以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生体信号処理システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に関して説明する前に、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態では、生体信号として心電図等に示される心電を適用した場合について説明する。また、電極の移動や外れ等に起因するような、心電と類似した周波数特性を有するノイズ混入領域を判定し、そのような異常を検出する。
例えば、心電のように類似した波形が繰り返し現れる生体信号を対象とする。なお、このような特徴を有する生体信号から得られる特徴量の値が取りうる範囲は、医学的・生理学的におおよそ知られている。そして、この心電のように周期的な生体信号に混入した同一の周波数帯域に存在するノイズの判定等を行うために、対象となる生体信号を、少なくとも短期期間と長期期間の2つの異なる分析窓幅で分割し、その分析窓を評価する。より詳細には、対象となる生体信号を分割し、分割された生体信号を含む各分析窓における特徴量を算出し、その分析窓を評価する。
また、長期期間の幅を有する分析窓同士を比較することにより大局的な変化を判定し、短期期間の幅を有する分析窓同士を比較することにより、例えば、ノイズが混入しているか否かを示す変化点、その変化の継続性等を判定する。これにより、対象となる生体信号と同一の周波数帯域に存在するノイズが混入している領域を判定し、そのような異常を検出する。このように、大局的な変化、局所的な変化、および変化の連続性の3つの観点から評価を行うことによって、ノイズ混入領域の判定および検出の精度を向上させる。
また、本実施形態では、フィルタリング等の従来のノイズ除去方法またはノイズ低減方法と併用することもできる。
生体信号処理システム1は、生体信号計測デバイス8および生体信号処理装置10を備える。
生体信号計測デバイス8は、生体情報a0を人体等から取得するためのデバイスであり、例えば、ホルター心電計等のウェアラブルデバイスである。具体的には、生体信号計測デバイス8は、心電図等に表示されるような周期性を有する波形を示す心拍、脈拍、呼吸、脳波、または発汗等の生体現象に関する数値等に関する生体情報a0を計測する。
そして、生体信号計測デバイス8は、計測された生体情報a0を生体信号処理装置10に送る。具体的には、生体情報a0を後述する生体信号処理装置10の生体信号取得部9に送る。例えば、生体信号計測デバイス8は、生体信号処理装置10と通信することによって生体情報a0を生体信号処理装置10に送る。
信号処理装置10は、生体信号取得部9の他に、生体信号前処理部11、生体信号分割部12、特徴量算出部13、ノイズ領域判定部14、評価用特徴量記録部15、生体信号解析処理部16、および評価結果一時記録部17を備えてなる。
生体信号処理装置10は、周期性を有する生体信号にノイズが混入しているか否かを判定するための装置あり、生体信号計測デバイス8から取得された生体信号情報a0に基づき、生体情報a0の周期性に関する指標(以下、「周期性指標」と称す。)を用いて、生体情報a0に含まれるノイズの有無を判定する。周期性指標は、少なくとも生体信号の1波分を含む生理指標(以下、「基本指標」と称す。)である。例えば、基本指標は、生体信号が心電である場合、一般の人の心電の少なくとも1波分を含む既知の心拍数等の指標、すなわち最低でも約1.5秒に1波分の心電を含む周期性を有する指標である。また、ノイズは、例えば、図9を参照して上述したようなノイズ種別に示されるようなノイズである。
生体信号取得部9は、生体信号計測デバイス8から取得された生体信号を含む生体情報a0を、生体信号前処理部11および生体信号分割部12に送る。
生体信号前処理部11は、生体信号取得部9から取得された生体信号データaを生体信号分割部12に送る前に、前処理として、生体信号データaに対して、既知のフィルターを用いて除去可能なノイズをフィルタリングするための処理を行う。そして、フィルタリングされた生体信号データa’を生体信号分割部12に送る。
なお、本実施形態では、生体信号前処理部11によるフィルタリングを行わなくてもよい。この場合、生体信号分割部12は、生体信号取得部9から取得された生体信号データaに基づき、後述するような生体信号を分割するための処理を行う。一方、生体信号前処理部11によるフィルタリングは、例えば、本実施形態におけるノイズ判定処理を含む処理の後に行ってもよい。この場合、例えば、生体信号解析処理部16が、後述するノイズ領域判定処理部14等によるノイズ判定処理の後、生体信号前処理部11によるフィルタリングと同等のフィルタリングを行う。
生体信号分割部12は、生体信号取得部9等から取得された生体信号を少なくとも1周期を含む複数の第1の期間毎に分割する。ここで、複数の第1の期間は、ノイズが混入しているか否かの判定の対象となり、複数の第1の期間のうちの何れか1つである判定対象期間を含む。具体的には、生体信号分割部12は、生体信号取得部9から取得された生体信号データa、または、生体信号前処理部11から取得された生体信号データa’に基づき、生体信号データaまたは生体信号データa’を任意間隔(区間)Aで分割する。任意間隔Aは、例えば、基本指標に示される約1.5秒間隔である。そして、分割された生体信号データaまたは分割された生体信号データa’を含む生体信号データbを特徴量算出部13に送る。
特徴量算出部13は、生体信号分割部12から取得された生体信号データbに基づき、任意間隔Aごとに特徴量を算出する。特徴量は、例えば、心電の平均、心電の標準偏差、心電の累積差分であり、詳細は図3を参照して後述する。そして、算出された特徴量を含む生体信号データcをノイズ領域判定部14に送る。
ノイズ領域判定部14は、特徴量算出部13から取得された生体信号データcに基づき、生体信号データcのノイズ領域判定を行う。例えば、特徴量算出部13によって算出された特徴量と、後述する評価用特徴量記録部15に予め記録されている上述したような特徴量に関する情報を含む特徴量情報dと、に基づきノイズ領域判定を行う。より詳細には、例えば、ノイズ領域判定部14は、評価用特徴量記録部15から特徴量情報d2を取得し、取得された特徴量情報d2を用いてノイズ領域判定を行う。そして、ノイズ領域判定結果eを生体信号解析処理部16に送る。ノイズ領域判定結果eは、例えば、任意間隔Aごとに付与される。また、ノイズ領域判定結果eに含まれる特徴量情報d1を評価用特徴量記録部15に記録するために送る。
評価用特徴量記録部15は、ノイズ領域判定部14によるノイズ領域判定を行うために用いられる特徴量情報dを記録している。特徴量情報dは、例えば、過去に行われたノイズ領域判定結果eに含まれる特徴量に関する情報を含む。具体的には、特徴量情報dは、過去にノイズが含まれない領域を含むノイズ非混入領域であると判定された場合、ノイズ非混入領域の特徴量に関する情報を含む。また、評価用特徴量記録部15は、ノイズ領域判定部14から取得された特徴量情報d1を記録する。
生体信号解析処理部16は、ノイズ領域判定部14から取得されたノイズ領域判定結果eに基づき、生体情報a0をより詳細に解析する。
評価結果一時記録部17は、ノイズ領域判定部14によるノイズ領域判定処理の途中において一時的に使用されるノイズ領域判定結果を含むノイズ領域判定結果を含む特徴量情報d3を記録する。なお、評価結果一時記録部17については、図3を参照して詳細に説明する。
ここで、図2を参照して、生体信号分割部12、特徴量算出部13、およびノイズ領域判定部14によるより詳細な処理について説明する。図2は、任意間隔Aと、任意間隔Aよりも長い間隔である任意間隔Bとの関係を説明するための図である。なお、以下、生体信号分割部12が生体信号データaおよび生体信号データa’のうちの生体信号データaを分割する場合について説明する。
