに分割した生体信号に基づいて、振幅ゼロアーチファクトおよび振幅大アーチファクトの有無を判定する。
具体的には、アーチファクト判定部14は、振幅大アーチファクトに関して、一定期間において予め定められた上述したような閾値Thを越えた場合、振幅大アーチファクトがその一定期間に混入していると判定する。一方、振幅ゼロアーチファクトに関して、一定期間における生体信号のデータに対する、電位がゼロであるデータの割合が所定値を越えた場合、振幅ゼロアーチファクトがその一定期間に混入していると判定する。
さらにより詳細には、アーチファクト判定部14は、以下の何れかの条件を満たす期間の検出を行う。なお、本実施形態における期間とは、生体信号の時間的に任意の区間である。
第1の条件は、生体信号に振幅大アーチファクトが混入しているか否かを判定するための条件であり、生体信号の成分が所定の閾値Thを超えているという条件である。例えば、生体信号の電位が、任意の期間において所定時間または所定回数、閾値Thを超えているという条件である。
第2の条件は、生体信号に振幅ゼロアーチファクトが混入しているか否かを判定するための条件であり、生体信号の成分が一定期間含まれていないという条件である。例えば、生体信号の電位が、任意の期間において一定期間、ゼロのままであるという条件である。
アーチファクト判定部14は、第1の条件および第2の条件の何れか1つの条件を満たした場合、判定の対象となる期間において、生体信号にアーチファクトが混入していると判定する。
また、アーチファクト判定部14は、第1の条件および第2の条件の何れかの条件を満たす場合、当該期間に生体信号が含まれないとみなし、当該期間における生体信号のデータに関して、例えば当該期間における生体信号の全てのデータに関して、いわゆるタイムスタンプを記録するとともに、「アーチファクト」等のラベルを付与してもよい。
また、アーチファクト判定部14は、第1の条件および第2の条件の何れかの条件を優先して用いて、アーチファクトが混入しているか否かを判定してもよい。
そして、アーチファクト判定部14は、アーチファクトが混入していないと判定した場合、その判定結果b1を、ノイズ混入状況判定部16に送る。一方、アーチファクトが混入していると判定した場合、判定結果b2を、特徴量補完要否判定部18に送る。
ノイズ混入状況判定部16は、ノイズ除去・低減処理部16aを備え、判定結果b1に基づき、生体信号にノイズが混入しているか否かを判定する。例えば、基線変動等の特徴量の抽出の妨げとなるノイズの混入状況を判定する。
ここで、ノイズ混入状況判定部16によるノイズの混入状況を判定するためのノイズ判定処理の一例について説明する。ここで説明するノイズ判定処理は、心電の各波形が周期的に計測されることを利用し、任意の期間の前後の期間に計測された電位等の値と、その値に関する所定の統計量とを比較する。その比較の結果が、所定値を越えたか否か判定することによって、ノイズの混入状況を判定する。なお、本実施形態では、ここで説明するノイズ判定処理の方法と異なる方法を用いてもよい。
具体的には、ノイズ混入状況判定部16は、生体信号の任意の領域において、電極移動や電極外れ等に起因するような、対象となる生体信号と類似した周波数特性を有するノイズ混入領域を判定することによって、生体信号にノイズが混入しているか否かを判定する。
そして、ノイズ混入状況判定部16は、この周期的な生体信号に混入した同一の周波数帯域に存在するノイズの判定を行うために、対象となる生体信号を、少なくとも短期期間と長期期間の2つの異なる分析窓幅で分割し、その分析窓を評価する。より詳細には、対象となる生体信号を分割し、分割された生体信号を含む各分析窓における特徴量を算出し、その分析窓を評価する。なお、ここで、ノイズ混入状況判定部16によって算出される特徴量は、本実施形態における特徴量と異なっていてもよい。
また、ノイズ混入状況判定部16は、長期期間の幅を有する分析窓同士を比較することにより大局的な変化を判定し、短期期間の幅を有する分析窓同士を比較することにより、例えば、ノイズが混入しているか否かを示す変化点、その変化の継続性等を判定する。
