JP2014128433A - 睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法 - Google Patents

睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 より簡便且つ確実にノイズの影響を排除して睡眠状態等の判定精度を向上させる睡眠状態判定システムを提供すること。
【解決手段】 周波数成分抽出部44は、時間ブロックを複数の区画に分割し、複数に分割された区画毎に脳波信号の周波数解析を行って各区画の周波数成分を複数抽出する。区画特徴量算出部45は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出する。ノイズ信号判定部46は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定する。時間ブロック特徴量算出部47は、ノイズ区画と判定した区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出する。睡眠状態判定部48は、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける生体の睡眠状態を判定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法に関する。さらに詳しくは、生体の脳波信号を検出する電極を有する脳波検出装置と、検出した脳波信号に対して所定の時間ブロック単位で信号処理を行い、その結果に基づいて前記生体の該時間ブロックの睡眠状態を判定する信号処理装置とを備えた睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法に関する。
従来、上述の如き睡眠状態判定システムとして、例えば特許文献1に記載の如きものが知られている。この睡眠状態測定装置は、睡眠中の被験者の体動や筋電など脳波に混入するノイズの影響を低減させるために、受信した脳波を周波数分析した後に所定時間とその前後の所定時間の比率を用いて補正している。しかし、補正手段が煩雑であり、さらなる精度の向上も求められている。
特開2011−083307号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、より簡便且つ確実にノイズの影響を排除して睡眠状態等の判定精度を向上させる睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る睡眠状態判定システムの特徴は、生体の脳波信号を検出する電極を有する脳波検出装置と、検出した脳波信号に対して所定の時間ブロック単位で信号処理を行い、その結果に基づいて前記生体の時間ブロックの睡眠状態を判定する信号処理装置とを備えた構成において、前記信号処理装置は、周波数成分抽出部と、区画特徴量算出部と、ノイズ信号判定部と、時間ブロック特徴量算出部と、睡眠状態判定部とを有し、前記周波数成分抽出部は、前記時間ブロックを複数の区画に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区画の周波数成分を複数抽出し、前記区画特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、前記ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画と判定した区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、前記睡眠状態判定部は、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定することにある。
上記特徴によれば、周波数成分抽出部は、時間ブロックを複数に分割した区間毎に脳波信号の周波数解析を行い周波数成分を抽出する。そして、区画特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定する。時間ブロックの単位時間より短い単位時間の区画毎に周波数解析を行うので、V波やK複合波等の睡眠時特有の非定常波が観測された場合や、体動や筋電に起因する生体ノイズが混入した場合であっても、それらを健全な脳波信号と明瞭に区別できる。そして、時間ブロック特徴量算出部は、ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて時間ブロック特徴量を算出するので、誤判定の原因となる上述の非定常波や生体ノイズの各時間ブロックに対する影響を低減することができる。よって、睡眠状態判定部は、上記の如く生体ノイズが除去された時間ブロック特徴量に基づいて判定するので、該時間ブロックにおける生体の睡眠状態を高い精度で判定することが可能となる。
前記算出した区画特徴量の少なくとも一つ及び前記閾値には、δ波の含有率を用いることが望ましい。ここで、抽出される周波数成分は、少なくともδ波、θ波、α波、β波にそれぞれ相当する周波数成分である。体動によるノイズが生じた場合、その波の含有量は脳波自体の数十倍といった規模になり、殆んどはδ波で占められる。よって、δ波に相当する周波数成分を用いることで、より効率的に且つ高精度に上記ノイズの影響を抑制(排除)でき、より高い精度で睡眠状態を判定することができる。さらに、区画特徴量に含有量ではなく含有率を用いれば、ある区間においてノイズ等により他区間の数十倍の波(ほんどはδ波で占められる)が観測されたとしても、その区間のδ波の含有率は最大でも100%であるので、時間ブロック特徴量を算出する際に、ノイズの影響をさらに小さく抑えることが出来る。しかも、δ波の含有量ではなく含有率を用いることで、個人差や電極の取付位置の相違等による脳波信号の電位の違いを吸収でき、さらに精度を向上させることが可能となる。