生体信号分割部12は、生体情報a0を含む生体信号データaを、任意間隔Aのデータを有する分析窓・短20−1−1,20−1−2,20−1−3,20−1−4,20−1−5,20−1−6、・・・、分析窓・短20−n−1,20−n−2,20−n−3,20−n−4,20−n−5,20−n−6に分割する。ここで、分析窓・短20はそれぞれ生体信号データaの1単位となるパケットとみなすこともできる。なお、図2では、生体情報a0は、例えば、横軸が時間、縦軸が信号強度である生体信号の波形を示している。
そして、j個の分析窓・短20を、任意間隔Bのデータに相当する1つの分析窓・長21とする。ここで、jは自然数であり、任意間隔Bは、例えば、任意間隔Aの整数j倍の値である。図2では、一例として、jが6である場合を示している。具体的には、分析窓・短20−1−1,20−1−2,20−1−3,20−1−4,20−1−5,20−1−6が、分析窓・長21−1に対応する。同様に、分析窓・短20−n−1,20−n−2,20−n−3,20−n−4,20−n−5,20−n−6が、分析窓・長21−nに対応する。
そして、特徴量算出部13は、分析窓・短20の各々に対して特徴量(以下、「第1の特徴量」とも称する)を算出する。また、1つの分析窓・長21を1単位として特徴量(以下、「第2の特徴量」とも称する)を算出する。この場合、任意間隔Bが任意間隔Aの整数倍jであるため、特徴量算出部13は、分析窓・短20に対して算出された第1の特徴量に基づき、分析窓・長21の第2の特徴量を算出する。
例えば、特徴量算出部13は、分析窓・短20−1−1,20−1−2,20−1−3,20−1−4,20−1−5,20−1−6に対して、この順に第1の特徴量をそれぞれ算出する。そして、分析窓・短20−1−6の第1の特徴量の算出が完了した場合、すなわち、任意間隔Bに相当するデータが蓄積された場合、分析窓・長20−1の第2の特徴量を算出する。例えば、分析窓・短20−1−1,20−1−2,20−1−3,20−1−4,20−1−5,20−1−6の各々に対して算出された第1の特徴量を加算等することによって、分析窓・長20−1に対する第2の特徴量を算出する。そして、算出された分析窓・長20−1の第2の特徴量をノイズ領域判定部14に送る。ノイズ領域判定部14は、特徴量算出部13から取得した分析窓・長20−1の第2の特徴量に対してノイズ領域判定を行う。
次に、図3を参照して、生体信号処理装置10のより詳細な構成例について説明する。図3は、生体信号処理装置10の詳細な構成例を示すブロック図である。なお、図1を参照して説明した構成および内容については説明を省略する。
特徴量算出部13は、特徴量算出部13aおよび特徴量算出部13bを備える。
また、ノイズ領域判定部14は、長期判定部30、短期判定部31、中期判定部32a、中期判定部32b、条件総合判定部33、およびノイズ判定部34を備える。
まず、図3における生体信号判定について簡単に説明する。図3では、大きく5つの生体信号判定が行われる。
1つ目の判定は、基本指標に相当する任意間隔Aに対する局所的な異常検出のための判定である(短期判定部31による判定に対応する)。
2つ目の判定は、局所的な異常検出では検出できない任意間隔Bに対する大局的な異常検出のための判定である(長期判定部30による判定に対応する)。2つ目の判定では、1波分よりも長い異常、例えば小さい異常で長く継続するような異常を検出する。
3つ目の判定は、任意間隔Aよりも長く任意間隔Bよりも短い任意間隔Cに対する局所的より広い視点において、異常を検出するための判定である(短期判定部31による判定に対応する)。
4つ目の判定は、任意間隔Cよりも長く任意間隔Bよりも短い任意間隔Dに対して、確からしいデータ、すなわちノイズ非混入領域に対応するデータに関する中期的な視点において、異常を検出するための判定である(中期判定部32aによる判定に対応する)。
5つ目の判定は、異常が検出された後、正常な状態に復帰した場合、以前の正常な状態と異なる別の正常な状態である場合を考慮し、異常を検出するための判定である(中期判定部32bによる判定に対応する)。
生体信号分割部12は、生体信号取得部9から取得された生体情報a0を含む生体信号データaを任意間隔Aで分割する。例えば、図3に示すように、生体信号データaを7つの分析窓・短20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6,20−7に分割する。この任意間隔A、すなわち分割幅は、上述した基本指標に基づいて決定する。このように、生体信号データaを任意間隔Aで分割することによって、分析窓・短20の少なくとも1つに後述するR波に関する生体信号の情報を含める。また、例えば、分析窓・短20を最小評価単位とし、ノイズが混入しているノイズ混入領域であると判定された分析窓・短20に含まれる全ての生体信号データaをノイズ混入領域とみなす。
特徴量算出部13aは、分割された生体信号の各々に対して、分割された各々の生体信号の強度の平均値を含む統計的な第1の特徴量を算出する。具体的には、任意間隔Aごとに、すなわち分析窓・短20ごとに前述した第1の特徴量を算出する。そして、算出された任意間隔Aごとの特徴量α,β,γを含む生体信号データc1を特徴量算出部13bおよび短期判定部31に送る。また、中期判定選択部35を介して生体信号データc1を中期判定部32aまたは中期判定部32bに送る。第1の特徴量は、例えば、生体情報a0の大きさを示す特徴量α、生体情報a0のばらつきを示す特徴量β、または生体情報a0の推移量を示す特徴量γである。そして、特徴量算出部13aは、分析窓・短20の各々に関して、特徴量α,β,γを算出する。
特徴量算出部13bは、第1の特徴量を用いて、上記複数の第1の期間を含んでなる第2の期間における生体信号の第2の特徴量を算出する。例えば、第2の期間は、第1の期間の整数倍の期間である。具体的には、生体情報a0を大局的に評価するために、任意間隔Bごとに、すなわち分析窓・長21ごとに第2の特徴量を算出する。なお、任意間隔Bは、上述したように任意間隔Aの自然数j倍の値である。具体的には、特徴量算出部13aによる任意間隔Aの特徴量の算出処理が完了した分析窓・短20の個数が任意間隔Bに相当する量に達するごとに、対象範囲に存在する分析窓・長21の特徴量α,β,γの平均および標準偏差を算出する。そして、算出された任意間隔Bごとの特徴量α,β,γを含む生体信号データc2を長期判定部30に送る。
ここで、特徴量算出部13aによって算出される任意間隔Aの第1の特徴量、および特徴量算出部13bによって算出される任意間隔Bの第2の特徴量について詳細に説明する。
ここでは、生体情報a0として心電情報に関して説明する。まず、心電情報の特徴として、例えば、以下の5つの特徴がある。
1つ目の特徴は、心電に繰り返し現れる波形の1つとして、心室の収縮(脱分極)による電気活動であるQRS群(R波)があり、心拍間隔は隣接するR波の間隔から算出されるという特徴である。
2つ目の特徴は、一般の人の心拍数は例えば40〜240(bpm)であり(例えば、非特許文献1を参照)、すなわち、0.25〜1.5(sec)に1回はQRS群が計測されるという特徴である。
3つ目の特徴は、一般の人とは異なるアスリート等の心拍数、いわゆる「スポーツ心臓」を持つ人の心拍数が40(bpm)よりも低い場合でも正常であるという特徴である。例えば、最も低い心拍数(Lowest−heart−rate)のギネス記録は27(bpm)である(例えば、非特許文献2参照)。そのため、最低でも2.3(sec)に1回はQRS群が計測されるという特徴である。
4つ目の特徴は、3.0(sec)以上QRS群が計測されない場合、洞停止とみなされるという特徴である(例えば、非特許文献3参照)。