これにより、ノイズ混入状況判定部16は、対象となる生体信号と同一の周波数帯域に存在するノイズが混入している領域を判定することができる。このように、例えば、大局的な変化、局所的な変化、および変化の連続性の3つの観点から評価を行うことによって、ノイズ混入領域の判定を行う。
なお、本実施形態では、ここで説明したノイズ混入状況判定部16によるノイズ混入領域の判定方法は、一例であって、他のノイズ混入領域の判定方法を用いて、例えば、同一の周波数帯域以外の周波数帯域に存在するノイズに関して、ノイズ混入領域を判定してもよい。
ノイズ除去・低減処理部16aは、ノイズ混入状況判定部16によってノイズが混入していると判定された場合、混入しているノイズを除去または低減するための処理(以下、「ノイズ除去処理」と称す。)を行う。
例えば、ノイズ除去・低減処理部16aは、ノイズが混入していると判定され、基線変動等のノイズの影響により、生体信号が正常な生体信号と比べて変形している場合、ノイズを除去または低減するためのフィルタリングまたはその他のノイズを除去または低減するための手法を用いて、ノイズの除去または低減する。これにより、生体信号の成分および特徴量を抽出可能な状態にすることができる。
具体的には、ノイズ除去・低減処理部16aは、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、または所定の閾値、を利用したノイズ除去処理を行う。または、ウェーブレット変換を用いて、ノイズ除去処理を行ってもよい。なお、本実施形態では、ノイズ除去処理の方法として、これ以外の方法を用いてもよい。
そして、ノイズ混入状況判定部16は、ノイズが混入しているか否かの判定結果cを、特徴量抽出部20に送る。判定結果cには、ノイズ除去・低減処理部16aによってノイズが除去または低減された生体信号に関する情報、および、ノイズが混入している期間の時刻および生体信号の電位の時系列情報、も含まれる。
なお、ノイズ状況判定部16は、生体信号にノイズが混入している期間に対応する生体信号に、「ノイズ」等のラベルを付与してもよい。同様に、正常な生体信号に、「正常」等のラベルを付与してもよい。
また、ノイズ除去・低減処理部16aは、ノイズ混入状況判定部16ではなく、例えば、生体信号処理装置10に設けられていてもよい。
特徴量抽出部20は、判定結果cに基づき、生体信号から特徴量を抽出する。例えば、ノイズ除去・低減処理部16aによってノイズが除去または低減された期間に対応する生体信号(以下、「ノイズ除去済み生体信号」と称す。)から特徴量を抽出する。また、正常な生体信号からも特徴量を抽出する。
具体的には、特徴量抽出部20は、アーチファクト判定部14およびノイズ混入状況判定部16による判定処理の結果、対象となる期間に関して、振幅ゼロアーチファクト、振幅大アーチファクト、およびノイズ、の何れの影響も受けていないと判定された場合、および、ノイズ除去・低減処理部16aによってノイズ除去処理された場合、対象となる期間における特徴量を抽出する。
より詳細には、特徴量抽出部20は、R波の相関係数、所定の閾値、またはウェーブレット変換、を用いた方法で特徴量を抽出する。例えば、ウェアラブルデバイスの利用者に提供するサービス形態、または、特徴量の抽出のための計算に関するコストを考慮して、適切な方法で特徴量を抽出する。なお、これらの特徴量の抽出の方法以外の方法を用いて、特徴量を抽出してもよい。
そして、例えば、特徴量抽出部20は、R波等の特徴パタンを抽出し、抽出された特徴パタンに基づき、RRI値等の特徴量を抽出する。
また、特徴量抽出部20は、判定結果cに基づき、生体信号から特徴量を抽出できるか否か判定する。
そして、特徴量抽出部20は、生体信号から特徴量を抽出できると判定した場合、抽出された特徴量に関する情報、および、特徴量を抽出できるか否かの判定結果を、特徴量情報d1として、特徴量記憶部22に送る。一方、生体信号から特徴量を抽出できないと判定した場合、例えば、特徴量を抽出できない期間に関する情報、および、特徴量を抽出できるか否かの判定結果を、特徴量情報d2として、後述する特徴量補完要否判定部18に送る。