前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量の和を前記分割の数から前記ノイズ区画の数を引いた数で除した平均値を前記時間ブロック特徴量として算出するとよい。これにより、簡便でありながら生体ノイズ等の時間ブロックに対する影響を排除することができ、さらに高精度に睡眠状態を判定することができる。
前記時間ブロック特徴量算出部は、フィルタ処理部をさらに有し、前記フィルタ処理部は、前記時間ブロック及びその時間ブロックの少なくとも直前直後の他の時間ブロックの時間ブロック特徴量の平均を求め、求めた平均値を当該時間ブロックの前記時間ブロック特徴量として更新するようにしてもよい。通常の睡眠状態の遷移は緩やかであり、1時間ブロックだけの遷移や急激な変化は、寝返り等の生体ノイズに起因する場合が多い。時間ブロック及びその時間ブロックの少なくとも直前直後の他の時間ブロックの時間ブロック特徴量の平均を求めて更新するフィルタ処理部を有することで、上述の如き誤判定の原因を排除することができ、さらに高精度に睡眠状態を判定することができる。
前記睡眠状態判定部は、覚醒状態と、REM睡眠段階と、睡眠段階1と睡眠段階2を合わせたLight睡眠段階と、睡眠段階3と睡眠段階4を合わせたDeep睡眠段階との4段階を判定する。
前記信号処理装置は、少なくとも音声入出力を構成するオーディオジャックを備える携帯型端末であり、前記脳波検出装置は、前記検出した脳波信号をアナログ変調する周波数変換部を有する信号変換器をさらに備え、前記携帯型端末は、変調された脳波信号をデジタル信号に変換する周波数変換部と復調する復調部をさらに備え、前記検出した脳波信号は、前記信号変換器から前記オーディオジャックを介して前記携帯型端末へ入力されるようにしてもよい。これにより、スマートフォンや携帯電話等においても脳波信号を処理し判定することが可能となる。
上記目的を達成するため、本発明に係る睡眠状態判定プログラムの特徴は、コンピュータに実行されることにより生体の睡眠状態を判定するプログラムにおいて、前記コンピュータを、所定の時間ブロックを複数に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出する周波数成分抽出手段と、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出する区画特徴量算出手段と、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定するノイズ信号判定手段と、前記ノイズ区間と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて時間ブロック特徴量を求める時間ブロック特徴量算出手段と、算出した時間ブロック特徴量に基づいて前記時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定手段として機能させることにある。この睡眠状態判定プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
上記目的を達成するため、本発明に係る睡眠状態判定方法の特徴は、生体の脳波信号を検出し、その脳波信号に基づいて前記生体の睡眠状態を判定する方法において、所定の時間ブロックを複数に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、算出した前記時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定することにある。
上記本発明に係る睡眠状態判定システム、睡眠状態判定プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体並びに睡眠状態判定方法の特徴によれば、より簡便且つ確実にノイズの影響を排除して睡眠状態等の判定精度を向上させることが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
本発明に係る睡眠状態判定システムを概略を説明する図である。 睡眠状態判定システムの構成の一例を示すブロック図である。 (a)はスイッチング変調の原理を示す図であり、(b)はスイッチング変調回路の一例を示す図である。 (a)脳波のアナログ変調を模式的に示す図である。 信号処理装置としてのスマートフォンのハードウエア構成を示すブロック図である。 信号処理装置としてのスマートフォンのソフトウエア構成を示すブロック図である。 デジタル復調の一例を模式的に示す図である。 脳波データの一部を示す図である。 区画に対する周波数解析及びノイズ信号判定を説明する図である。 各睡眠段階における脳波データの例とそれぞれの場合の周波数解析結果を示す図である。 睡眠状態判定手順のフローチャートである。 他の実施形態における脳波センサーを模式的に示す図である。 他の実施形態における図2相当図である。 さらに他の実施形態における図2相当図である。
次に、図1〜11を参照しながら、本発明の実施形態について詳しく説明する。
本発明の実施形態に係る睡眠状態判定システム1は、図1,2に示すように、大略、脳波検出装置2と、検出した脳波を変調する信号変換器3と、信号変換器3から入力された脳波を信号処理する信号処理装置4としてのスマートフォンとを備える。
脳波検出装置2は、図1,2に示すように、生体Lの脳波を検出する検出電極21と、基準電極22とを備える。検出電極21は、例えば、生体Lの額、頭部や外耳周辺等に装着され、基準電極22は、例えば、耳朶に装着される。これら電極21,22は、導電ワイヤ5を介して信号変換器3に接続され、検出した脳波を信号変換器3へ送出する。