5つ目の特徴は、心電は類似した波形が繰り返し出現する生体信号である。そのため、任意間隔ごとに心電図を区切り、任意間隔ごとに評価する場合、対象となる心電の周波数特性と類似または同一の周波数特性、例えば類似または同一の周波数帯域、を有するノイズ(以下、「類似周波数特性ノイズ」と称す。)が混入していない理想的な状態であれば、心電位の大きさ、ばらつき、および波形の推移量はどの任意間隔の領域でも近しい値を得るという特徴である。
そして、本実施形態では、これら5つの心電情報の特徴に基づき、心電情報以外の生体情報a0にも適用可能な特徴量α,β,γを算出する。なお、ここでは、心電情報に関して説明する。
特徴量αは、分析窓・短20および分析窓・長21に含まれる心電の絶対値の平均値である。なお、上述した5つの特徴に関して「心電波形の大きさ」の大小関係を表現可能な正の値であれば、心電の絶対値の平均値以外の値を特徴量αとしてもよい。特徴量αを用いることによって、例えば、心電の電位の大きさに基づき、類似周波数特性ノイズを検出することができる。
特徴量βは、分析窓・短20および分析窓・長21に含まれる心電情報に関して算出される標準偏差である。なお、上述した5つの特徴に関して「心電波形のばらつき」を表現可能な値であれば、例えば一定間隔ごとに算出可能な分散値等の統計量を特徴量βとしてもよい。特徴量βを用いることによって、例えば、分析窓・短20または分析窓・長21に類似周波数特性ノイズが含まれている場合、特徴量αのような平均値から外れた値を示す心電データの数、または、その平均値からの外れ量を評価することができる。そのため、例えば、心電の電位のばらつきに基づき、類似周波数特性ノイズを検出することができる。
特徴量γは、分析窓・短20および分析窓・長21に含まれる心電情報に関して算出される累積差分である。なお、上述した5つの特徴に関して「心電波形の推移量」を表現可能な値であれば、例えば一定間隔ごとに算出可能な移動平均等の統計量を特徴量γとしてもよい。特徴量γを用いることによって、例えば、値が小さく長期的に発生し、局所的には検出が困難な異常を評価することができる。そのため、例えば、心電の電位の推移量に基づき、類似周波数特性ノイズを検出することができる。また、例えば、生体信号前処理部11によるフィルタリングを行っても除去できない基線変動等を検出することもできる。
次に、長期判定部30は、上記第2の特徴量が、判定対象期間を含む上記第2の期間よりも時間的に後に位置する第2の期間における生体信号の第2の特徴量よりも小さい第2の所定の範囲内に収まっているか否かを判定する。ここで、長期判定部30は、第2の特徴量が、第2の所定の範囲内に収まっていないと判定した場合、上記判定対象期間を前記ノイズ混入期間とみなす。
具体的には、特徴量算出部13bから得られた生体信号データc2に基づき、大局的な異常を評価するための判定(以下、「長期判定」と称す。)を行う。具体的には、2つの隣接する分析窓・長21の特徴量α,β,γを用いて、条件Xを満たすか否かを判定する。以下、平均値をμ、標準偏差をσで表す。条件Xは、数式(1)によって表される。
ここで、kは1以上の任意の実数である。また、nはn番目の分析窓・長21−nを意味する。添字longWindow[n]は、n番目の分析窓・長21に関して算出された値を意味する。
そして、長期判定部30は、条件Xを満たすと判定された場合、分析窓・長21−nに対応する生体情報a0に関するデータの値(以下、「分析窓・長データ値」と称す。)が、大局的に見て所定の範囲内の値に収まっているとみなし、正常なデータであると判定する。そして、条件Xを満たすと判定された分析窓・長21−nの特徴量α,β,γを算出するために用いた全ての分析窓・短20にTRUElongWindowを付与する。例えば、図3に示すような分析窓・長21の特徴量α,β,γを算出するために分析窓・短20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6,20−7を用いた場合、分析窓・短20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6,20−7の各々にTRUElongWindowを付与する。TRUElongWindowは、それが付与された分析窓・短20に含まれるデータが正常であること、すなわちTRUElongWindowが付与された分析窓・短20がノイズ非混入領域であることを意味する。
一方、長期判定部30は、条件Xを満たさないと判定された場合、分析窓・長21−nに類似周波数特性ノイズ等のノイズが混入しているとみなす。つまり、対象となる分析窓・長21に対応する特徴量α,β,γが大局的にみてある範囲内に値が収まっていれば正常である判定することを意味する。そして、条件Xを満たさないと判定された分析窓・長21−nの特徴量α,β,γを算出するために用いた全ての分析窓・短20にFALSElongWindowを付与する。例えば、図3に示すような分析窓・長21の特徴量α,β,γを算出するために分析窓・短20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6,20−7を用いた場合、分析窓・短20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6,20−7の各々にFALSElongWindowを付与する。FALSElongWindowは、それが付与された分析窓・短20に含まれるデータが異常であること、すなわちFALSElongWindowが付与された分析窓・短20がノイズ混入領域であることを意味する。
このように、長期判定部30は、周期的に同等の動きを有する生体情報a0であれば、分析窓・長データ値が所定の範囲内の値に収まることを利用して、分析窓・長21に対する大局的な評価を行う。そして、長期判定部30は、その判定結果である長期判定結果fを条件総合判定部33に送る。
次に、短期判定部31は、上記判定対象期間を少なくとも含み、さらに、判定対象期間および判定対象期間よりも時間的に前に位置する第1の期間および判定対象期間よりも時間的に後に位置する第1の期間のうちの少なくとも1つを含むか、または、判定対象期間のみからなり、かつ、上記第2の期間よりも短い、第3の期間における生体信号の第3の特徴量よりも小さい第1の所定の範囲内に、判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が収まっているか否かを判定する。ここで、短期判定部31は、判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第1の所定の範囲内に収まっていないと判定した場合、判定対象期間を、ノイズが混入しているノイズ混入期間とみなす。
具体的には、特徴量算出部13aから得られた生体信号データc1に基づき、局所的な類似周波数特性ノイズの混入領域を評価するための判定(以下、「短期判定」と称す。)を行う。例えば、長期判定部30によって類似周波数特性ノイズを検出することが困難な場合、つまり類似周波数特性ノイズが混入している場合でも長期判定部30によって類似周波数特性ノイズが混入していないと判定されるような場合、短期判定部31によって短期判定が行われる。なお、局所的とは、例えば、分析窓・長21を構成する分析窓・短20のうちの1つに類似周波数特性ノイズが含まれる場合を意味する。
具体的には、短期判定は、被評価分析窓に関して「±任意間隔C」の範囲に存在する分析窓(以下、「評価分析窓」と称す。)を評価のために用いる判定である。つまり、大局的な異常を検出する長期判定に用いる任意間隔Bよりも短い任意間隔Cの範囲において、異常を検出することを意味する。なお、Cは、0を含む整数である。また、Cを0とした場合、短期判定部31による短期判定は、図3の説明の始めに説明した1つ目の判定に相当する。また、被評価分析窓は、例えば、分析窓・短20のうちの1つである。