特徴量記憶部22は、特徴量情報d1を記憶する。また、例えば、記憶されている特徴量情報d1のうちの、後述する生体信号解析処理部30によって解析が必要な生体信号に関する特徴量情報e1を、補完・破棄処理済特徴量記憶部24に送る。
また、特徴量記憶部22は、例えば、後述する特徴量補完要否判定部18による要求に応じて、記憶されている特徴量情報d1のうちの特徴量情報e2を、特徴量補完要否判定部18に送る。
なお、特徴量情報e1,e2には、例えば、R波が発生した時刻の時系列情報が含まれる。
補完・破棄処理済特徴量記憶部24は、特徴量情報e1および後述する特徴量補完要否判定部18の判定結果gを、記憶する。例えば、特徴量情報e1に含まれる特徴量に関するデータと、判定結果gに含まれる補完された特徴量に関するデータと、を合わせて、時系列的に記憶する。また、特徴量抽出部20によって特徴量を抽出することができなかった期間に関するデータ、および、後述するデータ破棄部18bによって破棄されたアーチファクトが混入している期間に関するデータ、を例えば空値(Null値)として記憶する。
また、補完・破棄処理済特徴量記憶部24は、記憶している特徴量に関する情報hを、生体信号解析処理部30に送る。
なお、特徴量記憶部22および補完・破棄処理済特徴量記憶部24は、例えば、不揮発性メモリ等のストレージとして実現される。
特徴量補完要否判定部18は、特徴量補完部18aおよびデータ破棄部18bを備えており、特徴量補完部18aによって特徴量を補完するか、または、データ破棄部18bによって該当期間のデータを破棄するか、否かを判定するための予め設定されている判定基準に基づき、特徴量を補完するかまたは該当するデータを破棄するか判定する。
例えば、特徴量補完要否判定部18は、アーチファクト判定部14による判定結果b2または特徴量情報d2に基づき、アーチファクトが混入している期間(以下、「アーチファクト期間」と称す。)における特徴量(以下、「アーチファクト期間特徴量」と称す。)を補完するか否かを判定する。
また、特徴量補完要否判定部18は、例えば、後述する生体信号解析処理部30による解析処理において時間的に連続する特徴量を必要とする場合、または、生体信号解析処理部30による解析処理において必要とする特徴量の精度に応じて、例えば生体信号解析処理部30による解析処理において高精度の特徴量を必要とする場合、アーチファクト期間特徴量を補完すると判定する。
一方、特徴量補完要否判定部18は、例えば、生体信号解析処理部30による解析処理において時間的に連続する特徴量を必要としない場合、または、生体信号解析処理部30による解析処理において高精度の特徴量を必要としない場合、アーチファクト期間特徴量を補完しないと判定する。
特徴量補完部18aは、特徴量補完要否判定部18によって、補完が行われるように指定されている期間、例えば補完をすると判定された期間、(以下、「補完指定期間」と称す。)、における特徴量を補完する処理(以下、「特徴量補完処理」と称す。)を行う。なお、補完指定期間は、例えば、アーチファクト期間である。
特徴量補完処理は、例えば、以下のような方法またはこれらの方法を組み合わせた方法を用いて行われるが、これらの方法と異なる方法を用いて行われてもよい。
第1の方法は、補完指定期間よりも時間的に前に、すなわち過去に、特徴量抽出部20によって抽出されており、正常な生体信号を含む正常な領域に対応する期間(以下、「過去正常期間」と称す。)における特徴量に基づいて、特徴量の補完を行う方法である。すなわち、過去正常期間における特徴量は、補完指定期間における特徴量、例えばアーチファクト期間特徴量、の代替値でもある。
第2の方法は、複数の過去正常期間における特徴量に基づき、線形補完等を行う方法である。
第3の方法は、過去正常期間がない場合、例えば、過去正常期間が予め指定されていない場合、補完指定期間に関するデータを空値で補完する方法である。
第4の方法は、補完指定期間の時間的に前後の期間における正常な生体が信号を含む領域に対応する期間(以下、「前後正常期間」と称す。)における特徴量に基づいて、例えば、補完指定期間の前後の生体信号または特徴量が、例えば線形的につながるように、特徴量の補完を行う方法である。なお、ここで、時間的に前後の期間は、例えば、予め定められた期間である。