信号変換器3は、図1,2に示すように、導電ワイヤ5を介してスマートフォン4の音声入出力を構成するオーディオジャック4jに接続され、脳波信号を変調してスマートフォン4に送出する。この信号変換器3は、電極21,22より入力された脳波信号を増幅するアンプ31と、増幅された脳波信号からノイズをカットするフィルタ32と、ノイズが除去された脳波信号をアナログ変調する周波数変換部(変調部)33とを備える。なお、フィルタ32で除去するノイズは、電灯線、電源、周辺の電気機器等からの交流障害に起因する外部雑音であり、脳波に混入した被験者の体動や筋電に起因する生体ノイズとは異なる。
ところで、脳波の周波数は、0.1〜40Hzと低周波帯域に存在する。他方、スマートフォン4の音声入出力を構成するオーディオジャック4jは、音楽などを再生し聞くための入出力端子であり、少なくとも100Hz以上の周波数帯域でなければ入力することができない。そこで、変調部33は、検出した脳波がオーディオジャック4jを介してスマートフォン4に入力可能となるように、脳波信号に対してアナログ変調処理を実行する。
アナログ変調処理としては、例えば、アナログ信号の振幅に合わせ高周波帯域に変調(振幅変調)する処理がある。振幅変調方式には、通常の振幅変調(AM)、搬送波抑圧両側波帯信号(DSB−SC)や搬送波抑圧片側波帯信号(SSB)等の方式がある。なお、変調方式は、上記の方式に限定されるものではないが、AM信号は生成(変調)も情報の再生(復調)も容易であるので、本実施形態における脳波の変復調には、高速で変復調できる振幅変調(AM)を採用する。
ここで、変調部33は、例えば、図3(a)に示す如きスイッチング変調回路によって構成されている。この回路では、変調信号m(t)と直流バイアスVを直列接続したものを周波数fcでチュッパリング(断続)し、さらにその基本周波数(fc)の成分を共振回路(LRC共振)で抽出することにより高域に変調する(AM信号)。なお、スイッチングとしては、例えば、図3(b)に示す如き、搬送波周波数の正弦波を入力とするトランジスタ等の能動素子を用いることができる。図4に示す如く、変調部33が検出した脳波を0.1〜40Hzの周波数から100〜300kHzに変調することで、オーディオジャック4jを介したスマートフォン4への脳波信号の取り込みが可能となる。
信号処理装置4としてのスマートフォンのハードウエア構成は、図5に示すように、CPU4a、ROM4b、RAM4cがバス4dを介して相互に接続されている。また、バス4dには、入力部4e、記憶部4f、表示部4g、出力部4h、通信部4i及び音声入出力部4jがそれぞれ接続されている。これらが協働してソフトウエア40を稼働させる。本実施形態においては、音声入出力部4jを構成するオーディオジャックを介して信号変換器3から脳波信号が入力され、信号処理される。
入力部4eは、タッチパネル、操作ボタンやキーボード等により構成され、ユーザーの操作による入力をCPU4a等に送信する。記憶部4fは、HDDやフラッシュメモリ等により構成され、脳波データ、周波数解析された各種解析データ、睡眠状態判定結果等を記憶する。また、記憶部4fは、記憶媒体用リードライタとしてのドライブを有し、外部の記憶媒体に記憶されたデータを読み込み又はデータを書き込むようにしてもよい。記憶媒体としては、例えば、コンパクトフラッシュ(CF:登録商標)、SDメモリカード、フラッシュメモリ等がある。
表示部4gは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等により構成され、操作画面、各種データ及び判定結果等を適宜表示する。出力部4hは、例えばデータ送信用の接続ポートにより構成され、外部の接続機器との間でデータをやりとりする。接続ポートとしては、例えば、USBポートやHDMIポート等がある。
通信部4iは、例えば、WIFI(登録商標)や3G(第3世代移動通信システム)等によりインターネット等の通信網と接続する通信用インターフェイスである。この通信部4iは、例えば、インターネット等の通信網を経由して外部機器との間でデータをやりとりする。なお、通信部4iとして、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、電磁誘導を利用した非接触通信等の近距離の通信手段も含む。
信号処理装置4としてのスマートフォンのソフトウエア構成は、図6に示すように、大略、A/D変換部41、周波数変換部(復調部)42、脳波データ記憶部43、周波数成分抽出部44、区画特徴量算出部45、ノイズ信号判定部46、時間ブロック特徴量算出部47、睡眠状態判定部48及び判定結果出力部49から構成されている。
A/D変換部41は、先の信号変換器3から入力されたアナログ信号の脳波信号をデジタル信号に変換する。変換された脳波信号は、周波数変換部(復調部)42に送出される。
復調部42は、先の信号変換器3の変調器33で変調された脳波信号を復調する。デジタル復調方式としては、例えば、包絡線検波方式や周波数検波方式等の非同期復調方式や、同期検波方式や遅延検波方式等の同期復調方式とがある。本実施形態では、例えば、復調部42は、包絡線検波方式により復調する。変調された信号は、包絡線変動が変調信号の波形を表現している。そこで、図7に示すように、各周波数の0とピークの差を読み込み、プロットすることにより元のアナログの脳波信号を再生する。復調された脳波信号は、脳波データ記憶部43により図8に示す如き脳波データSとして脳波データ記憶部51に記憶される。なお、上記復調方式はあくまで一例に過ぎず、上記に限定されるものではなく、適宜公知の復調方式を適用可能である。
周波数成分抽出部44は、脳波データ記憶部43により脳波データ記憶部51に記録された脳波データ(脳波信号)を読み込み、図9に示すように、脳波信号を所定の時間単位の時間ブロック単位に分割すると共にその時間ブロックB単位をさらに複数の区間単位に分割する。ここで、1時間ブロックBの時間(時間単位)は、例えば慣例にならい30秒に設定される。また、1時間ブロックBに含まれる区画Aの数(分割数)は、適宜設定される。すなわち、1区画Aの時間(時間単位)は、1時間ブロックBの時間(時間単位)よりも小である。