より詳細には、生体情報a0として心電情報を用いる場合、上述した心電情報の4つ目の特徴に示すように、洞停止とみなされる判定基準に基づいて任意間隔Cを3.0(sec)とする。この場合、アスリート等のスポーツ心臓を測定対象とする場合でも、被評価分析窓の前後の任意間隔Cに少なくとも1回はR波に関連する成分が含まれる。そのため、R波を含む分析窓・窓20とR波を含まない分析窓・窓20が交互に連続して存在する場合でも、R波を含む分析窓・窓20とR波を含まない分析窓・窓20との何れかに対するノイズ混入領域であると誤判定することを抑制することができる。
より詳細には、短期判定部31は、生体信号データc1に含まれる分析窓・短20の各々の第1の特徴量α,β,γを用いて、数式(2)に示すような条件Yを満たすか否かを判定する。
数式(2)は、被評価分析窓の特徴量α,β,γが、各評価分析窓の特徴量α,β,γのL倍以下であることを意味する。なお、Lは1以上の任意の実数である。また、jは、j番目の分析窓・短を意味する。なお、ここで、jは、1つの分析窓・長21に含まれる複数の分析窓・短20のうちのj番目の分析窓・短20を意味する。また、CumulativeDiffは、特徴量γに対応する累積差分の値を意味する。
そして、短期判定部31は、全ての評価分析窓に対して条件Yを満たすと判定された場合、対応する被評価分析窓にTRUElocal(±C[s])を付与する。一方、短期判定部31は、条件Yを満たさないと判定された場合、例えば、条件Yを満たさない評価分析窓が1個以上存在する場合、対応する被評価分析窓にFALSElocal(±C[s])を付与する。
なお、条件Yとして、特徴量αに関しては、数式(2−1)を用い、特徴量βに関しては、数式(2−2)を用い、特徴量γに関しては、数式(2−3)を用いる。
短期判定部31は、仮にノイズが混入していない場合を想定した場合、被評価分析窓における特徴量と評価分析窓における特徴量は、特徴量α,β,γの各々で極端な差はない。そのため、例えば、各評価分析窓において算出される特徴量α,β,γの何れか1つでも、被評価分析窓における対応する特徴量α,β,γとの差が既定の範囲内に収まらない場合、その被評価分析窓にFALSElocal(±C[s])を付与する。
そして、短期判定部31は、TRUElocal(±C[s])またはFALSElocal(±C[s])が付与された各被評価分析窓に関する情報を含む判定結果gを条件総合判定部33および評価結果一時記録部17に送る。
このような短期判定部31による短期判定処理は、長期判定部30による長期判定処理では異常の検出が困難な場合でも、例えば、分析窓・長21の範囲内に半数以下にしか異常がないような場合でも、分析窓・短20の特徴量とその分析窓・短20の前後の任意間隔Cの特徴量とを比較することによって異常を検出することができる。
評価結果一時記録部17は、後述する中期判定選択部35によって使用するために、判定結果gを一時的に記録する。そして、例えば、中期判定選択部35からの要求に応じて、評価結果一時記録部17に記録されている判定結果gを含む特徴量情報d3を中期判定選択部35に送る。
評価用特徴量記録部15は、後述する中期判定部32aによる判定結果を含む特徴量情報d4を中期判定部32aから取得する。また、後述する中期判定部32bによる判定結果を含む特徴量情報d5を中期判定部32bから取得する。そして、例えば中期判定選択部35からの要求に応じて、特徴量情報d4または特徴量情報d5の何れかを含む特徴量情報d6を、中期判定選択部35に送る。
より詳細には、評価用特徴量記録部15は、中期判定部32aによる中期判定のために、「異常なし」と判定されたデータ、例えばTRUEが付与されているデータを保持する。また、例えば、中期判定部選択部35によって中期判定部32bが選択され、中期判定部32bによって中期判定が行われた場合、後述する第1の選択判定情報、第2の選択判定情報、および第3の選択判定情報が、特徴量情報d4として中期判定部32bから評価用特徴量記録部15に送られる。そして、評価用特徴量記録部15は、これらの第1の選択判定情報、第2の選択判定情報、および第3の選択判定情報を保持する。
中期判定選択部35は、評価結果一時記録部17から取得される特徴量情報d3、および、評価用特徴量記録部15から取得される特徴量情報d6に基づき、特徴量算出部13aから取得される生体信号データc1に対して、後述する中期判定部32aと中期判定部32bとの何れにおいて中期判定を行うか否かを判定し、中期判定部32aと中期判定部32bとの何れを選択する。なお、中期判定は、後述するような条件Zを判定条件とする判定であり、詳細については後述する。
例えば、中期判定選択部35は、中期判定部32aによって既に行われた中期判定のうち直近に行われた中期判定の結果、すなわち評価を行う対象となっている現在の生体信号データc1(以下、「現在の生体信号データc」と称す。)よりも1つ前に対象となった生体信号データc(以下、「過去の生体信号データc0」と称す。)に対して行われた中期判定の結果を含む特徴量情報d4(第1の選択判定情報)を、評価用特徴量記録部15から特徴量情報d6として取得する。また、短期判定部31によって既に行われた短期判定のうち直近に行われた短期判定の結果、すなわち過去の生体信号データc0に対して行われた短期判定の判定結果g(第2の選択判定情報取)を、評価結果一時記録部17から特徴量情報d7として取得する。また、現在の生体信号データcに対して行われた短期判定の判定結果g(第3の選択判定情報)を、評価結果一時記録部17から特徴量情報d7として取得する。
そして、中期判定選択部35は、例えば、第1の選択判定情報、第2の選択判定情報、および第3の選択判定情報の何れにもノイズが混入されていないこと、すなわちTRUEが付与されていた場合、中期判定部32aを選択する。一方、第1の選択判定情報、第2の選択判定情報、および第3の選択判定情報の何れかにノイズが混入されていること、すなわちFALSEが付与されていた場合、中期判定部32bを選択する。
次に、中期判定部32aおよび中期判定部32bについて説明する。短期判定部31による短期判定では、ノイズが混合している異常なデータ同士が比較され、異常を検出できない場合がある。そのため、中期判定部32aおよび中期判定部32bは、ノイズが混合していないデータ、つまり異常でない正常なデータを用いて中期判定を行う。例えば、評価用特徴量記録部15に記録されているTrueが付与された過去のデータを用いて、中期判定を行うことによって異常を検出する。
また、中期判定部32aおよび中期判定部32bは、ノイズ混入領域の変化の連続性に関する評価を行う。例えば、類似周波数特性ノイズが長期に渡って混入している場合、短期判定部31は、ノイズが混入する開始地点を意味するノイズ混入開始領域と、終了地点を意味するノイズ混入終了領域を判定するが、その間の区間における類似周波数特性ノイズの混入可否を判定しない場合がある。
そこで、中期判定部32aは、上記判定対象期間に対して時間的に直前に位置する第1の期間を含むように、判定対象期間よりも時間的に前に位置する連続した1つまたは複数の第1の期間を含んでなり、上記第3の期間よりも長い第4の期間の中に、短期判定部31によって以前にノイズ混入期間とみなされた判定対象期間が存在しない場合、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第4の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低いか否かを判定する。ここで、中期判定部32aは、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第4の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低くないと判定した場合、現在の判定対象期間を前記ノイズ混入期間とみなす。