例えば、特徴量補完部18aは、特徴量補完要否判定部18によってアーチファクト期間特徴量を補完すると判定された場合、アーチファクト期間に対応する生体信号の代わりに、過去正常期間または前後正常期間に対応する生体信号を用いて、アーチファクト期間特徴量を補完する。例えば、前後正常期間における特徴量を、アーチファクト期間特徴量の代替値として用いることによって、アーチファクト期間特徴量を補完する。
また、特徴量補完部18aは、アーチファクト期間だけでなく、特徴量情報d2に基づき、ノイズの影響を受けた期間であって特徴量抽出部20によって特徴量を抽出することができなかった期間についても、上述したような特徴量の代替値を用いることによって、その期間における特徴量を補完する。以下、アーチファクト期間特徴量の補完について説明するが、ノイズの影響を受けた期間であって特徴量抽出部20によって特徴量を抽出することができなかった期間における特徴量の補完についても、同様に説明することができる。
また、特徴量補完部18aは、特徴量情報e2に基づき、特徴量記憶部22に記憶されている特徴量、すなわち、正常な生体信号の特徴量、ノイズ除去済み生体信号の特徴量、過去正常期間における特徴量、または前後正常期間における特徴量を、アーチファクト期間特徴量の代替値として用いることによって、アーチファクト期間特徴量を補完する。
また、特徴量補完部18aは、例えば補完に必要な特徴量が不足し代替値がないためアーチファクト期間特徴量の補完ができない期間があるか否か判定する。そして、アーチファクト期間特徴量の補完ができない場合、後述するデータ廃棄部18bと同様に、アーチファクト期間に関するデータを破棄する。
そして、特徴量補完部18aは、補完された特徴量を抽出することができた場合、補完された特徴量に関する情報を、特徴量補完要否判定部18の判定結果gとして、補完・破棄処理済特徴量記憶部24に送る。
なお、特徴量情報gには、例えば、補完された特徴量に対応するR波が発生した時刻の時系列情報が含まれる。また、特徴量情報gには、後述するデータ破棄部18bによってアーチファクト期間に関するデータが破棄された場合、例えば、破棄されたデータの時刻の時系列情報が含まれる。
データ破棄部18bは、特徴量補完要否判定部18によってアーチファクト期間特徴量を補完しないと判定された場合、例えば、アーチファクト期間に対応する生体信号に関するデータを破棄する。
より詳細には、データ破棄部18bは、特徴量補完要否判定部18によって補完しないと判定されたアーチファクト期間に対応する生体信号に関するデータ(以下、「破棄データ」と称す。)を空値のデータに置き換えることによって、破棄する。または、破棄データの値を0に置き換えることによって、破棄してもよいし、破棄データであることを示すフラグをたてることによって、破棄してもよい。
なお、破棄データとして破棄されるデータは、ユーザ等に提供するサービスに応じて、例えば、必要なデータを残してもよい。例えば、破棄した区間のタイムスタンプがとれるように、破棄データに対応する時刻データを破棄することなく残してもよい。
そして、データ破棄部18aは、破棄データおよび破棄しなかった時刻データに関する情報を、特徴量補完要否判定部18の判定結果gとして、補完・破棄処理済特徴量記憶部24に送る。
ここで、特徴量補完要否判定部18によって行われる、特徴量を補完するか否かの判定処理についてより詳細に説明する。
特徴量補完要否判定部18は、例えば、互いに隣接するRRI値のゆらぎに基づき自律神経の活動を推定するために正確な特徴量を必要とする場合、アーチファクト期間特徴量または特徴量抽出部20によってR波を抽出できない期間における特徴量を補完する必要がないと判定する。そして、データ破棄部18bは、これらの期間に対応するデータを破棄する。