そして、周波数成分抽出部44は、図9に示すように、時間ブロックBを複数に分割した区画A毎に脳波信号の周波数解析を例えばFFT(高速フーリエ変換)の手法により行い、各区画Aに含まれる所定の周波数成分を複数抽出する。本実施形態では、例えば、1−4Hzのδ波、4−8Hzのθ波、8−12Hzのα波、12−40Hzのβ波にそれぞれ相当する周波数成分を抽出する。なお、周波数成分はあくまで一例に過ぎず、上記数値に限定されるものではない。
区画特徴量算出部45は、区間A毎に且つ周波数成分抽出部44で抽出した周波数成分(δ波、θ波、α波、β波)毎に、周波数成分の含有量及び含有率を区画特徴量Pとして求めると共に、それら求めたデータを区画特徴量記憶部52に記憶する。
ノイズ信号判定部46は、区間A毎に、区画特徴量算出部45で求めた区画特徴量Pの少なくとも一つPaが所定の閾値Eを超える場合に、当該閾値Eを超えた区画特徴量Pに対応する周波数成分をノイズ信号と判定し、当該区画をノイズ区画と判定する。本実施形態において、区画特徴量の少なくとも一つPa及び閾値Eには、区画におけるδ波の含有率を用いる。誤判定の原因となる上述の非定常波や生体ノイズは、δ波に相当する周波数帯域(1−4Hz)に多く存在するので、これらの値にδ波を用いることで、より効率的に且つ高精度に生体ノイズ等の影響を排除できる。しかも、δ波の含有量ではなく含有率を用いる。区画特徴量に含有量ではなく含有率を用いれば、ある区間においてノイズ等により他区間の数十倍の波(ほんどはδ波で占められる)が観測されたとしても、その区間のδ波の含有率は最大でも100%であるので、後述する時間ブロック特徴量算出部47において、他区間との平均を計算しても、ノイズの影響をより小さく抑えることが出来る。含有率を用いることで、これらに起因する変動を吸収できるので、さらに精度が向上する。
図9に示す例では、区画特徴量算出部45が、時間ブロックBkを複数の区画Ak1、Ak2、Ak3…AknとN個に分割し、その各区画に対しFFTを行って区画特徴量を算出している。ここで、区画特徴量の一つPa及び閾値Eは、δ波の含有率である。同図の例では、区画Ak3の区画特徴量Paのみが閾値Eを超えている。よって、ノイズ信号判定部46は、当該区画Ak3におけるδ波に相当する周波数成分をノイズ信号と判定する。
時間ブロック特徴量算出部47は、時間ブロックB毎に且つ周波数成分抽出部44で抽出した周波数成分毎に、ノイズ信号判定部46でノイズ区画と判定した区画Aの区画特徴量Pを除く他の区間A’の区画特徴量P’に基づいて時間ブロック特徴量Qを求める。本実施形態では、ノイズ信号判定部46でノイズ区画信号と判定した区画Aの区画特徴量Pを除く他の区間A’の区画特徴量P’の和を先の時間ブロックBの分割の数(区画の数)からノイズ区画と判定した区画Aの数を引いた数で除した平均値を時間ブロック特徴量Qとして求める。これにより、簡便でありながら生体ノイズ等の時間ブロックに対する影響を排除することができ、さらに高精度に睡眠状態を判定することができる。
図9に示す例では、ノイズ信号判定部46が時間ブロックBkの区画Ak3のみをノイズ信号と判定している。この場合、時間ブロック特徴量算出部47は、δ波の含有率である区画Ak3の区画特徴量Pa3を除く他の区画Ak1、Ak2…Aknの各区画特徴量Pa1、Pa2…Panの和を求めると共に、その和を時間ブロックBkの区画の総数N−ノイズ信号と判定された区画の数1=N−1で除した値を時間ブロックBkの時間ブロック特徴量Qkaとする。なお、他の周波数成分に対応する特徴量は、総数Nで除す。
さらに、本実施形態においては、時間ブロック特徴量算出部47はフィルタ処理部47aを備える。このフィルタ処理部47aは、時間ブロックBとその時間ブロックBの少なくとも直前直後の他の時間ブロックB’との時間ブロック特徴量Qの平均を求め、求めた平均値Q’を当該時間ブロックの時間ブロック特徴量として更新する。通常の睡眠状態の遷移は緩やかであり、1時間ブロックだけの遷移や急激な変化は、寝返り等の生体ノイズに起因する場合が多い。上述の如きフィルタ処理部47aにより、誤判定の原因を排除することができ、さらに高精度に睡眠状態を判定することができる。時間ブロック特徴量算出部47及びフィルタ処理部47aで算出された時間ブロック特徴量Qは、周波数解析データとして周波数解析結果記憶部53に記憶される。
睡眠状態判定部48は、周波数解析結果記憶部53に記憶された時間ブロック特徴量Qの各データ(時間ブロックB単位のδ波、θ波、α波、β波の含有量と含有率)に基づいて、各時間ブロックBの睡眠状態を自動判定しその結果を判定結果記憶部54に記憶する。また、各時間ブロックBの自動判定結果は、判定結果出力部49により表示部4g上に表示され、又は、出力部4hや通信部4iを介して外部に出力され、ユーザーは例えば一晩の睡眠経過(判定結果)を見ることができる。
ここで、図10を参照しながら、各睡眠段階における脳波データの例とそれぞれの場合の周波数解析結果(時間ブロック特徴量)について説明する。
同図中、(a−1)(b−1)(c−1)(d−1)(e−1)(f−1)は、実際に計測された1時間ブロック分(30秒)の各睡眠段階の脳波データである。また、(a−2)(b−2)(c−2)(d−2)(e−2)(f−2)は、上記場合の上述したFFT等による周波数解析結果(時間ブロック特徴量)であり、棒グラフの左側から順にδ波、θ波、α波、β波の各含有量を示す。
(a−1)は、覚醒段階のときの脳波データの例である。覚醒段階においては8−12Hzのα波が多く観測されることが知られており、(a−2)においても、α波の含有量が高くなっている。
(b−1)は、入眠直後の睡眠段階1のときの脳波データの例である。睡眠段階1においては脳波は全体に低振幅の変化の少ない状態になることが知られており、(b−2)においても、δ波、θ波、α波、β波の含有量はいずれも低い値になっている。