具体的には、中期判定部32aは、分析窓・短20等の被評価分析窓から連続する特徴量情報、すなわち分析窓・短20に例えば時間的に連続する任意間隔Dに存在する分析窓に対応する特徴量情報、例えば評価用特徴量記録部15に保存されている特徴量情報を用い、被評価分析窓に対応する特徴量が、数式(3)に示すような条件Z1を満たすか否かを判定することによって、被評価分析窓を評価する。
数式(3)において、m=D/Aであり、kは1以上の任意の実数である。ここで、Dは、例えば任意間隔Dに対応する時間であり、Aは、例えば任意間隔Aに対応する時間である。また、数式(3)の右辺の第1項は、異常がない特徴量情報のうちの平均値に関する情報の平均値に相当する。数式(3)の右辺の第2項は、異常がない特徴量情報のうちの標準偏差値に関する情報の平均値に相当する。
また、任意間隔Dを任意間隔Cの整数倍にすることによって、上述したようなスポーツ心臓に対して測定される生体情報a0を想定した場合でも、異常を検出できる。
そして、中期判定部32aは、全ての評価分析窓に対して条件Z1を満たす場合、例えば、任意間隔Dを、任意間隔Dのうち、任意間隔D1と、任意間隔D1よりも大きい任意間隔D2とに関して数式(3)を満たす場合、対象となる被評価分析窓にTRUElocal(cont)を付与する。一方、条件Z1を満たさない場合が1回以上存在する場合、対象となる被評価分析窓にFALSElocal(cont)を付与する。なお、数式(3)における不等号の左辺が被評価分析窓に相当し、数式(3)における不等号の右辺が評価分析窓に相当する。
そして、中期判定部32aは、中期判定の判定結果h1を条件総合判定部33に送る。また、判定結果h1を含む特徴量情報d4を評価用特徴量記録部15に送る。
なお、中期判定部32aは、例えば、所定の被評価分析窓から任意区間Dに存在する分析窓・短20等の評価分析窓にFALSElocal(±C[s])またはFALSElocal(cont)が付与されている場合、その所定の被評価分析窓から時間的に遡及してm個のTRUElocal(±C[s])またはTRUElocal(cont)が付与されている分析窓・短20等の分析窓に関する情報を特徴量情報d4として、他の所定の被評価分析窓を評価するために用いるために、評価用特徴量記録部15に送り、評価用特徴量記録部15に記録させる。
例えば、中期判定部32aまたは評価用特徴量記録部15は、評価用特徴量記録部15に記録されている複数の評価分析窓の集合からFALSElocal(±C[s])またはFALSElocal(cont)となった評価分析窓を除く。そして、その集合以外の評価分析窓でTRUElocal(±C[s])またはTRUElocal(cont)が付与されている評価分析窓の集合のうち、最も時間的に古い評価分析窓から時間的に新しい評価分析窓を、順に、TRUElocal(±C[s])またはTRUElocal(cont)が付与されている評価分析窓の集合に取り込む。これにより、評価用分析窓に関するデータの不足分を補うことできる。
このように、中期判定部32aは、異常がないデータを用いて中期判定の比較等を行うことによって、被評価対象窓に異常があるか否かを判定する。
次に、中期判定部32bについて説明する。例えば、生体信号計測デバイス8によって生体情報a0が計測されている間、生体信号計測デバイス8に備えられた電極のずれ等が生じることによって、電極のずれ等が生じる前に計測された生体情報a0が示す値(以下、「変化前生体情報値」と称す。)の範囲内で、電極がずれた後に計測される生体情報a0が示す値(以下、「変化後生体情報値」と称す。)が、再び安定するとは限らない。そのため、中期判定部32bは、中期判定部32aよりも緩い条件Z2を用いて評価を行う。そして、中期判定部32bによる評価を行うことによって、例えば、変化前生体情報値に関する正常な値を含む領域が、変化前生体情報値に関する正常な値と異なる値を正常な値とする領域に変化した場合でも、例えば異常を誤検出等することなく、正常に異常を検出できる状態に復帰することができる。
中期判定部32bは、上記第4の期間の中に短期判定部31によって以前にノイズ混入期間とみなされた判定対象期間が存在する場合、この判定対象期間を除く以前の判定対象期間と、第4の期間よりも時間的に前に位置し、以前にノイズ混入期間とみなされていない判定対象期間とからなり、第4の期間と同じ期間幅を有する第5の期間に関して、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第5の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低いか否かを判定する。ここで、中期判定部32bは、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第5の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低くないと判定した場合、この判定対象期間をノイズ混入期間とみなす。
具体的には、中期判定部32bは、例えば、短期判定部31の判定結果gまたは過去の生体信号データc0に対する中期判定部32aの判定結果h1を含む特徴量情報d4にFALSEが付与されている場合、中期判定部32aによる中期判定の処理の代わりに中期判定を行う。
より詳細には、中期判定部32bは、現在の生体信号データcよりも後に評価の対象となる生体信号データc(以下、「未来の生体信号データc」と称す。)に対する判定結果等を含む評価結果がTRUEになるまで、数式(4)に示す条件Z2に基づいて、上述したような変化の連続性に関する評価を行うために、中期判定を行う。
なお、中期判定部32bは、所定の被評価分析窓から時間的に遡及してm個のTRUElocal(±C[s])またはTRUElocal(cont)が付与されている分析窓・短20等の分析窓に関する情報を特徴量情報d5として、他の所定の被評価分析窓を評価するために用いるために、評価用特徴量記録部15に送り、評価用特徴量記録部15に記録させる。
そして、中期判定部32bは、中期判定の判定結果h2を条件総合判定部33に送る。また、判定結果h2を含む特徴量情報d5を評価用特徴量記録部15に送る。
数式(4)において、数式(3)と同様にm=D/Aであり、kおよびwは1以上の任意の実数である。ここで、Dは、例えば任意間隔Dに対応する時間であり、Aは、例えば任意間隔Aに対応する時間である。また、数式(4)の右辺の第1項は、異常がない特徴量情報のうちの平均値に関する情報の平均値に相当する。数式(3)の右辺の第2項は、異常がない特徴量情報うちの標準偏差値に関する情報の平均値に相当する。
例えば、上述したように、電極ずれが生じ、その電極が別の場所で再度固定されたような場合、すなわち、変化前生体情報値の電位と異なる電位で安定的に変化後生体情報値として生体信号を取得できるようになった場合、電極がずれる前と同等の電位で生体信号を取得できない場合がある。そのため、中期判定部32bは、数式(3)の右辺の第2項の標準偏差値の平均値の重みを意味する係数kをw倍した数式(4)を条件Z2とすることによって、上述したような正常な状態へ復帰することができる。
数式(4)を用いることによって、正常値であるとみなす範囲が広くなり、正常な状態であるか否かの判定条件を緩和することができる。そして、異常な状態から復帰したことの検出漏れを抑制することもできる。
また、短期判定部31または中期判定部32aによって被評価対象窓にFALSEが付与されている場合、異常な値との照合を回避できる、すなわち、異常な値同士による比較が行われ、誤判定を回避することができる。