一方、特徴量補完要否判定部18は、例えば、ウェアラブルデバイスに搭載されたランニングサポートアプリケーションのように、時間的に連続する特徴量を必要とする場合、アーチファクト期間特徴量または特徴量抽出部20によってR波を抽出できない期間における特徴量を補完するか必要があると判定する。そして、特徴量補完部18aは、これらの期間における特徴量を補完する。
また、特徴量補完要否判定部18は、補完要否判定の対象となる該当期間の状態、すなわち、該当期間に対応する生体信号が正常な生体信号である状態、該当期間にアーチファクトが混入している状態、または該当期間にノイズが混入している状態、に応じて、上述した予め設定されている判定基準を切替えるようにしてもよい。
なお、特徴量補完部18aおよびデータ破棄部18bは、特徴量補完要否判定部18ではなく、例えば、生体信号処理装置10に設けられていてもよい。
生体信号解析処理部30は、特徴量に関する情報hに基づき、対象となる生体信号の解析を行う。
また、本実施形態の生体信号処理システム1は、例えば、磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムや、インターネット等の通信ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるサーバ等のコンピュータによって実現される。
なお、請求項において、生体信号を取得する取得手段は、例えば、生体信号取得部12に対応する。取得された生体信号の任意の期間に、生体信号の成分が一定期間含まれない期間または生体信号の成分が所定の閾値を超える期間に対応する信号であるアーチファクト、および、アーチファクトと異なり且つ特徴量の抽出を阻害するノイズ、のうちの少なくとも1つが混入しているか否かを判定する判定手段は、例えば、アーチファクト判定部14またはノイズ混入状況判定部16に対応する。
また、請求項において、判定手段によってノイズが混入していると判定された場合、ノイズを除去するノイズ除去手段は、例えば、ノイズ除去・低減処理部16aに対応する。ノイズ除去手段によってノイズが除去された期間に対応する生体信号から特徴量を抽出する抽出手段は、例えば、特徴量抽出部20に対応する。
また、請求項において、判定手段によってアーチファクトが混入していると判定された場合、アーチファクトが混入している期間に対応する生体信号を破棄する、または、ノイズおよびアーチファクトの何れも混入していない期間における特徴量を用いて、アーチファクトが混入している期間における特徴量を補完する、補完手段は、例えば、特徴量補完要否判定部18、特徴量補完部18a、またはデータ破棄部18bに対応する。
次に、図10のフローチャートを参照して、生体信号処理装置10による生体信号判定処理手順の一例について説明する。
図10は、本実施形態の生体信号処理装置によって実行される生体信号判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、アーチファクト判定部14によって、生体信号にアーチファクトが混入しているか否か判定される(ステップS30)。
生体信号にアーチファクトが混入していると判定された場合(ステップS30:Yes)、ステップS34に進む。一方、生体信号にアーチファクトが混入していないと判定された場合(ステップS30:No)、例えば、対象となる期間にアーチファクト判定部14によって上述した「アーチファクト」のラベルが付与されていない場合、ノイズ混入状況判定部16によって、生体信号にノイズが混入しているか否か判定される(ステップS32)。
生体信号にノイズが混入していないと判定された場合(ステップS32:No)、ステップS38に進む。一方、生体信号にノイズが混入していると判定された場合(ステップS32:Yes)、ノイズ除去・低減処理部16aによって、ノイズ除去処理が行われ(ステップS36)、その後、ステップS38に進む。
次に、特徴量抽出部20によって、特徴量を抽出できるか否か判定される(ステップS38)。特徴量を抽出できると判定された場合(ステップS38:Yes)、特徴量抽出部20によって特徴量が抽出され、特徴量記憶部22によって、抽出された特徴量が記憶される(ステップS40)。一方、特徴量を抽出できないと判定された場合(ステップS38:No)、ステップS34に進む。