(c−1)は、入眠から十分程度が経過して徐々に眠りが深くなっていき、睡眠段階1から睡眠段階2に移行したときの脳波データの例である。睡眠段階2においては、低い周波数で高振幅の特殊な波が突発的に出現することが知られており、(c−2)においても、δ波の含有量が睡眠段階1と比較して高い値になっている。
(d−1)は、さらに眠りが深くなっていき、睡眠段階3に移行したときの脳波データの例である。睡眠段階3に入ると、Deep睡眠時特有の低い周波数で高振幅の波(大徐波)が脳波全体の20〜50%を占めることが知られており、(d−2)においても、δ波の含有量が他の波と比較して突出して高い値になっている。
(e−1)は、さらに眠りが深くなっていき、睡眠段階4に移行したときの脳波データの例である。睡眠段階4に入ると、Deep睡眠時特有の大徐波の割合がさらに高くなっていき、脳波全体の50%以上を占めることが知られており、(e−2)においても、δ波の含有量が睡眠段階3と比較してもさらに突出して高い値になっている。
(f−1)は、Deep睡眠が終わり、睡眠段階REMに移行したときの脳波データの例である。睡眠段階REMにおいては、睡眠段階1と同様に脳波は全体に低振幅の変化の少ない状態になることが知られており、(f−2)においても、δ波、θ波、α波、β波の含有量はいずれも低い値になっている。
次に、図11を参照しながら、睡眠状態判定手順について説明する。
本実施形態では、睡眠段階1と睡眠段階2を合わせてLight睡眠段階、睡眠段階3と睡眠段階4を合わせてDeep睡眠段階とし、覚醒/Light睡眠/Deep睡眠/REM睡眠の自動判定を行う。なお、本実施形態は、脳波測定終了後または計測しながら、睡眠状態の判定を行う。
まず、ステップS1で、周波数成分抽出部44が、脳波データ記憶部51に保存された睡眠時脳波データを読み込み、次に、ステップS2で時間ブロック単位に分割し、総時間ブロック数を変数Tに代入する。例えば、保存された脳波データが7時間分であれば、7時間=420分=840時間ブロックなので、読み込まれた脳波データは840時間ブロックに分割され、T=840となる。また、周波数成分抽出部44は、時間ブロックをさらに複数の区画単位に分割する。ステップS3で時間ブロック番号tを1に設定し、更に時間ブロックtを区画単位に分割し、ステップS4で総区画数をNに代入する。ステップS5で区間番号nを1に設定する。
次に、ステップS6で、周波数成分抽出部44が、分割された各区画について、FFT(高速フーリエ変換)により周波数解析を行い、詳細な周波数データを得る。これをステップS7で、区画特徴量算出部45が集計すると共に、各区画に含まれる、δ波、θ波、α波、β波の含有量と含有率を区画特徴量としてそれぞれ算出する。
次に、ステップS8で、ノイズ信号判定部46が、区間毎に、区画特徴量算出部45で求めたδ波の含有率が所定の閾値(δ波の含有率)を超えるか否かを判定し、閾値を超えた場合にその周波数成分をノイズ区間と判定する。
次に、ステップS9、S10で区画数が総区画数N以下か判定する。ステップS10で区画数が総区画数N以下と判定した場合、ステップS6に戻り、区画数が総区画数Nより大となるまで、上記ステップS6〜10を繰り返す。他方、区画数が総区画数Nより大である場合、ステップS11でノイズ区間を除去して、時間ブロックtのδ波、θ波、α波、β波の含有量及び含有率を算出する。時間ブロック特徴量算出部47が、時間ブロック毎に且つ周波数成分抽出部44で抽出した周波数成分毎に、ノイズ信号判定部46でノイズ信号と判定した区画のδ波の含有率を除く他の区間のδ波の含有率の和を求めると共に、時間ブロックの分割の数(区画の数)からノイズ区画と判定した区画の数を引いた数で除した平均値を時間ブロック特徴量(δ波の含有率)として求める。さらに、フィルタ処理部47aが、時間ブロック及びその時間ブロックの少なくとも直前直後の他の時間ブロックの時間ブロック特徴量の平均を求め、求めた平均値を当該時間ブロックの時間ブロック特徴量Q’として更新する。また、他の周波数成分の特徴量(θ波、α波、β波の含有量と含有率)についても、同様に処理される。
次に、ステップS12で、ステップS9において時間ブロック特徴量算出部45が計算した各時間ブロックの時間ブロック特徴量(δ波、θ波、α波、β波の含有量と含有率)に基づいて、睡眠状態判定部48は、各時間ブロックの睡眠状態を判定する。判定は、例えば、覚醒状態、REM睡眠段階、睡眠段階1と睡眠段階2を合わせたLight睡眠段階、睡眠段階3と睡眠段階4を合わせたDeep睡眠段階の4段階で行う。
なお、δ波、θ波、α波、β波の含有量と含有率のすべてを自動判定で使用するとは限らないので、これらすべてに基づいて判定する必要はない。
次に、ステップS13で、自動判定を行う時間ブロック番号tの値に1を足す。そして、ステップS14で、現在の時間ブロック番号tの値が総時間ブロック数Tより大であれば、全時間ブロックの判定が完了したので、処理を終了する。他方、現在の時間ブロック番号tの値が総時間ブロック数Tより小であれば、ステップS4に戻る。これを時間ブロック番号tが総時間ブロック数Tより大となるまで、上記ステップS4〜14を繰り返す。
なお、判定結果出力部49では自動判定結果を出力するが、出力の方法は応用方法によって異なる。睡眠状態にある被験者の睡眠段階をリアルタイムに判定し、医師あるいは検査技師がその経過を別室で監視するような応用方法の場合なら、リアルタイム自動判定結果がディスプレイ上に逐一更新されて表示される、といった出力方法が考えられるし、居眠り防止装置の場合なら、覚醒状態から入眠状態に移行した判定されれば警告音を発生させる、といった出力方法が考えられる。
本発明は、上記各実施形態に限られるものではない。本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形及び組み合わせが可能である。以下に、他の実施形態の可能性について言及する。