なお、長期判定部30、短期判定部31、および、中期判定部32aまたは中期判定部32b、による各判定処理は、図3に示すように特徴量α,β,γの全てに関して、特徴量αに関する判定処理29a、特徴量βに関する判定処理29b、および特徴量γに関する判定処理29cを行う。なお、数式(1)乃至数式(4)は、特徴量αとして平均値に関する数式を示しているが、他の特徴量β、γに関しても、数式(1)乃至数式(4)と同様な数式を用いることによって判定し得る。
次に、条件総合判定部33について説明する。
条件総合判定部33は、長期判定部30、短期判定部31、および、中期判定部32aまたは中期判定部32bによって、判定対象期間がノイズ混入期間とみなされた回数に応じて、判定対象期間にノイズが混入しているか否かを判定する。例えば、ノイズ混入期間とみなされた回数が1回以上存在する場合、判定対象期間にノイズが混入していると判定する。具体的には、長期判定部30から取得された判定結果f、短期判定部31から取得された判定結果g、および、中期判定部32aから取得された判定結果h1または中期判定部32bから取得された判定結果h2、に基づき、各特徴量における異常検出の総合判定を行う。
例えば、条件総合判定部33は、所定の被評価分析窓ついて、特徴量α,β,γの各々に関して、これらの各判定結果に1つ以上のFALSEが付与されている場合、その所定の被評価分析窓に対してFALSE(特徴量名)を付与する。一方、例えば、これらの各判定結果の全てにTRUEが付与されている場合、その所定の被評価分析窓に対してTRUE(特徴量名)を付与する。なお、条件総合判定部33による総合判定の詳細については、図4を参照して後述する。
そして、条件総合判定部33は、総合判定結果rをノイズ判定部34に送る。
また、条件総合判定部33は、例えば、TRUE(特徴量名)が付与された場合、TRUE(特徴量名)が付与された総合判定結果rを含む特徴量情報d7を評価用特徴量記録部15に送る。この場合、評価用特徴量記録部15は、条件総合判定部33から取得されたTRUE(特徴量名)が付与された総合判定結果rを含む特徴量情報d7を、時間的に最も新しいデータとして、評価用特徴量記録部15に保存されている時間的に最も古い特徴量情報dに関するデータと、置き換える。
ノイズ判定部34は、受件総合判定部33から取得された総合判定結果rに基づき、各領域、すなわち分析窓・短20の各々に関して、分析窓・短20の各々がノイズ混入領域であるか否かを判定し、分析窓・短20が異常な領域であるか否かを判定し評価するための最終判定を行う。
例えば、ノイズ判定部34は、特徴量α,β,γの全てに関する総合判定結果rを取得した場合、最終判定を行う。例えば、各特徴量α,β,γの何れか1つの総合判定結果rにFALSE(特徴量)が付与されている場合、評価対象の分析窓・短20がノイズ混入領域であると判定する。そして、ノイズ判定部34は、その判定結果をノイズ領域判定結果eとして生体信号解析処理部16に出力する。
ノイズ領域判定結果eは、例えば、分析窓・短20等の各生体信号領域がノイズ非混入領域37またはノイズ混入領域36の何れであるかを示す判定結果、すなわち、各分析窓・短20に対して、TRUEが付与された判定結果(以下、「TRUE判定結果」と称す。)またはFALSEが付与された判定結果(以下、「FALSE判定結果」と称す。)の何れであるかを示す判定結果を含む。
具体的には、図3では、ノイズ領域判定結果eは、分析窓・短20−1,20−2,20−3はノイズ非混入領域37であり、分析窓・短20−4,20−5,20−6,20−7はノイズ混入領域36であることを示している。
なお、上述した条件総合判定部33による総合判定またはノイズ判定部34による最終判定において、1つ以上のFALSEの有無を判定の基準にするのではなく、FALSEが付与された個数を基準にして、総合判定または最終判定を行ってもよい。
また、本実施形態の生体信号処理システム1は、例えば、磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムや、インターネット等の通信ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるサーバ等のコンピュータによって実現される。
なお、請求項において、生体信号を取得する取得手段は、例えば、生体信号取得部9に対応する。取得された生体信号を少なくとも1周期を含む複数の第1の期間毎に分割する分割手段は、例えば、生体信号分割部12に対応する。分割された生体信号の各々に対して、分割された各々の生体信号の強度の平均値を含む統計的な第1の特徴量を算出する第1の算出手段は、例えば、特徴量算出部13aに対応する。第1の特徴量を用いて、複数の第1の期間を含んでなる第2の期間における生体信号の第2の特徴量を算出する第2の算出手段は、例えば、特徴量算出部13bに対応する。判定対象期間を少なくとも含み、さらに、判定対象期間および判定対象期間よりも時間的に前に位置する第1の期間および判定対象期間よりも時間的に後に位置する第1の期間のうちの少なくとも1つを含むか、または、判定対象期間のみからなり、かつ、第2の期間よりも短い、第3の期間における生体信号の第3の特徴量よりも小さい第1の所定の範囲内に、判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が収まっているか否かを判定する第1の判定手段は、例えば、短期判定部31に対応する。第2の特徴量が、判定対象期間を含む第2の期間よりも時間的に後に位置する第2の期間における生体信号の第2の特徴量よりも小さい第2の所定の範囲内に収まっているか否かを判定する第2の判定手段は、例えば、長期判定部30に対応する。判定対象期間に対して時間的に直前に位置する第1の期間を含むように、判定対象期間よりも時間的に前に位置する連続した1つまたは複数の第1の期間を含んでなり、第3の期間よりも長い第4の期間の中に、第1の判定手段によって以前にノイズ混入期間とみなされた判定対象期間が存在しない場合、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第4の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低いか否かを判定する第3の判定手段は、例えば、中期判定部32aに対応する。第4の期間の中に第1の判定手段によって以前にノイズ混入期間とみなされた判定対象期間が存在する場合、この判定対象期間を除く以前の判定対象期間と、第4の期間よりも時間的に前に位置し、以前にノイズ混入期間とみなされていない判定対象期間とからなり、第4の期間と同じ期間幅を有する第5の期間に関して、現在の判定対象期間における生体信号の第1の特徴量が、第5の期間における生体信号の特徴量の平均値よりも低いか否かを判定する第4の判定手段は、例えば、中期判定部32bに対応する。第1の判定手段、第2の判定手段、および、第3の判定手段または第4の判定手段によって、判定対象期間がノイズ混入期間とみなされた回数に応じて、判定対象期間にノイズが混入しているか否かを判定する総合判定手段は、例えば、条件総合判定部33に対応する。
次に、図4を参照して、条件総合判定部33による総合判定の詳細について説明する。図4は、各条件と総合判定結果rとの関係を示した図である。
総合判定は、例えば、図4に示すように、各条件がAnd条件を満たすか否かを判定する。
Data#(j)は、j番目の分析窓・短20を示している。例えば、「1:1−300」は1番目の分析窓・短20−1に関するデータを示している。そして、1−300は、例えば、1番目の分析窓・短20−1における生体信号のサンプリング番号を示している。
そして、総合判定結果rを示している総合判定項目、条件Xの判定結果を示している条件X項目、条件Yの判定結果を示している条件Y項目、および条件Zの判定結果を示している条件Z項目、の各々において、各Data#(j)に対応するように、TRUE判定結果またはFALSE判定結果を示している。