生体信号にアーチファクトが混入していると判定された場合(ステップS30:Yes)、または、特徴量を抽出できないと判定された場合(ステップS38:No)、特徴量補完要否判定部18によって、アーチファクト期間特徴量を補完する必要があるか否か判定される(ステップS34)。
アーチファクト期間特徴量を補完する必要がないと判定された場合(ステップS34:No)、データ破棄部18bによって、アーチファクト期間に対応する生体信号に関するデータが破棄される(ステップS42)。そして、ステップS42の後、ステップS48に進む。
一方、アーチファクト期間における特徴量を補完する必要があると判定された場合(ステップS34:Yes)、特徴量補完部18aによって、アーチファクト期間特徴量が補完される(ステップS44)。
そして、ステップS44の後またはステップS42の後、補完・破棄処理済特徴量記憶部24によって、例えば、ステップS40において記憶された特徴量と補完された特徴量とが合わせて記憶される(ステップS48)。
以上のような本実施形態によって、次のような効果を得ることができる。
生体信号にアーチファクトまたはノイズが混入しているか否かを適切に判定することが可能となる。
例えば、ウェアラブルデバイスを用いて生体信号を計測する場合、ユーザがウェアラブルデバイスを装着している間、継続して生体信号を適切に計測し、計測された生体信号を適切に処理することが可能となる。
また、生体信号が計測されている状況を判定することも可能となる。例えば、アーチファクト期間、および、ノイズの影響が大きく特徴量の抽出が困難な期間について、その期間の前後の期間に対応するデータに基づき、該当期間における特徴量の補完または該当期間に対応するデータの破棄を行うことが可能となる。
これにより、例えば、アーチファクト期間を解析するために必要な計算コストまたは時間コストを低減することが可能となる。また、アーチファクト期間以外のノイズが混入している期間についても、混入したノイズを除去または低減する等の適切な処理を行うことによって、特徴量を抽出することが可能となる。
また、抽出された特徴量を用いて提供されるサービスに応じて、適切な処理を行うことが可能となる。例えば、生体信号として心電を想定した場合、例えば以下のような処理を行うことが可能となる。
ランニングサポートアプリケーション等を使用する場合のように連続的な特徴量を算出する必要がある場合、生体信号の成分を計測できない場合でも、該当する期間の前後の期間において正確に抽出することができた特徴量に基づき、上述したような補完の処理を行うことが可能となる。
また、互いに隣接するRRI値のゆらぎに基づき、自律神経の活動を推測するようなアプリケーションを使用する場合のように厳密なRRI値を抽出する必要がある場合、例えば、該当する期間に対応するデータを解析処理の対象外のデータとすることによって、正確にRRI値を抽出できた期間のみを解析処理の対象とすることが可能となる。
また、生体信号が計測される状況に応じて適切な処理を行うことによって、生体信号の誤検出、過剰な検出、または検出漏れ等を低減することが可能となる。
また、最終的にユーザに提供するサービスの内容に応じて、生体信号の特徴量を適切に抽出することが可能となる。
また、アーチファクトおよびノイズを適切に判定し、それらを適切に処理するによって、抽出される特徴量の精度を向上させるだけでなく、継続的に特徴量を抽出することが可能となる。
例えば、振幅ゼロアーチファクト、振幅大アーチファクト、およびノイズの3つの異常状態、ならびに、正常な生体信号を含む正常状態、を判定することによって、特徴量の抽出の精度を向上させることが可能となる。これにより、ウェアラブルデバイスで計測した生体信号から特徴量を抽出する場合、生体信号を計測している状況が、これらの状態のうちのどの状態に属するか判定することが可能となる。そして、これらの状態を判定し、判定された状態に応じて異なる処理を行うことによって、正確に特徴量を抽出することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。