例えば、時間ブロック数、区画数(分割数)、時間ブロック及び区画の各時間単位等は、限定されるものではない。また、上記各実施形態では、δ波、θ波、α波、β波の含有量と含有率について説明したが、計算の対象に使用する波はこれらに限定されるものではなく、これらを加算したものであってもよいし、δ波、θ波、α波、β波の範囲も、上述の数値に限定されるものではない。
上記実施形態では、δ波の含有率を用いてノイズ信号判定部46がノイズ区画を判定し、時間ブロック特徴量算出部47は、当該ノイズ区画の区画以外の区画特徴量により時間ブロック特徴量を算出した。しかし、δ波の含有率を用いる態様において、上記実施形態の如く、ノイズ信号判定部46により時間ブロック内のノイズ区画の判定を行わない態様も可能である。
上述したように、体動によるノイズは、その含有量が脳波自体の数十倍といった規模になり、殆んどはδ波で占められる。そのため、含有量を用いると時間ブロック特徴量の算出時に、そのノイズは大きな影響を与え、判定精度が低下してしまう。他方、δ波の含有率は最大でも100%であるので、時間ブロックに含まれる区間のδ波の含有率の平均値を時間ブロック特徴量の少なくとも1つとして算出することで、上記ノイズの影響を抑えることが可能となり、ノイズ信号判定部46を省略することも可能となる。よって、当該態様は次のように表現することが可能である。
生体の脳波信号を検出する電極を有する脳波検出装置と、検出した脳波信号に対して所定の時間ブロック単位で信号処理を行い、その結果に基づいて前記生体の該時間ブロックの睡眠状態を判定する信号処理装置とを備えた睡眠状態判定システムであって、前記信号処理装置は、周波数成分抽出部と、区画特徴量算出部と、時間ブロック特徴量算出部と、睡眠状態判定部とを有し、前記周波数成分抽出部は、前記時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、前記区間特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて前記各区間の区画特徴量として少なくともδ波の含有率を算出し、前記時間ブロック特徴量算出部は、前記時間ブロックの時間ブロック特徴量の少なくとも1つとして前記δ波の含有率の平均値を算出し、前記睡眠状態判定部は、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定する。なお、当該態様は、睡眠判定プログラム、睡眠判定方法としても実施可能である。
但し、上記実施形態の方が、判定精度の点で優れている。
また、上記各実施形態では、信号処理装置4としてスマートフォンを用いた。しかし、信号処理装置4は、スマートフォンに限られず、携帯電話機、タブレット端末や携帯型ゲーム機等の携帯型端末でもよく、さらに例えば、信号処理装置4としてパーソナルコンピュータ(PC)を用いることも可能である。係る場合、例えば、脳波検出装置2及び信号変換器3として、図12,13に示す如き脳波センサー60を用いる。
図12に示すように、脳波センサー60は、大略、生体Lの耳介に装着される検出電極としての耳介電極61と、耳朶に装着される基準電極としての耳朶電極62と、これら電極61,62とワイヤ64で接続された本体部63よりなる。
図13に示すように、本体部63は、大略、電極21,22より入力された脳波信号を増幅するアンプ65と、増幅された脳波信号からノイズをカットするフィルタ66と、ノイズが除去された脳波信号をデジタル変換するA/D変換部67と、デジタル変換された脳波信号を信号処理装置4としてのパーソナルコンピュータ(PC)へ送信する無線通信部68と、A/D変換部67及び無線通信部68を制御する制御部69よりなる。
このように、脳波センサー60は、耳に装着可能に構成されると共に信号処理装置4へ無線で脳波信号を送信するので、装着時の違和感を低減できると共に睡眠中や覚醒時のずれも防止することができる。なお、係る実施形態では、本体部63で脳波信号をデジタル変換するので、上記各実施形態における信号処理装置4のA/D変換部41及び周波数変換部(復調部)42に代えて、脳波センサー60より送信された脳波信号を受信する無線通信部を備える。信号処理装置4の他の構成や睡眠状態判定手順等は、上記各実施形態と共通する。もちろん、上記各実施形態の脳波検出装置2及び信号変換器3を脳波センサー60にて構成することは可能である。
本発明は、上記各実施形態の如く構成されるが、さらに包括的には次に列挙するような構成を備えてもよい。
本発明に係る健康状態判定システムとしては、生体の生体信号を検出する電極を有する生体信号検出装置と、検出した生体信号に対して所定の時間ブロック単位で信号処理を行い、その結果に基づいて前記生体の該時間ブロックの健康状態を判定する信号処理装置とを備えた健康状態判定システムであって、前記信号処理装置は、周波数成分抽出部と、区画特徴量算出部と、ノイズ信号判定部と、時間ブロック特徴量算出部と、睡眠状態判定部とを有し、前記周波数成分抽出部は、前記時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記生体信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、前記区間特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、前記ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、前記睡眠状態判定部は、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の健康状態を判定する。