例えば、「2:301−600」は2番目の分析窓・短20−2に関するデータを示しており、条件X項目、条件Y項目、および条件Z項目の何れにおいてもTRUE判定結果であることを示している。したがって、And条件を満たすため、総合判定結果r項目には、TRUE判定結果であることが示されている。
一方、例えば、「5:1201−1500」は5番目の分析窓・短20−5に関するデータを示しており、条件X項目は、TRUE判定結果であることを示しており、条件Y項目および条件Z項目は、FALSE判定結果がであることを示している。したがって、And条件を満たさないため、総合判定結果r項目には、FALSE判定結果であることが示されている。
なお、条件Z項目は、条件Z1または条件Z2に関する判定結果を示している。
次に、図5を参照して、各条件の詳細について説明する。図5では、条件X、条件Y、および条件Z(条件Z1)に関する内容を示している。
図5には、条件項目、解析窓幅項目、比較対象項目、検出内容項目、および条件式項目が示されている。
条件項目は、各条件を識別するための識別子等の名称を示している。
解析窓幅項目は、各条件において用いられる評価対象窓の時間的な幅を、各条件に対応するように、示している。例えば、条件Xは、長期的な幅に関する解析を行う場合に用いられる。一方、条件Yは、短期的な幅に関する解析を行う場合に用いられる。また、条件Zは、中期的な幅に関する解析を行う場合に用いられる。
比較対象項目は、各条件に対応するように、被評価対象窓、例えば分析窓・短20と比較される評価対象窓の内容を示している。
条件Xに関して、被評価対象窓に対して、隣接する評価対象窓を用いて、被評価対象窓と比較する。例えば、条件Xに関して、被評価対象窓と時間的に隣接し、被評価対象窓よりも時間的に後続する評価対象窓を用いる。
条件Yに関して、被評価対象窓に対して、時間的に前後に存在する任意間隔Cにおける評価対象窓と、被評価対象窓とを比較する。
条件Zに関して、被評価対象窓に対して、時間的に連続する任意間隔Dにおける評価対象窓と、被評価対象窓とを比較する。
検出内容項目は、各条件に対応するように、各条件を用いることによって検出可能な内容を示している。
条件Xを用いた場合、長期的な解析窓幅に関する条件Xを用いることによって、大局的な変化を検出することができる。条件Yを用いた場合、ノイズ混入領域とノイズ非混入領域との変化点を検出することができる。条件Zを用いた場合、ノイズ混入領域およびノイズ非混入領域の変化の継続性を検出することができる。
条件式項目は、各条件に対応する条件式を示している。条件Xに対応する条件式は、上述した数式(1)に対応し、条件Yに対応する条件式は、上述した数式(2)に対応し、条件Zに対応する条件式は、上述した数式(3)に対応する。
次に、図6Aおよび図6Bを参照して、生体信号処理装置10によるノイズ判定処理手順の一例について説明する。図6Aおよび図6Bは、ノイズ判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、例えば、生体信号計測デバイス8によって生体情報a0が計測されることによって、または、生体情報取得部9によって生体信号計測デバイス8から生体情報a0が取得されることによって、ノイズ判定処理が開始される。
そして、生体信号分割部12によって、生体情報取得部9から送られた生体信号データaに基づき、生体信号データaが任意間隔Aで分割される(ステップS10)。次に、特徴量算出部13によって、生体信号データbに基づき、分割データ毎に、すなわち任意間隔Aごとに、平均値、標準偏差、または累積差分等の特徴量が算出される(ステップS12)。
そして、特徴量算出部13bによって、特徴量算出部13aによって特徴量の算出が完了したデータが任意間隔Bに相当するデータ量に達しているか否かが判定される(ステップS14)。任意間隔Bに相当するデータ量に達していないと判定された場合(ステップS14:NO)、ステップS12に戻る。一方、任意間隔Bに相当するデータ量に達していると判定された場合(ステップS14:YES)、ステップS16に進み、特徴量算出部13bによって、任意間隔Bに対応する特徴量が算出される(ステップS16)。
次に、特徴量算出部13bによって、未評価の分析窓・長21に対応するデータが2つ以上存在するか否かが判定される(ステップS18)。なお、未評価とは、例えば、ノイズ判定部34による最終判定がまだ行われていないことを意味する。そして、未評価の分析窓・長21に対応するデータが2つ以上存在しない場合(ステップS18:NO)、ステップS12に戻る。一方、未評価の分析窓・長21に対応するデータが2つ以上存在する場合(ステップS18:YES)、長期判定部30によって各特徴量に関して条件Xを満たすか否か、すなわち数式(1)が成立するか否かが判定される(ステップS20)。
数式(1)が成立すると判定された場合(ステップS20:YES)、長期判定部30によって、数式(1)が成立すると判定された分析窓・長21に属す分析窓・短20にTRUElongWindowが付与される(ステップS22)。一方、数式(1)が成立しないと判定された場合(ステップS20:NO)、長期判定部30によって、数式(1)が成立しないと判定された分析窓・長21に属す分析窓・短20にFALSElongWindowが付与される(ステップS24)。そして、ステップS22またはステップS24の後、ステップS26に進む。
次に、短期判定部31によって、被評価分析窓から±任意間隔Cに対応する分析窓に関して、条件Yを満たすか否か、すなわち数式(2)が成立するか否かが判定される(ステップS26)。
数式(2)が成立すると判定された場合(ステップS26:YES)、短期判定部31によって、数式(2)が成立すると判定された被評価分析窓である分析窓・短20にTRUElocal(±C[s])が付与される(ステップS28)。一方、数式(2)が成立しないと判定された場合(ステップS26:NO)、短期判定部31によって、数式(2)が成立しないと判定された被評価分析窓である分析窓・短20にFALSElocal(±C[s])が付与される(ステップS30)。そして、ステップS28またはステップS30の後、ステップS32に進む。
ステップS32では、中期判定選択部35によって、被評価分析窓からみて、すなわち被評価分析窓を基準として任意間隔Dに存在する分析窓・短20等の分析窓に対して、FALSElocal(±C[s])またはFALSElocal(cont)が付与されているか否かが判定される(ステップS32)。
任意間隔Dに存在する分析窓に対して、FALSElocal(±C[s])またはFALSElocal(cont)が付与されていないと判定された場合(ステップS32:NO)、中期判定部32aによって、分析窓・短20等の被評価分析窓と評価用特徴量記録部15に記録されている特徴量情報d4に関して、数式(3)が成立するか否かが判定される(ステップS34)。
一方、任意間隔Dに存在する分析窓に対して、FALSElocal(±C[s])またはFALSElocal(cont)が付与されていると判定された場合(ステップS32:YES)、中期判定部32bによって、分析窓・短20等の被評価分析窓と評価用特徴量記録部15に記録されている特徴量情報d5に関して、数式(4)が成立するか否かが判定される(ステップS36)。
そして、数式(3)が成立しないと判定された場合(ステップS34:NO)、または、数式(4)が成立しないと判定された場合(ステップS36:NO)、対象となる被評価分析窓に対してFALSElocal(cont)が付与される(ステップS38)。そして、ステップS38の処理が行われた場合、ステップS44に進む。
一方、数式(3)が成立すると判定された場合(ステップS34:YES)、または、数式(4)が成立すると判定された場合(ステップS36:YES)、対象となる被評価分析窓に対してTRUElocal(cont)が付与される(ステップS40)。そして、ステップS40の処理の後、例えば、評価用特徴量記録部15に記録されているデータのうち時間的に最も古い値が、ステップS40においてTRUElocal(cont)が付与された被評価分析窓に関するTRUElocal(cont)を示す値を用いて更新される(ステップS42)。