また、本発明に係る健康状態判定プログラムとしては、コンピュータに実行されることにより生体の健康状態を判定する健康状態判定プログラムであって、前記コンピュータを、所定の時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記生体信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出する周波数成分抽出手段と、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出する区間特徴量算出手段と、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定するノイズ信号判定手段と、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出する時間ブロック特徴量算出手段と、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の健康状態を判定する健康状態判定手段として機能させる。
上記記載の健康状態判定プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記憶される。
また、本発明に係る健康状態判定方法としては、生体の脳波信号を検出し、その生体信号に基づいて前記生体の健康状態を判定する健康状態方法であって、所定の時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記ノイズ区画と判定した区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の健康状態を判定する。
上記健康状態判定システム1’は、例えば、図14に示すように、大略、生体信号検出装置2’と、検出した生体信号を変調する信号変換器3’と、信号変換器3’から入力された生体信号を信号処理する信号処理装置4としてのスマートフォンとを備える。
生体信号検出装置2’は、生体の脳波を検出する検出電極21と、基準電極22と、筋電や心電を検出する筋電心電電極23と、呼吸を計測する呼吸計電極24とを備える。これら電極21〜24は、導電ワイヤ5を介して信号変換器3’に接続され、検出した生体信号を信号変換器3’へ送出する。
信号変換器3’は、脳波信号、筋電心電信号及び呼吸信号をそれぞれ増幅するアンプ群31’と、増幅された各信号からノイズをカットするフィルタ群32’と、ノイズが除去された脳波信号をアナログ変調する周波数変換部(変調部)33とを備える。他の点は、上記各実施形態と共通する。
信号処理装置4としてのスマートフォンの構成は、上記各実施形態の睡眠状態判定部48に代えて、健康状態判定部48’を有する点で、上記各実施形態と異なる。健康状態判定部48’は、各生体信号に基づいて健康状態を判定する。他の点は、上記各実施形態と共通する。なお、生体信号は、脳波、筋電、心電、呼吸の各信号に限定されるものではない。
さらに、本発明に係る生体信号処理システムは、生体の生体信号を検出する電極を有する生体信号検出装置と、検出した生体信号を信号処理する信号処理装置とを備えた生体信号処理システムであって、前記信号処理装置は、周波数成分抽出部と、区画特徴量算出部と、ノイズ信号判定部と、時間ブロック特徴量算出部とを有し、前記周波数成分抽出部は、前記時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、前記区間特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、前記ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出する。
上記特徴によれば、周波数成分抽出部は、時間ブロックを複数に分割した区間毎に生体信号の周波数解析を行い周波数成分を抽出する。そして、区画特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定する。時間ブロックの単位時間より短い単位時間の区画毎に周波数解析を行うので、V波やK複合波等の睡眠時特有の非定常波が観測された場合や、体動や筋電に起因する生体ノイズが混入した場合であっても、それらを健全な生体信号と明瞭に区別できる。そして、時間ブロック特徴量算出部は、ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて時間ブロック特徴量を算出するので、誤判定の原因となる上述の非定常波や生体ノイズの各時間ブロックに対する影響を低減することができる。よって、上記の如き信号処理(補正)された時間ブロック特徴量を用いることで、例えば生体の睡眠状態の判定や健康状態の判定を高精度に行うことができる。
さらに、本発明に係る生体信号処理方法としては、検出した生体の生体信号を補正する生体信号処理方法であって、所定の時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記生体信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出する。
また、上記記載の生体信号処理システムは、それを実行するためのコンピュータプログラムにより実現され、このコンピュータプログラムは記録媒体に記憶される。
本発明は睡眠状態判定システムの他、例えば、健康管理システムや居眠り防止システム、生体信号処理システム等としても利用することができる。
1:睡眠状態判定システム、1’:健康状態判定システム、2:脳波検出装置、2’:生体信号検出装置、3,3’:信号変換器、4:信号処理装置(携帯型端末、PC)、4a:CPU、4b:ROM、4c:RAM、4d:バス、4e:入力部、4f:記憶部、4g:表示部、4h:出力部、4i:通信部、4j:オーディオジャック(音声入出力部)、5:導電ワイヤ、21:検出電極、22:基準電極、23:筋電心電電極、24:呼吸計電極、31:アンプ、31’:アンプ群、32:フィルタ、32’フィルタ群、:33:周波数変換部(変調部)、40:ソフトウエア、41:A/D変換部、42:周波数変換部(復調部)、43:脳波データ記憶部、44:周波数成分抽出部、45:区画特徴量算出部、46:ノイズ信号判定部、47:時間ブロック特徴量算出部、47a:フィルタ処理部、48:睡眠状態判定部、48’:健康状態判定部、49:判定結果出力部、50:記憶部、51:脳波データ記憶部、52:区画特徴量記憶部、53:周波数解析結果記憶部、54:判定結果記憶部、60:脳波センサー、61:耳介電極(検出電極)、62:耳朶電極(基準電極)、63:本体部、64:ワイヤ、65:アンプ、66:フィルタ、67:A/D変換部、68:無線通信部、69:制御部、A:区画、B:時間ブロック、L:生体、S:脳波、E:閾値、P:区画特徴量、Q:時間ブロック特徴量、

Claims (9)

  1. 生体の脳波信号を検出する電極を有する脳波検出装置と、検出した脳波信号に対して所定の時間ブロック単位で信号処理を行い、その結果に基づいて前記生体の該時間ブロックの睡眠状態を判定する信号処理装置とを備えた睡眠状態判定システムであって、
    前記信号処理装置は、周波数成分抽出部と、区画特徴量算出部と、ノイズ信号判定部と、時間ブロック特徴量算出部と、睡眠状態判定部とを有し、
    前記周波数成分抽出部は、前記時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、
    前記区間特徴量算出部は、抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、
    前記ノイズ信号判定部は、算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、
    前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、
    前記睡眠状態判定部は、算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定システム。
  2. 前記算出した区画特徴量の少なくとも一つ及び前記閾値には、δ波の含有率を用いる請求項1記載の睡眠状態判定システム。
  3. 前記時間ブロック特徴量算出部は、前記ノイズ区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量の和を前記分割の数から前記ノイズ区画の数を引いた数で除した平均値を前記時間ブロック特徴量として算出する請求項1又は2記載の睡眠状態判定システム。
  4. 前記時間ブロック特徴量算出部は、フィルタ処理部をさらに有し、前記フィルタ処理部は、前記時間ブロック及びその時間ブロックの少なくとも直前直後の他の時間ブロックの時間ブロック特徴量の平均を求め、求めた平均値を当該時間ブロックの前記時間ブロック特徴量として更新する請求項1〜3のいずれかに記載の睡眠状態判定システム。
  5. 前記睡眠状態判定部は、覚醒状態と、REM睡眠段階と、睡眠段階1と睡眠段階2を合わせたLight睡眠段階と、睡眠段階3と睡眠段階4を合わせたDeep睡眠段階との4段階を判定する請求項1〜4のいずれかに記載の睡眠状態判定システム。
  6. 前記信号処理装置は、少なくとも音声入出力を構成するオーディオジャックを備える携帯型端末であり、
    前記脳波検出装置は、前記検出した脳波信号をアナログ変調する周波数変換部を有する信号変換器をさらに備え、
    前記携帯型端末は、変調された脳波信号をデジタル信号に変換する周波数変換部と復調する復調部をさらに備え、
    前記検出した脳波信号は、前記信号変換器から前記オーディオジャックを介して前記携帯型端末へ入力される
    請求項1〜4のいずれかに記載の睡眠状態判定システム。
  7. コンピュータに実行されることにより生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定プログラムであって、
    前記コンピュータを、
    所定の時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出する周波数成分抽出手段と、
    抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出する区間特徴量算出手段と、
    算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定するノイズ信号判定手段と、
    前記ノイズ区画と判定した区画の区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出する時間ブロック特徴量算出手段と、
    算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定手段として機能させるための睡眠状態判定プログラム。
  8. 請求項7記載の睡眠状態判定プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
  9. 生体の脳波信号を検出し、その脳波信号に基づいて前記生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定方法であって、
    所定の時間ブロックを複数の区間に分割し、複数に分割された区画毎に前記脳波信号の周波数解析を行って各区間の周波数成分を抽出し、
    抽出した周波数成分に基づいて各区間の区画特徴量を算出し、
    算出した区間特徴量の少なくとも一つが所定の閾値を超える場合にその区間をノイズ区間と判定し、
    前記ノイズ区画と判定した区画特徴量を除く他の区間の区画特徴量に基づいて前記時間ブロックの時間ブロック特徴量を算出し、
    算出した時間ブロック特徴量に基づいて、該時間ブロックにおける前記生体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定方法。
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