そして、ステップS38の処理またはステップS42の処理の後、条件総合判定部33によって、対象となる被評価分析窓に対応する特徴量に関して、数式(1)、数式(2)、および、数式(3)または数式(4)に対する判定結果に関して、例えば、1つ以上のFALSE判定結果が存在するか否かの判定が判定される(ステップS44)。
1つ以上のFALSE判定結果が存在すると判定された場合(ステップS44:YES)、被評価分析窓にFALSE(特徴量)が付与される(ステップS48)。一方、1つ以上のFALSE判定結果が存在しないと判定された場合(ステップS44:NO)、被評価分析窓にTRUE(特徴量)が付与される(ステップS46)。
そして、ステップS46の処理またはステップS48の処理の後、ノイズ判定部34によって、被評価分析窓の特徴量について、1つ以上のFALSE判定結果が存在するか否かが判定される(ステップS50)。そして、1つ以上のFALSE判定結果が存在しないと判定された場合(ステップS50:NO)、ノイズ判定部34によって、対象となる被評価分析窓がノイズ非混入領域であると判定される(ステップS52)。一方、1つ以上のFALSE判定結果が存在すると判定された場合(ステップS50:YES)、ノイズ判定部34によって、対象となる被評価分析窓がノイズ混入領域であると判定される(ステップS54)。
そして、ステップS52の処理またはステップS54の処理の後、特徴量算出部13b等によって、未評価の分析窓・長21に対応するデータが残っているか否かが判定される(ステップS56)。未評価の分析窓・長21に対応するデータが残っていると判定された場合(ステップS56:YES)、ステップS18に戻る。一方、未評価の分析窓・長21に対応するデータが残っていないと判定された場合(ステップS56:NO)、ノイズ判定処理が終了される。
次に、図7および図8を参照して、本実施形態によるノイズ判定処理の結果について説明する。
図7は、ウェアラブルデバイスを用いて計測された生体信号72の1つである心電の波形を示している。図7の横軸は時間を表しており、縦軸は計測された生体信号72の電位等の強度を示している。
また、図7では、計測された生体信号72に、ノイズ71a,71b,71cが混入していることを示している。
本実施形態のノイズ判定処理を行うことによって、ノイズが混入していると思われる領域70を判定することができる。
具体的には、図7に示すような周期性を有する心電に対して、時間的に異なる2つ以上の分析窓を用いて、電位等に固定的な閾値を設けることなく、領域70を判定できる。
図8は、図7に示した計測された生体信号72を、生体信号前処理部11によって、3(Hz)〜50(Hz)の周波数帯域におけるバンドパスフィルタを通過させることによって得られるECG波形80を示している。
そして、このようなECG波形80に対しても、本実施形態のノイズ判定処理を行うことによって、領域70をノイズ混入領域と判定することができる。
なお、本実施形態では、生体信号として心電について説明したが、心電と同様の特徴を持つ循環器系の生体信号である脈波についても、本実施形態のノイズ判定処理を適用することができる。この場合も、上述した任意間隔A,B,C,Dと同等の値を設定することによって、類似周波数特性ノイズを判定および検出できる。
また、本実施形態のノイズ判定処理は、リアルタイム処理でもよいし、バッチ処理でもよい。
以上のような本実施形態によって、次のような効果を得ることができる。
対象とする生体信号に対して固定的な閾値を用いず、類似周波数特性ノイズの混入領域を判定することが可能となる。
例えば、対象となる生体信号を分析窓・短20(短期)と分析窓・長21(長期)の2つの分析窓長で分割し、各々における統計的な特徴量を算出する。これにより、特徴量に関して、長期の分析窓同士の比較により大局的な変化を判定することが可能となる。また、短期の分析窓同士の比較により、ノイズ混入領域とノイズ非混入領域との変化点およびその変化の継続性を判定することも可能となる。
また、短期、中期、および長期の3つ観点の判定結果に基づいて、ノイズ混入領域を判定しノイズを検出することが可能となる。そのため、生体信号の電位等に対して固定的な閾値を用いることなく、類似周波数特性ノイズの混入領域を判定し検出することも可能となる。
また、本発明は、心電や脈波等の周期性のある生体信号においてノイズが混入している信号区間を推定するための技術でもある。心電信号等の生体信号の周期性を用いて、複数の指標におけるノイズの有無を評価することによって、生体信号計測デバイス8の構成やユーザ環境による心電信号の大きさが異なる場合でも、影響を受けないノイズ区間を推定することが可能となる。
また、ノイズ非混入領域と判定された領域のデータに関する特徴量を記録しておき、その記録された特徴量を利用することによって、ノイズ混入領域の検出率の低下を低減することが可能となる。
また、任意間隔Bを任意間隔Aよりも長く、任意間隔Aの整数倍の値にすることによって、例えば、任意間隔Aに関して算出された特徴量等の算出結果を任意間隔Bにおける特徴量等の算出のために使用することによって、任意間隔Bにおける特徴量を算出するための算出コストを低減することが可能となる。
また、既知の指標に基づいて生体信号を分割することにより、異常の誤検出を低減することが可能となる。
また、例えば、3種類の特徴量α,β,γを用いることによって、ノイズ混入領域の検出率を向上させることが可能となる。
また、短期判定を行うことによって、例えば、R波を含む分析窓・窓20とR波を含まない分析窓・窓20が交互に連続して存在する場合でも、R波を含む分析窓・窓20とR波を含まない分析窓・窓20との何れかがノイズ混入領域であると誤判定することを抑制することが可能となる。
また、2つの異なる間隔で生体信号を分割して特徴量を算出し、複数の観点から評価を行うことによって、ノイズ混入領域の判定精度を向上させることが可能となる。
また、例えば、心電における類似周波数特性ノイズを判定する場合、既知の指標である一般の人の心拍数に基づいて、例えば任意間隔Aを1.5秒に設定することによって、分析窓の中にR波に関連する生体信号を最低でも1つ含めることが可能となるため、R波に関連する生体信号を類似周波数特性ノイズとして誤検出することを抑制することが可能となる。
また、任意間隔Bを任意間隔Aの整数倍とすることによって、大局的に混入したノイズの検出に必要となる特徴量の計算コストを低減し、さらに、任意間隔Cを洞停止の判別基準に基づいて3.0秒に設定し、被評価分析窓から±任意間隔Cに存在する分析窓と被評価分析窓の特徴量とを比較することによって、局所的に混入した類似周波数特性ノイズの検出を可能とする。
また、任意間隔Dを任意間隔Cの整数倍に設定し、被評価分析窓から連続する任意間隔Dに存在する分析窓を用いて評価を行うことによって、類似周波数特性ノイズの混入開始位置または終了位置だけでなく、その間の区間における類似周波数特性ノイズの混入可否を判定することが可能となる。
また、過去にノイズ非混入領域であると判定された分析窓の特徴量を用いることによって、類似周波数特性ノイズの検出精度を担保することが可能となる。そして、類似周波数特性ノイズ混入領域を含む領域に関してノイズ判定処理を行っている間、ノイズ非混入領域を含む領域に関してノイズ判定処理を行う場合よりも、条件Z2のように判定基準を緩めることによって、例えば、一度ずれた電極が別の場所で再度固定されたような場合でも、ずれた場所において安定的に生体信号を取得することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。